JP2013216614A - コバルトアルコキシド化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 - Google Patents

コバルトアルコキシド化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 Download PDF

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昭夫 齋藤
Tomoharu Yoshino
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Abstract

【課題】蒸気圧が高く、常温もしくはわずかな加温により液体になる低融点なコバルトアルコキシド化合物を得ること。
【解決手段】下記一般式(I)
【化1】
Figure 2013216614

(式中、R及びRは炭素数1〜3の直鎖または分岐状のアルキル基であり、且つRとRの炭素数の和は4である。また、R及びRは炭素数1または2のアルキル基である。)で表されるコバルトアルコキシド化合物である。この化合物をCVD法による薄膜製造用原料として用いることにより、良質なコバルト含有薄膜を生産性良く製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の配位子を持つ新規なコバルトアルコキシド化合物、該化合物を含有してなる薄膜形成用原料及び該原料を用いた化学気相成長法による金属を含有する薄膜の製造方法に関する。
コバルトを含有する薄膜は、電極膜、抵抗膜、接着膜、磁気テープ、超硬工具部材等に用いられている。
上記の薄膜の製造法としては、火焔堆積法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、化学気相成長法等が挙げられるが、組成制御性、段差被覆性に優れること、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能である等多くの長所を有しているので、ALD(Atomic Layer Deposition)法を含む化学気相成長(以下、単にCVDと記載することもある)法が最適な製造プロセスである。
MOD法やCVD法においては、薄膜に金属原子を供給するプレカーサとして有機配位子を用いた化合物が使用されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、コバルトの3級アミノアルコキシドが報告され、特許文献3には、コバルトの1級アミノアルコキシドが報告されている。
韓国登録特許第10−0675983号公報 米国特許出願公開第2010/0181566号明細書 国際公開第2007/147020号公報
CVD法等の化合物を気化させて薄膜を形成する原料に適する化合物(プレカーサ)に求められる性質は、融点が低く液体の状態で輸送が可能であること、蒸気圧が大きく気化させやすいことである。コバルトについて、これらの点で充分に満足し得る化合物はなかった。
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定のアミノアルコールを配位子に用いたコバルトアルコキシド化合物が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
本発明は、下記一般式(I)で表されるコバルトアルコキシド化合物を提供するものである。
Figure 2013216614
(式中、R及びRは炭素数1〜3の直鎖または分岐状のアルキル基であり、RとRの炭素数の和は4である。また、R及びRは炭素数1または2のアルキル基である。)
また、本発明は、上記一般式(I)で表されるコバルトアルコキシド化合物を含有してなる薄膜形成用原料及び該原料を用いたコバルトを含有する薄膜を形成する薄膜の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、蒸気圧が高く、常温もしくはわずかな加温により液体になる低融点なコバルトアルコキシド化合物を得ることができ、さらに該化合物をCVD法による薄膜製造用原料として用いることにより、CVD法によるコバルト含有薄膜の製造過程においてプレカーサの輸送性に優れ、基体への供給量の制御が容易であり、安定供給が可能であることから、良質なコバルト含有薄膜を生産性良く製造することができる。
図1は、本発明に係るコバルトを含有する薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の一例を示す概要図である。 図2は、本発明に係るコバルトを含有する薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の別の例を示す概要図である。 図3は、本発明に係るコバルトを含有する薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の別の例を示す概要図である。 図4は化合物No.1におけるFT−IRスペクトルである。 図5は化合物No.2におけるFT−IRスペクトルである。 図6は化合物No.4におけるFT−IRスペクトルである。
以下、本発明のコバルトアルコキシド化合物及び該化合物を含有してなる薄膜形成材料について、その好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の上記一般式(I)において、R、Rで表される炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐状のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルが挙げられ、R、Rで表される該アルキル基の炭素数の和は4である。R、Rで表される炭素数1または2のアルキル基としては、メチル、エチルが挙げられる。また、上記一般式(I)で表されるコバルトアルコキシド化合物は、光学活性部位を有する場合があるが、特にR体、S体により区別されるものではなく、そのどちらでもよく、R体とS体との任意の割合の混合物でもよい。ラセミ体は、製造コストが安価である。
上記一般式(I)において、R、Rは、化合物を気化させる工程を有する薄膜の製造方法を用いる場合は、常温常圧下において液体状態であり蒸気圧が大きいものが好ましく、具体的には、Rはメチル基若しくはエチル基が好ましく、Rは、Rがメチル基の場合はイソプロピル基が好ましく、Rがエチル基の場合はエチル基が好ましい。また、気化工程を伴わないMOD法による薄膜の製造方法の場合は、R、R2は、使用される溶媒に対する溶解性、薄膜形成反応等によって任意に選択することができる。
配位子中の末端ドナー基がコバルト原子に配位して環構造を形成した場合を下記一般式(II)に表す。本発明のコバルトアルコキシド化合物は、上記一般式(I)で代表して表しているが、下記一般式(II)と区別されるものではなく、両方を含む概念である。
Figure 2013216614
(式中、R及びRは炭素数1〜3の直鎖または分岐状のアルキル基であり、RとRの炭素数の和は4である。また、R及びRは炭素数1または2のアルキル基である。)
本発明のコバルトアルコキシド化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜No.9が挙げられる。
Figure 2013216614
Figure 2013216614
Figure 2013216614
本発明のコバルトアルコキシド化合物は、その製造方法により特に制限されることはなく、周知の反応を応用して製造される。製造方法としては、該当するアミノアルコールを用いた周知一般のアルコキシド化合物の合成方法を応用すればよい。例えば、コバルトのハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩又はその水和物と、該当するアミノアルコール化合物とをナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、アンモニア、アミン等の塩基の存在下で反応させる方法、コバルトのハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩又はその水和物と、該当するアルコール化合物のナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等のアルカリ金属アルコキシドとを反応させる方法、コバルトのメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等の低分子アルコールのアルコキシド化合物と、該当するアルコール化合物とを交換反応させる方法、コバルトのハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩と反応性中間体を与える誘導体を反応させて、反応性中間体を得てから、これと該当するアルコール化合物を反応させる方法が挙げられる。
上記の反応性中間体としては、ビス(ジアルキルアミノ)コバルト、ビス(ビス(トリメチルシリル)アミノ)コバルト、等のコバルトのアミド化合物が挙げられる。
尚、本発明のコバルトアルコキシド化合物は上記一般式(I)で表される3級コバルトアルコキシド化合物であり、式中、R、Rの炭素数の和が4であることに特徴がある。該特徴を満たすことにより、公知なコバルト化合物が常温常圧で固体の化合物であることに対し、常温常圧で液体のコバルトアルコキシド化合物を得ることができる。また、該特徴を満たした本発明のコバルトアルコキシド化合物は沸点が低いという性質を有している。
本発明の薄膜形成用原料とは、上記で説明した本発明のコバルトアルコキシド化合物を薄膜のプレカーサとしたものであり、その形態は、該薄膜形成用原料が適用される製造プロセスによって異なる。たとえば、金属としてコバルトのみを含む薄膜を製造する場合、本発明の薄膜形成用原料は、上記コバルトアルコキシド化合物以外の金属化合物及び半金属化合物を非含有である。一方、コバルト、並びにコバルト以外の金属及び/又は半金属を含む薄膜を製造する場合、本発明の薄膜形成用原料は、上記コバルトアルコキシド化合物に加えて、コバルト以外の金属を含む化合物及び/又は半金属を含む化合物(以下、他のプレカーサともいう)を含有する。本発明の薄膜形成用原料は、後述するように、更に、有機溶剤及び/又は求核性試薬を含有してもよい。
本発明の薄膜形成用原料は、上記説明のとおり、プレカーサであるコバルトアルコキシド化合物の物性がCVD法、ALD法に好適であるので、特に化学気相成長用原料(以下CVD用原料ということもある)として有用である。
本発明の薄膜形成用原料が化学気相成長用原料である場合、その形態は使用されるCVD法の輸送供給方法等の手法により適宜選択されるものである。
上記の輸送供給方法としては、CVD用原料を該原料が貯蔵される容器(以下、単に原料容器と記載することもある)中で加熱及び/又は減圧することにより気化させて蒸気となし、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に、該蒸気を基体が設置された成膜チャンバー内へと導入する気体輸送法、CVD用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて蒸気となし、該蒸気を成膜チャンバー内へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合は、上記化学式(I)で表されるコバルトアルコキシド化合物そのものをCVD原料とすることができる。液体輸送法の場合は、上記化学式(I)で表されるコバルトアルコキシド化合物そのもの又は該化合物を有機溶剤に溶かした溶液をCVD用原料とすることができる。これらのCVD原料は更に他のプレカーサや求核性試薬等を含んでいてもよい。
また、多成分系のCVD法においては、CVD用原料を各成分独立で気化、供給する方法(以下、シングルソース法と記載することもある)と、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、カクテルソース法と記載することもある)がある。カクテルソース法の場合、本発明のコバルトアルコキシド化合物と他のプレカーサとの混合物若しくは該混合物を有機溶剤に溶かした混合溶液をCVD用原料とすることができる。この混合物や混合溶液は更に求核性試薬等を含んでいてもよい。
尚、プレカーサとして本発明のコバルトアルコキシド化合物のみを用い、R体とS体とを併用する場合には、R体を含むCVD用原料とS体を含むCVD用原料とを別個に気化させてもよく、或いはR体及びS体の混合物を含むCVD用原料を気化させてもよい。
上記の有機溶剤としては、特に制限を受けることはなく周知一般の有機溶剤を用いることができる。該有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジン等が挙げられ、これらは、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、単独又は二種類以上の混合溶媒として用いられる。これらの有機溶剤を使用する場合、プレカーサを有機溶剤に溶かした溶液であるCVD用原料中におけるプレカーサ全体の量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。プレカーサ全体の量とは、本発明の薄膜形成用原料が、本発明のコバルトアルコキシド化合物以外の金属化合物及び半金属化合物を非含有である場合、本発明のコバルトアルコキシド化合物の量であり、本発明の薄膜形成用原料が、該コバルトアルコキシド化合物に加えてコバルト以外の金属を含む化合物及び/又は半金属を含む化合物を含有する場合、本発明のコバルトアルコキシド化合物及び他のプレカーサの合計量である。
また、多成分系のCVD法の場合において、本発明のコバルトアルコキシド化合物と共に用いられる他のプレカーサとしては、特に制限を受けず、CVD用原料に用いられている周知一般のプレカーサを用いることができる。
上記の他のプレカーサとしては、アルコール化合物、グリコール化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエン化合物、有機アミン化合物等の有機配位子として用いられる化合物からなる群から選択される一種類又は二種類以上と珪素や金属(但しアルミニウムを除く)との化合物が挙げられる。また、プレカーサの金属種としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、マンガン、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げられる。
上記の有機配位子として用いられるアルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、第2ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3ブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、第3ペンチルアルコール等のアルキルアルコール類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−メトキシ−1−メチルエタノール、2−メトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−エトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエタノール、2−プロポキシ−1,1−ジエチルエタノール、2−s−ブトキシ−1,1−ジエチルエタノール、3−メトキシ−1,1−ジメチルプロパノール等のエーテルアルコール類;ジメチルアミノエタノール、エチルメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジメチルアミノ−2−ペンタノール、エチルメチルアミノ−2−ペンタノール、ジメチルアミノ−2−メチル−2−ペンタノール、エチルメチルアミノ−2−メチルー2−ペンタノール、ジエチルアミノ−2−メチル−2−ペンタノール等のジアルキルアミノアルコール類等が挙げられる。
上記の他のプレカーサの有機配位子として用いられるグリコール化合物としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。
また、β−ジケトン化合物としては、アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、2−メチルヘプタン−3,5−ジオン、5−メチルヘプタン−2,4−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,2−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、2,2,6−トリメチルオクタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルオクタン−3,5−ジオン、2,9−ジメチルノナン−4,6−ジオン、2−メチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン、2,2−ジメチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン等のアルキル置換β−ジケトン類;1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,3−ジパーフルオロヘキシルプロパン−1,3−ジオン等のフッ素置換アルキルβ−ジケトン類;1,1,5,5−テトラメチル−1−メトキシヘキサン−2,4−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−メトキシヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−(2−メトキシエトキシ)ヘプタン−3,5−ジオン等のエーテル置換β−ジケトン類等が挙げられる。
また、シクロペンタジエン化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、第2ブチルシクロペンタジエン、イソブチルシクロペンタジエン、第3ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン等が挙げられ、上記の有機配位子として用いられる有機アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、第2ブチルアミン、第3ブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、イソプロピルメチルアミン等が挙げられる。
上記の他のプレカーサは、当該技術分野において公知のものであり、その製造方法も公知である。製造方法の一例を挙げれば、例えば、有機配位子としてアルコール化合物を用いた場合には、先に述べた金属の無機塩又はその水和物と、該アルコール化合物のアルカリ金属アルコキシドとを反応させることによって、プレカーサを製造することができる。ここで、金属の無機塩又はその水和物としては、金属のハロゲン化物、硝酸塩等を挙げることができ、アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等を挙げることができる。
上記の他のプレカーサは、シングルソース法の場合は、本発明のコバルトアルコキシド化合物と、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似している化合物が好ましく、カクテルソース法の場合は、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似していることに加え、混合時に化学反応による変質を起こさないものが好ましい。
上記の他のプレカーサのうち、チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムを含むプレカーサとしては、下記式(II−1)〜(II−5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013216614
(式中、M1は、チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムを表し、Ra及びRbは各々独立に、ハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表し、Rcは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rdは炭素数2〜18の分岐してもよいアルキレン基を表し、Re及びRfは各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rg、Rh、Rk及びRjは各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、pは0〜4の整数を表し、qは0又は2を表し、rは0〜3の整数を表し、sは0〜4の整数を表し、tは1〜4の整数を表す。)
上記式(II−1)〜(II−5)において、Ra及びRbで表される、ハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2ブチル、第3ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第2アミル、第3アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第3ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第3オクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、パーフルオロヘキシル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル、1−メトキシ−1,1−ジメチルメチル、2−メトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−エトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエチル、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエチル等が挙げられる。また、Rcで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2ブチル、第3ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第2アミル、第3アミル、ヘキシル、1−エチルペンチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第3ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第3オクチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。また、Rdで表される炭素数2〜18の分岐してもよいアルキレン基とは、グリコールにより与えられる基であり、該グリコールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1−メチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。また、Re及びRfで表される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル等が挙げられ、Rg、Rh、Rj及びRkで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2ブチル、第3ブチル、イソブチル等が挙げられる。
具体的にはチタニウムを含むプレカーサとして、テトラキス(エトキシ)チタニウム、テトラキス(2−プロポキシ)チタニウム、テトラキス(ブトキシ)チタニウム、テトラキス(第2ブトキシ)チタニウム、テトラキス(イソブトキシ)チタニウム、テトラキス(第3ブトキシ)チタニウム、テトラキス(第3アミル)チタニウム、テトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)チタニウム等のテトラキスアルコキシチタニウム類;テトラキス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム等のテトラキスβ−ジケトナトチタニウム類;ビス(メトキシ)ビス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、ビス(エトキシ)ビス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、ビス(第3ブトキシ)ビス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、ビス(メトキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(エトキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(2−プロポキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3ブトキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3アミロキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(メトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(2−プロポキシ)ビス(2,6,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3アミロキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム等のビス(アルコキシ)ビス(βジケトナト)チタニウム類;(2−メチルペンタンジオキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、(2−メチルペンタンジオキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム等のグリコキシビス(βジケトナト)チタニウム類;(メチルシクロペンタジエニル)トリス(ジメチルアミノ)チタニウム、(エチルシクロペンタジエニル)トリス(ジメチルアミノ)チタニウム、(シクロペンタジエニル)トリス(ジメチルアミノ)チタニウム、(メチルシクロペンタジエニル)トリス(エチルメチルアミノ)チタニウム、(エチルシクロペンタジエニル)トリス(エチルメチルアミノ)チタニウム、(シクロペンタジエニル)トリス(エチルメチルアミノ)チタニウム、(メチルシクロペンタジエニル)トリス(ジエチルアミノ)チタニウム、(エチルシクロペンタジエニル)トリス(ジエチルアミノ)チタニウム、(シクロペンタジエニル)トリス(ジエチルアミノ)チタニウム等の(シクロペンタジエニル)トリス(ジアルキルアミノ)チタニウム類;(シクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(メチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(エチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(プロチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(イソプロピルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(ブチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、(イソブチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム、第3ブチルシクロペンタジエニル)トリス(メトキシ)チタニウム等の(シクロペンタジエニル)トリス(アルコキシ)チタニウム類等が挙げられ、ジルコニウムを含むプレカーサ又はハフニウムを含むプレカーサとしては、上記チタニウムを含むプレカーサとして例示した化合物におけるチタニウムを、ジルコニウム又はハフニウムに置き換えた化合物が挙げられる。
希土類元素を含むプレカーサとしては、下記式(III−1)〜(III〜3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013216614
(式中、M2は、希土類原子を表し、Ra及びRbは各々独立に、ハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表し、Rcは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Re及びRfは各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rg及びRjは各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、p’は0〜3の整数を表し、r’は0〜2の整数を表す。)
上記の希土類元素を含むプレカーサにおいて、M2で表される希土類原子としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げられ、Ra、Rb、Rc、Re、Rf、Rg及びRjで表される基としては、前記のチタニウムプレカーサで例示した基が挙げられる。
また、本発明の薄膜形成用原料には、必要に応じて、本発明のアルミニウム化合物及び他のプレカーサの安定性を付与するため、求核性試薬を含有してもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類が挙げられ、これら求核性試薬の使用量は、プレカーサ全体の量1モルに対して0.1モル〜10モルの範囲が好ましく、より好ましくは1〜4モルである。
本発明の薄膜形成用原料には、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素などの不純物ハロゲン分、及び不純物有機分が極力含まれないようにする。不純物金属元素分は、元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましく、総量では、1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。特に、LSIのゲート絶縁膜、ゲート膜、バリア層として用いる場合は、得られる薄膜の電気的特性に影響のあるアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、及び、同属元素の含有量を少なくすることが必要である。不純物ハロゲン分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下が更に好ましい。不純物有機分は、総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、10ppm以下が更に好ましい。また、水分は、化学気相成長用原料中でのパーティクル発生や、薄膜形成中におけるパーティクル発生の原因となるので、金属化合物、有機溶剤、及び、求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために、使用の際にあらかじめできる限り水分を取り除いた方がよい。金属化合物、有機溶剤及び求核性試薬それぞれの水分量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下が更に好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料は、形成される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、パーティクルが極力含まれないようにするのが好ましい。具体的には、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に1000個以下であることがより好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが更に好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する本発明の薄膜の製造方法としては、本発明の薄膜形成用原料を気化させた蒸気、及び必要に応じて用いられる反応性ガスを基体が設置された成膜チャンバー内に導入し、次いで、プレカーサを基体上で分解及び/又は化学反応させてコバルトを含有する薄膜を基体表面に成長、堆積させるCVD法によるものである。原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件、方法を用いることができる。
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等が挙げられ、還元性のものとしては水素が挙げられ、また、窒化物を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上使用することができる。
また、上記の輸送供給方法としては、前記に記載の気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法等が挙げられる。
また、上記の堆積方法としては、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD,熱とプラズマを使用するプラズマCVD、熱と光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALDが挙げられる。
上記基体の材質としては、例えばシリコン;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、酸化チタン、窒化チタン、酸化ルテニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン等のセラミックス;ガラス;金属ルテニウム等の金属が挙げられる。基体の形状としては、板状、球状、繊維状、鱗片状が挙げられ、基体表面は、平面であってもよく、トレンチ構造等の三次元構造となっていてもよい。
また、上記の製造条件としては、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、本発明に係る前記の化合物が充分に反応する温度である100℃以上が好ましく100℃〜400℃がより好ましい。また、反応圧力は、熱CVD、光CVDの場合、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合は、2000Pa〜10Paが好ましい。
また、堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることができる。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.01〜5000nm/分が好ましく、0.1〜1000nm/分がより好ましい。また、ALDの場合は、所望の膜厚が得られるようにサイクルの回数でコントロールされる。
上記の製造条件として更に、薄膜形成用原料を気化させて蒸気とする際の温度や圧力が挙げられる。薄膜形成用原料を気化させて蒸気とする工程は、原料容器内で行ってもよく、気化室内で行ってもよい。いずれの場合においても、本発明の薄膜形成用原料は室温〜150℃で蒸発させることが好ましい。また、原料容器内又は気化室内で薄膜形成用原料を気化させて蒸気とする場合に原料容器内の圧力及び気化室内の圧力はいずれも1〜10000Paであることが好ましい。
本発明の薄膜の製造方法は、ALD法を採用して、上記の輸送供給方法により、薄膜形成用原料を気化させて蒸気となし、該蒸気を成膜チャンバー内へ導入する原料導入工程のほか、該蒸気中の上記コバルトアルコキシド化合物により上記基体の表面に前駆体薄膜を形成する前駆体薄膜成膜工程、未反応のコバルトアルコキシド化合物ガスを排気する排気工程、及び、該前駆体薄膜を反応性ガスと化学反応させて、該基体の表面に上記コバルトを含有する薄膜を形成するコバルト含有薄膜形成工程を有していてもよい。
例えば、コバルト膜をCVD法により形成する場合は、まず、上述したように、本発明のコバルトアルコキシド化合物及び必要に応じて用いられる他のプレカーサを気化させた蒸気、並びに必要に応じて用いられる反応性ガスを基板上に導入する(原料導入工程)。本発明のコバルトアルコキシド化合物は、室温〜150℃で蒸発させることが好ましい。また本発明のコバルトアルコキシド化合物を蒸発させる際の圧力は、1〜10000Paであることが好ましい。前記で説明した原料導入工程の次に、堆積反応部に導入したコバルトアルコキシド化合物により、基体上に前駆体薄膜を成膜させる(前駆体薄膜成膜工程)。このときに、基体を加熱するか、堆積反応部を加熱して、熱を加えてもよい。この工程で成膜される前駆体薄膜は、コバルト薄膜、又は、コバルトアルコキシド化合物の一部が分解及び/又は反応して生成した薄膜であり、目的のコバルト薄膜とは異なる組成を有する。本工程が行われる際の基体温度は、室温〜500℃が好ましく、150〜350℃がより好ましい。本工程が行われる際の成膜チャンバー内の圧力は1〜10000Paが好ましく、10〜1000Paがより好ましい。
次に、堆積反応部から、未反応のコバルトアルコキシド化合物ガスや副生したガスを排気する(排気工程)。未反応のコバルトアルコキシド化合物ガスや副生したガスは、堆積反応部から完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気される必要はない。排気方法としては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスにより系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。減圧する場合の減圧度は、0.01〜300Paが好ましく、0.01〜100Paがより好ましい。
次に、堆積反応部に還元性ガスを導入し、該還元性ガス、又は還元性ガス及び熱の作用により、先の前駆体薄膜成膜工程で得た前駆体薄膜からコバルト薄膜を形成する(コバルト薄膜形成工程)。本工程において熱を作用させる場合の温度は、室温〜300℃が好ましく、150〜300℃がより好ましい。本発明のコバルトアルコキシド化合物は、還元性ガスとの反応性が良好であり、コバルト薄膜を得ることができる。
上記の原料導入工程、前駆体薄膜成膜工程、排気工程、及び、コバルト薄膜形成工程からなる一連の操作による薄膜堆積を1サイクルとし、このサイクルを必要な膜厚の薄膜が得られるまで複数回繰り返してもよい(ALD法)。この場合、1サイクル行った後、上記排気工程と同様にして、堆積反応部から未反応のコバルトアルコキシド化合物ガス及び還元性ガス、さらに副成したガスを排気した後、次の1サイクルを行うことが好ましい。
また、コバルト薄膜のALD法による形成においては、プラズマ、光、電圧等のエネルギーを印加してもよい。これらのエネルギーを印加する時期は、特には限定されず、例えば、原料導入工程におけるコバルトアルコキシド化合物ガス導入時、コバルト薄膜成膜工程又はコバルト薄膜形成工程における加温時、排気工程における系内の排気時、コバルト薄膜形成工程における還元性ガス導入時でもよく、上記の各工程の間でもよい。
また、本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する際には、良好な電気特性を得るためや、得られたコバルトを含有する薄膜をシリサイド化するために、薄膜堆積の後に、不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下で熱処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、250〜1000℃であり、400〜800℃が好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する装置は、周知な化学気相成長法用装置を用いることができる。具体的な装置の例としては図1のような非シャワーヘッドタイプの装置や、図2のようなプレカーサをバブリング供給で行うことのできる装置や、図3のように気化室を有する装置が挙げられる。また、図1、図2,図3のような枚葉式装置に限らず、バッチ炉を用いた多数枚同時処理可能な装置を用いることもできる。上記の成膜チャンバーは、図2においては「反応成膜室」、図3においては「薄膜堆積部」として記載されている。
本発明の薄膜形成用原料を用いて製造された薄膜は、他の成分のプレカーサ、反応性ガス及び製造条件を適宜選択することにより、メタル、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラス等の所望の種類の薄膜とすることができる。製造される薄膜の組成としては、例えば、金属コバルト、コバルト系酸化物、コバルト系窒化物や、Co−Cr、Co−Fe、Co−Niのようなコバルト系合金などが挙げられ、これらの用途としては抵抗膜、接着膜、超硬工具、磁性膜、磁石及びICリードフレームなどが挙げられる。
以下、製造実施例、評価例、実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]化合物No.1の製造
アルゴンガス雰囲気下で、反応フラスコに塩化コバルト(II)を13.34g、脱水処理をしたテトラヒドロフラン43.30gを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、脱水処理したテトラヒドロフラン31.66gに1−(N,N−ジメチルアミノ)−2,3−ジメチル−2−ブトキシドナトリウム33.45gを溶解させた溶液を水冷下で徐々に加えた。その後、室温で約14時間攪拌した後、ろ過を行った。得られたろ液からテトラヒドロフランを留去し、液体残渣を得た。その液体残渣を減圧蒸留し、35Pa、塔頂温度95〜96℃のフラクションを分取し、目的化合物である化合物No.1を得た。この精製による回収率は45%であった。得られた化合物は暗褐色液体であり、以下の分析を行った。
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)
コバルト: 16.5質量%(理論値 16.96%)
C: 56.14質量%、H: 10.89質量%、N: 8.02質量%
(理論値 C: 55.32%、H: 10.44%、N: 8.06%)
塩素: 10ppm未満
(2)FT−IR
図4に示す。
(3)TG−DTA
TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量10.1mg)
50質量%減少温度207℃
[実施例2]化合物No.2の製造
アルゴンガス雰囲気下で、反応フラスコに塩化コバルト(II)を11.93g、脱水処理をしたテトラヒドロフラン43.0gを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、脱水処理したテトラヒドロフランに38.05gに1−(N−エチルメチルアミノ)−2,3−ジメチル−2−ブトキシドナトリウム32.10gを溶解させた溶液を水冷下で徐々に加えた。その後、室温で約14時間攪拌した後、ろ過を行った。得られたろ液からテトラヒドロフランを留去し、液体残渣を得た。その液体残渣を減圧蒸留し、20Pa、塔頂温度104〜105℃のフラクションを分取し、目的化合物である化合物No.2を得た。この精製による回収率は63%であった。得られた化合物は赤紫色液体であり、以下の分析を行った。
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)
コバルト: 15.4質量%(理論値 15.7%)
C: 57.53質量%、H: 10.97質量%、N: 7.31質量%
(理論値 C: 57.58%、H: 10.74%、N: 7.46%)
塩素: 10ppm未満
(2)FT−IR
図5に示す。
(3)TG−DTA
TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量10.1mg)
50質量%減少温度226℃
[実施例3]化合物No.4の製造
アルゴンガス雰囲気下で、反応フラスコに塩化コバルト(II)を10.34g、脱水処理をしたテトラヒドロフラン39.05gを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、脱水処理したテトラヒドロフラン30.90gに3−(N,N−ジメチルアミノメチル)−3−ペントキシドナトリウム25.75gを溶解させた溶液を水冷下で徐々に加えた。その後、室温に昇温させ約14時間攪拌させてからろ過を行った。得られたろ液からテトラヒドロフランを除去し、液体残渣を得た。その液体残渣を減圧蒸留し、40Pa、塔頂温度105〜106℃のフラクションを分取し、目的化合物である化合物No.4を得た。この精製による回収率は55%であった。得られた化合物は暗褐色液体であり、以下の分析を行った。
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES、塩素分析:TOX)
コバルト: 16.5質量%(理論値 16.96%)
C:54.51%、H:10.84%、N:8.49%
(理論値 C:55.32%、H:10.44%、N:8.06%)
塩素: 10ppm未満
(2)FT−IR
図6に示す。
(3)TG−DTA
TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量10.2mg)
50質量%減少温度212℃
[評価例1]コバルト化合物の物性評価
上記、製造例により得られた化合物No.1、2、4及び下記に示す比較化合物1、2について、目視によって30℃、常圧における各化合物の状態を観察し、固体化合物については微小融点測定装置を用いて融点を測定し、さらに各化合物の沸点を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2013216614
Figure 2013216614
上記表1より、比較例1は30℃で固体の化合物であり、液体状態を経由できず、昇華してしまう化合物であることがわかった。昇華性を有する固体化合物は、気相成長用原料として用いる場合に安定性に液体状態で原料を供給することが困難であることから、化学気相成長用原料として不適である。また、比較例2は30℃で固体であり、融点が80℃であり、沸点の低い化合物であることがわかった。融点が高い化合物は、安定的に液体状態で原料を供給する為に高いエネルギーが必要となることから、化学気相成長用原料として不適である。一方、評価例1−1、1−2、1−3はすべてが30℃で液体の化合物であり、沸点が低い化合物であることがわかった。このことから、本発明のコバルトアルコキシド化合物は、30℃で液体であり、安定して液体状態を保つことができる点で化学気相成長用原料として好適な化合物であることがわかった。
[実施例4]
上記実施例1で得た本発明のコバルトアルコキシド化合物を化学気相成長用原料とし、図2に示す装置を用いて以下の条件のCVD法により、シリコンウエハ基板上にコバルト薄膜を製造した。得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線回折法及びX線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行ったところ、膜厚は50nmであり、膜組成は金属コバルトであった。
(条件)気化室温度:150℃、反応圧力:500Pa、反応時間:10分、基板温度:300℃、キャリアガス(Ar):100ml/min、還元ガス(水素):200ml/min
[実施例5]
上記実施例1で得た本発明のコバルトアルコキシド化合物を化学気相成長用原料とし、図2に示す装置を用いて以下の条件のCVD法により、シリコンウエハ基板上にコバルト薄膜を製造した。得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線回折法及びX線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行ったところ、膜厚は50nmであり、膜組成は金属コバルトであった。
(条件)気化室温度:150℃、反応圧力:500Pa、反応時間:10分、基板温度:300℃、キャリアガス(Ar):100ml/min、還元ガス1(水素):200ml/min、還元ガス2(アンモニア):400ml/min

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表されるコバルトアルコキシド化合物。
    Figure 2013216614
    (式中、R及びRは炭素数1〜3の直鎖または分岐状のアルキル基であり、且つRとRの炭素数の和は4である。また、R及びRは炭素数1または2のアルキル基である。)
  2. 請求項1に記載のコバルトアルコキシド化合物を含有してなる薄膜形成用原料。
  3. 請求項2に記載の薄膜形成用原料を気化させて得た、上記コバルトアルコキシド化合物を含有する蒸気を、基体が設置された成膜チャンバー内に導入し、該コバルトアルコキシド化合物を分解及び/又は化学反応させて該基体の表面にコバルトを含有する薄膜を形成する薄膜の製造方法。
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