JP2006249046A - 珪素アルコキシド化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 - Google Patents

珪素アルコキシド化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蒸気圧が高く、低温で成膜でき、常温常圧においては化学的に安定であり、保存安定性及び他のソースとの混合安定性に優れた、CVD法やALD法等の気化工程を有する薄膜製造方法のプレカーサとして特に好適な珪素化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で表される珪素アルコキシド化合物。
【化1】


(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R〜Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Aは炭素原子数1〜4のアルカンジイル基を表し、nは1〜3の数を表す。)

【選択図】 なし

Description

本発明は、特定のアミノアルコールを配位子とした新規な珪素アルコキシド化合物、該化合物を含有してなる薄膜形成用原料、並びに該原料を用いた珪素を含有した薄膜の製造方法に関する。
珪素を含有する薄膜は、主に高誘電体キャパシタ、強誘電体キャパシタ、ゲート絶縁膜、バリア膜等の電子部品の部材として用いられている。
上記の薄膜の製造法としては、火焔堆積法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、化学気相成長法等が挙げられるが、組成制御性、段差被覆性に優れること、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能である等多くの長所を有しているので、ALD(Atomic Layer Deposition)法を含む化学気相成長(以下、単にCVDと記載することもある)法が最適な製造プロセスである。
MOD法やCVD法においては、薄膜に珪素や金属を供給するプレカーサとして有機配位子を用いた化合物が使用されている。有機配位子としては、比較的大きい蒸気圧を与え、CVDによる薄膜の製造に適している末端にエーテル基又はジアルキルアミノ基を有するアルコールが報告されている。珪素については、特定のエーテルアルコールを配位子とした珪素化合物が特許文献1に報告されている。また、ALCVD法による二酸化珪素の蒸着方法について特許文献2に報告されている。
末端にアミノ基を有する本発明の珪素アルコキシド化合物については報告がなく、これを用いた薄膜の製造方法の評価についても報告はない。
特表2003−515674号公報 特開2004−100007号公報
半導体素子(半導体デバイス)の更なる高集積化や微細化には、CVD法やALD法等の薄膜製造プロセスが不可欠である。これに関連して薄膜製造用原料(プレカーサ)に求められる物性は、膜の組成均一性や気化供給制御性を容易にするため蒸気圧が高いこと、及び周辺デバイスを熱劣化させないために低温で成膜できること、即ち原料が低温にて所望の無機薄膜へ分解することである。また、多成分系の薄膜製造に使用する場合には、混合時或いは保存時に配位子交換や化学反応により変質しないこと、熱及び/又は酸化による薄膜堆積時の分解挙動が類似していることが求められる。珪素について、これらの要件のうち一つを満足する化合物は存在するが、複数の要件を同時に併せ持つ化合物は存在しなかった。
本発明者等は検討を重ねた結果、特定のアミノアルコールと低分子量のアルコールを同時に結合させた異種アルコール含有(Heteroleptic)珪素アルコキシド化合物が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
本発明は、下記一般式(I)で表される珪素アルコキシド化合物、これを含有してなる薄膜形成用原料及びこの薄膜形成用原料を用いて珪素含有薄膜を形成する薄膜の製造方法を提供するものである。

(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R〜Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Aは炭素原子数1〜4のアルカンジイル基を表し、nは1〜3の数を表す。)
本発明の珪素アルコキシド化合物は揮発性が高い即ち分子の拡散係数が高いことから、搬送ガス中のプレカーサ蒸気濃度が均一となり製造された薄膜の組成・膜厚均一性に優れた特性を示し、更にはプレカーサを同伴・搬送するための高価な不活性ガス供給量を極力低減(コストダウン)できる。同時に、熱酸化分解温度が低いため半導体デバイスの微細化に要求される低温成膜プロセスを可能とする。また、常温常圧においては化学的に安定な構造であるため、保存安定性及び他のソースとの混合安定性に優れた効果を示す。
本発明の珪素アルコキシド化合物は、上記一般式(I)で表されるものであり、CVD法やALD法等の気化工程を有する薄膜製造方法のプレカーサとして特に好適なものである。
以下、本発明の珪素アルコキシド化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法について、その好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
上記一般式(I)で表される珪素アルコキシド化合物は、周知の珪素アルコキシド化合物と比較すると、熱及び/又は酸素による分解性が大きく、化学反応に対する安定性が大きい。このことは、単独で使用する場合は、薄膜製造においてエネルギー的に優位であり、また、他のプレカーサと併用する場合は、分解挙動を合せることが容易なので薄膜組成の制御面で優位である。更には、混合して使用することが可能である等の操作面で優位である。
本発明の上記一般式(I)において、R及びR〜R4で表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2ブチル、第3ブチル、イソブチルが挙げられ、Aで表されるアルカンジイル基は、炭素原子数の合計が1〜4のものであれば、直鎖でもよく、任意の位置に1以上の分岐を有していてもよい。該基としては、末端のドナー基であるジアルキルアミノ基が珪素原子配位したときにエネルギー的に安定な構造である5員環又は6員環構造を与える基が好ましい。好ましい基としては、下記一般式(II)で表される基が挙げられる。また、本発明のアルコキシド化合物は、光学異性体を有する場合もあるがその光学異性により区別されるものではない。

(式中、R〜Rは、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、xは0又は1を表し、該基の炭素原子数の合計は1〜4である。)
配位子中の末端ドナー基が珪素原子に配位して環構造を形成した場合を下記一般式(III)に表す。本発明のアルコキシド化合物は、一般式(I)で代表して表しているが、一般式(III)と区別されるものではなく、両方を含む概念である。

(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R〜Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Aは炭素原子数1〜4のアルカンジイル基を表し、nは1〜3の数を表す。)
本発明のアルコキシド化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜No.40が挙げられる。
本発明の珪素アルコキシド化合物において、上記のR〜R及びAは、化合物を気化させる工程を有する薄膜の製造方法を用いる場合は、分子量が小さいものが蒸気圧が大きいので好ましく、具体的には、R及びRはどちらか少なくも一方が水素原子であり残りの一方が水素原子又はメチル基が好ましく、R及びRは水素原子又はメチル基が好ましく、Aはメチレン基が好ましい。また、気化工程を伴わないMOD法による薄膜の製造方法の場合は、R〜R及びAは、使用される溶媒に対する溶解性、薄膜形成反応等によって任意に選択することができる。
本発明の珪素アルコキシド化合物は、その製造方法により特に制限されることはなく、周知の反応を応用して製造される。製造方法としては、該当するアミノアルコールを用いた周知一般のアルコキシド化合物の合成方法を応用すればよい。例えば、珪素のハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩又はその水和物と、該当するアルコール化合物とをナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、アンモニア、アミン等の塩基の存在下で反応させる方法、珪素のハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩又はその水和物と、該当するアルコール化合物のナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等のアルカリ金属アルコキシドとを反応させる方法、珪素のメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等の低分子アルコールのアルコキシド化合物と、該当するアルコール化合物とを交換反応させる方法、珪素のハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩と反応性中間体を与える誘導体を反応させて、反応性中間体を得てから、これと該当するアルコール化合物を反応させる方法が挙げられる。これらの合成方法の中でも、珪素アルコキシドとアミノアルコールとのアルコール交換反応が好ましい。
本発明の薄膜形成用原料とは、上記説明の珪素アルコキシド化合物を薄膜のプレカーサとしたものであり、その形態は、該薄膜形成用原料が適用される薄膜の製造方法(例えば塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、ALD法を含むCVD法)によって異なり、適宜選択される。本発明の珪素アルコキシド化合物は、その物性から薄膜形成用原料の中でもCVD用原料として特に有用である。
本発明の薄膜形成用原料が化学気相成長(CVD)用原料である場合、その形態は使用されるCVD法の輸送供給方法等の手法により適宜選択されるものである。
上記の輸送供給方法としては、CVD用原料を原料容器中で加熱及び/又は減圧することにより気化させ、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に堆積反応部へと導入する気体輸送法、CVD用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて、堆積反応部へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合は、上記一般式(I)で表される珪素アルコキシド化合物そのものがCVD用原料となり、液体輸送法の場合は、一般式(I)で表される珪素アルコキシド化合物そのもの又は該化合物を有機溶剤に溶かした溶液がCVD用原料となる。
また、多成分系のCVD法においては、CVD用原料を各成分独立で気化、供給する方法(以下、シングルソース法と記載することもある)と、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、カクテルソース法と記載することもある)がある。カクテルソース法の場合、本発明の珪素アルコキシド化合物のみによる混合物或いは混合溶液、本発明の珪素アルコキシド化合物と他のプレカーサとの混合物或いは混合溶液がCVD用原料である。
上記のCVD用原料に使用する有機溶剤としては、特に制限を受けることはなく周知一般の有機溶剤を用いることが出来る。該有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジンが挙げられ、これらは、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、単独又は二種類以上混合溶媒として用いられる。これらの有機溶剤を使用する場合、該有機溶剤中における本発明の珪素アルコキシド化合物及び他のプレカーサの合計量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。
また、多成分系のCVD法の場合において、本発明の珪素アルコキシド化合物と共に用いられる他のプレカーサとしては、特に制限を受けず、CVD用原料に用いられている周知一般のプレカーサを用いることができる。
上記の他のプレカーサとしては、アルコール化合物及び/又はグリコール化合物及び/又はβ−ジケトン化合物及び/又はシクロペンタジエン化合物及び/又は有機アミン化合物等の一種類又は二種類以上の有機配位化合物と珪素や金属との化合物が挙げられる。また、プレカーサの金属種としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムが挙げられる。
上記の有機配位子として用いられるアルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、第3ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第3アミルアルコール等のアルキルアルコール類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−メトキシ−1−メチルエタノール、2−メトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−エトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエタノール、2−プロポキシ−1,1−ジエチルエタノール、2−第2ブトキシ−1,1−ジエチルエタノール、3−メトキシ−1,1−ジメチルプロパノール等のエーテルアルコール類;本発明の珪素アルコキシド化合物を与えるジアルキルアミノアルコールが挙げられる。
上記の有機配位子として用いられるグリコール化合物としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオールが挙げられる。
上記の有機配位子として用いられるβ−ジケトン化合物としては、アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、2−メチルヘプタン−3,5−ジオン、5−メチルヘプタン−2,4−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,2−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、2,2,6−トリメチルオクタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルオクタン−3,5−ジオン、2,9−ジメチルノナン−4,6−ジオン2−メチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン、2,2−ジメチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン等のアルキル置換β−ジケトン類;1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,3−ジパーフルオロヘキシルプロパン−1,3−ジオン等のフッ素置換アルキルβ−ジケトン類;1,1,5,5−テトラメチル−1−メトキシヘキサン−2,4−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−メトキシヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−(2−メトキシエトキシ)ヘプタン−3,5−ジオン等のエーテル置換β−ジケトン類が挙げられる。
上記の有機配位子として用いられるシクロペンタジエン化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、第2ブチルシクロペンタジエン、イソブチルシクロペンタジエン、第3ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン等が挙げられ、有機配位子として用いられる有機アミン化合物としては、る。メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、第2ブチルアミン、ダイサンブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、イソプロピルメチルアミン等が挙げられる。
上記の他のプレカーサは、シングルソース法の場合は、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似している化合物が好ましく、カクテルソース法の場合は、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似していることに加え、混合時に化学反応による変質を起こさないものが好ましい。
チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムのプレカーサとしては、本発明の珪素アルコキシド化合物に用いたジアルキルアミノアルコールと同じ配位子を有するアルコキシチタニウムや下記式で表される化合物が挙げられる。

(式中、Mは、チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムを表し、R及びRは各々独立にハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、Rは炭素原子数2〜18の分岐してもよいアルキレン基を表し、R、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、pは0〜4の整数を表し、qは0又は2を表し、rは0〜3の整数を表す。)
上記の[化8]化学式において、R及びRで表されるハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第二アミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、パーフルオロヘキシル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル、1−メトキシ−1,1−ジメチルメチル、2−メトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−エトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエチル、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエチル挙げられる。また、Rで表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第二アミル、第三アミル、ヘキシル、1−エチルペンチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシルが挙げられる。また、Rで表される炭素原子数2〜18の分岐してもよいアルキレン基とは、グリコールにより与えられる基であり、該グリコールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1−メチル−2,4−ペンタンジオールなどが挙げられる。また、R,Rで表される炭素原子数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、2−プロピルが挙げられ、Rで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチルが挙げられる。
具体的にはチタニウムプレカーサとして、テトラキス(エトキシ)チタニウム、テトラキス(2−プロポキシ)チタニウム、テトラキス(ブトキシ)チタニウム、テトラキス(第2ブトキシ)チタニウム、テトラキス(イソブトキシ)チタニウム、テトラキス(第3ブトキシ)チタニウム、テトラキス(第3アミル)チタニウム、テトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)チタニウム等のテトラキスアルコキシチタニウム類;テトラキス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム等のテトラキスβ−ジケトナトチタニウム類;ビス(メトキシ)ビス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、ビス(エトキシ)ビス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、ビス(第3ブトキシ)ビス(ペンタン−2,4−ジオナト)チタニウム、ビス(メトキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(エトキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(2−プロポキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3ブトキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3アミロキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(メトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(エトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(2−プロポキシ)ビス(2,6,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3ブトキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、ビス(第3アミロキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム等のビス(アルコキシ)ビス(βジケトナト)チタニウム類;(2−メチルペンタンジオキシ)ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム、(2−メチルペンタンジオキシ)ビス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)チタニウム等のグリコキシビス(βジケトナト)チタニウム類等が挙げられ、ジルコニウムプレカーサとしては、上記チタニウムプレカーサで例示の化合物のチタニウムをジルコニウムに置き換えた化合物が挙げられる。
アルミニウムプレカーサとしては、本発明の珪素アルコキシド化合物に用いたジアルキルアミノアルコールと同じ配位子を有するアルコキシアルミニウムや下記式で表される化合物が挙げられる。

(式中、Lは、窒素原子又は酸素原子を有する5〜6員環の配位性複素環状化合物を表し、Rは、ハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、R、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Rは、ハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜20のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、p’は0〜3の整数を表し、q’は0〜2の整数を表し、r’は0〜2の整数を表す。)
上記の[化9]の化学式におけるLで表される配位性複素環状化合物としては、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類;サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類;ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等が挙げられ、R、R、R、R、Rとしては、前記のチタニウム、ジルコニウムプレカーサで例示した基が挙げられ、Rで表される炭素原子数1〜8のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第二アミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、1−エチルペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、1−メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシが挙げられ、Rとしては、Rで例示の基が挙げられる。
ビスマスプレカーサとしては、トリフェニルビスマス、トリ(o−メチルフェニル)ビスマス、トリ(m−メチルフェニル)ビスマス、トリ(p−メチルフェニル)ビスマス等のトリアリールビスマス化合物;トリメチルビスマス等のトリアルキルビスマス化合物;トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)ビスマス等のβ−ジケトン系錯体;トリス(シクロペンタジエニル)ビスマス、トリス(メチルシクロペンタジエニル)ビスマス等のシクロペンタジエニル錯体;トリス(第三ブトキシ)ビスマス、トリス(第三アミロキシ)ビスマス、トリス(エトキシ)ビスマス等の低分子アルコールとのアルコキシド、下記[化10]の化学式で表されるアルコキシド化合物、本発明の珪素アルコキシド化合物に用いたジアルキルアミノアルコールと同じ配位子を有するアルコキシビスマス化合物等が挙げられる。

(式中、R、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、nは1又は2を表す。)
上記の[化10]の化学式におけるR、R、Rとしては、前記のチタニウム、ジルコニウムで例示した基が挙げられる。
希土類プレカーサとしては、本発明の珪素アルコキシド化合物に用いたジアルキルアミノアルコールと同じ配位子を有するアルコキシド化合物や下記式で表される化合物が挙げられる。

(式中、Mは、希土類原子を表し、R、Rは、ハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、R、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、p’は0〜3の整数を表し、r’は0〜2の整数を表す。)
上記の希土類プレカーサにおいて、Mで表される希土類原子としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げられ、R、R、R、R、R及びRで表される基としては、前記のチタニウム、ジルコニウムプレカーサで例示した基が挙げられ、Rで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、前記のRで例示のものが挙げられる。
また、本発明のCVD用原料には、必要に応じて、本発明の珪素アルコキシド化合物及び他のプレカーサの安定性を付与するため、求核性試薬を含有してもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類が挙げられ、これら安定剤の使用量は、プレカーサ1モルに対して0.1モル〜10モルの範囲で使用され、好ましくは1〜4モルで使用される。
本発明の薄膜の製造方法とは、本発明の珪素アルコキシド化合物、必要に応じて用いられる他のプレカーサを気化させた蒸気と必要に応じて用いられる反応性ガスを基板上に導入し、次いで、プレカーサを基板上で分解及び/又は反応させて薄膜を基板上に成長、堆積させるCVD法によるものである。原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件、方法を用いることができる。
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等が挙げられ、還元性のものとしては水素が挙げられ、また、窒化物を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア等が挙げられる。
また、上記の輸送供給方法としては、前記に記載の気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法等が挙げられる。
シングルソース法において複数種の金属化合物をプレカーサとして用いる場合は、本発明の珪素アルコキシド化合物のみをプレカーサとして用いてもよく、本発明の珪素アルコキシド化合物と他のプレカーサとを併用してもよい。本発明の珪素アルコキシド化合物と他のプレカーサとを併用する場合は、薄膜形成反応に関わる分解挙動が類似している組み合わせが好ましい。
また、上記の堆積方法としては、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD,熱とプラズマを使用するプラズマCVD、熱と光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALD(Atomic Layer Deposition)が挙げられる。
また、上記の製造条件としては、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、本発明に係る前記の化合物が充分に反応する温度である160℃以上が好ましく250℃〜800℃がより好ましい。また、反応圧力は、熱CVD、光CVDの場合、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合は、2000Pa〜10Paが好ましい。また、堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることが出来る。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.5〜5000nm/分が好ましく、1〜1000nm/分がより好ましい。また、ALDの場合は、所望の膜厚が得られるようにサイクルの回数でコントロールされる。尚、本発明の薄膜形成原料により形成される薄膜の厚みは用途により適宜選択されるが、好ましくは10〜1000nmから選択する。
また、本発明の薄膜の製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るために不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、400〜1200℃であり、500〜800℃が好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いた本発明の薄膜の製造方法により製造される薄膜は、他の成分のプレカーサ、反応性ガス及び製造条件を適宜選択することにより、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラス等の所望の種類の薄膜とすることができる。製造される薄膜の組成としては、例えば、酸化珪素、珪素−チタニウム複合酸化物、珪素−ジルコニウム複合酸化物、珪素−ハフニウム複合酸化物、珪素−ビスマス複合酸化物、珪素−ビスマス−チタニウム複合酸化物、珪素−ハフニウム−アルミニウム複合酸化物、珪素−ハフニウム−希土類元素複合酸化物、窒化珪素が挙げられ、これらの薄膜の用途としては、高誘電キャパシタ膜、ゲート絶縁膜、ゲート膜、強誘電キャパシタ膜、コンデンサ膜、バリア膜等の電子部品部材、光ファイバ、光導波路、光増幅器、光スイッチ等の光学ガラス部材が挙げられる。
以下、製造実施例、評価例、実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
[製造実施例1]化合物No.10の製造
乾燥アルゴンガス雰囲気下で、500mlの反応フラスコにテトラエトキシシラン1.2モルと1−ジメチルアミノ−2−プロパノール2.4モルを仕込み、ナトリウム0.06モル(5%触媒)をさらに仕込みアルゴン雰囲気下で常圧、常温で反応させた。その後オイルバスを120℃から150℃に上げて、アルコール交換反応をさせ、18時間かけて留出させた。GC−MS分析でテトラエトキシシランおよびトリエトキシジメチルアミノプロパノールシランのピークが消えたところで初留カットを終了させた。アルゴン雰囲気下0.15Torr、オイルバス温度130℃、蒸気温度72℃にて2時間かけて本留し、精製を行い目的物である化合物No.10を得た。収率25.0%であった。得られた無色透明液体について、以下の分析を行った。
(分析値)
(1)元素分析(CHN分析:CHNアナライザー、金属分析:ICP−AES)
炭素 52.00質量%(理論値52.14質量%)
水素 10.20質量%(理論値10.63質量%)
窒素 8.50質量%(理論値8.69質量%)
珪素 8.30質量%(理論値8.71質量%)
(2)H−NMR(溶媒:重ベンゼン)
図1にH−NMRスペクトルを示す。
(3)TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量7.823mg)
50質量%減少温度;159.8℃
[製造実施例2]化合物No.26の製造
乾燥アルゴンガス雰囲気下で、500mlの反応フラスコにテトラエトキシシラン1.2モルと1−ジメチルアミノ−2−プロパノール1.2モルを仕込み、ナトリウム0.06モル(5%触媒)をさらに仕込みアルゴン雰囲気下で常圧、常温で反応させた。その後オイルバスを120℃から150℃に上げて、アルコール交換反応をさせ、18時間かけて留出させた。オイルバス温度112℃、圧力1.0Torr、蒸気温度59℃にて蒸留を行った。精製を行い目的物である化合物No.26を得た。収率20%であった。得られた無色透明液体について、以下の分析を行った。
(分析値)
(1)元素分析(CHN分析:CHNアナライザー、金属分析:ICP−AES)
炭素 49.60質量%(理論値49.78質量%)
水素 10.10質量%(理論値10.25質量%)
窒素 5.15質量%(理論値5.28質量%)
珪素 10.40質量%(理論値10.58質量%)
(2)H−NMR(溶媒:重ベンゼン)
図2にH−NMRスペクトルを示す。
(3)TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量9.86mg)
50質量%減少温度;132.7℃
[評価例1]珪素アルコキシド化合物の蒸気圧温度
上記製造実施例1、製造実施例2において得られた化合物No.10、化合物No.26及び下記比較化合物No.1について、上記製造実施例1と同条件でのTG−DTAにより熱挙動(50質量%減少温度)を比較した。また、化合物No.10、化合物No.26及び比較化合物No.1について蒸気圧測定を行った。これらの結果を表1に示す。揮発特性は、系内圧力を一定に保ち還留した際の蒸気温度を測定する、沸点測定法により評価した。一定圧力(ここでは1.0Torr)における蒸気温度が低いことは、揮発性に優れた化合物であることを意味する。
[評価例2]珪素化合物の熱酸化分解性評価
上記製造実施例1、製造実施例2により得られた化合物No.10、化合物No.26及び下記比較化合物No.2について、熱酸化分解性の評価を行った。評価方法は30℃から10℃/分の昇温速度、乾燥酸素(100ml/分)気流下の測定条件による示差熱分析(TG−DTA)を行い、DTAの発熱ピークトップの温度と、400℃の残分により評価した。結果を表2に示す。発熱ピークのトップが低温側であるということは低温での酸化分解性に優れることを意味し、残分量が多いことは酸化分解率の高さを示唆している。
上記表1の結果より、本発明の化合物である化合物No.10及び化合物No.26は、比較化合物No.1と比べると揮発性に優れ、蒸気圧も高いことが確認できた。したがって、本発明の化合物である化合物No.10及び化合物No.26は、比較化合物No.1と比べるとCVD法用珪素プレカーサとして適するものであるといえる。
また、上記表2の結果より、化合物No.10及びNo.26は、比較化合物No.2に比べると低温酸化分解性に優れていることが確認できた。したがって、本発明の化合物である化合物No.10及びNo.26は比較化合物No.2に比べるとCVD法用珪素プレカーサとして適するものであるといえる。
[実施例1]二酸化珪素薄膜の製造
図3に示すCVD装置を用いて、シリコンウエハ上に以下の条件で、二酸化珪素薄膜を製造した。製造した薄膜について、膜厚及び化学組成を蛍光X線で測定した。測定結果を以下に示す。
(製造条件)
珪素原料:化合物No.10(原料温度;25℃、圧力;0.4MPa、キャリアガス;アルゴン300sccm)、酸化ガス:酸素300sccm、気化室温度:150℃、反応圧力:1300Pa、反応温度(基板温度):450℃、成膜時間:5分、結晶化アニール:730℃/min
(結果)
膜厚; 40nm 薄膜化学組成; SiO
[実施例2]二酸化珪素薄膜の製造(ALD法)
ALD用原料として化合物No.10を用い,図4に示すALD装置により、以下の条件・工程で薄膜を製造した。得られた薄膜の膜厚及び化学組成を上記実施例1と同様にして測定した。測定結果を以下に示す。
(条件)
反応温度(基板温度);300℃、反応性ガス;水蒸気
(工程)
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、100サイクル繰り返し、最後に700℃で3分間アニール処理を行った。
(1) 気化室温度:150℃、気化室圧力1300〜1400Paの条件で気化させたALD用原料の蒸気を導入し、系圧1300〜1400Paで1秒間堆積させる。
(2)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(3)水蒸気を導入し、系圧力1300Paで1秒間反応させる。
(4)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(結果)
薄厚: 50nm、薄膜化学組成:SiO
[実施例3]二酸化珪素薄膜の製造(ALD法)
ALD用原料として化合物No.26を用いて図4に示すALD装置により、以下の条件・工程で薄膜を製造した。得られた薄膜の膜厚及び化学組成を上記実施例1と同様にして測定した。測定結果を以下に示す。
(条件)
反応温度(基板温度);300℃、反応性ガス;水蒸気
(工程)
下記(5)〜(8)からなる一連の工程を1サイクルとして、100サイクル繰り返し、最後に700℃で3分間アニール処理を行った。
(5)気化室温度:100℃、気化室圧力1300〜1400Paの条件で気化させたALD用原料の蒸気を導入し、系圧1300〜1400Paで1秒間堆積させる。
(6)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(7)水蒸気を導入し、系圧力1300Paで1秒間反応させる。
(8)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(結果)
薄厚: 32nm、薄膜化学組成:SiO
上記実施例1〜実施例3の結果より、本発明の珪素アルコキシド化合物を用いることにより所望の二酸化珪素薄膜を得ることが出来た。
図1は化合物No.10のH−NMRスペクトルを示す。 図2は化合物No.26のH−NMRスペクトルを示す。 図3は、本発明の金属含有薄膜の製造に用いられるCVD装置の一例を示す概要図である。 図4は、本発明の金属含有薄膜の製造に用いられるALD装置の一例を示す概要図である。

Claims (9)

  1. 下記一般式(I)で表される珪素アルコキシド化合物。
    (式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R〜Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Aは炭素原子数1〜4のアルカンジイル基を表し、nは1〜3の数を表す。)
  2. 上記一般式(I)において、Aがメチレン基である請求項1に記載の珪素アルコキシド化合物。
  3. 上記一般式(I)において、Rがメチル基又はエチル基である請求項1又は請求項2に記載の珪素アルコキシド化合物。
  4. 上記一般式(I)において、Rがメチル基、Rが水素原子である請求項1〜3のいずれかに記載の珪素アルコキシド化合物
  5. 上記一般式(I)において、R及びRが水素原子である請求項1〜3のいずれかに記載の珪素アルコキシド化合物
  6. 上記一般式(I)において、R及びRがメチル基である請求項1〜5のいずれかに記載の珪素アルコキシド化合物
  7. 上記一般式(I)において、R及びRが水素原子である請求項1〜5のいずれかに記載の珪素アルコキシド化合物
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の珪素アルコキシド化合物を含有してなる薄膜形成用原料。
  9. 請求項8に記載の薄膜形成用原料を気化させて得た珪素アルコキシド化合物を含有する蒸気を基体に導入し、これを分解及び/又は化学反応させて基体上に薄膜を形成する薄膜の製造方法。
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