JP4761377B2 - ブロンズ構造を有する、Mo含有酸化物の製造方法 - Google Patents

ブロンズ構造を有する、Mo含有酸化物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ブロンズ構造を有し、Moを含有する酸化物、及びその製造方法、その用途に関する。
最近、プロピレン又はイソブチレンに代わって、プロパン又はイソブタンを原料とし、気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応によって不飽和ニトリルや不飽和カルボン酸を製造する技術が着目されており、多数の触媒が提案されている。それらの中でも特に注目されている触媒は、モリブデンを主成分とするMo−V−Te−Nb又はMo−V−Sb−Nbから構成される酸化物触媒であり、例えば特許文献1又は2等に開示されている。これらが着目される理由は、不飽和ニトリルや不飽和カルボン酸の選択率が比較的高く、そのうえ、反応が420〜450℃と低い温度で運転されているためである。
上記特許文献等に開示されている酸化物触媒には、特許文献3又は4等に開示されているように2種類の複合酸化物が含まれていることがわかっている。2種類のうちの一つの複合酸化物は、Cu−Kα線を用いて得られるX線回折図において、6.7°、7.9°、9.0°、22.2°、27.3°、35.4°、45.2°付近にピークをもつ複合酸化物であり、かかる複合酸化物は特許文献3ではphase−iと呼ばれている。一方、前述の2種類のうちの他の複合酸化物は、Cu−Kα線を用いて得られるX線回折図において、22.2°、28.3°、36.2°、45.1°、50.0°付近にピークをもつ複合酸化物であり、かかる複合酸化物は特許文献3ではphase−kと呼ばれている。
このうち、プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応によって不飽和ニトリルや不飽和カルボン酸を製造することに有用な相は、phase−iであり、例えば、特許文献3や4の実施例等に記載されているようにphase−iを含む触媒は、酸化反応やアンモ酸化反応に対する触媒活性が大きいものの、phase−iを含まずphase−kのみを含む触媒は酸化反応やアンモ酸化反応に対する触媒活性がないことが知られている。
phase−iもphase−kも比較的類似の組成で生成するが、phase―kは比較的幅広い組成領域で生成するのに対して、phase−iの組成領域は狭く、更に適切な触媒調製の条件も必要になるため、phase−iの生成する組成領域はますます狭い。phase−kの生成する組成領域のある一部の領域でphase−iが生成して両相が共存している、ということが生じている。これまでphase−iが得られて、活性の高い触媒は限られているが、このことは例えば、特許文献1、2以降に出願されている特許文献において、大多数が特許文献1、2とほぼ同じ組成で得られていることからも明らかである。
一般に、phase−kは6中心のみのトンネル構造を有するのに対して、phase−iは5中心、6中心、7中心のトンネル構造を有し4つの構成元素の原子を所定の位置に存在させるために、phase−iの生成条件は非常に厳しくなっていると考えられている。以上は、ある特定の構造を作ることが極めて重要であることを物語るものであり、特に今注目されている構造であるphase−iについては、このことが一層顕著に重要である。
かかる背景のもと、phase−iという酸化物を生成させる方法や、その生成比率を高める方法が望まれている。
特開平5−208136号公報 特開平9−157241号公報 特開平10−330343号公報 特開平11−239725号公報
本発明の目的は、phase−iと呼ばれる複合酸化物の製造方法を提供することにある。
かかる事情に鑑み、本発明者らは、下記式(I)で示される組成を含有し、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が6.7±0.3°、7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、35.2±0.3°及び45.2±0.3°の位置に回折ピークをもつ酸化物の製造方法を鋭意検討していたところ、Cs、Rb、K、Naから選ばれる少なくとも1種の元素を添加することによって、該回折ピークを有する酸化物をより効率的に製造できることを見いだし、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 少なくとも下記式(I)で示される組成を含有し、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が6.7±0.3°、7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、35.2±0.3°及び45.2±0.3°の位置に回折ピークをもつ酸化物の製造方法において、
Mo1abNbcn(I)
(式中、XはSb、Teから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、a、b、c及びnは、Mo1原子あたりの原子比を表し、a、b、cは、各々0.01≦a<1.0、0.01≦b<1.0、0.01≦c<1.0であり、nは、構成金属の酸化状態によって決まる原子比である。)
Cs及びRbから選ばれる少なくとも1種の元素を添加する工程を含むことを特徴とする酸化物の製造方法、
[2] 前記Cs及びRbから選ばれる少なくとも1種の元素は、Mo1原子に対して0.01〜0.4の原子比の量で添加することを特徴とする前項[1]に記載の製造方法、
[3] Cs及びRbの炭酸塩及び/又は硝酸塩を用いることを特徴とする前項[1]又は[2]に記載の製造方法、
[4] 実質的に酸素を含まない不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を、さらに含むことを特徴とする前項[1]ないし[3]のうち何れか一項に記載の製造方法、
[5] 前項[1]ないし[4]のうち何れか一項に記載の方法で製造された酸化物、
[6] アルカンの気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応によって不飽和カルボン酸又は不飽和ニトリルを製造する方法において、
前記アルカンを、前項[5]に記載の酸化物と接触させる工程を含むことを特徴とする不飽和カルボン酸又は不飽和ニトリルの製造方法、
を提供する。
本発明の製造方法によって、phase−iという酸化物を生成させたり、その生成比率を高めることが可能になる。
以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
本発明に係る製造方法は、少なくとも下記式(I)で示される組成を含有し、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が6.7±0.3°、7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、35.2±0.3°及び45.2±0.3°の位置に回折ピークをもつ酸化物の製造方法において、Cs及びRbから選ばれる少なくとも1種の元素を、Mo1原子に対して0.01〜0.4の原子比の量で添加して酸化物を製造する工程を含む。
Mo1abNbcn(I)
(式中、XはSb、Teから選ばれる少なくとも1種の元素を表す。a、b、c及びnはMo1原子あたりの原子比を表す。a、b、cは各々0.01≦a<1.0、0.01≦b<1.0、0.01≦c<1.0であり、nは、構成金属の酸化状態によって決まる原子比である。)
本発明の式(I)において、aは、好ましくは0.05≦a≦0.4、より好ましくは0.1≦a≦0.3、さらに好ましくは0.15≦a≦0.28である。また、bは、好ましくは0.01≦b≦0.4、より好ましくは0.1≦b≦0.35、さらに好ましくは0.2≦b≦0.33であり、好ましくは、a<bである。さらに、cは、好ましくは0.01≦c≦0.3、より好ましくは0.05≦c≦0.2、さらに好ましくは0.05≦c≦0.15である。なお、式(I)において、Mo1原子当たりの原子比であるa、b及びcの値は、構成元素の仕込み組成比を示し、nは構成金属の酸化状態によって決まる原子比である。
本発明における式(I)の組成に加えて、W、Cr、Ti、Al、Ta、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、B、In、Ge、Sn、P、Pb、Bi、Y、Ga、希土類元素及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を含んでもよく、好ましくは、ZがAl、Ge、Sn、Zr、W、Ti、Cr、Ti、Ta、Re、B、In、P、Bi、Y、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含んでもよい。その添加量は、Mo1原子に対して0≦d≦1の原子比の量、好ましくは0≦d≦0.5の原子比の量、より好ましくは0≦d≦0.1原子比の量である。
本発明に係る製造方法では、Cs及びRbから選ばれる少なくとも1種の元素を、好ましくはCsを添加する。添加量は、Mo1原子に対して、0.01〜0.4の原子比の量であり、好ましくは0.03〜0.2の原子比の量であり、より好ましくは0.05〜0.1の原子比の量である。
本発明に係る製造方法により製造される酸化物の回折角(2θ)は、6.7±0.2°、7.8±0.2°、8.9±0.2°、22.1±0.2°、27.1±0.2°、35.2±0.2°及び45.2±0.2°の位置に回折ピークを持つ、好ましくは6.7±0.1°、7.8±0.1°、8.9±0.1°、22.1±0.1°、27.1±0.1°、35.2±0.1°及び45.2±0.1°の位置に回折ピークを持つ。
本発明に係る製造方法によりphase−iを生成させる理由は定かではないが、phase−kは6中心のみのトンネル構造を有するのに対して、phase−iは5中心、6中心、7中心のトンネル構造を有しており、Cs及びRbがこうした複雑なトンネル構造を生成させるテンプレートの役割を果たしていると推測される。phase−iとphase−kの比率をあらわす一つの指標は、下記式(II)によって定義されるRである。Rの定義は特開2005−211874号公報に詳述されている。
R=I27.1/(I27.1+I28.1) (II)
(式中、I27.1は、回折角(2θ)が27.1±0.3°の位置に観測されるピークの強度を表わし、I28.1は、回折角(2θ)が28.1±0.3°の位置に観測されるピーク)の強度を表わす。)
本発明に係る製造方法によって、phase−iが出現するか、又は、phase−iの比率が大きくなる。Rで表現すれば、本発明の方法によってRの値は大きくなる。
本発明に係る製造方法により製造される酸化物は、担体に担持させてもよい。担体としては公知の担体を用いることができるが、好ましくはシリカである。シリカの重量は好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは20重量%〜50重量%である。
シリカの重量%は、(I)式の酸化物の重量をW1、シリカの重量をW2として、下記の式(III)式で定義される。W1は、仕込み組成と仕込み金属成分の酸化数に基づいて算出された重量である。W2は、仕込み組成に基づいて算出された重量である。
シリカの重量%=100×W2/(W1+W2) (III)
本発明の酸化物を製造するための原料は下記の化合物を用いることができる。Cs及びRbの原料としては、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、酸化物を用いることができるが、好ましくは炭酸塩、硝酸塩である。より好ましくは、炭酸セシウム、硝酸セシウムである。
モリブデン原料としては、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸化物、モリブデン酸、モリブデンのオキシ塩化物、モリブデンの塩化物、モリブデンのアルコキシド等を用いることができ、好ましくはヘプタモリブデン酸アンモニウムである。
バナジウム原料としては、メタバナジン酸アンモニウム、酸化バナジウム(V)、バナジウムのオキシ塩化物、バナジウムのアルコキシド等を用いることができ、好ましくはメタバナジン酸アンモニウム、酸化バナジウム(V)である。
アンチモン原料としては、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(IV)、酸化アンチモン(V)、メタアンチモン酸(III)、アンチモン酸(V)、アンチモン酸アンモニウム(V)、塩化アンチモン(III)、塩化酸化アンチモン(III)、硝酸酸化アンチモン(III)、アンチモンのアルコキシド、アンチモンの酒石酸塩等の有機酸塩、金属アンチモン等を用いることができ、好ましくは酸化アンチモン(III)である。
テルルの原料としては、テルル酸、金属テルル等を用いることができ、好ましくはテルル酸である。
ニオブの原料としては、シュウ酸水溶液にニオブ酸を溶解させた水溶液を好適に用いることができる。シュウ酸/ニオブのモル比は1〜10であり、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4である。得られた水溶液に過酸化水素を添加してもよい。過酸化水素/ニオブのモル比は好ましくは0.5〜10であり、より好ましくは2〜6である。
W、Cr、Ti、Al、Ta、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、B、In、Ge、Sn、P、Pb、Bi、Y、Ga、希土類元素及びアルカリ土類金属の原料としては、シュウ酸塩、水酸化物、酸化物、硝酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、炭酸塩、アルコキシド等を用いることができる。
本発明において、担体としてシリカを用いる場合は、原料としてシリカゾルが好適に用いられる。
本発明に係る製造方法は、下記の原料調合、乾燥及び焼成の3つの工程を含む。なお、以下の製造例では、Csを用いて説明するが、本発明に係る製造方法は、Csのみに限定されるものではない。
<原料調合工程>
Xがアンチモンの場合を説明する。ヘプタモリブデン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム、酸化アンチモン(III)を水に懸濁させ、好ましくは70〜100℃、1〜5時間攪拌しながら反応させる。得られたモリブデン、バナジウム、アンチモンを含有する混合液を空気酸化、又は過酸化水素等によって液相酸化し混合液(A)を得る。液相酸化に過酸化水素水を用いる場合は、過酸化水素/Sbのモル比は、好ましくは0.5〜2である。目視でオレンジ色〜茶色になるまで酸化するのが好ましい。一方、ニオブ酸をシュウ酸水溶液に溶解してニオブ原料液を調製する。ニオブ原料液に過酸化水素水を添加しておくことが好ましい。混合液(A)にニオブ原料液を添加する。
XがTeの場合を説明する。ヘプタモリブデン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム及びテルル酸を水に溶解して混合液(A)を得る。一方、ニオブ酸をシュウ酸水溶液に溶解してニオブ原料液を調製する。ニオブ原料液に過酸化水素水を添加しておくことが好ましい。混合液(A)にニオブ原料液を添加する。
炭酸セシウムを上記調合順序のいずれかのステップにおいて炭酸セシウムを添加して酸化物原料液を得ることができる。
シリカ担持酸化物を製造する場合には、上記調合順序のいずれかのステップにおいてシリカゾルを添加して酸化物原料液を得ることができる。
W、Cr、Ti、Al、Ta、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、B、In、Ge、Sn、P、Pb、Bi、Y、Ga、希土類元素及びアルカリ土類金属を含む酸化物を製造する場合には、上記調合順序のいずれかのステップにおいてこれらを含む原料を添加して酸化物原料液を得ることができる。
<乾燥工程>
原料調合工程で得られた酸化物原料液を噴霧乾燥法又は蒸発乾固法によって乾燥させ、乾燥粉体を得ることができる。噴霧乾燥法における噴霧化は、遠心方式、二流体ノズル方式又は高圧ノズル方式を採用することができる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーターなどによって加熱された空気を用いることができる。このとき熱風の乾燥機入口温度は150〜300℃が好ましい。噴霧乾燥は、簡便には100℃〜300℃に加熱された鉄板上へ酸化物原料液を噴霧することによって行うこともできる。
<焼成工程>
乾燥工程で得られた乾燥粉体を焼成することによって酸化物を得ることができる。焼成は、回転炉、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉等を用い、実質的に酸素を含まない窒素等の不活性ガス雰囲気下、好ましくは、不活性ガスを流通させながら、500〜900℃、好ましくは570〜800℃、より好ましくは580〜700℃で実施することができる。焼成時間は0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。不活性ガス中の酸素濃度は、ガスクロマトグラフィー又は微量酸素分析計で測定して1000ppm以下、好ましくは、100ppm以下である。この焼成は反復することができる。この焼成の前に大気雰囲気下又は大気流通下で200℃〜420℃、好ましくは250℃〜350℃で10分〜5時間前焼成することができる。また、焼成の後に大気雰囲気下で200℃〜400℃、5分〜5時間、後焼成することもできる。
このようにして製造された酸化物は、ブロンズ構造の用途として知られている用途、例えば、酸化反応の触媒、燃料電池用の触媒、導電性材料として、あるいはこうした用途の出発物質として用いることができる。
以下に示す本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は以下の実施例等に制限されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができ、かかる変更は本願特許請求の範囲に包含される。
[比較例1]
(酸化物の調製)
組成式が、Mo10.33Nb0.11Te0.40nで表現される酸化物を次のようにして調製した。水160gに、ヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕39.0g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕8.53g及びテルル酸〔H6TeO6〕20.30gを加え、攪拌下、60℃に加熱して溶解させた後、30℃まで冷却して混合液(A)を得た。水50gに、Nb2 5 として76重量%を含有するニオブ酸を4.25gとシュウ酸二水和物〔H224・2H2 O〕22.9gを加え、攪拌下、60℃に加熱して溶解させて混合液(B)を得た。混合液(A)に混合液(B)を添加し、30分間攪拌して原料調合液を得た。得られた原料調合液を140℃に加熱したテフロンコーティング鉄板上に噴霧して、乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体10gを磁性皿にとり、大気雰囲気下、260℃で2時間焼成し、ついで内径20mmの石英管に充填し、350Ncc/min.の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物を得た。
(XRDの測定方法)
マックサイエンス(株)製MXP−18型を用いて、得られた酸化物のXRDを測定した。
酸化物約0.5gをメノウ乳鉢にとり、メノウ乳棒を用いて2分間徒手的に粉砕した後に分級し、粒子径53μm以下の酸化物粉末を得た。得られた酸化物粉末を、XRD測定用の試料台の表面にある窪み(長さ20mm、幅16mmの長方形状、深さ0.2mm)に乗せ、平板状のステンレス製スパチュラを用いて押しつけて、表面を平らにして試料を調製した。X線回折は以下の条件で測定した。
X線源 :CuKα1+CuKα2
検出器 :シンチレーションカウンター
分光結晶 :グラファイト
管電圧 :40kV
管電流 :190mA
発散スリット :1°
散乱スリット :1°
受光スリット :0.3mm
スキャン速度 :1°/分
サンプリング幅:0.02°
スキャン法 :2θ/θ法
(XRDの測定結果)
22.2°、28.3°、36.2°、45.1°、50.0°にピークを有するphase−kが生成し、phase−i特有のピークである、6.7°、7.8°、8.9°、27.1°、35.2°にはピークを有さなかった。phase−iとphase−kの比率をあらわす一つの指標であるRは0であった。
[実施例1]
(酸化物の調製)
炭酸セシウム〔Cs2CO3〕2.16gを原料調合液に添加し30分間攪拌した以外は、比較例1の酸化物の調製を反復して、組成式がMo10.33Nb0.11Te0.40Cs0.06nで表現される酸化物を得た。
(XRDの測定結果)
得られた酸化物について、比較例1と同じ条件でXRDを測定した。phase−kのピーク以外に、phase−i特有のピークである6.7°、7.8°、8.9°、27.1°、35.2°にもピークを有しており、phase−iを生成させることができた。Rは0.19であった。
[実施例2]
(酸化物の調製)
炭酸セシウム〔Cs2CO3〕3.60gを原料調合液に添加し30分間攪拌した以外は、比較例1の酸化物の調製を反復して、組成式がMo10.33Nb0.11Te0.38Cs0.10nで表現される酸化物を得た。
(XRDの測定結果)
得られた酸化物について、比較例1と同じ条件でXRDを測定した。phase−kのピーク以外に、phase−i特有のピークである6.7°、7.8°、8.9°、27.1°、35.2°にもピークを有しており、phase−iを生成させることができた。Rは0.32であった。
[比較例2]
<酸化物調製>
組成式が、Mo10.23Sb0.26Nb0.09n/SiO2(45重量%)で示される酸化物を次のようにして調製した。
水1000gにヘプタモリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724・4H2O]250g、メタバナジン酸アンモニウム[NH4VO3]38.1g、酸化アンチモン(III)[Sb23]53.6gを添加し、油浴を用いて100℃で2時間、大気下で還流して反応させ、この後、50℃に冷却し、続けてシリカ含有量30重量%のシリカゾルを829g添加した。30分攪拌した後、5重量%過酸化水素水250gを添加し、50℃で1時間撹拌することによって酸化処理を行い、混合液(a)を得た。この酸化処理によって液色は濃紺色から茶色へと変化した。
水150gにNb25換算で76重量%を含有するニオブ酸22.3g、シュウ酸二水和物[H224・2H2O]43.4gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ原料液を得た。
該ニオブ原料液を上記混合液(a)に添加し、空気雰囲気下、50℃で30分間撹拌して酸化物原料液を得た。
得られた酸化物原料液を、遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600Ncc/min.の窒素ガス流通下、640℃で2時間焼成して酸化物を得た。
(XRDの測定結果)
得られた酸化物について、比較例1と同じ条件でXRDを測定した。phase−kのピーク以外に、phase−i特有のピークである6.7°、7.8°、8.9°、27.1°、35.2°にもピークを有していた。phase−iを生成させることができた。Rは0.09であった。
[実施例3]
(酸化物の調製)
炭酸セシウム〔Cs2CO3〕11.5gを原料調合液に添加し30分間攪拌した以外は、比較例2の酸化物の調製を反復して、組成式がMo10.23Sb0.26Nb0.09nCs0.05/SiO2(45重量%)で表現される酸化物を得た。
(XRDの測定結果)
得られた酸化物について、比較例1と同じ条件でXRDを測定した。phase−kのピーク以外に、phase−i特有のピークである6.7°、7.8°、8.9°、27.1°、35.2°にもピークを有しており、phase−iを生成させることができた。Rは0.18であり、phase−iの比率を増加させることができた。
[実施例4]
(酸化物の調製)
炭酸セシウム〔Cs2 CO3 〕23.0gを原料調合液に添加し30分間攪拌した以外は、比較例2の酸化物の調製を反復して、組成式がMo10.23Sb0.26Nb0.09nCs0.10/SiO2(45重量%)で表現される酸化物を得た。
(XRDの測定結果)
得られた酸化物について、比較例1と同じ条件でXRDを測定した。phase−kのピーク以外に、phase−i特有のピークである6.7°、7.8°、8.9°、27.1°、35.2°にもピークを有しており、phase−iを生成させることができた。Rは0.30であり、phase−iの比率を増加させることができた。
本発明に係る製造方法によって、phase−iという酸化物を生成させたり、その生成比率を高めることが可能になる。そのため、プロパン又はイソブタンを原料とする気相アンモ酸化反応や気相接触酸化反応により不飽和ニトリルや不飽和カルボン酸を製造する際の触媒としての産業上の利用可能性を有する。

Claims (3)

  1. 少なくとも下記式(I)で示される組成を含有し、CuKα線をX線源として得られる
    X線回折図において、回折角(2θ)が6.7±0.3°、7.8±0.3°、8.9±
    0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、35.2±0.3°及び45.2
    ±0.3°の位置に回折ピークをもつ酸化物の製造方法において、
    Mo1abNbcn(I)
    (式中、XはSb、Teから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、a、b、c及びnは
    、Mo1原子あたりの原子比を表し、a、b、cは、各々0.01≦a<1.0、0.0
    1≦b<1.0、0.01≦c<1.0であり、nは、構成金属の酸化状態によって決まる原子比である。)
    前記酸化物が、Cs及びRbから選ばれる少なくとも1種の元素を、Mo1原子に対して0.01〜0.4の原子比で含有し、
    原料調合工程において、Cs及びRbから選ばれる少なくとも1種の元素をMo1原子に対して0.01〜0.4の原子比の量で添加する工程を含むことを特徴とする酸化物の製造方法。
  2. Cs及びRbの炭酸塩及び/又は硝酸塩を用いることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 実質的に酸素を含まない不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を、さらに含むことを特徴
    とする請求項1又は2に記載の製造方法。
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