JP4767206B2 - 窒素含有炭素多孔体およびその製法 - Google Patents
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しかしながら、従来の技術で得られていた窒素含有炭素多孔体は、窒素含有量が少ない。または窒素含有量を多くしようとして、焼成温度を下げると、窒素含有量が多くても水素含有量が多い窒素含有炭素多孔体しか得られず(特許文献3や本発明者らの出願など(国際出願番号PCT/JP2006/318842など))、こうした材料は燃料電池の電子デバイスでは性能が低いことが指摘されている(特許文献3)。
こうしたことから比表面積が大きく、窒素原子の比率が高く、水素原子の比率が低い窒素含有炭素多孔体が望まれている。
こうした方法は、CVD等の大型な装置を必要としたり、シリカを溶出させるためにフッ酸を使用したりするなど、製造工程が複雑であり、また多くの資源やエネルギーを必要とする、という問題がある。
こうしたことから比表面積が大きく、窒素原子の比率が高く、水素原子の比率が低い窒素含有炭素多孔体、および省資源、省エネルギー、工程数が少ない、安価な窒素含有炭素多孔体の製造方法が望まれている。
すなわち、本発明は、
[1]窒素含有炭素多孔体の製造方法において、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理することを特徴とする窒素含有炭素多孔体の製造方法、
[2]アズルミン酸を酸素含有ガス存在下で加熱処理した後に、不活性ガス雰囲気中で加熱処理することを特徴とする請求項1記載の窒素含有炭素多孔体の製造方法。
[3]上記[1]又は[2]に記載の方法で製造された窒素含有炭素多孔体、
[4]下記の条件(1)及び(2)を満たす窒素含有炭素多孔体、
(1)炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)との下記の関係式(I)を満たすこと、
(N/C)>0.04+0.25×(H/C) (I)
(2)比表面積が300m2/g以上、
に関する。
本発明の窒素含有炭素多孔体は、比表面積が大きく、窒素原子の比率が高く、水素原子の比率が低い窒素含有炭素多孔体である。
また本発明は、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理して得られる窒素含有炭素多孔体である。
アズルミン酸とは、主として青酸を重合して得られる重合物の総称である。
次に、主として青酸を重合して得られるアズルミン酸を、不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理して本発明の窒素含有炭素多孔体を製造する方法について説明する。
もちろん青化ソーダ等を用いる実験室的な製造方法であってもかまわないが、上記の工業的に製造される青酸を用いるのが好ましい。
またアズルミン酸は、プロピレン等のアンモ酸化工程で副生する青酸の精製工程から回収することによっても製造することができる。
実際には、これらの構造式をベースにして、重合体構造中の、六員環中窒素元素の一部が炭素元素に置換されていたり、逆に一部の六員環中炭素元素の一部が窒素元素に置換されていたり、また上記構造式中には官能基が記載されている。しかし、これらアミノ基、イミノ基、ニトリル基、水酸基、カルボニル基は、お互いに相互置換されていたり、外れていたり、またカルボン酸基、ニトロ基、ニトロソ基、N−オキシド基、アルキル基等、公知の官能基に変換されていると思われる。
またリニアな構造、ラダー構造、ラダー間で縮合した構造に加えて、これらの構造同士で縮合したり、結合を起こした構造があることも推定される。
150℃未満では、窒素原子の含有率が高く、水素原子の含有率が低い、という効果があまり大きくない。700℃以上ではアズルミン酸の燃焼が生じて、回収率が低下する。このときに空気を不活性ガスを添加して酸素濃度を希釈しても良いし、空気に酸素ガスを添加して酸素濃度を高めてもよい。
加熱処理時間としては10分〜100時間、好ましくは30分〜10時間、より好ましくは1時間〜5時間の範囲である。加熱処理の圧力は、0.01〜5MPa、好ましくは0.05〜1MPa、より好ましくは0.08〜0.3MPa、特に好ましくは、0.09〜0.15MPaである。
本発明における賦活とは、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に得られる炭化物(以下、アズルミン酸炭化物、と呼ぶ)を多孔質化するための処理であって、アズルミン酸炭化物の比表面積を増大させる処理である。例えば、ガス賦活処理、薬品賦活処理、などを挙げることができる。
時間としては10秒〜100時間、好ましくは5分〜10時間、より好ましくは15分〜5時間の範囲である。
圧力は通常常圧であるが、加圧または減圧で行うことも可能である。
賦活炉としては、ロータリーキルン、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉、マッフル炉等を用いることができる。
薬品としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属の硫酸塩、塩化亜鉛、塩化カルシウム、硫化カリウム、燐酸などや、その水溶液や水和物を挙げることができる。これらの1種類あるいは2種類以上混合して使用してもよい。好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムである。
薬品賦活処理の時間は、特に限定されるものではないが、10分〜50時間が好ましく、より好ましくは30分〜10時間、特に好ましくは1〜6時間である。
圧力は通常常圧であるが、加圧または減圧で行うことも可能である。
薬品賦活処理はアルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
薬品賦活終了後の活性炭は、水洗して金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、リンなど)成分などを洗浄し、塩酸、硫酸、硝酸等で中和して、再度水洗して酸を洗浄す洗浄工程を設けることが好ましい。
洗浄工程を行った活性炭は、乾燥を行う。
ガス賦活と薬品賦活を併用することもできる。
製造方法が簡易であるという点からはガス賦活が好ましい。メソ孔を作るという点からは薬品賦活が好ましい。
(1)炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)との下記の関係式(I)を満たすこと、
(N/C)>0.04+0.25×(H/C) (I)
(2)比表面積が300m2/g以上
<条件(1)について>
本発明に係るXR炭素多孔体が満たす条件(1)における、炭素原子、窒素原子、水素原子の存在比率は、CHN分析装置を用いて行う。
本発明に係るXR炭素多孔体における炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)との関係式は以下の通りである。
(N/C)>0.04+0.25×(H/C) (I)
(I)式を満たさないXR炭素多孔体は、(H/C)が大きいか、または(N/C)が小さいということであり、共役系が十分に発達していないか窒素含有量が少ないということであり好ましくない。
好ましくは、
(N/C)>0.05+0.25×(H/C) (II)
特に好ましくは
(N/C)>0.06+0.25×(H/C) (III)
である。
(N/C)<0.3+0.25×(H/C) (IV)
より好ましくは、
(N/C)<0.2+0.25×(H/C) (V)
特に好ましくは、
(N/C)<0.18+0.25×(H/C) (VI)
である。
式(I)〜(VI)は、実施例中の図4の実施例と比較例の境界、および実施例を囲む範囲として導出される。
本発明に係るXR炭素多孔体における炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は、0.04より大きい。好ましくは0.04〜1.0であり、好ましくは0.05〜0.7、より好ましくは0.08〜0.4である。
本発明に係るXR炭素多孔体が満たす条件(2)における比表面積は、窒素ガス吸着によるBET法により求められる比表面積である。
比表面積300m2/g以上であり、500m2/g以上が好ましい。また2500m2/g以下が好ましく、特に好ましくは2000m2/g以下である。
本発明に係るXR炭素多孔体は、本発明に係るXR炭素多孔体の波数1000〜2000cm−1のレーザーラマンスペクトル図において、1355〜1385cm−1の間にピークP1と、1550〜1620cm−1の間にピークP2という少なくとも2つの主要なピークを有することが好ましい。1360〜1380cm−1の間にピークP1、1570〜1585cm−1の間にピークP2という2つの主要なピークを有することが好ましい。
本発明に係るXR炭素多孔体のレーザーラマンスペクトル図において、ピークP1の半値幅としては、200〜400cm−1が好ましく、250〜350cm−1がより好ましく、特に好ましくは270〜320cm−1である。
本発明に係るXR炭素多孔体のレーザーラマンスペクトル図において、ピークP2の半値幅としては、30〜200cm−1が好ましく、80〜170cm−1がより好ましく、特に好ましくは100〜150cm−1である。
本発明では、ピーク強度は、Arレーザー(波長540nm、2mW)を用い、ビームサイズ5μ、操作範囲1000〜2000cm−1、積算時間5分で測定したときに得られるレーザーラマンスペクトル図から測定される。
図2に示すように、B1は、1000〜1300cm−1の最小の強度値であり、B2は1700〜2000cm−1の間の最小の強度値である。本発明で用いるレーザーラマンスペクトル図におけるベースラインは、B1、B2を結んだ直線である。
次に、図2に示すC1、C2は、それぞれ、ピークP1およびP2からラマンシフト軸に下ろした垂線とベースラインの交点である。
一方、高さH1は、P1からラマンシフト軸に下ろした垂線とベースラインの交点までの長さである。図2に例示するレーザーラマンスペクトル図では線分P1C1の長さが高さH1に相当する。高さH2は、P2からラマンシフト軸に下ろした垂線とベースラインの交点までの長さである。図2に例示するレーザーラマンスペクトル図では線分P2C2の長さが高さH2に相当する。
また本発明に係るXR炭素多孔体は、赤外線吸収スペクトル図において、波数2200〜2280cm−1における吸光度のピークS2の強度Q2と、1550〜1640cm−1における吸光度のピークS1の強度Q1の比(Q2/Q1)が、0.07以下であることが好ましい。より好ましくは0.05以下であり、特に好ましくは0.02以下である。波数2200〜2280cm−1における吸光度のピークは、ニトリル基由来のピークであり、少ないことが好ましい。
ピークS1の強度Q1は、以下のように定義される。A1を1000〜1200cm−1の最小の吸光度を示す点とし、A2を1700〜1900cm−1の間の最小の吸光度を示す点とする。ベースラインA1A2は、A1、A2を結んだ直線である。
次に、E1はピークS1から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインA1A2の交点である。ピークS1の強度Q1は、前記S1から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインの交点E1までの線分S1E1の長さである。
次に、E2はピークS2から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインA3A4の交点である。ピークS2の強度Q2は、前記S2から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインの交点E2までの線分S2E2の長さである。
次に、E3はピークS3から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインA5A6の交点である。ピークS3の強度Q3は、前記S3から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインの交点E3までの線分S3E3の長さである。
次に、E4はピークS4から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインA7A8の交点である。ピークS4の強度Q4は、前記S4から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインの交点E4までの線分S4E4の長さである。
XR炭素多孔体は、例えば、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理して製造することができる。
(CHN分析)
ジェイサイエンスラボ社製MICRO CORDER JM10を用い、2500μgの試料を試料台に充填してCHN分析を行った。試料炉は950℃、燃焼炉(酸化銅触媒)は850℃、還元炉(銀粒+酸化銅のゾーン、還元銅のゾーン、酸化銅のゾーンからなる)は550℃に設定されている。酸素は15ml/min、Heは150ml/minに設定されている。検出器はTCDである。アンチピリン(Antipyrine)を用いてマニュアルに記載の方法でキャリブレーションを行う。
ラマンスペクトルは、試料をメノウ乳鉢で粉砕し、粉末用セルにマウントして下記の条件で測定した。
装置 : Reninshaw社製System−3000
光源 : Arレーザー(波長540nm、2mW)
ビームサイズ : 5μ
操作範囲 : 1000〜2000cm−1
積算時間 : 5分
X線回折パターンは、試料をメノウ乳鉢で粉砕後、粉末用セルに充填して下記の条件で測定した。
装置:リガク社製Rint2500、
X線源:Cu管球(Cu−Kα線)
管電圧:40kV
管電流:200mA
分光結晶:あり
散乱スリット:1°
発散スリット:1°
受光スリット:0.15mm
スキャン速度:2°/分
サンプリング幅:0.02°
スキャン法:2θ/θ法。
X線回折角(2θ)の補正は、シリコン粉末について得られたX線回折角データを用いて行った。
ユアサアイオニクス社製AUTOSORB−3−MPを用い、試料は300℃で8時間真空脱気して測定した。液体窒素温度で窒素の吸着等温線を測定し、比表面積の測定を行った。
水350gに青酸150gを溶解させた水溶液を調製し、攪拌を行いながら、25%アンモニア水溶液120gを10分かけて添加し、得られた混合水溶液を35℃に加熱した。重合が始まり黒褐色の重合物が析出し始め、温度は徐々に上昇し45℃となった。2時間後から30質量%青酸水溶液を200g/hの速度で添加し、4時間添加した。添加中は反応温度50℃保つようにコントロールした。添加終了後、冷却を停止したところ温度は90℃に上昇し、この温度で約1時間とどまったのち、温度は徐々に降下した。その後そのまま100時間反応を行った。得られた黒色沈殿物をろ過によって分離した。このときの収率は97%であった。水洗した後、120℃の乾燥器にて5時間乾燥させてアズルミン酸を得た。
得られたアズルミン酸12gを内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて800℃まで昇温させ、800℃で1時間ホールドして炭化処理をして、4.4gのアズルミン酸炭化物を得た。得られたアズルミン酸炭化物は比表面積150m2/gであった。窒素ガスの酸素濃度は、微量酸素分析計(306WA型、テレダインアナリティカルインスツルメント社製)を用いて測定した1ppmである。
得られたアズルミン酸炭化物4gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、200Ncc/ min.の窒素気流中で60分かけて850℃まで昇温し、850℃になったところで、400Ncc/ min.の二酸化炭素と窒素の混合ガス気流に(二酸化炭素 50vol%)切り替えて、2時間、賦活処理を行った。賦活処理終了後に200Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、2gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.14、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.27であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積700m2/gであった。
実施例1のアズルミン酸炭化物の製法を反復してアズルミン酸炭化物を得た。
得られたアズルミン酸炭化物4gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて750℃まで昇温し、750℃になったところで、純水の中をバブリングさせた窒素ガス気流に切り替えて、4時間、賦活処理を行った。このときの水蒸気濃度は、純水の減少量から計算して3vol%であった。賦活処理終了後に300Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、2.2gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.17、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.24であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積670m2/gであった。
得られたアズルミン酸を空気中で330℃にて1時間加熱処理して、330℃加熱処理物を得た。
得られた330℃加熱処理物から12gを内径25mmの石英管に充填し、実施例1のアズルミン酸炭化物の製法を反復してアズルミン酸炭化物を得た。
得られたアズルミン酸炭化物4.9gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて750℃まで昇温し、750℃になったところで、純水の中をバブリングさせた窒素ガス気流に切り替えて、4時間、賦活処理を行った。このときの水蒸気濃度は、純水の減少量から計算して3vol%であった。賦活処理終了後に300Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、2.8gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.20、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.23であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積650m2/gであった。
<メラミン樹脂の製造>
メラミン252gと37%ホルムアルデヒド水溶液650mLを混合し、攪拌しながら6mol/Lの水酸化カリウム水溶液を少量加えて、pH8〜9にした。還流させながら、80℃で攪拌して50時間重合させた。この間、適宜水酸化カリウム水溶液を加えてpHを8〜9に保つようにした。50時間後に加熱を停止し冷却し、1500gの水を添加して反応液から分離してきた粘調な樹脂を取り出し、80℃で真空乾燥させてメラミン樹脂を得た。
[比較例1]
上記で得られたメラミン樹脂12gを内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて800℃まで昇温させ、800℃で1時間ホールドして加熱処理をして、1.5gのメラミン樹脂炭化物を得た。窒素ガスの酸素濃度は、微量酸素分析計(306WA型、テレダインアナリティカルインスツルメント社製)を用いて測定した1ppmである。
得られたメラミン樹脂炭化物1.5gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、200Ncc/ min.の窒素気流中で60分かけて850℃まで昇温し、850℃になったところで、400Ncc/ min.の二酸化炭素と窒素の混合ガス気流に(二酸化炭素 50vol%)切り替えて、2時間、賦活処理を行った。賦活処理終了後に200Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、0.8gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.07、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.34であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積90m2/gであった。
比較例1のメラミン樹脂炭化物の製法を反復してメラミン樹脂炭化物を得た。
得られたメラミン樹脂炭化物1.5gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて750℃まで昇温し、750℃になったところで、純水の中をバブリングさせた窒素ガス気流に切り替えて、4時間、賦活処理を行った。このときの水蒸気濃度は、純水の減少量から計算して3vol%であった。賦活処理終了後に300Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、0.9gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.10、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.31であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積80m2/gであった。
ポリアクリロニトリル12gを内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて800℃まで昇温させ、800℃で1時間ホールドして加熱処理をして、4gのポリアクリロニトリル炭化物を得た。窒素ガスの酸素濃度は、微量酸素分析計(306WA型、テレダインアナリティカルインスツルメント社製)を用いて測定した1ppmである。
得られたポリアクリロニトリル炭化物3.5gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、200Ncc/ min.の窒素気流中で60分かけて850℃まで昇温し、850℃になったところで、400Ncc/ min.の二酸化炭素と窒素の混合ガス気流に(二酸化炭素 50vol%)切り替えて、2時間、賦活処理を行った。賦活処理終了後に200Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、1.8gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.06、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.27であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積80m2/gであった。
比較例3のポリアクリロニトリル炭化物の製法を反復してポリアクリロニトリル炭化物を得た。
得られたポリアクリロニトリル炭化物3.5gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて750℃まで昇温し、750℃になったところで、純水の中をバブリングさせた窒素ガス気流に切り替えて、4時間、賦活処理を行った。このときの水蒸気濃度は、純水の減少量から計算して3vol%であった。賦活処理終了後に300Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、1.9gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.08、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.24であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積70m2/gであった。
上記の結果を表1にまとめた。
図3には二酸化炭素賦活を行った実施例1、比較例1、比較例3の結果を、図4には水蒸気賦活を行った実施例2、実施例3、比較例2、比較例4の結果を示す。また、図5に実施例1、2、3、比較例1、2、3、4の結果をまとめた。この結果から、本発明の窒素含有炭素多孔体は、窒素含有量が高い窒素含有炭素多孔体であることがわかる。
青酸を重合する工程においては、アクリロニトリル等の基礎化学品の製造工程において、副生物として製造されている青酸を用いるため、省資源、省エネルギーとなる製造方法である。さらに容易に重合するため製造が簡便である。あるいは前記工程から廃棄されている従来活用されていなかったアズルミン酸自身を用いることもできる。アズルミン酸は、さらさらな粉末であるために、取り扱い性にも優れている。従って、省資源、省エネルギー、工程数が少ない、安価な窒素含有炭素多孔体の製造方法である。
また本発明の窒素含有炭素多孔体は、比表面積が大きく、窒素原子の比率が高く、水素原子の比率が低い窒素含有炭素多孔体である。
本発明の窒素含有炭素多孔体は、吸着材や触媒担体、キャパシタ用電極、燃料電池の電極触媒などの用途として有用である。
Claims (4)
- 窒素含有炭素多孔体の製造方法において、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理することを特徴とする窒素含有炭素多孔体の製造方法。
- アズルミン酸を酸素含有ガス存在下で加熱処理した後に、不活性ガス雰囲気中で加熱処理することを特徴とする請求項1記載の窒素含有炭素多孔体の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の方法で製造された窒素含有炭素多孔体。
- 下記の条件(1)及び(2)を満たす窒素含有炭素多孔体。
(1)炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)との下記の関係式(I)を満たすこと。
(N/C)>0.04+0.25×(H/C) (I)
(2)比表面積が300m2/g以上。
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