JP4762229B2 - 車両空調装置 - Google Patents
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Description
また、1つの空調ユニットが故障したときに、他の空調ユニットの能力に余裕があっても、故障したユニットが対応していたゾーンの空調が不十分となる問題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、空調能力を変更する必要ができた場合に、容易に対応可能な車両空調装置を得るものである。また第2の目的は、複数の空調ユニットの一部が故障しても、他の空調ユニットを利用して車内空間の適切な空調が可能となる車両空調装置を得るものである。
図1はこの発明の実施形態1に係る車両空調装置の適用例を示す模式図である。図1において、この車両空調装置が適用される車両1(電車、バス等種別は問わない)は、人や貨物が乗る室内空間2と、各種の機器等が納められる床下空間3からなるものとする。ここでは、床下空間3に車両空調装置を構成する2台の空調ユニット30,30が設けられている。それぞれの空調ユニット30,30には、発熱装置であるヒータ5と、冷熱発生装置である冷房装置6と、室内ファン7と、室外ファン8とが備えられている。冷房装置6は、図2に示すような、圧縮機60、蒸発器61、凝縮器62、膨張弁63等からなる冷凍サイクルにより構成されている。また、室内空気が蒸発器61に入る部分には、室温センサ50が備えられている。
なお、本発明の車両空調装置は、狭い意味では組合せて使用される複数の空調ユニット30,30だけ指すが、広い意味では空調ユニット30,30に加えて、室温センサ50や空調ユニット30に付随するダクト4,4A,4Bまでも含む。
空調ユニット30は、既に説明したように、ヒータ5と冷房装置6を備える。この空調ユニット30の場合、2kWの発熱量を有するヒータ5が3本備えられており、3本のヒータ5を合わせた発熱量は6kWとなっている。各ヒータ5,5,5は、それぞれ対応するリレー9,9,9によりその通電状態が制御されて、その動作(発熱)が制御される。 一方、冷房装置6は1台だけ備えられており、冷房装置6の発生熱量は、それを構成している圧縮機60の運転周波数を変えることで制御される。この空調ユニット30の場合、圧縮機60の運転周波数制御はインバータ10を利用して行っている。
さらに、空調ユニット30は、リレー9及びインバータ10の動作を制御する制御装置20を備えている。
なお、圧縮機60の運転周波数と冷房装置6の発生熱量の関係は、例えば表1に示すようになっている。表1において、マイナスの値は冷却の熱量を示している。
なお、PI制御部21とヒータ発熱量設定部22と冷房熱量設定部24とを総称して、供給熱量設定手段と称するものとする。また、ヒータ発熱量設定部22と冷房熱量設定部24とを総称して、発熱量/冷熱量設定部と称するものとする。さらに、ヒータ通電率制御部23と圧縮機周波数制御部25とを総称して、駆動制御手段と称するものとする。
この制御装置20は、上記各部の機能がプログラムされたマイクロコンピュータなどから構成されている。
ヒータ発熱量設定部22は、PI制御部21からの供給熱量指令値Qと、運転可能情報保持部26から得たヒータの運転が可能な空調ユニット30の台数及び運転が可能なヒータ5の本数とにより、その空調ユニット30のヒータ5が発生すべき熱量を設定する。
ヒータ通電率制御部23は、ヒータ発熱量設定部22にて設定された熱量に基づき、ヒータ5に通電を行うリレー9を制御(通電率制御)する。
冷房熱量設定部24は、PI制御部21からの供給熱量指令値Qと、運転可能情報保持部26から得た冷房運転が可能な空調ユニット30の台数及び運転が可能な冷房装置6の台数とにより、その空調ユニット30の冷房装置6が発生すべき熱量を設定する。
圧縮機周波数制御部25は、冷房熱量設定部24にて設定された熱量に基づき冷房装置6を構成する圧縮機60の運転周波数を設定し、その設定値をインバータ10へ送信する。
運転可能情報保持部26は、ヒータ5、冷房装置6のそれぞれについてそれらの故障を検出し、ヒータ5、冷房装置6のそれぞれについて運転可能な台数又は本数を記憶しておく。なお、運転可能情報保持部26に記憶されている情報は、各空調ユニット間で通信されて共有される。
制御装置20のPI制御部21では、目標温度と室内温度との偏差に比例ゲインをかけたものと、さらにその偏差を時間積分し積分ゲインをかけたものの和から供給熱量指令値Qを算出している。これは、室内温度をフィードバックした比例積分制御であり、この制御により室内温度を目標温度に制御しようとするものである。
運転可能情報保持部26は、その空調ユニット30のヒータ5、冷房装置6が運転可能かどうかを検出し、運転可能なヒータ5と冷房装置6の個数(台数又は本数)情報を他の空調ユニット30との間で交換する。なお、室内ファン7による送風が不可能な場合はヒータ5、冷房装置6を共に運転不可とする。
PI制御部21で生成された供給熱量指令値Qは、ヒータ発熱量設定部22と冷房熱量設定部24に送られる。
ヒータ発熱量設定部22と冷房熱量設定部24では、供給熱量指令値Qを基にその空調ユニット30のヒータ5や冷房装置6が発生すべき熱量(供給熱量と同意)を設定する。その設定は、それらの設定部に予め記憶された設定パターンに従って行われる。なお、その設定パターンは、冷房装置6の冷房熱量や所定の変数を基に熱量設定対応表としてまとめられている。この熱量設定対応表の一例を表2に示す。
一方、冷房装置6に故障がある場合を考える。冷房装置6が故障している空調ユニット30がある場合には、運転可能情報保持部26から、冷房装置6の運転が可能な空調ユニット30の台数を入手して変数Nに用いる。図5はこのような変数Nの設定方法を示しているフローチャートである。
なお、冷房装置を備えていない空調ユニットが有る場合、その空調ユニットは変数Nの中に含めない。
このように、熱量の設定を熱量設定対応表を利用して行うことで、冷房装置6の特性変更を行う場合にも、熱量設定対応表の修正のみで対応できることになり、制御アルゴリズムを変えることなく簡単に対応が可能となる。
Nu台の空調ユニットでそれぞれne本のヒータを利用するとき、N番目の空調ユニットのn番目のヒータの位相を、
((N−1)÷(Nu×ne)+(n−1)÷ne)×Ts、ただしTsは通電周期、
とする。これにより、それぞれのヒータのタイミングが、1÷(Nu×ne)周期づつずれるので、複数のヒータが同時にオンオフすることを避けることができる。
・空調ユニットの台数を基に各空調ユニットのヒータ5と冷房装置6の発生熱量を設定するようにしているので、備えられている空調ユニットの台数が変更になった場合でも、簡単に対応することができる。
・ヒータ5と冷房装置6の運転可能情報に基づき、ヒータ5と冷房装置6の発生熱量を設定するようにしているので、故障が発生したときでも安定した制御が可能になる。
・ヒータ5と冷房装置6が発生すべき熱量パターンを表にして、すなわちテーブル化して保持し、それを基に制御しているため、冷房装置6の特性変更を行う場合、表の修正のみで対応でき、制御アルゴリズムを変えることなく、簡単に対応することができる。
・操作盤40により設定された目標温度情報と、室温センサ50により検出された室内温度情報によるフィードバック演算により総供給熱量を求めているため、使用者は空調装置の供給熱量を意識することなく、目標温度を設定するだけで目的の温調を得ることができる。具体的には、フィードバック演算にPI制御やPID制御を用いることで、±1℃程度の誤差での温調が可能となる。
・圧縮機60の運転周波数を安全の確認の取れている周波数のみで段階的に変化させることで供給熱量を変化させるので、配管系の共振による破壊や故障の発生を避けることができる。なお、運転周波数の変化はインバータ10を利用することで容易に実現できる。
・空調ユニット30の台数と、各空調ユニット30が持つヒータ5の個数によって、各空調ユニット間のヒータ5の通電タイミングのずれ量を決めているため、同時に複数のヒータ5が通電開始することが無く、電源装置への悪影響を避けることができる。
・各空調ユニットにおける運転可能なヒータの本数を比較し、最少の本数となる空調ユニットの運転可能ヒータ本数に他の空調ユニットのヒータ運転本数を揃えたことにより、ヒータ5の一部が故障した場合でも同時に複数のヒータ5が通電開始することが無く、電源装置への悪影響を避けることができる。
・Nu台の空調ユニットでそれぞれne本のヒータを利用するとき、N番目(識別番号)の空調ユニットのn番目(識別番号)のヒータの位相を、
((N−1)÷(Nu×ne)+(n−1)÷ne)×Ts、ただしTsは通電周期、
としたため、同時に複数のヒータが通電開始することが無く、電源装置への悪影響を避けることができる。
・使用するすべてのヒータの通電率が等しくなるようにしたため、同時に複数のヒータが通電開始しない場合、同時に複数のヒータが通電終了することもなくなり、電源装置への悪影響を避けることができる。
実施形態1では、複数の空調ユニットのそれぞれの発生熱量が等しくなるようにしていたが、実施形態2では、複数の空調ユニットの発生熱量が必ずしも等しくはない例を示す。なお、車両と空調ユニットの配置の関係は図1とに、冷房装置の構成は図2にそれぞれ同じである。
図6は本発明の実施形態2の車両空調装置の構成及び制御信号の流れを示すブロック図である。この車両空調装置は、順位が付与されている2台の空調ユニット30A,30Aと、操作盤40、室温センサ50を有している。各空調ユニット30Aには1本のヒータ5Aとそれを制御する1個のリレー9が備えられている。ヒータ5Aの発熱量は2.5kWとする。また、1台の冷房装置6が備えられ、その発生熱量はインバータ10による圧縮機60の運転周波数制御により制御される。なお、圧縮機60の周波数と冷房装置6の発生熱量の関係は、実施形態1で示した表1と同様とする。また、実施形態1と同様の制御装置20が備えられている。
また、複数の空調ユニットからの各吐出空気が混合された後で室内に供給されるようにしているので、異なる温度の吹き出し風による不快感を与えることを回避することができる。
さらに、空調ユニットの台数に加え、全体の空調ユニットの中における自らの順位を基に、各空調ユニットの発熱装置及び冷熱発生装置の発生熱量を設定するようにしているので、空調ユニットによって動作が異なる場合でも、表による発生熱量の設定が可能となる。
Claims (12)
- 供給熱量を設定する供給熱量設定手段と、1つの発熱装置及び1つの冷熱発生装置と、前記供給熱量設定手段で設定された供給熱量に基づいて前記発熱装置及び冷熱発生装置の動作を制御する駆動制御手段とを有した空調ユニットを複数台備え、
前記複数の空調ユニットが組み合わされて運転されることにより所定の熱量が車両の室内に供給されるようにしている車両空調装置において、
前記供給熱量設定手段は、目標温度と実際の室内温度に基づいて前記複数の空調ユニットの総供給熱量の指令値を算出する総供給熱量演算部と、前記総供給熱量の指令値及び前記空調ユニットの台数を基に、各空調ユニットの発熱装置及び冷熱発生装置の発生熱量を設定する発熱量/冷熱量設定部とを有し、
各空調ユニットは、自己が有する発熱装置及び冷熱発生装置についてそれぞれ運転が可能か否かの運転可能情報を保持するとともに、他の空調ユニットと前記運転可能情報を送受してその情報を共有する運転可能情報保持部を備え、
各空調ユニットの前記発熱量/冷熱設定部は、各空調ユニット毎に定められた設定パターンにしたがって前記発熱装置及び冷熱発生装置の発生熱量を設定するものであり、
前記設定パターンは、前記供給熱量の指令値が所定値以下の冷房熱量であるとき、ある空調ユニットの冷熱発生装置は予め定められた最も低い設定値で運転され、他の空調ユニットの冷熱発生装置は停止される一方、運転可能な各空調ユニットの発熱装置の発熱量は同じとなるように設定されている、ことを特徴とする車両空調装置。 - 前記複数の各空調ユニットが、1つの発熱装置と冷熱発生量を調整可能な1つの冷熱発生装置を備えたものにおいて、
前記発熱量/冷熱量設定部は、前記複数の空調ユニットのうち冷熱発生装置が運転可能な空調ユニットの台数Nを判定し、該判定値Nを利用して当該空調ユニットの発熱装置の発熱量を設定することを特徴とする請求項1記載の車両空調装置。 - 前記発熱量/冷熱量設定部は、あらかじめテーブル化された前記発熱装置及び冷熱発生装置についての発生熱量パターンを持ち、該パターンに基づいて前記発熱装置及び冷熱発生装置の発生熱量を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両空調装置。
- 室内温度の目標値を設定する目標温度設定手段と室内温度を検出する室内温度検出手段とを有し、
前記総供給熱量演算部は、前記目標温度設定手段により設定された目標温度情報と、前記室内温度検出手段により検出された室内温度情報とを基にしたフィードバック演算を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の車両空調装置。 - 前記冷熱発生装置は圧縮機を含んだ冷凍サイクルから構成され、前記圧縮機の運転周波数を段階的に変化させるインバータを備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の車両空調装置。
- 前記駆動制御手段は、前記発熱装置に対して繰返し周期の通電を行うものであり、その通電時間の割合を変化させることで、前記発熱装置の発熱量を巨視的に連続変化させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の車両空調装置。
- 前記空調ユニットの台数と、各空調ユニットが有する発熱装置の個数に基づいて、各空調ユニット間の発熱装置の通電タイミングのずれ量が設定可能とされていることを特徴とする請求項6記載の車両空調装置。
- 前記各空調ユニットのうち運転可能な発熱装置が最も少ない空調ユニットの運転可能発熱装置の個数に合わせて各空調ユニットで運転する発熱装置の個数を決定し、前記各空調ユニットの台数と各空調ユニットで運転する発熱装置の個数とによって、各空調ユニット間の発熱装置の通電タイミングのずれ量を決めることを特徴とする請求項7記載の車両空調装置。
- Nu台のユニットがそれぞれne個の発熱装置の運転を行うとき、1番目のユニットの1番の発熱装置とN番目のユニットのn番の発熱装置の通電タイミングのずれ量が、
((N−1)÷(Nu×ne)+(n−1)÷ne)×Ts、ただしTsは通電周期、
で表されることを特徴とする請求項8記載の車両空調装置。 - 使用する全ての発熱装置の通電率が等しく設定されていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか一項に記載の車両空調装置。
- 発熱運転をする空調ユニットと冷熱運転をする空調ユニットとを組み合わせて目的の熱量を得ることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の車両空調装置。
- 複数の空調ユニットからの各吐出空気が混合されて室内に供給されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の車両空調装置。
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