電気炊飯ジャーにおいて、炊飯時の加熱制御をマイクロコンピュータによって行うようにしたいわゆるマイコン制御型の電気炊飯ジャーが実用化され、各種の形式のものが販売されている。従来のいわゆるマイコン制御型の電気炊飯ジャーにおいては、炊飯量の合数に応じて炊飯ヒータへの通電が制御され、内鍋温度が理想的な基準温度曲線に沿って上昇するように設定されている。
かかるマイコン制御型の電気炊飯ジャーは、内鍋の温度を温度センサによって検出し、該検出温度に基づいてマイクロコンピュータが炊飯ヒータへの通電を制御する仕組みになっている。
ところで、電気炊飯ジャーは、内鍋の底部と略同形状で且つ炊飯ヒータが埋設される熱板を有し、この熱板上に内鍋を載置して炊飯ヒータへの通電が行われる。炊飯ヒータへの通電が行われると熱板が加熱され、更に熱板にほぼ密着載置される内鍋が熱伝導により加熱されるとともに内鍋の内容物が加熱される。そして、温度センサが内鍋の温度を正確に検知し、その検知信号により以後の適正な加熱制御が行われるようになっている。
このように電気炊飯ジャーは、内鍋が熱板上に正しくセットされている場合には、内鍋の温度は正確に検出され、理想的な炊飯が行われる。しかしながら、内鍋が熱板上に正しくセットされておらず内鍋の底部と熱板上の上面との間に空間ができた状態であると、熱板から内鍋への適正な熱伝導が行われにくくなるとともに、温度センサが内鍋の温度ではなく内鍋より早く温度上昇する熱板の温度を検出するようになり、その結果、温度センサによる正確な温度検出及びその後の適正な加熱制御ができないことになる。
内鍋が熱板上に正しくセットされない場合として次のような場合がある。即ち、内鍋は、内容物等の米を洗った後米の分量に応じた水を入れてから熱板上にセットされるが、内鍋の底に米粒等が付着したままであることが十分起こりうる。かかる状態で内鍋を熱板上にセットすると、付着した米粒が鍋底と熱板との間に挟まり両者間に隙間が生じる。このような状態では、前記したように温度センサは内鍋温度を正確に検出することができなくなり、結果として、適正な炊飯制御を行えないという欠点があった。
このような弊害を解決するために本出願人は、例え米粒等の異物が鍋底に付着したまま熱板上に載置されたとしてもその状態を検知し、以後の加熱をその状態に適した加熱制御を行うことにより適正な炊飯を行う発明を既に提案している。図15にその制御フローを示す。即ち、ステップS5で内容物が沸騰し昇温工程が終了すると炊き上げ工程へ移るとともに、ステップS6でタイマがスタートする。
次いでステップS7で所定時間である300秒が経過したかが判断されるとともに、300秒以内ではステップS10で所定温度である110℃になっているかが判定され、110℃になっていない間に300秒が経過すると米粒等の異物が鍋底に付着していないことになり、ステップS8に進み通常炊飯が行われ、炊き上げ工程の終了時のほぼ最高温度でもある130℃かが判定され、130℃以上になるとステップS9に進みむらし工程が行われる。
ステップS10で300秒以内に110℃になったと判断されると米粒等の異物が鍋底に付着していると判定され、ステップS11に進み110℃になった時間が判定され、200〜300秒以内であるとステップS12に進み炊き上げ工程の終了時の温度が130℃より135℃に変更されて炊飯工程が続行され、135℃になるとむらし工程に進む。そして、110℃になった時間が200〜300秒より少ないと判定されると黒塗りの矢印で示す右側方向に進み、135℃の温度より更に高い温度に変更し、以後同様の制御が行われる。
そして、このような制御により、米粒等の異物が例え鍋底に付着していたとしても、自動的に異物判定を行い、異物の大きさにより炊き上げ工程の終了時の温度を自動的に設定し、通常炊飯と同様な炊飯制御を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
ところで、従来の昇温工程での炊飯ヒータの加熱出力は、例えば3合ではデューティ比11/16というように比較的高出力であった。そのため、昇温工程から炊き上げ工程への移行時の異物の有無における温度差は、合数が多い場合では、図14でA曲線(白米3合異物なし)及びB曲線(白米3合異物あり)で示すように比較的明確に生じるため、異物判定が容易に行われ格別問題は生じないが、合数が少ない場合では、図13でC曲線(白米0.5合異物なし)及びD曲線(白米0.5合異物あり)で示すようにあまり明確に生じなくその後の温度上昇も近似するため、正確な異物判定が容易に行われなく、例え米粒等の異物が鍋底に付着していないC曲線の場合でも異物ありと判定され、以後異物判定ありでの炊飯制御が実行される等、結果的に適正な炊飯制御が行われないという問題が生じることがあった。
特公平7−110263
以下図面を参照して本願発明の実施例について説明をする。図1に電気炊飯ジャーの全体断面図を示す。電気炊飯ジャー1は、本体ケース2及び蓋部材3から構成される。本体ケース2は、内鍋4をセット可能な合成樹脂製の有底筒状の内ケース5と、外装筐体である合成樹脂製の外ケース6から形成され、前記両ケース5,6は、無理バメ等の手段によって結合されている。
前記内ケース5内の底部には皿形熱板7が配置されている。この皿形熱板7は、平面視円形で全体ではほぼ皿状の部材であり、その内部には炊飯用加熱源としての炊飯ヒータ8が温度センサ10を取り囲むように埋設され、ビス孔を有する複数個の脚7aにビス7bを螺合することより内ケース5に取り付けられる。
また皿形熱板7の中央部に形成される中央孔11には、温度センサ10が配置されている。該温度センサ10は、スプリングの作用により内鍋4がセットされていない状態では、先端部が内ケース5の底部より上方に突出し、内鍋4がセットされた状態では、内鍋4の底部外面に当接した状態で下方に押し下げられ図示しないリードスイッチにより通電状態になるが、内鍋4がセットされないと通電しない安全装置をも兼ねている。
そして、内ケース5に内鍋4が正しくセットされたとき、内鍋4の外底面が温度センサ10に当接し、炊飯ヒータ8によって底面が加熱されるとともに、底面中央部の温度が温度センサ10によって検出される。なお、前記内ケース5の上方外周部には、保温ヒータ9が設けられ、内ケース5を介して内鍋4を側面周囲からむらしまたは保温のために加熱することができる。
符号3は蓋部材であり、外カバー12及び内カバー13からなり、両者はビス15により一体的に固定されているとともに両者間に断熱空間を形成しており、熱の逃げを防止する。また、外カバー12には蒸気口16が設けられるとともに、外カバー12及び内カバー13の間には蒸気排出通路17が形成され、内鍋4内での蒸気圧が一定以上になると蒸気は蒸気排出通路17を介して蒸気口16より排出される。
前記内カバー13の下方には内蓋14が蓋部材3に対し着脱自在に取り付けられており、内鍋4から外部への放熱を防止している。また、蓋部材3は、ヒンジ機構18を介して本体ケース2に対して開閉自在にされ、更に、開蓋時、蓋部材3を上方へ引き上げることにより本体ケース2から着脱可能とされ蓋の丸洗いを可能にしている。
電気炊飯ジャー1の前面上部の傾斜面19には、時刻、炊飯予約時刻、炊飯時間等の時間データその他のデータを表示するための表示器20が配置されるとともに、複数の操作スイッチ21が配列されている。操作スイッチ21は、たとえば、吸水工程を省いた早炊き動作や、おかゆの調理等のような調理メニューを選択したり、再加熱或いは炊飯時刻等を予約するためのタイマ設定を行う時に用いられる。
さらに、本体ケース2内の表示器20の下方には、この電気炊飯ジャーにおける炊飯制御、保温制御、タイマ制御などを行うための制御回路基板23および電力供給用等のための電源回路基板24が収容されている。制御回路基板23、電源回路基板24は、温度センサ10、炊飯ヒータ8、保温ヒータ9、表示器20および操作スイッチ21に電気的に接続されている。
図2は、上述した電気炊飯ジャー1の電気的な制御回路に関する構成を表わすブロック図である。電気炊飯ジャー1は、加熱制御手段としてのマイクロコンピュータ25が備えられている。操作スイッチ21の操作信号および温度センサ10で検出される検出温度はマイクロコンピュータ25へ与えられる。マイクロコンピュータ25は、これら入力信号に基づいて表示器20の表示内容を切換えるとともに、炊飯ヒータ8及び保温ヒータ9の通電を制御する。
図3は、炊飯動作時における内鍋4の温度変化を示すタイムチャートであり、横軸に時間、縦軸には温度がとられている。炊飯動作は、内鍋4を所定温度(たとえば約43℃)まで上昇させ、その所定温度で米に水を吸収させるための吸水工程と、内鍋4内の米および水を沸騰状態にまで加熱する昇温工程と、内鍋4内の水がなくなるまで沸騰状態を維持する炊き上げ工程と、炊きあがったご飯をむらすむらし工程とを含んでいる。
各工程の制御時間等は、例えば、図13Aに示す従来の炊飯制御では次のようになる。即ち、吸水工程では、設定温度43℃で600秒間、炊飯ヒータの出力はデューティ比3/16の低出力で、保温ヒータの出力はデューティ比13/16でそれぞれ加熱制御される。昇温工程は、合数判定が行われる合数判定工程の前の初期昇温工程と後の昇温工程に分かれ、初期昇温工程では、設定温度53℃まで、炊飯ヒータの出力はデューティ比16/16高出力で加熱制御され 後の昇温工程では、合数に応じた加熱制御が行われる。
合数工程での合数判定は、合数に応じて温度上昇が異なることを利用して判定するものであり、温度上昇が小さいほど合数が多くなる。実施例のものでは、3合、2合、1合及び0.5合の4種類を判定している。そして、合数判定後の従来の昇温工程の4種類の炊飯制御は、例えば図13Aのように行われている。
即ち、3合では、設定温度115℃まで、もしくは420秒間、炊飯ヒータの出力はデューティ比11/16の比較的高出力で、保温ヒータの出力はデューティ比5/16でそれぞれ加熱制御され、2合では、設定温度115℃まで、もしくは360秒間、炊飯ヒータの出力はデューティ比11/16の比較的高出力で、保温ヒータの出力はデューティ比5/16でそれぞれ加熱制御され、1合では、設定温度115℃まで、もしくは300秒間、炊飯ヒータの出力はデューティ比10/16の比較的高出力で、保温ヒータの出力はデューティ比6/16でそれぞれ加熱制御され、0.5合では、設定温度115℃まで、もしくは300秒間、炊飯ヒータの出力はデューティ比10/16の比較的高出力で、保温ヒータの出力はデューティ比6/16でそれぞれ加熱制御されている。
昇温工程が終了すると炊き上げ工程に移行するが、従来の炊き上げ工程は、例えば、3合では、設定温度135℃まで、炊飯ヒータの出力はデューティ比10/16の比較的高出力で、保温ヒータの出力はデューティ比6/16でそれぞれ加熱制御され、2合では、設定温度130℃まで、炊飯ヒータの出力はデューティ比9/16の中出力で、保温ヒータの出力はデューティ比7/16でそれぞれ加熱制御され、1合では、設定温度126℃まで、炊飯ヒータの出力はデューティ比8/16の中出力で、保温ヒータの出力はデューティ比8/16でそれぞれ加熱制御され、0.5合では、設定温度126℃まで、炊飯ヒータの出力はデューティ比8/16の中出力で、保温ヒータの出力はデューティ比8/16でそれぞれ加熱制御されている。
炊き上げ工程が終了するとむらし工程に移行するが、従来のむらし工程は、例えば、3合では、設定温度105℃で600秒間、炊飯ヒータの出力はデューティ比3/16の比較的小出力で、保温ヒータの出力はデューティ比8/16でそれぞれ加熱制御され、2合では、設定温度104℃で600秒間、炊飯ヒータの出力はデューティ比3/16の比較的小出力で、保温ヒータの出力はデューティ比8/16でそれぞれ加熱制御され、1合では、設定温度101℃で600秒間、炊飯ヒータの出力はデューティ比3/16の比較的小出力で、保温ヒータの出力はデューティ比8/16でそれぞれ加熱制御され、0.5合では、設定温度101℃で600秒間、炊飯ヒータの出力はデューティ比3/16の比較的小出力で、保温ヒータの出力はデューティ比8/16でそれぞれ加熱制御されている。
ところで、このような従来の昇温工程での加熱制御は、おいしくご飯を炊くために炊飯ヒータの出力を比較的高出力で行っていた。そのため、昇温工程から炊き上げ工程への移行時の温度も高くなり、異物ありの温度との差は[背景技術]の欄にも記載したように合数が多い場合でも小さくなるが、特に合数が少ない場合にはより小さくなり、鍋底に米粒等が付着し内鍋4と熱板7との間に隙間が生じるときの異物判定が適正に行えないという弊害があったところ、昇温工程での加熱出力を従来よりも低くすることによっても加熱時間は長くなるが従来同様おいしいご飯を炊くことができるという知見を得、この知見に基づき次のような手段を創作した。
なお、炊飯ジャーでは、昇温工程をも含め各工程で合数に応じた最適な加熱出力値が予め決められており、従来より低い加熱電力とは、そのように予め決められている電力値より低いという意味であり、通常より低い加熱電力或いは予め決められているものより低い加熱電力と同様である。
即ち、図13Bに示すように、昇温工程での加熱制御を、設定温度及び制御時間は合数にかかわらず図13Aと同じであるが、例えば3合では、炊飯ヒータの出力はデューティ比9/16の中出力で、保温ヒータの出力はデューティ比7/16でそれぞれ加熱制御し、2合では、炊飯ヒータの出力はデューティ比9/16の中出力で、保温ヒータの出力はデューティ比7/16でそれぞれ加熱制御し、1合では、炊飯ヒータの出力はデューティ比8/16の中出力で、保温ヒータの出力はデューティ比8/16でそれぞれ加熱制御し、0.5合では、炊飯ヒータの出力はデューティ比8/16の中出力で、保温ヒータの出力はデューティ比8/16でそれぞれ加熱制御するものである。そして、昇温工程後では、異物の有無により異なる加熱制御を行うことができる。
本願発明は、合数判定後の昇温工程の加熱出力を、同型式或いは同様の能力を有する炊飯ジャーで従来採用されていた比較的高出力のものより低くすることを特徴とするものである。即ち、昇温工程での加熱制御を従来より低い加熱電力で行うことにより、炊き上げ工程開始時の異物なしの場合の温度を下げることができるため、異物ありの場合の温度との差を従来のものに比べ広げることができる。その結果、両温度間に誤判定されにくい基準温度を設定することができ、炊き上げ工程開始時の異物の有無の判定を精度よく行うことができるようになる。このように従来採用されていた比較的高出力での加熱制御をそれより低い中出力での加熱制御で昇温工程を行うことにより、図12に示すように、昇温工程から炊き上げ工程への移行時(図の最左端部)の異物の有無における温度差を、略105℃〜115℃のように比較的大きくすることができ、例えば異物判定の基準温度である閾値をその中間値である110℃にすることより合数の多少にかかわらず異物判定を正確に行うことができるようになる。
なお、図12のE曲線は、3合で異物なしの場合を示し、F曲線は、0.5合で異物なしの場合を示し、G曲線は、3合で0.5mmの隙間を有する異物ありの場合を示し、H曲線は、0.5合で0.5mmの隙間を有する異物ありの場合を示し、J曲線は、3合で1mmの隙間を有する異物ありの場合を示し、K曲線は、0.5合で1mmの隙間を有する異物ありの場合を示す。
昇温工程の加熱制御を上記したように中出力で行うことにより、異物のない状態では、炊き上げ工程移行時の温度を合数にかかわらず略105℃にすることができ、また、異物のある状態では、炊き上げ工程移行時の温度は合数にかかわらず略115℃になるため、両者のほぼ中間の110℃を閾値として異物判定を行うことができるようになり、異物判定の精度を従来のものに比べ格段に向上させることができる。そのため、異物判定後の加熱制御を適正に行うことができ異物の有無にかかわらずおいしいご飯を炊くことができるようになる。なお、基準値は、110℃近傍にしても105〜115℃のいずれかにしても110〜115℃のいずれかにしても105〜110℃のいずれかにしてもよい。
異物判定の結果、異物なしと判定されると、図13Bに示すように、炊き上げ工程及びその後のむらし工程を既に上述した図13Aの従来のものと同じ合数別加熱制御で行うことになるが、異物判定の結果、異物ありと判定されると、図13C或いはDに示すような合数別加熱制御を行う。図13Cは、異物炊飯制御の1実施例を示すものであり、炊き上げ工程の加熱出力を異物なしの従来のものより下げ、内鍋4の温度と温度センサ10の温度がなるべく近い温度になるようにゆっくり炊き上げを行うものである。
即ち、設定温度は合数にかかわりなく同じにし、3合では、炊飯ヒータの出力をデューティ比6/16の比較的低出力にするとともに、保温ヒータの出力をデューティ比10/16にし、2合では、炊飯ヒータの出力をデューティ比5/16の比較的低出力にするとともに、保温ヒータの出力をデューティ比11/16にし、1合では、炊飯ヒータの出力をデューティ比4/16の比較的低出力にするとともに、保温ヒータの出力をデューティ比12/16にし、0.5合では、炊飯ヒータの出力をデューティ比4/16の比較的低出力にするとともに、保温ヒータの出力をデューティ比12/16にする。なお、むらし工程での加熱制御は、B及びCのものと同じである。この例のものでは、炊き上げ工程が従来のものより時間が長くなりその結果、異物なしのものとほぼ同様の炊き上げが行われる。
図13Dのものは、異物炊飯制御の他の実施例を示すものであり、炊き上げ工程の加熱出力を異物なしの従来のものより下げるとともに、設定温度を異物なしの従来のものより上げ、更に、むらし工程での設定温度を異物なしの従来のものより上げることにより異物なしの場合に近い炊き上げ及びむらしを行うものである。
即ち、3合では、設定温度148℃と従来のものより上げ、炊飯ヒータの出力をデューティ比6/16の比較的低出力にするとともに、保温ヒータの出力をデューティ比10/16にし、2合では、設定温度142℃と従来のものより上げ、炊飯ヒータの出力をデューティ比5/16の比較的低出力にするとともに、保温ヒータの出力をデューティ比11/16にし、1合では、設定温度136℃と従来のものより上げ、炊飯ヒータの出力をデューティ比4/16の比較的低出力にするとともに、保温ヒータの出力をデューティ比12/16にし、0.5合では、設定温度136℃と従来のものより上げ、炊飯ヒータの出力をデューティ比4/16の比較的低出力にするとともに、保温ヒータの出力をデューティ比12/16にする。
更に、むらし工程では、加熱時間及び合数別加熱出力をA、B、Cに示す従来のものと同じにするとともに合数別の設定温度を、3合では、115℃と従来のものより上げ、2合では、113℃と従来のものより上げ、1合では、109℃と従来のものより上げ、0.5合では、109℃と従来のものより上げる。この例のものでは、異物なしのものとほぼ同様の炊き上げ及びむらしが行われる。
次に、図4ないし図10により炊飯制御動作について説明をする。図4に吸水工程のフローを示す。吸水工程では、まずステップS1により開始から600秒が経過したかが判定され、経過していないとステップS2に進み温度が43℃になったかが判定され、その温度に達するとステップS1に戻るが、いまだその温度に達していないとステップS3、ステップS4に進み炊飯ヒータの出力をデューティ比3/16の低出力で、保温ヒータの出力をデューティ比13/16でそれぞれ加熱制御する。そして、ステップS1で600秒が経過したと判定されるとステップS5に進み合数判定が行われる。
合数判定後の昇温工程を図5に示す。昇温工程では、まずステップS1により開始から420秒が経過したかが判定され、経過していないとステップS2に進み温度が115℃になったかが判定され、いまだその温度に達していないと判定されるとステップS3、ステップS4に進み炊飯ヒータの出力をデューティ比9/16の中出力で、保温ヒータの出力をデューティ比7/16でそれぞれ加熱制御する。ステップS1での経過時間420秒は、異物なしの通常での昇温工程での時間であり、その時間が経過したということは異物がないことになり、その時間が経過したと判定されるとステップS5に進み炊き上げ工程に移行する。ステップS2で温度が115℃になるということは、420秒より短い時間で温度が急上昇しており、異物がある蓋然性が高いことを意味する。即ち、ステップS2で115℃を超えたと判定されると即座にステップS5の炊き上げ工程に移行する。
炊き上げ工程時の異物検知を図6に示す。炊き上げ工程が開始されると、ステップS1で基準温度で閾値でもある110℃以下かが判定され、以下と判定されるとステップS2に進み従来通りの通常炊飯炊き上げ工程に移行し、それより高いと判定されるとステップS3に進み異物炊飯炊き上げ工程に移行する。
図6でステップS2に移行した場合には、図7の通常炊飯炊き上げ工程に移行し、その後、図8の通常炊飯むらし工程に移行する。図7及び図8に示すものは、図13Aのものに該当するが、3合のもののみを示す。即ち、合数3合での通常炊飯炊き上げ工程では、まずステップS1により温度が135℃になったかが判定され、いまだその温度に達していないと判定されるとステップS2、ステップS3に進み炊飯ヒータの出力をデューティ比10/16の比較的高出力で、保温ヒータの出力をデューティ比6/16でそれぞれ加熱制御する。ステップS1で135℃を超えたと判定されるとむらし工程へ移行する。
合数3合での通常炊飯むらし工程では、まずステップS1で開始から600秒が経過したかが判定され、経過していないとステップS2に進み温度が105℃になったかが判定され、いまだその温度に達していないと判定されるとステップS3、ステップS4に進み炊飯ヒータの出力をデューティ比3/16の低出力で、保温ヒータの出力をデューティ比8/16でそれぞれ加熱制御する。ステップS2で105℃を超えたと判定されるとステップS1に戻るとともに、ステップS1で600秒が経過したと判定されるとステップS5に進み保温工程に移行する。
図6でステップS3に進む異物ありの場合には、図13Bに示すように通常炊飯炊き上げ工程及び通常炊飯むらし工程を実行することもできるが、よりおいしいご飯を炊くために図13C及びDに示す加熱制御を実行する。
異物ありの場合の異物炊飯炊き上げ工程を図9に示す。この例のものは加熱出力を下げるものである。図9は図13Cの炊き上げ工程で合数が3合のもののみを示し、炊き上げ工程が開始されると、ステップS1で135℃以下かが判定され、以下と判定されるとステップS2、ステップS3に進み炊飯ヒータの出力をデューティ比6/16の中出力で、保温ヒータの出力をデューティ比10/16でそれぞれ加熱制御する。ステップS1で135℃を超えたと判定されるとステップS4に進みむらし工程に移行する。むらし工程に移行後は、図8及び図13Cに示すように通常炊飯むらし工程を実行してもよく、また、次に説明する図10及び図13Dの異物炊飯むらし工程を実行してもよい。
異物ありの場合の異物炊飯むらし工程を図10に示す。図10は図13Dのむらし工程で合数が3合のもののみを示し、むらし工程が開始されると、まずステップS1で開始から600秒が経過したかが判定され、経過していないとステップS2に進み温度が115℃になったかが判定され、いまだその温度に達していないと判定されるとステップS3、ステップS4に進み炊飯ヒータの出力をデューティ比3/16の低出力で、保温ヒータの出力をデューティ比8/16でそれぞれ加熱制御する。ステップS2で115℃を超えたと判定されるとステップS1に戻るとともに、ステップS1で600秒が経過したと判定されるとステップS5に進み保温工程に移行する。
なお、炊き上げ工程で電力を下げると十分な炊き上げができなく恐れがあるため、タイマーを設け必要に応じ炊き上げ工程時間を延長して従来と同様の炊き上げを行うようにしてもよい。また、白米の他に、無洗米、早炊き、発芽玄米、玄米、炊き込み・おこわ等のメニューを設けるとともに、各メニューに応じた通常炊飯及び異物炊飯を行うこともできる。
異物ありの場合の他の異物炊飯炊き上げ工程を図11に示す。この例のものは加熱出力を下げるとともに、設定温度を上げるものである。図11は図13Dの炊き上げ工程で合数が3合のもののみを示し、炊き上げ工程が開始されると、ステップS1で148℃以下かが判定され、以下と判定されるとステップS2、ステップS3に進み炊飯ヒータの出力をデューティ比6/16の中出力で、保温ヒータの出力をデューティ比10/16でそれぞれ加熱制御する。ステップS1で148℃を超えたと判定されるとステップS4に進みむらし工程に移行する。むらし工程に移行後は、図8及び図13Cに示すように通常炊飯むらし工程を実行してもよく、また、図10の異物炊飯むらし工程を実行してもよい。なお、再加熱タイマーを設け、炊飯終了後、手動で再加熱を行うようにしてもよい。この場合の再加熱時間は、5分或いは10分等の上限を設けるとよい。
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能であることは勿論である。例えば、他の発明として、「本体ケースと、蓋部材と、内鍋と、該内鍋をを加熱する炊飯用加熱源と、前記内鍋の温度を検知する温度センサと、該温度センサの信号を受け前記加熱源の加熱状態を制御する加熱制御手段とを備え、炊飯工程中に前記内鍋の内容物を沸騰させる昇温工程及び沸騰した内容物を炊き上げる炊き上げ工程を有する電気炊飯ジャーであって、異物有りの判定時、異物なしの判定時に比べ加熱電力を下げて加熱時間を長くすることを特徴とする炊飯ジャー。」、或いは「本体ケースと、蓋部材と、内鍋と、該内鍋をを加熱する炊飯用加熱源と、前記内鍋の温度を検知する温度センサと、該温度センサの信号を受け前記加熱源の加熱状態を制御する加熱制御手段とを備え、炊飯工程中に前記内鍋の内容物を沸騰させる昇温工程及び沸騰した内容物を炊き上げる炊き上げ工程を有する電気炊飯ジャーであって、異物有りの判定時、異物なしの判定時に比べ加熱電力を下げるとともに設定温度を上げることを特徴とする炊飯ジャー。」、或いは上記両発明を1、2とした場合に「異物有りの判定時、異物なしの判定時に比べ炊き上げ工程後のむらし工程での設定温度を上げることを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯ジャー。」等がある。