以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、この発明に係るパラメータ設定装置を適用した電子楽器の全体構成を示したハード構成ブロック図である。本実施例に示す電子楽器は、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU1は、この電子楽器全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してROM2、RAM3、検出回路4,5,6、表示回路7、音源回路8、効果回路9、不揮発メモリ11、外部記憶装置12、MIDIインタフェース(I/F)13および通信インタフェース(I/F)14がそれぞれ接続されている。更に、CPU1には、タイマ割込み処理(インタラプト処理)における割込み時間や各種時間を計時するタイマ1Aが接続されている。例えば、タイマ1Aはクロックパルスを発生し、発生したクロックパルスをCPU1に対して処理タイミング命令として与えたり、あるいはCPU1に対してインタラプト命令として与える。CPU1は、これらの命令に従って各種処理を実行する。
ROM2は、CPU1により実行される各種プログラムや各種データを格納するものである。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。演奏操作子4Aは楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えた例えば鍵盤等のようなものであって、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この演奏操作子4A(鍵盤等)はユーザによるマニュアル(手弾き)演奏のために使用できるのは勿論のこと、当該電子楽器における各種設定を行う入力手段などとして使用することもできる。検出回路4は、演奏操作子4Aの各鍵の押圧及び離鍵を検出することによって検出出力を生じる。
ロータリーエンコーダ5Aは左右両方向に回転操作可能な回転制御型の操作子であって、例えば当該電子楽器から発生させる楽音の音高、音色、効果等を制御する楽音制御パラメータなどの各種パラメータ値を設定するための操作子である。検出回路5は、ロータリーエンコーダ5Aに対する左右への回転操作を検出することによってその回転量に応じた検出出力を生じる。設定操作子(スイッチ等)6Aは、例えば後述する図2に示すように表示器7Aの左右に設置されており、前記表示器7Aの対応する表示領域の表示内容に応じてその機能が適宜に変更される汎用の操作子であって、ここではパラメータ設定のために使用することができる(後述する図3参照)。勿論、これらの各操作子以外にも、表示器7Aに表示させる画面の切り替えをページ単位に行うよう指示する画面表示切り替えスイッチ、さらには音高、音色、効果等を選択・設定・制御するために用いる数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボードなどの各種操作子を含んでいてよい。検出回路6は、上記設定操作子6Aの操作状態を検出し、その操作状態に応じたスイッチ情報をデータ及びアドレスバス1Dを介してCPU1に出力する。表示回路7は例えば液晶表示パネル(LCD)等から構成される、表示範囲が狭く単純な表示しかすることのできない簡易な表示器7Aに、パラメータに関する表示や各パラメータ値などの各種情報を少なくとも表示する(図3参照)。ユーザは該表示器7Aに表示されるこれらの各種情報を参照しながら、各種パラメータの設定を前記ロータリーエンコーダ5Aや設定操作子6Aを用いて容易に行うことができる。
音源回路8は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられた、ユーザによる演奏操作子4Aの操作に応じて発生される、あるいは自動演奏データの再生に基づき発生される各種演奏情報を入力し、これらの演奏情報に基づいて楽音信号を発生する。音源回路8から発生された楽音信号は、効果回路9を介して効果付与されてアンプやスピーカなどを含むサウンドシステム10から発音される。この音源回路8と効果回路9とサウンドシステム10の構成には、従来のいかなる構成を用いてもよい。例えば、音源回路9はFM、PCM、物理モデル、フォルマント合成等の各種楽音合成方式のいずれを採用してもよく、また専用のハードウェアで構成してもよいし、CPU1によるソフトウェア処理で構成してもよい。
不揮発メモリ11は、設定されたパラメータ値や、設定対象とされ画面上においてフォーカスがあてられているパラメータ(後述する図3参照)を示すフォーカス情報などの各種情報を一時的に記憶する。外部記憶装置12は、各種パラメータ及びそれぞれが取り得るパラメータ値、多数の自動演奏データやその他のデータ、あるいはCPU1が実行する各種制御プログラム等の制御に関するデータなどを記憶する。なお、上述したROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この外部記憶装置12(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、外部記憶装置12はハードディスク(HD)に限られず、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD‐ROM・CD‐RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の着脱自在な様々な形態の外部記憶媒体を利用する記憶装置であればどのようなものであってもよい。あるいは、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよい。
MIDIインタフェース(I/F)13は、外部接続された他のMIDI機器13A等からMIDI形式の自動演奏データ(MIDIデータ)を当該電子楽器へ入力したり、あるいは当該電子楽器からMIDI形式の自動演奏データ(MIDIデータ)を他のMIDI機器13A等へ出力するためのインタフェースである。他のMIDI機器13Aはユーザによる操作に応じてMIDIデータを発生する機器であればよく、鍵盤型、弦楽器型、管楽器型、打楽器型、身体装着型等どのようなタイプの操作子を具えた(若しくは、操作形態からなる)機器であってもよい。なお、MIDIインタフェース13は専用のMIDIインタフェースを用いるものに限らず、RS-232C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)等の汎用のインタフェースを用いてMIDIインタフェース13を構成するようにしてもよい。この場合、MIDIイベントデータ以外のデータをも同時に送受信するようにしてもよい。MIDIインタフェース13として上記したような汎用のインタフェースを用いる場合には、他のMIDI機器13AはMIDIイベントデータ以外のデータも送受信できるようにしてよい。勿論、演奏データのデータフォーマットはMIDI形式のデータに限らず他の形式であってもよく、その場合はMIDIインタフェース13と他のMIDI機器13Aはそれにあった構成とする。通信インタフェース(I/F)14は、例えばLANやインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークXに接続されており、該通信ネットワークXを介してサーバコンピュータ14Aと接続され、当該サーバコンピュータ14Aから制御プログラムあるいは各種データなどを電子楽器側に取り込むためのインタフェースである。すなわち、ROM2や外部記憶装置12(例えば、ハードディスク)等に制御プログラムや各種データが記憶されていない場合には、サーバコンピュータ14Aから制御プログラムや各種データをダウンロードするために用いられる。こうした通信インタフェース14は、有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を具えていてよい。
なお、上述した電子楽器において、演奏操作子4Aは鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器や管楽器、あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。また、電子楽器は演奏操作子4Aや音源回路8などを1つの装置本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するように構成されたものであってもよい。
なお、本発明に係るパラメータ設定装置を適用する機器は上記したような電子楽器の形態に限らず、カラオケ装置やゲーム装置、携帯電話やPDA等の携帯型通信端末など、表示範囲が狭く単純な表示しかできない簡易な表示器を具えた機器であればどのような形態の装置・機器に適用してもよい。また、パーソナルコンピュータなどの表示範囲が大きく高精細な表示が可能な表示器を具えたものであっても、パラメータ設定のために前記表示器の画面上に開かれたウィンドウのサイズが小さいような場合に適用するようにしてもよい。
図1に示した電子楽器においては、表示器7A上に表示されている画面を参照しながら、ユーザが上記したロータリーエンコーダ5Aや設定操作子6Aを適宜に操作することで、各種パラメータの設定を行うことのできるようになっている。そこで、上記したロータリーエンコーダ5A、設定操作子6A、表示器7Aにより構成される、当該電子楽器におけるパラメータ設定のためのユーザインタフェース構成について図2を用いて、ユーザによるスイッチ操作に応じて表示器7A上に表示する各画面の表示内容について図3を用いて、それぞれ説明する。
図2は、当該電子楽器におけるパラメータ設定のためのユーザインタフェース構成の一実施例を示す概念図である。ここに示す実施例において、表示器7Aは、例えば予め記憶済みの各種フォント(文字、数字、記号、アイコンを含む)を固定ピッチで1行につき10〜25文字程度、2行分表示可能な、表示範囲が非常に狭くかつキャラクタベースの単純な表示しかできない簡易な液晶表示器(LCD)である。この表示器7Aは、パーソナルコンピュータなどで用いられる任意のグラフィックス表示可能な例えばCRTなどの表示器に比べると、任意のグラフィックスを表示することの全くできない表示機能に制限のある(つまり表示機能の劣る)表示器である。こうした表示器7Aはコストが安い点だけでなく、画面上に表示させる表示内容の設計変更などをユーザが簡単に行うことができる点で、CRTなどの表示器に比べて有利である。
「Page L」スイッチ6Al及び「Page R」スイッチ6Arの各スイッチは表示器7Aに表示する画面(表示内容)全体を切り替えるための画面切り替えスイッチであり、これらの各スイッチ(6Al、6Ar)の操作に応じてページ単位に画面表示を切り替えることができる。表示器7Aの左右近傍に2つずつ配置されている4つのスイッチ6Aa〜6Adは、前記表示器7Aの対応する表示領域の表示内容に応じてその機能が適宜に変更される汎用の操作子であって、例えば画面上に各種パラメータ名などを表示させることでこれらの各パラメータを設定するスイッチとして使用することができる。具体的には、前記4つのスイッチ6Aa〜6Adのうちのいずれかのスイッチ操作に応じて、画面上に表示されている複数のパラメータのいずれかを設定対象のパラメータとして選択することができ、さらに前記操作したスイッチ6Aa〜6Adのうちのいずれかのスイッチを操作する度に、前記設定対象としたパラメータのパラメータ値を所定値ずつインクリメント(又はデクリメント)するようにして設定することができる。
また、4つの各スイッチ6Aa〜6Adのいずれかを操作することで、画面上に表示されている複数のパラメータのいずれかを設定対象のパラメータとして選択しておいてからロータリーエンコーダ5Aを操作すると、前記設定対象としたパラメータのパラメータ値を適宜の値に設定することができる。すなわち、設定対象のパラメータの選択後における上記スイッチ6Aa〜6Adの操作に応じたパラメータ設定は、ロータリーエンコーダ5Aを左右に回転操作することによっても実現される。これは、設定対象のパラメータの選択後における上記スイッチ6Aa〜6Adを操作することに応じてパラメータ値を設定する場合には、パラメータ値を現状の値から大きく変更して設定したいような場合に、上記上記スイッチ6Aa〜6Adを何回も操作しなければならず、こうした操作は面倒でありかつ設定に時間がかかることから、ロータリーエンコーダ5Aの操作により簡単な操作で素早くパラメータ値を大きく変更するようにして設定することができるようにしている。
図3は、表示器7A上に表示する画面の表示内容の一実施例を示す概略図である。図3(a)は、リバーブに関する詳細なパラメータとして、リバーブの種類を表すパラメータであるリバーブタイプ(ここではタイプ「チャーチ」を表示している)、リバーブの深さを表すパラメータであるリバーブ「デプス」、リバースをかける時間を表すパラメータであるリバーブ「タイム」の3種類のパラメータを表示した場合を例に示している。図3(b)は、パラメータ名が長い場合及びパラメータ値が長い場合などの1行に1つのパラメータのみを表示した場合を例に示している。
図3(a)に示すように、表示器7Aの画面左上の表示領域には、現在表示中であるパラメータ種類を表わす表題(タイトル)として「<リバーブ>」HAを表示する。一方、表示器7Aの上記した以外の表示領域には、リバーブに関する詳細なパラメータ毎にパラメータに関する表示として、リバーブタイプについては画面左下の表示範囲にパラメータ値「チャーチ」PAとアイコン(表示体)HS、リバーブデプスについては画面右上の表示範囲にパラメータ名「デプス」HBとアイコンHSとパラメータ値「24」PB、リバーブタイムについては画面右下の表示範囲にパラメータ名「タイム」HCとアイコンHSとパラメータ値「30.0」PCをそれぞれ表示する。前記各パラメータに関する表示には、画面の左右に配置されている各スイッチ(ここではスイッチ6Ab〜6Adの3つ)のいずれかをそれぞれ指向する、所定形状をしたアイコンHS(ここでは上下の三角形を組み合わせた表示体)が含まれている。ここでは、リバーブタイプ(「チャーチ」PA)に対してはスイッチ6Abを指向するように、リバーブデプス(「デプス」HC)に対してはスイッチ6Acを指向するように、リバーブタイム(「タイム」HD)に対してはスイッチ6Adを指向するようにして、それぞれアイコン(表示体)HSが表示されている。画面上に表示された各パラメータには、画面の左右に配置されているスイッチ6Aa〜6Adのいずれかが割り当てられるが、この実施例では設定可能なパラメータとして、スイッチ6Abに対しては「リバーブタイプ(チャーチ)」、スイッチ6Acに対しては「リバーブデプス」、スイッチ6Adに対しては「リバーブタイム」がそれぞれ割り当てられていることから、各パラメータが割り当てられた各スイッチ6Ab〜6Adのいずれかを指向するようにしてアイコン(表示体)HSを表示している。
画面上には、上記したパラメータに関する表示のほかに、フォーカス表示HF(ここでは点線の四角形で示す)がいずれかの表示範囲に1つだけ表示される。このフォーカス表示HFは、現在設定可能に指示されている設定対象のパラメータを指し示すものである。この図3では、リバーブタイプ「チャーチ」PAのアイコンHSに重ね合わされるようにしてフォーカス表示HFされていることから、スイッチ6Abの操作に応じてリバーブタイプのパラメータ値を変更することができる。すなわち、スイッチ6Abを1回操作する度に、リバーブタイプのパラメータ値が「チャーチ」、「トンネル」、「ホール1」、「ホール2」、「ルーム1」、「ルーム2」などのようにして1つずつ順繰りに表示変更されることに応じてパラメータ設定が行われる。あるいは、ロータリーエンコーダ5Aの操作に応じて、上記のようにしてリバーブタイプのパラメータ値が1つずつ順繰りに表示変更されることに応じてパラメータ設定が行われる。上記フォーカス表示HFされていない他のパラメータに割り当てられたスイッチ6Ac、スイッチ6Adが操作された場合には、操作されたいずれかのスイッチ(6Ac、6Ad)に割り当てられたパラメータ表示に位置付けられるようにして前記フォーカス表示HFが移動する。その後、上記フォーカス表示HFされたスイッチ6Ac、スイッチ6Adのいずれか(又はロータリーエンコーダ5A)が操作されると、該操作に応じて割り当てらているパラメータのパラメータ値(「デプス」HBのパラメータ値「24」PB、「タイム」HCのパラメータ値(30.0)PC)が表示変更されることに応じてパラメータ設定が行われる。
なお、画面左上の「<リバーブ>」HA表示はユーザ設定可能なパラメータではなく単なる表題であることから、該「<リバーブ>」HA表示に対してはどのスイッチ6Aa〜6Abも割り当てられない。したがって、「<リバーブ>」HA表示されている画面左上の表示領域にはアイコンHSが表示されない。また、スイッチ6Aaに対してはどのアイコンHSも指向していないことから、該スイッチ6Aaを操作してもその操作は無視されてパラメータ設定は行われない。
上記した各スイッチ6Aa〜6Adのいずれかを指向するアイコンHSの指向方向は、パラメータ表示の内容によってその指向方向をユーザがより理解し易いスイッチを指向するように設計変更してよい。例えば、図3(b)に示すように、画面上段のパラメータ名HDが長いような場合、画面下段のパラメータ値PEが長いような場合、各アイコンHSの指向方向を左右それぞれの方向に適宜に設定するようにするとよい。例えば、ここに示した実施例においては、画面上段のアイコンHSの指向方向にあわせて、画面下段のアイコンHSを右方向つまりスイッチ6Adを指向するようにして表示しているがこれに限らず、画面下段のアイコンHSを最も近い位置にあるスイッチ(ここではスイッチ6Ab)を指向するように表示してもよい。
このように、画面上の表示領域に少なくともパラメータ値PA〜PCの表示とアイコンHS表示とフォーカス表示HFとを行うことで、ユーザに対して画面左右に配置された各スイッチ6Aa〜6Adのいずれを操作すれば、表示されているパラメータの設定を行うことができるかを示すようにしている。特に、アイコンHSによりパラメータ設定に使用するスイッチを指向することで、ユーザは各スイッチ6Aa〜6Adと画面上に表示された各パラメータとの対応関係を明確に把握することができるようになる。また、フォーカス表示HFにより現在設定可能なパラメータを明確に示すことから、ユーザは設定対象のパラメータを間違えることなく所望のパラメータの設定を行うことができるようになる。また、図3(b)から理解できるように、画面上に表示するパラメータ表示の配置を自由に設計することが簡単にできるので、特に狭い表示範囲しかもたない表示器であってもパラメータを詰めこむようにして表示させることができる。
なお、変更したパラメータに他のパラメータが関連しているような場合には、関連するパラメータ表示を変更することは言うまでもない。例えば、リバーブタイプのパラメータ値を「チャーチ」から「トンネル」に変更したような場合には、それぞれのタイプ毎に関連する「デプス」及び「タイム」のパラメータ値を予め設定されている値に変更し、該変更したパラメータ値を画面上に表示する。このように、「デプス」あるいは「タイム」をそれぞれ変更しても設定対象のパラメータ値のみが変更されると共に表示も変更されるが、リバーブタイプを変更した場合にはその変更内容に応じて関連する「デプス」及び「タイム」のパラメータ値の表示も変更される。
上述したように、この実施例に示す電子楽器においては、表示器7Aの左右に設置されている各スイッチ(6Ab〜6Ad)及び/又はロータリーエンコーダ5Aの操作に応じて、画面上に表示された各パラメータのいずれかを設定対象のパラメータとして特定し、該特定したパラメータの設定を行うことができる。そして、既に説明したように(図3参照)、上記各スイッチの操作にあわせて表示器7A上に表示する画面の表示内容が適宜に更新される。このような各スイッチの操作に応じて、パラメータ設定を行うと共に表示器7Aに表示する画面の表示内容を更新する「制御処理」は、CPU1が所定のプログラム(ソフトウエア)を所定の時間間隔(例えば5ms)の周期で割り込み起動することにより実施される。上記「制御処理」について、画面表示切り替えスイッチである「PageL」6Al又は「PageR」6Ar(図2参照)が操作された場合について図4を用いて、画面左右に配置されたスイッチ6Aa〜6Adのいずれかが操作された場合について図6を用いて、ロータリーエンコーダ5Aが操作された場合について図7を用いて、それぞれ説明する。
まず、画面表示切り替えスイッチである図2に示した「Page L」6Al又は「Page R」6Arが操作された場合について説明する。図4は、「Page L」6Al又は「Page R」6Arが操作された場合に実行する処理である「画面切り替え操作に応じた制御処理」の一実施例を示したフローチャートである。ただし、この場合には表示器7Aに表示する画面の表示内容を更新するだけで、パラメータの設定は行われないことは言うまでもない。
ステップS1は、画面をクリアする。すなわち、画面全体を何も表示していない状態に初期化する。ステップS2は、画面切り替え前と画面切り替え後とで表示を変更しない文字列を表示する。例えば、図3(a)に示した画面表示における「<リバーブ>」HAなどのパラメータに関する表示でない表題などが該当する。ステップS3〜ステップS6は、表示器7Aの左右に配置された各スイッチ6Aa〜6Ad毎に、該当する画面の表示領域にパラメータに関する表示を行う「スイッチ対応表示処理」を実行する。これについては後述する(後述する図5参照)。ステップS7は、前回フォーカスがあたっていたパラメータがどれであるかを示すフォーカス情報を不揮発メモリ11から取得する。ステップS8は、前記取得したフォーカス情報に基づき、該当するパラメータにフォーカスをあてた表示を行う。例えば、該当するパラメータに関する表示のアイコンHSを点滅するように、フォーカス表示HFをアイコンHSに重ね合わせる。勿論、こうしたフォーカス表示HFの表示態様としては、アイコンHSを点滅させることに限らず、パラメータ名やパラメータ値あるいはパラメータに関する表示全体を点滅させるようにしてもよいし、それらを白黒反転させる又はそれらに下線を施すなどしてもよい。
ここで、上記した「画面切り替え操作に応じた制御処理」で実行される「スイッチ対応表示処理」(図4のステップS3〜ステップS6参照)について、図5を用いて説明する。図5は、「スイッチ対応表示処理」の一実施例を示したフローチャートである。
ステップS11は、切り替え後の新しい画面内に表示器7Aの左右に配置されているスイッチ6Aa(又は6Ab〜6Ad)に対応付けるパラメータがあるか否かを判定する。この画面上のどの表示領域にいずれのパラメータを配置するか、そして各スイッチ6Aa〜6Adのいずれのスイッチに各パラメータを対応付けるかは、予めROM2等に記憶されている。切り替え後の新しい画面内にスイッチ6Aa(又は6Ab〜6Ad)に対応付けるパラメータがないと判定した場合には(ステップS11のNO)、当該処理を終了する。他方、切り替え後の新しい画面内にスイッチ6Aa(又は6Ab〜6Ad)に対応付けるパラメータがあると判定した場合には(ステップS11のYES)、パラメータ名を画面の表示領域内の所定の位置に表示する(ステップS12)。また、スイッチを指し示すアイコンHSを所定の位置に表示する(ステップS13)。画面上に表示するスイッチを指向するアイコンHSは予めROM2等に記憶されている、各スイッチ6Aa〜6Adのいずれのスイッチに各パラメータを対応付けるかによりその指向方向を決めて表示する。さらに、パラメータ値を取得し、該取得したパラメータ値を所定の位置に表示する(ステップS14)。この処理を各スイッチ6Aa〜6Ad毎に繰り返し実行する(図4のステップS3〜ステップS6参照)ことで、各スイッチ6Aa〜6Adに対応する画面上の各表示領域毎にパラメータに関する表示を表示する(図3参照)。
次に、画面左右に配置されたスイッチ6Aa〜スイッチ6Adのいずれかが操作された場合について説明する。図6は、スイッチ6Aa〜スイッチ6Adのいずれかが操作された場合に実行する処理である「スイッチ操作に応じた制御処理」の一実施例を示したフローチャートである。
ステップS21は、スイッチ6Aa〜スイッチ6Adのいずれかが操作されたか否かを判定する。スイッチ6Aa〜スイッチ6Adのいずれかが操作されたと判定した場合には(ステップS21のYES)、該操作されたスイッチ6Aa〜スイッチ6Adにパラメータが割り当てられているか否かを判定する(ステップS22)。該操作されたスイッチ6Aa〜スイッチ6Adにパラメータが割り当てられていると判定した場合には(ステップS22のYES)、不揮発メモリ11に記憶されているフォーカス情報に従って、該パラメータにフォーカスがあたっているか否かを判定する(ステップS23)。フォーカスがあたっている、つまりフォーカス表示されていて設定変更可能なパラメータであると判定した場合には(ステップS23のYES)、対応するパラメータ値を1つインクリメントするようにして設定すると共に(ステップS24)、これにあわせて画面上の該当するパラメータ値の表示を更新する(ステップS25)。他方、フォーカスがあたっていない、つまりフォーカス表示されておらず設定変更可能なパラメータでないと判定した場合には(ステップS23のNO)、対応するパラメータにフォーカスをあてた表示(フォーカス表示)をし、それまでフォーカス表示されていたパラメータを通常の表示、つまりフォーカス表示されていない表示に更新する(ステップS26)。また、不揮発メモリ11に記憶されているフォーカス情報を更新する(ステップS27)。
次に、ロータリーエンコーダ5Aが操作された場合の制御処理について、図7を用いて説明する。図7は、ロータリーエンコーダ5Aが操作された場合に実行する処理である「ロータリーエンコーダ操作に応じた制御処理」の一実施例を示したフローチャートである。
ステップS31は、ロータリーエンコーダ5Aが右に回転操作されたか否かを判定する。右に回転操作されたと判定した場合には(ステップS31のYES)、フォーカスがあたっているパラメータ値を、操作量に応じた分だけインクリメントするようにして設定する(ステップS32)。他方、右に回転操作されていないと判定した場合には(ステップS31のNO)、左に回転操作されたか否かを判定する(ステップS33)。左に回転操作されたと判定した場合には(ステップS33のYES)、フォーカスがあたっているパラメータ値を操作量に応じた分だけデクリメントするようにして設定する。
以上のようにして、表示器の画面上においてパラメータ表示の近傍に指向性のあるアイコンを表示したりフォーカス表示することで、表示器の周囲に配置された各操作子と表示する各パラメータとの対応関係を明確にかつ設定対象のパラメータをわかりやすく表示するようにした。このように、表示器の画面上のどれが設定対象のパラメータとされているか、設定対象としたいパラメータの選択やパラメータ値を設定する際にどの操作子を操作すればよいか、を表示器の画面上にわかりやすく表示するようにしたので、従来に比べてより表示範囲が狭く単純な表示しかできないなどの、表示機能に制限のある簡易な表示器が用いられた場合であっても、ユーザは表示された複数のパラメータの中から設定対象のパラメータを選択的に設定することが容易にできるようになる
また、表示器に表示するパラメータに関する表示の位置を、各スイッチの設置位置にあわせる必要がないので、画面の設計の自由度が増す。特に、表示範囲の狭い表示機能に制限のある簡易な表示器に複数のパラメータを詰め込むようにして表示することができるようになるので、表示機能に制限のある簡易な表示器に向いている。
なお、上述した実施例に示したロータリーエンコーダ5Aはパラメータ値の増減などのパラメータの変更を指示することのできる操作子であるならば、他のどのような操作子であってもよい。例えば、1組のインクリメントスイッチとデクリメントスイッチで構成された操作子であってもよい。
なお、画面上に表示するスイッチを指向するアイコンHSは予めROM2等に記憶されている、どのスイッチに対応付けるかによりその指向方向を決めて表示するようにしたがこれに限らず、画面上におけるアイコンHSの表示位置に従って自動的にその指向方向を判定して表示するようにしてもよい。
なお、パラメータ値として設定可能な値は、一次元の値や、一次元あるいは円環状のリストやテーブルとして記憶されている。インクリメント(又はデクリメント)する際には、パラメータ値が「数」で表せるものであるならば所定の刻みで増加(又は減少)させる。リストに記憶されているような場合には、それまで選択されていたパラメータ値に対して、リスト順に基づき1個次(又は1個前)のパラメータ値を選択する。また、上限又は/及び下限を決めておくことで、パラメータに設定できるパラメータ値を各パラメータ毎に制限してもよい。
なお、上記した各表示制御処理はコンピュータソフトウエアの形態に限らず、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)によって処理されるマイクロプログラムの形態でも実施可能であり、また、この種のプログラムの形態に限らず、ディスクリート回路又は集積回路若しくは大規模集積回路あるいはゲートアレイ等を含んで構成された専用ハードウエア装置の形態で実施してもよい。
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4,5,6…検出回路、4A…演奏操作子、5A…ロータリーエンコーダ、6A…設定操作子、7…表示回路、7A…表示器、8…音源回路、9…効果回路、10…サウンドシステム、11…不揮発メモリ、12…外部記憶装置、13…MIDIインタフェース、13A…MIDI機器、14…通信インタフェース、14A…サーバコンピュータ、X…通信ネットワーク、1D…通信バス(データ及びアドレスバス)