本発明の第1実施形態に係る車両用ドア構造について、図1〜図4に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印INは、それぞれ本発明が適用されたドアの前方向、上方向、及び車体内側方向を示している。
図1には本実施形態に係るリヤサイドドア10におけるドアトリムを外した状態を車室内側から見た側面図が示されている。また、図2には図1の2−2断面線に沿った拡大断面図が示されており、図2にはクォータピラー12の一部も示されている。また、図3には図2の一部を拡大した断面図が示されている。また、図4には図1の4−4断面線に沿った拡大断面図が示されている。
図2に示される如く、リヤサイドドア10は、リヤサイドドア10の車外側(車体外側)を構成し車外に露出するドアアウタパネル14と、リヤサイドドア10の車内側(車体内側)を構成するドアインナパネル16とを周縁部で互いに結合した中空状のドア本体を有する構造となっている。また、ドア本体内にはドアガラス18やウインドレギュレータ(ドアガラス昇降装置)20等の部品が配置されており、ドアアウタパネル14の外周縁部14Aとドアインナパネル16の外周縁部16Aはヘミング加工によって結合されている。
ウインドレギュレータ20はドアインナパネル16に取付けられている。より具体的に説明すると、ドアインナパネル16に形成された縦屈曲部としての凸ビード24の頂部24Aがウインドレギュレータ取付部となっており、ウインドレギュレータ20に形成されたドア後方側の取付部20Aが凸ビード24の頂部24Aにボルト等の締結手段(図示省略)によって取付けられている。
図1に示される如く、凸ビード24はドアインナパネル16の上端部16Bの近傍から下端部16Cの近傍に渡って長手方向をドア上下方向に沿って配置されている。より具体的に説明すると、ドアインナパネル16の上端部16Bには、長手方向をドア前後方向に沿ってドアベルトライン部28が形成されている。このドアベルトライン部28は、ドアベルトライン部28に沿って配置されたドアベルトラインリインホースメント31によって補強されており、凸ビード24の上端部24Bはドアベルトライン部28に連結されている。一方、凸ビード24の下端部24Cは、ドアインナパネル16における中央部に形成された開口部としての作業穴25やドアインナパネル16における前側下方に形成されたスピーカ取付け用の円穴27より車両下方まで延びており、ドアインナパネル16の下端部16Cから僅かに離間した位置(近傍)に達している。
図3に示される如く、凸ビード24は車体外側方向に凸となっている。また、縦屈曲部の底部としての凸ビード24の頂部24Aのドア前後方向両端からは、互いに離間する方向へ傾斜して延びる一対の側壁部24D、24Eが形成されており、凸ビード24の上下方向から見た断面形状は開口部側が広幅となったコ字断面形状となっている。
図1に示される如く、ドアインナパネル16における凸ビード24のドア後方側には補強屈曲部としての凹ビード30が隣接して形成されている。凹ビード30は長手方向をドア上下方向に沿って形成されいる。また、凹ビード30はドアインナパネル16の上端部16Bの近傍から下端部16Cの近傍に渡って長手方向をドア上下方向に沿って配置されている。より具体的に説明すると、凹ビード30の上端部30Aはドアベルトライン部28に連結されている。一方、凹ビード30の下端部30Bは、ドアインナパネル16における前側下方に形成されたスピーカ取付け用の円穴27の下端と略同じ上下位置まで延びており、ドアインナパネル16の下端部16Cから僅かに離間した位置に達している。
図3に示される如く、凹ビード30は車体内側方向に凸となっている。また、補強屈曲部の頂部としての凹ビード30の底部30Cのドア前後方向両端からは、互いに離間する方向へ傾斜して延びる側壁部30Dと傾斜壁部としての側壁部30Eとが形成されており、凹ビード30の上下方向から見た断面形状は、開口部側が広幅となったコ字断面形状となっている。凹ビード30のドア前方側の側壁部30Dは、凸ビード24のドア後方側の側壁部24Eに連続している。また、凹ビード30の側壁部30Dの傾斜角度と、凸ビード24の側壁部24Eの傾斜角度とが等しくなっており、同一傾斜面を形成している。
図4に示される如く、凹ビード30の側壁部30Eは作業穴25の中央部に向かってドアインナパネル16の一般部16Eの面方向(図4の矢印S方向)に対して傾斜した傾斜壁部(傾斜角度θ1)となっている。従って、部品Kを作業穴25を通してドア内に挿入する場合には、図4に二点鎖線で示すように、部品Kの端部K1を凹ビード30の側壁部30Eに当て、側壁部30Eに沿って作業穴25の中央部側に摺動させることで、部品Kが図4に矢印A、B、Cで示されるように移動し、作業穴25を容易に通過するようになっている。
更に、凹ビード30の側壁部30Eを作業穴25の中央部に向かって傾斜した傾斜壁としたことで、凹ビード30に雨水等が溜まるのも防止できると共に、側壁部30Eによって凹部30の断面崩れも抑制できるようになっている。
図1に示される如く、ドアインナパネル16におけるドア上下方向中間部には、横屈曲部としての横凸ビード34が長手方向をドア前後方向に沿って形成されている。また、横凸ビード34は、凹ビード30を挟んで凸ビード24と反対側に形成されており、前端部34Aが凹ビード30に連結されている。
より具体的に説明すると、横凸ビード34は凸ビード24と交差しておらず、凸ビード24の頂部24Aにおけるドア前方端部の稜線(折り線)L1と、ドア後方端部の稜線(折り線)L2を切らないようになっている。また、横凸ビード34は凹ビード30の底部30Cにおけるドア前方端部の稜線(折り線)L3と、ドア後方端部の稜線(折り線)L4も切らないようになっている。
また、横凸ビード34の後端部34Bは、ドアインナパネル16の後部に設けられたドアロック36の取付部16Dに達している。より具体的に説明すると、横凸ビード34の後端部34Bは、リヤサイドドア10をドア側方から見た状態(ドア側面視)において、ドアロック36の前部36Aと重なっている。なお、横凸ビード34の後端部34Bとドアロック36の前部36Aの間には、ロックリインホースメント42が設けられている。
図2に示される如く、ドアロック36の車体外側となる位置にはアウトサイドハンドル37が設けられており、アウトサイドハンドル37はドアアウタパネル14に取付けられている。
図1に示される如く、横凸ビード34は車体外側方向に凸となっており、横凸ビード34の頂部34Cのドア上下方向両端からは互いに離間する方向へ傾斜して延びる一対の側壁部34D、34Eが形成されており、横凸ビード34の車体前後方向から見た断面形状は開口部側が広幅となったコ字断面形状となっている。より具体的に説明すると、横凸ビード34の上側の側壁部34Dは頂部34Cの上端からドア上側内方へ向って傾斜しており、横凸ビード34の下側の側壁部34Eは頂部34Cの下端からドア下側内方へ向って傾斜している。
凹ビード30は作業穴25のドア前方側が狭幅部30Fとなっており、狭幅部30Fにおける底部30Cの前後幅W1は他の部位の前後幅に比べて狭くなっている。また、凹ビード30の狭幅部30Fは、凸ビード24のウインドレギュレータ取付部より車両下方側の部位となっている。従って、狭幅部30Fによって凸ビード24のウインドレギュレータ取付部の剛性及び強度が低下することがなく、且つ作業穴25を大きくできるようになっている。
図2に示される如く、横凸ビード34の頂部34Cの車体外側面には、ブラケット38を介して、ウインドレギュレータ20のXアーム40の一端40Aが連結されている。なお、ブラケット38は長手方向をドア前後方向に沿って配置されており、長手方向両端部がボルト等の締結部材39によって横凸ビード34の頂部34Cに固定されている。また、Xアーム40の一端40Aはブラケット38に形成されたスリット(図示省略)に沿ってドア前後方向へ移動可能となっている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
図1に示される如く、本実施形態では、ドアインナパネル16における凸ビード24のドア後方側に凹ビード30が凸ビード24に沿って形成されている。また、ドアインナパネル16におけるドア上下方向中間部に横凸ビード34が長手方向をドア前後方向に沿って形成されており、横凸ビード34の前端部34Aが凹ビード30に連結されている。このため、横凸ビード34は凸ビード24と交差しておらず、凸ビード24における頂部24Aの稜線L1、L2は切られてない(連続している)。この結果、横凸ビード34によって凸ビード24の剛性及び強度が低下することはない。
従って、本実施形態では、凸ビード24によるドアインナパネル16の補強効果が減少せず、ドアインナパネル16の剛性及び強度が向上する。また、横凸ビード34は凹ビード30の底部30Cの稜線L3、L4も切らないため、ドアインナパネル16の剛性及び強度が更に向上する。
また、図3に示される如く、凸ビード24の側壁部24Eと凹ビード30の側壁部30Dとが連続しているため、凹ビード30によって凸ビード24が効率的に補強される。更に、互いに連続する凸ビード24の側壁部24Eと凹ビード30の側壁部30Dとが同一傾斜面を形成している。このため、車両前面衝突時に作用するドア前方からドア後方へ向かう荷重(図3の矢印F1)が凸ビード24から凹ビード30へ効率的に伝達される。即ち、凸ビード24の側壁部24Eと凹ビード30の側壁部30Dとの境に稜線がないため、この稜線を起点にドアインナパネル16が変形するのを抑制できる。この結果、車両前面衝突時に対してもドアインナパネル16の剛性及び強度を向上できる。
また、本実施形態では、凸ビード24が車体外側方向に凸となっており、凹ビード30は車体内側方向に凸となっている。この結果、ドアインナパネル16における凸ビード24と凹ビード30とを形成した部位の断面図心(図3の点P1)が、ドアインナパネル16における凸ビード24と凹ビード30とを形成していない一般部16Eに近づく。このため、ドアインナパネル16における凸ビード24と凹ビード30とを形成した部位の断面2次モーメントが拡大すると共に捩れモーメントを抑制できる。従って、車両前面衝突時にドア前方からドア後方へ向かってドアインナパネル16に作用する前突荷重をドアインナパネル16における凸ビード24と凹ビード30とを形成した部位の前方側から後方側へ効率良く伝達できる。
また、本実施形態では、凹ビード30の下端部30Bが作業穴25の下方まで延びている。このため、作業穴25を形成したことで剛性が低下するドアインナパネル16の車両前側周縁部を凹ビード30によって補強できる。
また、本実施形態では、凸ビード24のウインドレギュレータ取付部のドア後方下側近傍に凹ビード30の狭幅部30Fが形成されており、狭幅部30Fのドア後側が作業穴25となっている。この結果、ウインドレギュレータ取付部に浸入した雨水等(図1の矢印U1)が、凹ビード30の狭幅部30Fを介して作業穴25を通り排水される。このため、ウインドレギュレータ取付部の排水性能及び防錆性能が向上する。
また、凹ビード30の側壁部30Eが作業穴25の中央部に向かってドアインナパネル16の一般部16Eの面方向(図4の矢印S方向)に対して傾斜した傾斜壁部(傾斜角度θ1)となっている。
この結果、図4に示される如く、部品Kを作業穴25を通してドア内に挿入する場合には、図4に二点鎖線で示すように、部品Kの端部K1を凹ビード30の側壁部30Eに当て、側壁部30Eに沿って作業穴25の中央部側に摺動させることで、部品Kが図4に矢印A、B、Cで示されるように移動し、作業穴25を容易に通過する。このため、部品Kの組付性能が向上する。
また、凹ビード30の側壁部30Eを作業穴25の中央部に向かって傾斜した傾斜壁としたことで、凹ビード30に雨水等が溜まるのも防止できると共に、側壁部30Eによって凹部30の断面崩れも抑制できる。
また、図1に示される如く、作業穴25の周縁部に形成したフランジ29は、途切れることなく凹ビード30の側壁部30Eに連結されている。この結果、車両前面衝突時に作用するドア前方からドア後方へ向かう荷重を、凹ビード30の側壁部30Eからフランジ29を介してドアインナパネル16の後方へスムーズに伝達できる。このため、車両前面衝突時の荷重によってドアインナパネル16が変形するのを抑制できる。
また、本実施形態では、横凸ビード34の頂部34Cにブラケット38を介して、ウインドレギュレータ20のXアーム40の一端40Aが連結されているため、Xアーム40の支持剛性も向上する。
また、本実施形態では、ウインドレギュレータ20の慣性力が、凸ビード24、凹ビード30及び横凸ビード34の外周部を介して、ドアインナパネル16におけるドアロック取付部16Dに取付けたドアロック36に伝達できる。このため、リヤサイドドア10を閉める際に、前記慣性力によってドアロック36のラッチ36Bがクォータピラー12に設けたストライカ41に確実に噛み合い、ドア閉まり性能が向上する。
次に、本発明の第2実施形態に係る車両用ドア構造について、図5及び図6に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
また、図5には本実施形態に係るリヤサイドドア10におけるドアトリムを外した状態を車室内側から見た側面図が示されている。また、図6には図5の6−6断面線に沿った断面図が示されており、図6にはクォータピラー12の一部も示されている。
図5に示される如く、本実施形態では、横凸ビード34の後端部34Bは、ドアインナパネル16の後部に設けられたロックリインホースメント42の下部42Aとドア側面視において重なっている。また、横凸ビード34の後端部34Bとロックリインホースメント42の下部42Aは溶接等によって接合されている。
ドアインナパネル16の前端上部16Fには、ヒンジリテーナ44が設けられており、前端上部16Fは部品取付部となっている。ヒンジリテーナ44を設けたドアインナパネル16の前端上部16Fと、凸ビード24のウインドレギュレータ取付部とが連結屈曲部としての横凹ビード46によって連結されている。また、横凹ビード46は車両前側上方から車両後側下方へ向かって傾斜している。
図6に示される如く、横凹ビード46は車体内側方向に凸となっており、横凹ビード46の底部46Aの前端部46Bには、ヒンジリテーナ44のドア幅方向内側部44Aが溶接等によって接合されている。
図5に示される如く、横凹ビード46の底部46Aのドア上下方向両端からは互いに離間する方向へ傾斜して延びる一対の側壁部46C、46Dが形成されており、横凹ビード46の前後方向から見た断面形状は開口部側が広幅となったコ字断面形状となっている。より具体的に説明すると、横凹ビード46の上側の側壁部46Cは底部46Aの上端からドア上側外方へ向って傾斜しており、横凹ビード46の下側の側壁部46Dは底部46Aの下端からドア下側外方へ向って傾斜している。
従って、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加えて、横凸ビード34によって、凸ビード24とロックリインホースメント42とを連結することができると共に、横凹ビード46によってヒンジリテーナ44と凸ビード24とを連結することができる。この結果、凸ビード24と凹ビード30の前後にスピーカ取付け用の円穴27や作業穴25を形成したことによるドアインナパネル16の剛性及び強度の低下を抑制できる。
また、車両前面衝突時に作用するドア前方からドア後方へ向かう荷重を、ヒンジリテーナ44、横凹ビード46、凸ビード24、凹ビード30、横凸ビード34、ロックリインホースメント42及びドアロック36を介してクォータピラー12に伝達することができる。この結果、車両前面衝突時に作用するドア前方からドア後方へ向かう荷重によるドアインナパネル16の変形を抑制できるため、車両前面衝突時に対してもドアインナパネル16の剛性及び強度を向上できる。
なお、図7に示される如く、横凸ビード34の後端部34Bにドアフレーム48がブラケット50を介して固定された構成としても良い。この場合には、横凸ビード34によってドアフレーム48の支持剛性を向上できる。
次に、本発明の第3実施形態に係る車両用ドア構造について、図8及び図9に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
また、図8には本実施形態に係るリヤサイドドア10におけるドアトリムを外した状態を車室内側から見た側面図が示されている。また、図9には図8の9−9断面線に沿った断面図が示されており、図9にはセンタピラー52の一部とクォータピラー12の一部も示されている。
図8に示される如く、本実施形態では、ドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gにドアチェックブラケット54が設けられており、ドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gは部品取付部となっている。ドアチェックブラケット54を設けたドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gと、凸ビード24のウインドレギュレータ取付部の下方側部とが連結屈曲部としての横凹ビード56によって連結されている。また、横凹ビード56はドアベルトライン部28と平行に形成されている。
図9に示される如く、横凹ビード56は車体内側方向に凸となっており、横凹ビード56の底部56Aの前端部56Bには、ドアチェックブラケット54のドア幅方向内側部54Aが溶接等によって接合されている。
図8に示される如く、横凹ビード56の底部56Aのドア上下方向両端からは互いに離間する方向へ傾斜して延びる一対の側壁部56C、56Dが形成されており、開口部側が広幅となったコ字断面形状となっている。より具体的に説明すると、横凹ビード56の上側の側壁部56Cは底部56Aの上端からドア上側外方へ向って傾斜しており、横凹ビード56の下側の側壁部56Dは底部56Aの下端からドア下側外方へ向って傾斜している。
従って、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加えて、横凸ビード56によって、凸ビード24とリヤサイドドア10の外周部にあって剛性の高いドアチェックブラケット54とを連結することができる。この結果、凸ビード24の剛性が向上するため、ウインドレギュレータ取付部の剛性を更に向上できる。
また、リヤサイドドア10の前後方向略中央部に形成された凸ビード24に横凹ビード56が連結されており、横凹ビード56Bにドアチェックブラケット54が固定されている。この結果、側突時にリヤサイドドア10の前後方向略中央部に作用する荷重(図9の矢印F2)は、凸ビード24、横凹ビード56、ドアチェックブラケット54と効率良く伝達される。このため、横凹ビード56の底部56Aの前端部56Bがセンタピラー52のフランジ52Aに当たることで、側突荷重F2をセンタピラー52に効率良く伝達できる。
また、本実施形態では、横凹ビード56によってドアインナパネル16におけるドアチェックブラケット54の取付部の剛性を向上できる。この結果、ドア開閉時のリヤサイドドア10の運動エネルギをドアチェックブラケット54に固定されたドアチェック(図示省略)に効率良く伝達できる。このため、リヤサイドドア10が閉まり易くなると共に、ドア開閉時のドアの移動が安定する。また、ドア開閉時にドアチェックに作用する荷重が横凹ビード56を介してドアインナパネル16の中央部に分散される。この結果、ドアチェックに大きな荷重が作用するのを防止できるため、ドアチェックの耐久性を向上できる。
なお、ヒンジリテーナ、インパクトビームエクステンション、ミラーブラケット(フロントサイドドアの場合)等の他の部品を横凹ビードによって凸ビード24に連結した構成としても良い。
また、ドアトリム、インサイドハンドル、スピーカ、ワイヤハーネス、インパクトビーム、インパクトビームエクステンション等の部品を各ビード上に設定することで、ドア閉時の各部品の運動エネルギが、各ビードを介してドアチェックブラケット54に固定されたドアチェック(図示省略)に効率良く伝達される。この結果、リヤサイドドア10が閉まり易くなる。また、各部品の支持剛性が向上し、各部品のがたつきを抑制できる。このため、各部品の振動による異音を抑制でき、ドア閉時の閉まり音を向上できる。
また、本実施形態では、車両前面衝突時に作用するドア前方からドア後方へ向かう荷重を、横凹ビード56を介してドアインナパネル16の中央部に伝達することができる。この結果、車両前面衝突時にドアインナパネル16の前部の変形を抑制できる。このため、車両前面衝突時に対してもドアインナパネル16の剛性及び強度を向上できる。
次に、本発明の第4実施形態に係る車両用ドア構造について、図10に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
また、図10には本実施形態に係るリヤサイドドア10におけるドアトリムを外した状態を車室内側から見た側面図が示されている。
図10に示される如く、本実施形態では、ドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gにドアチェックブラケット54が設けられている。ドアチェックブラケット54を設けたドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gと、凸ビード24の上端部24Bとが連結屈曲部としての横凹ビード58によって連結されており、横凹ビード58は車体内側方向に凸となっている。また、横凹ビード58の前部58Aはドアベルトライン部28と平行に形成されており、横凹ビード58の後部58Bは、ドア前方下側からドア後方上側へ向かって傾斜している。
ドアインナパネル16の横凸ビード34の後端部34Bと、ドアベルトライン部28の前後方向中間部28Aとが横凹ビード60によって連結されており、横凹ビード60は車体内側方向に凸となっている。また、横凹ビード60はドア前方上側からドア後方下側へ向かって傾斜している。
凹ビード30の下端部30Bと横凸ビード34の後端下部34Fとが横凹ビード62によって連結されており、横凹ビード62は車体内側方向に凸となっている。また、横凹ビード62はドア前方下部からドア後方上部へ向かってドア側面視で円弧状に延びている。
なお、横凹ビード58、横凹ビード60及び横凹ビード62の各断面形状は、横凹ビード46と同様に開口部側が広幅となったコ字断面形状となっている。
従って、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加えて、横凸ビード58によって、凸ビード24の上端部24Bと剛性の高いドアチェックブラケット54とを連結することができる。この結果、凸ビード24の上端部24Bの下方側に設けられたウインドレギュレータ取付部の剛性を向上できる。
また、横凹ビード62によって、凹ビード30の下端部30Bと横凸ビード34の後端下部34Fとが連結されている。この結果、ドアインナパネル16における作業穴25の周縁部の剛性を向上できる。
また、車両前面衝突時には、ドアチェックブラケット54に作用する荷重(図10の矢印F3)を、横凹ビード58を介してドアベルトライン部28に伝達できる。
また、横凹ビード60によって、横凸ビード34の後端部34Bとドアベルトライン部28の前後方向中間部28Aとが連結されているため、ドアベルトライン部28に設けられたドアベルトラインリインホースメント31に作用する衝突荷重(図10の矢印F3)を、横凹ビード60を介してドアロック36に伝達できる。また、衝突荷重を横凹ビード62を介してリヤサイドドア10の下部から車体側のロッカ部へも伝達できる。
この結果、衝突荷重を車体側のドア開口周縁部に効率良く伝達できる。このため、車両前面衝突時に対してもドアインナパネル16の変形を抑制でき、ドアインナパネル16の剛性及び強度を向上できる。
また、本実施形態では、横凹ビード58をドア前後方向に対してドア上下方向へ傾斜させることで、横凹ビード58とドアガラス18との干渉を防止することができる。このため、ドアインナパネル16の剛性及び強度を向上できると共にドアガラス18の昇降スペースも確保できる。
なお、図10に二点鎖線で示すように、横凹ビード58の後部58Bをドア前方上側からドア後方下側へ向かって傾斜させ、凸ビード24の下端部24Cに連結した構成としても良い。また、横凹ビード58の後部58Bを上下方向に分岐して、凸ビード24の上端部24Bと凸ビード24の下端部24Cとの双方に連結した構成としても良い。
次に、本発明の第5実施形態に係る車両用ドア構造について、図11に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
また、図11には本実施形態に係るリヤサイドドア10におけるドアトリムを外した状態を車室内側から見た側面図が示されている。
図11に示される如く、本実施形態では、ドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gにドアチェックブラケット54が設けられている。ドアチェックブラケット54を設けたドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gと、凸ビード24のウインドレギュレータ取付部とが連結屈曲部としての横凹ビード66によって連結されており、横凹ビード66は車体内側方向に凸となっている。また、横凹ビード66はドア前方下側からドア後方上側へ向かって傾斜している。
横凹ビード66における凸ビード24との連結部となる後端部66Aの上下方向位置と、横凸ビード34における凹ビード30との連結部となる前端部34Aの上下方向位置とは一致しており、横凹ビード66の後端部66Aと横凸ビード34の前端部34Aとは、凸ビード24と凹ビード30を挟んで対向する位置となっている。
なお、横凹ビード66の断面形状は横凹ビード46と同様に開口部側が広幅となったコ字断面形状となっている。
従って、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加えて、車両前面衝突時にリヤサイドドア10にドア前方側からドア後方側に向かって作用する衝突荷重(図11の矢印F3)を、ドアチェックブラケット54から横凹ビード66を介して凸ビード24、凹ビード30に伝達できると共に横凸ビード34にも効率良く伝達できる。この結果、衝突荷重F3がドアインナパネル16の前部に集中して変形するのを抑制できる。このため、車両前面衝突時に対してドアインナパネル16の剛性及び強度を向上できる。
また、車両側突時には、リヤサイドドア10の中央部に作用した側突荷重を横凹ビード66、凸ビード24、凹ビード30、横凸ビード34を介してドアインナパネル16の上下前後に分散できる。この結果、側突荷重を効率良くピラーやロッカ等のドア開口部周縁部材に伝達できる。このため、側突荷重がドアインナパネル16の中央部に集中して変形するのを抑制できる。
また、ドアガラス18が昇降する際にウインドレギュレータ20に作用する昇降荷重も横凹ビード66、凸ビード24、凹ビード30、横凸ビード34を介してドアインナパネル16の上下前後に分散できる。この結果、ドアガラス18の昇降荷重の集中によりドアインナパネル16の一部が変形するのを防止できる。
また、ドア開閉時のドアガラス18の運動エネルギが、凸ビード24から横凹ビード66を介してドアチェックブラケット54に固定されたドアチェック(図示省略)に効率良く伝達される。このため、リヤサイドドア10が閉まり易くなると共に、ドア開閉時のドアの移動が安定する。
また、横凹ビード66の傾斜方向を図11に二点鎖線で示す上昇位置にあるXアーム40の傾斜方向に合わせることができる。このため、車両前面衝突時の荷重F3の一部を、上昇位置にあるXアーム40、Xアーム40に取付けられたドアガラス18及びドアガラス18の後端縁部18Aをガイドするドアフレーム68に分散できる。
次に、本発明の第6実施形態に係る車両用ドア構造について、図12に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
また、図12には本実施形態に係るリヤサイドドア10におけるドアトリムを外した状態を車室内側から見た側面図が示されている。
図12に示される如く、本実施形態では、凸ビード24の上下方向中間部からドア前方へ向かって前ビード24Fが分岐されいる。前ビード24FはL字に屈曲されており、上端部24Gがドアベルトライン部28に連結されている。また、前ビード24Fの頂部24Hはウインドレギュレータ取付部となっており、ウインドレギュレータ20に形成されたドア前方側の取付部20Bがボルト等の締結手段(図示省略)によって取付けられている。
従って、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加えて、ウインドレギュレータ20のドア後方側の取付部20Aとドア前方側の取付部20Bとの双方を、剛性の高い凸ビード24に取付けることでウインドレギュレータ20の支持剛性を更に向上できる。
次に、本発明の第7実施形態に係る車両用ドア構造について、図13に基づいて説明する。
なお、第4実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
また、図13には本実施形態に係るリヤサイドドア10におけるドアトリムを外した状態を車室内側から見た側面図が示されている。
図13に示される如く、本実施形態では、ドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gにドアチェックブラケット54が設けられている。ドアチェックブラケット54を設けたドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gと、凸ビード24の前端全域とが連結屈曲部としての横凹ビード70によって連結されており、横凹ビード70は車体内側方向に凸となっている。また、横凹ビード70は車両前側から車両後側へ向かって上下方向へ幅広となっている。
なお、横凹ビード70の断面形状は横凹ビード58と同様に開口部側が広幅となったコ字断面形状となっている。
従って、本実施形態では、第3実施形態と同様の作用効果に加えて、車両前面衝突時に作用するドア前方からドア後方へ向かう荷重を、横凹ビード70を介して凸ビード24の上下方向全域に伝達することができる。この結果、車両前面衝突時にドアインナパネル16の前部の変形を抑制できるため、車両前面衝突時に対してもドアインナパネル16の剛性及び強度を向上できる。
次に、本発明の第8実施形態に係る車両用ドア構造について、図14に基づいて説明する。
なお、第4実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
また、図14には本実施形態に係るリヤサイドドア10におけるドアトリムを外した状態を車室内側から見た側面図が示されている。
図14に示される如く、本実施形態では、ドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gにドアチェックブラケット54が設けられている。ドアチェックブラケット54を設けたドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gと、凸ビード24の下部とが連結屈曲部としての横凹ビード72によって連結されており、横凹ビード72は車体内側方向に凸となっている。また、横凹ビード72は車両前側から車両後側へ向かって上下方向へ幅広となっており、横凹ビード72の底部72Aにスピーカ取付け用の円穴27が形成されている。
なお、横凹ビード72の断面形状は横凹ビード58と同様に開口部側が広幅となったコ字断面形状となっている。
従って、本実施形態では、第4実施形態の作用効果に加えて、横凹ビード72によってドアインナパネル16におけるスピーカ取付け用の円穴27に周縁部の剛性を向上できる。
次に、本発明の第9実施形態に係る車両用ドア構造について、図15に基づいて説明する。
なお、第4実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
また、図15には本実施形態に係るリヤサイドドア10におけるドアトリムを外した状態を車室内側から見た側面図が示されている。
図15に示される如く、本実施形態では、ドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gにドアチェックブラケット54が設けられている。ドアチェックブラケット54を設けたドアインナパネル16の前端部の上下方向略中央部16Gと、凸ビード24の下部とが連結屈曲部としての横凹ビード74によって連結されており、横凹ビード74は車体内側方向に凸となっている。また、横凹ビード74は車両前側から車両後側へ向かって上下方向へ幅広となっており、横凹ビード74の下部74Aが、ドア側面視においてリヤサイドドア10に設けられたインパクトビーム76の車体内側に重なっている。
従って、本実施形態では、第4実施形態の作用効果に加えて、側突時にリヤサイドドア10に作用する側突荷重をインパクトビーム76から横凹ビード74へ伝達でき、横凹ビード74からドアチェックブラケット54へ効率良く伝達できる。
次に、本発明の第10実施形態に係る車両用ドア構造について、図16に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
また、図16には本実施形態に係るリヤサイドドア10におけるドアトリムを外した状態を車室内側から見た側面図が示されている。
図16に示される如く、本実施形態では、傾斜面となっている凸ビード24のドア前方側の側壁部24Dをドアインナパネル16の前部の周縁に沿ってループ状に形成すると共に、傾斜面となっている凹ビード30のドア後方側の側壁部30Eをドアインナパネル16の後部の周縁に沿ってループ状に形成している。
従って、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加えて、傾斜面となっている凸ビード24の側壁部24Dをドアインナパネル16の前部の周縁に沿ってループ状に形成すると共に、傾斜面となっている凹ビード30の側壁部30Eをドアインナパネル16の後部の周縁に沿ってループ状に形成したことで、ドアインナパネル16の全体の剛性を向上できる。このため、ドアインナパネル16のどの部位にドアトリム、インサイドハンドル、スピーカ、ワイヤハーネス、インパクトビーム、インパクトビームエクステンション等の部品の取付部(クッションゴムやパッキンを介しての取付けも含む)又は接着や溶接による接合部を設定しても、各部品の支持剛性を向上できる。
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態においては、凸ビード24、凹ビード30等の各屈曲部の断面形状を開口部側が広くなったコ字状としたが、各屈曲部の断面形状は、コ字状やV字状等の他の断面形状であっても良い。
また、上記各実施形態においては、凹ビード30の側壁部30Dの傾斜角度と、凸ビード24の側壁部24Eの傾斜角度とが等しくなっており、同一傾斜面を形成しているが、これに代えて、側壁部30Dの傾斜角度と側壁部24Eの傾斜角度とが異なる構成としても良い。
また、上記各実施形態においては、本発明を後席乗員用のリヤドア開口部を開閉するためのリヤサイドドアに本発明が適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、フロントサイドドア、リヤドア、バックドア等に適用されても良い。