JP4766821B2 - 基板にコーティングを施すための真空モジュール(及びその変形)とモジュールシステム - Google Patents

基板にコーティングを施すための真空モジュール(及びその変形)とモジュールシステム Download PDF

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Description

【0001】
提案する真空モジュール及びそれの変形は、キネスコープ、フラットディスプレイのような立体基板を含めた基板上への材料の真空堆積の分野において、正面上に多層薄膜コーティングを施す目的で用いるために設計され、真空堆積システム内において使用可能である。
【0002】
提案するモジュールのシステムは、例えば、キネスコープ、フラットディスプレイなどの基板にコーティングを施すために設計され、例えば、大きさが14インチ、17インチ、19インチ、21インチなどのキネスコープまたはフラットディスプレイのような同じまたは異なる標準サイズの基板上へ種々の薄膜を堆積させるシステム用の連続作動システムとして利用可能である。
【0003】
組み立て後にキネスコープ(ブラウン管(CRT))の外面に薄膜コーティングを施す方法及び装置が、知られている。
【0004】
先行技術の装置における堆積チャンバーは、堆積領域と排気領域とからなる差動式排気システムを備える。
【0005】
装置の作動中において、堆積領域における圧力は、1×10-1から8×10-1Paの範囲内であり、排気領域における圧力は、5×10-3から7×10-2Paの範囲内である。
【0006】
基板キャリヤー上のCRTは、真空チャンバーに沿って搬送される。基板キャリヤーには、真空チャンバーの体積を2つの領域に、すなわち堆積領域と排気領域とに仕切るバリアプレートが備えられる。先行技術の装置における導電コーティングは、表面の静電荷を除去しやすいように、例えばマグネトロンスパッタリングを利用して、CRT画面のバンデージベルトとまたは他の接地部分と隣接した面の部分上に真空堆積される。[1]
しかしながら、先行技術の装置には著しい欠点がある。
【0007】
第1に、連続処理装置であるその装置は、低パフォーマンスであるという特徴を有する。
【0008】
第2に、組み立てたCRTを真空チャンバー内に搬送することによって、種々のタイプの汚染物質や不純物が構成部品面から被コーティング面に到達してしまうので、所望のコーティング品質が保証されない。
【0009】
第3に、インラインCRTコーティングプロセスは、連続的に続いて行われるので、システムの個々のユニットのどんな故障でも、システムの完全停止につながる。これは、装置のパフォーマンスを低減させる装置の信頼性と有用性とが低いことを意味する。
【0010】
第4に、種々の予防及び調整のための操作は、製造プロセス全体の完全な運転停止につながる。
【0011】
第5に、全ユニット及びサブシステムの作動には、システム全体を作動させる必要があるので、システムパフォーマンスに比例して堆積材料でコーティングが行われる1つのCRTごとのエネルギー消費の低減は、不可能であること。
【0012】
基板を配置するように設計された開口部を有する真空チャンバーと、シール部材と、コーティングを施すように設計されたコーティング処理装置とを備えた真空堆積装置もまた知られる。
【0013】
その構成は、真空チャンバー開口部の面と平行な面内に装着されるとともに、開口部を有するチャンバー空間部分と、堆積源が配置されたチャンバー空間部分とを仕切るように設計されたバルブゲートを備える。
【0014】
従って、堆積源−搬送機構は、基板が配置される面に垂直な面において堆積源を搬送する、すなわち、堆積源を基板に対して交互に作動位置に配置しそこからそれを引き出すように持ってくる。[2]
しかしながら、先行技術の装置には、いくつかの欠点がある。
【0015】
第1に、基板面に垂直方向にのみ堆積源を搬送することによって、基板上におけるコーティングの厚さについて均等性及び均一性が得られず、その断面寸法が、基板面から堆積源までの距離を超える。
【0016】
第2に、前記装置では、基板面の最終イオンクリーニングを行うことができない。
【0017】
第3に、先行技術の装置では、コーティング深さを光学またはクォーツにより制御することが困難であり、その結果、CRTまたはフラットディスプレイ上において多層膜構造体をコーティングするプロセスの再現ができない。
【0018】
基板面上における薄膜コーティングの品質、均等性及び均一性を改良すること、施されるコーティングの純度を保証すること、装置の機能性及び処理能力を拡大すること、基板上における連続コーティング処理及び、未処理基板とコーティング済み基板との迅速な交換を提供することが、本発明の目的である。
【0019】
目的を達成するために、基板を配置するように設計された開口部を有する真空チャンバーと、シール部材及びコーティング用に設計された処理装置と、真空チャンバー開口部の面に平行な面内に装着されるとともに処理装置のあるチャンバー空間部分と開口部とを仕切るように設計されたバルブゲートと、処理装置搬送機構とを備える、基板上をコーティングする真空モジュールにおいて、本発明(変形1)によって、処理装置搬送機構は、基板面に平行に往復動可能に装着される。
【0020】
さらに、本発明(変形2)によれば、真空チャンバーは、基板配置用の少なくとも2つの開口部を有し、処理装置は、基板表面に平行に往復動するように装着される。
【0021】
本発明のもう一つの変形(変形3)によれば、真空チャンバーは、基板を配置するように設計されたカバーがさらに取り付けられ、また、処理装置搬送機構は、基板表面に平行に往復動可能に装着される。
【0022】
上述の目的はまた、発明としてクレームに記載された、基板にコーティングを施すためのモジュールシステムを提供することによって達成され、該システムは、提案した変形のいずれかにより構成されるとともに共通の真空ポンピングシステムを有した少なくとも2つの真空モジュールを備え、本発明によれば、該モジュールは、共通のポンピング制御システムと、自動的に基板を搬出入するように設計されプロセスセンサーを有した共通のハンドリング装置制御システムとを有し、モジュールの群の少なくとも一部が、共通のマニピュレータの作動範囲内に配置される。
【0023】
発明として提供されるモジュールの変形において、真空チャンバー開口部の外周は、被コーティング面の輪郭に適合する。
【0024】
モジュールは、基板を保持するように設計された基板キャリヤーがさらに設けられ、モジュールは、開口部なしで形成可能だが、1つの開口部または複数の開口部を有して形成可能である。
【0025】
基板は、基板キャリヤー面上に、また基板キャリヤー面上に形成された開口部上に配置可能であり、この場合、基板キャリヤーは、取り外し可能に形成できる。
【0026】
基板を保持するために、基板キャリヤーは、モジュールの外部に配置可能であり、従って、基板を1つの場所から別の場所へ安全に搬送し、続いてモジュール上にそれを配置することが保証される。
【0027】
基板キャリヤーが、モジュール真空チャンバーの1つのまたは複数の開口部領域内、或いは真空チャンバーカバー領域内のいずれかに配置された場合、それの外周に沿ってシール部材が配置された基板キャリヤーによって、基板の保持だけでなく密閉も行うことができる。
【0028】
この場合、基板キャリヤーは、処理装置の移動面に平行に配置される。従って、基板キャリヤー開口部の外周は、被コーティング面の輪郭に常に適合し、また、基板キャリヤーに、基板の配置用に少なくとも1つの開口部を設ける場合において、基板キャリヤー開口部のパラメータは、常に、被コーティング面の輪郭と適合し、それと同時に、基板キャリヤー開口部には、それの輪郭に沿って装着されるとともに基板を保持するように設計された少なくとも1つのシール部材を設けなければならない。
【0029】
真空チャンバー、基板キャリヤー及び/またはカバーが2つまたはそれ以上の開口部を伴って形成される場合、それらの全てには、基板配置面に平行な面内に装着された各開口部用に1つまたはいくつかの個々の追加のバルブゲートと、真空チャンバー、基板キャリヤーまたはカバー内の開口部の数によりその数が確定するシール部材とを設ける。
【0030】
さらに、特定の場合において、基板配置用の開口部がないカバー及び/または基板キャリヤーを用いることができる。この場合、小形の基板が、真空チャンバーの内部の方向を向いて、カバー及び/または基板キャリヤーの内部上に保持される。基板キャリヤーを伴った基板は、必要に応じて、真空チャンバーカバーに対して保持され得る。従って、カバー自体は、基板キャリヤーとして機能し得る。
【0031】
全てのモジュールの変形において、処理装置搬送機構は、キャリッジの形状に形成可能である。
【0032】
キャリッジ上に配置される処理構成要素は、蒸発器、マグネトロンカソード、グロー放電ターゲット、イオンクリーニングシステム及び、回転プリズムを有するイオンスパッタリングシステムを含む構成要素の群から選択することにより構成され、回転プリズムは、真空チャンバー開口部の面に平行に装着され、それの少なくとも1つの作用面には、スパッタリングされる材料が備えられる。
【0033】
この場合において、処理構成要素は、交換可能に構成され、処理装置上におけるそれらの組は、所望の処理ステップとスパッタリングされる材料とにより確定される。
【0034】
さらに、基板キャリヤーと同様に、真空チャンバーカバーは、1つの開口部または少なくとも2つの開口部を有し得、基板を保持するように設計されたシール部材が、それの輪郭に沿って装着される。
【0035】
本発明によれば、カバーは、取り外し可能にかつ/または交換可能に形成することができ、種々の標準サイズの基板を装着するために開口部について異なるパラメータを有し得る。カバーは、基板キャリヤーとして使用可能であり、真空チャンバーカバー内に形成された開口部内に配置される基板面に平行に往復動可能に装着される処理装置の移動面に平行に配置可能である。
【0036】
真空モジュールの構成及びそれの実施形態の変形は、同様の態様に用いられる従来の装置のものと比較して非常に重要な利点を有する。
【0037】
よって、例えば、基板面に平行に往復動するように装着された処理装置搬送機構によって、実際に種々のサイズの薄膜コーティングを基板に堆積させることができ、それはまた、真空チャンバーの1つの開口部(変形1)、または、基板キャリヤー及び/またはカバーの複数の開口部(変形2)のサイズにより決まり、さらに、被コーティング面を滑らかにかつリズミカルにスキャンすることにより、コーティング厚さを均等かつ均一にすることができる。
【0038】
真空チャンバー、基板キャリヤー及び/またはカバー内に設けられる開口部の外周を堆積面の輪郭に適合させることによって、堆積面の全領域が高精度で処理されて、基板面上に高品質の薄膜堆積を行うことができる。
【0039】
さらに、交換可能なカバー及び/または基板キャリヤー内の開口部は、サイズが異なるので、異なる標準サイズの基板、例えば(例えば14インチ、17インチ、19インチ、及び21インチの)CRTまたはフラットディスプレイを配置するために使用できる。
【0040】
開口部は、処理装置の移動面に平行に真空チャンバー開口部の領域内に配置される基板キャリヤー及び/またはカバー内に設けなくてもよい。これによって、サイズの小さい基板の、真空チャンバーの内部方向を向いた面上を保持することができるので、モジュールの多機能性が増すと同時に、基板表面上に堆積される薄膜を高品質に維持することができる。
【0041】
また基板キャリヤー及び/またはカバー内に形成される開口部によって、異なる標準サイズの基板の同時処理が可能となるので、真空モジュールのパフォーマンスが改善され、機能性が拡大し、これらの開口部のパラメータが被コーティング面の輪郭に適合することから、基板表面上における高品質のコーティングが保証される。
【0042】
真空チャンバー、基板キャリヤーまたはカバーの開口部内に配置されるシール部材によって、基板の開口部への緊密な設置が保証されるので、これにより、基板表面上において密閉が行われ薄膜の堆積が高品質になる。
【0043】
基板キャリヤー及び/またはカバーが取り外し可能に形成され得ることから、これによって、モジュールの多機能性が保証される。
【0044】
この場合、モジュールカバーは、処理装置の移動面と平行に配置される。
【0045】
処理装置は、基板表面に平行に往復動可能となるように装着される。カバー、基板及び処理装置のこのような相対的な構成によって、真空モジュールの多機能性ばかりでなく、標準サイズを超える範囲の基板に施されるコーティングの高品質もまた保証される。
【0046】
本発明により構成された搬送機構によって、異なる材料またはそれの酸化物、或いは他の材料のコーティングを基板表面上に堆積させている間に連続処理を実際に行うことができる。
【0047】
第1の変形(図1)によって基板にコーティングを施すための真空モジュールは、基板3を配置するように設計された開口部2を有する真空チャンバー1と、シール部材4及び処理装置5と、真空チャンバー1の開口部2の面と平行な面において装着されるとともに処理装置5を有したチャンバー1の空間の一部分と開口部2とを仕切るように設計されたバルブゲート6と、処理装置5を搬送するための機構7とを備える。
【0048】
処理装置5を搬送するための機構7は、基板3の面に平行に往復動するように装着されることに留意すべきである。
【0049】
第1の変形とは異なり、第2の変形(図2)において説明する真空モジュールは、基板3(3’)を配置するための少なくとも2つの開口部2、8を備え、また処理装置5は、基板3(3’)の面に平行に往復動可能に装着される。
【0050】
第3の変形に係る真空モジュールは、最初の2つの変形と区別して、基板3(3’)を配置するように設計されたカバー9(図3のD、E、F)と、前記基板の面と平行に往復動するように装着された、処理装置5を搬送するための機構7とを備える。
【0051】
前記種々の変形により構成されたモジュールには、基板キャリヤー10を備えることができ、該基板キャリヤー10は、真空チャンバーの開口部領域の外側に配置することができ、それにより、この場合には、基板を保持すること、及び、1つの場所から別の場所へ基板を安全に搬送することが保証される。
【0052】
他の場合において、基板キャリヤーは、真空チャンバー1の開口部2または開口部2、8の領域内に配置可能であり、開口部なしに或いは、基板3(3’)を配置するために少なくとも1つの開口部11または2つの開口部11、(11’)(図3、A、B、C)を伴って、かつ、開口部11(11’)の外周に沿って配置され基板3(3’)を保持するように設計されたシール部材12(12’)を伴って、設計することができる。その上に、基板キャリヤー10は、取り外し可能とすることができる。
【0053】
シール部材4、4’を有する、真空チャンバー1の開口部2、8によって、基板キャリヤー10は、真空チャンバー1の開口部2、8に対して緊密に設置されかつ保持され得る。
【0054】
基板キャリヤー10の開口部11(または開口部11、11’)の外周は、被コーティング面の輪郭に合致し、基板キャリヤー10は、処理装置5の移動面に平行に装着される。
【0055】
真空モジュールの第3の変形において、真空チャンバー1のカバー9は、基板キャリヤー10のように、開口部なしで形成されるか或いは1つの開口部13または2つの開口部13及び14を有し得、開口部13及び14上に配置される基板3、3’を装着し密封するためにシール部材12a及び12bを備え得、取り外し可能とされ得る(図3、D、E、F)。
【0056】
この場合において、シール部材12a及び12bは、正確にカバー9の開口部13及び14の輪郭に沿って前記開口部上に装着される。
【0057】
さらに、カバー9は、基板キャリヤー10のように、または、基板キャリヤー10及び基板をその上に配置するように、用いることができる。この場合において、カバーは、処理装置5の移動面に平行に装着される。
【0058】
上述の2つの真空モジュールの(第1及び第2の)変形におけるのと同様に、カバー9の緊密な設置及び保持を保証するシール部材4、4’は、第3の実施形態においてコーティングされる面の輪郭に合致する、真空チャンバー1の開口部2または開口部2、8の外周に沿って装着される。
【0059】
例えば、モジュールの変形は、真空チャンバー1(変形2)内にまたはカバー9(変形3)内に2つまたはそれ以上の開口部を備え、真空チャンバーには、基板配置面に平行な面において装着される各開口部用の追加の別個のゲート15を備えることができる。
【0060】
モジュールの第1、第2、及び第3の変形において、真空チャンバー1内において、或いは、基板キャリヤー10(変形1、2、3)またはカバー9(変形3)内において形成される開口部の外周は、コーティングされる面の輪郭に最適に合致させなければならず、これらの開口部上に装着されるシール部材は、前記開口部の輪郭に合致させなければならない。
【0061】
さらに、すべてのモジュールの変形には、処理用構成要素を備えた処理装置5を搬送する機構7としてキャリッジ16を用いることが含まれる。
【0062】
キャリッジ上における処理用構成要素の構成は、蒸発器17と、マグネトロンカソード18と、カソードスパッタリングターゲット19と、イオンクリーニングシステム20と、回転プリズム22を有するイオンスパッタリングシステム21とからなる群から選択され、回転プリズム22は、真空チャンバー1の開口部面に平行に取り付けられ、それの少なくとも1つの作用面23に、スパッタリングされる材料が提供される(図4)。
【0063】
さらに、すべての処理構成要素17、18、19、20、21、22及び23は、交換可能とされ、それらの処理装置上への設置は、所望の処理ステップとスパッタリングされる材料とにより決まる。
【0064】
(3つのすべての変形の)モジュールはまた、ガス、水、電力供給システム24(図1)と、堆積膜厚を制御する光学装置25及びクォーツ装置26(図2)とを備え、さらに、補助ポンプ27及び拡散ポンプ28(図1)と、任意に追加される補助ポンプ29(図2)とを備える。
【0065】
真空モジュールにはまた、バルブV1、V2、V3及びV4と、ドライブC1とが備えられ、またバルブV1、V2、V3及びV4は、ポンプ27、28及び29を真空チャンバー1に接続することに役立ち、ドライブC1(図1)は、ゲート6または、ゲート6及び15(図2)の開閉に用いられる。
【0066】
図5は、基板3(3’)の搬出入を行う自動モードにおいて基板上をコーティングし、例えば3つの変形のいずれかにより構成される2つの真空モジュール30、31を備えるモジュールのシステムを示す。
【0067】
前記モジュールには、共通の排気システム32と、プロセスセンサー33と、共通の排気制御システム34と、トランスポータ36及び共通のマニピュレータ−ローダ37を含むとともに基板3(3’)の自動搬出入を行うように設計された共通のハンドリング装置制御システム35と、排気ステーション38、39とが備えられる。前記モジュールは、共通のマニピュレータ−ローダ37の作動領域内に配置されることに留意すべきである。
【0068】
発明として提案される高真空モジュール(変形1)が、以下に説明するように作動する。
【0069】
拡散ポンプ28は、最初に作動させる際に、十分に加熱され作動モードになるまで補助ポンプ27を利用して開口したバルブV3を介して排気される。
【0070】
次に、真空チャンバー1は、補助ポンプ27を用いてバルブV2を介し特定の圧力まで排気される。バルブゲート6は、初期状態では閉鎖され真空チャンバー1の空間部分8を仕切っており、その内部に開口部2からプロセス装置5が配置される。
【0071】
一度所望の圧力に達すると、バルブV2は閉鎖され、拡散ポンプ28は、内部が所望の真空圧力となるように真空チャンバー1の空間に接続される。
【0072】
同時に、基板3(例えば、前方CRT面)は、真空チャンバー1の開口部2上に装着された弾性シール部材4上に、または、基板キャリヤー10の開口部11上に装着されたシール部材12上に配置され、次に、バルブV1が開口し、弾性シール部材及びゲート6と、基板の前方面とにより確定される空間が、補助ポンプ27を用いて排気される。一度、所望の圧力に達すると、バルブV1は閉鎖され、ゲート6が、ドライブC1、例えば空気圧式シリンダー(図面には図示せず)を用いて開口される。
【0073】
いくらか時間が経った後、真空チャンバー1全体の最初の圧力は、バランスがとれて、所定の値に達する。
【0074】
一度、所望の圧力に達すると、基板上の技術的コーティング方法が、実際に始まる。
【0075】
この目的のために、一般にArまたはO2である作用ガスが、初めのプロセス段階においてガス、水、電力供給システム24(図1)からイオンクリーニングシステム20に給送され、処理装置5の搬送用に例えばキャリッジ16の形態とされた機構7が、作動する。
【0076】
処理装置5は、特定の材料を基板前方面上に堆積することに関連した特定の処理を実行するために必要な処理構成要素17、18、19、20、21、22及び23(図4)を装着している。
【0077】
高電圧が、イオンクリーニングシステム20に印加され、一定の時間間隔内で、基板3の表面が、ガス−ディスチャージイオン(gas-discharge ions)に晒される。この時間の終了時において、供給ユニット及び作用ガス供給制御システムは、真空チャンバー1内が特定の圧力に達するようにアルゴン−酸素混合物をガス本管内へ給送する。
【0078】
次に、イオン電流が、イオンスパッタリング源21から回転式プリズム22に供給され、プリズム22の面23上に配置された材料の1つが、基板3上にスパッタリングされる。
【0079】
この場合、処理装置5搬送用のキャリッジ16または種々の他の機構7は、基板3の表面に平行に往復動する。
【0080】
基板3の前方面上に第1の層を堆積する時間間隔中において、処理の終了を指示する装置、特に光学制御センサー25及びクォーツ制御センサー26(図2)が作動し、一度指示装置において信号が所望の値を示すと、第1の層の堆積プロセスは、停止する。
【0081】
ガス混合物の供給を断ち切った後、プリズム22は、面23の1つの位置へ回転し、その上に別の材料がまた配置される。
【0082】
アルゴン−酸素ガス混合物が、イオンスパッタリングシステム21に給送され、高電圧が印加され、ガス放出に高熱が加えられる。次に、キャリッジ16が移動モードになっている間に、材料、特に酸化複合材料(oxide composite)が、一定の時間間隔中において基板3の表面上にスパッタリングされ堆積する。
【0083】
信号が、指示装置、すなわち光学制御センサー25及びクォーツ制御センサー26において所定の値に達すると、第2の層の堆積が終了する。
【0084】
さらに、第1及び第2の層の基板3上における堆積プロセスは、所望の通り何度も繰り返される。
【0085】
他の場合において、基板表面上に堆積させる材料の組み合わせは、別のものにしてもよく、また、回転式プリズム22のいくつかの作用面23上に配置される純金属及びそれの酸化物や窒化物、或いは回転式プリズム22の他の作用面23上に配置される他の化合物を含み得る。
【0086】
この目的のために、必要なガスは、ガス、水、電力システム24(図1)を通じて、処理構成要素17、18、19、21、22、23及び、処理装置のイオンクリーニングシステム20(図4)に給送される。
【0087】
膜層を施す目的により異なるが、光学(反射と透過)制御センサー25及びクォーツ制御センサー26ばかりでなく、それらの組み合わせもまた、指示装置として使用可能である。
【0088】
最小スキャニング範囲において基板3の表面コーティングの最大均一性を保証するために、特別に開発され、処理構成要素17、18、19、20、21、22及び23を基板3に対してキャリッジ16上に配置することでキャリッジ16によりスキャニングを行うようにコンピュータ制御指令を与える設計が行われたソフトウェアプログラムを利用する。
【0089】
その結果、酸化物及び金属が交互となったコーティングが、基板3の表面上に形成される。金属層の伝導性によって、一定の低い抵抗性が保証されるとともに、酸化物を用いることによって、基板3の正面の反射率が低減する。
【0090】
一度、基板3上におけるコーティングプロセスが完了すると、バルブゲート6は、閉じられ、空気は、基板の真下の空間内に給送され、次に、基板3は、真空チャンバー1の開口部2から取り外され新しい基板と入れ換えられる。この場合において、処理構成要素を装着した処理装置5は、高真空領域内にとどまっている。
【0091】
新しい基板を配置した後、サイクルが繰り返される。
【0092】
注目すべきことは、連続して高真空環境に晒される、処理装置5の処理構成要素が、長時間予防上のクリーニングや修理をせずに作動することである。その上、真空チャンバー壁や機械設備から堆積剥離されるピリングや、それによる処理構成要素の汚れが、観察されないことである。
【0093】
変形2により構成されたモジュールの作動を保証するためには、真空チャンバー1に少なくとも2つの開口部2及び8を備え、処理装置5を基板3及び3’の表面に平行に往復動させ、真空チャンバー1に追加の補助ポンプ29を備え、連続してバルブ3を介して拡散ポンプ28の排気を行って、それにより、モジュールの作動準備をより速く整えることができる。
【0094】
2つの作動開口部2及び8と、ゲート6及び15とを有するモジュール(図2)が最初に作動する際には、基板3とバルブゲート6と、基板3’とバルブゲート15との間の真空チャンバー1の空間は、補助ポンプ27を用いてバルブV1及びV4を介して交互に排気される。
【0095】
ゲート6及び15は、初期状態において閉鎖され、開口部2及び8から真空チャンバー1の空間を仕切る。モジュールにより作動準備が整うと、基板3が、真空チャンバー1の開口部2のシール部材12(図2)上に配置される。ゲート6と基板3との間の空間は、補助ポンプ27でバルブV1を介して排気される。
【0096】
一度、真空チャンバー1の前記空間内が特定の圧力に達すると、ゲート6が開き、基板3上においてコーティングプロセスが始まる。
【0097】
この目的のために、例えば、キャリッジ16の形状を有しかつ、その上に配置される処理構成要素17、18、19、20、21、22及び23のセットを有するように、形成された搬送機構7は、上述と同様の方法で、基板3の表面へ所望の層数を交互に堆積するために開口部2の領域内において基板3の表面をスキャンする。
【0098】
真空チャンバー1の開口部2上に配置された基板3がコーティングプロセスに晒されている間に、第2の基板が、シール部材12’(図2)を伴って開口部8上に配置され、ゲート15により画定される真空チャンバー1の空間と第2の基板とが、補助ポンプ27を用いてバルブV4を介して排気される。
【0099】
基板3上におけるコーティングプロセスが完了する時までに、所望の圧力が、真空チャンバー1の開口部2上に配置された第2の基板の下方において生じる。
【0100】
一度、基板3上におけるコーティングプロセスが終了すると、バルブゲート6は閉じ、基板3は入れ替えられ、バルブゲート15が直ちに開き、処理構成要素を上に配置したキャリッジ16が、上述の方法により、真空チャンバー1の開口部8の領域内に配置された第2の基板の表面に必要な数の層を交互に堆積するために、表面のスキャンを開始する。
【0101】
従って、前記第2のモジュール変形において、処理構成要素は、必要な構成において連続して作動し、まず開口部2の領域内に配置された基板上において、次に開口部8の領域内に配置された第2の基板上において交互のコーティングプロセスを行う。
【0102】
前記モジュールの変形はまた、基板キャリヤー10が緊密に設置されるとともに真空チャンバー1の開口部2または開口部2、8を保持することを保証するシール部材4、(4’)上に装着された基板キャリヤー10の利用を可能にする。
【0103】
この場合において、例えば開口部を有してない基板キャリヤー10(図3、A)は、処理装置5の作動面に平行に装着され、小形の基板が、真空チャンバー1内を向いた面に対して保持される。
【0104】
前記基板の表面上におけるコーティングプロセスが、上述の方法で行われる。
【0105】
基板キャリヤー10は、モジュール外部に配置される場合、それの面上におけるかまたはそれの内部に形成された開口部上における基板の固定部材として機能し、表面をコーティングするためにモジュール上に基板を搬送し配置することを容易にする。
【0106】
或いは、基板キャリヤー10は、取り外し可能にすることができ、基板3(3’)が配置されそれに対するコーティングプロセスが上述の方法と同様の方法で行われる、シール部材12(12’)を有する少なくとも1つの開口部11(11’)を備えることができる。
【0107】
モジュールの第3の変形において、それは、基板を配置するように設計されたカバー9を備え、処理装置搬送機構5は、真空チャンバー1のカバー9内に配置される基板の表面に平行に往復動し得るように装着される。
【0108】
前記モジュールの変形において、カバー9は、取り外し可能とすることができ、基板キャリヤー10として使用可能である。第2のモジュールの実施形態と同様に、小形の基板は、開口部なしに形成されるとともに内側方向に真空チャンバー1の方を向いたカバー9の面に保持可能であり、前記基板の表面上におけるコーティングプロセスは、本明細書において上述の方法によって行われる。
【0109】
その上、シール部材で固定される1つ、2つまたはそれ以上の大形基板を配置するように設計された1つの開口部13、2つの開口部13、14またはそれ以上の開口部をカバー9内に形成可能である。
【0110】
基板上におけるコーティングプロセスは、モジュールの第1及び第2の変形について説明した方法を利用して行われる。
【0111】
提案した変形のどれかによって構成される真空モジュールを用いた、
CRT (基板)の表側ガラス面上における薄膜コーティングプロセスの
特定の実施形態
変形1により構成される真空モジュールは、CRTの正面側ガラス面上をコーティングするために以下の方法でかつ以下のモードで作動する。
【0112】
最初に、拡散ポンプ28が、加熱され作動モードになるまで補助ポンプ27を用い開いたバルブV3を介して排気される。
【0113】
次に、真空チャンバー1は、補助ポンプ27でバルブV2を介して圧力が約6〜10Paに下がるまで排気される。バルブゲート6が、初期状態において閉じられ、処理装置5を有する真空チャンバー1の空間の一部分を開口部2から仕切る。
【0114】
一度、前記圧力に達すると、バルブV2は閉じ、拡散ポンプ28は真空チャンバー1の空間に接続され、内部は約1.3×10−3 Paの圧力となる。
【0115】
CRTの正面ガラス面が、真空チャンバー1の開口部2上に配置された弾性シール部材4上に配置される。次に、バルブV1が開き、補助ポンプ27が用いられて、CRT正面ガラス面とゲート6とにより画定される空間内の圧力が約10Paとなる。一度、前記圧力に達すると、バルブV1は閉じ、ゲート6は、(図面には図示していない)空気圧式シリンダーのドライブC1により開く。
【0116】
30秒後に、最初の圧力は、真空チャンバー1の空間中においてバランスがとれ、約8×10-3Paの値に到達する。前記圧力に達すると、CRTの正面ガラス面上におけるコーティングプロセスが、実際に始まる。
【0117】
この目的のために、一般にArまたはO2である作用ガスが、第1のプロセス段階においてイオンクリーニング源20に給送され、イオンクリーニング源20と、面23の1つの面の上には金属がかつ他の1つ面の上には金属酸化物が配置される回転プリズム22を有するイオンスパッタリング源21(図4)とを装着してキャリッジ16の形状に形成された搬送機構7が、作動する。
【0118】
2〜2.5kVの高電圧が、イオンクリーニング源20のアノードに印加され、キネスコープガラス面が、0.5〜1分間ガス−ディスチャージイオンに晒されて、これにより、種々の不純物から前記面が十分にクリーニングされる。
【0119】
その時間が経過した後、アルゴン−酸素のガス混合物が、電力供給ユニット及び作用ガス給送制御システムを用いて、ガス、水、電力システム24のガス本管へ給送されて、真空チャンバー1内における圧力が、7〜8.5×10-2Paに達する。
【0120】
次に、0.4〜0.6Aのイオン電流が、イオンスパッタリング源21から回転プリズム22へ供給され、金属、例えば回転プリズム22の面23の1つの面上に配置されるIn−Snが、1分間CRTガラス面上に堆積する。
【0121】
そうなっている際に、上に配置された処理構成要素を有するキャリッジ16は、CRTガラス面に平行に往復動する。
【0122】
第1の層がCRT正面ガラス面上に堆積する時間間隔中に、プロセス終了指示装置、特に、光学制御センサー25及びクォーツ制御センサー26(図2)が作動し、一度信号が指示装置において所望の値になると、第1の層の堆積プロセスは、停止する。
【0123】
ガス混合物の供給が断ち切られると、プリズム22は、別の面を伴い回転し、その上に、別の材料が配置される。
【0124】
アルゴン−酸素のガス混合物は、イオンスパッタリング源21に給送され、2000〜3500Vの高電圧が印加され、電流約0.3〜0.4Aによりガスが点火され、その作動状態の下で、第2の層、特に例えばSiOのような第2の非金属の酸化物が、1〜2分間CRTガラス面上にスパッタリングされ、それと同時に、キャリッジ16が、このCRT面に平行に往復動する。
【0125】
第2の層の堆積は、指示装置すなわち光学制御センサー25及びクォーツ制御センサー26において信号が所定の値に達すると終了する。
【0126】
さらに、基板3上に第1及び第2の層をコーティングするプロセスは、コーティングイオンプロセスにより必要な場合には、何度も繰り返される。
【0127】
他の場合において、基板表面上に堆積される材料の組み合わせは、異なるものにすることができ、回転プリズム22の異なる作用面23上に配置される純金属やそれの酸化物及び窒化物、或いは他の合成物を含み得る。
【0128】
この目的のために、必要なガスが、ガス、水、電力供給システム24を通じて処理装置5の処理構成要素18、19、21、22及びイオンスパッタリング源20に給送される。
【0129】
膜層を施す目的により異なるが、光学(反射及び透過)制御センサー及びクォーツ制御センサーばかりではなく、それらの組み合わせも指示装置として利用可能である。
【0130】
最小スキャニング範囲でCRT表面コーティングの最大均一性を保証するためには、特別に開発されたソフトウェアプログラムを利用し、該プログラムは、コーティングされるCRT表面に対して処理構成要素17、18、19、20、21、22及び23が上に配置されたキャリッジ16によってスキャニングを行うコンピュータ制御指令を与えるように設計される。
【0131】
その結果、酸化物及び金属が交互となったコーティングが、CRTガラス面上に形成される。金属層の伝導によって、特定の低い抵抗性、すなわち約10 Ohm/cm2が保証されると同時に、酸化物を用いることによって、CRTガラス面の反射率が最初の6.5%から約1.5%へ低減する。
【0132】
一度、CRTガラス面上におけるコーティングプロセスが完了すると、バルブゲート6は閉じ、空気がCRTの下方の空間内に給送され、次に、CRTは、真空チャンバー1の開口部2から取り外されて新しいCRTと交換される。この場合、処理構成要素を装着した処理装置5は、なお高真空領域内にある。
【0133】
新しいCRTを配置した後、表面上へのコーティングサイクルが繰り返される。
【0134】
注目すべきこととして、高真空環境に連続して晒される処理装置5の処理構成要素が、長時間予防上のクリーニングや修理を必要とせずに作動することである。さらには、真空チャンバー壁や機械設備から堆積剥離されるピリングや、よって処理構成要素の汚れが観察されない。
【0135】
真空チャンバー1に少なくとも2つの開口部2及び8が備えられるとともに処理装置5が基板表面に平行に往復動する、実施形態2により構成されるモジュールの作動を保証するために、連続してバルブV3を介して拡散ポンプ28を排気する追加の補助ポンプ29を備え、それによりモジュールの作動準備をより速く整えることができる。
【0136】
2つの作動開口部2及び8とゲート6及び15とを有するモジュール(図2)を最初に作動させる際に、真空チャンバー1は、バルブV2を介して補助ポンプ27により予備排気され、次に、補助ポンプ27が、バルブV1及びV4を介して開口部2及び8上に配置されたCRTと、バルブゲート6及び15との間の、真空チャンバー1の空間を排気する。
【0137】
ゲート6及び15は、初期状態において閉じており、真空チャンバー1の空間と開口部2及び8とを仕切る。モジュールにより作動準備が整うと、第1のCRTが、真空チャンバー1の開口部2のシール部材12(図2)上に配置される。真空チャンバー1のゲート6と、CRTの表側ガラス面との間の空間が、補助ポンプ27を用いてバルブV1を介して排気される。
【0138】
一度、真空チャンバー1の前記空間内が、約1〜10 Paの特定の圧力に達すると、ゲート6が開き、CRT表面上におけるコーティングプロセスが始まる。
【0139】
この目的のために、処理構成要素17、18、19、20、21、22及び23のセットが上に配置されたキャリッジ16が、開口部2の領域内においてCRTの表面をスキャンし、上述の方法を利用して表面上に所望の数の層を交互に堆積する。
【0140】
真空チャンバー1の開口部2上に配置されたCRTガラス面がコーティングプロセスに晒されている間に、第2のCRT3’が、シール部材12’を伴い第2の開口部8上に配置される(図2)。
【0141】
次に、真空チャンバー1のゲート15と第2のCRT(3’)の表側ガラス面とにより画定される真空チャンバー1の空間が、補助ポンプ27を用いてバルブV4を介して排気される。
【0142】
真空チャンバー1の開口部2上に配置された第1のCRT3の表面上におけるコーティングプロセスが完了するまで、第2のCRT3’の下方における圧力は、約1〜10 Paである。
【0143】
一度、第1のCRTの表面上におけるコーティングプロセスが終了すると、バルブゲート6は閉じ、第1のCRTは次のものと交換され、バルブゲート15が直ちに開く。
【0144】
その時に、処理構成要素のセットが上に配置されたキャリッジ16は、開口部8の領域内に配置された第2のCRTの表面のスキャニングを開始し、上述の方法によりそれの表側の面に交互に必要な数の層を付加する。
【0145】
従って、前記第2のモジュール変形において、処理構成要素は、まず開口部2の領域内に配置された基板3に、次に開口部8の領域内に配置された第2の基板3’に交互に連続して作動しコーティングを施す。
【0146】
真空モジュールのすべての変形におけるような基板キャリヤー10と、モジュールの第3の実施形態におけるようなカバー9とであれば、クレームに記載された対象についての機能上の能力が著しく拡張されるとともに、CRTまたはフラットディスプレイの表側ガラス面のような大きな表面ばかりでなく、開口部を備えず真空チャンバー1の方を向いた基板キャリヤー10またはカバー9に保持され得る小さな表面にも薄膜コーティング可能である。
【0147】
この場合において、前記基板の表面上におけるコーティングプロセスには、なお変更がない。
【0148】
さらに、基板キャリヤー10は、真空モジュールの外側に配置され、基板固定部材として機能し、それの表面上においてコーティングプロセスを行うように、モジュール上に基板を予備的に配置し、搬送し、位置決めするための好適な状態を生み出し得る。コーティングをキネスコープ表面(図5)に施すための、クレームに記載されたモジュールのシステムは、3つの変形のいずれかにより構成されるとともに共通の真空ポンピングシステム32及びプロセスセンサー33を有する少なくとも2つの真空モジュール30、31を備える。
【0149】
これらのモジュール30、31は、共通の真空ポンピング制御システム34と、トランスポータ36及びマニピュレータ−ローダ37を有する共通のハンドリング装置制御システム35とが備えられ、共通のマニピュレータ−ローダ37の作動領域内に配置される無数のモジュールの同時保守点検を可能とする。
【0150】
2つの補助真空排気ステーション38及び39からなる共通の真空ポンピングシステム32と、共通のマニピューレータ−ローダ37とは、異なる変形のモジュールにCRTを配置しそれから取り出す。
【0151】
CRTは、基板キャリヤー10の開口部内に予備的に配置され固定され、マニピュレータ−ローダ37は、それらの表面上に薄膜をコーティングするために基板キャリヤー10と共同してモジュール上にCRTを配置することができる。基板上にコーティングを行うための、クレームに記載されたモジュールのシステムは、以下のように作動する。
【0152】
例えば19インチや21インチの異なる態様のCRT上に同時にコーティングを(2つまたはそれ以上の)モジュールのグループに行わせるためには、モジュール30、31の真空チャンバー内の開口部のパラメータを適合させて、前記開口部上に標準サイズのCRTを配置する。
【0153】
真空ポンピング制御システム34は、真空ポンピングステーション38、39を備える。ステーション39は、モジュール30及び31の共通の排気システム32内に組み入れられた全ての拡散ポンプを排気し、同時に、ステーション38は、前記モジュールの真空チャンバー1の排気を交互に行う。
【0154】
同時に、ハンドリング装置制御システム35は、センサー33を介してトランスポータ36と共通のマニピュレータ−ローダ37とに信号を与え、それらのうち、前者は、CRTを供給し、後者は、正面上のコーティングのためにモジュール30、31の開口部上にCRTを配置する。
【0155】
この場合において、センサー33は、CRTの大きさとタイプについての情報を提供する。この情報を利用して、特定のモジュールで特定のプロセスの変形を開始する、すなわち、コーティングプロセス及びモードは変更しないままで、必要な材料のコーティングを保証する処理構成要素が装着される。
【0156】
共通で作動するコンピュータの特別に開発されたソフトウェアプログラムが、コーティングプロセスを制御する。前記プロセスを行うために、必要な処理構成要素、例えばイオンクリーニング源及び、スパッタリングされる種々の材料を面が含有する回転プリズム22を有したイオンスパッタリング源21が、キャリッジ16上に装着される。
【0157】
他の場合において、他の材料をスパッタリングする必要がある時には、マグネトロンカソード18またはカソード堆積ターゲット19をキャリッジ16上に装着する。いくつかの場合において、キャリッジ16上に、コーティングされる材料の熱源として、例えば蒸発器17のような種々の他の処理構成要素を装着することができる。
【0158】
可撓性のある管やケーブルの組が配置されるケーブル設置機C1と、ガス、水、電力供給システム24とを介して、可動なキャリッジ16上に装着された源21、21のガス主管内に、作用ガスが、給送され、それにより、同時に真空チャンバー1と処理構成要素17、18、19、20、21、22及び23とを冷却しかつそれらに動力を供給する。
【0159】
信号がセンサー33から共通のマニピュレータ−ローダ37に到着すると、後者は、真空チャンバー1の、或いは、異なるモジュールの基板キャリヤー10またはカバー9内の(モジュールの実施形態により異なる)個々の開口部上に、特定の標準サイズのCRTを配置し、一度、前段排気ポンプ(補助ポンプ27)と高真空排気ポンプ(拡散ポンプ)28とを用いて、前記モジュールの真空チャンバー1内が所望の圧力に達すると、モジュールの全ての装置及び構成要素が係合されて、上に開示した方法によりCRTのガラス上においてコーティングプロセスが行われる。
【0160】
基板上におけるコーティング用の提案したシステムの信頼性は、1つまたはいくつかのモジュールの故障によってシステム全体を停止させる必要がないことから、同様の態様の従来の真空インライン型システムの信頼性と比較して高い。
【0161】
さらに、本システムは、必要に応じて、追加のモジュールを組み込むことにより拡大可能であるか、または、それからいくつかのモジュールを取り出すことにより縮小可能である。
【0162】
真空モジュール及びそれの変形の多機能性は、高品質のコーティングを狭い面ばかりでなく広い面にも施すことを保証する。
【0163】
コーティング厚さの光学及びクォーツ制御によって、CRTガラス面上だけでなく他の基板への多層膜構造体のコーティングプロセスを再現することができる。
【0164】
クレームに記載した真空モジュール及びそれの変形は、多機能性を有しかつ特に高パフォーマンスである。
【0165】
その上、その多用性によって、クレームに記載した真空モジュール及びそれの変形は、順応性のある操作真空システムにおいて種々の組み合わせ及び変更を行って基板上をコーティングするために利用可能である。
【0166】
クレームに記載したモジュールは、一続きの真空システム作動全体を妨げることなく交換可能である。
【0167】
個々のシステムユニットの種々の故障は、システム全体の作動に影響せず、すなわち、少なくとも1つのモジュールの故障は、システム全体の停止につながらず、従って、それの信頼性及びさらなる作動が維持される。
【0168】
本発明として提供される、基板上におけるコーティング用に設計したモジュール(それの変形)及びモジュールシステムは、多機能であり、工業用に適する。
参考文献:
1.米国特許第5489369号、IPC C23C 14/56、1996年2月6日公開
2.ドイツ特許第P4313353.3、IPC C23C 14/22、1994年10月27日公開
3.米国特許第5372693号、IPC C23C 14/34、1994年12月13日公開
【図面の簡単な説明】
【図1】 変形1におけるものとして説明する真空モジュールの概要図である。
【図2】 変形2におけるものとして説明する真空モジュールの概要図である。
【図3】 Aでは開口部がなく、Bでは開口部が1つあり、Cでは開口部が2つある基板キャリヤーと、Dでは開口部がなく、Eでは開口部が1つあり、Fでは開口部が2つある真空モジュールカバーとを示す図である。
【図4】 Aはイオンスパッタリング源及び回転プリズムを有したキャリッジであり、Bはキャリッジ上に装着された処理構成要素である、処理構成要素を装着したキャリッジの形態に構成された処理装置搬送機構の概要図である。
【図5】 薄膜コーティングを施すための真空システムの概要図である。

Claims (20)

  1. 基板にコーティングを施すための真空モジュールであって、
    −基板を配置するように設計した開口部が設けられた真空チャンバーと、
    前記開口部の外周に沿って装着されるシール部材及び、前記真空チャンバー内に配置されスパッタリングにより前記基板に対してコーティングを施すように設計した処理装置と、
    −前記真空チャンバーの開口部面と平行な面内に配置されるとともに、内部に前記処理装置を配置したチャンバー空間と、前記開口部が配置された空間とを仕切るように設計したバルブゲートと、
    −処理装置搬送用機構と、
    を備え、
    前記真空チャンバー開口部の領域内に配置される基板キャリヤーが設けられ、
    前記処理装置搬送機構は、前記基板面に平行に往復動可能なように装着されることを特徴とする真空モジュール。
  2. 基板にコーティングを施すための真空モジュールであって、
    −基板を配置するように設計した開口部が設けられた真空チャンバーと、
    前記開口部の外周に沿って装着されるシール部材及び、前記真空チャンバー内に配置されスパッタリングにより前記基板に対してコーティングを施すように設計した処理装置と、
    −前記真空チャンバーの開口部面と平行な面内に配置されるとともに、内部に前記処理装置を配置したチャンバー空間と、前記開口部が配置された空間とを仕切るように設計したバルブゲートと、
    −処理装置搬送用機構と、
    を備え、
    前記真空チャンバー開口部の領域内に配置される基板キャリヤーが設けられ、
    前記真空チャンバーには、基板配置用の少なくとも2つの開口部が設けられ、また、前記処理装置は、前記基板面に平行に往復動するように装着されることを特徴とする真空モジュール。
  3. 基板にコーティングを施すための真空モジュールであって、
    −基板を配置するように設計した開口部が設けられた真空チャンバーと、
    前記開口部の外周に沿って装着されるシール部材及び、前記真空チャンバー内に配置されスパッタリングにより前記基板に対してコーティングを施すように設計した処理装置と、
    −前記真空チャンバーの開口部面と平行な面内に配置されるとともに、内部に前記処理装置を配置したチャンバー空間と、前記開口部が配置された空間とを仕切るように設計したバルブゲートと、
    −処理装置搬送用機構と、
    を備え、
    前記真空チャンバー開口部の領域内に配置される基板キャリヤーが設けられ、
    前記真空チャンバーには、基板を配置するように設計されたカバーがさらに設けられ、前記処理装置搬送機構は、前記基板面に平行に往復動可能に装着されることを特徴とする真空モジュール。
  4. 前記真空チャンバー開口部の外周は、コーティングされる表面の輪郭に適合することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  5. 真空モジュールの前記基板キャリヤーは取り外し可能とされることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  6. 真空モジュールの前記基板キャリヤーは、基板を配置するように設計した少なくとも1つの開口部が設けられることを特徴とする請求項1から3、5のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  7. 真空モジュールの前記基板キャリヤーは、前記処理装置の移動面に平行に配置されることを特徴とする請求項1から3、6のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  8. 前記基板キャリヤーの開口部は、基板を固定するように設計されるとともに前記開口部の外周に沿い装着されるシール部材が設けられることを特徴とする請求項6に記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  9. 前記基板キャリヤー開口部の外周は、コーティングされる面の輪郭に適合することを特徴とする請求項6、8のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  10. 基板にコーティングを施すための真空モジュールであって、
    −基板を配置するように設計した開口部が設けられた真空チャンバーと、
    前記開口部の外周に沿って装着されるシール部材及び、前記真空チャンバー内に配置されスパッタリングにより前記基板に対してコーティングを施すように設計した処理装置と、
    −前記真空チャンバーの開口部面と平行な面内に配置されるとともに、内部に前記処理装置を配置したチャンバー空間と、前記開口部が配置された空間とを仕切るように設計したバルブゲートと、
    −処理装置搬送用機構と、
    を備え、
    前記真空チャンバーには、基板を配置するように設計されたカバーがさらに設けられ、前記処理装置搬送機構は、前記基板面に平行に往復動可能に装着されており、
    前記真空チャンバーのカバーは、基板キャリヤーとして用いられることを特徴とする真空モジュール。
  11. 前記真空チャンバーのカバーは、取り外し可能とされることを特徴とする請求項3又は10に記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  12. 前記真空チャンバーのカバーは、開口部が設けられることを特徴とする請求項3、10、11のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  13. 前記真空チャンバーのカバーは、基板を配置するように設計された少なくとも2つの開口部が設けられることを特徴とする請求項3、10、11のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  14. 前記カバー開口部は、前記真空チャンバーカバーを固定するように設計されるとともに前記開口部の外周に沿って装着されるシール部材が設けられることを特徴とする請求項12、13のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  15. 前記真空チャンバーカバーは、前記真空チャンバーカバー内に形成された開口部内に配置される基板表面に平行に往復動可能に装着した前記処理装置の移動面に平行に配置されることを特徴とする請求項3、10、12、13、14のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  16. 前記真空チャンバーは、基板配置面に平行な面内に装着された各開口部用の個々の追加ゲートが設けられることを特徴とする請求項2、6、12、13のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  17. キャリッジが、処理装置搬送機構として用いられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  18. 前記処理装置は、処理構成要素を備え、その構成は、前記キャリッジ上において、蒸発器、マグネトロンカソード、カソード堆積ターゲット、イオンクリーニングシステム及び、回転プリズムを有するイオンスパッタリングシステムとからなる群から選択され、前記回転プリズムは、前記真空チャンバー開口部の面に平行に配置されるとともに、それの少なくとも1つの作用面に、スパッタリングされる材料が与えられることを特徴とする請求項1から3、10のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  19. 前記処理構成要素は交換可能とされることを特徴とする請求項18に記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
  20. 共通の排気システムを有した少なくとも2つの真空モジュールを備え、
    前記モジュールは、共通の排気制御システムと、基板を自動的に配置し取り外すように設計されるとともにプロセスセンサーを有した共通のハンドリング装置制御システムとが設けられ、少なくとも2つのモジュールは、前記共通のマニピュレータの作動領域内に配置されることを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の基板にコーティングを施すための真空モジュール。
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