JP4767206B2 - 窒素含有炭素多孔体およびその製法 - Google Patents

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本発明は、窒素含有炭素多孔体およびその製造方法に関する。
炭素多孔体は、従来、その高い比表面積という性質を利用して、吸着材や触媒担体等として使用されている。また最近は、導電性等の電子材料物性の性質を持つために、高い比表面積と導電性を要求される電子材料分野であるキャパシタ、燃料電池等でも使用、あるいは検討されている。
炭素多孔体は、炭素原子により骨格が形成されている多孔体であり、賦活処理によって高い比表面積を持たせて、吸着性の向上をはかったり、性能に優れた触媒材料としているが、比表面積の向上のみでは限界がある。
こうした中で、炭素多孔体に窒素を含有させることで、比表面積以外の効果が見られることから、高比表面積および高窒素含有率によって吸着特性を向上させてなる多孔体やその製造方法が特許文献1、2等に提案されている。
しかしながら、従来の技術で得られていた窒素含有炭素多孔体は、窒素含有量が少ない。または窒素含有量を多くしようとして、焼成温度を下げると、窒素含有量が多くても水素含有量が多い窒素含有炭素多孔体しか得られず(特許文献3や本発明者らの出願など(国際出願番号PCT/JP2006/318842など))、こうした材料は燃料電池の電子デバイスでは性能が低いことが指摘されている(特許文献3)。
またキャパシタ等の電子デバイス分野で用いられる炭素材料としては、窒素原子の含有量が高いことが有利であることが知られている(例えば特許文献4、特許文献5)。また水素含有量が少ないほど共役構造が発達することから電子導電性等の電子物性に有利である。
こうしたことから比表面積が大きく、窒素原子の比率が高く、水素原子の比率が低い窒素含有炭素多孔体が望まれている。
一方、窒素含有炭素多孔体の製造方法、という視点から従来技術を見てみると、特許文献1、2に記載があるように、多孔質のシリカを用いて、多孔質シリカにCVDで有機物を蒸着させたり、あるいは多孔質シリカ中で重合を行って、シリカと有機物の複合体を得た後に、炭化し、最後にシリカをフッ酸で溶解させるという製造方法を行っている。
こうした方法は、CVD等の大型な装置を必要としたり、シリカを溶出させるためにフッ酸を使用したりするなど、製造工程が複雑であり、また多くの資源やエネルギーを必要とする、という問題がある。
こうしたことから比表面積が大きく、窒素原子の比率が高く、水素原子の比率が低い窒素含有炭素多孔体、および省資源、省エネルギー、工程数が少ない、安価な窒素含有炭素多孔体の製造方法が望まれている。
特開2004−168587号公報 特開2006−124250号公報 特開2004−330181号公報 特開平9−27317号公報 特開2005−239456号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、比表面積が大きく、窒素原子の比率が高く、水素原子の比率が低い窒素含有炭素多孔体、および省資源、省エネルギー、工程数が少ない、安価な窒素含有炭素多孔体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、窒素含有炭素多孔体、および窒素含有炭素多孔体の製造方法を見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
[1]窒素含有炭素多孔体の製造方法において、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理することを特徴とする窒素含有炭素多孔体の製造方法、
[2]アズルミン酸を酸素含有ガス存在下で加熱処理した後に、不活性ガス雰囲気中で加熱処理することを特徴とする請求項1記載の窒素含有炭素多孔体の製造方法。
[3]上記[1]又は[2]に記載の方法で製造された窒素含有炭素多孔体、
[4]下記の条件(1)及び(2)を満たす窒素含有炭素多孔体、
(1)炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)との下記の関係式(I)を満たすこと、
(N/C)>0.04+0.25×(H/C) (I)
(2)比表面積が300m/g以上、
に関する。
アズルミン酸の原料である青酸は、アクリロニトリル等の基礎化学品の製造工程において、副生物として製造されているため、青酸を原料としてアズルミン酸、更には炭素材料を製造する方法は省資源、省エネルギーとなる製造方法である。さらに青酸は容易に重合するため青酸からアズルミン酸を製造するのは容易である。あるいは前記工程から廃棄されている従来活用されていなかったアズルミン酸自身を用いることもできる。アズルミン酸は、さらさらな粉末であるために、取り扱い性にも優れている。従って、省資源、省エネルギー、工程数が少ない、安価な窒素含有炭素多孔体の製造方法である。
本発明の窒素含有炭素多孔体は、比表面積が大きく、窒素原子の比率が高く、水素原子の比率が低い窒素含有炭素多孔体である。
本発明は、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理することを特徴とする窒素含有炭素多孔体の製造方法である。
また本発明は、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理して得られる窒素含有炭素多孔体である。
アズルミン酸とは、主として青酸を重合して得られる重合物の総称である。
次に、主として青酸を重合して得られるアズルミン酸を、不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理して本発明の窒素含有炭素多孔体を製造する方法について説明する。
図1は本発明による窒素含有炭素多孔体を製造するための工程の概略図を示す。図1に示すように、本発明に係る製造方法は、工程S10にて青酸を含む原料を重合する工程と、工程S10にて得られたアズルミン酸を、不活性ガス雰囲気中で加熱処理する工程S12と、賦活処理する工程S14とから構成される。以下では各工程を詳述する。
本発明に係る製造方法の工程S10で用いる青酸は、以下の方法に限定されないが、公知の方法で製造されるものを用いることができる。具体的には、プロピレン、イソブチレン、tert−ブチルアルコール、プロパンまたはイソブタンを触媒存在下にアンモニア、酸素含有ガスと反応させる気相接触反応によってアクリロニトリルやメタクリロニトリルを製造する方法において副生されるものを用いることができる。このために工程S10で用いる青酸は非常に安価に入手することが可能である。このとき青酸を増産するために、例えばメタノール等アンモ酸化反応によって青酸を生成するような原料を、反応器に供給して行ってもよい。
また天然ガスの主成分であるメタンを触媒存在下にアンモニア、酸素含有ガスと反応させるアンドリュッソー法によって製造される青酸を用いることができる。この方法もメタンを用いるために非常に安価に青酸を入手できる方法である。
もちろん青化ソーダ等を用いる実験室的な製造方法であってもかまわないが、上記の工業的に製造される青酸を用いるのが好ましい。
本発明に係る製造方法の工程S12で用いるアズルミン酸とは、以下の方法に限定されないが、主として青酸を含む原料を重合して得られる黒色〜黒褐色の青酸重合物である(工程S10参照)。本発明で用いる青酸を含む原料とは、青酸に対するその他の重合性物質の存在比は40重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは1重量%以下である。
アズルミン酸は、青酸を種々の方法で重合させることにより製造することができる(工程S10参照)。たとえば液化青酸や青酸水溶液を加熱する、あるいは長時間放置する、塩基を添加する、光を照射する、高エネルギーの放射をする、種々の放電を行う方法や、シアン化カリウム水溶液の電気分解、等の方法の他、公知の方法(例えばAngew.Chem.72巻、379−384(1960年)およびその引用文献、また真空科学、16巻、64−72(1969年)およびその引用文献参照)に記載の方法を例示することができる。
塩基の存在下に青酸を重合させる方法において、塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、有機塩基、アンモニア、アンモニア水などを例示することができる。有機塩基としては、一級アミンRNH、二級アミンRNH、三級のアミンRN、四級アンモニウ塩Rが一般的に用いられる(但し、R〜Rは互いに同一又は異なってもよい炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ヘキシル基、およびこれらが結合して得られる基、である。R〜Rに官能基を含んでよい。)。脂肪族又は環式脂肪族の第三級アミンが好ましい。例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、N−メチルピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)等を挙げることができる。
またアズルミン酸は、プロピレン等のアンモ酸化工程で副生する青酸の精製工程から回収することによっても製造することができる。
アズルミン酸は溶剤に不溶性であるため、構造は同定されていないが、Angew.Chem.72巻、379−384(1960年)や、真空科学、16巻、64−72(1969年)などには構造式が推定されている。
実際には、これらの構造式をベースにして、重合体構造中の、六員環中窒素元素の一部が炭素元素に置換されていたり、逆に一部の六員環中炭素元素の一部が窒素元素に置換されていたり、また上記構造式中には官能基が記載されている。しかし、これらアミノ基、イミノ基、ニトリル基、水酸基、カルボニル基は、お互いに相互置換されていたり、外れていたり、またカルボン酸基、ニトロ基、ニトロソ基、N−オキシド基、アルキル基等、公知の官能基に変換されていると思われる。
またリニアな構造、ラダー構造、ラダー間で縮合した構造に加えて、これらの構造同士で縮合したり、結合を起こした構造があることも推定される。
本発明で用いるアズルミン酸の組成は、CHN分析計を用いて測定することができる。(窒素元素の重量%)/(炭素元素の重量%)は0.2〜1.0が好ましく、より好ましくは0.3〜0.9であり、特に好ましくは0.4〜0.9である。(水素元素の重量%)/(炭素元素の重量%)は0.03〜0.2が好ましく、より好ましくは0.05〜0.15であり、特に好ましくは0.08〜0.11である。
本発明で用いるアズルミン酸は、波数1000〜2000cm−1のレーザーラマンスペクトル図において、ラマンシフトが1300〜1400cm−1、1500〜1600cm−1の位置にピークを持つことが好ましく、特に好ましくは1360〜1380cm−1、1530〜1550cm−1の位置にピークを持つことである。
また、本発明で用いるアズルミン酸は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図の10〜50°の範囲において、回折角(2θ)が26.8±1°の位置に、好ましくは26.8±0.5°の位置に、より好ましくは26.8±0.2°の位置に強いピークを示す。また、前述のピークに加えて、本発明で用いるアズルミン酸は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図の10〜50°の範囲において、回折角(2θ)が12.3±1°の位置に、好ましくは12.3±0.5°の位置にもピークを示してもよい。
アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理する方法(図1の工程S12参照)は、以下のものに限定されないが、ロータリーキルン、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉等を用い、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気下で400〜3000℃、好ましくは600〜2000℃、より好ましくは750〜1500℃、特に好ましくは、800〜1100℃の範囲で熱処理することにより行われる。上記不活性ガスとしては、以下のガスに限定されないが、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、二酸化炭素等の不活性ガス、真空等が挙げられ、窒素ガスが好ましい。
不活性ガス雰囲気は不活性ガスが静止していても流通していてもよいが、流通しているのが好ましい。不活性ガス中の酸素濃度は5%以下が好ましく、より好ましくは1%以下であり、特に好ましくは1000ppm以下である。炭化処理時間としては10秒〜100時間、好ましくは5分〜10時間、より好ましくは15分〜5時間、さらにより好ましくは30分〜2時間の範囲である。炭化工程の圧力は、0.01〜5MPa、好ましくは0.05〜1MPa、より好ましくは0.08〜0.3MPa、特に好ましくは、0.09〜0.15MPaである。高圧処理はsp3軌道によって構成されるダイヤモンド構造となるために好ましくない。
アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理する前(図1の工程S12の前)に、ロータリーキルン、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉、マッフル炉等を用い、アズルミン酸を空気中で加熱処理してもよい。加熱処理温度は150℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上、特に好ましくは220℃以上で熱処理することにより行われる。また加熱処理温度は700℃以下、好ましくは450℃以下、より好ましくは400℃以下、特に好ましくは350℃以下で熱処理することにより行われる。
150℃未満では、窒素原子の含有率が高く、水素原子の含有率が低い、という効果があまり大きくない。700℃以上ではアズルミン酸の燃焼が生じて、回収率が低下する。このときに空気を不活性ガスを添加して酸素濃度を希釈しても良いし、空気に酸素ガスを添加して酸素濃度を高めてもよい。
空気は静止していても流通していてもよいが、流通しているのが好ましい。酸素濃度は5〜30%が好ましく、より好ましくは15〜25%である。省エネルギーの点から空気をそのまま用いるのが特に好ましい。
加熱処理時間としては10分〜100時間、好ましくは30分〜10時間、より好ましくは1時間〜5時間の範囲である。加熱処理の圧力は、0.01〜5MPa、好ましくは0.05〜1MPa、より好ましくは0.08〜0.3MPa、特に好ましくは、0.09〜0.15MPaである。
次に、賦活処理(図1の工程S14参照)について説明する。
本発明における賦活とは、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に得られる炭化物(以下、アズルミン酸炭化物、と呼ぶ)を多孔質化するための処理であって、アズルミン酸炭化物の比表面積を増大させる処理である。例えば、ガス賦活処理、薬品賦活処理、などを挙げることができる。
ガス賦活処理は、アズルミン酸炭化物を酸化性ガスと接触することにより行われる。酸化性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、水蒸気、酸素、燃焼排ガス、若しくはこれらの混合ガスを例示できる。これらのうち、水蒸気、二酸化炭素、酸素ガスが好ましい。酸素ガスは通常、空気を用いる。これらに窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、ネオンガスを加えて希釈したガスなどを使用することができる。
ガス賦活処理の温度は、300℃以上、好ましくは600℃以上、特に好ましくは700℃以上、また1500℃以下、好ましくは1100℃以下、特に好ましくは1000℃以下である。水蒸気賦活の場合は700℃〜1000℃が好ましい。二酸化炭素賦活の場合は750℃〜1000℃が好ましい。空気の場合は300〜600℃が好ましい。
賦活ガスの濃度は、0.1〜100%である。水蒸気賦活の場合は0.1〜50%が好ましく、特に好ましくは1%〜10%である。二酸化炭素賦活の場合は10〜70%が好ましく、特に好ましくは30%〜60%である。
時間としては10秒〜100時間、好ましくは5分〜10時間、より好ましくは15分〜5時間の範囲である。
圧力は通常常圧であるが、加圧または減圧で行うことも可能である。
賦活炉としては、ロータリーキルン、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉、マッフル炉等を用いることができる。
薬品賦活処理は、アズルミン酸炭化物を薬品と混合して熱処理することにより行われる。
薬品としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属の硫酸塩、塩化亜鉛、塩化カルシウム、硫化カリウム、燐酸などや、その水溶液や水和物を挙げることができる。これらの1種類あるいは2種類以上混合して使用してもよい。好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムである。
アズルミン酸炭化物に対する薬品の使用量は、特に限定されないが、薬品/アズルミン酸炭化物(質量比)は0.3〜7が好ましい。例えば、水酸化カリウムを用いる場合は、無水基準で、水酸化カリウム/アズルミン酸炭化物(質量比)は0.3以上4.0以下が好ましい。より好ましくは、2.5以下、特に好ましくは1.5以下である。0.3未満では細孔の発達が悪く、7を超えると過賦活となり細孔壁の破壊が進行する。
薬品賦活処理の温度は、特に限定されるものではないが、例えば、250〜1000℃、より好ましくは500℃〜900℃、さらに好ましくは600℃〜800℃で行われる。250℃未満では賦活の進行が不充分で、1000℃より高いと、細孔が収縮したり、賦活装置の腐食が激しくなったりする等の問題が起こってくる。
薬品賦活処理の時間は、特に限定されるものではないが、10分〜50時間が好ましく、より好ましくは30分〜10時間、特に好ましくは1〜6時間である。
圧力は通常常圧であるが、加圧または減圧で行うことも可能である。
薬品賦活処理はアルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
賦活炉としては、ロータリーキルン、トンネル炉、管状炉、マッフル炉等を用いることができるが、主としてロータリーキルンが用いられる。
薬品賦活終了後の活性炭は、水洗して金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、リンなど)成分などを洗浄し、塩酸、硫酸、硝酸等で中和して、再度水洗して酸を洗浄す洗浄工程を設けることが好ましい。
洗浄工程を行った活性炭は、乾燥を行う。
ガス賦活と薬品賦活を併用することもできる。
製造方法が簡易であるという点からはガス賦活が好ましい。メソ孔を作るという点からは薬品賦活が好ましい。
また本発明は、下記の条件(1)及び(2)を満たす窒素含有炭素多孔体(以下、XR炭素多孔体、と呼ぶ)である。
(1)炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)との下記の関係式(I)を満たすこと、
(N/C)>0.04+0.25×(H/C) (I)
(2)比表面積が300m/g以上
本発明に用いるXR炭素多孔体について説明する。
<条件(1)について>
本発明に係るXR炭素多孔体が満たす条件(1)における、炭素原子、窒素原子、水素原子の存在比率は、CHN分析装置を用いて行う。
本発明に係るXR炭素多孔体における炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)との関係式は以下の通りである。
(N/C)>0.04+0.25×(H/C) (I)
(I)式を満たさないXR炭素多孔体は、(H/C)が大きいか、または(N/C)が小さいということであり、共役系が十分に発達していないか窒素含有量が少ないということであり好ましくない。
好ましくは、
(N/C)>0.05+0.25×(H/C) (II)
特に好ましくは
(N/C)>0.06+0.25×(H/C) (III)
である。
また、本発明に係るXR炭素多孔体における炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は、以下の関係式を満たすことが好ましい。
(N/C)<0.3+0.25×(H/C) (IV)
より好ましくは、
(N/C)<0.2+0.25×(H/C) (V)
特に好ましくは、
(N/C)<0.18+0.25×(H/C) (VI)
である。
式(I)〜(VI)は、実施例中の図4の実施例と比較例の境界、および実施例を囲む範囲として導出される。
本発明に係るXR炭素多孔体における炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は、0.01〜0.5が好ましく、より好ましくは0.05〜0.40であり、さらに好ましくは0.09〜0.35である。(H/C)が大きいと共役系が十分に発達していないために好ましくなく、(H/C)が小さいと、(N/C)が小さくなりがちであるために好ましくない。
本発明に係るXR炭素多孔体における炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は、0.04より大きい。好ましくは0.04〜1.0であり、好ましくは0.05〜0.7、より好ましくは0.08〜0.4である。
<条件(2)について>
本発明に係るXR炭素多孔体が満たす条件(2)における比表面積は、窒素ガス吸着によるBET法により求められる比表面積である。
比表面積300m/g以上であり、500m/g以上が好ましい。また2500m/g以下が好ましく、特に好ましくは2000m/g以下である。
本発明に係るXR炭素多孔体は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)は23.5〜25.5°の位置にピークを有することが好ましい。23.7〜25.0の位置にピークを有することが好ましく、23.9〜24.5°にピークを有することがより好ましい。該ピークは、回折角(2θ)が15〜50°においてもっとも強度が大きいことが好ましい。本発明に係るXR炭素多孔体は層状構造を有する。その層間距離は、3.49〜3.78オングストロームに相当し、好ましい層間距離は3.56〜3.75オングストロームに相当し、より好ましい層間距離は3.64〜3.72オングストロームに相当する。
本発明に係るXR炭素多孔体は、本発明に係るXR炭素多孔体の波数1000〜2000cm−1のレーザーラマンスペクトル図において、1355〜1385cm−1の間にピークP1と、1550〜1620cm−1の間にピークP2という少なくとも2つの主要なピークを有することが好ましい。1360〜1380cm−1の間にピークP1、1570〜1585cm−1の間にピークP2という2つの主要なピークを有することが好ましい。
本発明に係るXR炭素多孔体のレーザーラマンスペクトル図において、後述する(L/H1)の比は0.70〜0.95であり、好ましくは0.86〜0.93であり、特に好ましくは0.88〜0.91である。ここで本発明に係るXR炭素多孔体のレーザーラマンスペクトル図における(L/H1)の比とは、ピークの半値幅と関連する値である。半値幅が小さいと(L/H1)の値が小さくなり、半値幅が大きいと(L/H1)の値が大きくなる。なお本発明では半値幅の指標として(L/H1)を用いるが、ピーク分離を行い半値幅を測定することもできる。ピーク分離はローレンツ関数、ガウス関数等公知の方法を用いて行うことができる。ピーク分離の際、フィット率の高い関数を適宜用いればよいことは当業者には容易に理解できる。
本発明に係るXR炭素多孔体のレーザーラマンスペクトル図において、ピークP1の半値幅としては、200〜400cm−1が好ましく、250〜350cm−1がより好ましく、特に好ましくは270〜320cm−1である。
本発明に係るXR炭素多孔体のレーザーラマンスペクトル図において、後述する(L/H2)の比は、0.60〜0.90が好ましく、より好ましくは0.63〜0.85であり、特に好ましくは0.75〜0.84である。ここで本発明に係るXR炭素多孔体のレーザーラマンスペクトル図における(L/H2)の比とは、ピークの半値幅と関連する値である。半値幅が小さいと(L/H2)の値が小さくなり、半値幅が大きいと(L/H2)の値が大きくなる。なお本発明では半値幅の指標として(L/H2)を用いるが、ピーク分離を行い半値幅を測定することもできる。ピーク分離はローレンツ関数、ガウス関数等公知の方法を用いて行うことができる。ピーク分離の際、フィット率の高い関数を適宜用いればよいことは当業者には容易に理解できる。
本発明に係るXR炭素多孔体のレーザーラマンスペクトル図において、ピークP2の半値幅としては、30〜200cm−1が好ましく、80〜170cm−1がより好ましく、特に好ましくは100〜150cm−1である。
前述のP1、P2は、レーザーラマンスペクトル図におけるラマンシフトが1340〜1620cm−1の間の主要な2つのピークである。P1は1355〜1385cm−1の間のピークであり、P2は1550〜1620cm−1の間のピークである。
本発明では、ピーク強度は、Arレーザー(波長540nm、2mW)を用い、ビームサイズ5μ、操作範囲1000〜2000cm−1、積算時間5分で測定したときに得られるレーザーラマンスペクトル図から測定される。
図2は、本発明に係る窒素含有炭素材料のレーザーラマンスペクトル図の一例の模式図を示す。なお、図2は、本発明で用いる(L/H1)の比、(L/H2)の比を説明するための図であって、本発明で用いる窒素含有多孔体から得られるレーザーラマンスペクトル図を何ら限定するものではない。
図2に示すように、B1は、1000〜1300cm−1の最小の強度値であり、B2は1700〜2000cm−1の間の最小の強度値である。本発明で用いるレーザーラマンスペクトル図におけるベースラインは、B1、B2を結んだ直線である。
次に、図2に示すC1、C2は、それぞれ、ピークP1およびP2からラマンシフト軸に下ろした垂線とベースラインの交点である。
Dは、ピークP1およびP2との間における最小の強度値Mからラマンシフト軸に下ろした垂線とベースラインの交点であり、高さLは、前記Mからラマンシフト軸に下ろした垂線とベースラインの交点までの長さである。具体的には、図2に例示するレーザーラマンスペクトル図では線分MDの長さである。
一方、高さH1は、P1からラマンシフト軸に下ろした垂線とベースラインの交点までの長さである。図2に例示するレーザーラマンスペクトル図では線分P1C1の長さが高さH1に相当する。高さH2は、P2からラマンシフト軸に下ろした垂線とベースラインの交点までの長さである。図2に例示するレーザーラマンスペクトル図では線分P2C2の長さが高さH2に相当する。
本発明に係るXR炭素多孔体は、X線光電子分光分析(XPS)により求められるN1sのXPSスペクトル図において、401.0±0.3eV、および398.0±0.5eVにピークを有することが好ましい。より好ましくは、401.0±0.2eV、および398.0±0.3eVであり、特に好ましくは401.0±0.1eV、および398.0±0.1eVである。なお、N1sのXPSスペクトル図において、401eV付近のピークはCenter型、Valley型の窒素元素に対応し、398eV付近のピークはTop型の窒素元素に対応する(例えばCarbon 40巻、597−608(2002年参照)。すなわち窒素原子がそれぞれ4級化窒素あるいはピリジン状の窒素として炭素網面の面内、面端に存在することを意味する。本発明に係るXR炭素多孔体では、このような形態の窒素元素を含有することが好ましい。
なお、XPSは、X線源:Al管球(Al−Kα線)、管電圧:15kV、管電流:10mA、分析面積:600μm×300μm楕円、取り込み領域:N1s,C1s、Pass−Energy:20eV、にて得られたスペクトルであって、C1sのピーク位置でエネルギー補正を行って測定したときの値として定義される。
本発明に係るXR炭素多孔体は、赤外線吸収スペクトル図において、波数1500〜1800cm−1における吸光度のピーク強度の最大値を与える波数が、1550〜1640cm−1にあることが好ましい。
また本発明に係るXR炭素多孔体は、赤外線吸収スペクトル図において、波数2200〜2280cm−1における吸光度のピークS2の強度Q2と、1550〜1640cm−1における吸光度のピークS1の強度Q1の比(Q2/Q1)が、0.07以下であることが好ましい。より好ましくは0.05以下であり、特に好ましくは0.02以下である。波数2200〜2280cm−1における吸光度のピークは、ニトリル基由来のピークであり、少ないことが好ましい。
また本発明に係るXR炭素多孔体は、赤外線吸収スペクトル図において、波数2800〜3000cm−1における吸光度のピークS3の強度Q3と、1550〜1640cm−1における吸光度のピークS1の強度Q1の比(Q3/Q1)が、0.10以下であることが好ましい。より好ましくは0.05以下であり、特に好ましくは0.02以下である。波数2800〜3000cm−1における吸光度のピークは、C−H基由来のピークであり、少ないことが好ましい。
また本発明に係るXR炭素多孔体は、赤外線吸収スペクトル図において、波数3000〜3500cm−1における吸光度のピークS4の強度Q4と、1550〜1640cm−1における吸光度のピークS1の強度Q1の比(Q4/Q1)が、0.80以下であることが好ましい。より好ましくは0.70以下であり、特に好ましくは0.6以下である。波数3000〜3500cm−1における吸光度のピークは、N−H基、O−H基由来のピークであり、少ないことが好ましい。
なお赤外線吸収スペクトル図におけるピーク強度は、以下のように定義される。
ピークS1の強度Q1は、以下のように定義される。A1を1000〜1200cm−1の最小の吸光度を示す点とし、A2を1700〜1900cm−1の間の最小の吸光度を示す点とする。ベースラインA1A2は、A1、A2を結んだ直線である。
次に、E1はピークS1から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインA1A2の交点である。ピークS1の強度Q1は、前記S1から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインの交点E1までの線分S1E1の長さである。
ピークS2の強度Q2は、以下のように定義される。A3を2100〜2200cm−1の最小の吸光度を示す点とし、A4を2280〜2400cm−1の間の最小の吸光度を示す点とする。ベースラインA3A4は、A3、A4を結んだ直線である。
次に、E2はピークS2から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインA3A4の交点である。ピークS2の強度Q2は、前記S2から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインの交点E2までの線分S2E2の長さである。
ピークS3の強度Q3は、以下のように定義される。A5を2700〜2800cm−1の最小の吸光度を示す点とし、A6を3000〜3100cm−1の間の最小の吸光度を示す点とする。ベースラインA5A6は、A5、A6を結んだ直線である。
次に、E3はピークS3から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインA5A6の交点である。ピークS3の強度Q3は、前記S3から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインの交点E3までの線分S3E3の長さである。
ピークS4の強度Q4は、以下のように定義される。A7を2500〜3000cm−1の最小の吸光度を示す点とし、A8を3500〜4000cm−1の間の最小の吸光度を示す点とする。ベースラインA7A8は、A7、A8を結んだ直線である。
次に、E4はピークS4から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインA7A8の交点である。ピークS4の強度Q4は、前記S4から赤外線吸収スペクトルの波数軸に下ろした垂線とベースラインの交点E4までの線分S4E4の長さである。
XR炭素多孔体は、例えば、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理して製造することができる。
以下に本発明の実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。当業者は以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができ、かかる変更は本願の特許請求の範囲に包含される。
<分析方法>
(CHN分析)
ジェイサイエンスラボ社製MICRO CORDER JM10を用い、2500μgの試料を試料台に充填してCHN分析を行った。試料炉は950℃、燃焼炉(酸化銅触媒)は850℃、還元炉(銀粒+酸化銅のゾーン、還元銅のゾーン、酸化銅のゾーンからなる)は550℃に設定されている。酸素は15ml/min、Heは150ml/minに設定されている。検出器はTCDである。アンチピリン(Antipyrine)を用いてマニュアルに記載の方法でキャリブレーションを行う。
(レーザーラマンスペクトルの測定法)
ラマンスペクトルは、試料をメノウ乳鉢で粉砕し、粉末用セルにマウントして下記の条件で測定した。
装置 : Reninshaw社製System−3000
光源 : Arレーザー(波長540nm、2mW)
ビームサイズ : 5μ
操作範囲 : 1000〜2000cm−1
積算時間 : 5分
(X線回折の測定法)
X線回折パターンは、試料をメノウ乳鉢で粉砕後、粉末用セルに充填して下記の条件で測定した。
装置:リガク社製Rint2500、
X線源:Cu管球(Cu−Kα線)
管電圧:40kV
管電流:200mA
分光結晶:あり
散乱スリット:1°
発散スリット:1°
受光スリット:0.15mm
スキャン速度:2°/分
サンプリング幅:0.02°
スキャン法:2θ/θ法。
X線回折角(2θ)の補正は、シリコン粉末について得られたX線回折角データを用いて行った。
(比表面積の測定法)
ユアサアイオニクス社製AUTOSORB−3−MPを用い、試料は300℃で8時間真空脱気して測定した。液体窒素温度で窒素の吸着等温線を測定し、比表面積の測定を行った。
<アズルミン酸の製造例>
水350gに青酸150gを溶解させた水溶液を調製し、攪拌を行いながら、25%アンモニア水溶液120gを10分かけて添加し、得られた混合水溶液を35℃に加熱した。重合が始まり黒褐色の重合物が析出し始め、温度は徐々に上昇し45℃となった。2時間後から30質量%青酸水溶液を200g/hの速度で添加し、4時間添加した。添加中は反応温度50℃保つようにコントロールした。添加終了後、冷却を停止したところ温度は90℃に上昇し、この温度で約1時間とどまったのち、温度は徐々に降下した。その後そのまま100時間反応を行った。得られた黒色沈殿物をろ過によって分離した。このときの収率は97%であった。水洗した後、120℃の乾燥器にて5時間乾燥させてアズルミン酸を得た。
[実施例1]
得られたアズルミン酸12gを内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて800℃まで昇温させ、800℃で1時間ホールドして炭化処理をして、4.4gのアズルミン酸炭化物を得た。得られたアズルミン酸炭化物は比表面積150m/gであった。窒素ガスの酸素濃度は、微量酸素分析計(306WA型、テレダインアナリティカルインスツルメント社製)を用いて測定した1ppmである。
得られたアズルミン酸炭化物4gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、200Ncc/ min.の窒素気流中で60分かけて850℃まで昇温し、850℃になったところで、400Ncc/ min.の二酸化炭素と窒素の混合ガス気流に(二酸化炭素 50vol%)切り替えて、2時間、賦活処理を行った。賦活処理終了後に200Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、2gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.14、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.27であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積700m/gであった。
[実施例2]
実施例1のアズルミン酸炭化物の製法を反復してアズルミン酸炭化物を得た。
得られたアズルミン酸炭化物4gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて750℃まで昇温し、750℃になったところで、純水の中をバブリングさせた窒素ガス気流に切り替えて、4時間、賦活処理を行った。このときの水蒸気濃度は、純水の減少量から計算して3vol%であった。賦活処理終了後に300Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、2.2gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.17、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.24であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積670m/gであった。
[実施例3]
得られたアズルミン酸を空気中で330℃にて1時間加熱処理して、330℃加熱処理物を得た。
得られた330℃加熱処理物から12gを内径25mmの石英管に充填し、実施例1のアズルミン酸炭化物の製法を反復してアズルミン酸炭化物を得た。
得られたアズルミン酸炭化物4.9gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて750℃まで昇温し、750℃になったところで、純水の中をバブリングさせた窒素ガス気流に切り替えて、4時間、賦活処理を行った。このときの水蒸気濃度は、純水の減少量から計算して3vol%であった。賦活処理終了後に300Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、2.8gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.20、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.23であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積650m/gであった。
比較例1、2においては、窒素含有炭素材料の前駆体として最も窒素含有量の多い樹脂であるメラミン樹脂を加熱処理して窒素含有炭素材料を得る。
<メラミン樹脂の製造>
メラミン252gと37%ホルムアルデヒド水溶液650mLを混合し、攪拌しながら6mol/Lの水酸化カリウム水溶液を少量加えて、pH8〜9にした。還流させながら、80℃で攪拌して50時間重合させた。この間、適宜水酸化カリウム水溶液を加えてpHを8〜9に保つようにした。50時間後に加熱を停止し冷却し、1500gの水を添加して反応液から分離してきた粘調な樹脂を取り出し、80℃で真空乾燥させてメラミン樹脂を得た。
[比較例1]
上記で得られたメラミン樹脂12gを内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて800℃まで昇温させ、800℃で1時間ホールドして加熱処理をして、1.5gのメラミン樹脂炭化物を得た。窒素ガスの酸素濃度は、微量酸素分析計(306WA型、テレダインアナリティカルインスツルメント社製)を用いて測定した1ppmである。
得られたメラミン樹脂炭化物1.5gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、200Ncc/ min.の窒素気流中で60分かけて850℃まで昇温し、850℃になったところで、400Ncc/ min.の二酸化炭素と窒素の混合ガス気流に(二酸化炭素 50vol%)切り替えて、2時間、賦活処理を行った。賦活処理終了後に200Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、0.8gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.07、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.34であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積90m/gであった。
[比較例2]
比較例1のメラミン樹脂炭化物の製法を反復してメラミン樹脂炭化物を得た。
得られたメラミン樹脂炭化物1.5gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて750℃まで昇温し、750℃になったところで、純水の中をバブリングさせた窒素ガス気流に切り替えて、4時間、賦活処理を行った。このときの水蒸気濃度は、純水の減少量から計算して3vol%であった。賦活処理終了後に300Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、0.9gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.10、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.31であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積80m/gであった。
[比較例3]
ポリアクリロニトリル12gを内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて800℃まで昇温させ、800℃で1時間ホールドして加熱処理をして、4gのポリアクリロニトリル炭化物を得た。窒素ガスの酸素濃度は、微量酸素分析計(306WA型、テレダインアナリティカルインスツルメント社製)を用いて測定した1ppmである。
得られたポリアクリロニトリル炭化物3.5gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、200Ncc/ min.の窒素気流中で60分かけて850℃まで昇温し、850℃になったところで、400Ncc/ min.の二酸化炭素と窒素の混合ガス気流に(二酸化炭素 50vol%)切り替えて、2時間、賦活処理を行った。賦活処理終了後に200Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、1.8gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.06、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.27であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積80m/gであった。
[比較例4]
比較例3のポリアクリロニトリル炭化物の製法を反復してポリアクリロニトリル炭化物を得た。
得られたポリアクリロニトリル炭化物3.5gを、内径25mmの石英管に充填し、大気圧下、300Ncc/ min.の窒素気流中で50分かけて750℃まで昇温し、750℃になったところで、純水の中をバブリングさせた窒素ガス気流に切り替えて、4時間、賦活処理を行った。このときの水蒸気濃度は、純水の減少量から計算して3vol%であった。賦活処理終了後に300Ncc/ min.の窒素気流に切り替えて降温して、1.9gの窒素含有炭素多孔体を得た。
(CHN分析結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)は0.08、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)は0.24であった。
(比表面積の測定結果)
得られた窒素含有炭素多孔体の比表面積70m/gであった。
上記の結果を表1にまとめた。
Figure 0004767206
また、表1の数値に基づいて図3〜5を作成した。図において横軸は(H/C)、縦軸は(N/C)である。
図3には二酸化炭素賦活を行った実施例1、比較例1、比較例3の結果を、図4には水蒸気賦活を行った実施例2、実施例3、比較例2、比較例4の結果を示す。また、図5に実施例1、2、3、比較例1、2、3、4の結果をまとめた。この結果から、本発明の窒素含有炭素多孔体は、窒素含有量が高い窒素含有炭素多孔体であることがわかる。
本発明の製造方法は、省資源、省エネルギー、工程数が少ない、安価な窒素含有炭素多孔体の製造方法として有用である。
青酸を重合する工程においては、アクリロニトリル等の基礎化学品の製造工程において、副生物として製造されている青酸を用いるため、省資源、省エネルギーとなる製造方法である。さらに容易に重合するため製造が簡便である。あるいは前記工程から廃棄されている従来活用されていなかったアズルミン酸自身を用いることもできる。アズルミン酸は、さらさらな粉末であるために、取り扱い性にも優れている。従って、省資源、省エネルギー、工程数が少ない、安価な窒素含有炭素多孔体の製造方法である。
また本発明の窒素含有炭素多孔体は、比表面積が大きく、窒素原子の比率が高く、水素原子の比率が低い窒素含有炭素多孔体である。
本発明の窒素含有炭素多孔体は、吸着材や触媒担体、キャパシタ用電極、燃料電池の電極触媒などの用途として有用である。
図1は本発明による窒素含有炭素多孔体を製造するための工程の概略図を示す。 本発明の窒素含有炭素多孔体のレーザーラマンスペクトル図の一例の模式図を示す。 実施例1で得られた窒素含有炭素多孔体と比較例1、3で得られた窒素含有炭素多孔体とを比較した図を示す。 実施例2、3で得られた窒素含有炭素多孔体と比較例2、4で得られた窒素含有炭素多孔体とを比較した図を示す。 実施例1、2、3で得られた窒素含有炭素多孔体と比較例1、2、3、4で得られた窒素含有炭素多孔体とを比較し、式(I)による実施例と比較例の境界を示した図である。

Claims (4)

  1. 窒素含有炭素多孔体の製造方法において、アズルミン酸を不活性ガス雰囲気中で加熱処理した後に、賦活処理することを特徴とする窒素含有炭素多孔体の製造方法。
  2. アズルミン酸を酸素含有ガス存在下で加熱処理した後に、不活性ガス雰囲気中で加熱処理することを特徴とする請求項1記載の窒素含有炭素多孔体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法で製造された窒素含有炭素多孔体。
  4. 下記の条件(1)及び(2)を満たす窒素含有炭素多孔体。
    (1)炭素原子に対する窒素原子の原子数比(N/C)、炭素原子に対する水素原子の原子数比(H/C)との下記の関係式(I)を満たすこと。
    (N/C)>0.04+0.25×(H/C) (I)
    (2)比表面積が300m/g以上。
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