JP4765009B2 - リチウム吸着剤を含有する成形体およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、リチウム吸着剤を含有する成形体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、複数のセルを有し、セル中にリチウム吸着剤またはその前駆体が内包された成形体およびその製造方法に関する。
リチウムは、セラミックス、グリース、空調用冷媒、医薬品、電池などの原料として使用されている重要な物質であるが、我が国にはリチウム鉱石資源がなく、リチウムは全量輸入に頼っている。しかし、海水中には微量のリチウムが含まれており、海水からリチウムを効率よく吸着し回収する技術の確立が望まれている。そのため、リチウム・マンガン複合酸化物(吸着剤前駆体)を希塩酸に浸漬してリチウムを抽出し、リチウム吸着能を付与したマンガン酸化物系リチウム吸着剤が提案されている(特許文献1参照)。しかし、このリチウム・マンガン複合酸化物は粉体状であり、工業的にリチウムの吸着を行うには、担体に担持する必要がある(特許文献2参照)。
一方、各種活性物質の担体として、種々の中空ないし多孔質構造の膜状、マイクロカプセル状の成形体が提案されている。例えば、スピノーダル分離模様の連続多孔構造を有する膜が提案されている(特許文献3参照)。また、各種触媒の担持体、電子写真のトナー、表示機器などの電子材料、クロマトグラフィー、吸着材などとして、多孔質球状粒子が知られている(特許文献4参照)。また、微生物、細菌、酵素に代表される活性物質の固定化担体として、中空および多孔質のカプセル壁を有し、カプセル壁の多孔質が、カプセルの内部の中空と微細孔を通してつながっている構造のマイクロカプセルが提案されている(特許文献5参照)。また、カプセル樹脂壁材の緻密性を制御することにより、所望の徐放特性を有するマイクロカプセルが提案されている(特許文献6参照)。さらに、活性物質のバインダーを多孔構造とする方法として、無機塩や澱粉等の有機物を造孔剤として用いる方法が提案されている(特許文献7参照)。
しかし、これらのマイクロカプセルは中空部と、それを覆う外殻とからなり、カプセル内部は中空であり活性物質を内部に担持するスペースおよび内部表面積は限られている。また、大粒径のマイクロカプセルの場合、強度を維持するためには外殻の厚さを大きくする必要があるが、活性物質とカプセル外物質との接触は、外殻に存在する数nm〜数十μmの細孔によってのみなされるため、外殻の厚さを大きくした場合には、かかる細孔による圧損が大きくなり、効率的に接触を行うことができないという欠点がある。
また、活性物質が、担体の外部に露出していると、外部からの摩擦等で容易に活性物質が脱落、剥離してしまうという問題がある。
特開2004−2097号公報 特開2002−282684号公報 特開平1−245035号公報 特開2002−80629号公報 特開2003−88747号公報 特開2004−25099号公報 特開昭64−65143号公報
従って本発明は、内包されるリチウム吸着剤とカプセル外の物質とが、圧損などの影響を大きく受けることなく効率的に接触できる成形体を提供することを目的とする。また本発明は、リチウム吸着剤の表面がポリマーにより被覆されることなく、その表面積を最大に利用することのできる成形体を提供することを目的とする。さらに本発明は、リチウム吸着剤が外部からの摩擦等で容易に脱落、剥離することのない成形体を提供することを目的とする。加えて本発明は、リチウム吸着剤が直接人体に接触したり吸引されたりすることのない成形体を提供することを目的とする。
そこで本発明者は、リチウム吸着剤に好適な担体について鋭意検討した。その結果、リチウム吸着剤またはその前駆体と疎水性のポリマーとを含有するドープを凝固液中で凝固させると、ポリマー中にリチウム吸着剤またはその前駆体を内包した複数のセルが形成され、かつ、セル中のリチウム吸着剤またはその前駆体は、セルの内壁に担持されることなく、ちょうど鈴の内部の空洞に入れられた珠のように内壁と接触していない構造が得られることを見出した。また、ポリマー中には、いわゆるスピノーダル分解により細孔が形成され、カプセル外の物質とリチウム吸着剤との接触が容易に行なわれることを見出し、本発明を完成した。またリチウム吸着剤前駆体を内包する成形体は、酸性液と接触せしめることにより内包する前駆体を容易にリチウム吸着剤に変換できることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、リチウム吸着剤またはその前駆体とポリマーとを含有するドープを凝固液中で凝固させて得られ、ポリマー中に形成された複数のセルを有する成形体であって、
(1)セル中にはリチウム吸着剤またはその前駆体が内包され、
(2)ポリマー中には細孔が存在し、細孔は他の細孔とポリマー中で連通し、それらの孔径が1nm〜1μmの範囲にあり、
(3)セルの内壁とリチウム吸着剤またはその前駆体とは実質的に接触していない、成形体であって、
ポリマーがアラミドポリマーまたはアクリルポリマーであり、リチウム吸着剤がH Mn またはH 1.33 Mn 1.67 で表わされる化合物であり、リチウム吸着剤前駆体が、Li Mn またはLi 1.33 Mn 1.67 で表わされる化合物である、前記成形体である。
また本発明は、ドープを凝固液中で凝固させることからなる、ポリマー中に形成された複数のセルを有する成形体であって、セル中にはリチウム吸着剤またはその前駆体が内包されている成形体の製造方法であって、
(1)ドープは、ポリマー、該ポリマーの良溶媒である溶媒(B)およびリチウム吸着剤またはその前駆体を含有し、
(2)凝固液は、該ポリマーの貧溶媒である溶媒(D)を含有し、
ポリマーがアラミドポリマーまたはアクリルポリマーであり、リチウム吸着剤がH Mn またはH 1.33 Mn 1.67 で表わされる化合物であり、リチウム吸着剤前駆体が、Li Mn またはLi 1.33 Mn 1.67 で表わされる化合物であることを特徴とする方法である。
さらに本発明は、ポリマー中に形成された複数のセルを有する成形体であって、セル中にはリチウム吸着剤としてHMnまたはH1.33Mn1.67で表わされる化合物が内包されている成形体の製造方法であって、
(i)ドープを凝固液中で凝固させ成形体を得る工程であって、(1)ドープは、ポリマー、該ポリマーの良溶媒である溶媒(B)およびリチウム吸着剤前駆体としてLiMnまたはLi1.33Mn1.67で表わされる化合物を含有し、(2)凝固液は、該ポリマーの貧溶媒である溶媒(D)を含有する工程、並びに
(ii)得られた成形体を酸性液に接触せしめリチウムを抽出しHMnまたはH1.33Mn1.67で表わされる化合物に変換する工程、
を含み、
ポリマーがアラミドポリマーまたはアクリルポリマーである、
成形体の製造方法である。
また本発明は、リチウム吸着剤を含有する本発明の成形体と海水とを接触させることを特徴とする海水中のリチウムの吸着方法を包含する。
本発明の成形体は、担持するポリマー自体に細孔を有するので、内包されたリチウム吸着剤とカプセル外の物質とが、圧損などの影響を受けず効率的に接触できる。本発明の成形体は、リチウム吸着剤がセル中でセル内壁に接触せず存在するので、その表面積を有効に活用できる。本発明の成形体は、リチウム吸着剤が外部からの摩擦等で容易に脱落、剥離することがない。本発明の成形体は、リチウム吸着剤が直接人体に接触したり吸引されたりすることがない。本発明の製造方法によれば、前記成形体を容易に製造することができる。また本発明の海水中のリチウムの吸着方法によれば、海水中のリチウムを高い吸着率で回収することができる。また粉体のリチウム吸着剤を用いるのに比べ、海水との分離が容易である。またカラムにした場合の圧損も小さい。
<成形体>
(ポリマー)
本発明の成形体は、ポリマーにより形成される。ポリマーは疎水性である。ポリマーとして、アラミドポリマー、アクリルポリマーなどが挙げられる。アラミドポリマーは、アミド結合の85モル%以上が芳香族ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸成分よりなるポリマーが好ましい。その具体例としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンイソフタルアミドを挙げることができる。アクリルポリマーは、85モル%以上のアクリロニトリル成分を含むポリマーが好ましい。共重合成分として、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリ酸メチル、および硫化スチレンスルホン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分が挙げられる。
(細孔)
本発明の成形体は、ポリマー自体に細孔を有する。細孔は他の細孔とポリマー中で連通しており、細孔同士が連結した網目構造を形成している。細孔の孔径は1nm〜1μm、好ましくは10nm〜500nmの範囲にある。細孔は、ドープをポリマーの貧溶媒である溶媒(D)を含有する凝固液中で凝固させることによりスピノーダル現象により形成される。細孔は、走査型電子顕微鏡写真、透過型電子顕微鏡写真により観察することができる。
(セル)
本発明の成形体中には複数のセルが形成される。セル中にはリチウム吸着剤またはその前駆体が内包されている。セルの形状は一定ではないが、リチウム吸着剤またはその前駆体を含むことが出来る大きさである。本発明の成形体においては、セルの内壁とリチウム吸着剤またはその前駆体は実質的に接触していない。即ち本発明の成形体においては、セルの内壁と、リチウム吸着剤またはその前駆体との間には空間が存在する。セル中のリチウム吸着剤またはその前駆体は、ちょうど鈴の中にある珠に相当すると言える。以下この構造を鈴構造ということがある。
(リチウム吸着剤前駆体)
リチウム吸着剤前駆体として、LiMnまたはLi1.33Mn1.67で表わされる化合物が挙げられる。これらの化合物の混合物も用いることができる。LiMnで表わされる化合物は、LiMnOで表わされる化合物を、酸素の存在下400℃以上で焼成することにより製造することができる。なお、LiMnOで表わされる化合物は、γ‐オキシ水酸化マンガン及び/又は三酸化二マンガンと水酸化リチウム水和物とを、耐圧容器中、100〜140℃で加熱反応させることにより製造することができ、その製造方法は、特開2004−2097号公報に記載されている。また、Li1.33Mn1.67で表わされる化合物は、炭酸リチウムや硝酸リチウムなどのリチウム化合物と、水酸化酸化マンガンや炭酸マンガンなどのマンガン化合物を所定の割合で混合し、350℃以上の温度で数時間程度、加熱処理する固相反応法により製造することができることが、特開2004−2097号公報に記載されている。リチウム吸着剤前駆体は、粒子状のものが好ましい。粒子の粒径は、好ましくは1nm〜500μm、より好ましくは1nm〜100μm、さらにより好ましくは1nm〜50μmである。
(リチウム吸着剤)
リチウム吸着剤として、HMnまたはH1.33Mn1.67で表わされる化合物が挙げられる。これらの化合物は、前述の前駆体を希塩酸と接触せしめリチウムを抽出することにより製造することができる。これらの化合物の混合物も用いることができる。リチウム吸着剤は、粒子状のものが好ましい。粒子の粒径は、好ましくは1nm〜500μm、より好ましくは1nm〜100μm、さらにより好ましくは1nm〜50μmである。
(成形体の形状)
本発明の成形体は、球状、楕円状のような塊状のもの、紐状、パイプ状、中空糸状のような繊維状のもの、また膜状のものが好ましい。
<成形体の製造方法>
(ドープ)
本発明の成形体は、ドープを凝固液中で凝固させ製造することができる。ドープは、ポリマー、ポリマーの良溶媒である溶媒(B)およびリチウム吸着剤またはその前駆体を含有する。ポリマー、リチウム吸着剤またはその前駆体は成形体の項で説明した通りである。ドープ中に2種以上のリチウム吸着剤またはその前駆体を含有させることもできる。
溶媒(B)は、ポリマーの良溶媒である。良溶媒とは一般に言われるように、ポリマーに対し大きな溶解能を有する溶媒である。たとえば、ポリマーがポリメタフェニレンテレフタルアミドのとき、溶媒(B)はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好ましい。またポリマーがアクリルポリマーのとき、溶媒(B)はジメチルスルホオキサド(DMSO)が好ましい。
媒(B)の含有量は、100質量部のポリマーに対し、好ましくは100〜10,000質量部、より好ましくは1,000〜5,000質量部である。リチウム・マンガン複合酸化物の含有量は、ポリマー100質量部に対し、好ましくは100〜10,000質量部、さらに好ましくは100〜1900質量部である。
ドープの温度は、好ましくは5〜80℃、さらに好ましくは20〜50℃である。ドープは、溶媒(B)にポリマーを混入し、充分に攪拌して溶解させた後に、リチウム吸着剤またはその前駆体を添加して調製しても良いし、溶媒(B)中にポリマーとリチウム吸着剤またはその前駆体を同時に混入させて調製しても良い。
(凝固液)
凝固液は、ポリマーの貧溶媒である溶媒(D)を含有する。貧溶媒とは一般に言われるように、ポリマーに対し溶解能を僅かしか持たない溶媒である。ポリマーがポリメタフェニレンテレフタルアミドであるとき、溶媒(D)は水が好ましい。凝固液は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは85〜100質量%の溶媒(D)を含有する。他の成分は、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルスルホオキサドが好ましい。
凝固液は、界面活性剤を含有していても良い。界面活性剤としてアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤として、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、炭素数12〜16の直鎖モノアルキル第4級アンモニウム塩、炭素数20〜28の分岐アルキル基を有する第4級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキル基及びアシル基が8〜18個の炭素原子を有するアルキルアミンオキシド、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド(EO)等を挙げることができる。界面活性剤の含有量は、溶媒(D)100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、さらに好ましくは5〜10質量部である。凝固液の温度は、好ましくは10〜80℃、さらに好ましくは20〜50℃である。
本発明の成形体を得るには特殊な装置は不要である。塊状成形体は、ドープを、凝固液中に添加することにより製造することができる。例えば、ドープを凝固液中にスプレー、注射器などで滴下させるだけでよい。また、繊維状の成形体は、凝固液中にノズルで吐出して巻き取ることで製造できる。また、繊維状、紐状、パイプ状の成形体は、空中からマイクロシリンジ等でドープを吐出しながらマイクロシリンジ等を水平に移動させて、ドープを凝固液中に投入することにより得ることもできる。また、膜状成形体はキャリア物質上にドープを塗布し凝固液に浸漬することで製造できる。これらの場合、スプレーノズルの口径、塗布厚みなどを変えることにより、成形体の径や厚みを任意に調整することが可能である。
本発明によれば、いわゆるスピノーダル分解によって、ポリマー中に連続した孔径1nm〜1μm程度の網目構造の微細孔が形成される。またポリマーは疎水性で、リチウム吸着剤前駆体は親水性であるので、ポリマーとリチウム吸着剤前駆体とは互いにはじき合う性質を有するため、鈴構造が形成される。
ポリマーが、ポリメタフェニレンテレフタルアミドであり、溶媒(B)がN−メチル−2−ピロリドンであり、溶媒(D)が水であることが好ましい。ポリマーがアクリルポリマーであり、溶媒(B)がジメチルスルホオキサドであり、溶媒(D)が水であることが好ましい。好ましいポリマーおよび溶媒の組み合わせとして、下記表1に示す組合せが例示できる。
本発明によれば、前駆体を内包する成形体を製造したのち、成形体を酸性液に接触せしめ、成形体中の前駆体に結合しているリチウムを抽出し、成形体中の前駆体をリチウム吸着剤に変換する方法が提供される。
即ち、本発明によれば、ポリマー中に形成された複数のセルを有する成形体であって、セル中にはリチウム吸着剤としてHMnまたはH1.33Mn1.67で表わされる化合物が内包されている成形体の製造方法であって、
(i)ドープを凝固液中で凝固させ成形体を得る工程であって、(1)ドープは、ポリマー、該ポリマーの良溶媒である溶媒(B)およびリチウム吸着剤前駆体としてLiMnまたはLi1.33Mn1.67で表わされる化合物を含有し、(2)凝固液は、該ポリマーの貧溶媒である溶媒(D)を含有する工程、並びに
(ii)得られた成形体を酸性液に接触せしめリチウムを抽出しHMnまたはH1.33Mn1.67で表わされる化合物に変換する工程、
を含み、
ポリマーがアラミドポリマーまたはアクリルポリマーである、
成形体の製造方法が提供される。酸性液として希塩酸が好ましい。接触は成形体を酸性液中に浸漬することにより容易に行うことができる。
本発明は、リチウム吸着剤を内包する成形体と海水とを接触させることを特徴とする海水中のリチウムの吸着方法が提供される。海水と成形体との接触は、海水中に成形体を投入することにより行うことができる。リチウムを吸着した成形体は酸性液に接触せしめリチウムを抽出し回収することができる。酸性液として希塩酸が好ましい。接触は成形体を酸性液中に浸漬することにより容易に行うことができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。
(参考例1)リチウム吸着剤前駆体の合成
γ‐オキシ水酸化マンガン10kgと固体状の水酸化リチウム一水和物5kgとを、25リットル容積のポリテトラフルオロエチレン製耐圧容器に入れて密封したのち、120℃で24時間反応させ、次いで生成した固体を60℃で12時間乾燥することにより、LiMnOで表わされるリチウム・マンガン複合酸化物10.8kgを得た。次に、このLiMnOで表わされるリチウム・マンガン複合酸化物10kgを電気炉に入れ、空気雰囲気中、400℃において4時間加熱、焼成することにより、LiMnで表されるリチウム吸着剤前駆体(以下、LMCOということがある)10.7kgを得た。
<実施例1>繊維状成形体の製造
(ドープの調製)
室温で、10重量部のポリメタフェニレンテレフタルアミド(PMPTA)を1900重量部のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させて、ポリマー溶液を調製した。ポリマー溶液に30質量部の参考例1で得たリチウム吸着剤前駆体(LMCO)を添加し、攪拌棒で全体を充分に攪拌してドープを調製した。
(凝固液)
室温の水を凝固液とした。
(成形)
図1に示す装置で、室温にてドープをギヤポンプからキャップを介して凝固液中に吐出し、ローラーで巻き取って繊維状成形体を得た。繊維状成形体の断面の透過型電子顕微鏡写真を図2に示す。
<実施例2>繊維状吸着剤によるリチウムの吸着
実施例1で得られた繊維状成形体を0.5M塩酸水溶液中に1日間浸漬してリチウムを抽出したのち、ろ別し、乾燥して、繊維状吸着剤を得た。次いで、この繊維状吸着剤の0.1gを、リチウム5ppmを含む海水1リットル中に添加し3日間攪拌した。吸着前後のリチウム濃度の差からリチウム吸着量を求めた。リチウム濃度は原子吸光光度法により測定した。吸着量は19mg−Li/g−繊維状吸着剤で、原粉当たりの吸着量は32mg−Li/g−LMCOであった。
<比較例1>粉体状吸着剤によるリチウムの吸着
参考例1で得られたリチウム吸着剤前駆体について、実施例2と同じ操作により酸処理して、粉体状リチウム吸着剤を得た。次いで、繊維状吸着剤の代わりに、粉体状リチウム吸着剤の0.1gを用いる以外は、実施例2と同じ操作を行って、リチウム吸着量を求めた。リチウム吸着量は31mg−Li/g−LMCOであった。実施例1と比較例1とを比べると、本発明の成形体は、吸着剤原粉とほぼ同等の能力を有することが分かる。
本発明の成形体は、リチウム吸着剤としての応用が期待される。
実施例1で用いた装置の略図である。 実施例1で得られた繊維状成形体の断面の拡大図である。
符号の説明
1 ドープ貯留槽
2 ドープ
3 吐出部
4 紡出糸
5 凝固浴槽
6 凝固液
7 抑えローラー
8 巻き取りローラー
9 隙間
10 リチウム吸着剤前駆体
11 ポリマー

Claims (7)

  1. リチウム吸着剤またはその前駆体とポリマーとを含有するドープを凝固液中で凝固させて得られ、ポリマー中に形成された複数のセルを有する成形体であって、
    (1)セル中にはリチウム吸着剤またはその前駆体が内包され、
    (2)ポリマー中には細孔が存在し、細孔は他の細孔とポリマー中で連通し、それらの孔径が1nm〜1μmの範囲にあり、
    (3)セルの内壁とリチウム吸着剤またはその前駆体とは実質的に接触していない、成形体であって、
    ポリマーがアラミドポリマーまたはアクリルポリマーであり、リチウム吸着剤がH Mn またはH 1.33 Mn 1.67 で表わされる化合物であり、リチウム吸着剤前駆体が、Li Mn またはLi 1.33 Mn 1.67 で表わされる化合物である、前記成形体。
  2. ドープを凝固液中で凝固させることからなる、ポリマー中に形成された複数のセルを有する成形体であって、セル中にはリチウム吸着剤またはその前駆体が内包されている成形体の製造方法であって、
    (1)ドープは、ポリマー、該ポリマーの良溶媒である溶媒(B)およびリチウム吸着剤またはその前駆体を含有し、
    (2)凝固液は、該ポリマーの貧溶媒である溶媒(D)を含有し、
    ポリマーがアラミドポリマーまたはアクリルポリマーであり、リチウム吸着剤がH Mn またはH 1.33 Mn 1.67 で表わされる化合物であり、リチウム吸着剤前駆体が、Li Mn またはLi 1.33 Mn 1.67 で表わされる化合物であることを特徴とする方法。
  3. ドープが、100質量部のポリマーに対して100〜10,000質量部の溶媒(B)を含有する請求項記載の方法。
  4. ポリマーがポリメタフェニレンテレフタルアミドであり、溶媒(B)がN−メチル−2−ピロリドンであり、溶媒(D)が水である請求項記載の方法。
  5. ポリマーがアクリルポリマーであり、溶媒(B)がジメチルスルホオキサドであり、溶媒(D)が水である請求項記載の方法。
  6. ポリマー中に形成された複数のセルを有する成形体であって、セル中にはリチウム吸着剤としてHMnまたはH1.33Mn1.67で表わされる化合物が内包されている成形体の製造方法であって、
    (i)ドープを凝固液中で凝固させ成形体を得る工程であって、(1)ドープは、ポリマー、該ポリマーの良溶媒である溶媒(B)およびリチウム吸着剤前駆体としてLiMnまたはLi1.33Mn1.67で表わされる化合物を含有し、(2)凝固液は、該ポリマーの貧溶媒である溶媒(D)を含有する工程、並びに
    (ii)得られた成形体を酸性液に接触せしめリチウムを抽出しHMnまたはH1.33Mn1.67で表わされる化合物に変換する工程、
    を含み、
    ポリマーがアラミドポリマーまたはアクリルポリマーである、
    成形体の製造方法。
  7. リチウム吸着剤を含有する請求項1記載の成形体と海水とを接触させることを特徴とする海水中のリチウムの吸着方法。
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