JP3686730B2 - インクジェットプリンタの吸引回復装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッドノズルのインクを負圧により吸引させることによってヘッドノズルからのインク吐出を回復させるようにしたインクジェットプリンタの吸引回復装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェットプリンタとしてインクを吐出するノズルを備えたヘッドを1つまたは複数有したキャリッジを備え、キャリッジを記録媒体に対して走査させながら記録を行う装置がある。このようなインクジェットプリンタにおいて、インク吐出口であるノズルに気泡が入ったり、紙粉等の異物が付着したり、乾燥によるインク増粘や目詰まりが希に起こり、インク吐出方向の曲がりによる画像ムラやインク未吐出による画像抜けといった画像異常を生じることがあった。
【0003】
そのため、異常をきたしたヘッドのノズルからインクを強制的に吸引してやることでヘッドノズルからのインク吐出を正常な状態に回復させることが一般に行われていた。
【0004】
図14は従来のインクジェットプリンタの吸引回復装置の一例を示す断面図である。
即ち、インクジェットプリンタのヘッド11にはインクを吐出するノズル12が設けられ、このノズル12の吐出口を覆うようにして吸引キャップ13が保持される。この場合、ヘッド11とキャップ13の間にキャップ空間14が設けられる。このキャップ空間14は吸引路15のキャップ吸引口16に連通され、このキャップ吸引口16は一方向弁ユニット17に連通される。この一方向弁ユニット17内部のキャップ吸引口16側には弁18が設けられる。前記一方向弁ユニット17は吸引路15のシリンダ吸引口19に連通され、このシリンダ吸引口19はピストン移動範囲内に配設される。シリンダ20の内部にはピストン21が往復移動するようにして設けられ、このピストン21の外周にはOリング22、23、24が設けられると共に、前記ピストン21とシリンダ20の内部上壁及び内部下壁との間にはそれぞれピストン21を定常位置に保持する復帰バネ25、26が設けられる。前記ピストン21には排出孔27と弁28が設けられ、前記シリンダ20の下部には排出口29が設けられる。30はシリンダ内空間である。
【0005】
前記ピストン21及びシリンダ20は吸引ポンプを構成し、シリンダ20内でピストン21を一方向に押し下げることにより、シリンダ内空間30を体積膨張させ負圧を発生させる。Oリング22が吸引口19を通過するまで押し下げられると、キャップ空間14とシリンダ内空間30とが連通されて、シリンダ内空間30の負圧がキャップ空間14に導かれる。キャップ空間14に導かれた負圧の作用により、キャップ13に対向するヘッド11の吐出ノズル12からインクが吸引されて、該ノズル12からのインク吐出が回復される。インク吸引後のピストン21は復帰バネ26の力により押し上げられ、復帰バネ25の力とつり合う位置である定常位置に戻される。この際にシリンダ内空間30にある吸引されたインクと空気は排出孔27を通してシリンダ内空間30外へと排出される。一方向弁ユニット17内の弁18と排出孔27に設けられた弁28はゴム等の薄膜でできており、弁28、18により隔たれた空間の圧力差によって容易に撓むことが出来るが、一方向の撓みが規制されていることで一方向弁として機能する。従って、シリンダ内空間30が負圧のときは弁28は閉じて負圧を保持し、負圧を生じたシリンダ内空間30とキャップ空間14が連通されると、その圧力差により弁18はシリンダ20側に撓んで(開いて)シリンダ内空間30の負圧をキャップ空間14に導くように機能する。反対に、シリンダ内空間30が正圧になると弁28は開いてシリンダ内空間30の空気等を排出し、弁18は閉じてキャップ空間14に正圧が加わらないように機能する。
【0006】
ここで、ノズル12を正常に回復させために必要なインク吸引量は、ノズル12の不良原因やその程度によって異なる。ノズル12に気泡が入った事によるインク不吐出を回復させるためには、比較的少量(例えば0.01cc〜0.1cc )のインクを吸引してやれば回復できるが、インク増粘や目詰まりが生じた場合には、多量(例えば0.2cc 〜0.5cc )インクを吸引しないと回復できないことがある。さらに、ノズル12の近傍に付着したインクミストや軽度のインク増粘によるインク吐出曲がりを回復させるには、微少量(例えば0.0005cc〜0.005cc )のインクを吸引してやれば回復出来る。また、ヘッド11にインクを供給している図示しないインクカートリッジやヘッド11を新品に交換した際には、ノズル12を含むヘッド11内部をインクで満たすように、さらに多量(例えば1cc 〜2cc )のインクを吸引する必要がある。回復処理に消費したインクは、廃インクとして図示しない廃インク容器等に収容されて画像形成に使用されないため、インク吸引量が多いことは、装置のランニングコストを高くしてしまうだけでなく、環境資源保護の点でも好ましくない。そのためノズル12の不良原因やその程度に合わせて、回復可能な最小限のインク吸引量にて回復処理を行い、廃インクを最小限にすることが望まれる。
【0007】
しかしながら、この従来例に示したインクジェットプリンタの吸引回復装置では、負圧を発生させるためにシリンダ内空間30を膨張させた体積にほぼ等しいインク量が吸引される構成であるので、ノズルの状態に合わせてインク吸引量を変えること、特に少量のインクを吸引することは難しい。シリンダ内空間30の容量を減らして1回の処理に於ける吸引インク量を少量にして、複数回、吸引回復処理を行う構成にした上で、処理回数を増減することでインク吸引量を変えることが考えられるが、多量のインクを吸引する際には処理回数が非常に多くなり、操作者が回復処理のために待つ時間が長くなるため好ましくない。さらに、一度キャップ空間14に負圧が導かれると、たとえピストン21を定常位置に復帰させてシリンダ内空間30が大気圧に開放されても、弁18を閉じる力が加わるためキャップ空間14は負圧が残ってしまい、キャップ空間14が大気圧と等しくなるまでインクが吸引吐出されることになる。従って、キャップ空間14の容量を少なくしたり、吸引路15を短くしなければならない等の装置の制約が大きくなる。また、ノズル12の目詰まりを回復する場合には、通常よりも大きい負圧(例えば-200mmHg)で吸引した方が回復しやすいが、大きい負圧を発生させるためには、シリンダ内空間30の膨張体積を大きくする必要があり、それにともない吸引インク量も増加してしまう欠点があった。
【0008】
図15は従来のインクジェットプリンタの吸引回復装置の他の例を示す構成説明図である。このインクジェットプリンタの吸引回復装置は、吸引キャップ41に吸引路42を介して吸引ポンプ43が接続されるとともに、吸引キャップ41に大気と連通する大気開放路44が設けられ、その途中に電磁弁45が配置される。吸引ポンプ43は先に述べた従来例のようなピストンとシリンダを用いたポンプやチューブポンプ等が用いられる。このインクジェットプリンタの吸引回復装置においては、電磁弁45の開閉によりインク吸引量を調整できる。すなわち、電磁弁45を閉じて吸引キャップ41を大気と遮断した状態で吸引ポンプ43により負圧を発生させると、吸引キャップ41内が負圧になりインクが吸引される。所定のインク量を吸引したところで電磁弁45を開き吸引キャップ41を大気と連通させると吸引キャップ41内が大気圧と等しくなるため、ヘッドのインク吐出ノズルからのインク吸引が停止される。この吸引ポンプ43の吸引開始から電磁弁45を開くまでの時間を変えることによりヘッドのインク吐出ノズルからのインク吸引量を調整出来るため、インク吸引量を少量にすることが可能になる。
しかしながら、電磁弁を配設するスペースだけ装置が大きくなることと、装置がコスト高になる欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、ヘッドを確実に回復出来るだけの大きい負圧下でも少量のインクを吸引可能にすることで吸引インク量を少量にし得、さらに、回復に要する吸引インク量が最小限になるように、ヘッド状態に応じて吸引インク量と吸引負圧を変えることが出来る機構を簡単な構成で実現し得るインクジェットプリンタの吸引回復装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のインクジェットプリンタの吸引回復装置は、軸方向に所定の間隔を持って配設された第1のシール部及び第2のシール部を有するピストンと、このピストンが前記第1のシール部及び第2のシール部でシールされて内部に移動されるシリンダと、このシリンダのピストン移動範囲内に設けられた吸引口と、この吸引口に連通され前記シリンダとピストンにより形成されるシリンダ内空間が負圧になったときインクジェットプリンタのヘッドノズルを吸引するキャップと、前記シリンダのピストン移動範囲内に前記吸引口に対してピストンの軸方向に所定の間隔を持って配設された大気に連通する大気開放口と、前記シリンダの前記吸引口と前記大気開放口との間に設けられた前記キャップ及び吸引口に連通する大気連通口と、前記シリンダ内空間が正圧になったとき排気する排気口とを具備し、ピストン軸方向に、吸引口、大気連通口、大気開放口の順に配置され、前記第1のシール部と第2のシール部のピストン軸方向の間隔をL1、前記シリンダに設けられた吸引口と大気連通口のピストン軸方向の間隔をL2、前記シリンダに設けられた大気連通口と大気開放口のピストン軸方向の間隔をL3、とすると、L1>L2、L3>(L1−L2)を特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態例を示す構成説明図である。即ち、インクジェットプリンタのヘッド51は供給管52を介してインクタンク53に連結され、インクタンク53からのインクは供給管52を通じてヘッド51に供給される。前記インクジェットプリンタのヘッド51にはインクを吐出するノズル54が設けられ、このノズル54のインク吐出口を覆うようにして吸引キャップ55が押し当てられる。この場合、前記ヘッド51とキャップ55の間にキャップ空間56が設けられる。前記吸引キャップ55はゴム等の弾性体でできており、中空のキャップベース57に被せるようにして取り付けられ、キャップベース57の中空部は前記キャップ空間56と連通される。前記キャップベース57の中空部内には前記キャップベース57の中空部と前記キャップ空間56との連通を遮断、開放する弁58が設けられ、前記キャップベース57の中空部は吸引路59を介してシリンダ吸引口60に連通される。シリンダ61には最底部に弁62を有した排出口63と、ピストン移動範囲内の位置に吸引口60と大気開放口64が設けられる。前記吸引口60と大気開放口64とはピストン移動方向に間隔を持って配設され、ピストン下死点側が吸引口60となる。前記シリンダ61の内部にはピストン65が往復移動するようにして設けられ、このピストン65の外周にはOリング66が設けられる。67はシリンダ内空間である。
【0012】
図2は本発明に係る吸引回復装置の駆動手段及び制御手段の一例を示す構成説明図である。インクジェットプリンタのヘッド51には吸引回復装置68が押し当てられる。この吸引回復装置68は図1のピストン65、シリンダ61、キャップ55、キャップベース57、吸引路59等より構成される。前記吸引回復装置68のピストン65は駆動手段69によりシリンダ61内を往復移動するように駆動され、この駆動手段69により駆動されるピストン65の往復移動は制御手段70により停止位置及び移動速度が制御される。
【0013】
図3は本発明に係る吸引回復装置の駆動手段、制御手段及びピストン位置検出手段の一例を示す構成説明図である。即ち、図2の装置にさらにピストン位置検出手段71を設けたもので、このピストン位置検出手段71により吸引回復装置68のピストン65の停止位置を検出する。
【0014】
図4、図5および図6はそれぞれ本発明に係る吸引回復装置の吸引ポンプ動作を説明する断面図である。
インクジェットプリンタの吸引回復装置はヘッド51にキャップ55を押し当てた状態で行う。ピストン65が制御手段70の制御に基づく駆動手段69からの付勢により定常位置(図1の破線位置)から所定方向(図では上方向)に引き上げられるとシリンダ内空間67の体積が膨張して負圧になる。ピストン65の引き上げ動作を続けてOリング66が吸引口60を通過すると、シリンダ内空間67とキャップ空間56とが吸引路59を介して連通した状態になり、シリンダ内空間67からキャップ55に導かれた負圧によってヘッド51のノズル54からインクが吸い出される。
【0015】
さらに、図4に示すように、ピストン65が引き上げられOリング66が大気開放口64を通過すると、大気開放口64から空気が導入されてシリンダ内空間67及びキャップ空間56が大気圧と等しくなり、ヘッド51のノズル54からのインク吸い出しが停止される。従ってOリング66が吸引口60を通過してから大気開放口64を通過するまでの時間においてインクが吸引されることになる。ピストン移動速度を速くして吸引時間を短くすることにより吸引インク量を少量に出来るため、シリンダ内部空間67の膨張体積を大きくとり、大きな負圧を発生させた場合でも吸引インク量を少量にすることが容易に出来る。図4に示すように、Oリング66が大気開放口64を通過した位置まで来ると、ピストン駆動手段69は制御手段70により制御され逆方向つまりピストン65を押し下げる方向に付勢する。ピストン65は再び定常位置(図4の破線位置)にまで戻されて停止される。
【0016】
ピストン65が逆方向に押し下げられるとシリンダ内空間67の空気と吸引されたインクは排出口63よりシリンダ61外へと排出される。弁62、58は薄いゴム片でできており、一方向の撓みしか許容されておらず一方向弁として機能する。シリンダ内空間67が負圧の時は弁62は閉じて負圧を保ち、弁58は開いて負圧をキャップ空間56へと導く。逆にシリンダ内空間67が正圧になると弁62は開いて空気や吸引されたインクはシリンダ61外に排出され、弁58は閉じてヘッド51のノズル54内に空気が押し込まれることや吸引したインクがヘッド51側へと逆流することを防ぐ。
【0017】
本実施形態例では、吸引負圧と吸引量が異なっている吸引回復モードを複数有しており、ヘッド51のノズル54の状態に応じたモードで吸引回復処理を行うようになっている。
【0018】
すなわち、ヘッド51のノズル54から数時間インク吐出を行わなかったような軽度のインク増粘や、インクミスト付着による画像異常を予防するために、所定時間あるいは所定記録毎に行う予備吸引回復には、少量のインクを吸引するだけでよい。その場合、比較的速い速度でピストン65を引き上げて吸引時間を短くすることにより吸引量を少なくした第1吸引回復モードにて回復処理を行う。
【0019】
次に、ヘッド51のノズル54内に空気が入り込んだことによるインク吐出不良やノズル54の近傍に紙粉等が付着したことによる画像異常を回復させるには、比較的多量のインクを吸引する必要がある。その場合には、ピストン65の引き上げ速度を遅くすること、あるいは図5に示すようにOリング66を吸引口60と大気開放口64との間で所定時間停止させることにより吸引時間を長く吸引量を多くした第2吸引回復モードにて回復処理を行う。この場合、Oリング66が吸引口60と大気開放口64との間に位置していることをピストン位置検出手段71により検出するようにする。
【0020】
次に、ヘッド51のノズル54内でインクが乾燥して詰まった場合や、上記第2吸引回復モードで回復できなかった場合や、ヘッド51の交換を行い新しいヘッド51のノズル54内をインクで満たすようインクタンク53から吸い上げなければならない場合には、吸引回復に大きな吸引負圧を必要とするため、第3吸引回復モードにて回復動作を行う。この第3吸引回復モードでは、まずピストン65を図6に示す位置まで定常位置(図6の破線位置)から押し下げてシリンダ内空間67の容量を少なくする。シリンダ内空間67に押し込まれた空気は排出口63から排出されるためシリンダ内空間67は大気圧と等しくなっている。この動作の後、Oリング66が吸引口60と大気開放口64を通過するまでピストン65を引き上げる。ピストン65の下死点の位置を下げてシリンダ内空間67の容量を少なくすることと、ピストン65のストロークを長くしてシリンダ内空間67の体積膨張量を多くすることで前記第1吸引回復モード及び第2吸引回復モードよりも大きな負圧を発生させることができる。Oリング66が大気開放口64を通過した後は前記第1吸引回復モード及び第2吸引回復モードと同じく、定常位置(図6の破線位置)にまでピストン65が戻される。
【0021】
図7は各吸引回復モードにおける吸引圧力と吸引時間を示す特性図である。図中、(A)は第1吸引回復モード、(B)は第2吸引回復モード、(C)は第3吸引回復モードを示す。吸引負圧が大きいほど、また吸引時間が長いほど吸引インク量は多量になる。本実施形態例では3段階の吸引回復モードを有しているが、ピストン速度とピストン停止時間、およびピストン下死点位置を制御することにより、ヘッド状態に合わせてさらに多くの吸引回復モードを有すことも可能である。
【0022】
以上のように、吸引口と大気開放口とをピストン移動方向に間隔を持って配置したことにより、電磁弁等の手段を設けることなく、ピストンが一方向へ移動するだけでシリンダ内およびキャップ内の負圧発生と大気開放が一連の動作で可能になる。
【0023】
さらに、ピストンの移動速度、あるいはピストンシール部材が吸引口と大気開放口との間で停止させる停止時間によって、インク吸引量を制御することが可能になる。
【0024】
さらに、ピストンの移動下死点位置を変更することによって、インク吸引負圧を制御することが可能になる。
したがって、大きな負圧の下で少量のインクを吸引することが可能な吸引ポンプを簡単な構成で提供できる。さらに、ヘッドノズルの状態に応じてインク吸引量と吸引圧を変更して、適切な値で吸引回復を行うことで、吸引回復に消費するインク量を最小限にすることが可能になる。
【0025】
図8は本発明の第2の実施形態例を示す構成説明図である。即ち、インクジェットプリンタのヘッド51は供給管52を介してインクタンク53に連結され、インクタンク53からインクが供給管52を介してヘッド51に供給される。前記インクジェットプリンタのヘッド51にはインクを吐出するノズル54が設けられ、このノズル54のインク吐出口を覆うようにして吸引キャップ81が押し当てられる。この場合、前記ヘッド51とキャップ81の間にキャップ空間82が設けられる。前記吸引キャップ81はゴム等の弾性体でできており、キャップ吸引口83及びキャップ開放口84が設けられる。前記キャップ開放口84は大気導入路85を介してシリンダ86に設けられた大気連通口87と連通され、前記キャップ吸引口83は吸引路88を介してシリンダ86に設けられた吸引口89に連通される。前記吸引路88の途中には中空の一方向弁ユニット90が設けられ、この一方向弁ユニット90の中空部内には一方向弁ユニット90の中空部と前記キャップ空間82との連通を遮断、開放する弁91が設けられる。前記シリンダ86の最底部には弁92を有した排出口93が設けられ、前記シリンダ86の側面部には大気開放口94が設けられる。前記シリンダ86の内部にはピストン95が上下往復移動可能にして挿入され、前記ピストン95の外周には上下2段に第1のOリング96と第2のOリング97が設けられており、ピストン95外壁と2つのOリング96、97とシリンダ86内壁とで囲まれてシール空間98が形成される。前記吸引口89、大気連通口87及び大気開放口94はピストン移動範囲内の位置にピストン移動方向に間隔を持って配設され、ピストン下死点側から吸引口89、大気連通口87、大気開放口94の順に配設さる。また前記吸引口89と大気連通口87との間隔は、ピストン95の2つのOリング96、97の間隔より狭く、前記大気連通口87と大気開放口94との間隔は、前記吸引口89と大気連通口87の間隔と2つのOリング96、97の間隔との差よりも広く、2つのOリング96、97の間隔よりも狭い関係にある。99はシリンダ内空間である。
【0026】
この場合、吸引回復装置の駆動手段及び制御手段は図2に示す構成が適用できる。すなわち、インクジェットプリンタのヘッド51には吸引回復装置68が押し当てられる。この吸引回復装置68は図8のピストン95、シリンダ86、キャップ81、大気導入路85、吸引路88、一方向弁ユニット90等より構成される。前記吸引回復装置68のピストン95は駆動手段69によりシリンダ86内を往復移動するように駆動され、この駆動手段69により駆動されるピストン95の往復移動は制御手段70により停止位置及び移動速度が制御される。
【0027】
また吸引回復装置の駆動手段、制御手段及びピストン位置検出手段は図3に示す構成が適用できる。すなわち、ピストン位置検出手段71により吸引回復装置68のピストン95の停止位置を検出する。
【0028】
図10、図11および図12はそれぞれ本発明の第2の実施形態例に係る吸引回復装置の吸引回復動作を説明する断面図である。
次に、本発明の第2の実施形態例の吸引回復動作について説明する。インクジェットプリンタの吸引回復処理はヘッド51にキャップ81を押し当てた状態で行う。ピストン95が定常位置(図8の破線位置)にあるときはキャップ空間82とシリンダ内空間99とは遮断されている。ピストン95が駆動手段69からの付勢により定常位置から所定方向(図8では上方向)に引き上げられるとシリンダ内空間99の体積が膨張して負圧を生じる。ピストン95の引き上げ動作を続けていくと、まず第1のOリング96が吸引口89を通過し、ついで大気連通口87を第1のOリング96が通過し、さらに吸引口89を第2のOリング97が通過して図10に示す位置に引き上げられる。吸引口89を第2のOリング97が通過した時点で、シリンダ内空間99の負圧で弁91が開いてキャップ空間82とシリンダ内空間99は連通して負圧がキャップ空間82へ導かれる。大気連通口87は大気導入路85、キャップ空間82及び吸引路88を介して吸引口89と連通しているが、大気連通口87上にシール空間98が位置して大気と遮断されているため負圧は保たれる。キャップ空間82に導かれた負圧によってヘッドノズル54からインクが吸い出される。
【0029】
さらに、ピストン95が引き上げられると、第1のOリング96が大気開放口94を通過して、図11に示す位置に達する。この時点で大気連通口87と大気開放口94とはシール空間98内で連通するので大気が大気導入路85を通してキャップ空間82に導入される。大気がキャップ空間82に導入される配管系路途中に一方向弁等が存在していないため、キャップ空間82は負圧が残ることなく、直ちに大気圧と等しくなり、インク吸い出しが停止される。従って、第2のOリング97が吸引口89を通過してから第1のOリング96が大気開放口94を通過するまでの時間が、インクが吸引されるインク吸引時間となる。ピストン95の上死点は第1のOリング96が大気開放口94を通過してから第2のOリング97が大気連通口87を通過しない位置であり、大気連通口87と大気開放口94とがシール空間98で連通している位置になる。
【0030】
ピストン95は上死点まで引き上げられインク吸引を停止した後、逆方向つまりピストン95を押し下げる方向に付勢されて、再び定常位置にまで戻される。ピストン95が逆方向に押し下げられると、シリンダ内空間99の空気と吸引されたインクは排出口93よりシリンダ86外へと排出される。
【0031】
一方向弁ユニット90内の弁91と排出口93に設けられた弁92は薄いゴム片でできており、弁92、91により隔たれた空間の圧力差によって容易に撓むことが出来るが、一方向の撓みが規制されていることで一方向弁として機能する。つまり、シリンダ内空間99が負圧のときは弁92は閉じて負圧を保持し、負圧を生じたシリンダ内空間99とキャップ空間82が連通されると、その圧力差により弁91はシリンダ86側に撓んで(開いて)負圧をキャップ空間82に導くように機能する。反対にシリンダ内空間99が正圧になると弁92は開いてシリンダ内空間99の空気等を排出すると共に、弁91は閉じてキャップ空間82に空気が押し込まれることや、吸引したインクがキャップ空間82に逆流することを防ぐように機能する。また、ピストン95の上死点は大気連通口87とシール空間98が連通する位置であり、シール空間98内体積はピストン95が移動しても変化しないため、大気連通口87からキャップ空間82に空気が押し込まれることはない。従って、ヘッドノズル54内に空気が押し込まれてインク不吐出になることや、吸引したインクや紙粉をヘッドノズル54内に押し込むことが無くなる。
【0032】
本実施形態例の吸引回復装置は、吸引負圧と吸引量が異なる吸引回復モードを複数備えており、ヘッドノズル54の状態に応じた吸引回復モードで吸引回復処理を行う。
【0033】
ヘッドノズル54から数時間インク吐出を行わなかったような軽度のインク増粘や、インクミスト付着による画像異常を予防するために、所定時間あるいは所定記録毎に行う予備吸引回復には、ノズル54内のインクを微少量吸引するだけでよい。その場合、吸引量を少量(例えば0.001cc )にした第1吸引回復モードにて回復処理を行う。この第1吸引回復モードでは、制御手段70により駆動手段69を制御してピストン95の引き上げ動作を速い速度で行う。第2のOリング97が吸引口89を通過してから第1のOリング96が大気開放口94を通過するまでの吸引時間を短くすることで吸引量は少量になる。
【0034】
次に、ヘッドノズル54内に空気が入り込んだことによる吐出不良やノズル54の近傍に紙粉等が付着したことによる画像異常を回復させるには、比較的多量のインクを吸引する必要がある。その場合には、インク吸引量を第1吸引回復モードよりも多量(例えば0.05cc)にした第2吸引回復モードにて回復処理を行う。この第2吸引回復モードでは、第2のOリング97が吸引口89を通過してから第1のOリング96が大気開放口94を通過するまでの吸引時間を第1吸引回復モードよりも長くしてインク吸引量を多くしており、吸引時間は、制御手段70により駆動手段69を制御して、ピストン95の引き上げ動作の速度を制御するか、または図10に示すように吸引口89がシリンダ内空間99と連通し、かつ、大気連通口87が大気と遮断されている位置をピストン位置検出手段71により検出して制御手段70により駆動手段69を制御し、図10の位置にピストン95を所定時間停止させるよう制御することで長くしている。
【0035】
次に、ヘッドノズル54内でインクが乾燥して詰まった場合など上記第2吸引回復モードで回復できなかった場合には、上記第2吸引回復モードと同程度のインク量を第2吸引回復モードよりも大きい負圧(例えば-200mmHg)で吸引する第3吸引回復モードにて回復処理を行う。また、ヘッド51やインクタンク53を交換して、ノズル54を含むヘッド51内を新たなインクで満たすよう、インクタンク53からインクを吸い上げる必要がある場合には、第3吸引回復モードと同程度の負圧で第3吸引回復モードよりもインクを多量(例えば2cc )に吸引する第4吸引回復モードにて回復処理を行う。この第3吸引回復モードおよび第4吸引回復モードでは、まずピストン95を図12に示す位置まで定常位置(図12の破線位置)から押し下げてシリンダ内空間99の容量を少なくする。押し込まれた空気は排出口93から排出されるためシリンダ内空間99は大気圧と等しくなっている。この動作の後、第2のOリング97が吸引口89を通過して第1のOリング96が大気開放口94を通過するまでピストン95を引き上げる。ピストン95の下死点の位置を下げてシリンダ内空間99の容量を少なくすることと、ピストン95のストロークを長くすることで、体積膨張量を多くして前記第1吸引回復モード及び第2吸引回復モードよりも大きな負圧を発生させることができる。ここで、インク吸引時間は、先に述べた第1吸引回復モード及び第2吸引回復モードと同様に、制御手段70により駆動手段69を制御して、ピストン95の引き上げ速度を制御すること等により調整が出来るため、体積膨張量が多くなっても少量のインクを吸引することおよび多量のインクを吸引することが可能になる。第1のOリング96が大気開放口94を通過した後は前記第1吸引回復モード及び第2吸引回復モードと同じく、定常位置にまでピストン95が戻される。
【0036】
図13は各吸引回復モードにおける吸引圧力と吸引時間を示す特性図である。図中、(D)は第1吸引回復モード、(E)は第2吸引回復モード、(F)は第3吸引回復モード、(G)は第4吸引回復モードを示す。吸引負圧が大きいほど、また吸引時間が長いほど吸引インク量は多量になる。本実施形態例では4段階の吸引回復モードを有しているが、ピストン95の速度とピストン95の停止時間、およびピストン95の下死点位置を制御することにより、さらに多くの吸引回復モードを備えることも可能である。
【0037】
図9は本発明の第3の実施形態例を示す構成説明図である。
この第3の実施形態例では、大気導入路85′が、吸引路88のキャップ81′から一方向弁ユニット90までの経路途中に接続されている点でのみ、第2の実施形態例と異なっている。従って、キャップ81′のキャップ吸引口83がキャップ開放口を兼用している。図9中、図8と同一部分は同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
この第3の実施形態例の吸引回復装置において、まず第2のOリング97が吸引口89を通過した時点(図10の状態に対応する)で、キャップ空間82とシリンダ内空間99は連通してシリンダ内空間99内の負圧がキャップ空間82へ導かれる。この場合、大気連通口87は吸引路88と接続されており吸引口89と連通しているが、大気連通口87上にシール空間98が位置して大気と遮断される。キャップ81′に導かれた負圧によってヘッドノズル54からインクが吸い出される。
【0039】
さらにピストン95が引き上げられると、第1のOリング96が大気開放口94を通過した時点(図11の状態に対応する)で大気連通口87と大気開放口94とはシール空間98内で連通して、大気が大気導入路85′と吸引路88を通してキャップ空間82に導入される。第2の実施形態例と同じく、大気がキャップ空間82に導入される配管系路途中に一方向弁等が存在していないため、キャップ空間82は負圧が残ることなく、直ちに大気圧と等しくなり、インク吸い出しが停止される。大気導入路85′は、キャップ81′から一方向弁ユニット90までの吸引路88であれば、どの位置に接続しても同様の効果が得られるため、装置の制約が少なくなることと、キャップ構造を簡単にすることができる点で、第2の実施形態例より有利となる。
【0040】
以上のように、ピストンに設けられた2つのOリングと、シリンダに設けられた吸引口と大気連通口と大気開放口とをピストン移動方向に所定の間隔を持って配置したことにより、電磁弁等の手段を設けることなく、負圧発生動作と吸引動作と吸引停止動作の一連の動作が、ピストンの一方向の移動だけで可能になり、大きい負圧下でも少量のインクを吸引可能になる。
【0041】
さらに、ピストンの移動速度、あるいはピストンシール部材を所定位置で停止させる停止時間によって、インク吸引量を制御することが可能になる。
さらに、ピストンの移動下死点位置を変更することによって、インク吸引負圧を制御することが可能になる。
【0042】
さらに、ピストン上死点位置を大気連通口と大気開放口とがシール空間内で連通する位置とすることで、ピストンの吸引動作後の逆方向の移動において、キャップ空間に空気が押し込まれることが無くなる。
【0043】
したがって、大きな負圧の下でも少量のインクを吸引することが可能な吸引ポンプを簡単な構成で提供できる。さらに、ヘッドノズルの状態に応じてインク吸引量と吸引圧を変更して、適切な値で吸引回復を行うことで、吸引回復に消費するインク量を最小限にすることが可能に出来る。さらに、空気や吸引したインクをノズル内に押し込んでインク不吐出になることのない吸引ポンプを簡単な構成で提供できる。
【0044】
尚、本明細書中には、以下のような発明が含まれる。
(1) シリンダ内にピストンをシールして移動する駆動手段と、この駆動手段が制御され前記ピストンの移動を制御して前記シリンダとピストンにより形成されるシリンダ内空間をピストンの移動に応じて正圧もしくは負圧にする制御手段と、前記シリンダ内空間がピストンの移動により正圧になったとき排気する排気手段と、前記シリンダ内空間がピストンの移動により負圧になったときインクジェットプリンタのヘッドノズルを吸引する吸引手段と、前記シリンダ内空間がピストンの移動により大気圧にされる大気圧手段とを具備することを特徴とするインクジェットプリンタの吸引回復装置。
【0045】
(構成)
本発明は第1〜3の実施形態例が対応する。尚、駆動手段は駆動手段69が該当し、制御手段は制御手段70が該当し、排気手段は弁62,92及び排出口63,93が該当し、吸引手段はシリンダ61,86及びピストン65,95及び吸引口60,89及びキャップ55,81,81′が該当し、大気圧手段は大気開放口64,94が該当する。
【0046】
(作用効果)
ヘッドを確実に回復出来るだけの大きい負圧下でも少量のインクを吸引可能にすることで吸引インク量を少量にでき、さらに、回復に要する吸引インク量が最小限になるように、ヘッド状態に応じて吸引インク量と吸引負圧を変えることが出来る機構を簡単な構成で実現することができる。
【0047】
(2) 内部にピストンがシールされて移動されるシリンダと、このシリンダのピストン移動範囲内に設けられた吸引口と、この吸引口に連通され前記シリンダとピストンにより形成されるシリンダ内空間が負圧になったときインクジェットプリンタのヘッドノズルを吸引するキャップと、前記シリンダのピストン移動範囲内に前記吸引口に対してピストンの軸方向に所定の間隔を持って配設された大気に連通する大気開放口と、前記シリンダ内空間が正圧になったとき排気する排気口とを具備することを特徴とするインクジェットプリンタの吸引回復装置。
【0048】
(構成)
本発明は第1の実施形態例が対応する。尚、シリンダはシリンダ61が該当し、吸引口は吸引口60が該当し、キャップはキャップ55が該当し、大気開放口は大気開放口64が該当し、排気口は排気口63が該当する。
【0049】
(作用効果)
吸引口と大気開放口とをピストンの軸方向に所定の間隔を持って配設したことにより、ピストンが一方向へ移動するだけでシリンダ内及びキャップ内の負圧発生と大気開放が一連の動作で可能になる。
【0050】
(3) シリンダとピストンにより形成されるシリンダ内空間の負圧が、ピストンの移動下死点位置を変更することによって制御される制御手段を有することを特徴とする(2)記載のインクジェットプリンタの吸引回復装置。
【0051】
(構成)
本発明は第1の実施形態例が対応する。尚、シリンダ内空間はシリンダ内空間67が該当し、制御手段は制御手段70が該当する。
【0052】
(作用効果)
ピストンの移動下死点位置を変更することにより、インク吸引負圧を制御することが可能になる。
【0053】
(4) ノズルから吸引されるインク吸引量が、ピストンが吸引口を通過してから大気開放口を通過するまでの吸引時間によって制御される制御手段を有することを特徴とする(2)記載のインクジェットプリンタの吸引回復装置。
【0054】
(構成)
本発明は第1の実施形態例が対応する。尚、制御手段は制御手段70が該当する。
【0055】
(作用効果)
ピストンが吸引口を通過してから大気開放口を通過するまでの吸引時間により、ノズルから吸引されるインク吸引量を制御することが可能となる。
【0056】
(5) 吸引時間が、ピストンの移動速度によって制御される制御手段を有することを特徴とする(4)記載のインクジェットプリンタの吸引回復装置。
(構成)
本発明は第1の実施形態例が対応する。尚、制御手段は制御手段70が該当する。
【0057】
(作用効果)
ピストンの移動速度により、ノズルから吸引されるインク吸引量を制御することが可能となる。
【0058】
(6) 吸引時間が、ピストンが吸引口と大気開放口との間で停止させる停止時間によって制御されるピストン位置検出手段及び制御手段を有することを特徴とする(4)記載のインクジェットプリンタの吸引回復装置。
【0059】
(構成)
本発明は第1の実施形態例が対応する。尚、ピストン位置検出手段はピストン位置検出手段71が該当し、制御手段は制御手段70が該当する。
【0060】
(作用効果)
ピストンが吸引口と大気開放口との間で停止させる停止時間により、ノズルから吸引されるインク吸引量を制御することが可能となる。
【0061】
(7) 軸方向に所定の間隔を持って配設された第1のシール部及び第2のシール部を有するピストンと、このピストンが前記第1のシール部及び第2のシール部でシールされて内部に移動されるシリンダと、このシリンダのピストン移動範囲内に設けられた吸引口と、この吸引口に連通され前記シリンダとピストンにより形成されるシリンダ内空間が負圧になったときインクジェットプリンタのヘッドノズルを吸引するキャップと、前記シリンダのピストン移動範囲内に前記吸引口に対してピストンの軸方向に所定の間隔を持って配設された大気に連通する大気開放口と、前記シリンダの前記吸引口と前記大気開放口との間に設けられた前記キャップ及び吸引口に連通する大気連通口と、前記シリンダ内空間が正圧になったとき排気する排気口とを具備することを特徴とするインクジェットプリンタの吸引回復装置。
【0062】
(構成)
本発明は第2,3の実施形態例が対応する。尚、第1のシール部は第1のOリング96が該当し、第2のシール部は第2のOリング97が該当し、ピストンはピストン95が該当し、シリンダはシリンダ86が該当し、吸引口は吸引口89が該当し、キャップはキャップ81が該当し、大気開放口は大気開放口94が該当し、大気連通口は大気連通口87が該当し、排気口は排気口93が該当する。
【0063】
(作用効果)
ピストンに設けられた第1のシール部及び第2のシール部と、シリンダに設けられた吸引口と大気連通口と大気開放口とをピストン移動方向に所定の間隔を持って配置したことにより、電磁弁等の手段を設けることなく、負圧発生動作と吸引動作と吸引停止動作の一連の動作が、ピストンの一方向の移動だけで可能になり、大きい負圧下でも少量のインクを吸引可能になる。
【0064】
(8) シリンダとピストンにより形成されるシリンダ内空間の負圧が、ピストンの移動下死点位置を変更することによって制御される制御手段を有することを特徴とする(7)記載のインクジェットプリンタの吸引回復装置。
【0065】
(構成)
本発明は第2,3の実施形態例が対応する。尚、シリンダ内空間はシリンダ内空間99が該当し、制御手段は制御手段70が該当する。
【0066】
(作用効果)
ピストンの移動下死点位置を変更することにより、インク吸引負圧を制御することが可能になる。
【0067】
(9) ピストンの上死点位置が、大気連通口と大気開放口とがピストンの第1のシール部及び第2のシール部とシリンダで囲まれたシール空間に連通する位置であることを特徴とする(7)記載のインクジェットプリンタの吸引回復装置。
【0068】
(構成)
本発明は第2,3の実施形態例が対応する。尚、第1のシール部は第1のOリング96が該当し、第2のシール部は第2のOリング97が該当し、ピストンはピストン95が該当し、シリンダはシリンダ86が該当し、大気開放口は大気開放口94が該当し、大気連通口は大気連通口87が該当する。
【0069】
(作用効果)
ピストン上死点位置を大気連通口と大気開放口とがシール空間内で連通する位置とすることで、ピストンの吸引動作後の逆方向の移動において、キャップ空間に空気が押し込まれることが無くなる。
【0070】
(10) ノズルから吸引されるインク吸引量が、ピストンの移動により第1のシール部及び第2のシール部が吸引口を通過してから、大気連通口と大気開放口とがピストンの第1のシール部及び第2のシール部とシリンダで囲まれたシール空間に連通するまでの吸引時間によって制御される制御手段を有することを特徴とする(7)記載のインクジェットプリンタの吸引回復装置。
【0071】
(構成)
本発明は第2,3の実施形態例が対応する。尚、第1のシール部は第1のOリング96が該当し、第2のシール部は第2のOリング97が該当し、ピストンはピストン95が該当し、シリンダはシリンダ86が該当し、大気開放口は大気開放口94が該当し、大気連通口は大気連通口87が該当し、制御手段は制御手段70が該当する。
【0072】
(作用効果)
ピストンに設けられた第1のシール部及び第2のシール部と、シリンダに設けられた吸引口と大気連通口と大気開放口とをピストン移動方向に所定の間隔を持って配置したことにより、負圧発生動作と吸引動作と吸引停止動作の一連の動作が、ピストンの一方向の移動だけで可能になり、大きい負圧下でも少量のインクを吸引可能になる。
【0073】
(11) 吸引時間が、ピストンの移動速度によって制御される制御手段を有することを特徴とする(10)記載のインクジェットプリンタの吸引回復装置。
(構成)
本発明は第2,3の実施形態例が対応する。尚、ピストンはピストン95が該当する。
【0074】
(作用効果)
ピストンの移動速度により、ノズルから吸引されるインク吸引量を制御することが可能となる。
【0075】
(12) 吸引時間が、ピストンの第1のシール部及び第2のシール部が吸引口を通過してから、大気連通口と大気開放口とがピストンの第1のシール部及び第2のシール部とシリンダで囲まれたシール空間に連通するまでの間で停止させる停止時間によって制御されるピストン位置検出手段及び制御手段を有することを特徴とする(10)記載のインクジェットプリンタの吸引回復装置。
【0076】
(構成)
本発明は第2,3の実施形態例が対応する。尚、ピストン位置検出手段はピストン位置検出手段71が該当し、制御手段は制御手段70が該当する。
【0077】
(作用効果)
ピストンを所定位置で停止させる停止時間により、ノズルから吸引されるインク吸引量を制御することが可能となる。
【0078】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、ヘッドを確実に回復出来るだけの大きい負圧下でも少量のインクを吸引可能にすることで吸引インク量を少量にし得、さらに、回復に要する吸引インク量が最小限になるように、ヘッド状態に応じて吸引インク量と吸引負圧を変えることが出来る機構を簡単な構成で実現し得るインクジェットプリンタの吸引回復装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態例を示す構成説明図である。
【図2】本発明に係る吸引回復装置の駆動手段及び制御手段を示す構成説明図である。
【図3】本発明に係る吸引回復装置の駆動手段、制御手段及びピストン位置検出手段を示す構成説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態例に係る吸引回復装置の吸引回復動作を説明する断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態例に係る吸引回復装置の吸引回復動作を説明する断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態例に係る吸引回復装置の吸引回復動作を説明する断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態例に係る各吸引回復モードにおける吸引圧力と吸引時間を示す特性図である。
【図8】本発明の第2の実施形態例を示す構成説明図である。
【図9】本発明の第3の実施形態例を示す構成説明図である。
【図10】本発明の第2の実施形態例に係る吸引回復装置の吸引回復動作を説明する断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態例に係る吸引回復装置の吸引回復動作を説明する断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態例に係る吸引回復装置の吸引回復動作を説明する断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態例に係る各吸引回復モードにおける吸引圧力と吸引時間を示す特性図である。
【図14】従来のインクジェットプリンタの吸引回復装置の一例を示す断面図である。
【図15】従来のインクジェットプリンタの吸引回復装置の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
11…ヘッド、12…ノズル、13…キャップ、14…キャップ空間、15…吸引路、16…キャップ吸引口、17…一方向弁ユニット、18…弁、19…吸引口、20…シリンダ、21…ピストン、22…Oリング、23…Oリング、24…Oリング、25…復帰バネ、26…復帰バネ、27…排出孔、28…弁、29…排出口、30…シリンダ内空間、41…キャップ、42…吸引路、43…吸引ポンプ、44…大気開放路、45…電磁弁、51…ヘッド、52…インク供給路、53…インクタンク、54…ノズル、55…キャップ、56…キャップ空間、57…キャップベース、58…弁、59…吸引路、60…吸引口、61…シリンダ、62…弁、63…排出口、64…大気開放口、65…ピストン、66…Oリング、67…シリンダ、68…吸引回復装置、69…駆動手段、70…制御手段、71…ピストン位置検出手段、81…キャップ、82…キャップ空間、83…キャップ吸引口、84…キャップ開放口、85…大気導入路、86…シリンダ、87…大気連通口、88…吸引路、89…吸引口、90…一方向弁ユニット、91…弁、92…弁、93…排出口、94…大気開放口、95…ピストン、96…第1のOリング、97…第2のOリング、98…シール空間、99…シリンダ内空間、81′…キャップ、85′…大気導入路。
Claims (1)
- 軸方向に所定の間隔を持って配設された第1のシール部及び第2のシール部を有するピストンと、
このピストンが前記第1のシール部及び第2のシール部でシールされて内部に移動されるシリンダと、
このシリンダのピストン移動範囲内に設けられた吸引口と、
この吸引口に連通され前記シリンダとピストンにより形成されるシリンダ内空間が負圧になったときインクジェットプリンタのヘッドノズルを吸引するキャップと、
前記シリンダのピストン移動範囲内に前記吸引口に対してピストンの軸方向に所定の間隔を持って配設された大気に連通する大気開放口と、
前記シリンダの前記吸引口と前記大気開放口との間に設けられた前記キャップ及び吸引口に連通する大気連通口と、
前記シリンダ内空間が正圧になったとき排気する排気口とを具備し、
ピストン軸方向に、吸引口、大気連通口、大気開放口の順に配置され、
前記第1のシール部と第2のシール部のピストン軸方向の間隔をL1、
前記シリンダに設けられた吸引口と大気連通口のピストン軸方向の間隔をL2、
前記シリンダに設けられた大気連通口と大気開放口のピストン軸方向の間隔をL3、
とすると、
L1>L2、L3>(L1−L2)
を特徴とするインクジェットプリンタの吸引回復装置。
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