JP4770016B2 - Frpへの成形同時加飾方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の床材や壁材、浴室の床材や壁材、洗面化粧台等に用いるFRP(繊維強化プラスチック)成形品の加飾方法に関する。特に、耐擦傷性等の表面物性も同時に付与できる加飾方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、FRP(繊維強化プラスチック)を表面加飾する加飾方法としては、次の様な方法があった。
例えば、特開平8−118384号公報では、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏側とする面に装飾層を印刷し、これに不織布を裏打ちして作成した化粧シートを、FRPの未硬化物であるSMC(シートモールディングコンパウンド)と積層した後、加熱加圧することで、SMCを硬化させると同時に前記化粧シートと積層一体化する方法を開示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如き加飾方法で得られた製品は、表面がポリエチレンテレフタレートフィルムの為、耐擦傷性が不十分で、特に床等に使用すると傷つきやすかった。ポリエチレンテレフタレートフィルム表面への硬質塗膜塗装も可能であるが、工程数増加と、熱プレス積層時の亀裂の点で難があった。また、エンボス加工による凹凸を付けにくい為、製品表面は平滑面となり、床用途では滑り易かった。もちろん、ポリエチレンテレフタレートに替えて、より軟化温度の低い樹脂シートを使えば、エンボス加工は容易とはなるが、その代わり、耐擦傷性は益々弱くなる為、耐擦傷性とエンボス加工適性とは両立しなかった。特に浴室の床の場合では、水に濡れた状態で特に滑り易く危険であった。この為、この様な用途には使用できなかった。かといって、SMC等のFRPがそのまま表面に露出する様な構成とすれば、耐擦傷性は満足出来たとしても、絵柄等による意匠感はとうてい望めるものでは無かった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明では、FRPへの成形同時加飾方法として、FRPの成形と同時にその表面を加飾する方法において、(A)支持体シート上に少なくとも装飾層を含む転写層を形成してなる転写シートの転写層上に、未硬化状態で常温で非流動性である硬化性樹脂の不完全硬化層を積層して積層シートとし、(B)次いで、該積層シートから前記支持体シートを剥離して得た化粧シートの剥離面側とFRP未硬化物とを、間に繊維質シートを挟んで重ね、(C)次いで、加熱加圧して、加熱加圧と同時に、賦形型によって凹凸模様を不完全硬化層に賦形し、不完全硬化層を硬化させて表面保護層とし、FRP未硬化物を硬化させてFRP層とすると同時に化粧シートとFRP層とを、間に全面に繊維質シートを介して積層一体化させる様にした。この様な加飾方法とすることで、印刷絵柄等によって意匠感に富んだ加飾が可能となる上、製品表面に耐擦傷性等の表面物性も付与できる。また、表面物性を与える表面保護層とFRP層とを密着良く積層一体化できる他、装飾層は表面保護層とFRP層の間となるので、耐摩耗性も良い。
【0005】
また、本発明のFRPへの成形同時加飾方法は、化粧シートをFRP未硬化物と重ねるときに、間に繊維質シートを挟んで重ねて、化粧シートとFRP層とを間に繊維質シートを介して積層一体化させる様にした。この様にする事で、更に、表面保護層及び装飾層からなる化粧シートとFRP層とを密着良く積層できる上、得られる製品の寸法安定性が増す。また、装飾層の絵柄の歪み、流れも生じ難くなる。
【0007】
また、本発明のFRPへの成形同時加飾方法は、上記いずれかの方法に於いて、加熱加圧と同時に、賦形型によって凹凸模様を不完全硬化層に賦形し、而る後に、該不完全硬化層を完全硬化させる様にした。
この様にする事で、耐擦傷性を有する硬質の製品表面にも良好な凹凸を付与できる。したがって、例えば床用途に好適な滑り防止効果が得られる。また、表面艶消しや凹凸模様による意匠感も付与できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
〔要旨〕
図1は本発明のFRPへの成形同時加飾方法を概念的に説明する概念図である。本発明では、先ず、図1(A)の如く転写シートTとして、支持体シート1上の転写層2として少なくとも装飾層3を含むシートを用意し、そして、図1(B)の如く、該転写シートTと、未硬化状態で常温で非流動性である硬化性樹脂の不完全硬化層4とを、該転写層2と該不完全硬化層4とが接する様にして積層して積層シートLとする。この不完全硬化層4と転写シートTとの積層は、例えば図1(B)に例示の如く、転写層2を上向きにした転写シートT上に、加熱して流動状態とした硬化性樹脂を塗工する等して不完全硬化層4を形成する。積層シートLは、その上側(転写シートの積層面とは反対側面で、最終的な製品において表面となる側)に、必要に応じ適宜、セパレータシート5が一時的に積層された構成としても良い。
【0010】
なお、本発明では、少なくとも不完全硬化層4と転写シートTとが積層された積層体を積層シートLと呼称する事にする。また、積層シートLは、図1(B)の様に、更にセパレータシート5が積層された構成でも良い。また、この様な積層シートLから、転写シート由来の支持体シート1が剥離された後の構成の積層体を化粧シートSと区別して呼称する。したがって、セパレータシート5の方は、化粧シートSの構成要素として含まれる場合もある。
【0011】
そして次は、図1(C)の如く、上記の様な積層シートLから支持体シート1を剥離して化粧シートSとして、この化粧シートSとFRP未硬化物6とを重ねる。もちろん、この時、図1(C)の如く、化粧シートSはその不完全硬化層4に対して転写層2側をFRP未硬化物6側に向けて重ねる。
なおこの際、図1(C)の如く、化粧シートSとFRP未硬化物6との間には、不織布又は織布からなる繊維質シート7を挿入するのも密着性や絵柄の再現の点で好ましいが、その必要無い場合には、繊維質シート7を挿入しない形態でも良い。
【0012】
なお、加熱加圧工程〔図1(D)〕より前の段階で、不完全硬化層の硬化反応を完全硬化にまでは至ら無い程度に進行させておく工程(これを予備硬化と呼称する)を設ける場合には、積層シートLを形成した図1(B)の段階から図1(C)の如く化粧シートSをFRP未硬化物上に載置する段階(載置後は含まず、載置前までの段階)に至る間の適当な時期に行う。予備硬化は、硬化性樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、赤外線(近赤外線、及び遠赤外線も包含)照射、加熱雰囲気等による加熱で行い、硬化性樹脂が電離放射線硬化性樹脂の場合は、電離放射線照射で行い、硬化性樹脂が熱と電離放射線との両方で硬化する樹脂の場合は、加熱或いは電離放射線照射のいずれか一方又は両方で行う。
【0013】
そして次は、図1(D)の如く、重ね合わせた化粧シートSとFRP未硬化物6とに対して、加熱加圧し、FRP未硬化物6を硬化させてFRP層8とすると同時に、該FRP層8に化粧シートSを接着積層して一体化する。加熱加圧は、図1(D)の如く、成形型Ma及び成形型Mb内に、これら材料を重ね合わせて載置した後、成形型Ma及びMbを型締めして加圧し加熱すれば良い。なお、図1の説明では、図1(C)の如く、繊維質シート7を間に挿入した形態としたので、繊維質シート7中にFRP未硬化物6が熱圧で含浸するので、FRP層8は繊維質シート7を介して化粧シートSと積層一体化する事になる。但し、もちろん、繊維質シート7が無くても、化粧シートSとFRP層8との接着力も十分であり、また装飾層の歪み、流れも生じない場合は、繊維質シート7の挿入は省くことが出来る。
なお、不完全硬化層4の方は、この加熱加圧時に同時に硬化させて表面保護層9としても良いが、加熱加圧の後で硬化させて表面保護層9となる層として良い。但し、不完全硬化層4も、この加熱加圧時に同時に硬化させてしまえば、該層の為の後硬化工程を省く事ができる。
【0014】
そして、図1(E)の如く、加熱加圧を開放し、不完全硬化層4がまだ完全硬化していない場合には、更に、熱、或いは紫外線や電子線等の電離放射線等の硬化手段Cにより、硬化を完了させて表面保護層9とすれば、FRP層8に、(化粧シートSとして)少なくとも装飾層3を含む転写層2と表面保護層9とが、この順に積層した構成のFRP化粧材Dが得られる。なお、化粧シートSにセパレータシート5を未だ積層しておいた場合には、セパレータシート5は剥離除去する。このセパレータシート5の剥離除去は、加熱加圧開放後、任意の時点で行えば良い。加熱加圧の開放直後でも良いし、FRP化粧材の床等への施工の直前でも良いし、或いは施工の終了後でも良い。施工終了後の剥離除去とすれば、セパーレータシートは施工時の塵付着防止にも利用できる。
【0015】
なお、表面保護層9の表面に凹凸模様を設けたい場合には、図2(A)の如く、セパレータシート5として、その不完全硬化層4に接する側の面に凹凸模様を設けたものを賦形型11として使用して不完全硬化層4が硬化後、剥離除去したり或いは、図2(B)の如く、(セパレータシートが化粧シートに積層されている場合にはセパレータシートを剥離した後、或いはセパレータシートを積層したまま、その上から)加熱加圧するときに、片面に凹凸模様を設けた金属板等を賦形型11として、不完全硬化層4の面に接する様に挿入した上で、加熱加圧を行った後、賦形型11を取り除けば良い。なお、図2(A)及び(B)では、賦形は熱プレス機の加圧盤Pa及びPbによる平圧で加熱加圧する場合を概念的に示してある。
【0016】
以下、本発明を、転写シートから順に更に詳述する。
【0017】
〔支持体シート〕
支持体シート1としては、転写層2、及び不完全硬化層4との剥離性を有するシートであれば特に制限は無い。但し、表面保護層とする不完全硬化層を、転写シートと積層する代表的な方法としては、不完全硬化層とする硬化性樹脂は加熱された溶融塗工で形成したり、溶剤希釈溶液として塗工して形成したりする。従って、支持体シートは、その時の熱、或いは溶剤で転写層を構成する装飾層の絵柄が歪んだりしない様に、耐熱寸法安定性、或いは耐溶剤性のあるものが好ましい。
この様な耐熱寸法安定性、及び耐溶剤性のある支持体シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル樹脂、ビニロン等の樹脂シート、金属箔、紙、或いはこれらの積層シート等が使用される。積層シートは、例えば上質紙、硫酸紙、パーチメント紙等の地合の比較的均一な紙にポリプロピレンを積層したシート等である。なかでも、2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムは代表的である。なお、支持体シートの厚さは、通常20〜200μm程度である。
【0018】
なお、支持体シートには、必要に応じ、その転写層側に転写層との剥離性を向上させる為、支持体シートの構成要素として離型層を設けても良い。この離型層は支持体シートを剥離時に、支持体シートの一部として転写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂等の単体又はこれらを含む混合物が用いられる。
【0019】
〔転写層〕
転写シートTは、支持体シート1上の転写層2として、少なくとも装飾層3を有する。また、転写層2としては、装飾層以外に更に適宜、剥離層、接着剤層等を設けても良い。
転写層は、その内容に応じて、従来公知の印刷法や塗工法、或いは手描き等の任意の形成手段で形成すれば良い。
【0020】
装飾層3は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、インキジェットプリント等の従来公知の方法、材料で絵柄等を印刷した絵柄層、アルミニウム、クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的或いは全面に形成した金属薄膜層等であり、用途に合わせたものを用いる。絵柄は、石目模様、タイル調模様、木目模様、布目模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベタ、或いはこれらの組み合わせ等を用いる。なお、絵柄層用のインキは、通常、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤から構成される。バインダーの樹脂には、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂等の単体又はこれらを含む混合物を用いる。着色剤としては、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、朱、黄鉛、チタンイエロー、コバルトブルー、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料、アルミニウム箔粉、真鍮箔粉、二酸化チタン被覆雲母箔粉等の光輝性顔料、蛍光顔料、或いはその他染料等を用いる。
【0021】
なお、装飾層としては、導電体層、磁性体層等の機能性層でも良い。すなわち、本発明に於ける加飾とは、単に絵柄等を付与する以外に、機能性を付与する事も包含する。例えば、導電体層には着色剤の代わりに黒鉛粉や銀粉等の導電剤を用い、磁性体層には着色剤の代わりに酸化第二鉄等の磁性体を、上記絵柄層で述べたインキ中に含有させたりすれば良い。これら機能性層は、上記絵柄層と兼用させる場合もある。
【0022】
また、剥離層は必須では無いが、必要に応じ適宜、支持体シートと転写層との間の剥離性を調整する等の為に設けても良い。剥離層には、例えば、上記絵柄層で述べたバインダーに用いる樹脂等が用いられる。なお、剥離層は転写層の一部であり、転写時には通常は剥離層の全部が被転写体側に移行する。
【0023】
また、接着剤層も必須では無いが、装飾層と不完全硬化層間の密着性向上等の為に、必要に応じ適宜設けても良い。接着剤層としては、装飾層及び不完全硬化層の樹脂内容に応じて、これらを密着良く積層できる樹脂を使用すれば良く、特に制限は無い。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等を用いる。なお、樹脂は、通常は、硬化性樹脂として用いるが、密着性の耐久性の点で好ましい。
【0024】
〔不完全硬化層〕
不完全硬化層4は、最終的には硬化させて表面保護層9とする層であり、成形同時加飾に適用するときは、未硬化状態で常温で非流動性である硬化性樹脂からなる。上記不完全硬化とは、硬化が全く進行していな状態か、硬化が進行していた(或いは進行させておいた)としても完了していない状態、すなわち完全硬化していない状態(未硬化状態)を意味する。また、この不完全硬化層は、好ましくは、FRPの場合では含まれる繊維は非含有の層とする。それは、不完全硬化層が繊維を含有していると、不完全硬化層を硬化させて表面保護層となったときに、繊維が表面に出てくる事は避けられず、長期使用で表面に繊維状の凹凸模様が浮き出たりするからである。
【0025】
なお、上記非流動性とは、非粘着固体であっても、粘着状態であっても良い。また、常温とは、装飾層を含む転写層と不完全硬化層とが積層された化粧シートを、FRP未硬化物と積層一体化すべく成形型に挿入したりする、成形(同時加飾)作業を行う室内(或いは室外)の雰囲気温度を意味する。具体的値は、気候や作業環境によって異るが、通常は10〜40℃の範囲である。そして、成形時の加熱温度は常温よりも高い温度となる。
また、表面保護層とする為の硬化は、表面強度の点では、架橋硬化が最も好ましいが、要求物性を満たせば非架橋による硬化でも良い。
【0026】
不完全硬化層に使用する樹脂としては、上記の様な特性を有する樹脂であれば特に制限は無い。したがって、硬化性樹脂による硬化は、架橋硬化、非架橋硬化、いずれでも良い。但し、非架橋硬化よりは架橋硬化の方が、表面強度が得やすい点で好ましい。また、硬化の反応形態は、付加重合、重付加、縮重合等、いずれでも良い。また、硬化の為のエネルギーとしては、熱、電離放射線等、いずれでも良い。但し、少なくとも熱を用いるのが、加熱加圧工程に於いてFRP未硬化物と同時に硬化反応を進め専用の硬化工程を省ける点で効率的である。なお、電離放射線としては、紫外線と電子線が代表的である。
【0027】
上記の様な樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、或いは熱と電離放射線の両方で硬化する樹脂等が使用できる。なお、不完全硬化層に使用する樹脂は、通常は樹脂単体に、硬化触媒、顔料、充填剤等の各種添加剤を添加した、組成物として使用する。したがって、未硬化状態で常温で非流動性なる物性は、樹脂単体或いは組成物として有すれば良い。また、例えば上記硬化触媒としては、不飽和ポリエステル樹脂を熱硬化性樹脂として用いる場合では、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の熱重合開始剤を添加する。
【0028】
なお、電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、次の(I)や(II)の電離放射線硬化性樹脂を使用できる。
【0029】
(I)ラジカル重合性不飽和基を有する、熱可塑性の次の(1) 又は(2) の2種類の樹脂。
(1) ガラス転移温度が0〜250℃のポリマー中にラジカル重合性不飽和基を有するもの。更に具体的には以下の(1-1) 〜(1-8) を重合、もしくは共重合させたものに対し、後述する方法(a) 〜(d) によりラジカル重合性不飽和基を導入したものを用いることができる。なお、以下において、例えば(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートの意味で用いる。
(1-1) 水酸基を有するモノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなど。
(1-2) カルボキシル基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネートなど。
(1-3) エポキシ基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレートなど。
(1-4) アジリジニル基を有するモノマー;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2−アジリジニルプロピオン酸アリルなど。
(1-5) アミノ基を有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど。
(1-6) スルフォン基を有するモノマー;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸など。
(1-7) イソシアネート基を有するモノマー;2,4−トルエンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの1モル対1モルの付加物などのジイソシアネートと活性水素を有するラジカル重合性モノマーとの付加物など。
(1-8) 上記(1-1) 〜(1-7) のモノマーと共重合可能で上記(1-1) 〜(1-7) 以外のモノマー;このモノマーは得られる共重合体のガラス転移温度や物性を調節する共重合成分として使用する。例えば、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど。
【0030】
次に、上述のようにして得られた重合体又は共重合体を、以下に述べる方法(a) 〜(d) により反応させてラジカル重合性不飽和基を導入する。
(a) 水酸基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述した(1-2) の(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマーなどを縮合反応させる。
(b) カルボキシル基、スルフォン基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述(1-1) の水酸基を有するモノマーを縮合反応させる。
(c) エポキシ基、イソシアネート基、或いはアジリジニル基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述(1-1) の水酸基を有するモノマーもしくは前述(1-2) のカルボキシル基を有するモノマーを付加反応させる。
(d) 水酸基あるいはカルボキシル基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述(1-3) のエポキシ基を有するモノマーあるいは前述(1-4) のアジリジニルを有するモノマーあるいは前述(1-7) のジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステルモノマーとの1モル対1モルの付加物等のイソシアネート基を有するモノマーを、付加反応させる。
なお、上記反応を行うには、微量のハイドロキノンなどの重合禁止剤を加え、乾燥空気を送りながら行うことが望ましい。
【0031】
(2) 融点が20℃〜250℃であり、ラジカル重合性不飽和基を有する化合物。具体的には、トリアジン(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリアクリルイソシアヌレート、シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、スピログリコールジ(メタ)アクリレート、スピログリコール(メタ)アクリレートなどである。
【0032】
また、上記(1) 及び(2) を混合して用いることもできる。
更に、上記(1) 又は(2) 、又は(1) 及び(2) の混合物に対して、反応性希釈剤としてラジカル重合性モノマーを加えることもできる。このラジカル重合性モノマーは、電離放射線照射による架橋密度を上げて耐熱性を向上させる。該モノマーとしては、例えば、前述の(1-1) 〜(1-8) のモノマーの他に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポレエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテルテトラ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。配合量は、前記(1) 又は(2) の単独又は混合物の樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部で用いることが好ましい。
また、後述(ロ) の非架橋型樹脂を加えることもできる。
【0033】
(II)常温で液状の電離放射線硬化性樹脂に、常温で熱可塑性固体である非架橋型樹脂を混合して得られる電離放射線硬化性樹脂。
(イ) 常温で液状の電離放射線硬化性樹脂;分子中にラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマー又はモノマーの、単体又は混合物からなる組成物である。或いはカチオン重合性官能基を有するプレポリマーやモノマーからなる組成物である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどである。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどがある。また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどがある。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。
【0034】
(ロ) 非架橋型樹脂は、電離放射線による架橋硬化反応に寄与しない常温固体の熱可塑性樹脂であり、例えば、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、或いは、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂等のビニル樹脂である。
例えば、アクリル樹脂は、そのモノマーとして、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−アミル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸−2−クロルエチル、(メタ)アクリル酸−3−クロルプロピル等の(メタ)アクリル酸ハロゲン化アルキル、(メタ)アクルル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の水酸基を持つ(メタ)アクリル酸エステル、α−クロル(メタ)アクリル酸メチル、α−クロル(メタ)アクリル酸エチルなどのハロゲン化(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクルル酸−1−クロル−2−ヒドロキシエチルなどの水酸基を持つα−アルキル(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系モノマーの1種又は2種以上からなる単独重合体又は共重合体である。
【0035】
なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、上記(I)又は(II)の電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。なお、これらの光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部程度である。
【0036】
なお、電離放射線としては、電離放射線硬化性樹脂中の分子を重合、乃至は架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電子線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を用いる事も可能である。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用される。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波長域が主として用いられる。電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0037】
また、熱と電離放射線の両方で硬化する樹脂としては、紫外線、可視光線等の光と熱とで硬化する樹脂が代表的である。具体的には、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等のラジカル重合性樹脂中に、光重合開始剤と熱重合開始剤の両方を添加してなる樹脂を用いる。
【0038】
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類等が用いられる。
熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソプロピルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカーボンアミド等のアゾ化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤、及び熱重合開始剤の添加量は、いずれも、各々ラジカル重合性樹脂100質量部中に、0.01〜10質量部程度である。
【0039】
また、上記の如き硬化性樹脂を用いた不完全硬化層中には、必要に応じて適宜、各種添加剤を添加することもできる。これらの添加剤としては、例えば、着色剤、減磨剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、防黴剤、その他の添加剤等である。
【0040】
例えば、上記着色剤としては、前述装飾層で列記した如き公知の添加剤を使用できる。なお、着色剤添加時は、通常は下の装飾層の絵柄が見える様に着色透明とする。また、減磨剤は、不完全硬化層は最終的に表面保護層となるので、特に用途が床材等では添加は効果的である。なお、減磨剤としては、アルミナ(α−アルミナ等)、シリカ、アリミノシリケート、雲母等の粉末が使用できる。これら減磨剤の粒径は通常1〜100μmで、粒子形状は球、多面体、鱗片状等である。また、減磨剤の添加量は、樹脂分に対して通常5〜50質量%程度である。また、充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の粉末が使用できる。充填剤の粒径は0.1〜10μm程度、添加量は樹脂分に対して5〜50質量%程度である。また、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、超微粒子酸化セリウム系等が使用でき、光安定剤としてはヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等が使用できる。
【0041】
そして、上述した如き硬化性樹脂からなる不完全硬化層を、転写シートと積層するには、その厚みにもよるが、通常は、流動状態とした硬化性樹脂を転写シート上に塗工法で施して固化させて形成する。流動状態とするには、樹脂を加熱溶融や溶剤溶解等すれば良い。なお、溶剤使用でも塗工を繰り返せば有る程度の厚さは確保できるが、加熱の方が厚く形成し易い点で好ましい。塗工は、押出コート(押出ラミネーションとなる)、キャストコート、ファウンテンコート、コンマコート等の公知方法によれば良い。
なお、不完全硬化層の厚みは、用途、要求物性等に応じて適宜厚さとすれば良いが、通常は10〜500μm程度である。
【0042】
不完全硬化層の硬化を進めて完全硬化させる時期は、不完全硬化層が熱硬化する場合は、FRP未硬化物の硬化と同時とする事ができる。また、不完全硬化層の完全硬化に熱以外の手段(例えば電離放射線)による硬化が必要な場合には、加熱加圧後に硬化させると良い。また、熱硬化で完全硬化させる場合でも、加熱加圧時には完全硬化まで進めずに、加熱加圧後に更に加熱のみを行って硬化を完了させても良い。
【0043】
〔セパレータシート〕
セパレータシート5は、必要に応じ適宜使用するものであるが、該シートを使用することで、硬化前で未だ表面が傷付き易い不完全硬化層の表側とする面に、傷や塵が付くのを防いで保護する事ができる。また、不完全硬化層が粘着性を呈する場合には、積層シート或いは化粧シートを使い易くする事もできる。また、不完全硬化層が柔軟で、特に積層シートから支持体シートを剥離後の化粧シートの状態で強度的に取扱い難い場合には、このセパレータシートを付けたままにしておけば、セパレータシートが不完全硬化層に対する支持体の役割を担って、化粧シートとしての強度維持して、取扱い易くする事もできる。また、後述する様に、凹凸形成の為の賦形型とする事もできる。
【0044】
セパレータシートを使用する場合、図1(B)の様に、セパレータシート5は、転写シートT上に形成した不完全硬化層4の上に、空気を抱き込まない様にローラ等を使用して積層して積層シートLとすれば良い。或いは、硬化性樹脂をセパレータシート上に塗工して不完全硬化層とした後、これに転写シートを積層して積層シートとする事も可能である。こちらの方法は、特に、セパレータシートを賦形型と兼用する場合は好適である。もろちん、セパレータシートを賦形形と兼用する場合でも、不完全硬化層と転写シートとを積層してから、これにセパレータシートを積層しても良い。
【0045】
上述の如きセパレータシートとしては、不要になった段階で不完全硬化層から剥離できるシートであれば、特に限定は無い。例えば、前述転写シートの支持体シートとして述べたシート等が使用できる。したがって、ここでは更なる説明は省略する。但し、加熱加圧後にセパレータシートを剥離する場合は、その時の熱に耐え得る耐熱性のものを使用する。
【0046】
〔FRP未硬化物〕
FRP未硬化物6としては、FRP成形材料として従来公知のもので良く、本発明の場合では、なかでも、SMC(シートモールディングコンパウンド)やBMC(バルクモールディングコンパウンド)等が代表的には使用される。特にSMCは既にシート状に成形されている為、平板状のFRP化粧材の成形に好適である。なお、FRP未硬化物は、加熱により硬化させる。
FRP未硬化物の樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂が代表的であるが、その他の樹脂、例えば、(硬化性)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の所謂熱硬化性樹脂も使用できる。また、FRPの強化材としての繊維は、ガラス繊維が代表的だが、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等の無機繊維、或いはポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維等の合成樹脂繊維等も使用される。
また、FRP未硬化物には、必要に応じて適宜、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の充填剤、顔料や染料等の着色剤、硬化触媒、増粘剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、熱可塑性樹脂等を添加したものを用いる。
【0047】
FPR未硬化物は、不完全硬化層及び装飾層からなる化粧シートと重ね合わせた状態での成形型やプレス機等による加熱加圧によって、FRP層となると同時に、該FRP層は化粧シートと積層一体化する。加熱加圧条件は、FPR未硬化物や不完全硬化層に使用する樹脂等に応じた条件となる。例えば、FRP未硬化物に不飽和ポリエステル樹脂等からなるSMCを使用する場合、通常、120〜160℃、1〜10MPa、加熱加圧時間5〜20min程度である。
【0048】
〔繊維質シート〕
なお、上記加熱加圧する際に、FRP未硬化物と化粧シートとの間に繊維質シートを介在させておくのも、本発明の好ましい形態である。繊維質シートによって、密着性、寸法安定性が増し、また、加熱加圧時にFRP未硬化物が流動しても繊維質シートが介在しているので、装飾層の絵柄の歪み、流れ、或いは亀裂も生じ難くなる。
繊維質シートとしては、その材料としては、アクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、アセテート、ビニロン、ポリ塩化ビニル等からなる合成樹脂繊維や、セルロース、パルプ、羊毛等の天然有機物繊維、或いは、ガラス、石綿、チタン酸カリウム、アルミナ、シリカ、炭素等からなる無機質繊維等を使用する。特に繊維質シートに耐熱(変形)性を付与する場合は、繊維間に2液硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸したものを繊維質シートとして用いることが好ましい。また、繊維の集合形態としては、織布、不織布、或いは編布が用いられる。セルロースからなる不織布が紙であり、紙としては、上質紙、クラフト紙、和紙等が挙げられる。なかでも、コスト、物性、密着性、含浸性能、曲率部への追従性等を考慮すると、厚さ0.2mm以下の合成樹脂繊維の不織布が好ましい。
【0049】
〔凹凸模様の賦形〕
なお、本発明の成形同時加飾方法では、表面保護層の表面に凹凸模様を形成しても良い。凹凸模様は、例えば、砂目、梨地、ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面の凹凸模様、木目導管溝、木目年輪模様、布目の表面テクスチュア、皮絞、文字、幾何学模様、或いは、タイル、煉瓦、石等を二次元配列時の目地溝模様、或いはこれらの組み合わせ模様等である。特に床材用途では、砂目等の凹凸模様は滑り防止に効果的である。
【0050】
凹凸模様を賦形するには、図2の概念図で示す如く、例えば熱プレス機の加圧盤Pa及びPb等による適宜な成形手段により、FRP未硬化物6と化粧シートSとを積層する加熱加圧時に、表面保護層となる不完全硬化層4に賦形型11を接触させた状態で行えば良い。図2(A)は、前述セパレータシート5を賦形型11とする場合であり、図2(B)は、加熱加圧時に(予め不完全硬化層4とは積層一体化させていない)賦形型11を挿入する場合である。しかる図2(B)に於ける賦形型11は、前述の如きセパレータシートSと同様な様なものを使用できる他、公知の金属製の賦形型等も使用できる。加熱加圧後、賦形型を取り除けば、不完全硬化層4の表面に凹凸模様が賦形されている。なお、不完全硬化層が加熱加圧時にまだ完全硬化していない場合には、完全硬化させて表面保護層となった後に、賦形型を取り除いても良い。
【0051】
なお、セパレータシート5を賦形型11とする場合には、公知の方法でシート表面に凹凸を形成すれば良い。例えば、表面保護層と離型性の有る樹脂(例えば2液硬化ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、電離放射線硬化性樹脂等を使用)を用いたインキを用いて、シルクスクリーン印刷等による盛り上げ印刷で賦形層を設けたり、サンドブラスト加工等で表面凹凸を形成すれば良い。
【0052】
〔FRP化粧材の用途〕
本発明で得られFRP化粧材の用途は特に限定されないが、例えば化粧パネルや化粧部材等として各種用途に用いられる。好適には、その耐擦傷性等の表面物性を活かせる用途に用いられる。例えば、建築物の床材や壁材、浴室の床材や壁材、洗面化粧台等の住設機器、手摺、扉等の建具、家具、家電製品のキャビネット、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材、容器等の各種分野に用いる事ができる。なお、FRP化粧材の形状は、平板状の他、立体形状でも良い。
【0053】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳述する。
【0054】
〔実施例1〕
先ず、転写シートTとしては、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にメラミン樹脂を焼付け塗工して厚さ0.5μmの離型層を形成したものを支持体シート1とした。そして、この支持体シートの離型層側の面に、転写層2として装飾層3をグラビア印刷で形成した〔図1(A)参照〕。装飾層としては、バインダーの樹脂がアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1質量比の混合樹脂で、着色剤にチタン白、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーを用いたインキを用いて、マーブル調大理石の絵柄の絵柄層を印刷形成した。
【0055】
そして、転写層を上側に向けた上記転写シートTに対して、不完全硬化層4として、不飽和ポリエステル系プレポリマー(含むスチレンモノマー)100質量部に対して、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」、チバガイギー社製)1質量部、熱重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1質量部を添加した樹脂組成物を、厚さ200μmとなる様に、Tダイから熔融押出塗工して室温20℃に冷却固化させて非粘着固体として、積層シートLとした〔図1(B)参照〕。
【0056】
次に、成形型Ma及びMb内に、上記積層シートLから支持体シート1を剥離した化粧シートSを、間に繊維質シート7としてポリエステル繊維からな不織布を挟んで、FRP未硬化物6として、厚さ2mmのSMC(不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維とらなる)3枚と重ね合わせた後〔図1(C)参照〕、140℃、7MPaの熱圧条件で5分間、加熱加圧して成形して、成形と同時にFRP層未硬化物6の表面に化粧シートSを積層一体化した。FRP未硬化物6は硬化しFRP層8となった。また、不完全硬化層4は熱により硬化が一部進行した〔図1(D)参照〕。
【0057】
そして、成形型から取り出した後、表面保護層9とするべく不完全硬化層に高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して更に硬化を進めて、不完全硬化層の未反応分を完全に硬化させ、FRP化粧材Dを得た。FRP化粧材Dは、FRP層8に、繊維質シート7を介して、化粧シートSとして転写層2であった装飾層2と不完全硬化層4であった表面保護層9とが積層された構成である〔図1(E)参照〕。
得られたFRP化粧材は、耐擦傷性良好なる表面物性の他、石目柄の装飾層により高意匠であった。
【0058】
【発明の効果】
(1)本発明のFRPへの成形同時加飾方法によれば、印刷絵柄等によって意匠感に富んだ加飾が可能となる上、製品表面に耐擦傷性等の表面物性も付与できる。また、表面物性を与える表面保護層とFRP層とを密着良く積層一体化できる他、装飾層は表面保護層とFRP層の間となるので、耐摩耗性も良い。
(2)また、表面保護層となる不完全硬化層と装飾層との積層体(化粧シート)とFRP未硬化物とを重ねるときに、間に不織布又は織布からなる繊維質シートを挟んで成形すれば、密着良く積層できる上、得られる製品の寸法安定性も増す。また、装飾層の絵柄の歪みも生じ難くなる。
(3)また、成形時の加熱加圧と同時に、賦形型によって凹凸模様を不完全硬化層に賦形すれば、耐擦傷性を有する硬質の製品表面にも良好な凹凸を付与できる。したがって、例えば床用途に好適な滑り防止効果が得られる。また、表面艶消しや凹凸模様による意匠感も付与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のFRPへの成形同時加飾方法を概念的に説明する概念図。
【図2】成形と同時に表面に凹凸模様も賦形する方法を概念的に説明する概念図。
【符号の説明】
1 支持体シート
2 転写層
3 装飾層
4 不完全硬化層
5 セパレータシート
6 FRP未硬化物
7 繊維質シート
8 FRP層
9 表面保護層
11 賦形型
C 硬化手段
D FRP化粧材
Ma、Mb 成形型
L 積層シート
Pa、Pb 熱プレス機の加圧盤
S 化粧シート
T 転写シート

Claims (1)

  1. FRPの成形と同時にその表面を加飾する方法において、
    (A)支持体シート上に少なくとも装飾層を含む転写層を形成してなる転写シートの転写層上に、未硬化状態で常温で非流動性である硬化性樹脂の不完全硬化層を積層して積層シートとし、
    (B)次いで、該積層シートから前記支持体シートを剥離して得た化粧シートの剥離面側とFRP未硬化物とを、間に繊維質シートを挟んで重ね、
    (C)次いで、加熱加圧して、加熱加圧と同時に、賦形型によって凹凸模様を不完全硬化層に賦形し、不完全硬化層を硬化させて表面保護層とし、FRP未硬化物を硬化させてFRP層とすると同時に化粧シートとFRP層とを、間に全面に繊維質シートを介して積層一体化させる、
    FRPへの成形同時加飾方法。
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