JP4763339B2 - 配管のクリーニング方法 - Google Patents

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本発明は、半導体装置、液晶表示装置等の電子デバイスの製造設備に用いられる配管のクリーニング方法に関する。
半導体装置、液晶表示装置等の電子デバイスの製造に用いられる成膜設備においては、取扱いが困難、例えば自己分解性で長期保存が難しく、かつ酸素または水分と反応して不揮発性物質を生成する性質を有する原料液がしばしば使用される。
このような原料液(例えば液状有機金属系化合物)による成膜は、例えば次のような方法によりなされている。すなわち、液状有機金属系化合物が収容されたタンクに不活性ガスを供給し、前記原料液を出口ポート管およびこれに接離可能に接続された流通配管を通して気化器に導入し、ここで気化した有機金属系化合物を処理装置、例えば真空チャンバを有するMOCVD装置に供給し、反応ガス、例えば酸素と反応させて前記真空チャンバ内に配置した半導体ウェハ表面に金属酸化膜を形成する。
前記金属酸化膜の形成において、タンク内の原料液の消費によりその量が減少した場合、前記出口ポート管を流通配管から切り離し、原料液が満たされた別のタンクに交換した後、再度、そのタンクの供給配管を前記流通配管に接続し、同様な金属酸化膜の形成を行う。なお、原料液は自己分解性を示し、タンク内に大量に収容すると、貯留期間が長くなって自己分解を生じる。このため、原料液のタンク内への収容量が制限され、ある期間で別のタンクの交換が必要になる。
しかしながら、前記タンクの交換(特に、出口ポート管を流通配管に再度接続)する際に大気(空気)が流通配管に侵入する。この流通配管には、原料液が残留するため、侵入された大気中の酸素または水分と反応して不揮発性物質、例えばパーティクルを発生する。その結果、タンク交換後に前述したようにタンク内の原料液を出口ポート管および流通配管を通して気化器に供給し、ここでガス化した原料をMOCVD装置の真空チャンバに輸送する際、前記流通配管内に発生したパーティクルもチャンバ内に持ち運ばれるために半導体ウェハがパーティクルで汚染される。
このようなことから、特許文献1には出口ポート管を流通配管から切り離す前に、前記流通配管の大気が侵入される部分に対して(a)前記流通配管部分を減圧状態にする、(b)溶剤を前記流通配管部分に注入し、その流通配管部分内に満たす、(c)不活性ガスを前記流通配管部分にパージしてそこに満たされた溶剤を押し流す、工程を複数回繰り返して前記流通配管部分に残留した原料液を洗い流してクリーニングすることが開示されている。
しかしながら、従来のクリーニング方法において溶媒洗浄を多数回行なっても配管内の原料液の残留量をパーティクル発生を防ぐppbレベル、より厳格には0.1ppbまで低減することが困難であった。
特開2002−336677
本発明は、配管に残留した自己分解性でかつ酸素または水分と反応して不揮発性物質(例えばパーティクル)を発生する性質を有する原料液を目標とするレベルまで除去することが可能な配管のクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明によると、原料タンク内に収容された自己分解性でかつ酸素または水分と反応して不揮発性物質を生成する性質を有する原料液を出口ポート管およびこの管に接離可能に接続される流通配管を通して処理チャンバに供給して被処理基板に所望の膜を成膜する過程で前記原料タンク内の原料液が消費された時に原料液が満たされた別の原料タンクに交換する際、大気が侵入される前記流通配管部分をクリーニングする方法において、
(a)前記出口ポート管を前記流通配管から切り離す前に、前記流通配管部分に対して次の処理を行う工程;
1)前記流通配管部分を減圧状態にする、
2)溶剤を前記流通配管部分に注入し、その流通配管部分内に満たす、
3)不活性ガスを前記流通配管部分にパージしてそこに満たされた溶剤を押し流す、
(b)前記1)〜3)の処理を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返して前記流通配管部分に残留した原料液を洗い流す工程;および
(c)前記複数回のサイクルの任意の間に、不活性ガスを前記流通配管部分に流通させて乾燥する工程;
を含むことを特徴とする配管のクリーニング方法が提供される。
本発明によれば、配管に残留した自己分解性でかつ酸素または水分と反応して不揮発性物質(例えばパーティクル)を発生する性質を有する原料液を目標とするレベルまで除去し、配管内においてその原料液と大気中の酸素または水分との反応によるパーティクルの発生を防止することが可能な配管のクリーニング方法を提供することができる。
以下、本発明に係る配管のクリーニング方法を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この実施形態に用いられ成膜設備を示す概略図である。この成膜設備は、MOCVD装置10と原料液供給系統20とを具備する。
MOCVD装置10は、被処理基板、例えば半導体ウェハWを支持すると共に加熱するためのサセプタ11が内部に配設された気密な処理チャンバ12を有する。真空排気部(例えば第1真空ポンプ)13は、前記処理チャンバ12にその内部を排気すると共に真空に設定するために排気管14を通して接続されている。この排気管14には、バルブV1が介装されている。流通配管15は、前記原料液供給系統20側の上流部15aとMOCVD装置10側の下流部15bとから構成され、これら上流部15a,下流部15bの間にバルブV2が介装されている。流通配管下流部15bは、処理チャンバ12に原料液を供給するために接続されている。気化器16は、処理チャンバ12の直前に位置する流通配管下流部15b部分に介装されている。反応ガス、例えば酸化剤である酸素ガスを供給するための反応ガス供給管17は、前記処理チャンバ12に接続されている。この反応ガス供給管17には、バルブV3が介装されている。
原料液供給系統20は、原料液を収容する気密な原料タンク21を有する。原料液圧送用の加圧不活性ガスを導入するための加圧ポート管22および原料液を送出すための出口ポート管23は、前記原料タンク21に接続されている。加圧ポート管22はバルブVpが介装されている。出口ポート管23は、一端が前記原料タンク21の原料液に浸漬され、他端が3つのポート(図示せず)を有する流れ切換え機構Vcに接続されている。この流れ切換え機構Vcとしては、NUPRO社、DFシリーズ、マルチバルブマニホルド、6LV−F5V(商品名)または(株)フジキン、メガ1シリーズ、ダイレクトダイヤフラムバルブ、FUDDFTRO−71G(商品名)を使用することができる。
前記流れ切換え機構Vcの第1ポートには、原料タンク21の出口ポート管23が接続されている。第2ポートには、原料液を供給するための流通配管上流部15aが接続されている。第3ポートには、流通配管上流部15a内の流体を排出するための排出管24が接続されている。第2ポートの近傍に位置する流通配管上流部15aにはバルブV4が配設され、第3ポートの近傍に位置する排出管24にバルブV5が配設されている。流れ切換え機構VcをバルブV4、V5に対して着脱可能に取付けるように第2、第3ポートにそれぞれフランジF1、F2が配設され、バルブV4、V5にそれぞれフランジF4、F5が配設されている。すなわち、流れ切換え機構VcはフランジF3、F1間およびフランジF2,F4間の結合を断つことにより流通配管15および排出管24から切り離すことができる。一方、流れ切換え機構VcはフランジF3、F1間およびフランジF2,F4間を結合することにより流通配管15および排出管24に接続することができる。なお、流通配管上流部15aには必要に応じてヒータ(図示せず)が巻装されている。
マニホルド25は、前記バルブV2の直近の前記流通配管上流部15aに接続されている。溶剤供給管26は、前記マニホルド25の後端にバルブV6を介して接続されている。不活性ガスを供給するためのパージガス管27は、前記マニホルド25の途中にバルブV7を介して接続されている。
前記排出管24の後端は、真空排気部(例えば第2真空ポンプ)28に接続され、かつ途中にバルブV8が介装されている。2つのポート管29,30は、前記バルブV8前後の排出管24からそれぞれ分岐され、かつ他端が廃液を回収するための廃液回収タンク31にそれぞれ接続されている。2つのポート管29,30には、バルブV9、V10がそれぞれ介装されている。
次に、前述した図1の成膜設備を参照して被処理基板、例えば半導体ウェハへの成膜および配管のクリーニング方法について説明する。なお、以下の説明においてバルブは特段の記載がない限り、閉じられた状態とする。
<半導体ウェハへの成膜>
まず、MOCVD装置10の処理チャンバ12内のサセプタ11上に半導体ウェハWを設置し、サセプタ11の加熱源により半導体ウェハWを成膜可能な温度に加熱する。バルブV1を開き、第1真空ポンプ13を作動して処理チャンバ12内のガスを排気管14を通して真空排気する。真空排気を続行しながら、流れ切換え機構Vcの第1、第2ポートが連通する、つまり出口ポート管23と流通配管15の上流部15aとが連通するように切り替え、バルブV2〜V4、Vpを開き、不活性ガスを加圧ポート管22を通して原料タンク21に所望の圧力で供給する。この時、原料タンク21内の原料液は出口ポート管23、流れ切換え機構Vc、バルブV4,流通配管上流部15a,バルブV2、流通配管下流部15bを通して気化器16に送られ、ここで気化されたガス状原料は処理チャンバ12内に供給される。同時に、反応ガス(例えばヘリウム、アルゴンなどの希ガスをキャリアとして希釈された酸素ガス)を反応ガス供給管17を通して処理チャンバ12に供給し、ガス状原料と酸素とを反応させて所望の酸化膜を半導体ウェハWの表面に成膜する。
前記原料液は、自己分解性でかつ酸素または水分と反応して不揮発性物質を生成する性質を有する、例えば次のような化合物を挙げることができる。
(1)一般式MH4-n(NR12n
ここで、MはSi,Ti,ZrまたはHf等の金属、R1,R2はメチル基またはエチル基、nは1〜4の整数を示す、にて表される液状有機金属系化合物。具体的には、MOS型、MIS型のような半導体装置の製造時のゲート絶縁膜の成膜に用いられるテトラキスジメチルアミドハフニウム、テトラキスジエチルアミドハフニウム、テトラキスエチルメチルアミドハフニウム、テトラキスジメチルアミドジルコニウム、テトラキスジエチルアミドジルコニウム、テトラキスエチルメチルアミドジルコニウム等が挙げられる。
(2)一般式Al(NR123
ここで、R 1 ,R 2 はメチル基またはエチル基を示す、にて表される有機金属系化合物。
(3)TiCl4等の液状金属ハロゲン化物。
(4)一般式MHn3-n
ここで、MはAl,Ga,In等の金属、Rはメチル基またはエチル基、nは1〜3の整数を示す、にて表される液状有機金属系化合物。
<配管のクリーニング>
前記成膜過程で前記原料タンク21内の原料液が消費された時に原料液が満たされた別の原料タンクに交換する。この原料タンクの交換は、バルブV2,V4,V5を閉じた状態でフランジF3、F1間およびフランジF2,F4間の結合を断つことにより流れ切換え機構Vcを流通配管15および排出管24から切り離し、流れ切換え機構Vcを出口ポート管23と共に取り去る。この後、出口ポート管23を原料液が満たされた別の原料タンクに挿入し、出口ポート管23に結合した流れ切換え機構VcをフランジF3、F1間およびフランジF2,F4間を結合することにより流通配管15および排出管24に接続する。この交換時において、原料液が残留し、大気が出口ポート管23および流れ切換え機構Vcから侵入される前記流通配管部分(流通配管上流部15a)を次の手順でクリーニングする。
(a)前記出口ポート管23の流れ切換え機構Vcを流通配管上流部15aから切り離す前に、前記流通配管上流部15aに対して次の処理を行う。
1)バルブV2,V6,V7,V9,V10を閉じ、流れ切換え機構Vcの第2、第3のポートを連通、つまり流通配管上流部15aと排出管24を連通し、バルブV4,V5,V8を開ける。第2真空ポンプ28を作動して流通配管上流部15a内を排出管24を通して真空排気した後、第2真空ポンプ28の作動を停止すと同時に、バルブV4を閉じて流通配管上流部15a内を減圧状態にする。
2)バルブV6を開くと共に、溶剤を溶剤供給管26およびマニホルド25を通して流通配管上流部15a内に注入し、その上流部15a内に満たす。このような溶剤の注入において、流通配管上流部15a内が減圧状態になっているために溶剤の乱流を生じながら注入され、上流部15a内に残留する原料液が効果的に洗われる。
3)バルブV6、V8を閉じ、バルブV7を開くと共に、不活性ガスをパージガス管27およびマニホルド25を通して流通配管上流部15aにパージした後、バルブV4,V5,V9,V10を開いて流通配管上流部15aに満たされた溶剤を押し流し、残留原料液を洗い流す。洗い流された溶剤は、排出管24およびポート管29を通して廃液回収タンク31に回収する。
(b)前記1)〜3)の処理を1サイクルとし、このサイクル(洗浄サイクル)を複数回繰り返して流通配管上流部15aに残留した原料液を洗い流す。
(c)前記複数回のサイクルの任意の間、すなわち前記任意のサイクルの3)の処理後に不活性ガスを流通配管上流部15aに流通させて例えばその内面の湿潤状態の残留原料液の溶媒を揮散させて乾燥する。このような乾燥処理により流通配管上流部15a内面に付着した残留原料にひび割れ等が発生して、次のサイクル時において残留原料液の剥離、洗い流しが促進される。
このような配管のクリーニング後に前述した原料タンクの交換操作を行い、成膜を行う。なお、この成膜に先立って、つまり流通配管上流部15aと流通配管下流部15bを繋ぐバルブV2の開放に先立って、クリーニングされた流通配管上流部15aに流入する大気(空気)を第2真空ポンプ28の作動による排気、不活性ガスの流通配管上流部15aへの供給によりその上流部15aを不活性ガスと置換する。このような不活性ガスの置換により、バルブV2を開いて流通配管上流部15aと流通配管下流部15bを繋ぐ際に、大気が原料液を残留する流通配管下流部15bに流れ込んでその残留原料が酸素または水分と反応して不揮発性物質を生成するのを防ぐことが可能になる。
前記サイクル中の1)の処理での流通配管上流部の減圧は、150Torr以下にすることが好ましい。流通配管上流部の減圧が150Torrを超えると、溶剤の注入時に乱流を効果的に発生させることが困難になる。
前記サイクル中の2)の処理で用いられる溶剤は、使用する原料液の種類等に応じて適宜選択される。この溶剤としては、例えばオクタン、キシレン、ヘキサン、トルエン、エタノール、アセトン等が用いられる。この溶剤は、特に不純物として高濃度の水分を含有すると、クリーニング時に残留した原料液と反応して不揮発性物質、例えばパーティクルを発生し、汚染源になる虞がある。このため、水分含有量が50ppm以下、より好ましくは20ppm以下の溶剤を用いることが好ましい。
前記サイクル中の3)の処理で用いられる不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等を挙げることができる。この不活性ガスのパージにおいて、溶剤を満たした流通配管上流部内が十分に加圧、例えば0.1〜1MPaになった時点で、その溶剤を排出するためにバルブV4,V5,V9,V10を開放することが好ましい。
前記洗浄サイクルの繰り返し回数は、使用する原料液の種類等に応じて適宜選択すればよく、通常、20回以上にすることが好ましい。
前記(c)工程(乾燥工程)で不活性ガスを前記流通配管部分(流通配管上流部)にパージする間、図示しないヒータで流通配管上流部を室温を超え、原料液の分解温度未満の温度に加熱することを許容する。この加熱処理の併用により乾燥時間の短縮化を図ることが可能になり、かつ流通配管上流部内面の残留原料にひび割れを効果的に発生させることが可能になる。
前記(c)工程(乾燥工程)は、前記サイクル間に1回以上行えばよいが、複数回行うことが好ましい。ただし、乾燥工程を頻繁に行うと、クリーニングのトータル時間が長くなって、処理効率が低下することから、乾燥工程を例えば2〜6回、より好ましくは3〜5回行うことが望ましい。複数回の乾燥工程において、連続的に実行してよいが、残留原料液の除去効率を考慮して2〜5回、より好ましくは2〜3回のサイクル毎に実行することが望ましい。また、乾燥工程はクリーニングの初期、中期、後期のいずれで実行してもよいが、残留原料液の除去効率を考慮してクリーニングの後期に実行することが好ましい。したがって、乾燥工程は残留原料液の除去効率を最も高め、かつクリーニング時間の最適化を図るために、クリーニングの後期において2〜3回のサイクル毎に3〜5回実行する形態が好ましい。
以上説明した本発明の実施形態によれば、原料タンクの交換のために出口ポート管を原料液を流通させた流通配管から切り離す前に、1)前記流通配管部分(流通配管上流部)を減圧状態にする、2)溶剤を前記流通配管上流部に注入し、その流通配管上流部内に満たす、3)不活性ガスを前記流通配管上流部にパージしてそこに満たされた溶剤を押し流す、処理を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことによって、前記流通配管上流部の残留原料液を洗い流すことが可能になる。
ただし、前記サイクルを複数回繰り返しても残留原料液を十分に除去することが困難である。
このようなことから、前記複数回のサイクルの任意の間、すなわち前記任意のサイクルの3)の処理後に不活性ガスを流通配管上流部に流通させてその内面の残留原料液の溶媒を揮散させて乾燥することによって、流通配管上流部内面に付着した残留原料にひび割れ等を発生させ、次のサイクル時において残留原料の剥離を促進することができる。その結果、従来のように前記サイクルを複数回繰り返す方法に比べて流通配管上流部の残留原料液の洗い流し効果を向上できるため、その残留量をppbオーダ、より厳格には0.1ppbオーダまで除去してクリーニングできる。
したがって、前記流通配管上流部のクリーニング後において原料タンクを交換する際、大気がその流通配管上流部に侵入しても、大気中の酸素または水分と反応する原料液が殆ど残留しないか、もしくはきわめて僅かであるため、流通配管上流部で不揮発性物質(例えばパーティクル)の発生を防止できる。その結果、原料タンクの交換後の成膜工程において流通配管からパーティクルが処理チャンバに搬送された被処理基板がパーティクルで汚染されるのを防止することができる。
以下、本発明の実施例および比較例を前述した図1の成膜設備を参照して説明する。なお、この実施例および比較例において図1の廃液回収タンク31は洗浄した溶媒中の原料液量を検出するためのサンプリング毎に清浄なタンクに交換する形態にした。
(比較例1)
図1の成膜設備の処理チャンバ12のサセプタ11上に素子分離領域の形成、ソース、ドレイン領域の形成後の半導体ウェハWを設置し、膜形成が可能な温度に加熱した。原料タンク21内に原料液である液状テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムを収容した。前述した実施形態で説明した手順に従って処理チャンバ12内を真空排気し、不活性ガス(ヘリウムガス)を加圧ポート管22を通して原料タンク21に供給し、液状テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムを出口ポート管23、流れ切換え機構Vc、バルブV4,流通配管上流部15a,バルブV2、流通配管下流部15bを通して気化器16に送り、ここで気化されたガス状テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムを処理チャンバ12内に供給した。同時に、ヘリウムをキャリアとして希釈された酸素ガスを反応ガス供給管17を通して処理チャンバ12に供給し、ガス状テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムと酸素とを反応させて半導体ウェハWの表面に酸化ジルコニウム膜(ゲート絶縁膜)を成膜した。
前記成膜過程で前記原料タンク21内の液状テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムが消費された時に液状テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムが満たされた別の原料タンクに交換するが、この交換に先立って、大気が出口ポート管23および流れ切換え機構Vcから侵入される流通配管上流部15aを次の手順でクリーニングした。
(a)前記出口ポート管23の流れ切換え機構Vcを流通配管上流部15aから切り離す前に、前記流通配管上流部15aに対して次の処理を行った。
1)バルブV2,V6,V7,V9,V10を閉じ、流れ切換え機構Vcの第2、第3のポートを連通、つまり流通配管上流部15aと排出管24を連通し、バルブV4,V5,V8を開けた。第2真空ポンプ28を作動して排出管24を通して流通配管上流部15a内を真空排気した後、第2真空ポンプ28の作動を停止すと同時に、バルブV4を閉じて流通配管上流部15a内を50Torrの減圧状態にした。
2)バルブV6を開くと共に、含有水分量が10ppmのオクタンを溶剤供給管26およびマニホルド25を通して流通配管上流部15a内に注入し、その上流部15a内に満たした。
3)バルブV6、V8を閉じ、バルブV7を開くと共に、窒素ガスをパージガス管27およびマニホルド25を通して流通配管上流部15aにパージし、その内部圧力が0.3MPaになった時点で、バルブV4,V5,V9,V10を開いて流通配管上流部15aに満たされたオクタンを押し流し、残留原料液を洗い流した。洗い流されたオクタンは、排出管24およびポート管29を通して廃液回収タンク31(または清浄なタンク)に回収した。
(b)前記1)〜3)の処理を1サイクルとし、このサイクル(洗浄サイクル)を40回繰り返して流通配管上流部15aに残留した液状テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムを洗い流した。
前記40回の洗浄サイクルのクリーニング操作において、10、20、30および40サイクルの時に流通配管上流部15aから流出した洗浄後のオクタンをそれぞれ排出管24およびポート管29を通して清浄なタンクに採取し、そのオクタン中のテトラキスエチルメチルアミドジルコニウム濃度に相関するジルコニウム(Zr)濃度を以下の計測方法で検出した。
すなわち、タンク内の採取したオクタンに溶出した液状テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムの揮散を防ぐ目的で直ちに0.1Nの希フッ酸および0.1Nの希硝酸の混酸を加えた後、蓋をし、十分に混合した。この時、オクタン中に溶解したテトラキスエチルメチルアミドジルコニウムが混酸中の水と反応して不揮発性の金属酸化物(ジルコニウム酸化物)が生成される。生成したジルコニウム酸化物は、さらにフッ酸および硝酸と反応し希フッ酸および希硝酸の混酸層に抽出された。なお、前記タンクにおいてこの混酸層とオクタン層の2層に分離された。つづいて、前記タンク内のオクタンを清浄な環境下で蒸発させた後、酸濃度のpH1以下に調整し、定容を行った。定容された試料(20mL)を予め校正されたICP−MS(SII社製商標名;SPQ9000)にかけてジルコニウム(Zr)濃度を検出した。
このような各サイクルでのオクタン中のZr濃度(10-9:ppb)を図2に示す。
(実施例1)
比較例1と同様な条件の1)〜3)の処理を1サイクルとし、このサイクルを30回繰り返して流通配管上流部15aに残留した液状テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムを洗い流した。この30回のサイクルにおいて、20回、22回、24回、26回および28回のサイクル後にそれぞれ図示しないヒータで流通配管上流部15aを60℃に加温した状態で窒素ガスを流通配管上流部15aに30分間流通させて乾燥した。
このようなクリーニング操作において、10サイクル、20〜30サイクルの時に流通配管上流部15aから流出した洗浄後のオクタンをそれぞれ排出管24およびポート管29を通して清浄なタンクに採取し、そのオクタン中のジルコニウム(Zr)濃度[テトラキスエチルメチルアミドジルコニウム濃度に相関]を比較例1と同様な計測方法で検出した。このような各サイクルでのオクタン中のZr濃度(10-9:ppb)を図3に示す。
図2から明らかなように洗浄サイクルを40回繰り返す比較例1のクリーニングにおいては、流通配管上流部に残留したテトラキスエチルメチルアミドジルコニウムのオクタンに溶出される量がそのサイクルを重ねても3ppbに留まって劇的に減少せず、流通配管上流部に残留したテトラキスエチルメチルアミドジルコニウムを十分に除去されないことがわかる。
これに対し、図3から明らかなように洗浄サイクルを30回繰り返す過程で20回、22回、24回、26回および28回のサイクル後に流通配管上流部に60℃の加温下にて窒素ガスをそれぞれ30分間流通させて乾燥する工程を加える実施例1のクリーニングにおいては、30回のサイクル後の流通配管上流部に残留したテトラキスエチルメチルアミドジルコニウムのオクタンに溶出される量が0.1ppbまで下がり、流通配管上流部に残留したテトラキスエチルメチルアミドジルコニウムを効果的に除去されることがわかる。
特に、初回の乾燥処理(20回のサイクル後の乾燥処理)の後での21回および22回の洗浄サイクルにおいては、テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムのオクタンに溶出される量が80ppbまで上昇する結果から、乾燥処理がその後のオクタンによる洗浄能力の向上に強く働き、残留テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムの相当量がこの時に除去されることがわかる。このような乾燥処理がその後のオクタンによる洗浄能力の向上に強く働くために、30回の洗浄サイクルでテトラキスエチルメチルアミドジルコニウムのオクタンに溶出される量が0.1ppbまで劇的に減少し、流通配管上流部に残留したテトラキスエチルメチルアミドジルコニウムを効果的にクリーニングできたものと考えられる。
(実施例2)
原料液として液状テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムの代わりに液状テトラキスエチルメチルアミドハフニウムを用い、図1に示す成膜設備を用いて、比較例1と同様な方法で処理チャンバ内に設置した半導体ウェハWの表面に酸化ハフニウム(ゲート酸化膜)を成膜した。比較例1と同様な条件の1)〜3)の処理を1サイクルとし、このサイクルを46回繰り返して流通配管上流部15aに残留した液状テトラキスエチルメチルアミドハフニウムを洗い流した。この46回のサイクルにおいて、40回および43回のサイクル後にそれぞれ窒素ガスを流通配管上流部15aに30分間流通させて乾燥した。
このようなクリーニング操作において、2〜5サイクル、10サイクル、15サイクル、20サイクル、30サイクルおよび40〜46サイクルのときに流通配管上流部15aから流出した洗浄後のオクタンをそれぞれ排出管24およびポート管29を通して清浄なタンクに採取し、そのオクタン中のハフニウム(Hf)濃度[テトラキスエチルメチルアミドハフニウム濃度に相関]を比較例1と同様な計測方法で検出した。このような各サイクルでのオクタン中のHf濃度(10-9:ppb)を図4に示す。
図4から明らかなように洗浄サイクルを46回繰り返す過程で40回および43回のサイクル後に流通配管上流部に窒素ガスをそれぞれ30分間流通させて乾燥する工程を加える実施例2のクリーニングにおいては、46回のサイクル後の流通配管上流部に残留したテトラキスエチルメチルアミドハフニウムのオクタンに溶出される量が0.01ppbまで下がり、流通配管上流部に残留したテトラキスエチルメチルアミドハフニウムを効果的に除去されることがわかる。
特に、初回の乾燥処理(40回のサイクル後の乾燥処理)の後での41回および次回の乾燥処理(43回のサイクル後の乾燥処理)の後での44回の洗浄サイクルにおいては、テトラキスエチルメチルアミドハフニウムのオクタンに溶出される量がそれぞれ上昇する結果から、乾燥処理がその後のオクタンによる洗浄能力の向上に強く働き、残留テトラキスエチルメチルアミドハフニウムの相当量がこの時に除去されることがわかる。このような乾燥処理がその後のオクタンによる洗浄能力の向上に強く働くために、46回の洗浄サイクルでテトラキスエチルメチルアミドハフニウムのオクタンに溶出される量が0.01ppbまで劇的に減少し、流通配管上流部に残留したテトラキスエチルメチルアミドハフニウムを効果的にクリーニングできたものと考えられる。
本発明の実施形態で用いた成膜設備を示す概略図。 比較例1の洗浄サイクル数と10,20,30,40回の洗浄サイクル時のオクタン中のZr濃度の関係を示す図。 実施例1の洗浄サイクル数、乾燥工程と10,20〜30回の洗浄サイクル時のオクタン中のZr濃度の関係を示す図。 実施例2の洗浄サイクル数、乾燥工程と2〜5、10、15、20、30および40〜46回の洗浄サイクル時のオクタン中のHf濃度の関係を示す図。
符号の説明
10…MOCVD装置、11…サセプタ、12…処理チャンバ、13,28…真空ポンプ、15…流通配管、15a…流通配管上流部、15b…流通配管下流部、20…原料液供給系統、21…原料タンク、23…出口ポート管、24…排出管、26…溶剤供給管、27…パージガス管、V1〜V10…バルブ、Vc…流れ切換え機構。

Claims (6)

  1. 原料タンク内に収容された自己分解性でかつ酸素または水分と反応して不揮発性物質を生成する性質を有する原料液を出口ポート管およびこの管に接離可能に接続される流通配管を通して処理チャンバに供給して被処理基板に所望の膜を成膜する過程で前記原料タンク内の原料液が消費された時に原料液が満たされた別の原料タンクに交換する際、大気が侵入される前記流通配管部分をクリーニングする方法において、
    (a)前記出口ポート管を前記流通配管から切り離す前に、前記流通配管部分に対して次の処理を行う工程;
    1)前記流通配管部分を減圧状態にする、
    2)溶剤を前記流通配管部分に注入し、その流通配管部分内に満たす、
    3)前記流通配管に満たされた溶剤に不活性ガスのパージで加圧し、その後加圧力を開放して前記溶剤を不活性ガスと共に押し流す、
    (b)前記1)〜3)の処理を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返して前記流通配管部分に残留した原料液を洗い流す工程;および
    (c)前記複数回のサイクルの任意の間に、不活性ガスを前記流通配管部分に流通させて乾燥する工程;
    を含むことを特徴とする配管のクリーニング方法。
  2. 前記原料液は、テトラキスジメチルアミドハフニウム、テトラキスジエチルアミドハフニウム、テトラキスエチルメチルアミドハフニウム、テトラキスジメチルアミドジルコニウム、テトラキスジエチルアミドジルコニウム、テトラキスエチルメチルアミドジルコニウムであることを特徴とする請求項1記載の配管のクリーニング方法。
  3. 前記溶剤は、水分含有量が50ppm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の配管のクリーニング方法。
  4. 前記3)の処理時において、不活性ガスの注入による前記流通配管部分の圧力が0.1〜1MPaになった時点で、同流通配管部分の溶剤を流出させることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の配管のクリーニング方法。
  5. 前記(c)工程で不活性ガスを前記流通配管部分にパージする間、少なくとも前記流通配管部分を室温を超え、前記原料液の分解温度未満の温度に加熱することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の配管のクリーニング方法。
  6. 前記(c)工程は、複数回のサイクルによるクリーニングの後期においてなされることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の配管のクリーニング方法。
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