JP4766316B2 - 標的検出ナノセンサ用単分子膜 - Google Patents
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Description
低分子化合物の検出を自己組織性分子の導電性変化として捉える分子検出システムも提案されている(特許文献3参照)。ただし、この場合には電極間に適切に自己組織性分子を配置する必要があり、検出手法は導電性変化に限られる。
(1)基板に自己組織性分子の単分子膜がパターン形成されてなり、自己組織性分子がセンシング部位と基板への配設の安定化部位からなり、自己組織性分子がそのセンシング部位でターゲット物を捕捉すると単分子膜パターンが変化することを特徴とする標的検出ナノセンサ。
(2)自己組織性分子が、一般式
A−B−A
(式中、Aはアルキン結合を有する連結基、Bはビピリジル基又は一般式
で表される含酸素複素環基を示す]
で表される化合物である前記(1)記載の標的検出ナノセンサ。
(3)センシング部位Tを介して、自己組織性分子が左右対称の化学構造を有する前記(1)又は(2)記載の標的検出ナノセンサ。
(4)自己組織性分子が、一般式
で表されるビピリジル誘導体である前記(3)記載の標的検出ナノセンサ。
(5)基板が、高配向グラファイト、金、銀、銅、Si、SiO2である前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の標的検出ナノセンサ。
(6)ターゲット物として重金属化合物又は重金属イオンを捕捉することができる前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の標的検出ナノセンサ。
(7)重金属がPd、Pt及びCuの中から選ばれる少なくとも1種である前記(6)記載の標的検出ナノセンサ。
(8)ターゲット物の捕捉前後で蛍光が変化する前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の標的検出ナノセンサ。
(9)前記(8)に記載の標的検出ナノセンサを用いて、重金属化合物又は重金属イオンを含有する被検試料液と接触させ、蛍光変化を検出することを特徴とする重金属の検出方法。
(10)一般式
で表される含酸素複素環基を示す]
で表される複素環式化合物。
(11)一般式
で表されるビピリジル誘導体。
本ナノセンサによるターゲット物検出のためのパターン変化検出の基本概念を図1に示す。
本ナノセンサにおいて単分子膜のパターン形成に預かる自己組織性分子は、2つの部位から構成されている。すなわち、ターゲット物を検出するセンシング部位1、及び基板への配設の安定化を担う安定化部位2である。ターゲット物3が近接して、センシング部位1に捕捉されると基板上の分子間相互作用により、分子の配列パターンがターゲット物の捕捉前後で変化する。この幾何学的なパターン変化から検出対象のターゲット物或いは標的物の捕捉を確認することができる。
基板面のパターン変化は好ましくは走査型プローブ顕微鏡で視認・検出することができる
パターン変化の具体例を化学構造の変化で示すと、図2や図3のとおりである。
蛍光変化は、蛍光の色調やその強度の変化に代表され、これらの変化は好ましくは蛍光顕微鏡で視認・検出することができる。
A−B−A
(式中、Aはアルキン結合を有する連結基、Bはビピリジル基又は一般式
で表される含酸素複素環基を示す]
で表される化合物、すなわち
一般式(I)
で表される含酸素複素環基を示す]
で表される複素環式化合物であるのが好ましく、この化合物は新規であり、その中でも特に後述の一般式(III)の化合物が好ましい。
上記一般式中のA、B、k、R1、R2、R、m、nについてさらに説明する。
先ず、Aの所定連結基としては、エチニル基のようなアセチレン結合のみからなるものや、該結合の一端或いは両端にアルキレン基が延設されたものなどが挙げられる。
Bがビピリジル基である場合には5,5´‐ビピリジル基などが、また、一般式(II)の含酸素複素環基である場合にはkは2までであるのがそれぞれ好ましい。
また、R1、R2、Rの炭素原子数は10〜22であるのが、また、m、nは3までであるのがそれぞれ好ましい。
で表されるビピリジル誘導体。
すなわち、一般式
及び一般式
で表される化合物と、一般式
H−A−B−A−H
(式中、Aはアルキン結合を有する連結基、Bはビピリジル基又は一般式(II)
で表される含酸素複素環基を示す]
で表される複素環式化合物とを反応させる。
この反応は好ましくはPd(PPh3)4、Pd(CH3CN)2Cl2、PPh3、CuI、これらの混合物等の触媒の存在下に行われ、さらに好ましくはトリエチルアミン、イソプロピルアミン等の塩基の存在下、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン等の溶媒中、もしくは塩基をそのまま溶媒として行われる。
反応温度は原料の種類、反応時間等の他の反応条件にもよるが、通常20〜80℃、好ましくは25〜70℃の範囲とするのがよい。
反応時間は原料の種類、反応温度等の他の反応条件にもよるが、通常8〜168時間、好ましくは12〜72時間の範囲とするのがよい。
また、本ナノセンサによれば、蛍光の色調やその強度の変化を求めることにより、ターゲット物の定量をも可能となるので、少量の検体に対し、煩雑な操作を必要としない、簡便な微量分析システムを提供することができる。
Pd(PPh3)482.5mg(0.07mmol)及びCuI13.6mg(0.07mmol)を触媒として、5,5´‐ジエチニル‐2,2´‐ビピリジン240mg(1.19mmol)及び1,2‐ジドデシルオキシ‐4‐ヨードベンゼン1.5g(2.62mmol)を窒素雰囲気下でTHF及びトリエチルアミン中、60℃で4日間加熱撹拌して反応させた後、固体をろ別して得たろ液から溶媒を減圧留去した。
このようにして得られた残渣をクロロホルムに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより精製し、式(IV)
この式(IV)の目的化合物(化合物IV)の同定資料を以下に示す。
1H NMR (CDCl3): δ 0.88(t,J=7.0Hz,12H),1.22−1.40(br s,64H),1.42−1.50(m,8H),1.80−1.88(m,8H),4.03(t,J=6.6Hz,8H),6.85(d,J=8.4Hz,2H),7.07(d, J=1.7Hz,2H),7.14(dd,J1=8.3Hz,J2=1.7Hz、2H),7.92(d,J=8.1Hz,2H),8.41(d,J=6.6Hz,2H),8.79(s、2H)
IR(KBr):2920,2851,2208,1513,1467,1254,1220,1125cm-1
化合物IVをジクロロメタンに溶解し、0.1mM溶液を調製し、最終的に0.05mM以下の濃度となるように1‐フェニルオクタンに分散させた後、溶液を高配向グラファイト上に滴下し、化合物IVの単分子膜を固‐液界面に調製し、後述のターゲットモデル化合物の添加前の単分子膜の形態を走査型トンネル顕微鏡(STM)によって観察した。別に、上記と同一の溶液中にターゲットモデル化合物としてPd(CH3CN)2Cl2を添加して固‐液界面の単分子膜を再度STMで観察した。このようにして、図4に示すように、ターゲットモデル化合物の添加前後で表面パターンが変化していることが確認された。
Claims (6)
- 基板上に自己組織性分子の単分子膜がパターン形成されてなり、自己組織性分子がセンシング部位と基板への配設の安定化部位からなり、自己組織性分子がそのセンシング部位でターゲット物を捕捉すると単分子膜パターンが変化する標的検出ナノセンサに用いる標的検出ナノセンサ用単分子膜であって、
一般式
で表される自己組織性分子から構成されることを特徴とする標的検出ナノセンサ用単分子膜。 - 自己組織性分子が、一般式
で表されるビピリジル誘導体である請求項1記載の標的検出ナノセンサ用単分子膜。 - ターゲット物として重金属化合物又は重金属イオンを捕捉することができる請求項1または2記載の標的検出ナノセンサ用単分子膜。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の標的検出ナノセンサ用単分子膜を用いて、重金属化合物又は重金属イオンを含有する被検試料液と接触させ、単分子膜のパターン変化を検出することを特徴とする重金属の検出方法。
- 一般式
で表されるビピリジル誘導体。 - 一般式
で表されるビピリジル誘導体。
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