JP5371464B2 - 工程剥離紙 - Google Patents
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Description
基紙の材料としては特に限定されず、通常製紙用途として用いる原料パルプを使用することができる。例えば、未晒針葉樹パルプ(NUKP)、未晒広葉樹パルプ(LUKP)、晒針葉樹パルプ(NBKP)、晒広葉樹パルプ(LBKP)等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ等を使用することができる。また、古紙からなる古紙パルプを使用することも可能であり、例えば、雑誌古紙、チラシ古紙、オフィス古紙等から製造される離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白古紙パルプ等があげられる。本発明では、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
(顔料)
本発明においては、基紙上に剥離層を設ける前に、目止め層を設ける必要がある。本発明では、目止め層として、顔料及び接着剤を主成分とする顔料塗工層を使用する。顔料塗工層は、従来から使用されているラミネート層と比べて再資源化が容易であるとともに、基紙の平坦性を向上させる効果が大きく、粘着性フィルムとの均一な密着性及び剥離性を達成することができる。一方、目止め層が水溶性高分子からなるクリア塗工層では、基紙の平坦性を向上させる効果に劣り、均一な密着性及び剥離性を達成することができず、また、非水溶性樹脂層やラミネート層では、使用済み工程剥離紙を水中で離解しにくく、紙原料として再生しにくいため好ましくない。
目止め層に用いることができる接着剤としては、一般的に製紙用途で使用できる接着剤を使用することができる。例えばカゼイン、大豆蛋白等の蛋白質類;メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体ラテックスもしくは共重合体ラテックス等のアクリル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性又は非溶解性のラテックス等のラテックス類;ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂系接着剤;酸化澱粉、陽性化澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等の、通常塗工紙に用いられる接着剤が例示され、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して併用することができる。
ラテックスを100℃で20時間真空乾燥を行い、フィルムを作成した。上記乾燥フィルムを示差走査熱量計(デュポン社製)を用いて、昇温速度20℃/分で測定した。
ラテックス約0.3gをスライドグラス上に薄く広げ、50℃の乾燥機でフィルムとなるまで乾燥した。ラテックスフィルムを約50mlのトルエン中に一昼夜浸せきし、ガラスフィルターでろ過後、ろ液を105℃の乾燥機で乾燥して、トルエン可溶分の重量を測定した。ここで得られたトルエン可溶分の重量から、次式によりゲル含有量を算出した。
重量平均粒子径
ラテックスを0.05〜0.2%濃度に希釈した試料を調製し、波長525nmの吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線により求めた。
目止め層を設ける方法は、従来塗工紙用途で使用されてきた方法を用いることができる。つまり、サイズプレス、フィルム転写型ロールコーター(ゲートロールコーターやロッドメタリングサイズプレス)、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーターなどが挙げられる。
目止め層の上には、水性シリコーンを主成分とする剥離層を設ける。
工程剥離紙に市販のウレタンフィルムを乗せ、重さ4kgの金属製の円筒形ローラーを一往復させて密着させる。ウレタンフィルムの端を剥がし、そのままウレタンフィルムを持ち上げた際の工程剥離紙との密着性を評価した。
本発明の工程剥離紙は、各種の工業用剥離紙に使用でき、特にウレタンフィルム研磨布の支持・搬送用の工程剥離紙として好ましく用いられる。ウレタンフィルム研磨布とは、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、ハードディスク用基板、シリコンウエハ、液晶ガラス等、高精度に平坦性が要求される材料の平坦加工用の研磨布の材料として使用され、研磨布の表面に多孔質構造を有するポリウレタンを設けたものである。特に、本発明の工程剥離紙はウレタンフィルム研磨布と積層して巻き取られた状態で、ウレタンフィルム研磨布を支持しつつ搬送するために好適に使用することができる。本発明の工程剥離紙はウレタンフィルム研磨布との巻き取り時の作業性に優れており、また、ウレタンフィルム研磨布と十分な密着性を有していながら、剥離する際には容易に剥離することができるため、ウレタンフィルム研磨布の支持・搬送用の工程剥離紙として極めて好適に使用することができる。
〔基紙〕
パルプ原料として広葉樹晒クラフトパルプを100%使用し、フリーネスを370mlに調成した。絶乾パルプ1tに対して、カチオン化澱粉を5kg、サイズ剤0.2kgをそれぞれ有効成分基準で内添し、内添填料として軽質炭酸カルシウムを灰分10%となるよう内添した。その後、長網抄紙機で抄造・乾燥し、表に記載の坪量の基紙を得た。抄紙機はツインワイヤー(ハイブリッドフォーマー)からなるワイヤーパート、オープンドローのないストレートスルー型のプレスパート、ダブルデッキ方式のドライヤーパートを用いて抄紙した。
その後、表に記載の配合量のクレー及び炭酸カルシウムと、顔料100質量部に対して10質量部のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(品番:T−2730P、JSR社製、ガラス転移温度10℃、重量平均粒子径110nm、ゲル含有量75質量%)を配合した目止め層を、ロッドメタリングサイズプレスコーターで、片面あたり8.0g/m2の塗工量となるよう、原紙の両面に塗工して製造した。用いた顔料は次のとおり。
クレー:カオリンクレー(品番:カピムNP、イメリス社製)
炭酸カルシウム:重質炭酸カルシウム(品番:エスカロン#90、三共製粉(株)製)
シリカ:合成非晶質シリカ(型番:ニップジェルAZ−204、東ソー・シリカ社製)
表に示す種類及び割合で、シリコーン及びポリビニルアルコールを常温にて混合撹拌して剥離層用の塗工液を得た。用いた薬品は以下のとおりである。表に記載のポリビニルアルコールの配合比は、乾燥重量基準でシリコーン100質量部に対する割合である。なお、シリコーンの硬化触媒として市販の白金触媒を3質量部使用した。比較例7はポリビニルアルコールの代わりにリン酸エステル化澱粉を用いた。
水性:水性シリコーン(品番:KM−3951、信越シリコーン(株)製)
溶剤:溶剤系シリコーン(品番:KS−3601、信越シリコーン(株)製)
無溶剤:無溶剤系シリコーン(品番:KNS−316、信越シリコーン(株)製)
・ポリビニルアルコール(全てクラレ(株)社製)
品番:L−8、ケン化度:69.5〜72.5。重合度400に調整した。
品番:PVA−505、ケン化度:72.5〜74.5、重合度500。
品番:L−9−78、ケン化度:76.5〜79.0。重合度500に調整した。
品番:PVA−405、ケン化度:80.0〜83.0、重合度500。
品番:PVA−205、ケン化度:86.5〜89.0、重合度500。
品番:PVA−706、ケン化度:90.5〜92.5、重合度600。
品番:PVA−110、ケン化度:98.0〜99.0、重合度1000。
・リン酸(リン酸エステル化澱粉、品番:MS4600、日本食品加工社製)
上記塗工液を、前述した目止め層表面にエアーナイフコーターで、片面あたり乾燥質量が1.0g/m2となるように塗工し、熱風乾燥機で乾燥させた。
以上のようにして製造した工程剥離紙について、以下のとおり測定・評価を行った。結果は、表1に示した。
50mm×150mmに切り取った工程剥離紙の剥離層側に、25mm×150mmのウレタンフィルム(AQUA社製、型番:ウレタン防犯フィルムKG106、粘着面であるポリウレタン層を用いた)を乗せ、重さ4kgの金属製の円筒形ローラーを一往復させて密着させる。ウレタンフィルムの端を剥がし、そのままウレタンフィルムを持ち上げた際の工程剥離紙との密着性を、次のとおり評価した。
◎:工程剥離紙がウレタンフィルムとともに持ち上がり、剥離がない。
○:工程剥離紙がウレタンフィルムとともに持ち上がるが、一部剥離が発生する。
△:工程剥離紙がウレタンフィルムとともに持ち上がるが、半分以上が剥離する。
×:工程剥離紙がウレタンフィルムとともに持ち上がらず、剥離する。
密着性試験で使用したウレタンフィルムを工程剥離紙から剥がし、工程剥離紙に付着したウレタンフィルムの有無を、次のとおり評価した。
◎:工程剥離紙にウレタンフィルムの付着がなく、綺麗に剥離できる。
○:工程剥離紙にウレタンフィルムが僅かに付着するが、容易に剥離できる。
△:工程剥離紙にウレタンフィルムが一部付着し、容易に剥離できないが実使用可能。
×:工程剥離紙にウレタンフィルムが付着し、剥離が難しく、実使用不可能。
××:工程剥離紙にウレタンフィルムが多く付着し、剥離が特に難しく実使用不可能。
目止め層表品にワイヤーバーNo.6で、表に記載の剥離剤用塗工液を濃度12.5%で塗工した直後の、塗工面積10cm2あたりに含まれる弾き(未塗工領域)の個数を、目視で以下のとおり評価した。
◎:弾きがなく、均一な塗工層が得られた。
○:弾きが1〜2個発生したが、実使用可能。
△:弾きが3〜5個発生したが、実使用可能。
×:弾きが6個以上発生し、実使用不可能。
JISP8125:2000「紙及び板紙−こわさ試験方法−テーパーこわさ試験機法」に準じて、紙流れ方向(縦方向)のテーパー剛度を測定した。
工程剥離紙を水中に沈め、常温で30分間、100RPMで攪拌した後のパルプ原料の遊離性を目視で次のとおり評価した。
○:ほぼ全てのパルプが遊離し、リサイクル適性が良い。
×:ラミネート等に付着した一部のパルプが遊離せず、リサイクル適性が悪い。
Claims (3)
- ウレタンフィルム研磨布の粘着性フィルムの支持・搬送用の工程剥離紙であって、
基紙と、前記基紙上に設けられた目止め層と、前記目止め層上に設けられた剥離層とからなり、
前記目止め層が顔料及び接着剤を主成分とする塗工層であり、
前記顔料はクレーを顔料全体の70〜100質量%含有し、かつ前記クレーのうち面積粒子径の分布において、粒子径0.5〜2.0μmの粒子の割合が、クレー全体の50%以上であり、
前記剥離層が、水性シリコーン及びケン化度が72.5〜92.5mol%であるポリビニルアルコールを含有することを特徴とする工程剥離紙。 - 前記ポリビニルアルコールのケン化度が76.5〜89.0mol%であることを特徴とする、請求項1に記載の工程剥離紙。
- 前記ポリビニルアルコールの含有割合が、乾燥質量で前記水性シリコーン100質量部に対して、3〜30質量部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の工程剥離紙。
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