JP2006111789A - マクロボイド部を有する成形体およびその製造方法 - Google Patents

マクロボイド部を有する成形体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、内部の表面積が大きく、かつ内包される機能性物質とカプセル外の物質とが圧損などの影響を受けず効率的に接触でき、充分な強度を有し、マイクロカプセルなどに使用することが好適なポリマー成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、マトリックスポリマーにより形成され、外殻部およびマクロボイド部からなるポリマー成形体であって、
(1)マトリックスポリマー中には細孔が存在し、細孔は他の細孔とポリマー中で連通し、それらの孔径が0.1nm〜1μmの範囲にあり、
(2)外殻部は、マトリックスポリマーより覆われ、
(3)マクロボイド部は、マトリックスポリマーにより隔てられたボイドを含有し、隣接するボイドはマトリックスポリマー中の細孔により連通している、
前記成形体およびその製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ボイドを有する成形体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明はマイクロカプセル等として用いるのに好適な、ボイドを含有し、かつボイドが細孔により連通しているポリマー成形体およびその製造方法に関する。
従来、ポリマー成形体に連続する多孔構造を付与することが行われている。例えば、スピノーダル分離模様の連続多孔構造を有する膜が提案されている(特許文献1)。
また、各種触媒の担持体、電子写真のトナー、表示機器などの電子材料、クロマトグラフィー、吸着材などとして、多孔質球状粒子が知られている(特許文献2)。
また、微生物、細菌、酵素に代表される活性物質の固定化担体として、中空および多孔質のカプセル壁を有し、カプセル壁の多孔質が、カプセルの内部の中空と微細孔を通してつながっている構造を有するマイクロカプセルが提案されている(特許文献3)。
さらに、カプセル樹脂壁材の緻密性を制御することにより、所望の徐放特性を有するマイクロカプセルが提案されている(特許文献4)。
特開平1−245035号公報 特開2002−80629号公報 特開2003−88747号公報 特開2004−25099号公報
マイクロカプセルは、固体状、液体状および気体状の内包物を薄い皮膜の壁材により被膜した微小な容器であり、不安定な物質の保護、反応性物質の隔離、内包物の拡散性の制御、機能性物質の内包などの機能を有する。これらの機能を有効に発現させるためには、内包物を内部に効率的に担持しなければならないが、このためにはマイクロカプセル内部の表面積を大きくし、かつ内包される機能性物質とカプセル外の物質とが、ボイド部の圧損が小さく分子拡散が容易に行われることによって効率的に接触できることが必要である。
しかし、前述のように従来のマイクロカプセルは中空部と、それを覆う外殻とからなり、カプセル内部は中空であり機能性物質を内部に担持するスペースおよび内部表面積は限られている。また、大粒径のマイクロカプセルの場合、強度を維持するためには外殻の厚さを大きくする必要があるが、機能性物質とカプセル外物質との接触は、マトリックスポリマーに存在する数nm〜数十μmの細孔によってのみなされるため、外殻の厚さを大きくした場合には、かかる細孔による圧損が大きくなり、効率的に接触を行うことができないという欠点がある。
従って、本発明の目的は、内部の表面積が大きく、かつ内包される機能性物質とカプセル外の物質とが圧損などの影響を受けず効率的に接触でき、充分な強度を有し、マイクロカプセルなどに使用することが好適なポリマー成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
そこで本発明者は、成形体の内部に数nm〜数十μmの細孔とは明らかに区別できる程度の大きさのボイドを略均一に形成すると、成形体内の表面積を格段に大きくすることができ、大量の機能性物質を担持できると共に、機能性物質と成形体外の物質とが容易にかつ均一に接触できることを想到した。
即ち、本発明は、マトリックスポリマーにより形成され、外殻部およびマクロボイド部からなるポリマー成形体であって、
(1)マトリックスポリマー中には細孔が存在し、細孔は他の細孔とポリマー中で連通し、それらの孔径が0.1nm〜1μmの範囲にあり、
(2)外殻部は、マトリックスポリマーより覆われ、
(3)マクロボイド部は、マトリックスポリマーにより隔てられたボイドを含有し、隣接するボイドはマトリックスポリマー中の細孔により連通している、
成形体である。
さらに、成形体にボイドを形成する方法を鋭意検討した結果、ポリマーを湿式法で成形し、成形体を製造する際にドープと凝固液の双方に界面活性剤を含有させることにより成形体内部にボイドを略均一に形成させることができることを見出した。
即ち、本発明は、ドープを凝固液中で凝固させることからなるポリマー成形体の製造方法であって、ドープが、ポリマー、該ポリマーの良溶媒および界面活性剤を含有し、凝固液が該ポリマーの貧溶媒および界面活性剤を含有することを特徴とする、細孔を有するマトリックスポリマーにより形成されたマクロボイド部を有するポリマー成形体の製造方法である。尚、ドープ中への界面活性剤の溶解を促進させるため、ドープ中に水を含有させることも可能である。
本発明のポリマー成形体は、内部にマクロボイド部を有するので、大量の機能性物質を担持できると共に、機能性物質と成形体外の物質とが容易にかつ均一に接触できる。
さらに、本発明方法によれば、内部にマクロボイド部を有するポリマー成形体を容易に製造することができる。また、使用する界面活性剤の量やドープ中のポリマー濃度を調節することにより、ボイドの大きさを変化させることができる。
<成形体>
(マトリックスポリマー)
本発明の成形体は、マトリックスポリマーにより形成される。マトリックスポリマーは、ポリマー溶液を用いて湿式法で成形される疎水性ポリマーであることが好ましい。マトリックスポリマーとして、アラミドポリマー、アクリルポリマー、ビニルアルコールポリマー、セルロースポリマーなどが挙げられる。
アラミドポリマーは、アミド結合の少なくとも85モル%以上が芳香族ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸成分よりなるポリマーが好ましい。その具体例としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンイソフタルアミドを挙げることができる。
アクリルポリマーは、少なくとも85モル%のアクリロニトリル成分を含むポリマーが好ましい。共重合成分として、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリ酸メチル、および硫化スチレンスルホン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分が挙げられる。
本発明においては、ポリマー自体に細孔を有するマトリックスポリマーによりマクロボイド部が形成されていることを特徴とする。細孔は他の細孔とマトリックスポリマー中で連通しており、細孔同士が連結した網目構造を形成している。細孔の孔径は0.1nm〜1μm、好ましくは10nm〜500nmの範囲にある。
本発明の成形体の形状は、球体、楕円体のような塊状、繊維状のものが好ましい。
(外殻部)
外殻部は細孔を有するマトリックスポリマーより形成されるので、成形体の表面には複数の細孔の開口部が観察され、多孔質構造となっている。細孔は他の細孔とマトリックスポリマー中で連通しており、細孔同士が連結した網目構造を形成している。かかる細孔は、後述するマクロボイド部に連通している。外殻部の厚さは、100nm〜1μm、好ましくは200nm〜500nmの範囲にあることが好ましい。球状若しくは繊維状の成形体の場合、直径の0.005〜0.05%、好ましくは0.01〜0.025%の範囲であることが好ましい。
(マクロボイド部)
マクロボイド部は、マトリックスポリマーにより隔てられたボイドを含有し、隣接するボイドは、マトリックスポリマー中の細孔により連通している。
ボイドの孔径は、外殻部に接する部位で略最大となり、その最大径が10μm〜1mm、好ましくは20μm〜100μmの範囲にあることが好ましい。
マクロボイド部は、下記式で表わされる空隙率が0.3〜0.95、好ましくは0.6〜0.9の範囲にある。成形体が球状の場合、空隙率は、成形体にエポキシ樹脂を包埋後、50nmの厚みで、成形体の赤道面(中心部を通る平面)に平行で、中心から半径の50%分、離れた位置にある平面の切片を作成し、透過電子顕微鏡写真を撮影して、写真中のポリマーの面積とボイドの面積を測定し、下記式により得られる。楕円体の場合は、長径を含む赤道部平面に平行で、中心から短径の50%分、離れた位置にある平面の切片を作成して同様に測定する。
空隙率(V)=X/(X+Y)
X:マクロボイドの面積(m2
Y:ポリマーの面積(m2
マクロボイド部はマトリックスポリマーにより隔てられたボイドを有するのに対し、外殻部はマトリックスポリマーが略均一に存在するので、これらの境界は走査顕微鏡写真により観察することで判断できる。
(中空部)
本発明においては、略中心に中空部を有する成形体が好ましい。かかる成形体は外殻部、マクロボイド部および中空部からなる。中空部はマトリックスポリマーが実質的に存在しない領域である。中空部の大きさは、塊状成形体の場合、直径の10〜80%、好ましくは30〜50%の範囲であることが好ましい。
(成形体の形状)
以下、本発明の成形体の形状の一態様について説明する。図1〜7は実施例で得られた球状成形体の各部を形状を示す図である。
図1(球状成形体の外観写真)は、実施例で得られた球状成形体の外観写真である。
図2はその切断面の説明図である。符号1は、図4の断面写真に対応する切断面を示す。符号2は、図5の断面写真に対応する切断面を示す。符号3は、成形体の外郭部、符号4は錐体状のマクロボイドを示す。
図3は、錐体状のマクロボイドの説明図である。符号5は錐体状のマクロボイドの外郭部、符号6はマクロボイドの壁面を構成するマトリックスポリマー、符号7は外郭外部からの流体の流れ方向を示す。このような錐体状のマクロボイドの孔径は、外郭に接する最大径で示す。
図4(中空形状の写真)は、図1の球状成形体を図2に示す赤道面の1−1断面で切断した際の、その断面の光学顕微鏡写真である。その形状は、直径2mmの球状で、外郭部の厚さは200μmであり、中心部には直径200μmの中空部8を有する。中空部を取り囲んでマクロボイド部9が形成されている。
図5(ハニカム形状の写真)は、図1の球状成形体を図2の赤道面から離れた2−2断面で切断した、マクロボイド部の断面10を走査電子顕微鏡で撮影した写真を示す。マクロボイド部は、複数のボイドが隣接して形成されている。各ボイドはマトリックスポリマーにより形成された隔壁により仕切られている。中心部に中空部を有するので、各マクロボイドは中空部を介して連通している。マクロボイドの形状は錐体状であり、ちょうど中心部を頂点方向として外殻部方向にボイドが広がっている形状である。錐体の底面に相当する形状は不規則であるが、隣接するボイドが隔壁により仕切られていることが分かる。マトリックスポリマー自体には孔径50nm〜200nmの複数の細孔が存在し、各ボイドはかかる細孔により連通している。
従ってかかる成形体は、中心部に中空部を有する球状の成形体であって、マクロボイド部が、中心部を頂点方向として外殻部を底辺方向とする複数の錐体状ボイドが隣接して形成された成形体と言える。
図6(微細孔部の写真)は、マトリックスポリマーの細孔の走査電子顕微鏡を示す。符号11は成形体の外郭部、符号12はマクロボイド、符号13はマクロボイドの壁面を構成するマトリックスポリマーを示す。マトリックスポリマーに無数の細孔が形成されていることがわかる。
図7(微細孔部の写真)は成形体を50nmの切片にして、撮影した透過電子顕微鏡写真である。符号14は、成形体の外郭部、符号15はマクロボイド、符号16はマクロボイドの壁面を構成するマトリックスポリマーを示す。マトリックスポリマー中の細孔が連結していることが分かる。
<成形体の製造方法>
本発明の成形体の製造方法は、ドープを凝固液中で凝固させることからなるポリマー成形体の製造方法であって、ドープが、ポリマー、該ポリマーの良溶媒および界面活性剤を含有し、凝固液が該ポリマーの貧溶媒および界面活性剤を含有することを特徴とする、細孔を有するマトリックスポリマーにより形成されたマクロボイド部を有するポリマー成形体の製造方法である。
本発明方法は、ドープを凝固液中で凝固させることからなる、いわゆる湿式法によるポリマー成形体の製造方法である。
(ドープ)
ドープは、ポリマー、該ポリマーの良溶媒および界面活性剤を含有する。ポリマーとしてアラミドポリマー、アクリルポリマー、ポリ乳酸などが挙げられる。良溶媒とは一般に言われるように、ポリマーに対し大きな溶解能を有する溶媒であって、たとえば、ポリマーがポリメタフェニレンテレフタルアミドである場合はN−メチル−2−ピロリドン等であり、またポリマーがアクリルポリマーである場合はジメチルスルホオキサド等であり、さらにはポリマーがポリ乳酸である場合はジクロロメタン等である。
界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
アニオン性界面活性剤として、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。高級脂肪酸塩は、好ましくは平均10〜24の炭素原子を1分子中に有する飽和又は不飽和脂肪酸塩である。アルキルベンゼンスルホン酸塩は、好ましくは平均炭素数10〜16のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩である。アルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩は、好ましくは平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩である。オレフィンスルホン酸塩は、好ましくは平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するオレフィンスルホン酸塩である。これらのアニオン性界面活性剤の塩、すなわちアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。
カチオン界面活性剤としては、炭素数12〜16の直鎖モノアルキル第4級アンモニウム塩、炭素数20〜28の分岐アルキル基を有する第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキル基及びアシル基が8〜18個の炭素原子を有するアルキルアミンオキシド、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、ホスホベタイン等が挙げられる。具体的には、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド(EO)、特に好ましくは平均6〜30モルのEOを付加した、脂肪族(C8〜C18)第一又は第二直鎖又は分枝鎖アルコールあるいはフェノールのアルキレンオキシド付加物等を挙げることができる。また、モノ又はジアルキルアルカノールアミドやアルキルポリグルコシドも含まれる。例えば、ココモノ又はジエタノールアミド、ココモノイソプロパノールアミド及びココジグルコシド等である。
ドープ中には、1〜30質量%、好ましくは5〜15質量%のポリマーおよび70〜99質量%、好ましくは85〜95質量%の該ポリマーの良溶媒の合計100質量部に対し、0.05〜30質量部、好ましくは5〜10質量部の界面活性剤を含有する。また界面活性剤は、溶解度を向上させるため、水溶液としてドープに添加することも可能である。その場合、水の含有量は、ポリマーおよび該ポリマーの良溶媒の合計100質量部に対し、10質量部以下、好ましくは5質量部以下である。
ドープの温度は、5〜80℃、好ましくは20〜50℃である。ドープの調製はまず、良溶媒中にポリマーを混入し、充分に攪拌して溶解させた後に、界面活性剤を添加しても良いし、良溶媒中にポリマーと界面活性剤を同時に混入させても良い。さらには、良溶媒中にまず界面活性剤を混入し、後にポリマーを添加しても良い。ただし、界面活性剤を水溶液として添加する場合は、ポリマーが水によって凝固析出することがある。その場合は充分な攪拌を行い、ポリマーを再溶解させることが必要である。
(凝固液)
凝固液は、該ポリマーの貧溶媒および界面活性剤を含有する。貧溶媒とは一般に言われるように、ポリマーに対し溶解能を僅かしか持たない溶媒であって、たとえば、ポリマーがポリメタフェニレンテレフタルアミドである場合は水等であり、またポリマーがポリ乳酸である場合はミネラルオイル等である。界面活性剤は、ドープと同じものが例示されるが、ドープと同じものを使用しても良いし、異なるものを使用してもよい。
凝固液は、50〜99.5質量%、好ましくは85〜90質量%の該ポリマーの貧溶媒および0.5〜50質量%、好ましくは0.5〜15質量%の界面活性剤を含有する。
凝固液の温度は、10〜80℃、好ましくは20〜50℃である。
凝固液は、貧溶媒中に界面活性剤を混合し、充分に攪拌することで調製できる。
(マクロボイドおよび細孔の形成)
本発明によれば、ドープ中に含有される界面活性剤、および凝固液中に含有される界面活性剤の疎水基が、疎水性ポリマーを取り囲むことや相分離による収縮等により、マクロボイドを形成することができるものと考えられる。従って、溶融ポリマー溶液中の界面活性剤の濃度が高いほど、マクロボイドの径は小さくなる。
また、マトリックスポリマーの濃度を変えて、マクロボイド径を調整することも可能である。一般にマトリックスポリマーの濃度が高いほど、マクロボイドの径は小さくなる。
一方、いわゆるスピノーダル分解によって、マトリックスポリマー中に連続した孔径0.1nm〜1μm程度の網目構造の細孔が形成される。
従って、本発明によれば、ポリマー溶液と凝固液の双方に界面活性剤を含有させることにより、細孔を有するマトリックスポリマーにより内部にボイドが形成されたポリマー成形体を製造することができる。ただし、ポリマー溶液への凝固液中の界面活性剤の拡散速度が速く、かつ拡散距離が短い場合には、凝固液中の界面活性剤が、ポリマー溶液中の界面活性剤の代替になりうるため、この場合にはポリマー溶液中の界面活性剤が無くともマクロボイド構造が形成されることもある。
好ましいポリマー、良溶媒、貧溶媒の組み合わせとして、ポリマーがポリメタフェニレンテレフタルアミドであり、良溶媒がN−メチル−2−ピロリドンであり、貧溶媒が水である組み合わせが挙げられる。また、ポリマーがアクリルポリマーであり、良溶媒がジメチルスルホオキサドであり、貧溶媒が水である組み合わせが挙げられる。
(装置)
本発明の成形体を得るには特殊な装置は不要である。成形体は、該ポリマーの良溶媒および、界面活性剤を含有しするドープを、界面活性剤を含有する凝固液中に添加することにより製造することができる。例えば、ドープを凝固液中にスプレー、注射器などで滴下させるだけでよい。この場合、スプレーノズルの口径などを変えることにより、成形物の径を任意に調整することが可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。
<ドープの調製>
30℃下で、N−メチル−2−ピロリドン中にポリメタフェニレンテレフタルアミドを5質量%溶解させて、ポリマー溶液を作成した。さらに、パーム油を主原料とする石鹸(ナチュラルソープ「ソーム」、輸入元:株式会社ソーム)を水中に1質量%溶解させた界面活性剤水溶液を、30℃下で、ポリマー溶液100質量部に対し、8質量%添加して、ドープを調製した。この際、一部のポリメタフェニレンテレフタルアミドが凝固、析出したが、40℃に5時間保持し攪拌することで析出ポリマーは再溶解した。
<凝固液の調製>
40℃下で、水中に、パーム油を主原料とする石鹸(ナチュラルソープ「ソーム」、輸入元:株式会社ソーム)を1質量%添加し、充分に攪拌溶解させて、凝固液を調整した。
<成形加工>
このようにして調整したドープを5mlマイクロシリンジを用いて、1リットルの凝固液中に滴下、水洗・乾燥して、図1の外観形状、図4〜図7の内部構造を有する球状成形体を得た。
本発明の成形体は、機能性物質を内包させたマイクロカプセルとして、あるいは機能性物質を内部に担持させることにより、水処理などの環境浄化、化学品製造として、種々の分野で応用が期待される。たとえば、マイクロカプセルとしては、細胞、酵素、DNA、微生物、医薬品などの医薬材料、記録材料、工業薬剤、化粧品などを内部に保持しすることが可能であり、外殻部の細孔を用いて除放性を発現させることができる。また、VOCなどを吸着する吸着剤を内部に担持させることにより、吸着処理を効率的に行うことができる。
図1は実施例の球状成形体の外郭部を示す。 図2は図1の球状成形体の構造を説明するための、球状成形体の内部構造を模式的に示した切断面の図である。 図3はマクロボイドの説明図である。 図4は、実施例1の球状成形体を図2の1−1面で切断した断面の光学顕微鏡写真である。 図5は、実施例1の球状成形体を図2の2−2面で切断した断面の走査電子顕微鏡写真である。 図6はマトリックスポリマーの細孔の走査電子顕微鏡写真である。 図7はマトリックスポリマー部を50nmの切片にして、撮影した透過電子顕微鏡写真を示す。
符号の説明
1 図4に対応する切断面
2 図5に対応する切断面
3 成形体の外郭部
4 錐体状のマクロボイド
5 錐体状のマクロボイドの外郭部
6 マクロボイドの壁面を構成するマトリックスポリマー
7 外郭外部からの流体の流れ方向
8 中空部
9 マクロボイド部
10 マクロボイドの断面
11 成形体の外郭部
12 マクロボイド
13 マクロボイドの壁面を構成するマトリックスポリマー
14 成形体の外郭部
15 マクロボイド
16 マクロボイドの壁面を構成するマトリックスポリマー

Claims (11)

  1. マトリックスポリマーにより形成され、外殻部およびマクロボイド部からなるポリマー成形体であって、
    (1)マトリックスポリマー中には細孔が存在し、細孔は他の細孔とポリマー中で連通し、それらの孔径が0.1nm〜1μmの範囲にあり、
    (2)外殻部は、マトリックスポリマーより覆われ、
    (3)マクロボイド部は、マトリックスポリマーにより隔てられたボイドを含有し、隣接するボイドはマトリックスポリマー中の細孔により連通している、
    前記成形体。
  2. 塊状の成形体である請求項1記載の成形体。
  3. 塊状の成形体であり、中心部に中空部を有する請求項1記載の成形体。
  4. 中心部に中空部を有する球状の成形体であって、マクロボイド部が、中心部を頂点方向として外殻部を底辺方向とする複数の錐体状ボイドが隣接して形成された請求項1記載の成形体。
  5. ドープを凝固液中で凝固させることからなるポリマー成形体の製造方法であって、ドープが、ポリマー、該ポリマーの良溶媒および界面活性剤を含有し、凝固液が該ポリマーの貧溶媒および界面活性剤を含有することを特徴とする、細孔を有するマトリックスポリマーにより形成されたマクロボイド部を有するポリマー成形体の製造方法。
  6. ドープが、1〜30質量%のポリマーおよび70〜99質量%の該ポリマーの良溶媒の合計100質量部に対し、0.05〜30質量部の界面活性剤を含有する請求項5記載の製造方法。
  7. 凝固液が、50〜99.5質量%の該ポリマーの貧溶媒および0.5〜50質量%の界面活性剤を含有する請求項5記載の製造方法。
  8. ドープ中の界面活性剤が、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項5記載の製造方法。
  9. 凝固液中の界面活性剤が、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項5記載の製造方法。
  10. ポリマーがポリメタフェニレンテレフタルアミドであり、該ポリマーの良溶媒がN−メチル−2−ピロリドンであり、凝固液中の該ポリマーの貧溶媒が水である請求項5記載の製造方法。
  11. ポリマーがアクリルポリマーであり、該ポリマーの良溶媒がジメチルスルホオキサドであり、凝固液中の該ポリマーの貧溶媒が水である請求項5記載の製造方法。

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