JP3478319B2 - ディスペンサ装置 - Google Patents

ディスペンサ装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高粘度シリコーン
オイル、水飴、蜂蜜等の高粘度の液体(例えば、50,
000〜100,000cP程度の液体)を定量吐出す
るためのディスペンサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より液体を定量吐出する一般的な装
置としては、図4に示されるようなディスペンサ装置が
知られている。すなわち、図4に示されるディスペンサ
装置100は、吐出ノズル102と、吐出対象となる液
体Lを貯留するためのシリンジ101と、このシリンジ
101の上端部に被着される蓋体105を備え、シリン
ジ101の上部空間には圧力室104が形成されるよう
になっている。
【0003】さらに、圧力室104は、導管108を介
して空気制御装置107と連通されている。この空気制
御装置107は、一定周期で正圧と負圧とを交互に圧力
室104に供給することができ、圧力室104に正圧が
供給された時にはシリンジ101内の液体Lが吐出ノズ
ル102から吐出され、この一方で、圧力室104に負
圧が供給された時には液体Lの供給は止まり、さらに次
なる正圧供給までの間に、吐出ノズル102の先端から
の不要な液ダレを防止することができるように配慮がな
されている。
【0004】しかしながら、上記の装置は特に高粘度液
体を吐出の対象とするものではなく、従って、上記の従
来の装置を単に高粘度液体に適用すると、吐出のために
かなり高い圧力で液面を加圧したり、あるいは吐出ノズ
ル径をさらに拡大したりしなければならないという必要
性が生じる。この場合には、吐出後に圧力室104を負
圧にしたところで瞬時に応答性良く吐出を停止したり液
ダレを防止したりすることができず、吐出の定量性を保
証することは極めて困難である。また、液体の吐出およ
び停止の繰り返し応答性を改善しようとして負圧の程度
を極めて大きくすると液体L内から気泡が発生する等の
問題が生じてしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような実状のもと
に本発明は創案されたものであって、その目的は、簡易
かつコンパクトな装置であり、液体の吐出および停止の
繰り返し応答性が極めてよく、ノズル先端からの液ダレ
が確実に防止でき、吐出の定量性が極めて優れるディス
ペンサ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明のディスペンサ装置は、加圧された液体の
吐出および停止を行うために弁座と離接することができ
るように設けられた弁体と、この弁体の内部に液ダレ防
止のために摺動可能に挿入された吸引ロッドと、液体の
吐出を行うためのノズル本体を備え、前記弁体は、弁体
ピストン部を備え、弁体ピストン部のストローク移動に
伴い弁座との離接が可能になっており、前記吸引ロッド
は、吸引ピストン部を備え、吸引ピストン部のストロー
ク移動に伴い、ノズル本体の内部に負圧状態が形成さ
れ、ノズル本体の先端における液ダレ防止が可能になっ
ており、前記吸引ピストン部のストローク移動距離を調
整できるようにストローク調整機構が設けられているよ
うに構成される。
【0007】
【0008】また、本発明の好適な態様として、前記弁
体ピストン部と前記吸引ピストン部とは、軸方向に直列
的に配置され、かつ前記弁体ピストン部がノズル本体に
近い位置に配置されて構成される。
【0009】
【0010】また、本発明の好適な態様として、前記弁
体と、この弁体の内部に設置された吸引ロッドとの摺動
面には液密形成のための液密形成部材が介在されて構成
される。
【0011】また、本発明の好適な態様として、吐出対
象である液体は、加圧の状態で装置内に導入されてお
り、弁閉止と同時にノズル本体の内部に負圧状態が形成
されるように、弁体ピストン部と吸引ピストン部が同期
して駆動されるよう構成される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0013】図1には本発明のディスペンサ装置の好適
な実施の形態が示される。
【0014】図1に示されるようにディスペンサ装置1
は、装置の下方側面(図面の右側)に液体流入孔12が
形成されており、この液体流入孔12を経て装置内に定
量吐出されるべく加圧された液体(以下、単に『加圧液
体』という)が導入されるようになっている。本実施の
態様においては、液体の吐出の安定性を図るために液体
流入孔12に連通して液溜め室13が設けられている。
【0015】さらに、液体流入孔12の下方位置には、
図示のごとく加圧液体を吐出するためのノズル本体20
が形成されている。このノズル本体20は、その内部に
わずかな体積を占める円柱状の液室27とこれに連通さ
れるノズル先端孔28を備えている。本発明の実施の形
態では、液室27のリング状の上端部エッジ部分が弁座
21を形成している。
【0016】本発明のディスペンサ装置1の軸方向に
は、加圧液体の吐出および停止を行うための弁体30が
形成されている。この弁体30はその先端部にシール弁
機構を備えるテーパ部分33を有し(上記の弁座21と
で弁機構を構成する)、弁体30の後部には弁体ピスト
ン部35が形成されており、この弁体ピストン部35
は、シリンダ40内に摺動可能に設置されている。
【0017】シリンダ40の側面には、図示のごとく通
気ポート41,43がそれぞれ弁体ピストン部35を基
準に上下方向に配置されている。そして、図示のごとく
圧力源90から供給される圧縮空気が切換弁95を介し
て通気ポート41側に入ると(矢印(イ)方向)、弁体
ピストン部35(弁体30)は、圧縮バネ48の付勢力
に打ち勝って図面の上方に持ち上げられ、弁体30と弁
座21により形成される弁機構は『開』の状態となり、
ノズル本体20のノズル先端孔28から、加圧液体が所
定量、吐出されるようになっている(図2の状態)。
【0018】この一方で、切換弁95の切り換えによ
り、通気ポート41が排気側になると(シリンダ内の圧
縮空気は、矢印(ロ)方向に排気)、弁体ピストン部3
5(弁体30)は圧縮バネ48によって矢印A方向に押
されて弁機構は『閉』の状態となる(図1の状態)。す
なわち、弁体ピストン部35のストローク移動に伴い、
弁体30の先端のテーパ部分33は、ノズル本体20側
に形成された弁座21と接触したり離れたりすること
(離接)ができるようになっている。そして、前述した
ように、弁体30の先端のテーパ部分33と弁座21と
が接した時に、弁体30と弁座21による弁機構が
『閉』の状態となり、加圧液体のノズル本体20からの
吐出が停止されるのである。
【0019】さらに、本発明においては、弁体30の内
部に液ダレ防止のために摺動可能に挿入された吸引ロッ
ド50を備えている。この吸引ロッド50の先端部分に
は、このものが弁体30の内部を摺動した場合、摺動面
における液密特性を保持するために、例えば、Oリング
51等の液密形成部材を介在させることが好ましい。後
述するように液ダレ防止の作用を確実に実行するためで
ある。
【0020】また、吸引ロッド50の後部には吸引ピス
トン部55が形成されており、この吸引ピストン部55
は、シリンダ60内に摺動可能に設置されている。シリ
ンダ60の側面には、通気ポート61,63がそれぞれ
吸引ピストン部55を基準に上下方向に配置されてい
る。そして、図示のごとく圧力源90から供給される圧
縮空気が切換弁95を介して通気ポート61側に入ると
(矢印(ハ)方向)、吸引ピストン部55(吸引ロッド
50)は、圧縮バネ68の付勢力に打ち勝って図面の上
方に持ち上げられ(図3の状態)、吸引ロッド50の先
端部の移動分に相当する体積Vが、連通する液室27を
負圧状態にし、ノズル先端孔28からまさに液ダレしよ
うとする液体を吸引してホールドするように作用する
(液ダレ防止作用)。
【0021】この一方で、切換弁95の切り換えによ
り、通気ポート61が排気側になると(シリンダ内の圧
縮空気は、矢印(ニ)方向に排気)、吸引ピストン部5
5(吸引ロッド50)は圧縮バネ68によって矢印B方
向に押されて図1の状態に戻る。
【0022】本発明においては、図1に示される構成か
らもわかるように前記弁体ピストン部35と前記吸引ピ
ストン部55とを軸方向に直列的に配置し、かつ前記弁
体ピストン部35をノズル本体20に近い位置に配置す
ることにより、装置のコンパクトが図れて好都合であ
る。
【0023】また、本発明においては、吸引ピストン部
55のストローク移動距離を調整できるように、さらに
ストッパ調節ねじ70などのストローク調整機構を設け
ることが好ましい。これにより液ダレ防止の微妙な吸引
圧調整が可能となる。
【0024】次に、上述してきた本発明のディスペンサ
装置1の動作および作用について説明する。
【0025】図1において、液体流入孔12のところま
では、図示しない加圧タンク等などから配管を経て常に
加圧液体が導入されている。この時、図1に示されるよ
うに弁機構が『閉』の状態であれば、ノズル本体20か
ら加圧液体の吐出は停止されている。
【0026】次いで、圧縮空気が通気ポート41に導入
される(矢印(イ)方向)と、この圧縮空気により、弁
体ピストン部35(弁体30)が押し上げられ、弁体3
0の先端のテーパ部分33は弁座21から離脱して、弁
機構が『開』の状態となり、加圧液体は、ノズル本体2
0のノズル先端孔28から吐出される(図2の状態)。
【0027】一定時間の吐出が行われた後、切換弁95
が切り換わると、圧縮空気が通気ポート41から外部に
放出され(矢印(ロ)方向)、弁体ピストン部35(弁
体30)は、圧縮バネ48の作用により降下し、弁体3
0の先端のテーパ部分33は弁座21と当接して、弁機
構が『閉』の状態となり、ノズル先端孔28からの加圧
液体の吐出は停止される。この弁機構『閉』の状態の形
成と同時に、圧縮空気が通気ポート61側に導入される
(矢印(ハ)方向)と、この圧縮空気により、吸引ピス
トン部55(吸引ロッド50)が押し上げられ、吸引ロ
ッド50の下部の液室27は負圧となり、ノズル先端孔
28に垂れ下がっている残留液体がノズル本体20内に
吸引され、ノズル先端孔28からの液ダレの発生は防止
される(図3の状態)。
【0028】さらに、切換弁95が切り換わると圧縮空
気が通気ポート61から外部に放出され(矢印(ニ)方
向)、吸引ロッド50は、圧縮バネ68の作用により降
下し、液室27の負圧状態が解消される(図1の状
態)。
【0029】以上の動作説明からもわかるように、本発
明においては、弁機構が『閉』の状態と同時にノズル本
体20の内部に負圧状態が形成されるように、弁体ピス
トン部35と吸引ピストン部55とを同期して駆動させ
ることが好ましい。もちろん液ダレの発生を確実に防止
するために、同期動作にわずかな遅れ時間を設定するよ
うにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】本発明のディスペンサ装置は、加圧され
た液体の吐出および停止を行うために弁座と離接するこ
とができるように設けられた弁体と、この弁体の内部に
液ダレ防止のために摺動可能に挿入された吸引ロッド
と、液体の吐出を行うためのノズル本体を備え、前記吸
引ロッドの摺動に伴いノズル本体の内部に負圧状態が形
成されるように構成しているので、簡易かつコンパクト
な装置となり、しかも液体の吐出および停止の繰り返し
応答性が極めてよく、ノズル先端からの液ダレが確実に
防止でき、吐出の定量性が極めて優れるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスペンサ装置の一例を模式的に示
すとともに経時的動作を説明するための概略断面図であ
る。
【図2】本発明のディスペンサ装置の一例を模式的に示
すとともに経時的動作を説明するための概略断面図であ
る。
【図3】本発明のディスペンサ装置の一例を模式的に示
すとともに経時的動作を説明するための概略断面図であ
る。
【図4】従来のディスペンサ装置の一例を模式的に示す
概略断面図である。
【符号の説明】
1…ディスペンサ装置 12…液体流入孔 20…ノズル本体 21…弁座 27…液室 30…弁体 35…弁体ピストン部 50…吸引ロッド 55…吸引ピストン部 70…ストッパ調節ねじ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加圧された液体の吐出および停止を行う
    ために弁座と離接することができるように設けられた弁
    体と、この弁体の内部に液ダレ防止のために摺動可能に
    挿入された吸引ロッドと、液体の吐出を行うためのノズ
    ル本体を備え、前記弁体は、弁体ピストン部を備え、弁体ピストン部の
    ストローク移動に伴い弁座との離接が可能になってお
    り、 前記吸引ロッドは、吸引ピストン部を備え、吸引ピスト
    ン部のストローク移動に伴い、ノズル本体の内部に負圧
    状態が形成され、ノズル本体の先端における液ダレ防止
    が可能になっており、 前記吸引ピストン部のストローク移動距離を調整できる
    ようにストローク調整機構が設けられていることを特徴
    とするディスペンサ装置。
  2. 【請求項2】 前記弁体ピストン部と前記吸引ピストン
    部とは、軸方向に直列的に配置され、かつ前記弁体ピス
    トン部がノズル本体に近い位置に配置されてなる請求項
    1に記載のディスペンサ装置。
  3. 【請求項3】 前記弁体と、この弁体の内部に設置され
    た吸引ロッドとの摺動面には液密形成のための液密形成
    部材が介在されている請求項1または請求項2に記載の
    ディスペンサ装置。
  4. 【請求項4】 吐出対象である液体は、加圧の状態で装
    置内に導入されており、弁閉止と同時にノズル本体の内
    部に負圧状態が形成されるように、弁体ピストン部と吸
    引ピストン部が同期して駆動される請求項1ないし請求
    項3のいずれかに記載のディスペンサ装置。
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