JPH0534203B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、例えば小麦粉、セメント等の粉粒体
の充填装置並らびにその稼動制御方法に関するも
のである。

一般に、粉粒体を定量して袋詰め等すること
は、自動化した計量機能を併せ持つ充填装置によ
つてなされることが普通であり、代表的には、充
填装置の一側部分に計量装置を配置し、この上に
載置した包装袋の充填孔に対して、前記充填装置
本体から延出させた吹込管を嵌挿させ、前記充填
装置内に内蔵したスクリユーフイーダーの回転お
よび圧縮空気流により粉粒体をエアレーシヨンす
るものがよく知られている。しかしこのようなエ
アレーシヨン方式のものは、空気と共に粉粒体を
包装袋等に送り込むものであるために、包装袋等
に空気抜きの工夫を必要とし、また空気抜きの際
に粉粒体も抜けてくるために周囲環境が悪くなる
という問題がある他、一般に計量の際に包装袋と
共に計量されることになる吹込管内の粉粒体の量
のバラツキが大きく、高精度の計量が得にくいな
どの問題が指摘されていた。

そこで、従来よりエアレーシヨン方式に換え
て、エアレス方式別言すればスクリユーフイーダ
ー等の機械的送り作用のみによつて、充填を可能
とする試みがなされている。

例えば、エアレーシヨン方式の充填装置におい
て圧縮空気流による粉粒体の送りを廃止する代り
に、スクリユーフイーダーの回転を高速化し、あ
るいはそのスクリユーフイーダーの先端を出来る
だけ吹込管に近接させる等の工夫である。しかし
このようにしても、極小容量、小規模の充填装置
は実現できても、処理能力が高くかつ充填速度が
速いものは得ることができず、未だこのようなエ
アレス方式の実用機は見られていない。その理由
は、充填装置の構造上、吹込管は包装袋等の充填
孔の開口径から口径が制約されていて、これに対
応する径のスクリユーフイーダーでは回転を上げ
ても能力に限界があること、また前記吹込管は包
装袋に嵌挿した状態で使用するために、計量の対
象の一つとなり、したがつて充填装置本体に対し
てはゴム筒等の可撓管を介した接続部分が不可欠
となつて、スクリユーフイーダー先端から吹込管
先端に至る管路を短かくするにも大きな制限のあ
ること、スクリユーフイーダーのみによる粉粒体
の送り力はあまり大きなものではないから、前記
した点に関連して高い充填能力を期待し難いこ
と、等々にある。

ところで、本発明者等がエアレス方式の粉粒体
の充填について様々な試みをなしたところ、粉粒
体の送り状態は、スクリユーフイーダーの径、回
転数等の力と、この粉粒体が通る管路の内周面形
状に影響されて種々に変化し、特に本発明者が見
い出した特定形状の管路を用いた場合には、吹込
管の管径よりも大径の部分からスクリユーフイー
ダーによる送りを与えても、粉粒体は閉塞現象を
生ずることなく円滑な送給が実現され、したがつ
て吹込管の管径に比べて大きな径のスクリユーフ
イーダーを使用して、大きな送り力を得ることで
効率のよい充填作業が可能となることを知見する
に至つたのである。

本発明は、前記知見に基づいてなされたもので
あり、その目的とするところは、エアレス方式の
充填を実現することで、周囲環境を汚すことのな
い充填装置を提供するところにある。また本発明
の別の目的は、高い充填能力を持つた充填装置を
提供するところにある。更にまた本発明の他の目
的は、前記したスクリユーフイーダーによる送り
力、粉粒体の流量を制御することで、一包装袋に
充填する際の充填量を精度高く行なえるようにし
た充填装置の稼動制御方法を提供するところにあ
る。

而して、かかる目的を達成するための本願発明
の特徴は、粉粒体吐出用の開口部が設けられた充
填装置本体と、この充填装置本体の一側に隣接配
置されて、前記開口部に設けられた先端先細り形
状のラツパ管、更にその先端に連結された可撓管
を介して水平連続するように設けられ、かつ先端
が概ね直筒状に開口した粉粒体包装袋への吹込管
と、該吹込管を支持しかつ前記包装袋を支えてそ
の重量を計量する計量器とを有していて、前記充
填装置本体内には、先端が前記開口に臨む定速回
転型の下段スクリユーフイーダーと、貯溜部内の
粉粒体を前記下段スクリユーフイーダーに送給す
るために配置され、かつ充填の１サイクルの途中
で高速回転から低速回転に可変される上段スクリ
ユーフイーダーとが設けられた粉粒体充填装置で
あつて、前記開口部のラツパ管は、その内面の母
線が、先細り形状の該ラツパ管軸長の２倍を長径
としかつ後端内周半径と先端内周半径の差分の２
倍を短径とする楕円の1/4円弧ないし近似曲線を
なすように設けられ、前記下段スクリユーフイー
ダーは吹込管の径よりも大きな径に設けられ、更
に前記ラツパ管先端から吹込管先端に至る管路の
内周径が、直管ないし若干先端先太り形状に設け
られていることを特徴とする粉粒体充填装置にあ
る。

以下本発明を図面に示す実施態様に基づいて説
明する。

図面第１図は、本発明を適用した充填装置の一
例の全体構成概要を示すものであり、図において
１は充填装置本体、２は粉粒体の貯溜部、３は撹
拌羽根、４は貯溜部２の下部に配設された上段ス
クリユーフイーダーであり、回転によつて粉粒体
を貯溜部側方の落し口５に送給するように機能す
る。

６は、前記上段スクリユーフイーダー４を回転
させる駆動モータであり、本例では図示しない変
速機によつて該上段スクリユーフイーダー４の回
転を高速、低速に切換えできるように設けられて
いる。なおこの回転速度の切換えの点については
後述する。

７は、前記落し口５の下方に配設された下段ス
クリユーフイーダーであり、その先端は充填装置
本体１の一側面に設けられた開口８に臨むように
設けられている。９はこの下段スクリユーフイー
ダー７を高速回転させる駆動モータである。

１０は、前記充填装置本体１に設けた開口８の
部分から延出した吹込管を含む管を示している
が、その詳細構造については後述する。なおこの
管１０には途中可撓管部分が設けられており、し
たがつて延出先端側の吹込管は、充填装置本体１
に対して上下左右方向にある程度の移動自由度を
持つようになつている。

１１は計量器であり、この上に載置された包装
袋１３をその充填物と共に計量する。またこの計
量器１１に所属する支持プレートを兼ねた前板１
２によつて前記吹込管を支持し、これを計量の対
象としている。これは、図示の如く、充填の際に
は包装袋１３と吹込管は嵌挿関係にあつて、包装
袋１３のみの計量は実際上できないからであり、
前記した吹込管と充填装置本体１との可撓管を介
して連結は、吹込管を計量の対象とすることを可
能ならしめるための構成をなしているのである。

以上の構成において、充填装置本体１内の上
段、下段スクリユーフイーダー４，７の構成、お
よびその回転制御、更に吹込管を含む管１０の構
成を除けば、他の構成、機能は従来のものと同じ
であり、要するに計量器１１上に載置された包装
袋１３に対して、貯溜部の粉粒体を延出管１０を
介して送り込み、充填終了後は包装袋を取り出し
て、次の包装袋を計量器１１の上に載置する作業
を連続的に行なうものである。

第２図は延出管１０の詳細構造を拡大して示し
たものであり、開口８に連続するように充填装置
本体１の側壁には先端先細り形状のラツパ管１４
が固定される。このラツパ管１４の内面の形状
は、その母線が、後端内周半径（Ｄ／２）と先端
内周半径（ｄ／２）の差分、すなわち（Ｄ／２）
−（ｄ／２）を短径の1/2とし（言換えれば該差分
の２倍を短径とする）、かつラツパ管の軸長Ｌを
長径の1/2とする（言換えればラツパ管の軸長Ｌ
の２倍を長径とする）楕円1/4弧をなすときに、
粉粒体の閉塞を防止し円滑な流れを得る上で好適
であり、特に長径の1/2は、後端内半径Ｄ／２の
0.7〜2.2倍短径の1/2は、先端内半径ｄ／２の1.0
〜1.8倍である場合に好ましいことを実験的に確
認した。なおこのラツパ管１４の内面形状は厳密
な意味で楕円の1/4弧と一致することが必要なも
のではなく、その近似的な曲線であつてもよく、
特にラツパ管後端部の内面形状は、母線の接線が
前記楕円の短軸に対して平行となる前の範囲で開
口８に連続することがよい。

このラツパ管１４の先端には、フランジ外周に
可撓管１６の嵌合面を持つ座１５が組付られてい
る。

一方、計量器の前板１２によつて固定支持され
た吹込管１８は、その内面形状が軸方向に直管
（径が一定）をなしており、後端には止め座１７
を介して可撓管１６の先端部が嵌合固定されてい
る。

また本例の特徴は、ラツパ管１４の先端から、
座１５、可撓管１６次いで吹込管１８によつて連
続管として構成された管路が、図示する如く若干
の段付部分をもつて先端側に向い先太り形状とさ
れていることにもある。このような管路の先太り
形状は、ラツパ管１４の内面形状と同様に実験的
な確認（好適には先端に向つて1/100程度の勾配
が望ましい）をもつて採用されたものであり、管
路の途中に突起が存在する場合にはそこで粉粒体
の流れが停滞し、また先細り形状をなす管路で
は、粉粒体の圧密等に起因して閉塞現象が生ずる
のである。なお前記管路の内面形状は、先太りで
なく管径が一定の直管の場合にも、粉粒体の種類
等によつては支障のないことが確認されている。

以上の構成をなす充填装置において、上段、下
段スクリユーフイーダー４，７を所定の回転数で
回転させると、粉粒体は閉塞等の現象を生ずるこ
となく吹込管１８の先端から吐出されることにな
り、しかも吐出流量は、従来のエアレーシヨン方
式によるものと比べて同等ないしそれ以上のもの
を得ることもできるものとなつた。したがつてエ
アレス方式の場合の前述した種々の利点を満足し
つつ、工業上生産性の高い粉粒体の充填装置を得
ることが可能となつたのである。

そして、以上述べた充填装置は、その上段スク
リユーフイーダー４と下段スクリユーフイーダー
７とを、次のように稼動制御することにより、極
めて良好な充填効率と、高精度の計量が可能とな
る利点がある。

すなわち、前述した充填装置は、上、下段スク
リユーフイーダー４，７所定の回転速度で回転さ
せることにより、粉粒体の吹込管からの吐出が可
能であるが、一般に計量を行なうこの種の装置で
は、充填の１サイクルにおいて初めのうちは大流
量の粉粒体を流して作業能率の向上を図り、他方
充填終期には流量を絞つて小出しにし、出来るだ
け正確な充填量を与えることが望まれる。

したがつてこのような思想を前記充填装置に適
用することも当然考えられるところである。しか
し、実際には、前記装置は、粉粒体の充填に際し
てエアレス方式をとつてスクリユーフイーダーの
回転による送り力のみを充填に利用しているた
め、前記下段スクリユーフイーダーの回転速度の
切換えは難かしい。実験的には、装置の容量、粉
粒体の種類等々にも影響されるが、前記下段スク
リユーフイーダー７の回転速度は通常1500rpm程
度が好ましい場合が多く、この速度切換えによる
流量可変は不安定となるからである。

そこで、本発明においては、下段スクリユーフ
イーダーは一定の連続高速回転を行なわせ、この
下段スクリユーフイーダーに対して送り込む粉粒
体の流量を可変させることで、前記吹込管先端か
らの吐出流量を制御できるようにしたのである。
これは上段スクリユーフイーダー４については、
そのスクリユーの範囲内において粉粒体を移送す
ればよいという構成上、回転速度に関する制約が
小さく、しかも回転速度の調節によつて移送する
粉粒体の流量制御も比較的容易に行なえるという
利点があるためである。

ちなみに、前記説明した充填装置において、ラ
ツパ管１４を後端内周径100mmφ、先端内周径40
mmφ、軸長80mm、可撓管１５を内周径44mmφ、軸
長45mm、吹込管１８を内周径45mmφ、軸長220mm
とし、上段スクリユーフイーダー４を充填一サイ
クルにおいて360rpmから充填終期に75rpmに切
換え、他方下段スクリユーフイーダー７を充填−
サイクル中1500rpmで回転させて、粉粒体として
小麦粉を用いて充填を行なつたところ、25Kg袋の
充填において従来のエアレーシヨン方式の装置で
は12〜14secの充填時間がかかつたものが、本例
装置では７〜9secで充填が完了した。また充填完
了後の袋重量を精密計量してバラツキを測つたと
ころ、従来装置では±60ｇ程度であつたものが、
本例装置では±30ｇ程度となり、充填能率、充填
精度のいずれの面においても、本例装置が優れて
いることが確認された。

なお、本発明は以上述べた実施態様のものに限
定されるものではなく、必要に応じて採用される
種々の変更態様を含むものであり、例えばラツパ
管から吹込管に至る管路の全部又は一部におい
て、管内周方向における粉粒体の流れを不均一化
させて圧密による閉塞を一層効果的に防止する、
具体的には、管路内面の滑面仕上げに部分的な差
をもたせるなどを施してもよい。

以上述べた如く、本発明よりなる粉粒体の充填
装置並らびにその稼動制御方法は、従来実現出来
なかつたエアレス方式の工業的規模での充填を可
能とし、その有用性は極めて多大なるものがあ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明よりなる充填装置の全体構成概
要図、第２図は吹込管を含む管路部分の拡大断面
図である。 １……充填装置本体、２……貯溜部、３……撹
拌羽根、４……上段スクリユーフイーダー、５…
…落し口、６……駆動モータ、７……下段スクリ
ユーフイーダー、８……開口、９……駆動モー
タ、１０……管（延出管）、１１……計量器、１
２……前板、１３……袋、１４……ラツパ管、１
５……座、１６……可撓管、１７……止め座、１
８……吹込管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 粉粒体吐出用の開口部が設けられた充填装置
   本体と、この充填装置本体の一側に隣接配置され
   て、前記開口部に設けられた先端先細り形状のラ
   ツパ管、更にその先端に連結された可撓管を介し
   て水平連続するように設けられ、かつ先端が概ね
   直筒状に開口した粉粒体包装袋への吹込管と、該
   吹込管を支持しかつ前記包装袋を支えてその重量
   を計量する計量器とを有していて、前記充填装置
   本体内には、先端が前記開口に臨む定速回転型の
   下段スクリユーフイーダーと、貯溜部内の粉粒体
   を前記下段スクリユーフイーダーに送給するため
   に配置され、かつ充填の１サイクルの途中で高速
   回転から低速回転に可変される上段スクリユーフ
   イーダーとが設けられた粉粒体充填装置であつ
   て、前記開口部のラツパ管は、その内面の母線
   が、先細り形状の該ラツパ管軸長の２倍を長径と
   しかつ後端内周半径と先端内周半径の差分の２倍
   を短径とする楕円の1/4円弧ないしその近似曲線
   をなすように設けられ、前記下段スクリユーフイ
   ーダーは吹込管の径よりも大きな径に設けられ、
   更に前記ラツパ管先端から吹込管先端に至る管路
   の内周径が、直管ないし若干先端先太りの形状に
   設けられていることを特徴とする粉粒体充填装
   置。 ２ 特許請求の範囲第１項において、ラツパ管先
   端から吹込管先端に至る管路の内周径が、略1/10
   ０の先太り勾配に設けられていることを特徴とす
   る粉粒体充填装置。