JP4769354B2 - 生コンプラントにおける骨材の水分測定方法及びその装置 - Google Patents

生コンプラントにおける骨材の水分測定方法及びその装置 Download PDF

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  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、骨材(砂、砂利)、セメント、水、混和剤などを混練して生コンクリートを製造する生コンプラントにおける骨材の水分測定に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生コンプラントでは、骨材(砂、砂利)、セメント、水、混和剤などの生コンクリート材料を所定の配合に計量し、それらをミキサーで混練して生コンクリートを製造している。
生コンクリートの製造においては各種材料の配合設計が重要であり、特に水の投入量はコンクリート強度などの物性に大きな影響を与えるため、骨材の表面に含まれる水分(以下、表面水率という)も正確に測定して、水の投入時には測定した表面水率から算出した水量を差し引く補正を行い、水量の調整を行っている。
【0003】
そのため、生コンプラントでは骨材の貯蔵槽内部に水分センサーを設置し、貯蔵槽内における骨材の表面水率を静止状態、つまり計量ゲートが閉じていて貯蔵槽内の骨材が流出していない状態において決められたタイミング、例えば骨材の計量開始前や計量終了後に測定を行う静的測定をしている。また、より測定精度を上げるために水分センサーを複数基設け、その平均値を算出して補正水量を決定する方法もある。
しかし、生コンプラントに貯蔵されている骨材は、円錐状または角錐状の通称ビンと呼ばれる部分に静止状態で貯蔵される場合が多く、時間の経過と共に貯蔵槽内の骨材の表面水が次第に下方へ移動する。そのため、貯蔵槽内の下部になるにしたがって骨材の表面水率が高くなり、測定する場所又は測定する日時によって表面水率が大幅に変化することになる。
また、貯蔵槽内の骨材の払出し時において骨材は、骨材の質(粒度・粘度)、表面水率の大小、貯蔵槽形状による槽内の傾斜角度などの違いにより流出具合が大幅に変化する。即ち、水分センサーを設け骨材の表面水率を測定した部分全体の骨材が流出すればよいが、実状は壁面部分の骨材は流出しにくく、中央部分から流れ出ることが多い。
【0004】
そのため、骨材が貯蔵槽内における静止状態での静的測定は、水分センサーの周囲のみの一時的な表面水率しか測定できず、たとえ水分センサーを復数基設けても骨材の流出の変動により表面水率の変化が不規則になるので、測定し平均化した表面水率と実際に流出した骨材全体の表面水率とは差が生じ、正確な表面水率の把握が困難な状態にある。
そこで、これらを解消するために骨材の流出する部分に水分センサーを設け流出する骨材の表面水率を連続的に測定する動的測定が行なわれている。
連続的に測定することとは、1回の測定工程中に表面水率の測定を1回だけでなく断続して複数回行うことで、これにより測定工程中の表面水率測定値の変位を捉えることができる。
静的測定の限られた場所の骨材を定点測定するのとちがい、動的測定は実際に流出する骨材を連続的に測定しつづけるため混練に使用するすべての骨材の変位値を測定でき、実際の表面水率の把握を正確に行うことができる。
この動的測定における骨材の表面水率の測定は、計量器へ流出する骨材を確実に測定するために水分センサーの測定面が骨材の流出する部分に位置するように貯蔵槽へ設け、測定面での骨材の流れを促すため測定面を傾斜させて骨材の流れ面とし、そこを流れている骨材の表面水率を連続的に測定している。
しかし、水分センサーの測定面が水平の状態では測定面に骨材が滞留・付着し常に同じ骨材を測定することになり真の動的測定にならないのである。
したがって、水分センサーの測定面を傾斜させて骨材の流れを測定面上に生じさせ、流出する骨材を連続的に測定する必要がある。
【0005】
ところが、図4Aで示すように測定面8の傾斜角度αが水平面に対して15°と小さいと測定面8上での骨材の流れが悪く、測定面8上に微小量の骨材が骨材の流れに押し流されることなく残りつづけ、計量が繰り返されるうちに次第に堆積し、測定面8に骨材が滞留・付着して常に同じ骨材の表面水率を測定することになる。このような状態になると測定面8に滞留・付着した骨材によって真の連続的な測定にならず、正確な測定ができないことになる。
また、図4Bに示すように測定面8の傾斜角度αを水平面に対して大きい45°や60°とした場合流出する骨材は、骨材と空気とがまばらに混在する分布状態になり、測定面8上を通過する骨材の密度が粗・密の一定しない不安定な密度分布になってしまうのである。
ここで水分センサーの表面水率測定の原理について説明すると、水分センサーは測定面から測定面上の骨材の水分量を感知しそれを電気信号(電圧値)として取り込み、あらかじめ計測制御機器の記憶部に記憶格納している電圧値に対する表面水率の検量線データから表面水率を決定する。このとき水分センサーの特性から骨材の水分量は、測定する骨材の密度が一定でないと正確な数値を検出できずバラツキのある不正確な数値になるのである。
このため、測定面8の傾斜角度αが水平面に対して大きいと測定する電圧値が大きく変動し表面水率にバラツキが発生する。このバラツキは骨材の水分値ではなく密度分布の違いのために生じているバラツキであり、この状態では正確な骨材の表面水率は把握はできない。この時の測定値のグラフを図5、図6に示す。図5には水分センサーの測定面8の傾斜角度αが45°の時の測定値を示し、図6には水分センサーの測定面8の傾斜角度αが60°の時の測定値を示す。図5、図6中に示すλの幅で表面水率の測定値にバラツキが生じている。
【0006】
このように従来の方法では、測定面8上の骨材の密度が安定しないため表面水率にバラツキが生じており通常約1%程度の違いが出る。表面水率に1%の違いがあると、例えば骨材800kgを計量する場合にそのうちの1%つまり8kg(約8リットル)の水量の差が生じる。
これを生コンクリートの品質を表すスランプ値で言えば、スランプ18cmの生コンクリートの場合表面水率が1%変わるとスランプ値で3.5〜4cmも変動する。これはJISで規定しているスランプ値の変動許容値である2.5cmを越える数値になり、生コンクリートの品質に大きく影響する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は骨材の水分測定をするに際し、水分センサーの測定面上の骨材の密度を安定させ且つ骨材の入れ替わりを行わせて、骨材の表面水率の測定を正確に行うことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は生コンプラント内に骨材を貯蔵する貯蔵部と計量した骨材を混練する混練部との間に設置される水分センサーを用いて骨材の表面水率を測定する水分測定方法において、前記水分センサーの測定面が水平面より10°〜30°の傾きに回動されて骨材の表面水率を連続的に測定する測定工程と、該測定工程の後に水分センサーの測定面が水平面より60°〜80°の傾きに回動されることにより測定面上の骨材を入れ替える入替工程の2つの工程を備えること、及び生コンプラント内の骨材を貯蔵する貯蔵部と計量した骨材を混練する混練部との間に水分センサーが設置され骨材の表面水率を連続的に測定する水分測定装置において、前記水分センサーが測定面を備え、前記水分センサーを回動自在に取り付けるセンサー取り付け部材と、駆動源を備え水分センサーを回動させるセンサー回動部材とを備えることである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、測定面8上の骨材の密度を安定させるために、測定面8の測定角度αを水平面に対して10°〜30°の範囲で傾斜させ、骨材の流出に対して測定面8で抵抗をつくり、骨材の流れる速度を抑え、さらに骨材の自重による一定圧力によって測定面8上の骨材を押圧させる。これにより測定面8上の骨材の密度分布が一定になり、測定面8上の骨材は安定した密度を常に保つことができる。
さらに、前述のように測定面8の測定角度αを小さくすると骨材の流出をさまたげ測定面8上に骨材の滞留・付着が発生するが、水分センサーを回動させて測定面8上の滞留・付着を取り除き滞留・付着を解消することによって、測定面8上の骨材の入れ替わりを完全なものにすることができる。
【0010】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明の実施例の側断面図を示し、図2は図1中のB−B矢視図を示す。
図1において、生コンプラントの骨材貯蔵槽6は下方に計量ゲート7を備えており、該計量ゲート7直下に設置された図示しない骨材計量器は計量ゲート7の開閉によって骨材を投入され所定量の骨材を計量する。前記骨材貯蔵槽6内部の側壁には骨材の表面水率を測定するために測定面8を備える水分センサー1を骨材の流出する部分に測定面8が位置するように配設する。該水分センサーは図7で示すように直径7.5cm、長さ38cmの円筒形の一部を切り欠いた形状をしており、縦7cm、横15cm、面積105cmの平方な測定面を備え、該測定面上にある骨材の表面水率を測定する。
図2に示すように、水分センサー1は回動自在になされるように軸受を設けたセンサー取り付け部材2を介して、骨材貯蔵槽6下部の計量ゲート7に近い位置へ取り付けられている。前記水分センサー1を回動させるために駆動源としてシリンダー4を有するセンサー回動部材3が備えられており、シリンダー4の往復運動を水分計センサー1の回動運動に変換するようにカム5を水分センサー1とシリンダー4へ取り付ける。
【0011】
本発明の工程について図3を用いて説明する。
まず、測定工程について説明すると、通常の状態では水分センサー1は測定面8が水平面より60°〜80°の位置(α2=60〜80°)で固定されているが、骨材の計量が始まるとセンサー回動部材3であるシリンダー4が伸びて水分センサー1に取り付けられているカム5によって水分センサー1を測定傾斜角度α1=10°〜30°の位置へ回動させて骨材の表面水率を測定する。水分センサー1が測定傾斜角度α1=10°〜30°で傾いていることにより、測定面8上を骨材が急激な流れにならず安定した密度で測定でき正確な測定値が得られる。
次に、入替工程について説明する。
前記測定工程により骨材の表面水率の測定が終了するとシリンダー4が縮み水分センサー1が回動して入替傾斜角度α2=60°〜80°の位置へ固定される。その後測定面8上を流出する骨材の流圧によって測定面8上に滞留・付着した微小量の骨材を押し流して取り除くことにより測定面8上の骨材の入れ替えを行う。
以上の2つの工程を1回の計量中に複数回行うことにより測定面8上の骨材の密度を安定させ且つ骨材の入れ替えを行わせることができる。したがって、骨材の表面水率の正確な測定が可能となり、より実際の骨材の表面水率に合った補正水量を算出できる。
【0012】
前記実施例では測定工程と入替工程の2つの工程を1回の計量中に複数回行っているが、他の実施例として1回の計量時間が短い場合でも本発明の測定工程と入替工程の2つの工程を計量中に1回行い、これを毎バッチの計量の度に繰り返し行うことによって前記実施例と同様に正確な測定が可能となる。
【0013】
また、前記の実施例では図2で示すようにセンサー回動部材3としてシリンダー4とカム5を使用しているが、他の実施例としてモーターとギア、またはモーター直結として水分センサー1を回動させても同様な作用が得られる。この時、前記実施例のシリンダー4では水分センサー1の回動角度の変更はシリンダー4の伸縮機能のリミットスイッチの位置移動による機械的な変更となりリミットスイッチの微妙な位置調整などの煩雑な作業が必要となるが、シリンダー4の代わりにモーターを用いると回動角度の変更は電気的な制御で可能となり、操作盤上での簡単な設定変更のみで容易に角度変更することができる。
【0014】
水分センサー1の傾斜角度は、前記実施例では測定工程での測定傾斜角度α1=10°から30°としているが、これは使用する骨材の質(粒度・粘度)、表面水率の大小、貯蔵槽6形状の違いによる槽内の傾斜角度によって骨材の流出具合が変化するためである。この内、測定面8の測定傾斜角度の最適角度はα1=15 °である。この測定傾斜角度の最適角度α1=15 °の時の測定値のグラフを図8に示す。図8に示すλの幅が表面水率の測定値のバラツキであるがここでは0.5%程度であり、安定した数値を示している。
同様の理由で骨材入れ替え工程での骨材入れ替え傾斜角度α2も60°〜80°としているが、この内骨材入れ替え角度の最適角度はα2=75 °である。
【0015】
前記実施例は、水分センサー1を骨材貯蔵槽6内部の側壁に取り付けて骨材の流出部分に測定面8を設けているが、他の実施例として計量ゲート7と骨材計量器の間の骨材の落下位置に水分センサー1を設けて骨材の流出部分に測定面8が位置するようにする。前記実施例では水分センサー1が骨材貯蔵槽6内部にあることにより常に骨材に囲まれており、表面水率の測定時以外のときも測定面8が骨材の水分に触れている状態におかれているため、表面水率の測定時には測定する骨材以外の水分の影響を受ける。しかし、骨材貯蔵槽6の外に水分センサー1を設けることにより表面水率の測定時以外のときは測定面8が外気で乾燥され、乾きやすくなる。このため、測定する骨材のみの表面水率を測定することができ、より精度の高い精密な表面水率の測定が可能となる。
【0016】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば生コンプラントの骨材の水分測定において、水分センサー1の測定面8上の骨材の密度を安定させ且つ骨材の入れ替わりを行うことにより、連続的に測定する動的測定による安定した正確な骨材の表面水率の測定が可能となり、実際の表面水率に合った補正水量を算出して水分管理のなされた高品質な生コンクリートの製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の側断面図を示す。
【図2】図1のB−B矢視図を示す。
【図3】本発明の水分測定状態図(図1のA−A矢視図)を示す。
【図4】従来例の水分測定状態図を示す。
【図5】測定面傾斜角度45°の表面水率の測定値のグラフを示す。
【図6】測定面傾斜角度60°の表面水率の測定値のグラフを示す。
【図7】水分センサーの斜視図を示す。
【図8】本発明の表面水率の測定値のグラフを示す。
【符号の説明】
1 水分センサー
2 センサー取り付け部材
3 センサー回動部材
6 骨材貯蔵槽
7 計量ゲート
8 測定面

Claims (6)

  1. 生コンプラント内の骨材を貯蔵する貯蔵部と計量した骨材を混練する混練部との間に設置される水分センサーを用いて骨材の表面水率を測定する水分測定方法において、前記水分センサーの測定面が水平面より10°〜30°の傾きに回動されて骨材の表面水率を連続的に測定する測定工程と、該測定工程の後に水分センサーの測定面が水平面より60°〜80°の傾きに回動されることにより測定面上の骨材を入れ替える入替工程の2つの工程を備えることを特徴とする骨材の水分測定方法。
  2. 生コンプラント内の骨材を貯蔵する貯蔵部と計量した骨材を混練する混練部との間に設置される水分センサーを用いて骨材の表面水率を測定する水分測定方法において、前記水分センサーの測定面が水平面より15°の傾きに回動されて骨材の表面水率を連続的に測定する測定工程と、該測定工程の後に水分センサーの測定面が水平面より75°の傾きに回動されることにより測定面上の骨材を入れ替える入替工程の2つの工程を備えることを特徴とする骨材の水分測定方法。
  3. 前記測定工程と入替工程とからなる2つの工程を、毎バッチの計量の度に1回行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の骨材の水分測定方法。
  4. 前記測定工程と入替工程とからなる2つの工程を骨材の計量中に複数回行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の骨材の水分測定方法。
  5. 生コンプラント内の骨材を貯蔵する貯蔵部と計量した骨材を混練する混練部との間に水分センサーが設置され骨材の表面水率を連続的に測定する水分測定装置において、前記水分センサーが測定面を備え、前記水分センサーを回動自在に取り付けるセンサー取り付け部材と、駆動源を備え水分センサーを回動させるセンサー回動部材とを備えることを特徴とする骨材の水分測定装置。
  6. 骨材計量ゲート直下へ設けられることを特徴とする請求項5に記載の骨材の水分測定装置。
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