JP2004039976A - 基板処理装置のクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分なクリーニング効果を得ることができる基板処理装置のクリーニング方法を提供する。
【解決手段】絶縁性物質が付着している処理チャンバ3を300℃以上450℃以下に加熱するとともに処理チャンバ3内にヘキサフルオロアセチルアセトン(Hhfac)を気化したクリーニングガスを供給する。処理チャンバ3内に供給されたクリーニングガスが処理チャンバ3内壁及びサセプタ19に付着した絶縁性物質に接触すると、絶縁性物質を構成する物質の錯体が形成される。この錯体は蒸気圧が高いので容易に気化し、処理チャンバ3内の排気により処理チャンバ3外へ排出される。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板を処理する基板処理装置のクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」という。)上にHfOのような高誘電率物質の薄膜を形成する成膜装置としては、化学的に薄膜を形成する成膜装置が知られている。このような成膜装置では、ウェハを加熱するとともに処理ガスを使用して、ウェハ上に薄膜を形成している。
【0003】
ところで、ウェハに薄膜が形成された後の処理チャンバ内壁及び処理チャンバ内に配設されたサセプタ等には、高誘電率物質が付着している。この処理チャンバ内壁等に高誘電率物質が付着している状態で、ウェハに高誘電率物質の薄膜を形成すると、処理チャンバ内壁等に付着している高誘電率物質が処理チャンバ内壁等から剥離し、ウェハを汚染することがある。このようなことを抑制するために、定期的に処理チャンバ内をクリーニングして、処理チャンバ内壁等に付着している高誘電率物質を取り除いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
現在、処理チャンバ内のクリーニングは様々な方法で行われている。例えば、特開2000−96241公報には、ヘキサフルオロアセチルアセトン(Hhfac)等を使用して、処理チャンバ内のクリーニングを行うことが記載されている。ここで、この公開公報には、処理チャンバ内の温度が200℃〜300℃、処理チャンバ内の圧力が200Pa未満でクリーニングを行うことが記載されている。しかしながら、この条件では、十分なクリーニング効果が得られないという問題がある。
【0005】
本発明は上記従来の問題を解決するためになされたものである。即ち、十分なクリーニング効果を得ることができる基板処理装置のクリーニング方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、内部に絶縁性物質が付着した基板処理装置の処理チャンバを300℃以上450℃以下に加熱した状態で、絶縁性物質と処理チャンバ内に供給されたクリーニングガスに含まれるβ−ジケトンとを反応させて、絶縁性物質を構成する物質の錯体を形成する錯体形成工程と、処理チャンバ内から錯体を排出する錯体排出工程と、を具備することを特徴としている。本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、錯体形成工程を備えているので、十分なクリーニング効果を得ることができる。
【0007】
上記錯体形成工程は、処理チャンバを約400℃に加熱しながら行われることが好ましい。処理チャンバを約400℃に加熱することにより、効率良く錯体を形成することができる。
【0008】
本発明の他の基板処理装置のクリーニング方法は、内部に絶縁性物質が付着した基板処理装置の処理チャンバ内の圧力を1.33×10Pa以上1.33×10Pa以下に維持した状態で、絶縁性物質と処理チャンバ内に供給されたクリーニングガスに含まれるβ−ジケトンとを反応させて、絶縁性物質を構成する物質の錯体を形成する錯体形成工程と、処理チャンバ内から錯体を排出する錯体排出工程と、を具備することを特徴としている。本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、錯体形成工程を備えているので、十分なクリーニング効果を得ることができる。
【0009】
本発明の他の基板処理装置のクリーニング方法は、内部に絶縁性物質が付着した基板処理装置の処理チャンバ内にβ−ジケトンと酸素とを含むクリーニングガスを供給して、絶縁性物質とβ−ジケトンとを反応させ、絶縁性物質を構成する物質の錯体を形成する錯体形成工程と、処理チャンバ内から錯体を排出する錯体排出工程と、を具備することを特徴としている。本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、錯体形成工程を備えているので、十分なクリーニング効果を得ることができる。
【0010】
上記錯体排出工程は、錯体形成工程が行われている状態で行われてもよい。錯体排出工程を錯体形成工程が行われている状態で行うことにより、短時間でクリーニングを終了させることができる。
【0011】
上記錯体排出工程は、錯体形成工程後に行われてもよい。錯体排出工程を錯体形成工程後に行うことにより、処理チャンバの隅々までクリーニングガスが行き届くので、確実に絶縁性物質を除去することができる。
【0012】
上記錯体形成工程と錯体排出工程とは、繰り返し交互に行なわれることが好ましい。錯体形成工程と錯体排出工程をこのように行うことにより、錯体形成と錯体排出とがより確実に行われる。
【0013】
上記絶縁性物質は、Al,Zr,Hf,La,Y,Pr,Ceのうちの少なくとも1種を含む高誘電性物質であってもよい。処理チャンバ内にこのような高誘電率物質が付着している場合であっても、確実に処理チャンバ内から高誘電率物質を取り除くことができる。
【0014】
上記クリーニングガスは、水を含んでいることが好ましい。クリーニングガスに水を含ませることにより、クリーニング効率を向上させることができる。
【0015】
上記水は、クリーニングガス中に50ppm以上5000ppm以下の割合で含まれていることが好ましい。クリーニングガス中にこのような割合で水を含ませることにより、クリーニング効率をより向上させることができる。
【0016】
上記クリーニングガスは、アルコールを含んでいることが好ましい。クリーニングガスにアルコールを含ませることにより、クリーニング効率を向上させることができる。
【0017】
上記アルコールは、クリーニングガス中に50ppm以上5000ppm以下の割合で含まれていることが好ましい。クリーニングガス中にこのような割合でアルコールを含ませることにより、クリーニング効率をより向上させることができる。
【0018】
上記アルコールは、エタノールであることが好ましい。アルコールとして、エタノールを使用することにより、クリーニング効率をさらに向上させることができる。
【0019】
上記クリーニングガスは、キャリアガスを含んでいることが好ましい。クリーニングガスにキャリアガスを含ませることにより、処理チャンバ内にβ−ジケトンを送り込ませることができる。
【0020】
上記β−ジケトンは、R(CO)CH(CO)R(R,Rはそれぞれアルキル基又はハロゲン化アルキル基である。)で表される物質であることが好ましい。β−ジケトンとしてこのような物質を使用することにより、確実に錯体を形成することができる。
【0021】
上記β−ジケトンは、ヘキサフルオロアセチルアセトンであることが好ましい。β−ジケトンとして、ヘキサフルオロアセチルアセトンを使用することにより、容易に錯体を形成することができる。
【0022】
上記基板処理装置は、成膜装置であることが好ましい。基板処理装置として、成膜装置を使用することにより、基板の表面に膜を形成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。本実施の形態では、基板処理装置として、基板としてのウェハの被成膜面上に化学的に薄膜を形成させるCVD処理装置を用いて説明する。図1は本実施の形態に係るCVD処理装置を模式的に示した垂直断面図である。
【0024】
図1に示されるように、CVD処理装置1は、例えばアルミニウムやステンレス鋼により略円筒状に形成され、Oリング2を介在させた処理チャンバ3を備えている。
【0025】
処理チャンバ3の天井部には、ウェハWの被成膜面に絶縁性物質の薄膜を形成させる処理ガス、及び成膜時に処理チャンバ3内に付着する絶縁性物質を取り除くクリーニングガスを処理チャンバ3内に供給するためのシャワーヘッド4がOリング5を介して後述するサセプタ19と対向するように配設されている。
【0026】
シャワーヘッド4は中空構造になっており、シャワーヘッド4の下部には複数の吐出孔6が穿孔されている。複数の吐出孔6を穿孔することにより、シャワーヘッド4内に供給された処理ガス及びクリーニングガスが均一に吐出される。
【0027】
シャワーヘッド4の上部には処理ガスを供給する後述する処理ガス供給系7及びクリーニングガスを供給する後述するクリーニングガス供給系9がそれぞれ取り付けられている。
【0028】
処理チャンバ3の底部には、処理チャンバ3内を真空排気する真空排気系10が接続されている。真空排気系10は、主に、ターボ分子ポンプ又はドライポンプのような真空ポンプ11と、真空ポンプ11と処理チャンバ3の底部とに接続された排気管12と、排気管12に介在した、開閉により真空排気を開始或いは停止させるシャットオフバルブ13と、排気管12に介在した、開閉により処理チャンバ3内の圧力を調節する調圧バルブ14と、から構成されている。
【0029】
処理チャンバ3の外壁には、処理チャンバ3を加熱する抵抗発熱体15が巻回されている。また、処理チャンバ3の側壁には、開口が設けられており、この開口には、処理チャンバ3に対してウェハWを搬出入する際に開閉されるゲートバルブ16がOリング17を介して配設されている。
【0030】
さらに、処理チャンバ3の側壁には、ゲートバルブ16を開放する前に処理チャンバ3内を大気圧に戻す例えば窒素ガスのようなパージガスを供給するためのパージガス供給系18が接続されている。
【0031】
処理チャンバ3内のシャワーヘッド4に対向する位置には、ウェハWを載置する円盤状のサセプタ19が配設されている。サセプタ19は、例えば窒化アルミニウム、窒化珪素、アモルファスカーボン、又はコンポジットカーボンから形成されている。また、サセプタ19は処理チャンバ3底部中央の開口を介して処理チャンバ3内に挿入されている。CVD処理装置1の運転時には、サセプタ19の上面にウェハWが載置された状態でウェハWの被成膜面に絶縁性物質の薄膜が形成される。
【0032】
サセプタ19内には、例えば抵抗発熱体又は加熱ランプのようなサセプタ19を加熱するサセプタ加熱手段が配設されている。本実施の形態では、サセプタ加熱手段として抵抗発熱体20を使用した場合について説明する。抵抗発熱体20は、処理チャンバ3の外部に配設された外部電源21に電気的に接続されている。
【0033】
サセプタ19の例えば3箇所には、リフタ孔22が上下方向に貫通して穿孔されている。リフタ孔22の下方には、昇降可能なリフタピン23が3本配設されている。リフタピン23を図示しない昇降装置で昇降させることにより、ウェハWがサセプタ19上に載置或いはサセプタ19上から離間される。
【0034】
また、リフタピン23は処理チャンバ3を貫通しているが、処理チャンバ3の貫通部には伸縮自在な金属製のベローズ24が配設されているので、処理チャンバ3内の気密性を保持できるようになっている。
【0035】
次に、本実施の形態に係るCVD処理装置1の処理ガス供給系7及びクリーニングガス供給系9について説明する。図2は、本実施の形態に係るCVD処理装置1の処理ガス供給系7及びクリーニングガス供給系9を模式的に示した図である。図2に示されるように、処理ガス供給系7は、一端がシャワーヘッド4の上部に接続しているとともに、他端がアルゴンガスのようなキャリアガスを収容したキャリアガスタンク71に接続した配管72を有している。ここで、以下、シャワーヘッド4が配設されている側を下流側とし、キャリアガスタンク71が配設されている側を上流側として説明する。
【0036】
配管72は、後述する処理ガス混合器82を介して複数の系統、例えば3系統に分けられている。3系統に分けられた配管72a、72b、72cには処理ガスを構成する原料、例えばハフニウム系原料、ジルコニウム系原料、及びアルミニウム系原料を収容した原料タンク73a、73b、73cが後述する第1のバイパス管75a、75b、75c及び第2のバイパス管77a、77b、77cを介して接続されている。
【0037】
原料タンク73aには、例えばハフニウム系原料として、Hf(t−OCやHf[N(Cが収容されており、原料タンク73bには、例えばジルコニウム系原料としてZr(t−OCやZr[N(Cが収容されており、原料タンク73cには、例えばアルミニウム系原料としてAl(OCやAl(OCHが収容されている。
【0038】
また、配管72a、72b、72c及び原料タンク73a、73b、73cには、バルブ74a、74b、74cを介在させた第1のバイパス管75a、75b、75cがそれぞれ接続されている。また、配管72a、72b、72c及び原料タンク73a、73b、73cには、第1のバイパス管75a、75b、75cより下流側に位置し、かつバルブ76a、76b、76cを介在させた第2のバイパス管77a、77b、77cがそれぞれ接続されている。バルブ74a、74b、74cを開放し、第1のバイパス管75a、75b、75cからキャリアガスを原料タンク73a、73b、73c内に供給してバブリングすることにより、原料タンク73a、73b、73c内に収容された原料が気化する。なお、これらの気化した原料は第2のバイパス管77a、77b、77cを介して配管72a、72b、72cに導入される。
【0039】
第1のバイパス管75a、75b、75cより上流側の配管72a、72b、72cには、マスフローコントローラ78a、78b、78c及びバルブ79a、79b、79cが介在している。マスフローコントローラ78a、78b、78cが調節されることにより、キャリアガスの流量が調節される。
【0040】
第2のバイパス管77a、77b、77cより下流側の配管72a、72b、72cには、ニードルバルブ80a、80b、80cが介在している。ニードルバルブ80a、80b、80cが調節されることにより、原料タンク73a、73b、73c内の圧力が調節され、原料の供給量が調節される。
【0041】
さらに、第1のバイパス管75a、75b、75cと第2のバイパス管77a、77b、77cとの間の配管72a、72b、72cにはバルブ81a、81b、81cが介在している。
【0042】
また、3系統に分けられた配管72a、72b、72cには、処理ガス混合器82が接続されており、原料タンク73a〜73cのいずれかひとつの原料を選択して供給したり、或いは、必要に応じて原料タンク73a、73b、73c内で気化した原料を所定の割合で混合した処理ガスとして供給できるようになっている。
【0043】
処理ガス混合器82には、配管72dを介して酸素ボンベのような酸素源73dが配設されている。配管72dの途中にはバルブ80dが配設されており、酸素流量を調節する。
【0044】
処理ガス混合器82より下流側の配管72には、バルブ83が介在している。バルブ83を開放することにより、単独の処理ガス、又は混合された処理ガスが所定の流量でシャワーヘッド4に供給される。
【0045】
クリーニングガス供給系9は、上述した処理ガス供給系7とほぼ同様な構成を採用している。即ち、シャワーヘッド4が配設された側を下流側とし、キャリアガスを収容したキャリアガスタンク91が配設された側を上流側とすると、上流側から下流側にかけて、配管92にはバルブ93、マスフローコントローラ94、バルブ95、ニードルバルブ96、およびクリーニングガス混合器140が介在している。
【0046】
また、マスフローコントローラ94とバルブ95との間の配管92にはバルブ97を介在させた第1のバイパス管98、及びバルブ95とニードルバルブ96との間の配管92にはバルブ99を介在させた第2のバイパス管100が接続されている。
【0047】
クリーニングガス混合器140には、水又はエタノール供給系130、N供給系110、およびO供給系120がそれぞれ配設されている。水又はエタノールタンク131内の水またはエタノール、Nボンベ111内のN2、およびOボンベ121内のOは所定の割合で混合され、混合クリーニングガスとして供給される。水又はエタノールタンク131の周囲には、水又はエタノールを加熱して、気化させるヒータ132が配設されている。
【0048】
第1及び第2のバイパス管98、100には、β−ジケトンとしてのヘキサフルオロアセチルアセトン(Hhfac)を収容したHhfacタンク101が接続されている。ここで、β−ジケトンとしては、例えばHhfacのようなカルボニル基に結合したアルキル基がハロゲン原子を有しているβ−ジケトンを使用することが好ましい。このようなβ−ジケトンが好ましいとしたのは、ハロゲン原子は誘起効果が大きいので、この影響からカルボニル基の酸素原子の電子密度が小さくなり、この酸素原子に結びついている水素原子が水素イオンとして解離し易くなるからである。この解離が起こり易いほど反応性は高くなる。
【0049】
第1のバイパス管98のバルブ97を開放し、第1のバイパス管98からキャリアガスをHhfacタンク101内に供給してバブリングすることによりHhfacタンク101内に収容されたHhfacが気化する。気化したHhfacは第2のバイパス管100及び配管92を介してクリーニングガス混合器140に送られ、O、N、水又はエタノールと所定の割合で混合され、クリーニングガスとしてシャワーヘッド4内に供給される。
【0050】
次に、本実施の形態に係るCVD処理装置1で行われる成膜工程及びCVD処理装置1のクリーニング工程のフローについて説明する。なお、成膜工程中及びクリーニング工程中は、真空ポンプ11が作動しているものとする。
【0051】
図3は本実施の形態に係るCVD処理装置1で行われる成膜のフローを示したフローチャートであり、図4は本実施の形態に係るCVD処理装置1のクリーニングのフローを示したフローチャートである。図5は本実施の形態に係るCVD処理装置1のクリーニング工程を模式的に示した垂直断面図である。
【0052】
まず、CVD処理装置1で行われる成膜工程について説明する(ステップ1)。最初に、図示しない外部電源から抵抗発熱体15に電流を流すとともに、外部電源21から抵抗発熱体20に電流を流して、処理チャンバ3及びサセプタ19を成膜温度まで加熱する(ステップ1(1))。
【0053】
処理チャンバ3及びサセプタ19を成膜温度まで加熱した後、ゲートバルブ16を開き、図示しない搬送アームで絶縁性物質の薄膜が形成されていないウェハWを処理チャンバ3内に搬入し、上昇したリフタピン23上に載置する。その後、リフタピン23が下降してサセプタ19上にウェハWを載置する(ステップ1(2))。
【0054】
ウェハWをサセプタ19上に載置した後、バルブ79a、バルブ74a、バルブ76a、ニードルバルブ80a、80d、及びバルブ83を開放するとともにマスフローコントローラ78aを調節して原料タンク73a内にキャリアガスを供給する。このキャリアガスが原料タンク73a内の原料をバブリングして、原料を気化させる。気化した各原料は処理ガス混合器82に導入され混合された後、処理ガスとしてシャワーヘッド4内に供給される。この処理ガスをシャワーヘッド4の吐出孔6から吐出させることによりウェハWの被成膜面に絶縁性物質の薄膜の形成が開始される。また、成膜の際には、シャットオフバルブ13を開放して、処理チャンバ3内を真空排気する(ステップ1(3))。
【0055】
ここで、ウェハWに絶縁性物質の薄膜を形成する際に、処理チャンバ3内、具体的には例えば処理チャンバ3内壁及びサセプタ19にも絶縁性物質が付着する。
【0056】
ウェハWに絶縁性物質の薄膜を形成した後、バルブ79a、バルブ74a、バルブ76a、ニードルバルブ80a、80d、及びバルブ83を閉じて処理ガスの供給を停止して、絶縁性物質の薄膜の形成を終了する(ステップ1(4))。
【0057】
その後、リフタピン23が上昇して、サセプタ19上からウェハWを離間させるとともにパージガスを供給しながら、ゲートバルブ16を開き、図示しない搬送アームで処理チャンバ3から絶縁性物質の薄膜が形成されたウェハWを搬出する(ステップ1(5))。
【0058】
続いて、処理チャンバ3内のクリーニング工程について説明する(ステップ2)。 絶縁性物質の薄膜が形成されたウェハWを処理チャンバ3内から搬送した後、抵抗発熱体15で処理チャンバ3を300℃以上450℃以下、好ましくは350℃以上425℃以下に加熱する(ステップ2(1a))。
【0059】
処理チャンバ3を300℃以上450℃以下に加熱した後、バルブ93、バルブ97、バルブ99、ニードルバルブ96を開放するとともに、マスフローコントローラ94でキャリアガスの流量を調節してキャリアガスをHhfacタンク101内に供給する。このキャリアガスがHhfacタンク101内のHhfacをバブリングして、Hhfacを気化させる。バブリングにより気化したHhfacはクリーニングガス混合器140で水またはエタノール、N2、及びOと混合され、クリーニングガスとしてシャワーヘッド4を介して処理チャンバ3内に供給される。これにより、処理チャンバ3内のクリーニングが開始される。また、本実施の形態では、シャットオフバルブ13を開放して、真空排気しながらクリーニングを行う(ステップ2(2a))。ここで、クリーニング時の処理チャンバ3内の圧力は、1.33×10Pa以上1.33×10Pa以下に維持される。なお、クリーニング時の処理チャンバ3内の圧力は、3.33×10Pa以上9.96×10Pa以下に維持することがより好ましい。
【0060】
クリーニングの際に生じる現象を具体的に説明すると、まず、クリーニングガスに含まれるHhfacが処理チャンバ3内に拡散して処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質に接触する。Hhfacが絶縁性物質に接触すると、Hhfacと絶縁性物質とが反応して、図5(a)に示されるように絶縁性物質を構成する物質の錯体が形成される。また、処理チャンバ3内はシャットバルブ13の開放で真空排気されているので、この錯体は容易に気化して処理チャンバ3内壁及びサセプタ19から離間する。さらに、離間した錯体は、図5(b)に示されるように速やかに排気管12を介して処理チャンバ3外へ排出されるので、処理チャンバ3内から絶縁性物質が取り除かれる。
【0061】
処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質を十分に取り除いた後、バルブ93、バルブ97、バルブ99、ニードルバルブ96を閉じてクリーニングガスの供給を停止して、処理チャンバ3内のクリーニングを終了する(ステップ2(3a))。
【0062】
本実施の形態では、処理チャンバ3が300℃以上450℃以下に加熱された状態で、クリーニングが行われるので、十分なクリーニング効果を得ることができる。即ち、処理チャンバ3を300℃以上450以下に加熱した状態で、クリーニングを行うことにより、クリーニングガスに含まれるHhfacの分解が抑制される。これにより、絶縁性物質とHhfacとが反応し易くなり、絶縁性物質を構成する物質の錯体が形成され易くなる。それ故、十分なクリーニング効果を得ることができる。
【0063】
本実施の形態では、処理チャンバ3内の圧力が1.33×10Pa以上1.33×10Pa以下に維持された状態で、クリーニングが行われるので、十分なクリーニング効果を得ることができる。即ち、処理チャンバ3内の圧力を1.33×10Pa以上1.33×10Pa以下に維持した状態で、クリーニングを行うことにより、絶縁性物質を構成する物質の錯体が気化し易くなる。また、絶縁性物質とHhfacとの衝突頻度が向上し、絶縁性物質を構成する物質の錯体が形成され易くなる。それ故、十分なクリーニング効果を得ることができる。
【0064】
本実施の形態では、クリーニングガスにOが含まれているので、十分なクリーニング効果を得ることができる。
本実施の形態では、シャットオフバルブ13を開放して真空排気しながらクリーニングが行われるので、絶縁性物質を構成する物質の錯体が生成した直後に錯体を気化させることができる。
【0065】
本実施の形態では、Hhfacにより絶縁性物質を直接錯体化するので、クリーニングを行う際の工程数が少なく、短時間で簡単に処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質を取り除くことができる。
【0066】
本実施の形態では、βジケトンとして絶縁性物質と反応し易いHhfacを使用しているので、より確実に処理チャンバ3から絶縁性物質を取り除くことができる。
【0067】
(実施例1)
以下、実施例1について説明する。本実施例では、第1の実施の形態で説明したCVD処理装置1を用いて、絶縁性物質としてHfOとAlをそれぞれ使用したときの温度に対する除去率を測定した。ここで、本実施例では、CVD処理装置1内壁及びサセプタ19に付着したHfOやAlを取り除くのではなく、CVD処理装置1内のサセプタ19上にHfOやAlの薄膜が形成されたウェハWを載置して、クリーニングガスでウェハWに形成されたHfOやAlの薄膜を取り除いた。
【0068】
処理チャンバ3内にHhfacを375sccm、窒素ガスを200sccm、酸素ガスを50sccmの流量で供給した。なお、クリーニングガスに1000ppmの含有量で水分を含有させた。また、調圧バルブ14を調節して、クリーニング時の処理チャンバ3内の圧力を約6.65×10Paに維持した。
【0069】
処理チャンバ3内を上記状態に維持しながら温度を変えて10分間クリーニングを行った。図6(A)は、本実施例に係るCVD処理装置1のサセプタ19の温度とウェハW上に形成されたHfOのエッチレートとの関係を表したグラフであり、図6(B)は、本実施例に係るCVD処理装置1のサセプタ19の温度とウェハW上に形成されたAlの除去率との関係を表したグラフである。
【0070】
図6(A)に表すように、350℃から400℃にかけてHfOのエッチレートが上昇してピークを示すことが確認された。また図6(B)に表すように、300℃から400℃にかけてAlの除去率が上昇してピークを示すことが確認された。
【0071】
図7はHhfacの化学構造を模式的に示した図である。Hhfacのようなβ−ジケトンは互変異性を備えている。そのため図7(A)に示したように、Hhfacは構造Iと構造IIとの2つの構造をとり得る。
【0072】
その結果、C=O結合とC−C結合との間にわたって共有電子が非局在化する。かくして構造IIのO−H結合が離れ易くなる。この状態のHhfacの近傍に金属原子M等のプラスに帯電した分子があると、上記構造IIのO−H結合が外れたHhfacが配位して図7(B)のような錯体を形成すると考えられる。こうして金属原子Mに複数のHhfacが配位して形成された錯体の状態となるため、処理チャンバ内から容易に除去されると考えられる。なお、β−ジケトンであれば、Hhfacに限らず、このような反応が起こるものと考えられる。
【0073】
以上のように、上記第1の実施形態に係る方法に従ってHhfacを用いて処理チャンバ3のクリーニングを行った場合、300℃以上450℃以下の実用的な温度範囲で十分クリーニングを行うことができることが確認された。
【0074】
(比較例1)
以下、本発明の比較例1について説明する。本比較例では、上記実施例1と同じ装置を使用し、Hhfacの代わりにClリモートプラズマを用いた以外は上記実施例1と同様の条件でクリーニング実験を行った。図8に結果を示す。図8(A)は、本比較例に係るCVD処理装置1のサセプタ19の温度とウェハW上に形成されたHfOのエッチレートとの関係を表したグラフであり、図8(B)は、本実施例に係るCVD処理装置1のサセプタ19の温度とウェハW上に形成されたAlの除去率との関係を表したグラフである。
【0075】
図8(A)に示したように、300℃から400℃にかけてHfOのエッチレートが上昇してピークを示すことが確認されたが、Hhfacに比べてクリーニングレートが低いことが確認された。
【0076】
一方、図8(B)の結果を見ると、300℃以上400℃以下の実用可能な温度範囲においてもAlの除去率はゼロのまま変化していない。400℃以上の高温に上げても除去率が向上する様子も観察されない。この結果からAlについてはClリモートプラズマを用いてクリーニングすることは困難であると考えられる。
【0077】
以上のように、絶縁性物質について、Clリモートプラズマを用いてクリーニングすることは困難であることが確認された。
【0078】
(比較例2)
以下、本発明の比較例2について説明する。本比較例では、上記実施例1と同じ装置を使用し、Hhfacの代わりにNFリモートプラズマを用いた以外は上記実施例1と同様の条件でクリーニング実験を行った。図9に結果を示す。図9(A)は、本比較例に係るCVD処理装置1のサセプタ19の温度とウェハW上に形成されたHfOのエッチレートとの関係を表したグラフであり、図9(B)は、本実施例に係るCVD処理装置1のサセプタ19の温度とウェハW上に形成されたAlの除去率との関係を表したグラフである。
【0079】
図9(A)に示したように、400℃から500℃にかけてHfOのエッチレートが上昇する傾向を示すことが確認された。この結果から判断すると、HfOについてはNFリモートプラズマを用いてクリーニングするにはチャンバ内の温度を400℃以上に上げることが必要であると考えられる。
【0080】
一方、図9(B)の結果を見ると、300℃以上400℃以下の実用可能な温度範囲においてもAlの除去率はゼロのまま変化していない。400℃以上の高温に上げても除去率が向上する様子も観察されない。この結果からAlについてはNFリモートプラズマを用いてクリーニングすることは困難であると考えられる。
【0081】
以上のように、NFリモートプラズマを用いてクリーニングする場合、チャンバ内の温度を400℃以上の高温に維持する必要があるが、絶縁性物質の種類によっては400℃以上に昇温してもクリーニングできない場合があることが確認された。換言すれば、300℃以上400℃以下の実用的な温度範囲でのクリーニングは困難であることが確認された。
【0082】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2について説明する。本実施例では上記実施例1と同じ装置を使用してクリーニングガスに含まれるOとエッチレートとの関係を調べた。なお、HhfacとNとは、Hhfac:N=375:200(sccm)の割合で混合した。この混合ガス中の水分含有量は1000ppmであった。この混合ガスを6.65×10Paの圧力でチャンバ内に供給し、このチャンバ内にOを供給した。Oの流量を徐々に増加させてHfO膜のエッチレートを求めた。結果を図10に示した。
【0083】
図10はOの流量を横軸にとり、縦軸にHfO膜のエッチレートをプロットしたグラフである。図10のグラフから分かるように、Oを50sccm供給した場合と、Oを供給しない場合とではHfO膜のエッチング速度が飛躍的に向上しているのが観察された。この結果から、クリーニングガスにOを含ませることが好ましいと考えられる。
【0084】
(実施例3)
以下、本発明の実施例3について説明する。本実施例では上記実施例1と同じ装置を使用してクリーニングの最適化条件を調べた。クリーニングガスとしてHhfac,O,Nの混合ガスを使用した。この混合ガス中の水分含有量は1000ppmであった。
【0085】
上記混合ガスをチャンバ内に供給し、処理圧力、処理温度、およびHhfacの流量を変化させて、処理結果に対する影響を調べた。図11に結果を示した。
【0086】
図11(A)はクリーニングガスの処理圧力を横軸にとり、縦軸にHfO膜のエッチレートをプロットしたグラフである。なお、処理条件はHhfac/O/Nの流量比が375/50/200(sccm)、処理温度が400℃、水分含有量が1000ppmであった。
【0087】
図11(A)のグラフから分かるように、処理圧力はクリーニングガスの処理圧力が約6.65×10Paの時にエッチレートがピークとなる。これはクリーニングガス中のHhfacとHfOとの衝突頻度と生成する錯体の脱離速度は、クリーニングガスの処理圧力が約6.65×10Paの時にピークを迎えるためと考えられる。
【0088】
図11(B)はクリーニングガスの処理温度を横軸にとり、縦軸にHfO膜のエッチレートをプロットしたグラフである。なお、処理条件はHhfac/O/N2の流量比が375/50/200(sccm)、処理圧力が6.65×10Pa、水分含有量が1000ppmであった。
【0089】
図11(B)のグラフから分かるように、処理温度は約400℃の時にエッチング速度がピークとなる。これはクリーニングガス中のHhfacがHf原子に配位するためには約400℃程度の熱量が必要であるためと考えられる。
【0090】
一方、処理温度が425℃付近になるとエッチング速度が著しく低下している。これは425℃になるとHhfac自身が熱のために分解してしまうためであると考えられる。
【0091】
図11(C)はクリーニングガス中のHhfacの流量を横軸にとり、縦軸にHfO膜のエッチング速度をプロットしたグラフである。なお、処理条件はHhfac:O:Nの組成比が375:50:200、処理温度が400℃、水分含有量が1000ppmであった。
【0092】
図11(C)のグラフから分かるように、クリーニングガス中のHhfacの流量は約375sccmの時にエッチレートがピークとなる。
【0093】
一方、クリーニングガス中のHhfacの流量が450sccm付近になるとエッチレートが著しく低下している。これはHhfacの流量が約450sccm以上になると被処理体の表面温度が低下するためと考えられる。
【0094】
(実施例4)
以下、本発明の実施例4について説明する。本実施例では上記実施例1と同じ装置を使用してクリーニングガス中に含まれる水分の影響を調べた。結果を図12に示す。図12(A)はクリーニングガス中の水分を横軸にとり、縦軸にHfO膜のエッチレートをプロットしたグラフであり、図12(B)は、クリーニングガス中のエタノール濃度を横軸にとり、縦軸にHfO膜のエッチレートをプロットしたグラフである。
【0095】
処理条件はHhfac/N/Oの流量比が375/200/50(sccm)、処理圧力が6.65×10Paであった。図12(A)から分かるように、水分濃度が0から約600ppmまで緩やかに上昇し、約700ppm辺りにピークが見られる。また、図12(B)から分かるように、エタノールの場合は添加濃度が1000ppmのときにエッチレートの上昇が確認された。
【0096】
以上の結果から、クリーニングガスに含まれる水分およびエタノール濃度はクリーニング対象となる物質の種類によって異なるが、大体50ppm以上5000ppm以下の範囲が好ましく、100ppm以上1000ppm以下の範囲が更に好ましいと考えられる。
【0097】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下本実施の形態以降の実施の形態のうち先行する実施の形態と重複する内容については説明を省略する。
【0098】
本実施の形態では、処理チャンバ3内にクリーニングガスを溜めて処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質を錯化した後に、処理チャンバ3内を真空排気する構成とした。
【0099】
図13は本実施の形態に係るCVD処理装置1のクリーニングのフローを示したフローチャートであり、図14は本実施の形態に係るCVD処理装置1のクリーニング工程を模式的に示した垂直断面図である。まず、絶縁性物質の薄膜が形成されたウェハWを処理チャンバ3内から搬送した後、処理チャンバ3の外壁に巻回された抵抗発熱体15で処理チャンバ3を加熱する(ステップ2(1b))。
【0100】
処理チャンバ3を加熱した後、バルブ93、バルブ97、バルブ99、及びニードルバルブ96を開放してクリーニングガスを処理チャンバ3内に供給する(ステップ2(2b))。
【0101】
このクリーニングガスが処理チャンバ3内に拡散し、処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質に接触すると、絶縁性物質を構成する物質の錯体が形成される。ここで、本実施の形態では、シャットオフバルブ13は閉じられており、図14(a)に示されるように、処理チャンバ3内に供給されたクリーニングガスは、真空排気されることなく処理チャンバ3内に溜められている。
【0102】
十分に錯体が形成された後、バルブ93、バルブ97、バルブ99、及びニードルバルブ96を閉じてキャリアガス及びクリーニングガスの供給を停止するとともにシャットオフバルブ13を開放して処理チャンバ3内を真空排気する(ステップ2(3b))。この真空排気により、錯体は気化して、図14(b)に示されるように処理チャンバ3内壁及びサセプタ19から離間するとともに、速やかに排気管12を介して処理チャンバ3外へ排出される。その後、十分に錯体を処理チャンバ3外へ排出して、クリーニングを終了する。
【0103】
このように、本実施の形態では、処理チャンバ3内にクリーニングガスを溜めて絶縁性物質を構成する物質の錯体を形成した後に、処理チャンバ3内を真空排気するので、処理チャンバ3内の隅々までクリーニングガスが行き届き、より確実に処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質を取り除くことができるという特有の効果が得られる。また、クリーニングガスを処理チャンバ3内に溜めた後、真空排気するので、クリーニングガスを節約することができ、コストの低減を図ることができる。
【0104】
(第3の実施の形態)
以下、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、処理チャンバ3内にクリーニングガスを溜めて絶縁性物質を構成する物質の錯体を形成した後に、処理チャンバ3内を真空排気するという一連の処理を断続的に繰り返し行う構成とした。図15は本実施の形態に係るCVD処理装置のクリーニングのフローを示したフローチャートである。図15に示されるように、絶縁性物質の薄膜が形成されたウェハWを処理チャンバ3内から搬送した後、抵抗発熱体15で処理チャンバ3を加熱する(ステップ2(1c))。
【0105】
処理チャンバ3を加熱した後、バルブ93、バルブ97、バルブ99、及びニードルバルブ96を開放してクリーニングガスを処理チャンバ3内に供給し、絶縁性物質を構成する物質の錯体を形成する(ステップ2(2c))。錯体が形成された後、バルブ93、バルブ97、バルブ99、及びニードルバルブ96を閉じてクリーニングガスの供給を停止するとともにシャットオフバルブ13を開放して処理チャンバ3内を真空排気する(ステップ2(3c))。
【0106】
十分に錯体を処理チャンバ3外へ排出した後、処理チャンバ3内に付着している絶縁性物質の量を確認する(ステップ2(4c))。この確認作業は直接処理チャンバ3内壁の絶縁性物質付着状態或いはモニタリング用のウェハに形成された絶縁性物質の薄膜の残存量を確認することによって行うことが可能である。また、処理チャンバ3に設けられた図示しない観察窓を利用して、赤外分光法により確認することも可能である。処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質の量を確認した結果、処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質が十分に取り除かれている場合には、クリーニングを終了する。
【0107】
反対に処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質の量を確認した結果、処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質が十分に取り除かれていない場合には、上記ステップ2(2c)〜ステップ2(4c)の操作を繰り返し行い、最終的に処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質がなくなるまでクリーニング操作を継続する。
【0108】
このように、本実施の形態では、処理チャンバ3内にクリーニングガスを溜めて絶縁性物質を構成する物質の錯体を形成した後に、処理チャンバ3内を真空排気するという一連の処理を断続的に繰り返し行うので、錯体形成と排出とが完全に行われ、効率良く処理チャンバ3内に付着した絶縁性物質を取り除くことができるという特有の効果が得られる。
【0109】
なお、本発明は上記第1〜第3の実施の形態の記載内容に限定されるものではなく、構造や材質、各部材の配置等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば第1〜第3の実施の形態では、CVD処理装置として熱を利用したCVD処理装置1を用いて説明しているが、プラズマを利用したCVD処理装置を用いることも可能である。
【0110】
第1〜第3の実施の形態では、基板処理装置としてCVD処理装置1を用いて説明しているが、物理気相成長処理装置(PVD処理装置)及びメッキ処理装置のような成膜装置、エッチング処理装置、或いは化学的機械的研磨処理装置(CMP処理装置)を用いることも可能である。また、第1〜第3の実施の形態では、基板としてウェハWを用いて説明しているが、液晶用のLCDガラス基板を用いることも可能である。
【0111】
【発明の効果】
以上、詳説したように、本発明の基板処理装置のクリーニング方法によれば、十分なクリーニング効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るCVD処理装置を模式的に示した垂直断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るCVD処理装置の処理ガス供給系及びクリーニングガス供給系を模式的に示した図である。
【図3】第1の実施の形態に係るCVD処理装置で行われる成膜のフローを示したフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態に係るCVD処理装置のクリーニングのフローを示したフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係るCVD処理装置のクリーニング工程を模式的に示した垂直断面図である。
【図6】実施例1に係るCVD処理装置のサセプタ温度とウェハW上に形成された絶縁膜のエッチング速度との関係を表したグラフである。
【図7】Hhfacの化学構造を模式的に示した図である。
【図8】比較例1に係るCVD処理装置のサセプタ温度とウェハW上に形成された絶縁性膜のエッチレートとの関係を表したグラフである。
【図9】比較例2に係るCVD処理装置のサセプタ温度とウェハW上に形成された絶縁性膜のエッチレートとの関係を表したグラフである。
【図10】Oの供給量とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
【図11】クリーニングガスの処理圧力、処理温度、およびHhfac流量と、HfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
【図12】クリーニングガス中の水分およびエタノール濃度と、HfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
【図13】第2の実施の形態に係るCVD処理装置のクリーニングのフローを示したフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態に係るCVD処理装置のクリーニング工程を模式的に示した垂直断面図である。
【図15】第3実施の形態に係るCVD処理装置のクリーニングのフローを示したフローチャートである。
【符号の説明】
W…ウェハ、1…CVD処理装置、2…処理チャンバ、7…処理ガス供給系、9…クリーニングガス供給系、10…真空排気系、19…サセプタ。

Claims (17)

  1. 内部に絶縁性物質が付着した基板処理装置の処理チャンバを300℃以上450℃以下に加熱した状態で、前記絶縁性物質と前記処理チャンバ内に供給されたクリーニングガスに含まれるβ−ジケトンとを反応させて、前記絶縁性物質を構成する物質の錯体を形成する錯体形成工程と、
    前記処理チャンバ内から前記錯体を排出する錯体排出工程と、
    を具備することを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。
  2. 前記錯体形成工程は、前記処理チャンバを約400℃に加熱しながら行われることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  3. 内部に絶縁性物質が付着した基板処理装置の処理チャンバ内の圧力を1.33×10Pa以上1.33×10Pa以下に維持した状態で、前記絶縁性物質と前記処理チャンバ内に供給されたクリーニングガスに含まれるβ−ジケトンとを反応させて、前記絶縁性物質を構成する物質の錯体を形成する錯体形成工程と、
    前記処理チャンバ内から前記錯体を排出する錯体排出工程と、
    を具備することを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。
  4. 内部に絶縁性物質が付着した基板処理装置の処理チャンバ内にβ−ジケトンと酸素とを含むクリーニングガスを供給して、前記絶縁性物質と前記β−ジケトンとを反応させ、前記絶縁性物質を構成する物質の錯体を形成する錯体形成工程と、
    前記処理チャンバ内から前記錯体を排出する錯体排出工程と、
    を具備することを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。
  5. 前記錯体排出工程は、前記錯体形成工程が行われている状態で行われることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  6. 前記錯体排出工程は、前記錯体形成工程後に行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  7. 前記錯体形成工程と前記錯体排出工程とは、繰り返し交互に行なわれることを特徴とする請求項6記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  8. 前記絶縁性物質は、Al,Zr,Hf,La,Y,Pr,Ceのうちの少なくとも1種を含む高誘電性物質であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  9. 前記クリーニングガスは、水を含んでいることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  10. 前記水は、前記クリーニングガス中に50ppm以上5000ppm以下の割合で含まれていることを特徴とする請求項9記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  11. 前記クリーニングガスは、アルコールを含んでいることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  12. 前記アルコールは、前記クリーニングガス中に50ppm以上5000ppm以下の割合で含まれていることを特徴とする請求項11記載の基板処理装置。
  13. 前記アルコールは、エタノールであることを特徴とする請求項11又は12記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  14. 前記クリーニングガスは、キャリアガスを含んでいることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  15. 前記β−ジケトンは、
    (CO)CH(CO)R
    (R,Rはそれぞれアルキル基又はハロゲン化アルキル基である。)
    で表される物質であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  16. 前記β−ジケトンは、ヘキサフルオロアセチルアセトンであることを特徴とする請求項15記載の基板処理装置のクリーニング方法。
  17. 前記基板処理装置は、成膜装置であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の基板処理装置のクリーニング方法。
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