JP4757086B2 - 潤滑剤劣化検出装置および検出装置付き軸受 - Google Patents

潤滑剤劣化検出装置および検出装置付き軸受 Download PDF

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Description

この発明は、潤滑剤の混入物などによる劣化状態を検出する潤滑剤劣化検出装置、およびその潤滑剤劣化検出装置を備えた検出装置付き軸受、例えば鉄道車両用、自動車用、風車設備用、工場設備用等の潤滑剤劣化検出装置付き軸受に関する。
潤滑剤を封入した軸受では、軸受内の潤滑剤(グリース、油など)が劣化すると転動体の潤滑不良が発生し、軸受寿命が短くなる。転動体の潤滑不良を、軸受の振動状態などから判断するのでは、寿命に達して動作異常が発生してから対処することになるため、潤滑状態の異常をより早く検出できない。そこで、軸受内の潤滑剤の状態を定期的あるいはリアルタイムに観測し、異常やメンテナンス期間の予測を可能にすることが望まれる。
潤滑剤の劣化の主要な要因として、軸受の使用に伴って発生する摩耗粉が潤滑剤に混入することが挙げられる。
軸受の摩耗状態を検出するものとしては、軸受のシールの内側に電極やコイル等のセンサを配置し、摩耗粉の混入する潤滑剤の電気的特性を前記センサで検出するようにしたセンサ付き軸受が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2004−293776号公報
しかし、特許文献1のセンサ付き軸受は、潤滑剤の電気的特性を検出するものであるため、大量の摩耗粉が入って導通が起こるなどの状況にならなければ、特性変化として検出されず、混入物の検出が困難な場合がある。
このような課題を解決するものとして、例えば図8のように、発光側および受光側の光ファイバ46,47の各一端を検出対象となる潤滑剤45が存在する検出部48に対向させ、発光側の光ファイバ46の他端に発光素子43を、受光側の光ファイバ47の他端に受光素子44をそれぞれ配置した光学式の構成を考えた。
図8の構成では、発光素子43から出射された光が発光側の光ファイバ46を経由して検出部48に存在する潤滑剤45を透過し、さらに受光側の光ファイバ47を経由して受光素子44で検出される。潤滑剤45に含まれる鉄粉などの異物の量が増えると、潤滑剤45を透過する透過光量が減少するので、受光素子44の次段に設けられる判定回路49は、受光素子44で検出される透過光量に基づき、潤滑剤45に混入する異物の量を推定できる。
しかし、図8の構成では、光ファイバ46,47の強度不足により、あるいは検出対象の潤滑剤45が粘度の高いグリスである場合に、その潤滑剤45の移動に伴い光ファイバ46,47が変形する等により、検出部48のギャップが安定せず、潤滑剤45の厚さが変動するという課題がある。すなわち、潤滑剤45の厚さ変動は透過光量に影響を及ぼすので、検出部48のギャップが安定しないと、安定した検出を行えない。
この発明の目的は、検出部ギャップを一定に保つことができて、安定した正確な検出が可能な潤滑剤劣化検出装置、およびその潤滑剤劣化検出装置を備えた検出装置付き軸受を提供することである。
この発明の潤滑剤劣化検出装置は、それぞれ発光素子および受光素子に基端が対向する一対の光ファイバの先端を、潤滑剤の配置空間となるギャップを介して対向配置し、金属または硬質樹脂材料からなる保持部材により、前記各光ファイバの周囲を固定し、前記受光素子の出力から潤滑剤に混入している異物の量を検出する判定手段を設けたものである。
この構成によると、光ファイバの周囲を固定する保持部材を設けたため、一対の光ファイバの姿勢を強固に保持することができる。また、例えば軸受内などへ潤滑剤劣化検出装置を設置する場合に、設置位置の周辺部材に前記保持部材を介して光ファイバを固定することができるので、潤滑剤の配置空間となるギャップを一定に保つことができて、安定した正確な劣化検出が可能となる。
また、両光ファイバの各先端を潤滑剤の配置空間となるギャップを介して対向配置していることからギャップを小さくでき、ギャップへ潤滑剤が入り込み易くなり、より安定した正確な劣化検出が可能となる。
記保持部材はパイプである。
保持部材としてパイプを用いる場合、パイプに光ファイバを挿入して接着剤などによりパイプを光ファイバに固定することにより、光ファイバの周囲に保持部材を固定することができる。また、このような固定状態でパイプと共に光ファイバを曲げ加工しても、光ファイバへ保持部材を固定した状態を保持できるので、所望の形状に光ファイバを容易に加工できて、潤滑剤劣化検出装置における光学系の構成をコンパクトにできると共に、配置の自由度も高くできる。
この場合に、パイプの先端を、径方向の中央側が突出するテーパ状面とする。このため、両光ファイバが対向配置される潤滑剤の配置空間となるギャップの断面積をさらに小さくでき、ギャップへ潤滑剤が入り込み易くなる。
この発明において、前記光ファイバの先端を、前記保持部材の先端よりも突出させても良い。各光ファイバの先端を保持部材の先端よりも突出させると、両光ファイバが対向配置される潤滑剤の配置区間となるギャップの断面積をさらに小さくでき、ギャップへ潤滑剤が入り込み易くなる。
この発明の検出装置付き軸受は、この発明の上記いずれかの構成の潤滑剤劣化検出装置を軸受に取付け、軸受シールに前記発光素子および受光素子を配置し、軸受内の劣化検出対象となる潤滑剤の観測位置に光ファイバの先端が位置するように、前記保持部材によって光ファイバを保持したものである。
潤滑剤劣化検出装置は、潤滑剤の配置空間であるギャップを一定に保つことができて、安定した正確な劣化検出が可能なため、軸受内の観測位置に光ファイバの先端を固定状態で保持でき、軸受内の潤滑剤の劣化検出を安定して正確に行うことができる。
その結果、軸受内に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで正確に検出することができる。これにより、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置の潤滑剤によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
この発明において、前記観測部を軸受の転走面の脇に配置しても良い。
上記潤滑剤劣化検出装置は、その光ファイバ等からなる光学系をコンパクトに構成でき、配置の自由度が高いので、観測部を軸受の転走面の脇に容易に配置することができる。これにより、軸受の潤滑に寄与する転走面の脇の潤滑剤の劣化検出が可能となる。
この発明の潤滑剤劣化検出装置は、それぞれ発光素子および受光素子に基端が対向する一対の光ファイバの先端を、潤滑剤の配置空間となるギャップを介して対向配置し、金属または硬質樹脂材料からなる保持部材により、前記各光ファイバの周囲を固定し、前記受光素子の出力から潤滑剤に混入している異物の量を検出する判定手段を設け、前記保持部材がパイプであり、このパイプの先端を、径方向の中央側が突出するテーパ状面としたため、検出部のギャップを一定に保つことができて、安定した正確な劣化検出が可能となる。
この発明の検出装置付き軸受は、この発明の潤滑剤劣化検出装置を軸受に取付け、軸受シールに前記発光素子および受光素子を配置し、軸受内の劣化検出対象となる潤滑剤の観測位置に光ファイバの先端を、前記保持部材によって保持したため、潤滑剤劣化検出装置における潤滑剤の配置空間であるギャップを一定に保つことができて、安定した正確な劣化検出が可能であり、軸受内の観測位置に光ファイバの先端を固定状態で保持でき、軸受内の潤滑剤の劣化検出を安定して正確に行うことができる。
その結果、軸受内に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで正確に検出することができる。これにより、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置の潤滑剤によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
この発明の参考提案例を図1と共に説明する。図1は、この参考提案例の潤滑剤劣化検出装置の概略構成図を示す。この潤滑剤劣化検出装置1は、発光素子2および受光素子3と、潤滑剤6の配置空間となる検出部ギャップ10を介してそれぞれの先端を対向配置した一対の光ファイバ4,5と、前記受光素子3の出力から潤滑剤6に混入している異物の量を検出する判定手段7とを備える。前記一対の光ファイバ4,5のうち、一方の光ファイバ4は、その基端が前記発光素子2の発光面に対向する投光側光ファイバとされる。また、他方の光ファイバ5は、その基端が前記受光素子3の受光面に対向する受光側光ファイバとされる。これら各光ファイバ4,5の周囲は、それぞれ金属または硬質樹脂材料からなる保持部材8,9で被覆して固定されている。ここでは、前記保持部材8,9が金属製のパイプとされ、これらパイプ8,9に前記各光ファイバ4,5が挿入されて、接着剤などにより固定される。各パイプ8,9の先端の端面は、対応する各光ファイバ4,5の先端の端面に揃えられる。
このように投光側光ファイバ4および受光側光ファイバ5を配置することにより、発光素子2から出射された光が投光側光ファイバ4を介して潤滑剤6を透過し、その透過光が受光側光ファイバ5を介して受光素子3に入射される。
前記発光素子2としては、LD、LED、EL、有機ELなどを用いることができ、発光回路11によって駆動される。前記受光素子3としては、フォトダイオード、フォトトランジスタなどを用いることができ、その出力を受ける受光回路12によって受光素子3の受光量が検出される。
潤滑剤6が新品のときには透明に近い状態にあり、投光側光ファイバ4から投光されて潤滑剤6を透過する透過光の強度は高い。ところが、潤滑剤6に混入する異物の量が多くなると、透過光の強度が徐々に低下する。そこで、判定手段7は、透過光の強度に対応する受光素子3の出力から、潤滑剤6に混入している異物の量を検出する。潤滑剤6に混入する異物の量の増加は潤滑剤6の劣化の進行を意味するので、検出された異物の量から潤滑剤6の劣化具合を推定することができる。
このように、この潤滑剤劣化検出装置1では、投光側光ファイバ4および受光側光ファイバ5の先端を、潤滑剤6の配置空間となる検出部ギャップ10を介して対向配置し、これら各光ファイバ4,5の周囲を、金属製パイプからなる保持部材8,9により固定しているので、各光ファイバ4,5の姿勢を強固に保持することができる。また、例えば軸受内などへ潤滑剤劣化検出装置1を設置する場合に、設置位置の周辺部材に保持部材8,9を介して各光ファイバ4,5を固定することができるので、検出部ギャップ10を一定に保つことができて、安定した正確な劣化検出が可能となる。
また、両光ファイバ4,5の各先端を検出部ギャップ10を介して対向配置していることから、検出部ギャップ10を小さくでき、検出部ギャップ10へ潤滑剤6が入り込み易くなり、より安定した正確な劣化検出が可能となる。
図2は、この発明の他の参考提案例の潤滑剤劣化検出装置における光学系の概略構成を示す断面図である。光学系以外の部分の構成は図1の参考提案例の場合と同様であり、ここでは省略する。この実施形態では、図1の参考提案例の潤滑剤劣化検出装置1において、保持部材である金属製パイプ8,9に挿入して周囲を固定した投光側光ファイバ4および受光側光ファイバ5のそれぞれを、パイプ8,9と共に概形L字状に曲げ加工することで、光学系全体の光路をコ字状としている。このように金属製パイプ8,9に挿入して周囲を固定した光ファイバ4,5を曲げた状態で、潤滑剤観測部に光ファイバ4,5を配置しても、光ファイバ4,5の形状は強固に保持される。
この参考提案例のように、光学系全体の光路をコ字状にすると光学系をコンパクトに構成できるので、例えば検出対象の潤滑剤6が封入された軸受内などへの設置において、潤滑剤劣化検出装置1の配置の自由度を高くすることができる。
図3は、この発明のさらに他の参考提案例の潤滑剤劣化検出装置における光学系の概略構成を示す断面図である。光学系以外の部分の構成は図1の参考提案例の場合と同様であり、ここではその説明を省略する。この参考提案例では、図2の参考提案例において、投光側光ファイバ4および受光側光ファイバ5の先端を、これら光ファイバ4,5の周囲を固定する保持部材である金属製パイプ8,9の先端よりも少しだけ突出させている。
このように、各光ファイバ4,5の先端を保持部材である各金属製パイプ8,9の先端よりも少しだけ突出させると、両光ファイバ4,5の先端が対向配置される検出部ギャップ10の断面積をさらに小さくできるので、検出部ギャップ10へ潤滑剤6がさらに入り込み易くなる。
図4は、この発明の実施形態の潤滑剤劣化検出装置における光学系の概略構成を示す断面図である。光学系以外の部分の構成は図1の参考提案例の場合と同様であり、ここでは説明を省略する。この実施形態では、図2の参考提案例において、投光側光ファイバ4および受光側光ファイバ5の周囲を固定する保持部材である各金属製パイプ8,9の先端を、径方向の中央側が突出するテーパ状面8a,9aとしている。
このように、各光ファイバ4,5の先端をテーパ状面8a,9aとした場合も、両光ファイバ4,5の先端が対向配置される検出部ギャップ10の断面積をさらに小さくできるので、検出部ギャップ10へ潤滑剤6がさらに入り込み易くなる。
図5は、この発明のさらに他の参考提案例の潤滑剤劣化検出装置における光学系の概略構成を示す断面図である。光学系以外の部分の構成は図1の参考提案例の場合と同様であり、ここでは説明を省略する。この参考提案例では、図1の参考提案例の潤滑剤劣化検出装置1において、保持部材である金属製パイプ8,9に挿入して周囲を固定した投光側光ファイバ4および受光側光ファイバ5のうち、受光側光ファイバ5のみをパイプ9と共に概形L字状に曲げ加工することで、光学系全体の光路をL字状としている。受光側光ファイバ5に代えて投光側光ファイバ4のみを金属製パイプ8と共に概形L字状に曲げ加工しても良い。
このように金属製パイプ8,9に挿入して周囲を固定した光ファイバ4,5の一方をL字状に曲げ加工すると光学系全体の光路をL字状とでき、図2〜図3の参考提案例および図4の実施形態のように両光ファイバ4,5をL字状に曲げ加工すると光学系全体の光路をコ字状とできるので、例えば検出対象の潤滑剤6が封入された軸受内などへの設置において、設置場所の状況に合わせて容易に加工・配置することができる。
なお、上記実施形態および各参考提案例では、光ファイバ4,5の周囲を固定する保持部材8,9として、金属製パイプを用いた場合を説明したが、これに限らず、例えば一対の光ファイバ4,5を、それらの先端が検出部ギャップ10を介して対向するように配置して所望の姿勢に整形した後に、両光ファイバ4,5の周囲を硬質樹脂材料で封止固定することで、光ファイバ4,5の形状を保持するようにしても良い。
図6は、上記した潤滑剤劣化検出装置1を搭載した検出装置付き軸受を、鉄道車両用軸受ユニットに用いた一例の断面図である。この場合の鉄道車両用軸受ユニットは、検出装置付き軸受21とその内輪24の両側に各々接して設けられた付属部品である油切り22および後ろ蓋23とで構成される。軸受21は、ころ軸受、詳しくは複列の円すいころ軸受からなり、各列のころ26,26に対して設けた分割型の内輪24,24と、一体型の外輪25と、前記ころ26,26と、保持器27とを備える。
後ろ蓋23は、車軸20に軸受21よりも中央側で取付けられて外周にオイルシール28を摺接させたものである。油切り22は、車軸20に取付けられて外周にオイルシール29を摺接させたものである。これら軸受21の両端部に配置される両オイルシール28,29により軸受21の内部に潤滑剤が封止され、かつ防塵・耐水性が確保される。
軸受21の外輪25の両端部には、それぞれシールケース30,31が取付けられ、これらシールケース30,31に前記オイルシール28,29が設けられる。図7は、一方のオイルシール29の取付け構造を示す拡大断面図である。同図において、シールケース31は、軸方向に複数の段部が階段状に並ぶ断面形状とした環状の部材であって、その一端部を軸受外輪25の内径面に圧入嵌合させることで、外輪25に取付けられる。このシールケース31の中間段部の内径面には、断面L字状のリング部材32がその円筒部32aを圧入嵌合させて取付けられており、そのリング部材32の内径側に延びる立板部32bが前記油切り22の外径面に対して所定のラビリンス隙間を形成するように配置されている。前記シールケース31に設けられるオイルシール29は、断面L字状の環状芯金33と、この環状芯金33の立板部に固定される弾性部材34とでなり、環状芯金33の円筒部を前記リング部材32の円筒部32aの内周面に圧入嵌合させることにより、リング部材32を介してシールケース31に固定されている。前記弾性部材34には、油切り22の外径面に摺接するラジアルリップが形成されている。シールケース31の他端部は、油切り22のフランジ部22aの内向き幅面に形成されたリング状の溝35に遊嵌させることで、この溝35とシールケース31の他端部との間にラビリンス隙間を形成している。このような構成により、軸受21の内外輪24,25間の環状空間の一端部では、前記リング部材立片部32bと油切り22の外径面との間に形成されるラビリンス隙間と、油切り22の外径面に摺接するオイルシール29と、油切り22の溝35とシールケース31の他端部との間に形成されるラビリンス隙間とで、密封が図られている。軸受21の内外輪24,25間の環状空間の他端部については説明を省略するが、上記した一端部と同様のシール構造とされる。
この検出装置付き軸受21では、一方のシールケース31の内側に潤滑剤劣化検出装置1の発光素子2と受光素子3を含む電気回路部13および一対の光ファイバ4,5が共に設けられ、光ファイバ4,5の先端の検出部ギャップ10は、潤滑剤の観測ポイントである外輪25の内径面における転走面の脇に配置されている。光ファイバ4,5の先端位置は、光ファイバ4,5の周囲を固定する保持部材(例えば図1の金属製パイプ)8,9によって強固に保持されることから、転走面の脇への検出部ギャップ10の配置は位置変動のない安定したものとなる。
また、この場合、上記潤滑剤劣化検出装置1が例えば図2〜図5の実施形態のものであると、一対の光ファイバ4,5等からなる光学系をコンパクトに構成でき、配置の自由度が高いので、このような位置への配置を容易に行うことができる。
また、上記潤滑剤劣化検出装置1は、その検出部ギャップ10を一定に保つことができて、安定した正確な劣化検出が可能であるので、軸受21の潤滑に寄与する転走面の脇の潤滑剤の劣化検出を安定して正確に行うことができる。具体的には、オイルシール29におけるリング部材立板部32bの軸方向内側に向く面に潤滑剤劣化検出装置1の電気回路部13が固定され、その配線ケーブル14がシールケース31を貫通して軸受外に引き出されている。その配線ケーブル14を通じて、軸受外から潤滑剤劣化検出装置1への電源供給と軸受外への検出信号の取り出しが行われる。シールケース31における配線ケーブル14の貫通部には防水・防油処理が施される。これにより、潤滑剤劣化検出装置1の取付部から軸受内部へ水分やゴミ等が侵入するのを防止している。
例えば軸受21の外輪25等は、その製造の工程が煩雑であり、強度的にも厳しい要求があるため、上記潤滑剤劣化検出装置1を搭載する場合、工程の増加等のうえで好ましくない場合があるが、簡易な部品であるシールケース31に潤滑剤劣化検出装置1を配置する場合、その取付工程が容易である。また、シールケース31に潤滑剤劣化検出装置1を配置する場合、その他の軸受構成部品については、潤滑剤劣化検出装置1を搭載しない一般の軸受と軸受部品の共通化が図れ、製造工程を同じにできて生産性に優れる。
上記潤滑剤劣化検出装置1を搭載したこの検出装置付き軸受21では、軸受内に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで正確に検出することができる。その結果、軸受21に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受21の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置1の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
この発明の参考提案例に係る潤滑剤劣化検出装置の概略構成図を示す。 この発明の他の参考提案例に係る潤滑剤劣化検出装置における光学系の概略構成を示す断面図である。 この発明のさらに他の参考提案例に係る潤滑剤劣化検出装置における光学系の概略構成を示す断面図である。 この発明の実施形態に係る潤滑剤劣化検出装置における光学系の概略構成を示す断面図である。 この発明のさらに他の参考提案例に係る潤滑剤劣化検出装置における光学系の概略構成を示す断面図である。 上記潤滑剤劣化検出装置を搭載した検出装置付き軸受の一例を示す断面図である。 同検出装置付き軸受の一部の拡大断面図である。 潤滑剤劣化検出装置の提案例の概略構成図である。
符号の説明
1…潤滑剤劣化検出装置
2…発光素子
3…受光素子
4…投光側光ファイバ
5…受光側光ファイバ
6…潤滑剤
7…判定手段
8,9…保持部材
8a,9a…テーパ状面
10…検出部ギャップ
21…検出装置付き軸受

Claims (4)

  1. それぞれ発光素子および受光素子に基端が対向する一対の光ファイバの先端を、潤滑剤の配置空間となるギャップを介して対向配置し、金属または硬質樹脂材料からなる保持部材により、前記各光ファイバの周囲を固定し、前記受光素子の出力から潤滑剤に混入している異物の量を検出する判定手段を設け、前記保持部材がパイプであり、このパイプの先端を、径方向の中央側が突出するテーパ状面とした潤滑剤劣化検出装置。
  2. 請求項において、前記光ファイバの先端を、前記保持部材の先端よりも突出させた潤滑剤劣化検出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の潤滑剤劣化検出装置を軸受に取付け、軸受シールに前記発光素子および受光素子を配置し、軸受内の劣化検出対象となる潤滑剤の観測位置に光ファイバの先端が位置するように、前記保持部材によって光ファイバを保持した検出装置付き軸受。
  4. 請求項において、前記観測部を軸受の転走面の脇に配置した検出装置付き軸受。
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