JP4767452B2 - セラミックグリーンシート製造用工程剥離紙及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミック積層コンデンサー用で使用されるセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙(キャスティングシート)及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の軽薄短小化傾向の波に乗って、誘電体セラミックス(チタン酸バリウムなど)薄膜と内部電極を交互に積層させてチップ部品化された積層セラミックコンデンサが、広く使用されている。このセラミック製品の製法としては、ドクターブレード法によるグリーンシート(焼結前の生シート)を形成するグリーンシート法、粉末プレス法があるが、グリーンシート法が一般的である。
【0003】
ドクターブレード法によるグリーンシートの製造は、セラミックス粉末、有機バインダー、可塑剤、溶剤からなるスラリーをドクターブレードで一定の厚みにキャリアフィルム上にかき取り、溶剤を乾燥させて、固化、キャリアフィルムから分離してグリーンシートを巻取るというものである。
【0004】
このグリーンシート成形法の特徴は、▲1▼ドクターブレードの設定により、一定の厚さが容易に得られる、▲2▼グリーンシートの取扱い、加工が容易である、▲3▼積層することが可能である、▲4▼プレス成形法に比較し、グリーンシートの充填密度が高い、などの長所があるが、▲1▼広い床面積をもつ形成装置が必要、▲2▼有機溶剤を使用すること、▲3▼キャリアフィルムの反対面の平滑化が難しいなどの短所がある。
【0005】
一般にキャスティングシートとしては、PETフィルムからなる剥離フィルムが使用されており、フィルムの厚さはドクターブレードの巾に対応して、25μmから188μmにわたる。剥離剤としてはシリコーンが使用されている。
【0006】
ドクターブレード法(有機溶剤スラリー)によるグリーンシート製造用工程剥離フィルムに求められる品質としては、▲1▼フィルムの厚さが均一であること、▲2▼適切なレベルの剥離性能をもち、繰返し使用可能なこと、▲3▼セラミックスラリー塗工時にはじき、塗りムラのないこと、▲4▼剥離性能の均一性(シリコーンの塗工ムラや筋のないこと)があること、▲5▼セラミックは溶剤系スラリーとなっているので、剥離処理面は耐溶剤性をもつこと、▲6▼表面平滑性のよいこと、▲7▼熱収縮しないこと、▲8▼異物、紙粉、塵など付着していないこと、▲9▼静電気を帯びていないこと等の特性があげられる。
【0007】
従来、積層セラミックコンデンサの製造工程には上記の剥離フィルムが使用されているが、コスト、リサイクル性の点から紙べースへ代替えの要望がある。そこで剥離フィルム並の表面平滑性、セラミックスラリーの塗工均一性、乾燥後のグリーンシートの易剥離性、寸法安定性、耐溶剤性(トルエンアルコール性)という要求品質を満たした工程紙の紙べース化の検討が急がれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、現在基材として使用されているPETやOPPべースの工程剥離フィルムを、紙べース化したことを特徴とするセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することにある。特に基材を紙ベース化した後においても、▲1▼工程剥離紙の厚さが均一であり、▲2▼適切なレベルの剥離性能をもち、繰返し使用可能であり、▲3▼セラミックスラリー塗工時にはじき、塗りムラがなく、▲4▼剥離性能が均一であり、▲5▼溶剤系セラミックスラリーであっても剥離処理面は耐溶剤性があり、▲6▼表面平滑性がよく、▲7▼異物、紙粉、塵など付着しておらず、▲8▼静電気を帯びていない等の必要特性を有するセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することにある。
【0009】
本発明の第二の目的は、溶剤系セラミックスラリーが、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、アクリルバインダー、トルエン及びエタノールを含有するものである場合に適したセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することにある。
【0010】
本発明の第三の目的は、無溶剤型シリコーンの塗布量を規定することで、セラミック塗工性やセラミック剥離性が安定して得られるセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することにある。
【0011】
本発明の第四の目的は、セラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の表面のJISB−0601による中心線平均粗さと最大粗さを規定することで、グリーンシート表面上の転写による表面ムラを抑制したセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することにある。
【0012】
本発明の第五の目的は、セラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の表面平滑度を規定することにより、グリーンシート表面の平滑性を一定以上に保つことが可能なセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することにある。
【0013】
本発明の第六の目的は、支持体を、ECF(無塩素漂白)パルプとすることで、環境に対して塩素負荷の少ないセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することにある。
【0014】
本発明の第七の目的は、本発明に係るセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の最適な製造方法を提供するものである。
【0015】
本発明の第八の目的は、特に、表面平滑度に優れ及び表面粗さが小さいセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙は、溶剤系セラミックスラリーを塗工後、硬化させて、セラミック積層コンデンサー用のセラミックグリーンシートを形成するための工程剥離紙であって、該工程剥離紙は該工程剥離紙の支持体上にキャスト塗工層を形成し、該キャスト塗工層は炭酸カルシウムとナトリウム塩のいずれも含有せず、かつ該キャスト塗工層は該キャスト塗工層の表面に無溶剤型シリコーンだけを乾燥塗布量として0.1g/m 2 以上塗布形成し、該工程用剥離紙の表面のJISB−0601による中心線平均粗さが1.0μm以下且つ最大粗さが10μm以下であり、かつ、王研式平滑度によって規定される該工程用剥離紙の表面平滑度が1500秒以上であることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙では、前記溶剤系セラミックスラリーは、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、アクリルバインダー、トルエン及びエタノールを含有したことが好ましい。
【0021】
本発明に係るセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙では、前記支持体は、ECF(無塩素漂白)パルプを含有することが好ましい。
【0022】
本発明に係るセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の製造方法は、溶剤系セラミックスラリーを塗工後、硬化させて、セラミック積層コンデンサー用のセラミックグリーンシートを形成するための工程剥離紙の製造方法であって、該工程剥離紙の支持体上に炭酸カルシウムとナトリウム塩のいずれも含有しないキャスト用塗工液を塗工して塗工層を形成した後、該塗工層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させてキャスト塗工紙を形成した後、該キャスト塗工紙の表面に無溶剤型シリコーンだけを乾燥塗布量として0.1g/m 2 以上塗布したことを特徴とする。
【0023】
本発明に係るセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の製造方法では、本発明に係るセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の製造方法において、前記工程剥離紙の支持体上にキャスト用塗工液を塗工して塗工層を形成したのち、直ちに加熱した鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させるか、或いはゲル化処理した後、前記該塗工層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させるか、或いは再湿潤処理した後、前記塗工層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させてキャスト塗工紙を形成したことが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、実施の形態及び実施例を挙げながら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態、実施例に限定して解釈されない。本発明のセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を製造するための使用材料及び製造条件について説明する。
【0025】
本発明に用いられるキャスト塗工紙としては、キャスト面の中心線平均粗さが1.0μm以下であり、且つ最大粗さが10μm以下であるキャスト塗工紙が使用される。このようなキャスト塗工紙を用いることで、無溶剤型シリコーンを塗布形成した後のグリーンシート製造用工程剥離紙の表面粗さも中心線平均粗さが1.0μm以下であり、且つ最大粗さが10μm以下とすることが可能となる。
【0026】
キャスト塗工層としては、製品セラミックに悪影響を及ぼす炭酸カルシウム、ナトリウム塩(塩分等)をいずれも含まないものが好ましい。キャスト塗工層に使用される顔料としては、炭酸カルシウム以外のカオリン、サチンホワイト、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機顔料、及びプラスチックピグメントなどが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。
【0027】
キャスト塗工層に使用されるバインダーとしては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導物、スチレン・ブタジエン共重合物、メチル・メタクリレートブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン・酢酸ビニル共重合物等のビニル系重合体ラテックス、ポリエステル、ポリウレタン等の一般に塗工紙用として用いられている従来公知のバインダーが挙げられ、これらを単独、あるいは併用して用いる事ができる。
【0028】
顔料とバインダーの配合比率は、顔料100重量部に対して10〜100重量部の範囲が好ましい。
【0029】
キャスト塗工層の塗工量は2〜30g/m2であり、5〜20g/m2であることがより好ましい。
【0030】
前記キャスト塗工層に用いる塗工液には、必要に応じて分散剤、湿潤剤、離型剤、耐水化剤、消泡剤、PH調整剤、潤滑剤、保水剤、増粘剤、界面活性剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料、流動改良剤、帯電防止剤などを適宜選定して添加することができる。
【0031】
キャスト塗工層を形成する方法としては、前記の塗工液を乾燥塗工量で2〜30g/m2になるように塗工し、該塗工層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラム面に圧接、乾燥することにより強光沢で平らな面を発現させる方法(キャスト方式)を用いる。用いられるキャスト方式としては、ウエット法、リウェット法、ゲル化法等の公知の方法を適宜使用すればよい。グリーンシート製造用工程剥離紙の表面平滑度を上げるためには、特にゲル化法が好ましい。
【0032】
キャスト塗工層を得る為の塗工方式は特に限定されるものではなく、一般の塗工方式、例えばブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、リップコーター等の公知公用の塗工方式によりオンマシンあるいはオフマシンコーターで片面または両面塗工される。
【0033】
支持体としては、塗工支持体としての塗工適性を備えたものでpH6〜9の中性領域で抄紙された中性の上質紙や中質紙等が好ましい。また原料パルプは塩素含有量の少ないECF(無塩素漂白)パルプの使用が好ましい。
【0034】
このようにして得られたキャスト塗工紙のキャスト面に無溶剤型シリコーンを塗布することによって、セラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を得ることができる。
【0035】
無溶剤型剥離紙用シリコーンとしては硬化形式により付加反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型などがあるが、特に限定されるものではない。
【0036】
シリコーンを塗布する方法としては、オフセットグラビアコーター、多段ロールコーターなどで塗工が行われる。塗工量は特に限定されるものではないが0.1〜1.0g/m2であることが好ましい。
【0037】
セラミックグリーンシート製造用工程剥離紙は、表面のJISB−0601による中心線平均粗さが1.0μm以下且つ最大粗さが10μm以下であることが好ましい。中心線平均粗さが1.0μmを超え且つ最大粗さが10μmを超えると、得られたセラミックグリーンシートの表面に、突起等の粗さに基づく転写ムラが多くなるからである。
【0038】
セラミックグリーンシート製造用工程剥離紙は、王研式平滑度によって規定される表面平滑度が1500秒以上であることが好ましい。1500秒未満となると、得られたセラミックグリーンシートの表面平坦性が悪化し、製品特性にムラが生じるからである。
【0039】
以上、本発明のセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の提供により、フィルム並の表面平滑性、溶剤系セラミックスラリーの塗工均一性、乾燥後のセラミックグリーンシートの剥離性が良好である工程剥離紙が実用化できることになった。
【0040】
【実施例】
以下、本発明のセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の具体的な構成を実施例に基づいて説明する。本発明はこれら実施例によって制限を受けるものではない。なお特に断らない限り例中の配合%、添加%及び重量は固形分換算での重量%を示す。また全ての実施例比較例について抄造した紙は、JIS−P8111に準じて前処理を行った後、紙質試験を行った。
【0041】
(実施例1)
カオリン100重量部、SBR系ラテックス17重量部、カゼイン9重量部、離型剤としてロート油1.0重量部を加えて、十分に攪拌混合して46重量%のキャスト用塗工液を得た。この塗工液を、ECFパルプを使用した坪量60g/m2の中性紙の片面に、乾燥塗布量が20g/m2となるように塗工後、ただちに表面温度が80℃の鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させ、キャスト塗工紙を得た。上記キャスト塗工紙の片面に無溶剤型シリコーン(信越シリコーン社製:商品名KNS-320A)を乾燥塗布量が0.3g/m2となるように塗工し、グリーンシート製造用工程剥離紙を得た。
【0042】
(実施例2)
実施例1においてキャスト用塗工液の乾燥塗布量を10g/m2となるようにした以外は実施例1と同じ方法でグリーンシート製造用工程剥離紙を得た。
【0043】
(実施例3)
実施例1において無溶剤型シリコーンを乾燥塗布量が0.6g/m2となるようにした以外は実施例1と同じ方法でグリーンシート製造用工程剥離紙を得た。
【0044】
(実施例4)
実施例1においてカオリン100重量部、SBR系ラテックス17重量部、カゼイン9重量部、離型剤としてロート油1.0重量部を加えて、十分に攪拌混合した46重量%液を坪量60g/m2の中性紙の片面に、乾燥塗布量が20g/m2となるように塗工後に、ゲル化剤としてギ酸カルシウム10%水溶液でゲル化処理し、塗工層が湿潤状態にある間に表面温度が100℃の鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させ、キャスト塗工紙を得た以外は実施例1と同じ方法でグリーンシート製造用工程剥離紙を得た。
【0045】
(実施例5)
実施例1においてカオリン100重量部、SBR系ラテックス17重量部、カゼイン9重量部、離型剤としてロート油1.0重量部を加えて、十分に攪拌混合した46重量%液を坪量60g/m2の中性紙の片面に、乾燥塗布量が20g/m2となるように塗工後に、再湿潤液としてギ酸カルシウム3%水溶液で再湿潤処理し、塗工層が湿潤状態にある間に表面温度が100℃の鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させ、キャスト塗工紙を得た以外は実施例1と同じ方法でグリーンシート製造用工程剥離紙を得た。
【0046】
(比較例1)
実施例1において無溶剤型シリコーンの代わりに水性エマルジョン型シリコーン(信越シリコーン社製:商品名 X−52−195)を用いた以外は実施例1と同じ方法で グリーンシート製造用工程剥離紙を得た。
【0047】
(比較例2)
実施例1においてキャスト塗工紙の代わりに坪量60g/m2の中性紙を用いた以外は実施例1と同じ方法でグリーンシート製造用工程剥離紙を得た。
【0048】
(比較例3)
比較例2において坪量60g/m2の中性紙の片面にポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製:商品名 ゴーセナールT350)5重量%溶液を、乾燥塗布量が1g/m2となるようにし、ポリビニルアルコール塗布面に無溶剤型シリコーン(信越シリコーン社製:商品名 KNS-320A)を塗布した以外は比較例2と同じ方法でグリーンシート製造用工程剥離紙を得た。
【0049】
(比較例4)
比較例3においてポリビニルアルコールの乾燥塗布量が3g/m2となるようにした以外は比較例3と同じ方法でグリーンシート製造用工程剥離紙を得た。
【0050】
(比較例5)
比較例2において無溶剤型シリコーンの代わりに水性エマルジョン型シリコーン(信越シリコーン社製:商品名 X−52−195)を用いた以外は比較例2と同じ方法でグリーンシート製造用工程剥離紙を得た。
【0051】
実施例・比較例について、グリーンシート製造用工程剥離紙の製造条件を表1にまとめた。
【表1】
【0052】
キャスト塗工紙及びグリーンシート製造用工程剥離紙について、次のとおりの評価を行った。
(表面平滑性)
グリーンシート製造用工程剥離紙の表面平滑性は、王研式平滑度を求めて評価を行った。これは、セラミックグリーンシートの表面平滑性に影響する。1500秒以上であることが好ましい。
(表面粗さ)
グリーンシート製造用工程剥離紙の表面粗さは、JISB-0601に準拠して評価を行った。これは、グリーンシートの厚さが5〜10μmと薄い場合、数μmの突起でも品質トラブルに影響する。
(セラミック塗工性)
セラミック塗工性は、塗工面のカスレ、ハジキの有無を目視で評価した。○は良好、×は不良として表記した。セラミックスラリーとして、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、アクリルバインダー、トルエン及びエタノールを含有する溶剤系セラミックスラリーを用いた。
(セラミック剥離性)
セラミックの剥離性は、塗工、乾燥後、工程紙からのセラミック膜の剥がれ具合を評価した。○は良好、×は不良として表記した。
【0053】
評価結果を表2に示した。
【表2】
【0054】
実施例1乃至5のキャスト塗工紙は、グリーンシート製造用工程剥離紙の表面の中心線平均粗さが1.0μm以下であり、且つ最大粗さが10μm以下である条件を満たし、グリーンシート製造用工程剥離紙の表面平滑性とセラミック塗工性とセラミック剥離性が共に優れていた。また、セラミックスラリーを塗布した場合、寸法安定性に優れ、耐溶剤性(トルエンアルコール性)を十分有し、セラミックグリーンシートは、表面平滑性を有していた。
【0055】
キャスト方式としては、実施例1乃至3のウエット法のみならず、実施例4、5によってゲル化法、リウェット法も有効であることがわかった。特にゲル化法を用いた実施例4は、表面平滑度に優れ、表面粗さが小さい。
【0056】
それに対して、比較例1は、実施例1での無溶剤型シリコーンの代わりに、水性エマルジョンシリコーンを塗布したものである。グリーンシート製造用工程剥離紙は、表面の中心線平均粗さが1.0μm以下であり、且つ最大粗さが10μm以下である条件を満たしていたものの、平面平滑性がやや悪く、セラミック塗工性とセラミック剥離性が共に不良であった。
【0057】
比較例2は、塗工液を塗工せずに、無溶剤型シリコーンを塗布したものである。したがって、グリーンシート製造用工程剥離紙の表面は、中心線平均粗さが1.0μm以下であり、且つ最大粗さが10μm以下である条件を満たさず、グリーンシート製造用工程剥離紙は、平面平滑性、セラミック塗工性とセラミック剥離性が不良であった。したがって、無溶剤型シリコーンを塗布のみでは足らず、前記条件を満たすキャスト塗工層の形成が必要である。
【0058】
比較例3及び4は、キャスト用塗工液の代わりにポリビニルアルコールを塗布した後、無溶剤型シリコーンを塗布したものである。ポリビニルアルコールを塗布した紙の表面は、中心線平均粗さが1.0μm以下であり、且つ最大粗さが10μm以下である条件を満たさず、セラミックグリーンシート製造用工程剥離紙は平面平滑性、セラミック塗工性、セラミック剥離性のいずれか1つ以上が不良であった。
【0059】
比較例5は、塗工液を塗工せずに、水性エマルジョンシリコーンを塗布したものである。水性エマルジョンシリコーンを塗布した紙の表面は、中心線平均粗さが1.0μm以下であり、且つ最大粗さが10μm以下である条件を満たさず、セラミックグリーンシート製造用工程剥離紙は、平面平滑性、セラミック塗工性、セラミック剥離性が不良であった。
【0060】
実施例1乃至5のセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙は、▲1▼厚さが均一であり、▲2▼適切なレベルの剥離性能をもち、繰返し使用可能であり、▲3▼セラミックスラリー塗工時にはじき、塗りムラがなく、▲4▼剥離性能が均一であり、▲5▼セラミックは溶剤系スラリーとなっているので、剥離処理面は耐溶剤性があり、▲6▼表面平滑性がよく、▲7▼異物、紙粉、塵など付着しておらず、▲8▼静電気を帯びておらず、▲1▼〜▲8▼の特徴を有する工程剥離紙が実用化できることになった。
【0061】
【発明の効果】
請求項1記載の発明により、現在セラミックグリーンシート製造用工程基材として使用されているPETやOPPべースの工程剥離フィルムを、紙べース化することが可能となった。また、無溶剤型シリコーンの塗布量を規定することで、セラミック塗工性やセラミック剥離性が安定して得られるセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することができた。セラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の表面のJISB−0601による中心線平均粗さと最大粗さを規定することで、グリーンシート表面上の転写による表面ムラを抑制したセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することができた。セラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の表面平滑度を規定することで、グリーンシート表面の平滑性を一定以上に保つことが可能なセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することができた。
【0062】
請求項2記載の発明により、溶剤系セラミックスラリーが、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、アクリルバインダー、トルエン及びエタノールを含有するものである場合に適したセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することができた。
【0066】
請求項3記載の発明により、支持体をECFパルプとすることで、環境に対して負荷の少ないセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙を提供することができた。
【0067】
請求項4記載の発明により、本発明に係るセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の最適な製造方法を提供することができた。
【0068】
請求項5記載の発明により、特に、表面平滑度に優れ及び表面粗さが小さいセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の製造方法を提供することができた。
Claims (5)
- 溶剤系セラミックスラリーを塗工後、硬化させて、セラミック積層コンデンサー用のセラミックグリーンシートを形成するための工程剥離紙であって、該工程剥離紙は該工程剥離紙の支持体上にキャスト塗工層を形成し、該キャスト塗工層は炭酸カルシウムとナトリウム塩のいずれも含有せず、かつ該キャスト塗工層は該キャスト塗工層の表面に無溶剤型シリコーンだけを乾燥塗布量として0.1g/m 2 以上塗布形成し、該工程用剥離紙の表面のJISB−0601による中心線平均粗さが1.0μm以下且つ最大粗さが10μm以下であり、かつ、王研式平滑度によって規定される該工程用剥離紙の表面平滑度が1500秒以上であることを特徴とするセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙。
- 前記溶剤系セラミックスラリーは、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、アクリルバインダー、トルエン及びエタノールを含有したことを特徴とする請求項1記載のセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙。
- 前記支持体は、ECF(無塩素漂白)パルプを含有することを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙。
- 溶剤系セラミックスラリーを塗工後、硬化させて、セラミック積層コンデンサー用のセラミックグリーンシートを形成するための工程剥離紙の製造方法であって、該工程剥離紙の支持体上に炭酸カルシウムとナトリウム塩のいずれも含有しないキャスト用塗工液を塗工して塗工層を形成した後、該塗工層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させてキャスト塗工紙を形成した後、該キャスト塗工紙の表面に無溶剤型シリコーンだけを乾燥塗布量として0.1g/m 2 以上塗布したことを特徴とするセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の製造方法。
- 請求項4記載のセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の製造方法において、前記工程剥離紙の支持体上にキャスト用塗工液を塗工して塗工層を形成したのち、直ちに加熱した鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させるか、或いはゲル化処理した後、前記該塗工層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させるか、或いは再湿潤処理した後、前記塗工層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ドラム面に圧接、乾燥後、離型させてキャスト塗工紙を形成したことを特徴とする請求項4記載のセラミックグリーンシート製造用工程剥離紙の製造方法。
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