本発明の課題は、前記従来技術の不都合を改善し、大規模な改装工事を施すことなく、車両の長さを自動測定するための設備を導入することのできる車長計測システムおよび車長計測方法を提供することにある。
本発明の車長計測システムは、車両の先端部に配備された第一の狭域通信用無線通信装置と、前記車両の後端部に配備された第二の狭域通信用無線通信装置と、前記車両に実装された速度検出器と、前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置および前記速度検出器に電気的に接続された車載制御装置と、前記車両の走行経路の近傍に位置する計測所に設置された計測所側狭域通信用無線通信装置と、前記計測所側狭域通信用無線通信装置に接続されたコンピュータとを有する車長計測システムであり、前記課題を達成するため、特に、
前記車載制御装置には、前記計測所側狭域通信用無線通信装置に前記車両が接近することによって前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置の各々が前記計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能となった時点で前記速度検出器が検出している走行速度の値を前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置を介して前記計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて送信する現在速度送信手段を設け、
前記コンピュータには、前記計測所側狭域通信用無線通信装置が前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置から受信した走行速度の値と其の受信時刻の差に基いて前記車両の長さを求める車長算出手段を設けたことを特徴とする構成を有する。
以上の構成において、走行経路に沿って進む車両が計測所に接近すると、まず、車両の先端部に配備された第一の狭域通信用無線通信装置と計測所に設置された計測所側狭域通信用無線通信装置との間での無線通信が可能となる。
車載制御装置の現在速度送信手段は、第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との間での無線通信が可能となった時点で車両の速度検出器が検出している走行速度の値を第一の狭域通信用無線通信装置を介して計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて送信する。そして、計測所側狭域通信用無線通信装置に接続されたコンピュータが、この走行速度の値と走行速度の受信時刻とを一時記憶するか、あるいは、この走行速度の値を一時記憶すると共に経過時間の計測を開始する。
次いで、走行経路に沿って車両が更に進むと、車両の後端部に配備された第二の狭域通信用無線通信装置と計測所に設置された計測所側狭域通信用無線通信装置との間での無線通信が可能となる。
車載制御装置の現在速度送信手段は、第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との間での無線通信が可能となった時点で車両の速度検出器が検出している走行速度の値を第二の狭域通信用無線通信装置を介して計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて送信する。そして、計測所側狭域通信用無線通信装置に接続されたコンピュータが、この走行速度の値と走行速度の受信時刻とを一時記憶するか、あるいは、この走行速度の値を一時記憶して経過時間の計測を終了する。
その後、コンピュータの車長算出手段が、前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置から受信した走行速度の値と其の受信時刻の差、つまり、第二の狭域通信用無線通信装置が送信した走行速度の値を受信した時刻から第一の狭域通信用無線通信装置が送信した走行速度の値を受信した時刻を減じた値、もしくは、第一の狭域通信用無線通信装置が送信した走行速度の値を受信してから第二の狭域通信用無線通信装置が送信した走行速度の値を受信するまでの経過時間に基いて車両の長さを求める。長さは速度に時間を乗じた値であるから、第一,第二の狭域通信用無線通信装置から受信した走行速度の値の平均に前記受信時刻の差もしくは経過時間の測定値を乗じるか、あるいは、第一,第二の狭域通信用無線通信装置から受信した走行速度の何れか一方を走行速度を代表する値とし、この値に前記受信時刻の差もしくは経過時間の測定値を乗じることによって求められる。
このように、車両の前後に配備された第一,第二の狭域通信用無線通信装置と速度検出器および車載制御装置と、計測所に設置された計測所側狭域通信用無線通信装置およびコンピュータとからなる簡便な構成であり、狭域通信のみによって車両の長さを測定するものであるから、光電管センサ,超音波センサ,ドップラーレーダ,レーザセンサ等を路側に配備する場合とは違って計測所の周囲に大規模な改装工事を施す必要がなく、車両の長さを自動測定するために必要とされる車長計測システムの導入プロジェクトを安価に達成することができる。
また、車両の電子制御が一般化した昨今では、パルスコーダやF/V変換器あるいはタコジェネレータ等からなる回転数検出器や該回転数検出器からの出力信号を処理して走行速度を算出するエンジンコントロールユニットを速度検出器として利用することができ、更には、速度検出器としての機能を兼ね備えたカーナビゲーションシステム等を速度検出器として利用することもできるので、車両側に複雑な追加工を行なって新たに速度検出器を実装するといった必要もなく、車両を所有するユーザ側のコスト負担も少ない。
あるいは、計測所側狭域通信用無線通信装置に前記車両が接近することによって第一の狭域通信用無線通信装置が前記計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能となった時点で速度検出器が検出している走行速度の値を所定周期毎にサンプリングして一時記憶する処理を開始し、第二の狭域通信用無線通信装置が前記計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能となった時点で前記一時記憶された走行速度の値を前記第二の狭域通信用無線通信装置を介して前記計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて纏めて送信するサンプリング速度送信手段を前記車載制御装置に設け、
前記計測所側狭域通信用無線通信装置が前記第二の狭域通信用無線通信装置から受信した走行速度の値とサンプリング周期とに基いて前記車両の長さを求める車長算出手段をコンピュータに設けるようにしてもよい。
この場合、第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となってから第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となるまでの経過時間を仮にT’とし、サンプリング周期をΔtとすれば、このT’の間に〔T’/Δt〕=i(但し、iは整数値)のサンプリング処理が実行される。
つまり、第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点における走行速度V(1),第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点からΔtが経過した時点での走行速度V(2),第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点から2・Δtが経過した時点での走行速度V(3),・・・,第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となる直前の時点における走行速度V(i)の合わせてi個の走行速度が抽出され、第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点で、サンプリング速度送信手段が、これらi個の走行速度を纏めて第二の狭域通信用無線通信装置から計測所側狭域通信用無線通信装置に送信することになる。
車両の長さは、第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となってから第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となるまでの経過時間すなわち車両の走行時間の範囲内で、車両の走行速度を時間によって積分したものであるから、サンプリング周期Δtの間に走行速度に変動がないものと仮定すれば、コンピュータの車長算出手段は、〔V(1)・Δt+V(2)・Δt+V(3)・Δt+,・・・,+V(i)・Δt〕の演算式を実行して離散的な積分処理を行なうことで、車両の長さを概ね正確に求めることができる。
前述の車載制御装置はETCの車載端末によって構成することができる。
ETCの車載端末は狭域通信に対応した構成を有し、また、演算処理用のマイクロプロセッサを内蔵しているので、この車載端末と車両側の速度検出器つまりエンジンコントロールユニットやカーナビゲーションシステム等とを接続するインターフェイスを設けた上で車載端末におけるマイクロプロセッサの制御プログラムを更新すれば、ETCの車載端末を車長計測システムの車載制御装置として兼用することができ、また、ETCのゲートに設置されたETC用の狭域通信用無線通信装置を前述の計測所側狭域通信用無線通信装置として兼用することもできる。
このように、ETCの車載端末を車長計測システムの車載制御装置として兼用することによって車長計測システムの導入に要するコストを更に軽減することができる。
あるいは、前述の車載制御装置に代えて、前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置の各々に、前記計測所側狭域通信用無線通信装置に前記車両が接近することによって前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置の各々が前記計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能となった時点で前記速度検出器が検出している走行速度の値を前記計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて送信する現在速度送信手段を設けるようにしてもよい。
このような構成を適用した場合は、第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との間での無線通信が可能となった時点で、第一の狭域通信用無線通信装置の現在速度送信手段が車両の走行速度の値を第一の狭域通信用無線通信装置を介して計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて送信し、また、第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との間での無線通信が可能となった時点で、第二の狭域通信用無線通信装置の現在速度送信手段が車両の走行速度の値を第二の狭域通信用無線通信装置を介して計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて送信する。
計測所側狭域通信用無線通信装置に接続されたコンピュータの処理に関しては前記と同様である。
車両の前後に配備された第一,第二の狭域通信用無線通信装置と速度検出器、ならびに、計測所に設置された計測所側狭域通信用無線通信装置とコンピュータとからなる簡便な構成であるから、計測所の周囲に大規模な改装工事を施す必要はなく、前記と同様、車両の長さを自動測定するために必要とされる車長計測システムの導入プロジェクトを安価に達成することができ、車両を所有するユーザの側のコスト負担も少ない。
あるいは、計測所側狭域通信用無線通信装置に車両が接近することによって第一の狭域通信用無線通信装置が前記計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能となった時点で速度検出器が検出している走行速度の値を所定周期毎にサンプリングして第二の狭域通信用無線通信装置に送信する速度送信手段を第一の狭域通信用無線通信装置に設け、
前記第二の狭域通信用無線通信装置には、前記第一の狭域通信用無線通信装置から送信された走行速度の値を順次一時記憶し、前記第二の狭域通信用無線通信装置が前記計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能となった時点で前記一時記憶された走行速度の値を前記計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて纏めて送信するサンプリング速度送信手段を設け、
コンピュータに、前記計測所側狭域通信用無線通信装置が前記第二の狭域通信用無線通信装置から受信した走行速度の値とサンプリング周期とに基いて前記車両の長さを求める車長算出手段を設けるようにしてもよい。
この場合、第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点における走行速度V(1),第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点からΔtが経過した時点での走行速度V(2),第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点から2・Δtが経過した時点での走行速度V(3),・・・,第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となる直前の時点における走行速度V(i)の合わせてi個の走行速度が抽出され、その都度、速度送信手段によって第二の狭域通信用無線通信装置に送信される。
第二の狭域通信用無線通信装置は、これらi個の走行速度を順次一時記憶しておき、第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点で、サンプリング速度送信手段が、これらi個の走行速度を纏めて第二の狭域通信用無線通信装置から計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて送信する。
車両の長さは、第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となってから第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となるまでの経過時間すなわち車両の走行時間の範囲内で、車両の走行速度を時間によって積分したものであるから、コンピュータの車長算出手段は、〔V(1)・Δt+V(2)・Δt+V(3)・Δt+,・・・,+V(i)・Δt〕の演算式を実行して離散的な積分処理を行なうことにより、車両の長さを概ね正確に求めることができる。
この場合、第一,第二の狭域通信用無線通信装置は車両の前後のスマートプレート(電子ナンバープレート)によって構成することができる。
スマートプレートはITS(高度道路交通システム)プロジェクトの一環として開発されたもので、ETCと同様に狭域通信に対応した構成を有し、また、通信用のICチップを内蔵しているので、このスマートプレートと車両側の速度検出器つまりエンジンコントロールユニットやカーナビゲーションシステム等とを接続するインターフェイスを設けた上でスマートプレートにおけるICの制御プログラムを更新すれば、ITSのスマートプレートを車長計測システムにおける第一,第二の狭域通信用無線通信装置および現在速度送信手段あるいは速度送信手段として兼用することができ、また、同じく狭域通信に対応した路側の狭域通信用無線通信装置(スマートプレートと狭域通信を行なうための無線通信装置)を計測所側狭域通信用無線通信装置として兼用することもできる。
このように、ITSのスマートプレートを車長計測システムにおける第一,第二の狭域通信用無線通信装置および現在速度送信手段あるいは速度送信手段として兼用することによって車長計測システムの導入に要するコストを更に軽減することができる。
更には、前述のコンピュータをETCの料金決済端末に接続し、前記コンピュータが、前記車長算出手段によって算出された車両の長さを前記料金決済端末に送信して、該料金決済端末が、受信した車両の長さに基いて料金決済を行なうようにしてもよい。
車長計測システムによって車両の長さが実測されるので、ETCの車載端末に登録されたナンバー情報(車検証に記載される範囲の情報であって車両の長さを含む情報)に誤りや改竄があった場合でも、車両の長さを的確に検出して其の長さに応じた料金決済を行なうことができる。
また、前記コンピュータをフェリー用の乗船管理端末に接続し、前記コンピュータが、前記車長算出手段によって算出された車両の長さを前記乗船管理端末に送信して、該乗船管理端末が、該車両に対応して予め前記乗船管理端末に登録されている車両の長さと前記コンピュータから受信した車両の長さとの一致不一致を判定するようにしてもよい。
車長計測システムによって車両の長さが実測されるので、予め乗船管理端末に登録されている車両の長さ、つまり、ユーザがフェリーの予約に際して届け出た車両の長さに誤りや偽りがあった場合であっても、車両の長さを的確に検出して其の長さに応じた料金決済を行なうことができる。
また、第一,第二の狭域通信用無線通信装置の各々が計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能となった時点で速度検出器が検出している2つの走行速度の値に基いて車両の長さを求めるとした場合にあっては、前記車長算出手段は、前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置から受信した走行速度の値の平均に受信時刻の差を乗じて車両の長さを求めるように構成することが望ましい。
ETCのゲート等では車両がゲートに進入する際に減速操作が行われる場合が多いが、車両の先端部に位置する第一の狭域通信用無線通信装置が計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能になった時点における走行速度と車両の後端部に位置する第二の狭域通信用無線通信装置が計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能になった時点における走行速度との平均を求め、この平均に受信時刻の差すなわち車両が当該車両の長さに匹敵する距離を走行するのに要した所要時間を乗じることで、概ね正確に車両の長さを求めることが可能である。
第一,第二の狭域通信用無線通信装置の各々が計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能となった時点で速度検出器が検出している2つの走行速度の値に基いて車両の長さを求めるとした場合においては、前述の平均に代え、前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置のうち予め決められた何れか一方から受信した走行速度の値に受信時刻の差を乗じて車両の長さを求めるといったことも可能である。
格別の加減速が行なわれない状況下では、車両の先端部に位置する第一の狭域通信用無線通信装置が計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能になった時点における走行速度と車両の後端部に位置する第二の狭域通信用無線通信装置が計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能になった時点における走行速度とは同一であるから、何れか一方の走行速度を走行速度を代表する値とし、この値に受信時刻の差を乗じることで車両の長さを求めることができる。
本発明の車長計測方法は、車両の先端部に配備された第一の狭域通信用無線通信装置が計測所側狭域通信用無線通信装置との通信可能範囲に侵入した時点で前記計測所側狭域通信用無線通信装置が前記第一の狭域通信用無線通信装置から受信した車両走行速度の値と其の受信時刻を該狭域通信用無線通信装置に接続したコンピュータが一時記憶し、
更に、前記車両の後端部に配備された第二の狭域通信用無線通信装置が前記計測所側狭域通信用無線通信装置との通信可能範囲に侵入した時点で前記計測所側狭域通信用無線通信装置が前記第二の狭域通信用無線通信装置から受信した車両走行速度の値と其の受信時刻を前記コンピュータが一時記憶した後、
前記コンピュータが、該コンピュータに一時記憶している走行速度の値の平均と受信時刻の差を算出し、前記平均に受信時刻の差を乗じて車両の長さを求めることを特徴とした構成を有する。
車両の前後に配備された第一,第二の狭域通信用無線通信装置と計測所に設置された計測所側狭域通信用無線通信装置およびコンピュータとからなる簡便な構成によって車両の長さを求めることができるので、光電管センサ,超音波センサ,ドップラーレーダ,レーザセンサ等を路側に配備する場合とは違って計測所の周囲に大規模な改装工事を施す必要がない。
また、車両の先端部に位置する第一の狭域通信用無線通信装置が計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能になった時点における走行速度と車両の後端部に位置する第二の狭域通信用無線通信装置が計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能になった時点における走行速度との平均を求め、この平均に受信時刻の差つまり車両が当該車両の長さに匹敵する距離を走行するのに要した所要時間を乗じることで車両の長さを求めるようにしているので、車両の長さの測定に際して車両の減速操作や加速操作が行われた場合であっても概ね正確に車両の長さを求めることができる。
あるいは、前述の平均に代え、前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置のうち予め決められた何れか一方から受信した走行速度の値に受信時刻の差を乗じて車両の長さを求めるようにしてもよい。
格別の加減速が行なわれない状況下では、車両の先端部に位置する第一の狭域通信用無線通信装置が計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能になった時点における走行速度と車両の後端部に位置する第二の狭域通信用無線通信装置が計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能になった時点における走行速度とは同一であるから、何れか一方の走行速度と受信時刻の差に基いて車両の長さを求めることができる。
また、前記第一,第二の狭域通信用無線通信装置から車両走行速度の値を受信したときの受信時刻を前記コンピュータに一時記憶する代わりに、
前記第一の狭域通信用無線通信装置からの車両走行速度の値が受信されてから前記第二の狭域通信用無線通信装置からの車両走行速度の値が受信されるまでの経過時間を前記コンピュータが計測し、
この経過時間を前記受信時刻の差に代えて利用することで車両の長さを求めるようにすることも可能である。
受信時刻の差と経過時間とは本質的に同じものである。
あるいは、車両の先端部に配備された第一の狭域通信用無線通信装置が計測所側狭域通信用無線通信装置との通信可能範囲に侵入した時点で速度検出器が検出している走行速度の値を所定周期毎にサンプリングして前記第一の狭域通信用無線通信装置もしくは前記車両の後端部に配備された第二の狭域通信用無線通信装置に一時記憶し、
前記第二の狭域通信用無線通信装置が前記計測所側狭域通信用無線通信装置と通信可能となった時点で前記一時記憶された走行速度の値を前記第二の狭域通信用無線通信装置を介して前記計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて纏めて送信し、
該狭域通信用無線通信装置に接続したコンピュータが、前記第二の狭域通信用無線通信装置から受信した走行速度の値とサンプリング周期とに基いて離散的な積分処理を行って前記車両の長さを求める構成としてもよい。
この場合、第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点における走行速度V(1),第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点からΔtが経過した時点での走行速度V(2),第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点から2・Δtが経過した時点での走行速度V(3),・・・,第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となる直前の時点における走行速度V(i)の合わせてi個の走行速度が抽出され、第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となった時点で、これらi個の走行速度が纏めて第二の狭域通信用無線通信装置から計測所側狭域通信用無線通信装置に向けて送信される。
車両の長さは、第一の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となってから第二の狭域通信用無線通信装置と計測所側狭域通信用無線通信装置との通信が可能となるまでの経過時間すなわち車両の走行時間の範囲内で、車両の走行速度を時間によって積分したものであるから、コンピュータの車長算出手段は、〔V(1)・Δt+V(2)・Δt+V(3)・Δt+,・・・,+V(i)・Δt〕の演算式を実行して離散的な積分処理を行なうことにより、車両の長さを概ね正確に求めることができる。
本発明の車長計測システムおよび車長計測方法は、車両の前後に配備された第一,第二の狭域通信用無線通信装置と計測所に設置された計測所側狭域通信用無線通信装置およびコンピュータを利用し、簡便な狭域通信によって車両の長さを測定することができるので、光電管センサ,超音波センサ,ドップラーレーダ,レーザセンサ等を路側に配備する場合とは違って計測所の周囲に大規模な改装工事を施す必要がなく、車両の長さを自動測定するために必要とされる車長計測システムの導入プロジェクトを安価に達成することができる。
また、システムの主要部を構成する現在速度送信手段や計測所側狭域通信用無線通信装置に関しては、既に一般に広く利用されているETCの車載端末やETCのゲートに設置されたETC用の狭域通信用無線通信装置、あるいは、将来の使用が見込まれるスマートプレートや当該スマートプレートと狭域通信を行なう路側の無線通信装置をプラットフォームとして構築することが可能であり、車長計測システムの導入コストの更なる軽減が可能である。
図1は本発明を適用した一実施例の車長計測システムの構成について示した概念図である。
この実施例の車長計測システム1は、概略において、車両2の先端部に配備された第一の狭域通信用無線通信装置3と、車両2の後端部に配備された第二の狭域通信用無線通信装置4、および、車両2に実装された速度検出器5(図2参照)と、第一,第二の狭域通信用無線通信装置3,4および速度検出器5に電気的に接続された車載制御装置6と、車両2の走行経路Xの近傍に位置する計測所7に設置された計測所側狭域通信用無線通信装置8と、計測所側狭域通信用無線通信装置8に接続されたコンピュータ9によって構成される。
この実施例ではETCの車載端末を利用して車載制御装置6を構成し、ETCのゲートに設置されたETC用の狭域通信用無線通信装置を計測所側狭域通信用無線通信装置8として利用すると共に、ETCのゲートバーの開閉制御等に利用されるゲート制御端末をコンピュータ9として利用している。
第一の狭域通信用無線通信装置3は、車両2のフロントナンバープレートの近傍に装着され、インターフェイス3aを介してETCの車載端末からなる車載制御装置6に接続されている。また、第二の狭域通信用無線通信装置4は、車両2のリアナンバープレートの近傍に装着され、インターフェイス4aを介して車載制御装置6に接続されている。
そして、更に、ゲート制御端末からなるコンピュータ9には、ローカルネットワークあるいは専用回線等を介して、ETCの料金決済端末10が接続されている。
図2は車両2側に実装される第一,第二の狭域通信用無線通信装置3,4と速度検出器5および車載制御装置6の接続関係を簡略化して示した機能ブロック図である。
この実施例における速度検出器5は、本来は車両2におけるエンジン制御や変速制御のために設けられたもので、スロットルの開度を検出するスロットル開度センサ11やクランク回転数を検出するエンジン回転センサ12およびシフトレバーのポジションを検出するシフト位置検出センサ13等と共に入出力回路14を介してエンジンコントロールユニット15に接続されている。速度検出器5の主要部はホイールの回転と連動する動力伝達系路上に設けられたパルスコーダやF/V変換器あるいはタコジェネレータ等によって構成され、マイクロプロセッサ17を備えたエンジンコントロールユニット15側の信号処理によって車両2の走行速度がリアルタイムで求められるようになっている。従って、厳密に言えば、これらのパルスコーダやF/V変換器あるいはタコジェネレータ等にエンジンコントロールユニット15側の信号処理回路を加えたものが速度検出器5である。
ETCの車載端末からなる車載制御装置6にはエンジンコントロールユニット15と接続するためのインターフェイス6aが設けられており、このインターフェイス6aを介して、車載制御装置6のマイクロプロセッサ16がエンジンコントロールユニット15から車両2の走行速度をリアルタイムで読み込めるようになっている。
ここでは、一例として、エンジン制御や変速制御のための速度検出器5を利用して車両2の走行速度を車載制御装置6が認識するようにしたものについて説明したが、速度検出器としての機能を兼ね備えたカーナビゲーションシステムを搭載した車両2の場合においては、カーナビゲーションシステムと接続するためのインターフェイス6aを車載制御装置6に設け、車載制御装置6のマイクロプロセッサ16がカーナビゲーションシステムから走行速度を読み込むようにしてもよい。あるいは、車載故障診断装置(On-Board Diagnosis)を備えた車両2にあっては車載故障診断装置と接続するためのインターフェイス6aを車載制御装置6に設け、車載制御装置6のマイクロプロセッサ16が車載故障診断装置から走行速度を読み込むようにしてもよい。
速度検出機能を備えたカーナビゲーションシステムや車載故障診断装置が車両2に実装されているとは限らないが、少なくとも、車両2の電子制御が一般化した昨今では図2中の速度検出器5およびエンジンコントロールユニット15に相当する装置が車両2に実装されているのが普通であるから、この実施例の車長計測システム1を構築するだけのために車両2に追加工を施したり、改めて速度検出器5を装着したりするといった必要性はなく、車両2を所有するユーザ側のコスト負担は少ない。
この実施例においては、車載制御装置6のマイクロプロセッサ16が現在速度送信手段として機能する。
図3はETCのゲート等を始めとする計測所7の側に配備される計測所側狭域通信用無線通信装置8とコンピュータ9および料金決済端末10の接続関係を簡略化して示した機能ブロック図である。
前述した通り、この実施例ではETCのゲートに設置されたETC用の狭域通信用無線通信装置を計測所側狭域通信用無線通信装置8として利用し、ETCのゲートバーの開閉制御理等に利用されるゲート制御端末をコンピュータ9として利用している。
ゲート制御端末からなるコンピュータ9は、マイクロプロセッサ18,ROM19,RAM20,ハードディスクドライブ21等を備えた通常のコンピュータであり、その入出力回路22には、モニタ23,キーボード24,プリンタ25等が接続されている。図示を省略したゲートバーを開閉するゲート装置26は、インターフェイス26aを介してマイクロプロセッサ18によって駆動制御され、また、計測所側狭域通信用無線通信装置8によって受信された各種のデータは、インターフェイス8aを介してマイクロプロセッサ18に読み込まれるようになっている。また、料金決済端末10は、インターフェイス10aと既に述べたローカルネットワークあるいは専用回線等を介して、コンピュータ9のマイクロプロセッサ18と情報伝達可能に接続されている。
この実施例においては、コンピュータ9のマイクロプロセッサ18が車長算出手段として機能する。
図4は車載制御装置6のマイクロプロセッサ16によって所定周期毎に繰り返し実行される処理を簡略化して示したフローチャート、図5はコンピュータ9のマイクロプロセッサ18によって所定周期毎に繰り返し実行される処理を簡略化して示したフローチャートである。
次に、図4および図5を参照して現在速度送信手段として機能するマイクロプロセッサ16と車長算出手段として機能するマイクロプロセッサ18の処理動作について具体的に説明する。
車載制御装置6のマイクロプロセッサ16は、まず、速度検出器5が現時点で検出している車両2の走行速度の値をインターフェイス6aを介してエンジンコントロールユニット15から読み込み(図4におけるステップa1)、この値を現在速度記憶レジスタRVに一時記憶する(ステップa2)。
次いで、マイクロプロセッサ16は、第一の狭域通信用無線通信装置3が、計測所側狭域通信用無線通信装置8から最初の通信要求(ポーリング信号)を検出しているか否かを判定する(ステップa3)。
そして、第一の狭域通信用無線通信装置3が通信要求を検出していなければ、マイクロプロセッサ16は、更に、第二の狭域通信用無線通信装置4が、計測所側狭域通信用無線通信装置8から最初の通信要求(ポーリング信号)を検出しているか否かを判定し(ステップa4)、ステップa3およびステップa4の判定結果も偽となった場合には、マイクロプロセッサ16は、前記と同様にしてステップa1〜ステップa4の処理のみを所定周期毎に繰り返し実行し、その都度、車両2の走行速度の現在値を読み込んで現在速度記憶レジスタRVに更新記憶しながら、計測所側狭域通信用無線通信装置8からの最初の通信要求が第一の狭域通信用無線通信装置3によって受信されるか、または、計測所側狭域通信用無線通信装置8からの最初の通信要求が第二の狭域通信用無線通信装置4によって受信されるのを待機する。
そして、このような処理を繰り返し実行する間に、走行経路Xに沿って進む車両2が計測所7に接近すると、まず、車両2の先端部に配備された第一の狭域通信用無線通信装置3と計測所側狭域通信用無線通信装置8との間での狭域無線通信が可能となり、計測所側狭域通信用無線通信装置8からの最初の通信要求が第一の狭域通信用無線通信装置3によって受信され、ステップa3の判定結果が真となる。
このようにしてステップa3の判定結果が真となり、車両2の先端部が計測所側狭域通信用無線通信装置8の狭域通信可能領域(通信エリア)の外郭部に侵入したことが確認されると、現在速度送信手段として機能するマイクロプロセッサ16は、現在速度記憶レジスタRVに現時点で記憶されている走行速度の値をインターフェイス3aおよび第一の狭域通信用無線通信装置3を介して計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて走行速度V1として送信すると共に(ステップa5)、ETCの車載端末からなる車載制御装置6に登録済みのナンバー情報、つまり、車検証に記載される範囲の情報を、車載制御装置6の記憶部から読み出して計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて送信する(ステップa6)。
ステップa6の処理は、車載制御装置6がETCの車載端末の機能を兼ねているために必要とされる処理である。
図8は、走行経路Xに沿って進む車両2が計測所7に接近し、車両2の先端部に配備された第一の狭域通信用無線通信装置3と計測所側狭域通信用無線通信装置8との間での狭域無線通信が可能となったときの状況を簡略化して示した作用原理図である。
図8にハッチングで示される部分が実質的な狭域通信可能領域であり、図8に示される通り、第一の狭域通信用無線通信装置3つまり車両2の先端部分が狭域通信可能領域に侵入した時点で、その時点における車両2の走行速度V1が第一の狭域通信用無線通信装置3から計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて送信されることになる。
一方、ゲート制御端末からなるコンピュータ9側のマイクロプロセッサ18は、図5に示される処理を所定周期毎に繰り返し実行することにより、第一の狭域通信用無線通信装置3からの走行速度V1およびナンバー情報の入力の有無と第二の狭域通信用無線通信装置4からの走行速度V2の入力の有無を定常的に見張っている(図5におけるステップb1,ステップb6)。
そして、前述のようにして第一の狭域通信用無線通信装置3から走行速度V1およびナンバー情報が送信されると、計測所側狭域通信用無線通信装置8が走行速度V1およびナンバー情報を受信し、図5におけるステップb1の処理でコンピュータ9側のマイクロプロセッサ18が走行速度V1およびナンバー情報の入力を検知する。
走行速度V1およびナンバー情報の入力を検知したマイクロプロセッサ18は、車両2の先端部分が狭域通信可能領域に侵入した時点での車両2の走行速度V1の値を第一速度記憶レジスタRV1に一時記憶し(ステップb2)、同時に、コンピュータ9が備える内部時計から現在時刻Tを読み込んで、この時刻Tつまり走行速度V1の受信時刻Tを第一時刻記憶レジスタT1に一時記憶する(ステップb3)。
次いで、マイクロプロセッサ18は、受信したナンバー情報に関わる各種の処理、例えば、料金決済に必要とされる情報の確認等の処理を行なった後(ステップb4)、このナンバー情報に含まれる登録上の車両2の全長を登録車長記憶レジスタLsに一時記憶する(ステップb5)。
ステップb4の処理は、コンピュータ9がETCのゲート制御端末の機能を兼ねているために必要とされる処理であり、その内容に関しては、ETC関連の技術として既に公知である。
そして、走行経路Xに沿って進む車両2が更に前進すると、車両2の後端部に配備された第二の狭域通信用無線通信装置4と計測所側狭域通信用無線通信装置8との間での狭域無線通信が可能となり、計測所側狭域通信用無線通信装置8からの最初の通信要求が第二の狭域通信用無線通信装置4によって受信され、図4におけるステップa4の判定結果が真となる。
このようにしてステップa4の判定結果が真となり、車両2の後端部が計測所側狭域通信用無線通信装置8の狭域通信可能領域の外郭部に侵入したことが確認されると、現在速度送信手段として機能するマイクロプロセッサ16は、現在速度記憶レジスタRVに現時点で記憶されている走行速度の値をインターフェイス4aおよび第二の狭域通信用無線通信装置4を介して計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて走行速度V2として送信する(ステップa7)。
図9は、走行経路Xに沿って進む車両2の後端部に配備された第二の狭域通信用無線通信装置4と計測所側狭域通信用無線通信装置8との間での狭域無線通信が可能となったときの状況を簡略化して示した作用原理図である。
図9にハッチングで示される部分が実質的な狭域通信可能領域であり、図9に示される通り、第二の狭域通信用無線通信装置4つまり車両2の後端部分が狭域通信可能領域に侵入した時点で、その時点における車両2の走行速度V2が第二の狭域通信用無線通信装置4から計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて送信されることになる。
前述した通り、コンピュータ9側のマイクロプロセッサ18は、第一の狭域通信用無線通信装置3からの走行速度V1およびナンバー情報の入力の有無と第二の狭域通信用無線通信装置4からの走行速度V2の入力の有無を所定周期毎の処理で定常的に見張っており、前述のようにして第二の狭域通信用無線通信装置4から走行速度V2が送信されると、計測所側狭域通信用無線通信装置8が走行速度V2を受信し、図5におけるステップb6の処理でコンピュータ9側のマイクロプロセッサ18が走行速度V2の入力を検知する。
走行速度V2の入力を検知したマイクロプロセッサ18は、車両2の後端部分が狭域通信可能領域に侵入した時点での車両2の走行速度V2の値を第二速度記憶レジスタRV2に一時記憶し(ステップb7)、同時に、コンピュータ9が備える内部時計から現在時刻Tを読み込んで、この時刻Tつまり走行速度V2の受信時刻Tを第二時刻記憶レジスタT2に一時記憶する(ステップb8)。
次いで、車長算出手段として機能するマイクロプロセッサ18が、前述した各レジスタRV1,RV2,T1,T2に一時記憶されている各データに基いて、第一,第二の狭域通信用無線通信装置3,4から受信した走行速度V1,V2の平均値〔(RV1+RV2)/2〕と、受信時刻の差つまり走行速度V2の受信時刻T2から走行速度V1の受信時刻T1を減じた値〔T2−T1〕を算出し、両者を乗じて車両2の長さ〔(T2−T1)・(RV1+RV2)/2〕を求め、この値を実測車長記憶レジスタLcに一時記憶する(ステップb9)。
ETCのゲート等では車両2がゲートに進入する際に減速操作が行われる場合が多いが、車両2の先端部に位置する第一の狭域通信用無線通信装置3が狭域通信可能領域に侵入した時点における走行速度V1(図8参照)と車両2の後端部に位置する第二の狭域通信用無線通信装置4が狭域通信可能領域に侵入した時点における走行速度V2(図9参照)との平均〔(RV1+RV2)/2〕を求め、この値に受信時刻の差〔T2−T1〕、すなわち、第一の狭域通信用無線通信装置3と第二の狭域通信用無線通信装置4との離間距離であって車両2の実質的な長さに匹敵する距離を該車両2が走行するのに要した所要時間〔T2−T1〕を乗じることで、概ね正確に車両2の長さLcを求めることが可能である。
次いで、ETCのゲート制御端末の機能を兼ねたコンピュータ9のマイクロプロセッサ18が、登録車長記憶レジスタLsから当該車両2のナンバー情報に含まれる登録上の車両全長Lsの値を読み込み、該車両2の長さの実測値Lcと登録上の車両全長Lsとの偏差|Lc−Ls|を求め、この偏差|Lc−Ls|が許容値ε(設定値)の範囲内にあるか否かを判定する(ステップb10)。
偏差|Lc−Ls|が許容値εの範囲内にあれば、ETCの車載端末を兼ねる車載制御装置6に登録されていたナンバー情報に偽りがないと見做すことができるので、ゲート制御端末の機能を兼ねるマイクロプロセッサ18は、インターフェイス26aを介してゲート装置26を駆動制御し、図示を省略したゲートバーを一定時間だけ開いて車両2のゲート通過を許容し、ステップb4の処理で一時記憶したナンバー情報つまり現時点でゲートを通過した車両2のナンバー情報に含まれている料金決済用の情報や登録上の車両全長Ls等をインターフェイス10aおよびネットワークを介して料金決済端末10に送信して、該料金決済端末10による決済処理を行なわせ(以上、ステップb12)、一連の処理を終了する。
一方、ステップb10の判定結果が偽となった場合、つまり、車両2の登録上の車両全長Lsと車両2の長さの実測値Lcとが著しく相違する場合には、ナンバー情報における登録上の全長に登録ミスもしくは改竄があったという可能性が高いので、ゲート制御端末の機能を兼ねるコンピュータ9のマイクロプロセッサ18は、前記と同様にして車両2の通過を許容する一方、車両2のナンバー情報に含まれている車両全長Lsに代えて車両2の長さの実測値Lcをナンバー情報に含まれる料金決済用の情報等と共にインターフェイス10aおよびネットワークを介して料金決済端末10に送信し、該料金決済端末10によって実測値Lcに基いた決済処理を行なわせて(以上、ステップb11)、一連の処理を終了する。
この実施例では、第一,第二の狭域通信用無線通信装置3,4から走行速度V1,V2の値を受信した時の受信時刻T1,T2をコンピュータ9に一時記憶させて受信時刻の差〔T2−T1〕を求めるようにしたが、第一の狭域通信用無線通信装置3から走行速度V1を受信した時点でコンピュータ9の内蔵タイマをリスタートさせ(図5のステップb3に代わる処理)、第二の狭域通信用無線通信装置4から走行速度V2を受信した時点で内蔵タイマを停止させることによって第一の狭域通信用無線通信装置3からの車両走行速度V1の値が受信されてから第二の狭域通信用無線通信装置4からの車両走行速度V2の値が受信されるまでの経過時間T’を計測し(図5のステップb8に代わる処理)、車長算出手段として機能するCPU18が、〔T’・(RV1+RV2)/2〕の演算式によって車両2の長さLcを求めるようにしても(図5のステップb9に代わる処理)、上記と同じ結果を得ることができる。
次に、計測所側狭域通信用無線通信装置8に車両2が接近することによって第一の狭域通信用無線通信装置3が計測所側狭域通信用無線通信装置8と通信可能となった時点で速度検出器5が検出している走行速度の値を所定周期毎にサンプリングして一時記憶する処理を開始し、第二の狭域通信用無線通信装置4が計測所側狭域通信用無線通信装置8と通信可能となった時点で前記一時記憶された走行速度の値を第二の狭域通信用無線通信装置4を介して計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて纏めて送信すると共に、計測所側狭域通信用無線通信装置8が第二の狭域通信用無線通信装置4から受信した走行速度の値とサンプリング周期とに基いてコンピュータ9が車両2の長さを求めるようにした場合の処理について説明する。
図6はサンプリング速度送信手段として機能する車載制御装置6のマイクロプロセッサ16によって所定周期毎に繰り返し実行される処理を簡略化して示したフローチャート、図7は車長算出手段として機能するコンピュータ9のマイクロプロセッサ18によって所定周期毎に繰り返し実行される処理を簡略化して示したフローチャートである。
車載制御装置6のマイクロプロセッサ16は、まず、速度検出器5が現時点で検出している車両2の走行速度の値をインターフェイス6aを介してエンジンコントロールユニット15から読み込み(図6におけるステップa1’)、この値を現在速度記憶レジスタRVに一時記憶する(ステップa2’)。
次いで、マイクロプロセッサ16は、第一の狭域通信用無線通信装置3と計測所側狭域通信用無線通信装置8との通信が可能となっていることを示す値1が状態判別フラグFにセットされているか否かを判別する(ステップa3’)。
ここで、状態判別フラグFの値が0(初期値)であって、第一の狭域通信用無線通信装置3と計測所側狭域通信用無線通信装置8との通信が実現されていなければ、マイクロプロセッサ16は、第一の狭域通信用無線通信装置3が計測所側狭域通信用無線通信装置8から最初の通信要求(ポーリング信号)を検出しているか否かを判定する(ステップa9’)。
第一の狭域通信用無線通信装置3が通信要求を検出していなければ、マイクロプロセッサ16は、前記と同様にしてステップa1’〜ステップa3’およびステップa9’の処理のみを所定周期毎に繰り返し実行し、その都度、車両2の走行速度の現在値を読み込んで現在速度記憶レジスタRVに更新記憶しつつ、計測所側狭域通信用無線通信装置8からの最初の通信要求が第一の狭域通信用無線通信装置3によって受信されるのを待機する。
そして、このような処理を繰り返し実行する間に、走行経路Xに沿って進む車両2が計測所7に接近すると、まず、車両2の先端部に配備された第一の狭域通信用無線通信装置3と計測所側狭域通信用無線通信装置8との間での狭域無線通信が可能となり、計測所側狭域通信用無線通信装置8からの最初の通信要求が第一の狭域通信用無線通信装置3によって受信され、ステップa9’の判定結果が真となる。
このようにしてステップa9’の判定結果が真となり、車両2の先端部が計測所側狭域通信用無線通信装置8の狭域通信可能領域(通信エリア)の外郭部に侵入したことが確認されると、マイクロプロセッサ16は、まず、第一の狭域通信用無線通信装置3と計測所側狭域通信用無線通信装置8との通信が可能となったことを示す値1を状態判別フラグFにセットし(ステップa10’)、サンプリング処理の実行回数を示す指標iに初期値1をセットした後(ステップa11’)、ETCの車載端末からなる車載制御装置6に登録済みのナンバー情報、つまり、車検証に記載される範囲の情報を車載制御装置6の記憶部から読み出して、第一の狭域通信用無線通信装置3を介して計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて応答信号と共に送信する(ステップa12’,ステップa13’)。
そして、サンプリング速度送信手段として機能するマイクロプロセッサ16が、現在速度記憶レジスタRVに現時点で記憶されている走行速度の値を指標iの現在値に基いて車載制御装置6の記憶部内のサンプリング速度記憶レジスタV(i)に一時記憶する(ステップa14’)。また、マイクロプロセッサ16は、サンプリング周期計測タイマTxにサンプリング周期Δt(例えば0.1秒の設定値)をセットし(ステップa15’)、該サンプリング周期計測タイマTxによるサンプリング周期の計測を開始させる(ステップa16’)。
ステップa13’の処理は、車載制御装置6がETCの車載端末の機能を兼ねているために必要とされる処理である。
一方、ゲート制御端末からなるコンピュータ9側のマイクロプロセッサ18は、図7に示される処理を所定周期毎に繰り返し実行することにより、第一の狭域通信用無線通信装置3からの応答信号およびナンバー情報の入力の有無と第二の狭域通信用無線通信装置4からのサンプリングデータV(1)〜V(i)の入力の有無を定常的に見張っている(図7におけるステップb1’,ステップb4’)。
そして、前述のようにして第一の狭域通信用無線通信装置3から応答信号およびナンバー情報が送信されると、計測所側狭域通信用無線通信装置8が応答信号およびナンバー情報を受信し、図7におけるステップb1’の処理で、コンピュータ9側のマイクロプロセッサ18が応答信号およびナンバー情報の入力を検知する。
応答信号およびナンバー情報の入力を検知したマイクロプロセッサ18は、受信したナンバー情報に関わる各種の処理、例えば、料金決済に必要とされる情報の確認等の処理を行なった後(ステップb2’)、このナンバー情報に含まれる登録上の車両2の全長を登録車長記憶レジスタLsに一時記憶する(ステップb3’)。
ステップb2’の処理は、コンピュータ9がETCのゲート制御端末の機能を兼ねているために必要とされる処理であり、その内容に関しては、ETC関連の技術として既に公知である。
一方、次周期の処理を開始した車載制御装置6のマイクロプロセッサ16は、まず、前記と同様にして、速度検出器5が現時点で検出している車両2の走行速度の値をインターフェイス6aを介してエンジンコントロールユニット15から読み込み(図6におけるステップa1’)、この値を現在速度記憶レジスタRVに一時記憶した後(ステップa2’)、状態判別フラグFに値1がセットされているか否かを判別するが(ステップa3’)、この時点では既に状態判別フラグFに値1がセットされているので、ステップa3’の判定結果は真となる。
従って、マイクロプロセッサ16は、更に、第二の狭域通信用無線通信装置4が計測所側狭域通信用無線通信装置8から最初の通信要求(ポーリング信号)を検出しているか否か、要するに、車両2が車両2の全長に匹敵する距離を既に走行しているか否かを判定する(ステップa4’)。
ここで、計測所側狭域通信用無線通信装置8からの最初の通信要求が検出されず、ステップa4’の判定結果が偽となり、車両2が車両2の全長に匹敵する距離を走行している過程であることが明らかとなった場合には、マイクロプロセッサ16は、サンプリング周期計測タイマTxによるサンプリング周期Δtの計時が完了しているか否かを判定し(ステップa5’)、サンプリング周期Δtの計時が完了していなければ、前記と同様に、ステップa1’〜ステップa5’の処理のみを所定周期毎に繰り返し実行し、その都度、車両2の走行速度の現在値を読み込んで現在速度記憶レジスタRVに更新記憶しながら、計測所側狭域通信用無線通信装置8からの最初の通信要求が第二の狭域通信用無線通信装置4によって受信されるか、あるいは、サンプリング周期計測タイマTxによるサンプリング周期Δtの計時が完了するのを待機する。
サンプリング周期計測タイマTxの設定値Δtは、車両2が車両2の全長に匹敵する距離を走行するのに要する時間に比べて十分に短く設定されているので、計測所側狭域通信用無線通信装置8からの最初の通信要求が第二の狭域通信用無線通信装置4によって受信されるまでの間に、何度かサンプリング周期計測タイマTxがタイムアップすることになる。
そして、このような処理が繰り返し実行される間に、サンプリング周期計測タイマTxによるサンプリング周期Δtの計時が完了したことがステップa5’の処理で確認されると、サンプリング速度送信手段として機能するマイクロプロセッサ16は、指標iの値を1インクリメントし(ステップa6’)、現在速度記憶レジスタRVに現時点で記憶されている走行速度の値つまり次のΔt秒間における車両2の走行速度を代表する値を、指標iの現在値に基いて車載制御装置6の記憶部内のサンプリング速度記憶レジスタV(i)に一時記憶し(ステップa14’)、前記と同様に、サンプリング周期計測タイマTxにサンプリング周期Δtをセットして(ステップa15’)、該サンプリング周期計測タイマTxによるサンプリング周期の計測を開始させる(ステップa16’)。
従って、まず、車両2の先端部が計測所側狭域通信用無線通信装置8の狭域通信可能領域の外郭部に最初に侵入した瞬間の車両2の走行速度の値が、車両2の先端部が計測所側狭域通信用無線通信装置8の狭域通信可能領域(通信エリア)の外郭部に最初に侵入してからΔt秒が経過するまでの車両2の走行速度を代表する値としてサンプリング速度記憶レジスタV(1)に記憶され、その後、サンプリング周期Δtが経過するたびに、次のΔt秒の走行速度を代表する値が次々とサンプリング速度記憶レジスタV(2),サンプリング速度記憶レジスタV(3)、・・・といった具合に順に一時記憶されていくことになる。
このようにしてサンプリング処理を繰り返し実行する間に、車両2の後端部に配備された第二の狭域通信用無線通信装置4と計測所側狭域通信用無線通信装置8との間での狭域無線通信が可能となり、計測所側狭域通信用無線通信装置8からの最初の通信要求が第二の狭域通信用無線通信装置4によって受信され、ステップa4’の判定結果が真となると、サンプリング速度送信手段として機能するマイクロプロセッサ16は、サンプリング速度記憶レジスタV(1),サンプリング速度記憶レジスタV(2),サンプリング速度記憶レジスタV(3),・・・,サンプリング速度記憶レジスタV(i)〔但し、iは指標の最終値〕に一時記憶された走行速度の値を第二の狭域通信用無線通信装置4を介して計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて纏めて送信し(ステップa7’)、状態判別フラグFの値を0にリセットする(ステップa8’)。
前述したとおり、制御端末からなるコンピュータ9側のマイクロプロセッサ18は、図7に示される処理を所定周期毎に繰り返し実行することにより、第一の狭域通信用無線通信装置3からの応答信号およびナンバー情報の入力の有無と第二の狭域通信用無線通信装置4からのサンプリングデータV(1)〜V(i)の入力の有無を定常的に見張っており(図7におけるステップb1’,ステップb4’)、第二の狭域通信用無線通信装置4から送信されたサンプリング速度記憶レジスタV(1)〜サンプリング速度記憶レジスタV(i)の各値は、ステップb4’の処理でコンピュータ9側のマイクロプロセッサ18によって検知される。
第二の狭域通信用無線通信装置4からのデータの送信を検知したマイクロプロセッサ18は、サンプリング速度記憶レジスタV(1)〜サンプリング速度記憶レジスタV(i)の各値を一時記憶した後、まず、サンプリング処理の実行回数を示す指標jを0に初期化して(図7のステップb5’)、積分値記憶レジスタLcの値を0に初期化した後(ステップb6’)、指標jの値を1インクリメントし(ステップb7’)、該指標jの値がサンプリングされた速度の数iの範囲内にあるか否かを判定する(ステップb8’)。
そして、指標jの値がサンプリングされた速度の数iの範囲内にあれば、車長算出手段として機能するマイクロプロセッサ18は、指標jの現在値に基いてサンプリング速度記憶レジスタV(j)の値を読み込み、更に、該走行速度V(j)にサンプリング周期Δtを乗じて当該サンプリング周期Δt間における車両2の移動量V(j)・Δtを求め、この値を積分値記憶レジスタLcに加算して記憶する(ステップb9’)。
以下、車長算出手段として機能するマイクロプロセッサ18は、指標jの値がサンプリングされた速度の数iを超えるまでの間、前記と同様にして、ステップb7’〜ステップb9’の処理を繰り返し実行し、〔V(1)・Δt+V(2)・Δt+V(3)・Δt+,・・・,+V(i)・Δt〕=Lcの値を求める。
車両2の長さは、第一の狭域通信用無線通信装置3と計測所側狭域通信用無線通信装置8との通信が可能となってから第二の狭域通信用無線通信装置4と計測所側狭域通信用無線通信装置8との通信が可能となるまでの経過時間すなわち車両2の走行時間の範囲内で、車両2の走行速度を時間によって積分したものであるから、各サンプリング周期Δtの間に走行速度V(1),V(2),V(3),・・・,V(i)に変動がないものと仮定すれば、車長算出手段であるマイクロプロセッサ18は、〔V(1)・Δt+V(2)・Δt+V(3)・Δt+,・・・,+V(i)・Δt〕の演算式を実行して離散的な積分処理を行なうことで、車両2の長さを概ね正確に求めることができる。
この実施例ではサンプリング周期Δtの値には変動がないので、ステップb9’の処理をLc←Lc+V(j)・ΔtではなくLc←Lc+V(j)とし、ステップb8’の判定結果が偽となった時点でLcの最終値にΔtを乗じても結果は同じである。
ステップb10’〜ステップb12’の処理に関しては、既に図5を参照して説明したステップb10〜ステップb12の処理と同じであるので、説明を省略する。
これらの実施例では、ETCの車載端末を車長計測システム1の車載制御装置6として兼用し、同時に、ETCのゲートに設置されたETC用の狭域通信用無線通信装置を計測所側狭域通信用無線通信装置8として兼用しているので、車長計測システム1の導入に要するコストを軽減することができる。
図10は本発明をITSのスマートプレートに適用した一実施例の車長計測システムの構成について示した概念図である。
この実施例の車長計測システム1’は、車両2の先端部に配備されたスマートプレートからなる第一の狭域通信用無線通信装置3’と、車両2の後端部に配備されたスマートプレートからなる第二の狭域通信用無線通信装置4’、および、車両2に実装された図示を省略した速度検出器と、車両2の走行経路Xの近傍に位置する計測所7に設置された計測所側狭域通信用無線通信装置8と、計測所側狭域通信用無線通信装置8に接続されたコンピュータ9によって構成される。
また、コンピュータ9には、ローカルネットワークあるいは専用回線等を介してフェリー用の乗船管理端末10’が接続されている。フェリー用の乗船管理端末10’のデータベースには、ユーザがフェリーの乗船を予約した時点で、ユーザの自己申告に基いて車両2のライセンスナンバーと当該車両2の長さとの対応関係が自動登録されるようになっている。データベースへのデータの登録処理に関しては設計上の問題であるので説明を省略する。
第一,第二の狭域通信用無線通信装置3’,4’を構成するスマートプレートの各々には、狭域通信を行なうための送受信器と簡単な演算処理を行なうためのICチップが内蔵され、少なくとも第一の狭域通信用無線通信装置3’のICチップの記憶部には、車検証に記載される範囲の情報つまりナンバー情報が予め書き込まれている。
スマートプレートからなる第一の狭域通信用無線通信装置3’はフロントナンバープレーの角に取り付けられ、インターフェイス3a’を介して車両2の速度検出器、例えば、図2に示されるようなエンジンコントロールユニット15や速度検出器としての機能を兼ね備えたカーナビゲーションシステムあるいは車載故障診断装置等に接続されている。また、スマートプレートからなる第二の狭域通信用無線通信装置4’はリアナンバープレーの角に取り付けられ、インターフェイス4a’を介して車両2の速度検出器、例えば、エンジンコントロールユニット15やカーナビゲーションシステムあるいは車載故障診断装置等に前述した第一の狭域通信用無線通信装置3’と並列するかたちで接続されている。
スマートプレートからなる第一,第二の狭域通信用無線通信装置3’,4’の各々のICチップには、これらのICチップを現在速度送信手段として機能させるための制御プログラムが独立したかたちで格納されている。
第一の狭域通信用無線通信装置3’に内蔵されたICチップによって所定周期毎に繰り返し実行される処理の概略を図11に、また、第二の狭域通信用無線通信装置4’に内蔵されたICチップによって所定周期毎に繰り返し実行される処理の概略を図12に示す。
第一の狭域通信用無線通信装置3’に内蔵されたICチップは、インターフェイス3a’を介して車両2の走行速度の現在値を読み込んで当該ICチップにおける現在速度記憶レジスタRVに更新記憶する処理(ステップc1〜ステップc2)と、計測所側狭域通信用無線通信装置8との間での通信の可否を判定する処理(ステップc3)とを所定周期毎に繰り返し実行しており、現在速度送信手段として機能する第一の狭域通信用無線通信装置3’のICチップは、計測所側狭域通信用無線通信装置8との通信が可能となった最初の時点つまりステップc3の判定結果が真となった時点で、当該ICチップの現在速度記憶レジスタRVに記憶されている走行速度の値を走行速度V1として計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて送信し、かつ、登録済みのナンバー情報を当該ICチップの記憶部から読み出して計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて送信する(ステップc4)。
また、第二の狭域通信用無線通信装置4’に内蔵されたICチップは、インターフェイス4a’を介して車両2の走行速度の現在値を読み込んで当該ICチップにおける現在速度記憶レジスタRVに更新記憶する処理(ステップd1〜ステップd2)と、計測所側狭域通信用無線通信装置8との間での通信の可否を判定する処理(ステップd3)とを所定周期毎に繰り返し実行しており、現在速度送信手段として機能する第二の狭域通信用無線通信装置4’のICチップは、計測所側狭域通信用無線通信装置8との通信が可能となった最初の時点つまりステップd3の判定結果が真となった時点で、当該ICチップの現在速度記憶レジスタRVに記憶されている走行速度の値を走行速度V2として計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて送信する(ステップd4)。
第一の狭域通信用無線通信装置3’から送信される走行速度V1およびナンバー情報と第二の狭域通信用無線通信装置4’から送信される走行速度V2を受信するコンピュータ9側の処理としては図5に示したものを其のまま適用することができる。
但し、ステップb10の判定結果が真となって偏差|Lc−Ls|が許容値εの範囲内にあることが確認された場合、つまり、第一の狭域通信用無線通信装置3’のICチップに登録されていたナンバー情報に偽りがないと判定された場合には、ステップb12に代わる処理として、ステップb4の処理で一時記憶したナンバー情報つまり現時点で車両の長さの測定を終えた車両2のナンバー情報に含まれている料金決済用の情報や登録上の車両全長Ls等をネットワークを介してフェリー用の乗船管理端末10’に送信する。
フェリー用の乗船管理端末10’は、コンピュータ9から受信したナンバー情報に含まれるライセンスナンバーを索引として該端末10’のデータベースに登録されている予約情報を検索し、この車両2のユーザが申告した車両の長さを当該データベースから読み出し、申告された車両の長さと車両全長Lsとを比較して、車両全長Lsと一致不一致の判定結果を乗船管理端末10’のモニタに表示出力する。この表示は乗船係員によって確認され、一致の判定結果が表示された場合には乗船係員が当該車両2の乗船を許可する。この場合、登録上の車両全長Lsと車両長の測定値Lcとは既に一致しているから、ユーザが予約時点で誤った申告をしていなければ、乗船管理端末10’のモニタには必ず一致の判定結果が表示されることになる。不一致の判定結果が表示された場合には、ユーザが予約時点で車両の長さについて誤った申告をしていることを意味するので、乗船係員は必要に応じ、車両の全長Ls(Lcでも同じ)に応じた乗船料金を徴収するか、あるいは、乗船を拒否する等の方法で対処する。
また、ステップb10の判定結果が偽となって偏差|Lc−Ls|が許容値εを超えていることが確認された場合、つまり、車両2の登録上の車両全長Lsと車両2の長さの実測値Lcとが著しく相違する場合には、ステップb11に代わる処理として、車両2のナンバー情報に含まれている車両全長Lsに代えて車両2の長さの実測値Lcをナンバー情報に含まれる料金決済用の情報等と共にネットワークを介してフェリー用の乗船管理端末10’に送信する。
フェリー用の乗船管理端末10’は、コンピュータ9から受信したナンバー情報に含まれるライセンスナンバーを索引として該端末10’のデータベースに登録されている予約情報を検索し、この車両2のユーザが申告した車両の長さを当該データベースから読み出し、申告された車両の長さと車両全長Lcとを比較して、車両全長Lcと一致不一致の判定結果を乗船管理端末10’のモニタに表示出力する。この場合、登録上の車両全長Lsと車両長の測定値Lcとが一致していないので、ナンバー情報における登録上の全長に改竄があった可能性が高い。仮に、ユーザがナンバー情報における登録上の全長をLsを改竄した上で乗船の予約に際して此の値Lsを全長として申告していたとしても、結果的に、車両長の測定値Lcと自己申告された車両長との比較によって、自己申告の値が適当な値でないこと、および、ナンバー情報における登録上の全長に改竄が行われていることが分るので、乗船管理端末10’のモニタには不一致の判定結果が表示されることになる。乗船係員は必要に応じ、車両長の実測値Lcに応じた乗船料金を徴収するか、あるいは、乗船を拒否する等の方法で対処することになる。
フェリーの乗船に際しては格別の加減速は行なわれず、最徐行の状態で車両2が定速走行するのが普通であるから、車両2の長さを求めるためのコンピュータ9側の処理、つまり、図5におけるステップb9の処理においては、必ずしも車両2の走行速度の平均値を求める必要はなく、第一の狭域通信用無線通信装置3’から受信した走行速度V1を走行速度を代表する値として利用し、この値V1に受信時刻の差〔T2−T1〕もしくは経過時間の測定値T’を乗じるか、あるいは、第二の狭域通信用無線通信装置4’から受信した走行速度V2を走行速度を代表する値として利用し、この値V2に受信時刻の差〔T2−T1〕もしくは経過時間の測定値T’を乗じて車両の長さLcを求めるようにしてもよい。
あるいは、計測所側狭域通信用無線通信装置8に車両2が接近することによって第一の狭域通信用無線通信装置3’が計測所側狭域通信用無線通信装置8と通信可能となった時点で、車両2の速度検出器が検出している走行速度の値を所定周期Δt毎にサンプリングして第二の狭域通信用無線通信装置4’に送信する処理を速度送信手段として機能する第一の狭域通信用無線通信装置3’のICチップによって開始させ、第二の狭域通信用無線通信装置4’の側に走行速度のサンプリングデータを順次一時記憶させるようにし、第二の狭域通信用無線通信装置4’が計測所側狭域通信用無線通信装置8と通信可能となった時点で、サンプリング速度送信手段として機能する第二の狭域通信用無線通信装置4’のICチップによって、前記一時記憶された走行速度のサンプリングデータを計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて纏めて送信するようにしてもよい。
このような処理を行なう場合も、実質的な処理内容に関しては図6に示したフローチャートと同様である。但し、この場合、図6におけるステップa1’〜ステップa3’およびステップa9’〜ステップa16’とステップa5’〜ステップa6’の処理を無線通信装置3’のICチップ(速度送信手段)が受け持ち、図6におけるステップa4’およびステップa7’〜ステップa8’の処理を無線通信装置4’のICチップ(サンプリング速度送信手段)が受け持つことになる。その際に必要とされるプログラムの分割やICチップ間のデータの転送に関しては設計上の問題であるから説明を省略する。
この場合も、第二の狭域通信用無線通信装置4’から送信される走行速度のサンプリングデータを受信するコンピュータ9側の処理としては図7に示したものを其のまま適用することができる。
但し、ステップb10’の判定結果が真となって偏差|Lc−Ls|が許容値εの範囲内にあることが確認された場合、つまり、第一の狭域通信用無線通信装置3’のICチップに登録されていたナンバー情報に偽りがないと判定された場合には、ステップb12’に代わる処理として、ステップb2’の処理で一時記憶したナンバー情報つまり現時点で車両の長さの測定を終えた車両2のナンバー情報に含まれている料金決済用の情報や登録上の車両全長Ls等をネットワークを介してフェリー用の乗船管理端末10’に送信し、また、ステップb10’の判定結果が偽となって偏差|Lc−Ls|が許容値εを超えていることが確認された場合、つまり、車両2の登録上の車両全長Lsと車両2の長さの実測値Lcとが著しく相違する場合には、ステップb11’に代わる処理として、車両2のナンバー情報に含まれている車両全長Lsに代えて車両2の長さの実測値Lcをナンバー情報に含まれる料金決済用の情報等と共にネットワークを介してフェリー用の乗船管理端末10’に送信するようにする。
無論、計測所側狭域通信用無線通信装置8に車両2が接近することによって第一の狭域通信用無線通信装置3’が計測所側狭域通信用無線通信装置8と通信可能となった時点で、車両2の速度検出器が検出している走行速度の値を所定周期Δt毎にサンプリングして第一の狭域通信用無線通信装置3’に順次記憶する処理を第一の狭域通信用無線通信装置3’のICチップによって開始させ、第二の狭域通信用無線通信装置4’が計測所側狭域通信用無線通信装置8と通信可能となった時点で、これらのサンプリングデータを第一の狭域通信用無線通信装置3’から第二の狭域通信用無線通信装置4’に纏めて転送し、更に、第二の狭域通信用無線通信装置4’のICチップによって、これらのサンプリングデータを計測所側狭域通信用無線通信装置8に向けて纏めて送信するようにするといったことも可能である。
これらの実施例では、ITSのスマートプレートを車長計測システム1’における第一,第二の狭域通信用無線通信装置3’,4’および現在速度送信手段や速度送信手段およびサンプリング速度送信手段として兼用しているので、車長計測システム1’の導入に要するコストを軽減することができる。