JP2006257371A - マクロボイド部を有する成形体およびその製造方法 - Google Patents

マクロボイド部を有する成形体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、内部の表面積が大きく、かつ内包される機能性物質とカプセル外の物質とが圧損などの影響を受けず効率的に接触でき、充分な強度を有する成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、マトリックスポリマーにより形成され、外殻部およびマクロボイド部からなり、機能性物質が担持された成形体であって、
(1)マトリックスポリマー中には細孔が存在し、細孔は他の細孔とポリマー中で連通し、それらの孔径が0.1nm〜1μmの範囲にあり、
(2)外殻部は、マトリックスポリマーより覆われ、
(3)マクロボイド部は、マトリックスポリマーにより隔てられたマクロボイドを含有し、隣接するマクロボイドはマトリックスポリマー中の細孔により連通している、成形体およびその製造方法である。
【選択図】 図5

Description

本発明は、マクロボイドを有し、機能性物質が担持された成形体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、マクロボイドを含有し、かつマクロボイドが細孔により連通し、機能性物質が担持された成形体およびその製造方法に関する。
従来、各種触媒等の機能性物質の担体として、種々の中空ないし多孔質構造の膜状、マイクロカプセル状の成形体が提案されている。
例えば、スピノーダル分離模様の連続多孔構造を有する膜が提案されている(特許文献1)。また、各種触媒の担持体、電子写真のトナー、表示機器などの電子材料、クロマトグラフィー、吸着材などとして、多孔質球状粒子が知られている(特許文献2)。また、微生物、細菌、酵素に代表される活性物質の固定化担体として、中空および多孔質のカプセル壁を有し、カプセル壁の多孔質が、カプセルの内部の中空と微細孔を通してつながっている構造を有するマイクロカプセルが提案されている(特許文献3)。また、カプセル樹脂壁材の緻密性を制御することにより、所望の徐放特性を有するマイクロカプセルが提案されている(特許文献4)。さらに、機能性物質のバインダーを多孔構造とする方法として、無機塩や澱粉等の有機物を造孔剤として用いる方法が提案されている(特許文献5)。
特開平1−245035号公報 特開2002−80629号公報 特開2003−88747号公報 特開2004−25099号公報 特開昭64−65143号公報
マイクロカプセルは、固体状、液体状および気体状の内包物を薄い皮膜の壁材により被膜した微小な容器であり、不安定な物質の保護、反応性物質の隔離、内包物の拡散性の制御、機能性物質の内包などの機能を有する。これらの機能を有効に発現させるためには、内包物を内部に効率的に担持しなければならないが、このためにはマイクロカプセル内部の表面積を大きくする必要がある。また、カプセル外の物質が、圧損を生じることなく分子拡散が容易に行われることによって、内包される機能性物質と効率的に接触できることが必要である。
しかし、前述のように従来のマイクロカプセルは中空部と、それを覆う外殻とからなり、カプセル内部は中空であり機能性物質を内部に担持するスペースおよび内部表面積は限られている。また、大粒径のマイクロカプセルの場合、強度を維持するためには外殻の厚さを大きくする必要があるが、機能性物質とカプセル外物質との接触は、外殻に存在する数nm〜数十μmの細孔によってのみなされるため、外殻の厚さを大きくした場合には、かかる細孔による圧損が大きくなり、効率的に接触を行うことができないという欠点がある。
また、機能性物質は一般に微細粒子であるため、充填塔として使用する場合、圧損が大きく実用的でないという問題がある。これを解決するため、バインダー等で機能性物質を固定し、造粒することが一般に行われているが、この方法ではバインダーが機能性物質表面を覆い、機能を発揮するのに有効な表面積が確保できない。そのため、バインダーに無機塩や澱粉等の有機物を造孔剤として混入させ、成形加工後にこれらを水洗等で除去する方法が提案されているが、外部と連通孔する孔が得られず、また製造コストも高くなるという欠点がある。
また、機能性物質が凝集構造を持つ場合は、直接外部雰囲気にさらされている箇所では、外部からの摩擦等で容易に機能性物質の一部が脱落、剥離してしまうという問題がある。
また、生理的活性が強い機能性物質の場合、直接人体に接触したり吸引されたりするのを防ぐ必要がある。この場合、ポリマー等の薄膜で機能性物質の表面を覆う必要があるが、被覆するポリマーに連通孔がないと機能性物質が有効に働かないという問題がある。
従って、本発明は、内部の表面積が大きく、かつ内包される機能性物質とカプセル外の物質とが、圧損などの影響を受けず効率的に接触でき、充分な強度を有する、機能性物質が担持されたポリマー成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
そこで本発明者は、成形体を構成するマトリックスポリマーに細孔を形成し、そのマトリックスポリマーにより外殻部を形成し、さらに成形体内部には、その細孔とは明らかに区別できる程度の大きさのマクロボイドを略均一に形成すると、成形体内の表面積を格段に大きくすることができ、大量の機能性物質を担持できると共に、機能性物質と成形体外の物質とが容易にかつ均一に接触できることを見出した。
即ち、本発明は、マトリックスポリマーにより形成され、外殻部およびマクロボイド部からなり、機能性物質が担持された成形体であって、
(1)マトリックスポリマー中には細孔が存在し、細孔は他の細孔とポリマー中で連通し、それらの孔径が0.1nm〜1μmの範囲にあり、
(2)外殻部は、マトリックスポリマーより覆われ、
(3)マクロボイド部は、マトリックスポリマーにより隔てられたマクロボイドを含有し、隣接するマクロボイドはマトリックスポリマー中の細孔により連通している、成形体である。
さらに本発明者は、成形体にマクロボイドを形成する方法を鋭意検討した結果、ポリマーを湿式法で成形し、成形体を製造する際にドープと凝固液の双方に界面活性剤を含有させることにより成形体内部にマクロボイドを略均一に形成させることができることを見出した。
即ち、本発明は、ドープを凝固液中で凝固させることからなる機能性物質が担持されたポリマー成形体の製造方法であって、ドープが、ポリマー、該ポリマーの良溶媒および界面活性剤を含有し、凝固液が該ポリマーの貧溶媒および界面活性剤を含有し、かつ、ドープ、凝固液またはこれらの双方が機能性物質を含有することを特徴とする、細孔を有するマトリックスポリマーにより形成されたマクロボイド部を有し、機能性物質が担持されたポリマー成形体の製造方法である。尚、ドープ中への界面活性剤の溶解を促進させるため、ドープ中に水を含有させることも可能である。
本発明のポリマー成形体は、内部にマクロボイド部を有するので、大量の機能性物質が担持させることができ、機能性物質と成形体外の物質とが容易にかつ均一に接触できる。
また、複数の機能性物質を同一の成形体内部に担持することによって、それらを組み合わせた機能を発現させたり、目的とする機能を向上させることもできる。たとえば、機能性物質の持つ吸着等の機能を阻害する成分が流体中に存在する場合には、阻害成分を吸着等で無効化する機能を有する新たな機能性物質を、目的とする機能性物質に混合して成形することで、目的とする機能性物質の機能を向上させることが可能である。
また、成形体の内部にある機能性物質の表面の少なくとも一部が、マトリックスポリマーで覆われ成形体に強固に担持されると共に、該マトリックスポリマーは連通する細孔を有するので、成形体外部の分子が該細孔を通って容易に機能物質表面に到達することができる。
一方、本発明の成形体における、外殻部近傍に担持された機能性物質は、外殻部を構成するマトリックスポリマーで被覆され、機能性物質は外表面に露出していない。よって、機能性物質は、外部からの摩擦力などから保護され、成形体に強固に固定されている。また、被覆するマトリックスポリマーは、細孔を有するので、外部の分子は細孔を通って容易に機能物質表面に到達することができる。従って、機能性物質が、微細粒子であったり生理活性が極めて強かったりして、直接人体に接触したり吸引されるのを防ぐ必要がある場合には、人体との直接の接触や人体への吸引等を防止することができると共に、機能性物質を有効に機能させることが可能となる。
さらに、本発明方法によれば、内部にマクロボイド部を有する、機能性物質が担持されたポリマー成形体を容易に製造することができる。また、成形方法、使用する界面活性剤の量、ドープ中のポリマー濃度等を調節することにより、マクロボイドの形状や大きさを変化させることができる。
<成形体>
(マトリックスポリマー)
本発明の成形体は、マトリックスポリマーにより形成される。マトリックスポリマーは、ポリマーのドープを用いて湿式法で成形される疎水性ポリマーであることが好ましい。マトリックスポリマーとして、アラミドポリマー、アクリルポリマー、ビニルアルコールポリマー、セルロースポリマーなどが挙げられる。
アラミドポリマーは、アミド結合の85モル%以上が芳香族ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸成分よりなるポリマーが好ましい。その具体例としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンイソフタルアミドを挙げることができる。
アクリルポリマーは、85モル%以上のアクリロニトリル成分を含むポリマーが好ましい。共重合成分として、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリ酸メチル、および硫化スチレンスルホン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分が挙げられる。
本発明の成形体は、ポリマー自体に細孔を有するマトリックスポリマーによりマクロボイドが形成されていることを特徴とする。細孔は他の細孔とマトリックスポリマー中で連通しており、細孔同士が連結した網目構造を形成している。細孔の孔径は0.1nm〜1μm、好ましくは10nm〜500nmの範囲にある。
(外殻部)
外殻部は細孔を有するマトリックスポリマーより形成されるので、成形体の表面には複数の細孔の開口部が観察され、多孔質構造となっている。細孔は他の細孔とマトリックスポリマー中で連通しており、細孔同士が連結した網目構造を形成している。かかる細孔は、後述するマクロボイド部に連通している。
外殻部の厚さは、好ましくは100nm〜1μm、さらに好ましくは200nm〜500nmの範囲である。球状若しくは楕円体状の成形体の場合、好ましくは直径の0.005〜0.05%、さらに好ましくは0.01〜0.025%の範囲である。
また、繊維状の成形体の場合は、成形体の長手方向に垂直な断面の直径の0.005〜0.05%であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.025%の範囲である。さらに、膜状の成形体の場合は、膜厚みの0.005〜0.1%であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.05%の範囲である。
(マクロボイド部)
マクロボイド部は、マトリックスポリマーにより隔てられたマクロボイドを含有し、隣接するマクロボイドは、マトリックスポリマー中の細孔により連通している。
マクロボイドの孔径は、外殻部に接する部位で略最大となり、その最大径が10μm〜1mm、好ましくは20μm〜100μmの範囲にあることが好ましい。
マクロボイド部は、下記式で表わされる空隙率が0.3〜0.95、好ましくは0.6〜0.9の範囲にある。成形体が球状の場合、空隙率は、成形体にエポキシ樹脂を包埋後、50nmの厚みで、成形体の赤道面(中心部を通る平面)に平行で、中心から半径の50%分、離れた位置にある平面の切片を作成し、透過電子顕微鏡写真を撮影して、写真中のポリマーの面積とマクロボイドの面積を測定し、下記式により得られる。楕円体の場合は、長径を含む赤道部平面に平行で、中心から短径の50%分、離れた位置にある平面の切片を作成して同様に測定する。
また、繊維状の成形体の場合は、成形体にエポキシ樹脂を包埋後、50nmの厚みで、成形体の長手方向に平行な断面で、中心から半径の50%分、離れた位置にある平面の切片を作成し、透過電子顕微鏡写真を撮影して、写真中のポリマーの面積とマクロボイドの面積を測定し、下記式により得られる。さらに、膜状の成形体の場合は、成形体にエポキシ樹脂を包埋後、50nmの厚みで、成形体の膜厚方向に垂直な断面に平行で、膜厚みの中心から表層に向かって膜厚の25%分、離れた位置にある平面の切片を作成し、透過電子顕微鏡写真を撮影して、写真中のポリマーの面積とマクロボイドの面積を測定し、下記式により得られる。
空隙率(V)=X/(X+Y)
X:マクロボイドの面積(m
Y:ポリマーの面積(m
マクロボイド部はマトリックスポリマーにより隔てられたマクロボイドを有するのに対し、外殻部はマトリックスポリマーが略均一に存在するので、これらの境界は走査顕微鏡写真により観察することで判断できる。
(中空部)
本発明の成形体は、略中心に中空部を有することが好ましい。かかる成形体は外殻部、マクロボイド部および中空部からなる。中空部はマトリックスポリマーが実質的に存在しない領域である。中空部の大きさは、塊状の成形体の場合、直径の10〜80%であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50%の範囲である。また、繊維状の成形体の場合は、成形体の長手方向に垂直な断面の0.1〜30%、好ましくは0.5〜20%の範囲であることが好ましい。
(機能性物質)
機能性物質は、金属酸化物、金属、無機物、鉱物および合成樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、シリカなどが挙げられる。金属としては、金、白金、銀、鉄、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル、マンガンなどが挙げられる。無機物としては、活性炭、ハイドロタルサイト、石膏、セメントなどが挙げられる。鉱物としては雲母などが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフェニレンスルサイドなどが挙げられる。
また、シリカ、活性炭などを担体として用い、銀などの金属を担持した複合機能性物質も好ましい。この場合、銀の粒径は、好ましくは1nm〜100μm、より好ましくは1nm〜100nmである。さらには、同一の成形体中に2種以上の機能性物質を担持させることも好ましい。
機能性物質は、粒子状のものが好ましい。粒子の粒径は、好ましくは0.1nm〜500μm、より好ましくは1nm〜100μm、さらにより好ましくは1nm〜50μmである。
機能性物質は、成形体のマトリックスポリマーに担持される。従って、機能性物質は、外殻部、マクロボイド部の任意の位置に担持される。
本発明の成形体において、外殻部に担持された機能性物質は外表面に露出していない。外殻部に担持された機能性物質は、外殻部から突き出し外表面に露出することが予想されたが、驚くべきことに本発明の成形体においては、外殻部に担持された機能性物質の表面は、マトリックスポリマーで被覆されており、外表面に露出していない。
本発明の成形体の内部のマクロボイド部に担持された機能性物質の表面の少なくとも一部は、マトリックスポリマーによって被覆されている。被覆の厚みは、好ましくは1nm〜10μm、さらに好ましくは100nm〜1μmの範囲である。
(成形体の形状)
本発明の成形体は、球状、楕円状のような塊状のもの、紐状、パイプ状、中空糸状のような繊維状のもの、また膜状のものが好ましい。
特に、塊状または繊維状の成形体であり、中心部に中空部を有することが好ましい。また、中心部に中空部を有する球状の成形体であって、マクロボイド部は、中心部を頂点方向として外殻部を底辺方向とする複数の錐体状マクロボイドが隣接して形成された構造を有することが好ましい。
また、中心部に中空部を有する繊維状の成形体であって、マクロボイド部は、中空部を中心とし外表面方向に向かって複数のマクロボイドが隣接して形成された構造を有することが好ましい。また、膜状の成形体であって、マクロボイド部は、平面方向に展長した複数のマクロボイドが隣接して形成された構造を有することが好ましい。
以下、本発明の成形体の形状の一態様について説明する。図1〜14は実施例1で得られた球状成形体の各部の形状を示す写真である。
図1(球状成形体の外観写真)は、実施例1で得られた球状成形体の外観写真である。符号1は、外殻部の外観形状である。符号2は、電子顕微鏡撮影用のバインダーである。
図2はその切断面の説明図である。符号3は、図4の断面写真に対応する切断面(赤道面)を示す。符号4は、図5、図15の断面写真に対応する切断面を示す。符号5は球状成形体の外殻部、符号6は錐体状のマクロボイドを示す。
図3は、錐体状のマクロボイドの説明図である。符号7は錐体状のマクロボイドの外殻部、符号8はマクロボイドの壁面を構成するマトリックスポリマー、符号9は外殻部の外からの流体の流れ方向を示す。このような錐体状のマクロボイドの孔径は、外殻に接する最大径で示す。
図4(中空形状の写真)は、図1の球状成形体を図2に示す赤道面の3−3断面で切断した際の、その断面の走査電子顕微鏡写真である。その形状は、直径3mmの球状で、外殻部の厚さは200nmであり、中心部には直径500μmの中空部10を有する。中空部を取り囲んでマクロボイド部11が形成されている。マクロボイド部11には機能性物質が担持されているのが分かる。
図5(ハニカム形状の写真)は、図1の球状成形体を図2に示す赤道面から離れた4−4断面で切断した際の、その断面の走査電子顕微鏡写真である。符号12はマクロボイド部を示す。マクロボイド部は、複数のマクロボイドが隣接して形成されている。各マクロボイドはマトリックスポリマーにより形成された隔壁により仕切られている。中心部に中空部を有するので、各マクロボイドは中空部を介して連通している。マクロボイドの形状は錐体状であり、ちょうど中心部を頂点方向として外殻部方向にマクロボイドが放射状に広がっている形状である。錐体の底面に相当する形状は不規則であるが、隣接するマクロボイドが隔壁により仕切られていることが分かる。マトリックスポリマー自体には孔径50nm〜200nmの複数の細孔が存在し、各マクロボイドはかかる細孔により連通している。マクロボイド部に機能性物質が担持されているのが分かる。
従ってかかる成形体は、中心部に中空部を有する球状の成形体であって、マクロボイド部が、中心部を頂点方向として外殻部を底辺方向とする複数の錐体状マクロボイドが隣接して形成された成形体で、機能性物質が担持された成形体である。
図6(成形体内部のマクロボイド壁面の写真)は、成形体内部のマクロボイド壁面に担持された機能性物質の走査電子顕微鏡写真である。符号aは、機能性物質である。符号13はマクロボイド壁面を示す。マトリックスポリマーに無数の細孔が形成されていること、機能性物質がマトリックス壁面に固定されていることがわかる。
図7(成形体内部の機能性物質の拡大写真)は、図6の機能性物質を拡大した走査電子顕微鏡写真である。符号14はマトリックスポリマー、符号aは機能性物質を示す。マトリックスポリマーに無数の細孔が形成されていること、機能性物質がマトリックスポリマーに被覆されていることが分かる。
図8(成形体内部の機能性物質の写真)は、図6のマクロボイド壁面に担持された機能性物質周辺を50nmの切片にして、撮影した透過電子顕微鏡写真を示す。符号aは機能性物質、符号15はマトリックスポリマー、符号16はマクロボイド、符号17は機能性物質を被覆するマトリックスポリマーを示す。符号15および16より、マトリックスポリマーは10〜100nmの連通する細孔で構成されていること、機能性物質はマトリックスポリマーで被覆されていることが分かる。
図9(外殻部の断面写真)は、図1の球状成形体を図2の赤道面である3−3面で切断した断面の外殻部近傍の走査電子顕微鏡写真である。符号18は成形体の外殻部、符号19はマクロボイド、符号aは機能性物質を示す。外殻部まで機能性物質が担持されていることが分かる。
図10(外殻部近傍のマクロボイドの拡大写真)は、図9のマクロボイドを拡大した走査電子顕微鏡写真である。符号20はマクロボイド、符号aは機能性物質を示す。外殻部近傍でも、機能性物質がマトリックスポリマーに被覆され、マクロボイド部に担持されていることが分かる。
図11(外殻部近傍の機能性物質の拡大写真)は、図10の機能性物質を拡大した走査電子顕微鏡写真である。符号21はマクロボイドを構成するマトリックスポリマー、符号22はそのマトリックスポリマーの細孔、符号aは機能性物質を示す。外殻部近傍でもマトリックスポリマーには細孔が空いていること、機能性物質はマトリックスポリマーに被覆されていることが分かる。
図12(外殻部の断面の拡大写真)は、図9の外殻部を拡大した走査電子顕微鏡写真である。符号23は外殻部、符号aは機能性物質を示す。外殻部直近まで機能性物質が担持されていることが分かる。
図13(外殻部の断面写真)は、図1の外殻部に担持された機能性物質周辺を50nmの切片にして、撮影した透過電子顕微鏡写真を示す。符号24は外殻を構成するマトリックスポリマー、符号25はマクロボイド、符号26は外殻部を構成するマトリックスポリマーの細孔、符号aは機能性物質を示す。機能性物質が外殻部を構成する厚さ200nmのマトリックスポリマーで被覆されており、この被覆膜によって機能性物質の脱離と人体への接触が防止できること、さらにそのマトリックスポリマーの薄膜には100〜200nmの細孔が空いており、外部の分子が拡散で機能性物質の表面に到達できることが分かる。
図14(外殻部の断面写真)は、図1の外殻部に担持された機能性物質周辺を50nmの切片にして、撮影した透過電子顕微鏡写真の図13とは別の部位を示す。符号27は外殻部を構成するマトリックスポリマー、符号28は外殻部を構成するマトリックスポリマーの細孔、符号aは機能性物質を示す。部位が変わっても、図13と同様に、機能性物質が外殻部を構成する厚さ200nmのマトリックスポリマーで被覆されていること、そのマトリックスポリマーの薄膜には100〜200nmの細孔が空いていることが分かる。
図15(ハニカム形状の写真)は、実施例2で得られた球状成形体を図2に示す赤道面の4−4断面で切断した、厚さ10μmの切片の光学顕微鏡写真である。符号29はマクロボイド、符号30はマクリックスポリマーと活性炭を示す。図5と同様なマクロボイド構造が形成されていることがわかる。
図16(外殻部の断面写真)は、図15の外殻部を50nmの切片として撮影した走査電子顕微鏡写真である。符号31はマクロボイド、符号32はマトリックスポリマー、符号33は外殻部、符号aは機能性物質(活性炭)を示す。実施例1と同様にマトリックスポリマーは10〜100nmの連通する細孔で構成されていること、機能性物質はマトリックスポリマーで被覆されていることが分かる。
図17(繊維状成形体の長手方向に垂直な断面写真)は実施例3で作成した、繊維状成形体の長手方向に垂直な断面の走査電子顕微鏡写真である。符号34はマクロボイド、符号35は中空部を示す。中央に直径200μmの中空部があり、その周辺に中空部を取り巻くようにマクロボイドが形成されていることがわかる。
図18(繊維状成形体の長手方向に垂直な断面写真)は図17の外殻部の拡大写真である。符号36はマクロボイド、符号37はマトリックスポリマー、符号aは機能性物質(活性炭)を示す。マトリックスポリマーに無数の細孔が形成されていること、機能性物質がマトリックス壁面に固定されていることがわかる。
図19(繊維状成形体の長手方向に平行な断面写真)は実施例3で作成した、繊維状成形体の長手方向に平行な断面の走査電子顕微鏡写真である。符号38はマクロボイド、符号39は中空部、符号40はマクロボイド、符号41は中空部を示す。中央に直径200μmの中空部があり、その周辺に中空部を取り巻くようにマクロボイドが形成されていることがわかる。
図20(膜状成形体の厚み方向の断面写真)は実施例4で作成した、膜状成形体の厚み方向の断面の走査電子顕微鏡写真である。符号42はマクロボイド、符号43は中空部を示す。中空部の周囲に水平方向に方向に引き伸ばされたマクロボイドが存在することがわかる。
<成形体の製造方法>
本発明の成形体の製造方法は、ドープを凝固液中で凝固させることからなる、機能性物質が担持されたポリマー成形体の製造方法であって、ドープが、ポリマー、該ポリマーの良溶媒および界面活性剤を含有し、凝固液が該ポリマーの貧溶媒および界面活性剤を含有し、かつ、ドープ、凝固液またはこれらの双方が機能性物質を含有することを特徴とする、細孔を有するマトリックスポリマーにより形成されたマクロボイド部を有し、機能性物質が担持されたポリマー成形体の製造方法である。
本発明方法は、ドープを凝固液中で凝固させることからなる、いわゆる湿式法によるポリマー成形体の製造方法である。
(ドープ)
ドープは、ポリマー、該ポリマーの良溶媒および界面活性剤を含有する。ポリマーとしてアラミドポリマー、アクリルポリマー、ポリ乳酸などが挙げられる。良溶媒とは一般に言われるように、ポリマーに対し大きな溶解能を有する溶媒であって、たとえば、ポリマーがポリメタフェニレンテレフタルアミドである場合はN−メチル−2−ピロリドン等であり、またポリマーがアクリルポリマーである場合はジメチルスルホオキサド等であり、さらにはポリマーがポリ乳酸である場合はジクロロメタン等である。
界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
アニオン性界面活性剤として、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。高級脂肪酸塩は、好ましくは平均10〜24の炭素原子を1分子中に有する飽和又は不飽和脂肪酸塩である。アルキルベンゼンスルホン酸塩は、好ましくは平均炭素数10〜16のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩である。アルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩は、好ましくは平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩である。オレフィンスルホン酸塩は、好ましくは平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するオレフィンスルホン酸塩である。これらのアニオン性界面活性剤の塩、すなわちアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。
カチオン界面活性剤としては、炭素数12〜16の直鎖モノアルキル第4級アンモニウム塩、炭素数20〜28の分岐アルキル基を有する第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキル基及びアシル基が8〜18個の炭素原子を有するアルキルアミンオキシド、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、ホスホベタイン等が挙げられる。具体的には、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド(EO)、特に好ましくは平均6〜30モルのEOを付加した、脂肪族(C8〜C18)第一又は第二直鎖又は分枝鎖アルコールあるいはフェノールのアルキレンオキシド付加物等を挙げることができる。また、モノ又はジアルキルアルカノールアミドやアルキルポリグルコシドも含まれる。例えば、ココモノ又はジエタノールアミド、ココモノイソプロパノールアミド及びココジグルコシド等である。
ドープ中のポリマーおよび該ポリマーの良溶媒の割合は、ポリマー1〜30質量%に対し、該ポリマーの良溶媒70〜99質量%であることが好ましい。ポリマー5〜15質量%に対し、該ポリマーの良溶媒85〜95質量%であることがさらに好ましい。
界面活性剤の含有量は、ポリマーおよび該ポリマーの良溶媒の合計100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、さらに好ましくは5〜10質量部である。また界面活性剤は、溶解度を向上させるため、水溶液としてドープに添加することも可能である。その場合、水の含有量は、ポリマーおよび該ポリマーの良溶媒の合計100質量部に対し、好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
ドープの温度は、好ましくは5〜80℃、さらに好ましくは20〜50℃である。ドープの調製はまず、良溶媒中にポリマーを混入し、充分に攪拌して溶解させた後に、界面活性剤を添加しても良いし、良溶媒中にポリマーと界面活性剤を同時に混入させても良い。さらには、良溶媒中にまず界面活性剤を混入し、後にポリマーを添加しても良い。ただし、界面活性剤を水溶液として添加する場合は、ポリマーが水によって凝固析出することがある。その場合は充分な攪拌を行い、ポリマーを分散または再溶解させることが必要である。
(凝固液)
凝固液は、該ポリマーの貧溶媒および界面活性剤を含有する。貧溶媒とは一般に言われるように、ポリマーに対し溶解能を僅かしか持たない溶媒であって、たとえば、ポリマーがポリメタフェニレンテレフタルアミドである場合は水等であり、またポリマーがポリ乳酸である場合はミネラルオイル等である。界面活性剤は、ドープと同じものが例示されるが、ドープと同じものを使用しても良いし、異なるものを使用してもよい。
凝固液は、好ましくは50〜99.5質量%の該ポリマーの貧溶媒および0.5〜50質量%の界面活性剤を含有する。凝固液は、さらに好ましくは85〜99.5質量%の該ポリマーの貧溶媒および0.5〜15質量%の界面活性剤を含有する。凝固液の温度は、好ましくは10〜80℃、さらに好ましくは20〜50℃である。凝固液は、貧溶媒中に界面活性剤を混合し、充分に攪拌することで調製できる。
(機能性物質の担持)
本発明方法においては、ドープ中に機能性物質を含有させ、成形体に機能性物質を担持させることができる。ドープ中に2種以上の機能性物質を含有させることもできる。ドープ中の機能性物質の含有量は、ポリマー100質量部に対し、好ましくは10〜9900質量部、さらに好ましくは100〜1900質量部である。
また、凝固液中に機能性物質を含有させ、成形体に機能性物質を担持させることもできる。凝固液中の機能性物質の含有量は、ポリマー100質量部に対し、好ましくは10〜9900質量部、さらに好ましくは100〜1900質量部である。
さらに、ドープおよび凝固液の双方に機能性物質を含有させ、成形体に機能性物質を担持させることもできる。この場合、ドープ中および凝固液中の機能性物質の合計含有量は、ポリマー100質量部に対し、好ましくは10〜9900質量部、さらに好ましくは100〜1900質量部である。ドープに含有させる機能性物質と、凝固液中に含有させる機能性物質とが、種類、粒子径において異なるものを用いることも出来る。
従って、ドープが、1〜30質量%のポリマーおよび70〜99質量%の該ポリマーの良溶媒の合計100質量部に対し、0.05〜30質量部の界面活性剤並びに該ポリマー100質量部に対し、10〜9900質量部の機能性物質を含有することが好ましい。
(マクロボイドおよび細孔の形成)
本発明によれば、ドープ中に含有される界面活性剤、および凝固液中に含有される界面活性剤の疎水基が、疎水性ポリマーを取り囲むことや相分離による収縮等により、マクロボイドを形成することができるものと考えられる。従って、溶融ポリマー溶液中の界面活性剤の濃度が高いほど、マクロボイドの大きさは小さくなる。
また、マトリックスポリマーの濃度を変えて、マクロボイドの大きさを調整することも可能である。一般にマトリックスポリマーの濃度が高いほど、マクロボイドの大きさは小さくなる。
一方、いわゆるスピノーダル分解によって、マトリックスポリマー中に連続した孔径0.1nm〜1μm程度の網目構造の細孔が形成される。
従って、本発明によれば、ドープと凝固液の双方に界面活性剤を含有させることにより、細孔を有するマトリックスポリマーにより内部にボイドが形成されたポリマー成形体を製造することができる。
好ましいポリマー、良溶媒、貧溶媒の組み合わせとして、ポリマーがポリメタフェニレンテレフタルアミドであり、良溶媒がN−メチル−2−ピロリドンであり、貧溶媒が水である組み合わせが挙げられる。また、ポリマーがアクリルポリマーであり、良溶媒がジメチルスルホオキサドであり、貧溶媒が水である組み合わせが挙げられる。
(装置)
本発明の成形体を得るには特殊な装置は不要である。塊状成形体は、該ポリマーの良溶媒および、界面活性剤を含有するドープを、界面活性剤を含有する凝固液中に添加することにより製造することができる。例えば、ドープを凝固液中にスプレー、注射器などで滴下させるだけでよい。また、繊維状の成形体は、凝固液中にノズルで吐出して巻き取ることで製造できる。また、繊維状、紐状、パイプ状の成形体は、空中からマイクロシリンジ等でドープを吐出しながらマイクロシリンジ等を水平に移動させて、ドープを凝固液中に投入することにより得ることもできる。また、膜状成形体はキャリア物質上にドープを塗布し凝固液に浸漬することで製造できる。これらの場合、スプレーノズルの口径、塗布厚みなどを変えることにより、成形物の径や厚みを任意に調整することが可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。
<ドープ(A)の調製>
30℃下で、N−メチル−2−ピロリドン中にポリメタフェニレンテレフタルアミドを5質量%溶解させて、ポリマー溶液を調製した。さらに、パーム油を主原料とする石鹸(ナチュラルソープ「ソーム」、輸入元:株式会社ソーム)を水中に1質量%溶解させた界面活性剤水溶液を、30℃下で、ポリマー溶液100質量部に対し、8質量%添加した。この際、一部のポリメタフェニレンテレフタルアミドが凝固、析出したが、40℃に5時間保持し攪拌することで析出ポリマーは再溶解した。次に、ポリマー溶液に機能性物質として平均粒径10μmのハイドロタルサイトをポリマー100質量部に対し、400質量部の割合で添加してドープ(A)を調製した。
<凝固液(A)の調製>
40℃下で、水中に、パーム油を主原料とする石鹸(ナチュラルソープ「ソーム」、輸入元:株式会社ソーム)を1質量%添加し、充分に攪拌溶解させて、凝固液(A)を調製した。
<成形加工>
ドープ(A)を、5mlマイクロシリンジを用いて、1リットルの凝固液(A)中に滴下、水洗・乾燥して、図1の外観形状、図4〜図14の内部構造を有し、ハイドロタルサイトが担持された球状成形体を得た。
<ドープ(B)の調製>
50℃下で、N−メチル−2−ピロリドン中にポリメタフェニレンテレフタルアミドを6質量%溶解させて、ポリマー溶液を調製した。さらに、陰イオン性界面活性剤(アルキル硫酸エステル塩、花王(株)製「エマール0」)を、50℃下で、ポリマー溶液100質量部に対し、5質量部添加した。次に、ポリマー溶液に機能性物質として平均粒径7μmの活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)社製「粒状白鷺GC−007」)をポリマー100質量部に対し、100質量の割合で添加してドープ(B)を調製した。
<凝固液(B)の調製>
40℃下で、水中に、陰イオン性界面活性剤(アルキル硫酸エステル塩、花王(株)社製「エマール0」)を13.6質量%添加し、充分に攪拌溶解させて、凝固液(B)を調整した。
<成形加工>
ドープ(B)を、1mlマイクロシリンジを用いて、凝固液(B)中に滴下、水洗・乾燥して、図15〜図16の内部構造を有し、活性炭が担持された球状成形体を得た。
<吸着能力>
得られた球状成形体の吸着能力を以下の試験法で測定した。
0.001質量%のメチレンブルー水溶液(MB溶液)50ccに、球状成形体を活性炭1g相当分加え、17℃下でマグネチックスターラーにて300rpmで攪拌して、30分後にろ過し、そのろ液を目視で観察するとともに、ろ液のメチレンブルーの吸光度を分光光度計(日立製作所製U−1100、光波長10mm、波長665nm、対照液は蒸留水)で測定し、以下の式から吸着率を算出した。この結果を表1に示す。
吸着率(%)=(IMB−IFI)/IMB×100
MB:MB溶液の吸光度
FI:ろ液の吸光度
<活性炭単品の吸着能力>
比較のため、球状成形体の代わりに活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)社製「粒状白鷺GC−007」)を1g加える以外は同じ操作を繰り返し、ろ液の吸光度を測定した。
この結果を表1に示す。実施例2で得られた球状成形体は、活性炭がマトリックスポリマーに担持されているにも拘らず、活性炭単品と同等の吸着率が得られることが分かる。
<ドープ(C)の調製>
40℃下で、N−メチル−2−ピロリドン中にポリメタフェニレンテレフタルアミドを5質量%溶解させて、ポリマー溶液を調製した。さらに、パーム油を主原料とする石鹸(ナチュラルソープ「ソーム」、輸入元:株式会社ソーム)を水中に1質量%溶解させた界面活性剤水溶液を、40℃下で、ポリマー溶液100質量部に対し、6質量%添加した。次に、ポリマー溶液に機能性物質として平均粒径7μmの活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)社製「粒状白鷺GC−007」)をポリマー100質量部に対し、100質量の割合で添加してドープ(C)を調製した。
<凝固液(C)の調製>
40℃下で、水中に、パーム油を主原料とする石鹸(ナチュラルソープ「ソーム」、輸入元:株式会社ソーム)を0.6質量%添加し、充分に攪拌溶解させて、凝固液(C)を調製した。
<成形加工>
ドープ(C)を、1mlマイクロシリンジに充填し、空中より水平に移動させながら、凝固液(C)中に滴下、水洗・乾燥して、図17〜図19の内部構造を有し、活性炭が担持された繊維状成形体を得た。
実施例3で調製したドープ(C)をガラス基板上に1mm厚みで塗布し、凝固液(C)中に浸漬し、図20の内部構造を有し、活性炭が担持された膜状成形体を得た。
本発明の機能性物質を担持させた成形体は、大気や水処理などの環境浄化、化学品製造などの種々の分野で応用が期待される。例えば、VOCなどを吸着する吸着剤を内部に担持させることにより、吸着処理を効率的に行うことができる。
実施例1の球状成形体の外殻部を示す。 球状成形体の構造を説明するための、球状成形体の内部構造を模式的に示した切断面の図である。 マクロボイドの説明図である。 実施例1の球状成形体を図2に示す3−3面で切断した断面の走査電子顕微鏡写真である。 実施例1の球状成形体を図2に示す4−4面で切断した断面の走査電子顕微鏡写真である。 実施例1のマクロボイド壁面に担持された機能性物質(ハイドロタルサイト)の走査電子顕微鏡写真である。 図6の機能性物質を拡大した走査電子顕微鏡写真である。 実施例1のマクロボイド壁面に担持された機能性物質周辺を50nmの切片にして、撮影した透過電子顕微鏡写真である。 実施例1の球状成形体を図2に示す3−3面で切断した断面の外殻部近傍の走査電子顕微鏡写真である。 図9のマクロボイド部を拡大した走査電子顕微鏡写真である。 図10の機能性物質周辺を拡大した走査電子顕微鏡写真である。 図9の外殻部の走査電子顕微鏡写真である。 実施例1の球状成形体の外殻部に担持された機能性物質周辺を50nmの切片にして、撮影した透過電子顕微鏡写真である。 実施例1の球状成形体の外殻部に担持された機能性物質周辺を50nmの切片にして、撮影した透過電子顕微鏡写真である。 実施例2の球状成形体を図2に示す4−4面で切断した断面の光学顕微鏡写真である。 実施例2の球状成形体のマクロボイド壁面に担持された機能性物質周辺を50nmの切片にして、撮影した透過電子顕微鏡写真である。 実施例3で作成した、繊維状成形体の長手方向に垂直な断面の走査電子顕微鏡写真である。 図17の外殻部の拡大写真である。 実施例3で作成した、繊維状成形体の長手方向に水平な断面の走査電子顕微鏡写真である。 実施例4で作成した、膜状成形体の厚み方向の断面の走査電子顕微鏡写真である。
符号の説明
a 機能性物質
1 外殻部
2 電子顕微鏡撮影用のバインダー
3 図4の切断面
4 図5、図15の切断面
5 球状成形体の外殻部
6 錐体状のマクロボイド
7 錐体状のマクロボイドの外殻部
8 マクロボイドの壁面を構成するマトリックスポリマー
9 外殻部の外からの流体の流れ方向
10 中空部
11 マクロボイド部
12 マクロボイド部
13 マクロボイド壁面
14 マトリックスポリマー
15 マトリックスポリマー
16 マクロボイド
17 機能性物質を被覆するマトリックスポリマー
18 実施例1の成形体の外殻部
19 マクロボイド
20 マクロボイド
21 マトリックスポリマー
22 マトリックスポリマーの細孔
23 実施例1の成形体の外殻部
24 外殻を構成するマトリックスポリマー
25 マクロボイド
26 外殻部を構成するマトリックスポリマーの細孔
27 外殻部を構成するマトリックスポリマー
28 外殻部を構成するマトリックスポリマーの細孔
29 マクロボイド
30 マクリックスポリマーと活性炭
31 マクロボイド
32 マトリックスポリマー
33 外殻部
34 マクロボイド
35 中空部
36 マクロボイド
37 マトリックスポリマー
38 マクロボイド
39 中空部
40 マクロボイド
41 中空部
42 マクロボイド部
43 中空部

Claims (12)

  1. マトリックスポリマーにより形成され、外殻部およびマクロボイド部からなり、機能性物質が担持された成形体であって、
    (1)マトリックスポリマー中には細孔が存在し、細孔は他の細孔とポリマー中で連通し、それらの孔径が0.1nm〜1μmの範囲にあり、
    (2)外殻部は、マトリックスポリマーより覆われ、
    (3)マクロボイド部は、マトリックスポリマーにより隔てられたマクロボイドを含有し、隣接するマクロボイドはマトリックスポリマー中の細孔により連通している、前記成形体。
  2. 塊状、繊維状または膜状の成形体である請求項1記載の成形体。
  3. 塊状または繊維状の成形体であり、中心部に中空部を有する請求項1記載の成形体。
  4. 中心部に中空部を有する球状の成形体であって、マクロボイド部は、中心部を頂点方向として外殻部を底辺方向とする複数の錐体状マクロボイドが隣接して形成された構造を有する請求項1記載の成形体。
  5. 中心部に中空部を有する繊維状の成形体であって、マクロボイド部は、中空部を中心とし外表面方向に向かって複数のマクロボイドが隣接して形成された構造を有する請求項1記載の成形体。
  6. 膜状の成形体であって、マクロボイド部は、平面方向に展長した複数のマクロボイドが隣接して形成された構造を有する請求項1記載の成形体。
  7. 機能性物質が、金属酸化物、金属、無機物、鉱物および合成樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の成形体。
  8. マクロボイド部に担持された機能性物質の表面の少なくとも一部が、マトリックスポリマーによって被覆されている請求項1記載の成形体。
  9. 外殻部に坦持された機能性物質がマトリックスポリマーによって被覆され、外表面に露出していない請求項1記載の成形体。
  10. 2種以上の機能性物質が坦持された請求項1記載の成形体。
  11. ドープを凝固液中で凝固させることからなる機能性物質が担持されたポリマー成形体の製造方法であって、ドープが、ポリマー、該ポリマーの良溶媒および界面活性剤を含有し、凝固液が該ポリマーの貧溶媒および界面活性剤を含有し、かつ、ドープ、凝固液またはこれらの双方が機能性物質を含有することを特徴とする、細孔を有するマトリックスポリマーにより形成されたマクロボイド部を有し、機能性物質が担持されたポリマー成形体の製造方法。
  12. ドープが、1〜30質量%のポリマーおよび70〜99質量%の該ポリマーの良溶媒の合計100質量部に対し、0.05〜30質量部の界面活性剤並びに該ポリマー100質量部に対し、10〜9900質量部の機能性物質を含有する請求項11記載の製造方法。
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