JP4758136B2 - 印刷装置 - Google Patents
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Description
また、多段給紙装置の各給紙トレイの中心位置がずれていてもコストアップすることなく簡単かつ自動的に画像位置調整を行うことが可能な孔版印刷装置に係る技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この技術は、各給紙トレイの中心に合わせて排紙台または一対の排紙サイドフェンスを用紙幅方向に自動的に移動させるものである。
また、複数の用紙貯容部に貯容された印刷用紙の印刷画像位置を用紙貯容部毎に用紙幅方向に調整することが可能であり、かつ、周辺機器の接続が可能な孔版印刷装置に係る技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。この技術は、用紙幅方向に移動可能な版胴を有し、複数の用紙貯容部および排紙トレイを印刷用紙の搬送経路の中心線が一致すべく孔版印刷装置にそれぞれ配設し、各排紙サイドフェンスを搬送経路の中心線に関して対称的に用紙幅方向に互いに連動して移動可能に構成したものである。以下、前記の特許文献1〜3に係る技術を後者の技術と呼ぶ。
さらに、排紙エンドフェンスを、排紙台や排紙サイドフェンスとは独立して用紙幅方向に位置調整することができる提案は未だなされていない。それ故に、給紙側で用紙幅方向に位置調整された用紙が排紙されたとき、排紙サイドフェンスに衝突する排紙の中心位置がずれてしまい、衝突時の排紙先端の揃えが安定せず、整然と排紙台に積載されないという問題点がある。
その他、請求項記載の発明特定事項(以下、「構成」という)により、後述の実施形態に記載されている利点や効果を奏する印刷装置を提供することも目的としている。
請求項1記載の発明は、用紙を積載し用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に移動調整可能な給紙台と、印刷済みの用紙を積載する排紙台とを具備する印刷装置において、前記排紙台には、印刷済みの用紙の先端を受け止めて該用紙の揃えを行う排紙エンドフェンスが配置されており、前記給紙台の前記用紙幅方向における標準位置を基準として、前記用紙幅方向に移動調整された前記給紙台の移動量を視認により確認するための給紙台用確認手段と、前記用紙幅方向に移動調整された前記給紙台の位置に合わせて、手動によって前記排紙台を前記用紙幅方向に移動調整する排紙台手動移動調整手段と、前記排紙台の前記用紙幅方向における標準位置を基準として、前記用紙幅方向に移動調整された前記排紙台の移動量を視認により確認するための排紙台用確認手段と、前記排紙台の前記用紙幅方向への移動と独立して、前記排紙エンドフェンスを手動によって前記排紙台における前記用紙幅方向に移動調整する排紙エンドフェンス手動移動調整手段とを有することを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、上記構成により、排出される印刷済みの用紙(排紙)両側端の揃えの品質を維持することができるとともに、印刷画像面積等により排出された用紙が不安定な場合、排紙エンドフェンス単独で排紙台における用紙幅方向に微調整を含む調整をすることが可能となるので、印刷済みの用紙の排紙エンドフェンスへの衝突時の状態を安定させ、排出される印刷済みの用紙(排紙)の先端の揃えの品質を維持して印刷済みの用紙を排紙台上に整然と積戴することができ、また構成が簡単で安価な印刷装置を提供することができる。
また、印刷済みの用紙の側端を揃えるための、手動によって用紙幅方向に移動可能な排紙サイドフェンスが配置されている場合には、上記発明の効果に加えて、印刷済みの用紙の排出位置に対して、排紙サイドフェンスおよび排紙台に通常配設されるエンドフェンスの位置をずれることなく排紙されるように設定できるので、給紙台での用紙位置と排紙台上での排紙サイドフェンスおよび排紙エンドフェンスとの位置が一致することとなり、排紙揃えの品質を維持することができる(請求項2および4)。
請求項3記載の発明によれば、上記構成により、制御手段は、給紙台位置検出手段と排紙台位置検出手段とからの各出力信号に基づいて、報知手段をして給紙台における用紙幅方向の位置と排紙台における用紙幅方向の位置との整合状態を報知することにより、上記各発明の効果に加えて、給紙台に対する排紙台の位置の移動調整による誤設定をなくすことができる。
請求項4記載の発明によれば、上記構成により、上記各発明の効果に加えて、印刷済みの用紙の排出位置に対して、排紙サイドフェンスおよび排紙台に通常配設されるエンドフェンスの位置をずれることなく排紙されるように設定できるので、排紙揃えの品質を維持することができる。
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態を示す印刷装置の一例としての孔版印刷装置1の全体構成を説明する。同図において、符号1Aは、孔版印刷装置1の骨組みをなす印刷装置本体を示す。同図に示すように、孔版印刷装置1は、印刷装置本体1Aの中央部に配置された印刷部2と、この印刷部2の右上方に配置された製版部3と、この製版部3の下方に配置された給紙部4と、印刷部2の左上方に配置された排版部5と、この排版部5の下方に配置された排紙部6と、印刷装置本体1Aの上方に配置された画像読取部7とを有している。
版胴8は、インキ供給パイプを兼ねた支軸11に回転自在に支持された図示しない一対のフランジの外周面に多孔性支持板8aを巻着して構成されており、図示しない例えば電動モータ等の版胴駆動手段によって図1中矢印方向Aに回転駆動される。支軸11は、図において紙面奥側の先端部を印刷装置本体1Aの側板に支持されるように構成されており、版胴8内側に位置する部位の表面にはインキ溜まり15aにインキを供給するための複数の小さな孔が穿設されている。
マスタ貯容手段20よりもマスタ搬送方向下流側には、プラテンローラ21およびサーマルヘッド22が配置されている。プラテンローラ21は印刷装置本体1Aの図示しない製版側板に回転自在に支持されており、ギヤやベルト等の回転力伝達手段を介して図示しないステッピングモータよって回転駆動される。
サーマルヘッド22は、多数の発熱素子を有し、前記図示しない製版側板に揺動自在に取り付け・支持されており、図示しないばね等の付勢手段の付勢力によってプラテンローラ21に圧接する向きに付勢されている。サーマルヘッド22は、マスタ26の前記熱可塑性樹脂フィルム面に接触しつつ各発熱素子を選択的に発熱させ、マスタ26に対して熱溶融穿孔製版を行う。
切断手段23のマスタ搬送方向下流側には、マスタ搬送ローラ対24、25およびガイド板28が配置されている。マスタ搬送ローラ対24、25は、図示しない例えばステッピングモータからなる駆動手段によって同期して回転駆動される各駆動ローラ24a、25aと、図示しない付勢手段によって各駆動ローラ24a、25aに圧接された従動ローラ24b、25bとから構成されている。マスタ搬送ローラ対24とマスタ搬送ローラ対25との間には、製版済みのマスタ26を貯留するための撓みボックス29が配設されている。
ガイド板28は前記製版側板に固定されており、各マスタ搬送ローラ対24、25によって搬送されるマスタ26の向きを下方に変えて、マスタ26の先端を版胴8の外周面へと案内する。
給紙トレイ30は、印刷装置本体1Aに固設された筐体状をなす一対の給紙側板(図示せず)の内側に固定された給紙トレイ支持ブラケット38に対して、用紙搬送方向Xと直交する用紙幅方向に移動自在に取り付け・支持されている。すなわち、本実施形態の給紙トレイ30は、用紙Pを積載し、後述の構成によって用紙幅方向に移動調整可能に構成された給紙台としての機能を有する。
給紙トレイ30には、積載された用紙Pの両側端を位置決め揃えるための、用紙搬送方向Xと直交する用紙幅方向Yに移動自在な一対の給紙サイドフェンス36が配設されている。給紙サイドフェンス対36は、周知の構成であるためその図示を省略しているが、例えば特開2000−225763号公報の図3および図14に示されていると同様の、いわゆるラックアンドピニオン機構によって用紙幅方向Yに同じ距離ずつ連動して移動可能に構成されている。
給紙ローラ31、分離ローラ32および分離パッド33は、給紙トレイ30上の用紙Pを1枚ずつ分離して給送する給紙手段を構成している。
上排版部材40は、駆動ローラ45、従動ローラ44、これらのローラ44、45間に掛け渡された無端の上搬送ベルト48等を有している。駆動ローラ45は、例えば排版モータからなる排版駆動手段(図示せず)によって図1の時計回り方向に回転駆動されることにより、上搬送ベルト48が図1中矢印方向に移動する。下排版部材41は、駆動ローラ47、従動ローラ46、これらのローラ46、47間に掛け渡された無端の下搬送ベルト49等を有している。駆動ローラ47は、駆動ローラ45を回転駆動する前記図示しない排版駆動手段の駆動力をギヤやベルト等の駆動伝達手段を介して伝達されることにより、下搬送ベルト49が図1の矢印方向に移動する。また、下排版部材41は、図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図1に示す位置と駆動ローラ45の外周面上に位置する下搬送ベルト49が版胴8の外周面に当接する位置とを選択的に占める。
排版ボックス42は、内部に使用済みマスタ26aを貯容するものであり、印刷装置本体1Aに対して着脱自在に設けられている。圧縮板43は、上排版部材40、下排版部材41とによって運ばれた使用済みマスタ26aを排版ボックス42の内部に押し込むものであり、図示しない昇降手段によって上下動自在に支持されている。
排版部5は、これに限らず、さらに構成が簡単で安価な孔版印刷装置を望むのであれば、例えば上搬送ベルト48および下搬送ベルト49を除去して、実質的に従動ローラ44、46および駆動ローラ45、47で使用済みマスタ26aを搬送する構成のものでも良いし、また特開2000−43394号公報の図1ないし図3に示されている排版ローラ対(5)と同様の構成のものでも良い。
剥離爪50は、版胴8の外周面より印刷済みの用紙Pを剥離する機能を有する。剥離爪50は、支軸50aを介して、印刷装置本体1Aに固設された一対の排紙側板に揺動自在に支持されており、図示しない爪揺動手段によって、その先端が版胴8の外周面に近傍する位置と、その先端が版胴8の回転によって移動するクランパ13等の障害物と干渉しない位置とに選択的に揺動される。
排紙吸着搬送装置51は、駆動ローラ53、従動ローラ54、排紙ベルト55、吸引ファン56等を有している。
駆動ローラ53は、前記図示しない排紙側板対に回転自在に支持されており、図示しない駆動手段で回転駆動される。従動ローラ54も前記排紙側板対に回転自在に支持され、駆動ローラ53と従動ローラ54とには、無端ベルトからなる複数の排紙ベルト55が掛け渡されている。駆動ローラ53、従動ローラ54および排紙ベルト55の下方には吸引ファン56が配置されている。排紙吸着搬送装置51は、吸引ファン56の吸引力によって排紙ベルト55上に印刷済みの用紙P(以下、説明の簡単化のため「排紙P」と言い替えるときがある)を図の矢印方向に搬送する。
排紙サイドフェンス対57は、後で詳述するが、図13に示すように各々独立で、排紙トレイ52と、板バネ93と、スライドカバー94とを介してスライド移動する構成である。
排紙トレイ52は、後で詳述するが、図1にその一部を示すように、前記図示しない排紙側板対の内側に固定された排紙トレイ支持ブラケット59に対して、用紙幅方向に移動調整可能に取り付け・支持されている。
上記構成中、原稿受け台61、原稿搬送ローラ対63、原稿搬送ローラ64、各ガイド板65、66、原稿搬送ベルト67、原稿トレイ68によって自動原稿搬送装置75(以下、「ADF75」と略記する)が、またコンタクトガラス62、各反射ミラー70、71、蛍光灯72、レンズ73、画像センサ74によってスキャナとも呼ばれる原稿読取手段76がそれぞれ構成されている。
オペレータにより画像読取部7の原稿受け台61に原稿60がセットされ、また給紙部4の給紙トレイ30に用紙Pが補充されるなどした後、図8に示す操作パネル130に配設されている製版スタートキー(図示せず)が押下されると、スタート信号が生成され、これが制御装置120に送信されると、先ず、排版部5における使用済みマスタ26aの排版動作が行われる。
一方、ADF75を使用した場合の原稿60の画像読み取りは、上述した場合と比較して、ADF75が作動することにより1枚の原稿60が読取部であるコンタクトガラス62上に送出されることのみ相違するだけであり、その後、上述したと同様に、原稿読取手段76の作動によってその原稿60の画像が光学情報として読み取られ、その画像データに係る電気信号が前記図示しない画像メモリ内に格納される。さらに、次の製版動作に備えて、画像メモリから順次画像データが呼び出されつつ図示しない製版制御装置(制御装置100の中に配設されていても良い)を経由してデジタル画像信号として処理されて、製版部3に配設されている図示しないサーマルヘッド駆動回路に送信される。
なお、前記図示しない画像処理装置に送信されるデジタル画像信号としては、孔版印刷装置1と通信可能に接続されて構成された図示しないネットワーク上等からPC(パーソナルコンピュータ)コントローラ経由で図8に示す制御装置120に入力する場合もある。
駆動ローラ34bの回転とほぼ同時に、図示しない接離手段が作動することにより、プレスローラ10がその外周面を版胴8の外周面に圧接させるべく揺動上昇することで、レジストローラ対34によって給送された用紙Pが版胴8に巻装された製版済みのマスタ26に押圧される。この押圧動作により、プレスローラ10と用紙Pと製版済みのマスタ26とが圧接し、インキローラ14によって版胴8の内周面に供給されたインキが版胴8の開孔部より滲出し、この滲出したインキが多孔性支持板8a、図示しないメッシュスクリーンおよび製版済みのマスタ26の多孔性支持体に充填された後にそのマスタ26の穿孔部分を介して用紙に転移・転写されることによって、製版済みのマスタ26にインキを充填することで版胴8の外周面に密着させるためのいわゆる版付け・印刷が行われる。
この時、インキローラ14も版胴8の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜まり15aのインキは、インキローラ14の回転によりインキローラ14の表面に付着され、インキローラ14とドクターローラ15との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴8の内周面に供給される。
版付け動作完了後、操作パネル130の各種キー操作等によって印刷条件が設定された後に、オペレータによって操作パネル130上の試し刷りキー(図示せず)が押下されることにより、上記のような印刷動作により1枚だけ印刷される。なお、試し刷り動作は、上述の版付け動作と比べて、印刷条件設定で設定された印刷速度であることが主に相違するだけである。
試し刷りによって画像位置や画像濃度等が決定されると、これらの印刷条件および印刷枚数が設定された後に、オペレータにより操作パネル130上の印刷スタートキー(図示せず)が押下されることで、上記のような印刷動作によって設定された所定の印刷枚数が印刷される。また、操作パネル130上の連続キー(図示せず)を押下し、諸条件を設定したのちに製版スタートキー(図示せず)が押下されると、版付け終了後、連続して印刷動作が行われる。
図3において、符号110は、給紙台移動機構を示す。この給紙台移動機構110は、印刷画像位置を手動で移動調整するためのものであり、給紙トレイ30を、印刷装置本体1A側の給紙側板対(図示せず)に固設された不動部材である給紙トレイ支持ブラケット38に対して、用紙搬送方向Xと直交する用紙幅方向Yに手動で移動調整することによりその位置を設定するためのものである。
給紙台移動機構110は、給紙トレイ支持ブラケット38の側壁にカシメられて固着され、用紙幅方向Yに延びて雄ネジを形成されたネジ軸35aと、ネジ軸35aに噛み合う雌ネジを形成された手動位置調整手段としての給紙トレイ移動ダイヤル35と、給紙トレイ30に一体的に形成されネジ軸35aを緩く挿通する2箇所のリブ部35bと、給紙トレイ30を用紙幅方向Yに案内するための補助的な案内手段としての、給紙トレイ支持ブラケット38の用紙幅方向Yに長く形成された3箇所の長孔38aおよびこれらに緩く嵌入され給紙トレイ30の裏面壁に螺着される3個の段付ネジ35cとから主に構成される。
なお、給紙トレイ支持ブラケット38における用紙幅方向Yの立壁フランジが障害となって上述したように容易に組み付けられないような場合、ネジ軸35aの給紙トレイ支持ブラケット38の側壁に対するカシメを最後に行うようにしても良い。
一方、給紙トレイ30の裏面壁には、給紙トレイ位置検知基板111と当接する接触子112が固定されている。ここで、通常、給紙トレイ30は樹脂等の電気絶縁材(不導体)で形成されていて、接触子112は板バネ状をなすステンレススチール等の導電材で形成されているので、給紙トレイ30と接触子112とは電気的に絶縁状態になっている。但し、給紙トレイ30と接触子112とが電気的に絶縁状態になっていれば、前記構成の限りではない。接触子112は、下部先端部分がほぼ熊手状に複数に分岐して折れ曲がっており、図7に示すように、給紙トレイ位置検知基板111に形成された検知パターンに接触する構造となっている。給紙トレイ位置検知基板111は、図7に示すとおり、その表面に接触子112の数に相当する複数の検知パターンが形成されており、接触子112の分岐した先端部分がその検知パターンに接触することで導通し、信号がオンとなる。このような検知パターンは、複数あるため、その組み合わせで給紙トレイ30の用紙幅方向Yの絶対位置が判る構造となっている。前記検知パターンのアース部分には、接触子112が常に接触している状態にある。
ここで、給紙トレイ30の位置検知方法であるが、前記利点を望まなくても良いのであれば前記構成に限らず、例えば複数の透過型のフォトセンサを配置し、その部分を遮蔽板が通過することで位置検知を行う等、その他多数の手段があることは言うまでもない。これは後述する排紙トレイ52および第2の実施形態における図9等に示す排紙トレイ52Aの位置検出の場合でも同様である。
なお、給紙トレイ30の用紙幅方向Yへの移動量は、給紙トレイ支持ブラケット38に対する給紙トレイ30の用紙幅方向Yにおける標準位置(ホームポジション)を基準として、給紙トレイ支持ブラケット38や給紙トレイ30の適当な部位に視認可能な目盛表示を付しても良いし、給紙トレイ移動ダイヤル35の外周部に視認可能な目盛表示を付しても良い。
本実施形態の最大の特徴は、図1ないし図3に示したように給紙台移動機構110によって用紙幅方向Yに移動調整された給紙トレイ30の位置に合わせて、手動によって排紙トレイ52を用紙幅方向Yに移動調整する排紙台手動移動調整手段115を有することにある。
排紙台手動移動調整手段115は、分かりやすく説明すると、排紙トレイ52に排出・積載される排紙Pを用紙幅方向Yに手動で移動調整するためのものである。換言すれば、排紙台手動移動調整手段115は、排紙トレイ52を、印刷装置本体1A側の排紙側板対(図示せず)に固設された不動部材である排紙トレイ支持ブラケット59に対して、用紙幅方向Yに手動で移動調整することによりその位置を設定するためのものである。
排紙台手動移動調整手段115は、排紙トレイ支持ブラケット59の側壁にカシメられて固着され、用紙幅方向Yに延びて雄ネジを形成されたネジ軸59aと、ネジ軸59aに噛み合う雌ネジを形成された手動位置調整手段としての排紙トレイ移動ダイヤル59cと、排紙トレイ52に一体的に形成されネジ軸59aを緩く挿通する2箇所のリブ部59bと、排紙トレイ52を用紙幅方向Yに案内するための補助的な案内手段としての、排紙トレイ支持ブラケット59の用紙幅方向Yに長く形成された3箇所の長孔59eおよびこれらに緩く嵌入され排紙トレイ52の裏面壁に螺着される3個の段付ネジ59dとから主に構成される。
ネジ軸59aは、鋼材等の金属で形成されている。排紙トレイ移動ダイヤル59cは、例えば所定の強度を有し耐磨耗性に優れるとともに摩擦係数の比較的小さなポリアセタール樹脂(POM)等の樹脂で形成されている。排紙トレイ移動ダイヤル59cの外周面には、操作性向上のためにローレット加工が施されている。
なお、排紙トレイ支持ブラケット59における用紙幅方向Yの立壁フランジが障害となって上述したように各構成要素を容易に組み付けられないような場合、ネジ軸59aの排紙トレイ支持ブラケット59の側壁に対するカシメ・固着を最後に行うようにしても良い。
一方、排紙トレイ52の裏面壁には、排紙トレイ位置検知基板116と当接する接触子117が固定されている。ここで、給紙トレイ30と同様に、通常、排紙トレイ52は樹脂等の電気絶縁材(不導体)で形成されていて、接触子117は板バネ状をなすステンレススチール等の導電材で形成されているので、排紙トレイ52と接触子117とは電気的に絶縁状態になっている。但し、排紙トレイ52と接触子117とが電気的に絶縁状態になっていれば、前記構成の限りではない。接触子117の形状、排紙トレイ位置検知基板116の細部構成は、上述した給紙部4における接触子112および給紙トレイ位置検知基板111と同様であるため、その説明を省略する。
前記のとおり、排紙トレイ52の用紙幅方向Yの位置を検出する排紙台位置検出手段は、排紙トレイ52に設けられた接触子117および排紙トレイ支持ブラケット59に設けられた排紙トレイ位置検知基板116で構成されている。この検知手段による排紙トレイ52の位置検知方式によれば、例えば透過型や反射型のフォトセンサを多数配置したりする方式と比べて、比較的構成が簡単であるため安価に済むという利点を有する。
なお、排紙トレイ52の用紙幅方向Yへの移動量の確認手段は、給紙トレイ30の場合と同様に、排紙トレイ支持ブラケット59に対する排紙トレイ52の用紙幅方向Yにおける標準位置(ホームポジション)を基準として、排紙トレイ支持ブラケット59や排紙トレイ52の適当な部位に視認可能な目盛表示を付しても良いし、排紙トレイ移動ダイヤル59cの外周部に視認可能な目盛表示を付しても良い。
図4において、符号118は、排紙サイドフェンス対57の用紙幅方向Yへの移動をロックするための固定レバー118を、符号52aは、排紙エンドフェンス58を排紙方向Xaの両矢印方向に移動可能にするための排紙エンドフェンス58移動用の逃げ溝を、それぞれ示す。
液晶表示部131は、給紙台移動機110によって移動調整された給紙トレイ30における用紙幅方向Yの位置と、排紙台手動移動調整手段115によって移動調整された排紙トレイ52における用紙幅方向Yの位置との整合状態を報知可能な報知手段ないしは表示手段または警告手段としての機能を有する。ブザー132も、前記と同様の報知手段ないしは警告手段としての機能を有する。ブザー132は、操作パネル130に限らず、印刷装置本体1A内の他の部位に配設しても勿論構わない。
同図において、制御手段としての制御装置120は、内部にCPU121、ROM122、RAM123、図示しないタイマ、I/O(入出力ポート)124等を有するマイクロコンピュータを具備して構成されている。前記RAM123は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリでも良い。
本実施形態では、液晶表示部131およびブザー132を配設したが、これらの何れか一方だけでも良い。また、これに限らず、LED(発光ダイオード)などによる点灯/点滅表示などの警告・報知であってもよく、報知の確実性やコスト等も考慮して最適な報知手段を選択し採用すれば良い。
まず、印刷画像位置を調整する場合の操作を説明する。例えば、版胴8上の製版済みのマスタ26に形成されている製版画像の用紙幅方向Yの位置に対して、その製版画像位置が用紙幅方向Yの左右の何れか一方にずれているような場合、上述したと同様に再度の原稿の画像読み取りから製版・給版動作を行うと、マスタが無駄となるとともに、総印刷時間も長くなってしまう。このような場合において、マスタおよび/または総印刷時間の節約を図るために、簡便な方法によって印刷画像位置を用紙幅方向Yに位置調整する必要がある。
そこで、印刷画像位置を用紙幅方向Yに位置調整したいときには、オペレータが給紙部4の給紙トレイ30上の給紙トレイ移動ダイヤル35を適宜の回転方向に回す。これにより、ネジ軸35aと螺合している給紙トレイ移動ダイヤル35の回転運動がネジ機構によって用紙幅方向Yへ給紙トレイ30を移動させる直線運動に変換されるとともに、不動のネジ軸35aに対して給紙トレイ移動ダイヤル35が回転することにより、給紙トレイ移動ダイヤル35の側面が給紙トレイ30と実質的に一体の2箇所のリブ部35bのうちの何れか一方に対して用紙幅方向Yへ給紙トレイ30を移動させる向きに押し付けることで、給紙トレイ30自体が給紙トレイ移動ダイヤル35の回転量(回転角度)に応じて移動することとなる。これにより、用紙Pに印刷される印刷画像を用紙幅方向Yに移動調整することができる。
この際、用紙幅方向Yへ移動調整された給紙トレイ30の用紙幅方向Yの位置が給紙トレイ位置検知基板111によって検出され、その用紙幅方向Yの位置に係る信号が制御装置120のCPU121に送信される。
この際、孔版印刷装置1に配設されている電源スイッチがオン状態で、かつ、前記製版スタートキーを押下した時もしくは前記印刷スタートキーを押下した時に、用紙幅方向Yに移動調整された給紙トレイ30の位置に対して、用紙幅方向Yに移動調整された排紙トレイ52の位置が合致・整合していない場合、制御装置120のCPU121からの指令により、液晶表示部131にその旨の警告表示として、例えば「給紙トレイと排紙トレイの位置が合っていません」等の表示がなされると同時に、ブザー132が吹鳴する。オペレータは、液晶表示部131の警告表示およびブザー132の吹鳴音に喚起されて、排紙トレイ52の位置の確認をしたり、排紙トレイ移動ダイヤル59cの再度の操作により、排紙トレイ52を用紙幅方向Yに移動調整したりすることとなる。
また、本実施形態によれば、給紙トレイ位置検知基板111と排紙トレイ位置検知基板116とからの各データ信号(各出力信号)に基づいて、液晶表示部131をして給紙トレイ30における用紙幅方向Yの位置と排紙トレイ52における用紙幅方向Yの位置との整合状態を表示・報知させるとともに、不整合状態の場合にブザー132をして吹鳴・警告報知させる制御装置120のCPU121(制御手段)を有することにより、それぞれの位置が合致していない場合に警告表示・報知がされるので、誤設定や誤操作をなくすことができる。
図9ないし図13を参照して、第2の実施形態を説明する。
第1の実施形態においては、給紙トレイ30を用紙幅方向Yに移動調整した位置に対して、排紙トレイ52も同方向に移動調整した位置を占めた状態で印刷するものであった。しかしながら、印刷画像の位置のバラツキにより排紙P先端の排紙エンドフェンス58ヘの衝突が均一に当たらず排紙トレイ52への排紙揃えが良くない場合がある。そこで、このような場合、排紙エンドフェンス58単独で、用紙幅方向Yに移動させることにより位置調整可能な機構を設けるものである。
換言すれば、排紙エンドフェンス手動移動調整手段90は、排紙エンドフェンス58を、印刷装置本体1A側の排紙側板対(図示せず)に固設された不動部材である排紙トレイ支持ブラケット59Aに対して、用紙幅方向Yに手動で移動調整することによりその位置を設定するためのものである。
また、本実施形態における排紙トレイ52Aは、第2の実施形態の図4および図5等に示されている排紙トレイ52と比べて、排紙エンドフェンス手動移動調整手段90を設けたことに伴い、排紙エンドフェンス58を排紙方向Xaおよび用紙幅方向Yに移動可能にするために、図4に示した排紙エンドフェンス58用の逃げ溝52aよりも用紙幅方向Yに拡大した逃げ溝52Aaが形成されている。排紙トレイ52Aを用紙幅方向Yに案内するための補助的な案内手段としては、排紙トレイ支持ブラケット59Aの用紙幅方向Yに長く形成された3箇所の長孔59Aaと、これらに緩く嵌入され排紙トレイ52Aの裏面壁に一体的に形成されたボス部52Ac(図13参照)に螺着される3個の段付ネジ59d(図11では2つのみ示し、残りの1つは省略されている)とで構成される。
ネジ軸スライダ85は、スライダガイドブラケット86の長孔86aに嵌入される被ガイド部85aを備えており、例えばエンドフェンス移動ダイヤル80と同様のポリアセタール樹脂(POM)等の樹脂で一体的に形成されている。
排紙エンドフェンス58は、その下部に一体的に形成されたリブ連結部83aを介してリブ部83、および図13に示すようにその背面壁に一体的に形成されたボス部58aとともに、例えばポリカーボネート樹脂(PC)等の樹脂で一体的に形成されている。
次いで、各スライダガイドブラケット86を排紙トレイ支持ブラケット59Aにネジで締結する順序で行われる。
エンドフェンス連結ブラケット96は、排紙サイドフェンス57の各ボス部58aから逃げ溝52Aaを挿通して排紙トレイ52Aの内部に延びるように形成されている。そして、エンドフェンス連結ブラケット96の下部は、用紙幅方向Yおよび排紙方向Xaの両矢印方向に移動自在に排紙トレイ52Aの裏面壁に摺接するエンドフェンスレールブラケット98が取り付け・固定されている。エンドフェンスレールブラケット98の取り付け部よりもさらにエンドフェンス連結ブラケット96の下部には、板バネ100を介してスライドカバー101がネジ99により締結されている。従って、排紙サイドフェンス57は、排紙方向Xaの両矢印方向および/または用紙幅方向Yに移動調整される際、板バネ99の適度の付勢力がエンドフェンスレールブラケット98の上端面に作用することとなって、排紙エンドフェンス58をその位置に適度の保持力をもって保持することができる。
上述したように、オペレータによって用紙幅方向Yに移動調整された給紙トレイ30の位置に合わせて、排紙トレイ52Aを用紙幅方向Yに位置調整したいときの動作は、第1の実施形態で説明したと同じ排紙台手動移動調整手段115および制御装置120を用いた動作と同様に、すなわち「排紙トレイ52」を「排紙トレイ52A」と、「排紙トレイ支持ブラケット59」を「排紙トレイ支持ブラケット59A」と、「長孔59e」を「長孔59Aa」と、それぞれ読み替えるだけで容易に理解できるからその説明を省略する。
オペレータは排紙エンドフェンス58を用紙幅方向Yに位置調整したいときには、エンドフェンス移動ダイヤル80を適宜の回転方向に回す。これにより、ネジ軸82と螺合しているエンドフェンス移動ダイヤル80の回転運動がネジ機構によって用紙幅方向Yへ排紙エンドフェンス58を移動させる直線運動に変換されるとともに、各ネジ軸スライダ85とともに排紙方向Xaの両矢印方向のみに移動可能なネジ軸82に対して、エンドフェンス移動ダイヤル80が回転することにより、エンドフェンス移動ダイヤル80の側面が排紙エンドフェンス58と実質的に一体の2箇所のリブ部83のうちの何れか一方に対して用紙幅方向Yへ排紙エンドフェンス58を移動させる向きに押し付けることで、排紙エンドフェンス58自体がエンドフェンス移動ダイヤル80の回転量(回転角度)に応じて移動することとなる。これにより、排紙エンドフェンス58自体を用紙幅方向Yに移動調整して所定の位置に保持することができる。
この第3の実施形態によれば、給紙台移動機構110による給紙トレイ30での位置調整に合わせて、エンドフェンス移動ダイヤル80にて排紙エンドフェンス58の用紙幅方向Yへの移動位置調整を行い、各排紙サイドフェンス57間の排紙Pの位置は、給紙トレイ30の位置調整に合わせて、各排紙サイドフェンス57を中心に対してずらしたかたちで位置調整を行えば、給紙トレイ30での用紙Pの位置と排紙トレイ52A上での排紙サイドフェンス対57、排紙エンドフェンス58の位置が一致することとなり、排紙揃えの品質を維持できる。
2 印刷部
3 製版部
4 給紙部
5 排版部
6 排紙部
7 画像読取部
8 版胴
30 給紙トレイ(給紙台)
35 給紙トレイ移動ダイヤル(給紙台移動調整手段、給紙台移動機構)
52,52A 排紙トレイ
57 排紙サイドフェンス
58 排紙エンドフェンス
59,59A 排紙トレイ支持ブラケット
59a ネジ軸トレイ移動ダイヤル(排紙台手動移動調整手段)
59c 排紙トレイ移動ダイヤル(排紙台手動移動調整手段)
90 排紙エンドフェンス手動移動調整手段
110 給紙台移動調整手段、給紙台移動機構
111 給紙トレイ位置検知基板(給紙台位置検出手段)
115 排紙台手動移動調整手段
116 排紙トレイ位置検知基板(排紙台位置検出手段)
120 制御装置(制御手段)
121 CPU(制御手段を構成)
130 操作パネル
131 液晶表示部(報知手段)
132 ブザー(報知手段)
P 用紙(印刷用紙、シート状記録媒体)
X 用紙搬送方向
Xa 排紙方向
Y 用紙幅方向
Claims (4)
- 用紙を積載し用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に移動調整可能な給紙台と、印刷済みの用紙を積載する排紙台とを具備する印刷装置において、
前記排紙台には、印刷済みの用紙の先端を受け止めて該用紙の揃えを行う排紙エンドフェンスが配置されており、
前記給紙台の前記用紙幅方向における標準位置を基準として、前記用紙幅方向に移動調整された前記給紙台の移動量を視認により確認するための給紙台用確認手段と、
前記用紙幅方向に移動調整された前記給紙台の位置に合わせて、手動によって前記排紙台を前記用紙幅方向に移動調整する排紙台手動移動調整手段と、
前記排紙台の前記用紙幅方向における標準位置を基準として、前記用紙幅方向に移動調整された前記排紙台の移動量を視認により確認するための排紙台用確認手段と、
前記排紙台の前記用紙幅方向への移動と独立して、前記排紙エンドフェンスを手動によって前記排紙台における前記用紙幅方向に移動調整する排紙エンドフェンス手動移動調整手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。 - 用紙を積載し用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に移動調整可能な給紙台と、印刷済みの用紙を積載する排紙台と、印刷済みの用紙の先端を受け止めて該用紙の揃えを行う前記排紙台に配置された排紙エンドフェンスとを具備する印刷装置において、
前記排紙エンドフェンスを手動によって前記排紙台における前記用紙幅方向に単独で移動調整する排紙エンドフェンス手動移動調整手段を有することを特徴する印刷装置。 - 請求項1記載の印刷装置において、
前記給紙台における前記用紙幅方向の位置を検出する給紙台位置検出手段と、
前記排紙台における前記用紙幅方向の位置を検出する排紙台位置検出手段と、
前記給紙台における前記用紙幅方向の位置と前記排紙台における前記用紙幅方向の位置との整合状態を報知可能な報知手段と、
前記給紙台位置検出手段と前記排紙台位置検出手段とからの各出力信号に基づいて、前記報知手段をして前記整合状態を報知させる制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。 - 請求項1ないし3の何れか一つに記載の印刷装置において、
前記排紙台には、印刷済みの用紙の側端を揃えるための、手動によって前記用紙幅方向に移動可能な排紙サイドフェンスが配置されていることを特徴とする印刷装置。
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