JP4764804B2 - 塗布装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の内装材、例えば、インストルメンタルパネル等の表面を覆う表皮材を成形するために、成形型の成形面に対しノズルによって塗布材料を塗布して硬化させる塗布装置に関する。
例えば、特許文献1、2には、インストルメントパネル等の表面を覆う表皮材の成形方法として、成形型の成形面に液状樹脂材料をノズルによって塗布し、これを硬化せしめる方法が開示されている。
この特許文献1、2では、ポリオールとMDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)との2液を吐出直前にノズル内で混合させたウレタン樹脂材料を形成した後、前記ノズルによって成形型の成形面に対して前記ウレタン樹脂材料をスプレー塗布する方法が記載されている。なお、前記ウレタン樹脂材料が塗布された後、直ちに化学反応が開始されて硬化し、ウレタン層が形成される。
そこで、前記方法を実施するために、ノズルを有する塗布ガンをロボットハンドの先端に付設し、前記塗布ガンに、前記2液の吐出口をそれぞれ同期させて開閉する一組のオン/オフバルブを設け、前記オン/オフバルブの開閉動作をばね部材のばね力によって行うことが考えられる。
その際、前記塗布ガンには、材料温度・粘度を安定化させるために材料循環回路及び吐出回路からなるそれぞれ別個の2つの回路が必要になると共に、回路切換を行って前記材料循環回路を遮断し且つ逆流を防止するためのチェック弁を設ける必要がある。この場合、前記チェック弁としては、ボールをばね部材によって押圧することによって通路を開閉する一般的構造のものが想定される。
特許第3830359号公報 特開2002−331538号公報
しかしながら、仮に前記のような構成によって前記方法を実施しようとした場合、前記塗布ガンでは、塗布材料であるイソシアネートがオン/オフバルブを開閉動作させるばね部材に付着して前記ばね部材の作動不良を発生させることが想起される。
その際、前記ばね部材の作動不良によって吐出口におけるシール性能が劣化してイソシアネートが漏出し、前記漏出したイソシアネートと水分とが反応して固化し、ノズル先端部分に付着することが想定される。
また、前記塗布ガンでは、ノズルの吐出回路内に残存するイソシアネートが空気と反応して固化したものが前記チェック弁を構成するボールに付着してチェック機能を阻害すると共に、チェック機能が働かないために吐出回路内の塗布材料が逆流して材料循環回路内に混入して固化し、前記材料循環回路における塗布材料の循環を阻止することが懸念される。
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、材料供給回路と吐出回路とを切り換える切換機構の作動不良を阻止する共に、吐出回路から材料供給回路に対する塗布材料の逆流を防止することが可能な塗布装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、成形型の成形面に対しノズルによって塗布材料を塗布して硬化させることにより、表皮材を成形する塗布装置において、
装置本体と、
前記装置本体の内部に外周側の第1シリンダと内周側の第2シリンダとを有し、塗布材料が循環する材料循環回路と前記塗布材料がワークに向かって吐出する吐出回路とを切り換える切換機構と、
を備え、
前記第1シリンダと第2シリンダとをそれぞれ個別に又は連動して作動させることにより、吐出孔から混合された塗布材料を吐出させると共に、前記塗布材料の吐出を停止して洗浄液のみを前記吐出孔から吐出させることを特徴とする。
この場合、前記第1シリンダの第1ピストンロッドには、塗布材料を循環させる一組の循環用通路同士を連通させる連通溝が設けられ、前記第2シリンダの第2ピストンロッドには、塗布材料が吐出される吐出孔に対して洗浄液を吐出するための連通路が形成されるとよい。
前記第2シリンダの第2ピストンロッドは、前記第1シリンダの第1ピストンロッドの軸線方向に沿って延在する貫通孔内に摺動自在に内嵌され、前記第1ピストンロッドの一端部にはテーパ状内径部からなる着座部が設けられ、前記第2ピストンロッドの一端部には前記着座部に着座する縮径部が設けられるとよい。前記第2ピストンロッドの縮径部が前記第1ピストンロッドの着座部に着座することにより、前記連通路を経由して供給される洗浄液の混合室側への吐出が遮断され、前記第2ピストンロッドの縮径部が前記第1ピストンロッドの着座部から離間することにより前記洗浄液が混合室側に向かって吐出され、前記混合室を含む吐出回路が前記洗浄液によって洗浄される。
本発明によれば、外周側に配置された第1シリンダと内周側に配置された第2シリンダとをそれぞれ個別に又は連動して作動させることにより、吐出孔から混合された塗布材料を吐出させると共に、前記塗布材料の吐出を停止して洗浄液のみを前記吐出孔から吐出させることができる。
従って、本発明では、材料循環回路と吐出回路とを切り換える切換機構としてばね部材等を用いることが不要となり、前記切換動作を安定して遂行することができると共に、混合室を含む吐出回路全体が洗浄液によって洗浄されるため塗布材料が吐出回路内に残存することがない。
本発明では、塗布材料が反応して混合室を含む吐出回路内で固化することがないと共に、前記塗布材料が漏出して固化することを阻止することにより、切換機構の作動不良等が発生することを確実に阻止すると共に、吐出回路から材料循環回路に対する塗布材料の逆流を好適に防止することができる。
本発明に係る塗布装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る塗布装置を示す。この塗布装置10は、例えば、アルミニウム合金又は機械構造用炭素鋼等の金属製材料のブロック体によって構成された装置本体12を有する。
前記装置本体12の一側面には、液体塗料材料であるポリオールを循環させるための材料循環回路の一部を構成し、一側面に略水平方向に沿って平行に延在するように形成された一組の第1循環用通路14a(往路)、14b(復路)が設けられる。
前記一側面と反対側の前記装置本体12の他側面には、液体塗料材料であるISO(イソシアネート)を循環させるための材料循環回路の一部を構成し、略水平方向に沿って平行に延在するように形成された一組の第2循環用通路16a(往路)、16b(復路)が設けられる。
前記装置本体12の内部には、アウタ側の第1シリンダ18とインナ側の第2シリンダ20とが同軸状に配置された切換機構が設けられ、アウタ側の第1シリンダ18は、一組の第1圧油給排ポート22a、22bにそれぞれ連通する第1シリンダ室24(以下、必要に応じて上部側第1シリンダ室24a、下部側第1シリンダ室24bという)を有し、一方、インナ側の第2シリンダ20は、第2圧油給排ポート25a及び洗浄液供給ポート25bにそれぞれ連通する第2シリンダ室26(以下、必要に応じて上部側第2シリンダ室26a、下部側第2シリンダ室26bという)を有する。
なお、前記材料循環回路には、液体塗料材料であるポリオール及びISOをそれぞれ貯留する図示しないサーバタンクや、前記サーバタンクから塗料材料を吸引して前記第1及び第2循環用通路14a、14b、16a、16bにそれぞれ送給する図示しないポンプや、図示しないフィルタ等を含むものとする。
また、装置本体12の下部側には、吐出孔28を介して図示しないノズルに連通する混合室30を含む吐出回路が設けられる。前記混合室30は、第1循環用通路14aに設けられて前記第1循環用通路14aを流通するポリオールを吐出させる吐出口からなる第1オリフィス32aと、第2循環用通路16aに設けられて前記第2循環用通路16aを流通するISOを吐出させる吐出口からなる第2オリフィス32bとの間に設けられ、前記混合室30によって2液が好適に混合される。
この場合、前記第1オリフィス32a及び第2オリフィス32bは、それぞれ、ポリオール及びISOの配合比率に対応する内径に設定され、第1オリフィス32aを介してポリオールを吐出させ、第2オリフィス32bを介してISOを吐出させて混合させるとよい。その際、第1オリフィス32aと第2オリフィス32bからそれぞれ吐出される塗料材料の流速の同期によって混合不良の発生を阻止することができ、二次的に強制的に混合することが不要となる。また、液体塗料材料同士の衝突混合により迅速に化学反応を惹起させることができる。
具体的には、それぞれの塗料材料の流速が同期するように、前記第1オリフィス32aは、ポリオールの配合比率に応じた量に対応する内径に設定され、一方、前記第2オリフィス32bは、ISOの配合比率に応じた量に対応する内径に設定され、それぞれの材料が吐出されるとよい。
前記第1シリンダ室24には、例えば、大径な円盤部からなる第1ピストン34が該第1シリンダ室24に沿って変位自在に配設され、前記第1ピストン34には、前記混合室30側に向かって延在する大径な第1貫通孔36に沿って摺動する第1ピストンロッド38が連結される。この場合、前記第1ピストンロッド38の下端部近傍の外周面には、略平行に延在する上部側と下部側の第1循環用通路14a、14bをそれぞれ連通させる第1連通溝40aと、略平行に延在する上部側と下部側の第2循環用通路16a、16bを連通させる第2連通溝40bとが相互に対向して形成される。
前記第1連通溝40a及び第2連通溝40bは、それぞれ、第1ピストンロッド38の外周面の一部に形成された所定幅の矩形状凹部によって構成され、図示しないシール手段を介して第1連通溝40aと第2連通溝40b同士が連通しないように設けられる。
なお、第1ピストン34の外周面には、環状溝を介して第1ピストンパッキン42aが装着され、上部側第1シリンダ室24aと下部側第1シリンダ室24bとの間のシール性が前記第1ピストンパッキン42aによって保持される。
前記第2シリンダ室26には、例えば、小径な円盤部からなる第2ピストン44が該第2シリンダ室26に沿って変位自在に配設される。前記第2ピストン44には、第1ピストンロッド38の軸線方向に沿って貫通する小径な第2貫通孔46に沿って摺動自在に内嵌された第2ピストンロッド48が連結される。
前記第2ピストン44の外周面には、環状溝を介して第2ピストンパッキン42bが装着され、上部側第2シリンダ室26aと下部側第2シリンダ室26bとの間のシール性が前記第2ピストンパッキン42bによって保持される。
また、第2ピストンロッド48は、第2貫通孔46の内周面に沿って摺動する外径部50と、下部側に前記外径部50よりも縮径して形成された縮径部52とから構成される。前記縮径部52と前記第2貫通孔46の内周面との間には、環状の間隙部54が形成される。
さらに、第1ピストンロッド38の下端部の内径部には、下端側に向かって徐々に縮径する内径テーパ面からなる着座部56が設けられ、一方、前記第1ピストンロッド38の第2貫通孔46内に内嵌された第2ピストンロッド48の下端部の外周面には、下端部側に向かって徐々に縮径するテーパ部58が設けられ、第2ピストンロッド48のテーパ部58が第1ピストンロッド38の内径テーパ面からなる着座部56に着座することにより、前記環状の間隙部54と混合室30との連通が遮断された非連通状態となる。
さらにまた、第2ピストンロッド48には、一方の下部側第2シリンダ室26bと縮径部52によって形成された他方の環状の間隙部54とを連通させる連通路60が該第2ピストンロッド48の軸線方向に沿って形成される。この場合、前記連通路60の一端部に形成された第1ポート60aは、洗浄液が供給される下部側第2シリンダ室26bに連通するように設けられると共に、前記連通路60の他端部に形成された第2ポート60bは、環状の間隙部54に連通するように設けられる。
従って、下部側第2シリンダ室26bに供給された洗浄液は、第1ポート60a、第2ポート60b及び連通路60を通じて、常時、環状の間隙部54に充填された状態にあるが、図1に示される初期位置では、第2ピストンロッド48のテーパ部58が着座部56に着座しているため、前記環状の間隙部54内に充填された洗浄液は混合室30側に向かって吐出することが阻止されている。
なお、装置本体12の内壁には、第1ピストンロッド38の外周面を囲繞してシール機能を発揮する第1ロッドパッキン62aと、第2ピストンロッド48の外周面を囲繞してシール機能を発揮する第2ロッドパッキン62bとが、それぞれ環状溝を介して装着される。また、装置本体12の内壁には、第1ピストンロッド38の外周面を囲繞する円筒状のカラー部材64が設けられる。
前記第1ピストンパッキン42a、第2ピストンパッキン42b、第1ロッドパッキン62a及び第2ロッドパッキン62bは、例えば、フッ素ゴム等の材料によってそれぞれ構成されるとよい。
本発明の実施の形態に係る塗布装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
ここで、表皮材として、例えば、インストルメントパネル66を製造する工程を、図5A〜図5Eに基づいて概略説明する。
先ず、図5Aに示されるように、成形型68の成形面70に離型剤を塗布する。前記離型剤としては、ワックス系、ソープ系のいずれでもよく、艶ムラをなくすために塗布後にウェスによる手拭きを行うことが好ましい。
離型剤を塗布した後、図5Bに示されるように、インストルメントパネル66の最表面となるインモールドペイント(IMP)を塗布する。このIMPは着色及び耐光性を目的として塗布される。続いて、図5Cに示されるように送風乾燥を行った後、図5Dに示されるようにロボットハンド72の先端部に付設された本実施の形態に係る塗布装置10を用いてウレタン樹脂材料を成形型68の成形面70に均一に塗布する。
前記ウレタン樹脂材料の塗布が終了した後、図5Eに示されるように、加熱(キュア)にて硬化を促進せしめた後、脱型してインストルメントパネル66が得られる。
次に、本実施の形態に係る塗布装置10の作用効果について以下に詳細に説明する。
図1は、装置本体12の下部側に形成された吐出孔28が第1シリンダ18及び第2シリンダ20によって閉塞されて塗布材料が前記吐出孔28から図示しないノズル側に向かって吐出することが阻止された状態にあって、塗布材料であるポリオール及びISOが第1及び第2循環用通路14a、14b、16a、16bに沿ってそれぞれ循環していると共に、第2ピストンロッド48のテーパ部58が着座部56に着座して吐出孔28に対する洗浄液の吐出が阻止された状態にあり、このような状態を初期位置とする。
なお、前記初期位置では、第1圧油給排ポート22aを介して上部側第1シリンダ室24aに対して圧油が供給されて第1ピストン34が下方側に向かって押圧されていると共に、第2圧油給排ポート25aを介して上部側第2シリンダ室26aに対して圧油が供給されて第2ピストン44が下方側に向かって押圧された状態にある。
図1に示す初期位置において、一方の第1圧油給排ポート22aからの圧油の供給を停止すると共に他方の第1圧油給排ポート22bを通じて下部側第1シリンダ室24b内に圧油を供給することにより、第1シリンダ18を構成する第1ピストン34が上方に向かって押圧される。この場合、第1ピストン34の押圧作用下に、同軸状に配置された外周側の第1ピストンロッド38と内周側の第2ピストンロッド48とが一体的に上方に向かって変位する。
従って、第1ピストンロッド38の外周面に対向形成され一組の第1循環用通路14a、14b同士及び第2循環用通路16a、16b同士をそれぞれ連通させる第1連通溝40a及び第2連通溝40bが前記第1ピストンロッド38と一体的に上方に変位することにより、前記第1循環用通路14a、14b同士及び第2循環用通路16a、16b同士の連通が遮断されると共に、第1オリフィス32a及び第2オリフィス32bがそれぞれ混合室30と連通した状態となる。なお、その際、第2ピストンロッド48のテーパ部58は着座部56に着座した状態が維持されて混合室30側への洗浄液の供給が停止した状態にある。
この結果、図2に示されるように、下側の第1循環用通路14aに設けられた第1オリフィス32aからポリオールが混合室30側に向かって吐出されると共に、下側の第2循環用通路16aに設けられた第2オリフィス32bからISOが混合室30側に向かって吐出され、前記吐出された2液は、混合室30内で好適に混合された後、装置本体12の下部に形成された吐出孔28から図示しないノズル側に向かって送給され、前記ノズルから成形型68の成形面70に向かってスプレー塗布される。
ロボットハンド72の変位作用下に、成形面70の全面に対して混合された前記2液が均一に塗布された後、上部側第2シリンダ室26aよりも下部側第2シリンダ室26bの圧力を増大させ、前記上部側第2シリンダ室26aと下部側第2シリンダ室26bとの圧力差によって第2ピストン44のみを第2シリンダ室26の上方に向かって変位させる。
この場合、外周側の第1ピストンロッド38(第1ピストン34)は図示しないストッパ手段によって上方への変位が規制された状態にあるため、同軸で内周側の第2ピストンロッド48のみが上方に向かって変位し、第2ピストンロッド48の下端部に形成されたテーパ部58が第1ピストンロッド38の着座部(内径テーパ面)56から離間することにより、環状の間隙部54と混合室30とが連通する。
従って、下部側第2シリンダ室26bに供給された洗浄液は、図3に示されるように、連通路60及び環状の間隙部54を通じて第1ピストンロッド38の下端部に送給されて吐出孔28から吐出される。この場合、既に吐出されている前記2液と、新たに吐出した洗浄液とからなる3液が混合した状態で吐出孔28から吐出される。
このように洗浄液を含む3液が混合した状態において、図4に示されるように、第1圧油給排ポート22aから圧油を上部側第1シリンダ室24a内に供給し、前記第1ピストン34を下方側に向かって押圧する。その際、第2ピストン44は洗浄液の供給作用下に上方に向かって押圧された状態にあるため、上部側第1シリンダ室24a内に供給された圧油によって外周側の第1ピストンロッド38のみが下方側に向かって変位し、第1オリフィス32a及び第2オリフィス32bから混合室30側に向かう吐出状態が遮断される。なお、洗浄液と塗布材料との3液が混合して吐出する時間は、洗浄液の吐出が開始された後、第1ピストンロッド38が変位して2液からなる塗布材料の吐出が停止するまでの短時間又は瞬時に限定されるとよい。
従って、第1ピストンロッド38の外周面に相互に対向して形成された第1連通溝40a及び第2連通溝40bを通じて、第1循環用通路14a、14b同士及び第2循環用通路16a、16b同士をそれぞれ連通状態とさせる。この結果、塗布材料である2液の吐出孔28からの吐出状態が停止すると共に、洗浄液のみが吐出孔28から吐出され、前記洗浄液の流通によって混合室30、吐出孔28及び図示しないノズルのノズル孔を含む吐出回路全体が洗浄され、前記吐出回路内に塗布材料が残存しない。
さらに、洗浄液供給ポート25bから下部側第2シリンダ室26bへの洗浄液の供給を停止すると共に、第2圧油給排ポート25aを介して上部側第2シリンダ室26aへ圧油を供給して第2ピストン44及び第2ピストンロッド48を下方側に向かって変位させることにより初期位置に復帰し、このような図1〜図4の工程が連続することにより、成形面70に対する塗布材料の塗布工程が連続して遂行される。
本実施の形態では、外周側(アウタ側)に配置された第1シリンダ18と内周側(インナ側)に配置された第2シリンダ20とをそれぞれ個別に又は連動して作動させることにより、吐出孔28から混合された塗布材料を吐出させると共に、前記塗布材料の吐出を停止して洗浄液のみを前記吐出孔28から吐出させることができる。
従って、本実施の形態では、材料循環回路と吐出回路とを切り換える切換機構としてばね部材等を用いることが不要となり、前記切換動作を安定して遂行することができると共に、図示しないノズルのノズル孔及び混合室30を含む吐出回路全体が洗浄液によって洗浄されるため、塗布材料が吐出回路内に残存することがない。
この結果、本実施の形態では、塗布材料である2液が反応して混合室30を含む吐出回路内で固化することがないと共に、ISOが漏出して固化することを阻止することにより、切換機構の作動不良等が発生することを確実に阻止すると共に、吐出回路から材料循環回路に対する塗布材料の逆流を好適に防止することができる。
また、本実施の形態では、吐出回路内の塗布材料が逆流して材料循環回路内に混入して固化することが阻止され、材料循環回路内で塗布材料の循環が阻止されることがない。この場合、本実施の形態では、ISO及びポリオールからなる2液の材料循環回路内における循環状態が停止することがなく、前記2液の供給を連続運転し且つ作動停止ができないような塗布作業において好適に使用することができる。
さらに、本実施の形態では、塗布材料の固化等に起因するメンテナンス作業の遂行が不要となる利点がある。
本発明の実施の形態に係る塗布装置の概略構成縦断面図である。 図1に示す初期状態から、第1ピストンロッド及び第2ピストンロッドが連動して変位することにより、塗料材料である2液が吐出した状態を示す縦断面図である。 図2に示す状態から、内周側の第2ピストンロッドのみが変位して洗浄液が吐出する状態を示す縦断面図である。 図3に示す状態から、外周側の第1ピストンロッドのみが変位して塗料材料である2液の吐出状態が停止して循環用通路に沿って循環する状態を示す縦断面図である。 図5A〜図5Eは、表皮材として、インストルメントパネルを製造する工程を示す説明図である。
符号の説明
10…塗布装置 12…装置本体
14a、14b、16a、16b…循環用通路
18、20…シリンダ
22a、22b、25a…圧油給排ポート 24、26…シリンダ室
25b…洗浄液供給ポート 28…吐出孔
30…混合室 32a、32b…オリフィス
34、44…ピストン 36、46…貫通孔
38、48…ピストンロッド 40a、40b…連通溝
50…外径部 52…縮径部
54…間隙部 56…着座部
58…テーパ部 60…連通路
60a、60b…ポート 68…成形型
70…成形面 72…ロボットハンド

Claims (4)

  1. 成形型の成形面に対しノズルによって塗布材料を塗布して硬化させることにより、表皮材を成形する塗布装置において、
    前記塗布材料が吐出される吐出孔が形成された装置本体と、
    前記装置本体の内部に設けられ、塗布材料が循環する材料循環回路と前記塗布材料がワークに向かって吐出する吐出回路とを切り換える切換機構と、
    を備え、
    前記材料循環回路は、前記塗布材料を循環させる往路及び復路を有する材料循環用通路を含み、
    前記切換機構は、外周側の第1シリンダと、内周側の第2シリンダとを有し、
    前記第1シリンダの第1ピストンロッドには、前記材料循環用通路の前記往路及び前記復路を連通させる連通溝が設けられ、
    前記第2シリンダの第2ピストンロッドは、前記第1ピストンロッドの軸線方向に沿って延在する貫通孔内に摺動自在に内嵌されるとともに、前記吐出孔に対して洗浄液を吐出するための連通路が形成され、
    前記第1ピストンロッドと前記第2ピストンロッドが連動して前記吐出孔を開放する方向に変位したとき、前記往路及び前記吐出孔を介して前記塗布材料を吐出させる一方
    前記往路及び前記復路が前記連通溝を介して連通するとともに、前記第2ピストンロッドのみが前記貫通孔を開放する方向に変位した状態となったとき、前記塗布材料が前記材料循環用通路に沿って循環するとともに、前記連通路、前記貫通孔及び前記吐出孔を介して前記洗浄液のみを吐出させることを特徴とする塗布装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記第1ピストンロッドと前記第2ピストンロッドが連動して前記吐出孔を開放する方向に変位するとともに、前記第2ピストンロッドのみがさらに前記貫通孔を開放する方向に変位することで、前記往路及び前記吐出孔を介して前記塗布材料を吐出するとともに、前記連通路、前記貫通孔及び前記吐出孔を介して前記洗浄液を同時に吐出することを特徴とする塗布装置。
  3. 請求項1又は2記載の装置において、
    前記材料循環用通路として、第1塗布材料を循環させる第1材料循環用通路と、第2塗布材料を循環させる第2材料循環用通路との2個が形成され、
    前記第1材料循環用通路の往路と、前記第2材料循環用通路の往路とが前記吐出孔にそれぞれ連通することにより、第1塗布材料と第2塗布材料とを混合して前記吐出孔から吐出することを特徴とする塗布装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置において、
    記第1ピストンロッドの一端部にはテーパ状内径部からなる着座部が設けられ、前記第2ピストンロッドの一端部には前記着座部に着座する縮径部が設けられることを特徴とする塗布装置。
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