JP2004332033A - 組成物、該組成物からなる化学気相成長用原料、及びこれを用いた薄膜の製造方法 - Google Patents

組成物、該組成物からなる化学気相成長用原料、及びこれを用いた薄膜の製造方法 Download PDF

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Kazuhisa Onozawa
和久 小野沢
Atsuya Yoshinaka
篤也 芳仲
Naoki Yamada
直樹 山田
Atsushi Sakurai
淳 桜井
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Abstract

【課題】チタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造において、ビスマス供給源化合物とチタニウム供給源化合物とを混合して使用する場合に適した組成物、及び該組成物を用いた薄膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるビスマス化合物1モル部、及び下記一般式(II)で表されるチタニウム化合物0.05〜10モル部を含有してなる組成物。
【化1】
Figure 2004332033

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のビスマス化合物及びチタニウム化合物を含有してなる組成物、特にチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造に有用な組成物、該組成物からなる化学気相成長用原料、並びにこれを用いた化学気相成長法によるチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造方法に関する。本発明の組成物を用いて製造されたチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜は、不揮発性メモリのキャパシタ膜等に有用なものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
強誘電体であるチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜は、不揮発性メモリのキャパシタ膜等の次世代のLSIへの応用が検討されている。
【0003】
また、薄膜の製造法としては、火焔堆積法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾル−ゲル法等のMOD法、化学気相成長(以下、CVDと記載することもある)法が挙げられるが、組成制御性に優れること、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能であること等、多くの長所を有している点で、MOD法及びCVD法が有効なプロセスであり、段差被覆性に優れ、高集積化に対応が可能である点で、ALD(Atomic Layer Deposition)法を含むCVD法が最適なプロセスである。
【0004】
CVD法やMOD法による薄膜製造においては、ビスマスアルコキシド、ビスマスβ−ジケトネート、アリールビスマス、ビスマスアミド等の各種ビスマス化合物がビスマス供給源化合物として使用されており、下記特許文献1及び2には、ビスマスアミド化合物が報告されている。また、下記特許文献3には、金属供給源化合物を混合した前駆体が報告されている。
【0005】
一般に、チタン酸ビスマス等の多成分系の薄膜をCVD法により製造する場合、使用される金属供給源化合物の揮発特性や分解性が異なると薄膜の組成制御が困難になり、操作性や生産性に支障をきたすという問題を生じる。特に金属供給源化合物を混合して使用するCVD法において、この問題は顕著に現れる。
ビスマスアミド化合物を用いたチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造において、この問題を解決し得るビスマス供給源化合物とチタニウム供給源化合物との最適な組み合わせは見出されていなかった。
【0006】
従って、本発明の目的は、チタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造において、ビスマス供給源化合物とチタニウム供給源化合物とを混合して使用する場合に適した組成物、及び該組成物を用いた薄膜の製造方法を提供することにある。
【0007】
【特許文献1】
特表2001−518142号公報(請求項2〜5、16〜19等)
【特許文献2】
特表2001−511850号公報(請求項14、15等)
【特許文献3】
特開2002−146532号公報(請求項10〜21)
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定のビスマス化合物とチタニウム化合物とを組み合わせて配合した組成物が、上記の問題点を解決し得ることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、下記一般式(I)で表されるビスマス化合物1モル部、及び下記一般式(II)で表されるチタニウム化合物0.05〜10モル部を含有してなる組成物、該組成物からなるCVD用原料、並びにこれを用いた化学気相成長法によるチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造方法を提供するものである。
【化2】
Figure 2004332033
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明の組成物は、上記一般式(I)で表されるビスマス化合物1モル部に対して、上記一般式(II)で表されるチタニウム化合物0.05〜10モル部を混合した組成物である。本発明の組成物の構成成分である上記ビスマス化合物と上記チタニウム化合物とは、混合状態での安定性が良好であり、また、熱酸化分解挙動、特に熱酸化分解温度が近く、チタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造に用いられる前駆体として好適である。
【0012】
本発明に係る上記一般式(I)で表されるビスマス化合物において、R〜R及びR〜Rで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチルが挙げられる。
【0013】
上記一般式(I)で表されるビスマス化合物の具体例としては、下記ビスマス化合物No.1〜18が挙げられる。
【0014】
【化3】
Figure 2004332033
【0015】
本発明に係る上記一般式(II)で表されるチタニウム化合物において、R及びRで表される炭素数1〜8の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル等のアルキル基;フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル等のアリール基;ベンジル、フェニルエチル等のアルキルアリール基等が挙げられ、R10〜R12で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、上記Rと同様の基が挙げられる。
【0016】
上記一般式(II)で表されるチタニウム化合物の具体例としては、下記チタニウム化合物No.1〜16が挙げられる。
【0017】
【化4】
Figure 2004332033
【0018】
【化5】
Figure 2004332033
【0019】
本発明の組成物において、上記ビスマス化合物と上記チタニウム化合物との混合比は、不揮発性メモリのキャパシタ膜等に有用な強誘電体であるチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の組成を与える上で、上記ビスマス化合物1モル部に対して、上記チタニウム化合物0.05〜10モル部であり、0.1〜7.5モル部が好ましく、0.5〜5モル部がさらに好ましい。
【0020】
上記チタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の組成としては、例えば、BiTi12;チタン酸ビスマス薄膜の強誘電特性の向上を目的として、チタニウムサイトの一部を珪素で置換したBi(Ti,Si3−x)O12(xは1以上、3未満);同様の目的で、ビスマスサイトの一部を、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等の希土類原子で置換したBi4−y(Ti,Si3−z)O12(Mは希土類原子、yは3以上、4未満、z=3〜2);これらの組成に対してビスマス及び/又は希土類原子が1〜10モル%過剰であるビスマス過剰チタン酸ビスマスが挙げられる。
【0021】
なお、薄膜中に珪素を含有しないチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜を得る場合は、ゾル−ゲル法やALD法等の加水分解を伴う薄膜製造方法を用いればよく、加水分解により遊離するシラザン化合物を蒸気として排出することにより、珪素を含有しない酸化物薄膜を得ることができる。また、薄膜中に珪素を含有するチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜を得る場合は、熱酸化分解を伴う薄膜製造方法を用いればよい。
【0022】
本発明の組成物は、上記チタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜を、ゾル−ゲル法、塗布熱分解法等のMOD法や、ALD法を含めた各種CVD法によって製造する際に用いる原料として好適に使用することができ、目的とする薄膜を得るために他の金属供給源化合物を適宜含有してもよい。
【0023】
例えば、本発明の組成物は、珪素供給源化合物として、アルコキシド化合物、シロキサン化合物、アミド化合物、シラザン化合物等の、薄膜形成材料として周知の珪素化合物を含有してもよい。これらの珪素化合物の中でも、下記一般式(III)で表される珪素化合物が好ましい。これらの珪素化合物の使用量は、前記一般式(II)で表されるチタニウム化合物1モル部に対して、好ましくは0.01〜5モル部、さらに好ましくは0.05〜1モル部である。
【0024】
【化6】
Figure 2004332033
【0025】
上記一般式(III)において、R13で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、前記Rで例示した基が挙げられ、R14及びR15で表される炭素数1〜8の炭化水素としては、前記Rで例示した基が挙げられ、R16〜R18で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、前記Rで例示した基が挙げられる。
【0026】
上記一般式(III)で表される珪素化合物の具体例としては、下記珪素化合物No.1〜35が挙げられる。
【0027】
【化7】
Figure 2004332033
【0028】
【化8】
Figure 2004332033
【0029】
また、本発明の組成物は、希土類供給源化合物を含有してもよい。該希土類供給源化合物としては、トリメトキシド、トリエトキシド、トリプロポキシド、トリイソプロポキシド、トリブトキシド、トリ第二ブトキシド、トリイソブトキシド、トリ第三ブトキシド、トリ第三ペントキシド等のアルコキシド化合物;下記一般式(IV)で表されるエーテル基を有するアルコキシド化合物;トリスアセチルアセトネート、トリスヘキサン−2,4−ジオネート、トリス−5−メチルヘキサン−2,4−ジオネート、トリスヘプタン−2,4−ジオネート、トリス−2−メチルヘプタン−3,5−ジオネート、トリス−5−メチルヘプタン−2,4−ジオネート、トリス−6−メチルヘプタン−2,4−ジオネート、トリス−2,2−ジメチルヘプタン−3,5−ジオネート、トリス−2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオネート、トリス−2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオネート、トリス−2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネート、トリス−オクタン−2,4−ジオネート、トリス−2,2,6−トリメチルオクタン−3,5−ジオネート、トリス−2,6−ジメチルオクタン−3,5−ジオネート、トリス−2−メチル−6−エチルデカン−3,5−ジオネート、トリス−2,2−ジメチル−6−エチルデカン−3,5−ジオネート、トリス−1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオネート、トリス−1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオネート、トリス−1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオネート、トリス−1,3−ジパーフルオロヘキシルプロパン−1,3−ジオネート、トリス−1,1,5,5−テトラメチル−1−メトキシヘキサン−2,4−ジオネート、トリス−2,2,6,6−テトラメチル−1−メトキシヘプタン−3,5−ジオネート、トリス−2,2,6,6−テトラメチル−1−(2−メトキシエトキシ)ヘプタン−3,5−ジオネート等のβ−ジケトネート化合物;トリスシクロペンタジエニル錯体、トリスメチルシクロペンタジエニル錯体、トリスエチルシクロペンタジエニル錯体、トリスプロピルシクロペンタジエニル錯体、トリスイソプロピルシクロペンタジエニル錯体、トリスブチルシクロペンタジエニル錯体等のシクロペンタジエニル錯体;トリスジメチルアミド、トリスエチルメチルアミド、トリスジエチルアミド、トリスジブチルアミド等のアミド化合物;下記一般式(V)で表されるシリルアミド化合物等が挙げられる。これらの希土類供給源化合物の中でも、下記一般式(V)で表されるシリルアミド化合物が好ましい。これらの希土類供給源化合物の使用量は、前記一般式(I)で表されるビスマス化合物1モル部に対して、好ましくは0.05〜3モル部、さらに好ましくは0.1〜1モル部である。
【0030】
【化9】
Figure 2004332033
【0031】
【化10】
Figure 2004332033
【0032】
上記の一般式(IV)及び一般式(V)において、Mで表される希土類原子としては、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げられ、R19〜R21及びR23〜R29で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、前記Rで例示した基が挙げられ、R22で表される炭素数1〜4のアルカンジイル基としては、メチレン、エタン−1,2−ジイル、エタン−1,1−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−1,1−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−2,4−ジイル、ブタン−2,3−ジイル、ブタン−2,2−ジイル等が挙げられる。
【0033】
希土類供給源化合物として用いられる上記一般式(V)で表されるシリルアミド化合物の具体例としては、下記希土類化合物No.1〜15が挙げられる。
【0034】
【化11】
Figure 2004332033
【0035】
また、本発明の組成物は、MOD法のMOD用原料や溶液CVD法のCVD用原料として用いる場合、適宜な有機溶媒を一種類又は二種類以上含有する。該有機溶媒の使用量は、必要な流動性及び良好な操作性を与える範囲から選択されるが、好ましくは、前記一般式(I)で表されるビスマス化合物1質量部に対して5〜100質量部である。
【0036】
本発明の組成物をCVD用原料として用いる場合、上記有機溶媒は、金属供給源化合物に対して、不活性であるか、安定性を付与するものが好ましい。本発明の組成物をMOD用原料として用いる場合、上記有機溶媒は、金属供給源化合物に対して、不活性であるか、安定性を与えるものでもよく、金属供給源化合物の分解反応を促進するものでもよい。
【0037】
本発明に係る有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;フラン、ピラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;アセトニトリル、1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ルチジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリドン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン等の窒素含有環状化合物類等が挙げられ、溶質の溶解性、使用温度と沸点や引火点との関係等によって適宜選択される。
【0038】
本発明の組成物をCVD用原料として用いる場合、上記有機溶媒に水分が含まれていると、金属供給源化合物の加水分解によりCVD用原料中に固相が生成し、原料の供給性や得られる薄膜の膜質に支障をきたす場合がある。従って、上記有機溶媒は、蒸留、吸着、化学反応等を用いた脱水処理を施し、含水量を10ppm以下にすることが好ましく、1ppm以下にすることがより好ましい。
【0039】
また、本発明の組成物は、必要に応じて、金属供給源化合物に安定性を付与するため、求核性試薬を含有してもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類;18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類;エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等のポリアミン類;サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はβ−ジケトン類等が挙げられ、安定剤としてのこれらの求核性試薬の使用量は、金属供給源化合物1モルに対して、通常0.1〜10モル、好ましくは0.5〜5モルの範囲で使用される。
【0040】
本発明の組成物をCVD用原料として用いる場合、前記ビスマス化合物及び前記チタニウム化合物は、蒸気圧が大きく、化学的な安定性に優れ、混合安定性の良好な化合物を選択するのが好ましい。前記ビスマス化合物としては、前記一般式(I)において、RがSi(CH基であり、R〜Rがメチル基であるビスマス化合物No.12が最も好ましく、ビスマス化合物No.12との組み合わせに最も適するチタニウム化合物は、前記一般式(II)におけるR及びRが炭素数1〜4のアルキル基であるチタニウム化合物である。
【0041】
本発明のチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造方法は、上述した本発明の組成物を原料として用いた化学気相成長(CVD)法によるものである。CVD法とは、気化させた金属供給源化合物と、必要に応じて用いられる反応性ガスとを基板上に導入し、次いで、金属供給源化合物を基板上で分解及び/又は反応させて薄膜を基板上に成長、堆積させる方法を指す。本発明のチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造方法は、CVD用原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件、方法等を用いることができる。
【0042】
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸素、一重項酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素が挙げられる。
【0043】
上記輸送供給方法としては、CVD用原料を原料容器中で加熱及び/又は減圧することにより気化させ、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に堆積反応部へと導入する気体輸送法、CVD用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて、堆積反応部へと導入する液体輸送法がある。
【0044】
また、上記堆積方法としては、例えば、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスとを熱のみにより反応させてセラミックスを堆積させる熱CVD,熱及びプラズマを使用するプラズマCVD、熱及び光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALD(Atomic Layer Deposition)が挙げられる。
【0045】
ALDは、堆積部への原料ガスの供給と反応性ガスとの供給を交互に行い、これを1サイクルとして薄膜の分子層を段階的に堆積させていく方法である。また、各サイクルにおいて、原料ガス又は反応性ガスを供給した後に、不活性ガスによるパージ及び/又は減圧による排気を行い、未反応の原料ガス及び/又は反応性ガスを除去する工程を任意に導入してもよい。ALDは、他のCVD法と比較して、膜厚が薄く均一で良好な薄膜を得られるという特徴がある。また、その成膜機構から、薄膜堆積温度を低く抑えることが可能であり、基体の耐熱性、基体への元素拡散性等に左右されず、広い応用が可能である。また、ALDは、熱、光、プラズマと併用することも可能である。
【0046】
また、上記製造条件としては、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度は、金属化合物が充分に反応する温度である190℃以上が好ましく、200〜800℃がより好ましい。また、反応圧力は、熱CVD又は光CVDの場合、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合、10〜2000Paが好ましい。また、堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることが出来る。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、1〜1000nm/分が好ましく、5〜500nm/分がより好ましい。
【0047】
また、本発明のチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造方法においては、薄膜層堆積の後に、より良好な電気特性を得るためにアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、通常500〜1200℃であり、600〜1000℃が好ましい。
【0048】
【実施例】
以下、評価例及び実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0049】
[評価例1]
ビスマス化合物No.12及びチタニウム化合物No.4それぞれについて、示差熱分析装置を用いて、30℃から10℃/分の昇温速度、乾燥アルゴン(100ml/分)気流下で、−50%質量温度(試料の質量が50%減少したときの温度)を測定した。また、30℃から10℃/分の昇温速度、乾燥酸素(100ml/分)気流下で、酸化分解温度(DTA発熱ピークトップの温度)を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 2004332033
【0051】
表1から明らかなように、ビスマス化合物No.12とチタニウム化合物No.4とでは、−50%質量温度の差が小さく、酸化分解温度は、ほぼ同じであった。このことから、この組み合わせは、チタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜を製造する際に用いるCVD用原料として適することが確認できた。
【0052】
[評価例2]
ビスマス化合物No.12とチタニウム化合物No.4とのモル比(前者:後者)4:3の組成物について、上記評価例1と同様に酸化分解挙動を確認した。その結果、酸化分解の発熱ピークは一箇所であり、そのピークトップは177.6℃であった。これは、ビスマス化合物No.12の酸化分解とチタニウム化合物No.4の酸化分解とが同時に起きていることを示し、更には、ビスマス化合物No.12とチタニウム化合物No.4とを混合することにより、酸化分解温度が低下することを示している。このことから、上記組成物はCVD用原料として適していることが確認できた。なお、500℃まで昇温して得られた残渣の組成を蛍光X線により分析した結果、Bi:Ti:Si比は4.0:2.9:0.13であり、粉末X線回折を用いて分析した結果、単相にてチタン酸ビスマス基と同じ構造で帰属できる結晶が得られていることが分かり、窒化物のピークは確認できなかった。チタンサイトの一部が珪素で置換されたものと予想できる。
【0053】
[実施例1]
テトラヒドロピランを金属ナトリウム線で乾燥した後、アルゴン気流下で、前留分10質量%及び釜残分10質量%をカットし、蒸留精製を行い、水分量1ppm未満の溶媒を得た。この溶媒500mlに、ビスマス化合物No.12の0.057mol及びチタニウム化合物No.4の0.043molをアルゴン気流下で配合してCVD用原料を得た。得られたCVD用原料を用いて、図1に示すCVD装置により、シリコンウエハ上に以下の条件で薄膜を製造した。製造した薄膜について、膜厚及び組成比の測定を行った。膜厚については、触針式段差計(タリステップ)で測定し、組成比については、蛍光X線で測定した。測定結果を以下に示す。下記測定結果から明らかなように、本発明の組成物をCVD用原料として用いると、良好な組成制御性でチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜を製造することができた。
【0054】
(条件)
気化室温度:190℃、原料流量:0.15ml/分、酸素ガス流量:300sccm、反応圧力:1500Pa、反応時間:20分、基板温度:450℃、キャリアAr:200sccm
(測定結果)
膜厚:92nm、組成比(モル):Bi/Ti/Si=4.0/2.7/0.31
【0055】
[実施例2]
上記実施例1で得られたCVD用原料を用いて、図1に示すCVD装置により、以下の条件及び工程で薄膜を製造した。得られた薄膜について、上記実施例1と同様の方法で膜厚及び組成比を測定した。測定結果を以下に示す。下記測定結果から明らかなように、本発明の組成物をCVD用原料として用いると、良好な組成制御性でチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜を製造することができた。
【0056】
(条件)
反応温度(基板温度);300℃、反応性ガス;水蒸気
(工程)
下記▲1▼〜▲4▼からなる一連の工程を1サイクルとして、500サイクル繰り返し、最後に400℃で3分間のアニール処理を行った。
▲1▼気化室で気化させたCVD用原料の蒸気を導入し、系圧力10〜25Paで1秒間反応させる。
▲2▼2秒のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
▲3▼水蒸気を導入し、系圧力10〜25Paで1秒間反応させる。
▲4▼2秒のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(結果)
膜厚:92nm、組成比(モル):Bi/Ti/Si=4.0/3.1/0
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、チタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造において、ビスマス供給源化合物とチタニウム供給源化合物とを混合して使用する場合に適した組成物、及び該組成物を用いた薄膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造方法に用いられるCVD装置の一例を示す概要図である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表されるビスマス化合物1モル部、及び下記一般式(II)で表されるチタニウム化合物0.05〜10モル部を含有してなる組成物。
    Figure 2004332033
  2. さらに、有機溶媒を、上記一般式(I)で表されるビスマス化合物1質量部に対して、5〜100質量部含有してなる請求項1記載の組成物。
  3. 上記一般式(I)において、RがSi(CH基であり、R〜Rがメチル基であり、上記一般式(II)において、R及びRが炭素数1〜4のアルキル基である請求項1又は2記載の組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の組成物からなる化学気相成長用原料。
  5. 請求項4記載の化学気相成長用原料を用いた化学気相成長法によるチタン酸ビスマス系複合酸化物薄膜の製造方法。
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