JP4759857B2 - 湿し水供給量制御方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はオフセット印刷機、特には輪転印刷機における湿し水の供給量の制御方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷機で印刷物の品質を高く維持するためには、湿し水の最適な供給量を維持する必要がある。インキ供給量においても、湿し水供給量が変わると網点の着肉形状が変わってしまうため、インキ供給量の調節だけでは基準印刷物の色調を維持することが不可能になる。
一般的に、湿し水の供給量が少ないと、(1)版の網点に盛ることができるインキの量が増え、印刷再現色域が大きくなり、(2)インキの着肉形状が安定するため、色調が安定し、(3)紙が余分に水を吸わないので見当が合い、良いとされている。しかし、湿し水の量が閾値を下回ると、地汚れ、ブラン残りによって起こる汚れ等の印刷障害が起こる。従って、湿し水の供給量は湿し水不足による印刷障害が起こる寸前が品質的に一番良いとされている。しかし、湿し水の供給量が湿し水不足による印刷障害を起こす寸前か否かを判断するのは、長い経験を要する。そのため、経験の浅い印刷機オペレータは湿し水の供給不足による印刷障害を恐れ、湿し水の過剰供給を行い、印刷再現色域が狭く、色調が不安定で、見当の合わない印刷物を作り、湿し水量が閾値を上回った場合には、水マーク等の印刷障害を引き起こし損紙を増大させることになる。
【0003】
そこで高品質での安定と損紙の低減を目指し、従来、例えば湿し水供給量の制御方法として、オフセット印刷機のインキングローラー群中の金属ローラー上にある、インキと湿し水の混合物中に含まれる湿し水の割合(含水率)を測定するために、インキと湿し水の赤外線吸収特性に着目した測定方法が用いられている。更に、金属ローラー上に分布する含水率のなかの最低値(最低含水率)の位置が、ブラン残りによる汚れや地汚れ発生位置と相関が高く、値もその汚れ発生頻度と相関が高い事に着目し、印刷用紙幅内の金属ローラー上の最低含水率を、目標含水率を下限とする一定範囲内に存在するように、水元ローラー回転数を制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記含水率を測定して湿し水供給量を制御する方法では、紙幅の内側で紙面に絵柄の無い領域の含水率のバラツキは、絵柄のある領域の含水率のバラツキより大きい事が多く、最低含水率が紙幅の内側で紙面に絵柄の無い領域で計測、且つ、制御された場合、印刷品質障害が発生する可能性が高いという問題があった。また、他の印刷品質と含水率の関係として、紙の外側の領域の含水率と、紙幅の内側で紙面に絵柄の無い領域の含水率は、確かに、絵柄がある領域の含水率より、バラツキが大きいことが多いが、同一位置の含水率変動が通常のバラツキより大きくなると、紙端の印刷品質に渇き汚れ、地汚れ等の印刷品質障害が出ることもしばしばあった。これらの事からも、紙幅の内側の最低含水率制御は、湿し水供給量制御の完全な代用特性制御ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするものは、1)測定ローラー端の印刷用紙が通過しない領域、2)印刷用紙は通過するが絵柄は存在しない領域、3)絵柄が存在する領域の各領域で含水率のバラツキが異なるながらも、各領域の含水率は印刷品質と密接に関係があることから、これらを考慮に入れ、より一層の損紙低減と高品質の維持を目指し、特に、自動制御にも適しており、よって生産コストの低減に貢献する湿し水供給量制御方法およびその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、オフセット印刷機のローラー表面上にあるインキと湿し水との混合層について、そのインキ量、湿し水量、インキ膜厚、湿し水膜厚、あるいは含水率のうちの少なくとも1つ以上の特性を該ローラーの幅に沿って複数箇所を測定することにより求め、得られたデータに基づいて湿し水の供給量を制御する湿し水供給量制御方法において、印刷用紙が通過しない該ローラーの端近辺にある領域A、印刷用紙は通過するが絵柄は存在しない領域Cと、印刷用紙は通過し且つ絵柄も存在する領域Dの、3領域ともに測定し、少なくとも該3つの領域につき領域ごとに異なる制御を行うことを特徴とする湿し水供給量制御方法としたものである。
【0007】
また、請求項2の発明では、前記印刷用紙が通過する領域Bの制御は、該領域中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記測定した特性のいずれか1つ以上が、基準として設定された制御範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信することを特徴とする請求項1記載の湿し水供給量制御方法としたものである。
【0008】
(削除)
【0009】
また、請求項3の発明では、前記領域Aの制御は、該領域中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記測定した特性につき、いずれか1つ以上が、基準として設定された制御範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信すること、かつ該基準として設定された制御範囲が、前記領域Bの制御範囲とは異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の湿し水供給量制御方法としたものである。
【0010】
また、請求項4の発明では、前記領域Cの制御は、該領域中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記測定した特性につき、いずれか1つ以上が、基準として設定された制御範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信すること、かつ該基準として設定された制御範囲は前記領域Aの制御範囲とは異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の湿し水供給量制御方法としたものである。
【0011】
また、請求項5の発明では、前記領域Dの制御は、該領域中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記測定した特性のいずれか1つ以上が、基準として設定された適性範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信すること、かつ該適性範囲は下限値を有しており、該領域中で前記ローラーの幅に沿った方向に分布する含水率データの中で、最低の含水率が基準値を下限とする一定範囲内に存在するように制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の湿し水供給量制御方法としたものである。
【0012】
また、請求項6の発明では、前記制御を色別に行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の湿し水供給量制御方法としたものである。
【0013】
(削除)
【0014】
さらにまた、請求項7の発明では、オフセット印刷機のローラー表面上にあるインキと湿し水との混合層について、そのインキ量、湿し水量、インキ膜厚、湿し水膜厚、あるいは含水率のうちの少なくとも1つ以上の特性を、該ローラーの幅に沿って複数箇所を測定する測定手段、及び測定により得られたデータに基づいて湿し水の供給量を制御する制御手段を備えた湿し水供給量制御装置において、該測定手段は、該印刷用紙が通過しない該ローラーの端近辺にある領域A、印刷用紙は通過するが絵柄は存在しない領域C、及び印刷用紙は通過し且つ絵柄も存在する領域Dの少なくとも3つの領域について、いずれも前記測定を行い、該制御手段は、少なくとも該3つの領域につき領域ごとに異なる制御を行うことを特徴とする湿し水供給量制御装置としたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
本発明の湿し水供給量制御方法は、図1の側面概略図に示すように、例えば、オフセット印刷機のインキ練りローラー群(8)とインキ着ローラ(2)との間にある金属ローラーとしての往復ローラー(3a,3b)の内の一方の往復ローラ(3b)の表面上にあるインキと湿し水との混合層について、そのインキ量、湿し水量、インキ膜厚、湿し水膜厚、あるいは含水率のうちの少なくとも1つ以上の特性を、前記往復ローラー(3b)の幅に沿って複数箇所を赤外線センサー(14)で測定することにより求め、そこで得られたデータに基づいて湿し水の供給量を制御する湿し水供給量制御装置(18)を用いた湿し水供給量制御方法であって、図2の模式図に示すように、印刷用紙(30)が通過しない往復ローラー(3b)の端近辺にある領域(A)、及び印刷用紙が通過する領域(B)について、その両領域(A,B)ともに測定し、それら2つの領域(A,B)につき領域ごとに異なる制御を行う湿し水供給量制御方法およびその装置で、なおかつ、図2に示すように、印刷用紙(30)が通過する領域(B)を、さらに、印刷用紙(30)は通過するが絵柄(32)は存在しない領域(C)と、印刷用紙(30)は通過し且つ絵柄(32)も存在する領域(D)の領域に分け、前記領域(A)、領域(C)及び領域(D)のいずれについても測定を行い、それぞれ領域(A)、領域(C)及び領域(D)の領域につき領域ごとに異なる制御を行う湿し水供給量制御方法及びその装置である。
【0016】
また、本発明は、図2に示すように、印刷用紙(30)が通過する領域(B)の制御は、この領域(B)中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記測定した特性のいずれか1つ以上が、基準として設定された制御範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信する湿し水供給量制御方法及びその装置である。
【0017】
また、本発明は、図2に示すように、印刷用紙(30)が通過する領域(B)を、さらに、印刷用紙(30)は通過するが絵柄(32)は存在しない領域(C)と、印刷用紙(30)は通過し且つ絵柄(32)も存在する領域(D)の領域に分け、前記領域(A)、領域(C)及び領域(D)のいずれについても測定を行い、それぞれ領域(A)、領域(C)及び領域(D)の領域につき領域ごとに異なる制御を行う湿し水供給量制御方法及びその装置である。
【0018】
また、本発明は、図2に示すように、印刷用紙(30)が通過しない往復ローラー(3b)の端近辺にある領域(A)の制御は、この領域(A)中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記で測定した特性につき、いずれか1つ以上が、基準として設定された制御範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信すること、かつこの基準として設定された制御範囲が、前記領域(B)の制御範囲とは異なっている湿し水供給量制御方法及びその装置である。
【0019】
(削除)
【0020】
さらにまた、本発明は、図2に示すように、前記領域(D)の制御は、該領域中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記測定した特性のいずれか1つ以上が、基準として設定された適性範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信すること、かつ該適性範囲は下限値を有しており、該領域中で前記ローラーの幅に沿った方向に分布する含水率データの中で、最低の含水率が基準値を下限とする一定範囲内に存在するように制御を行う湿し水供給量制御方法及びその装置である。
【0021】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
〈実施例1〉
先ず、図3の模式図に示すように、金属ローラーである往復ローラ(3b)上に、1〜16番までの全インキキー(9)にわたって、図1に示す赤外線センサー(14)が移動出来るように湿し水供給量制御装置を設定した。
【0022】
続いて図3に示すように、印刷用紙(30)の幅(W)を湿し水供給量制御装置に入力し、その印刷用紙(30)が乗っている2〜15番のインキキー(9)を認識する。
【0023】
続いてそれらインキキー(9)の開度を湿し水供給量制御装置に入力し、各色毎に絵柄(32)が乗っている4〜13番のインキキー(9)を認識する(この時インキキー開度が“0”でなければ絵柄(32)が乗っていると判断)。
【0024】
続いて往復ローラー(3b)の幅方向(P)において、各色毎に図2に示す測定される往復ローラー(3b)端の印刷用紙(30)が通過しない領域(A)(図3に示すインキキー(9)1番と16番に相当)と、印刷用紙(30)は通過するが絵柄(32)は存在しない領域(C)(図3に示すインキキー(9)2,3番と14,15番に相当)と、絵柄(32)が存在する領域(D)(図3に示すインキキー(9)4番〜13番までに相当)の3領域に分けて、測定対象の往復ローラー(3b)の幅方向(P)全てを測定し、それぞれ各領域毎に別の制御を、各色毎に別の基準状態を設定した。
【0025】
上記領域(A)の制御として、図3に示す1番と16番のインキキー(9)に相当する位置の往復ローラー(3b)上での
・インキ膜厚が、基準取得時の測定値±2μm
・水膜厚が、基準取得時の測定値±1μm
・含水率が、基準取得時の測定値±10%の範囲で制御し、これらの範囲から超えた場合、オペレータに告知するようにした。
【0026】
また、上記領域(C)の制御として、図3に示す2,3番と14,15番のインキキー(9)に相当する位置の往復ローラー(3b)上での
・インキ膜厚が、基準取得時の測定値±1.0μm
・水膜厚が、基準取得時の測定値±0.5μm
・含水率が、基準取得時の測定値±5%の範囲で制御し、これらの範囲から超えた場合、オペレータに告知するようにした。
【0027】
また、上記領域(D)の制御として、図3に示す4番〜13番までのインキキー(9)に相当する位置の往復ローラー(3b)上での
・インキ膜厚が、基準取得時の測定値±0.5μm
・水膜厚が、基準取得時の測定値±0.3μm
・含水率が、基準取得時の測定値±5%の範囲で制御し、これらの範囲から超えた場合、オペレータに告知するようにした。同時に、図3に示す測定される往復ローラー(3b)の幅方向(P)に分布する含水率の中で最低値(最低含水率)に着目し、図4に示すように、11番のインキキーに相当する含水率6%を下限とし、それにマージンとして1%上乗せして7%とし、7%±1%の範囲内に、最低含水率が常に存するように、図1に示す水元ローラー(12)の回転数の調整を行うようにした。
【0028】
上記のようにして印刷テストを行った結果、湿し水供給量不良による印刷障害の発生率は、0.05%であった。
【0029】
〈比較例1〉
先ず、図3に示すような2〜15番までのインキキー(9)に相当する往復ローラ(3b)上、即ち1番と16番のインキキー(9)に相当する部分を除いた往復ローラ(3b)上にのみ、図1に示す赤外線センサー(14)が移動できるように湿し水供給量制御装置を設定した。
【0030】
続いて図3に示すように、印刷用紙(30)の幅(W)を湿し水供給量制御装置に入力し、その印刷用紙(30)が乗っている2〜15番のインキキー(9)を認識する。
【0031】
上記2〜15番までのインキキー(9)に相当する往復ローラ(3b)上で、測定対象の往復ローラー(3b)の幅方向(P)全てを測定し、各色毎に基準状態を設定した。
【0032】
同時に、図3に示す測定される往復ローラー(3b)の幅方向(P)に分布する含水率の中で最低値(最低含水率)に着目し、図5に示すように、14番のインキキーに相当する含水率5%を下限とし、それにマージンとして1%上乗せして6%とし、6%±1%の範囲内に、最低含水率が常に存するように、図1に示す水元ローラー(12)の回転数の調整を行うようにした。
【0033】
同時に、上記図3に示す印刷用紙(30)が乗っている2〜15番のインキキー(9)に相当する位置の往復ローラー(3b)上での
・インキ膜厚が、基準取得時の測定値±0.5μm
・水膜厚が、基準取得時の測定値±0.3μm
・含水率が、基準取得時の測定値±3%の範囲で制御し、これらの範囲から超えた場合、オペレータに告知するようにした。
【0034】
上記のようにして比較例での印刷テストを行った結果、湿し水供給量不良による印刷障害の発生率は、0.2%であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、オフセット印刷機のローラー表面上にあるインキと湿し水との混合層について、そのインキ量、湿し水量、インキ膜厚、湿し水膜厚、あるいは含水率のうちの少なくとも1つ以上の特性を、前記ローラーの幅に沿って複数箇所を測定し、得られたデータに基づいて湿し水の供給量を制御する湿し水供給量制御方法において、従来、印刷用紙が通過するローラーの領域のみで制御を行っていたのに対し、同じ印刷用紙が通過するローラーの領域であっても、絵柄がある領域、無い領域に分けて考慮し、印刷用紙が通過しない領域をも考慮に入れて測定し、制御を行う湿し水供給量制御方法およびその装置を用いることによって、従来よりも印刷物の色調などをより高品質に維持しながら、湿し水供給量の制御の際に生じる損紙の発生をさらに減少させ、生産コストの低減に貢献することができる。
【0036】
従って本発明は、オフセット印刷機、特にオフセット輪転印刷機における湿し水の供給量の制御方法とその装置として、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の湿し水供給量制御方法とその装置の一実施の形態を説明するための側面の概略図である。
【図2】 本発明の湿し水供給量制御方法とその装置の一実施の形態を模式的に示した説明図である。
【図3】 本発明の湿し水供給量制御方法とその装置の一実施の形態をインキキーをも含めて模式的に示した説明図である。
【図4】 本発明の湿し水供給量制御方法とその装置により測定した含水率とインキキーの位置との関係を示す説明図である。
【図5】 従来の湿し水供給量制御方法とその装置により測定した含水率とインキキーの位置との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
2‥‥インキ着ローラー
3a,3b‥‥往復ローラー
4‥‥版胴
5a,5b‥‥フランケット胴
6‥‥インキ元ローラー
8‥‥インキ練りローラー群
9‥‥インキキー
11‥‥湿し水
12‥‥水元ローラー
14‥‥赤外線センサー
18‥‥湿し水供給量制御装置
30‥‥印刷用紙
32‥‥絵柄
P‥‥ローラーの幅方向
W‥‥印刷用紙の幅
Claims (7)
- オフセット印刷機のローラー表面上にあるインキと湿し水との混合層について、そのインキ量、湿し水量、インキ膜厚、湿し水膜厚、あるいは含水率のうちの少なくとも1つ以上の特性を該ローラーの幅に沿って複数箇所を測定することにより求め、得られたデータに基づいて湿し水の供給量を制御する湿し水供給量制御方法において、印刷用紙が通過しない該ローラーの端近辺にある領域A、印刷用紙は通過するが絵柄は存在しない領域Cと、印刷用紙は通過し且つ絵柄も存在する領域Dの、3領域ともに測定し、少なくとも該3つの領域につき領域ごとに異なる制御を行うことを特徴とする湿し水供給量制御方法。
- 前記印刷用紙が通過する領域Bの制御は、該領域中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記測定した特性のいずれか1つ以上が、基準として設定された制御範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の湿し水供給量制御方法。
- 前記領域Aの制御は、該領域中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記測定した特性につき、いずれか1つ以上が、基準として設定された制御範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信すること、且つ該基準として設定された制御範囲が、前記領域Bの制御範囲とは異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の湿し水供給量制御方法。
- 前記領域Cの制御は、該領域中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記測定した特性につき、いずれか1つ以上が、基準として設定された制御範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信すること、且つ該基準として設定された制御範囲は前記領域Aの制御範囲とは異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の湿し水供給量制御方法。
- 前記領域Dの制御は、該領域中の同じ位置のインキ量、湿し水量、インキ膜厚、水膜厚、あるいは含水率のうちの前記測定した特性のいずれか1つ以上が、基準として設定された適性範囲を逸脱した場合には、人間に通報を行うか又は制御装置に異常を示す情報を送信すること、且つ該適性範囲は下限値を有しており、該領域中で前記ローラーの幅に沿った方向に分布する含水率データの中で、最低の含水率が基準値を下限とする一定範囲内に存在するように制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の湿し水供給量制御方法。
- 前記制御を色別に行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の湿し水供給量制御方法。
- オフセット印刷機のローラー表面上にあるインキと湿し水との混合層について、そのインキ量、湿し水量、インキ膜厚、湿し水膜厚、あるいは含水率のうちの少なくとも1つ以上の特性を、該ローラーの幅に沿って複数箇所を測定する測定手段、及び測定により得られたデータに基づいて湿し水の供給量を制御する制御手段を備えた湿し水供給量制御装置において、該測定手段は、該印刷用紙が通過しない該ローラーの端近辺にある領域A、印刷用紙は通過するが絵柄は存在しない領域C、及び印刷用紙は通過し且つ絵柄も存在する領域Dの少なくとも3つの領域について、いずれも前記測定を行うこと、該制御手段は、少なくとも該3つの領域につき領域ごとに異なる制御を行うことを特徴とする湿し水供給量制御装置。
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