JP2007212161A - 透過率・潤滑剤劣化検出装置および検出装置付き軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 軸受内部などへの配置の自由度が高く、試料の厚さや温度変化による影響を受けずに試料の光透過率あるいは潤滑剤の劣化状態を安定して検出できる透過率・潤滑剤劣化検出装置、およびその潤滑剤劣化検出装置を備えた検出装置付き軸受を提供する。
【解決手段】 先端位置を互いにずらした2種類の光ファイバ2a,2bからなる光ファイバ束2を設ける。この光ファイバ束2の光ファイバ2a,2bの基端を、前記2種類のうちの各種類毎に別々に設けた2つの光検出器3,4にそれぞれ接続する。光ファイバ束2の先端と対向する位置に光源5を設ける。光ファイバ束2の先端付近の前記光源5側位置を試料7の配置部とする。2つの光検出器3,4の信号出力を比較することによって試料7の光透過率を測定する判定手段6を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 先端位置を互いにずらした2種類の光ファイバ2a,2bからなる光ファイバ束2を設ける。この光ファイバ束2の光ファイバ2a,2bの基端を、前記2種類のうちの各種類毎に別々に設けた2つの光検出器3,4にそれぞれ接続する。光ファイバ束2の先端と対向する位置に光源5を設ける。光ファイバ束2の先端付近の前記光源5側位置を試料7の配置部とする。2つの光検出器3,4の信号出力を比較することによって試料7の光透過率を測定する判定手段6を設ける。
【選択図】 図1
Description
この発明は、試料の光透過率や、試料である潤滑剤の劣化状態等を検出する透過率・潤滑剤劣化検出装置、およびその透過率・潤滑剤劣化検出装置を備えた検出装置付き軸受、例えば鉄道車両用、自動車用、産業機械用等の潤滑剤劣化検出装置付き軸受に関する。
潤滑剤を封入した軸受では、軸受内部の潤滑剤(グリース、油など)が劣化すると転動体の潤滑不良が発生し、軸受寿命が短くなる。転動体の潤滑不良を、軸受の振動状態などから判断するのでは、寿命に達して動作異常が発生してから対処することになるため、潤滑状態の異常をより早く検出できない。そこで、軸受内の潤滑剤の状態を定期的あるいはリアルタイムに観測し、異常やメンテナンス期間の予測を可能にすることが望まれる。
潤滑剤の劣化の主要な要因として、軸受の使用に伴って発生する摩耗粉が潤滑剤に混入することが挙げられる。
軸受の摩耗状態を検出するものとしては、軸受のシールの内側に電極やコイル等のセンサを配置し、摩耗粉の混入する潤滑剤の電気的特性を前記センサで検出するようにしたセンサ付き軸受が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2004−293776号公報
軸受の摩耗状態を検出するものとしては、軸受のシールの内側に電極やコイル等のセンサを配置し、摩耗粉の混入する潤滑剤の電気的特性を前記センサで検出するようにしたセンサ付き軸受が提案されている(例えば特許文献1)。
しかし、特許文献1のセンサ付き軸受は、潤滑剤の電気的特性を検出するものであるため、大量の摩耗粉が入って導通が起こるなどの状況にならなければ、特性変化として検出されず、混入物の検出が困難な場合がある。
このような課題を解決するものとして、例えば図8のように、対向配置した発光素子33と受光素子34の間に潤滑剤35を介在させ、発光素子33から出射され潤滑剤35を透過する光を受光素子34で検出するようにし、受光素子34で検出された光量から潤滑剤35の劣化状態を推定する光学式の構成を考えた。
しかし、この構成の場合、検出対象となる潤滑剤35の厚さdが同図に破線で示すように変化すると、受光素子34で検出される光量が変化するので、潤滑剤35の厚さdを一定に保つような構成が必要となる。
そこで、例えば図9のように、発光側および受光側の光ファイバ36,37の各一端を検出対象となる潤滑剤35が存在する測定部38に対向させ、発光側の光ファイバ36の他端に発光素子33を、受光側の光ファイバ37の他端に受光素子34をそれぞれ配置した構成を考えた。
図9の構成では、発光素子33から出射された光が発光側の光ファイバ36を経由して測定部38に存在する潤滑剤35を透過し、さらに受光側の光ファイバ37を経由して受光素子34で検出され、受光素子34で検出される透過光量から潤滑剤35に混入する異物の量が推定される。この場合、測定部38における光ファイバ36,37と対向する面積を小さくできるので、測定部38へ潤滑剤35が入り易くなり、測定部38に入った潤滑剤35を容易に一定厚さに保つことができる。
図9の構成では、発光素子33から出射された光が発光側の光ファイバ36を経由して測定部38に存在する潤滑剤35を透過し、さらに受光側の光ファイバ37を経由して受光素子34で検出され、受光素子34で検出される透過光量から潤滑剤35に混入する異物の量が推定される。この場合、測定部38における光ファイバ36,37と対向する面積を小さくできるので、測定部38へ潤滑剤35が入り易くなり、測定部38に入った潤滑剤35を容易に一定厚さに保つことができる。
しかし、図9の構成の場合でも、潤滑剤35が一定厚さdに保たれるような容器構造の測定部38が必要であり、例えば軸受内部に封入された潤滑剤の劣化検出に用いるような場合、軸受内部での配置の自由度が低くなる。また、受光面積が小さくなるので、受光素子34での受光強度が十分とれず安定した検出に難がある。
この発明の目的は、軸受内部などへの配置の自由度が高く、受光強度も十分に得られ、光源から受光部までの距離や試料の厚さによる影響を受けずに試料の光透過率を安定して検出できる透過率検出装置を提供することである。
この発明の他の目的は、軸受内部などへの配置の自由度が高く、受光強度も十分に得られ、光源から受光部までの距離や試料の厚さによる影響を受けずに、潤滑剤の劣化または潤滑剤に含まれる混入物の量を推定できる潤滑剤劣化検出装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、この発明の潤滑剤劣化検出装置を備え、潤滑剤の劣化または潤滑剤に含まれる混入物の量を定期的またはリアルタイムで検出できる検出装置付き軸受を提供することである。
この発明の他の目的は、軸受内部などへの配置の自由度が高く、受光強度も十分に得られ、光源から受光部までの距離や試料の厚さによる影響を受けずに、潤滑剤の劣化または潤滑剤に含まれる混入物の量を推定できる潤滑剤劣化検出装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、この発明の潤滑剤劣化検出装置を備え、潤滑剤の劣化または潤滑剤に含まれる混入物の量を定期的またはリアルタイムで検出できる検出装置付き軸受を提供することである。
この発明の透過率検出装置は、先端位置を互いにずらした2種類の光ファイバからなる光ファイバ束を設け、この光ファイバ束の光ファイバの基端を、上記2種類のうちの各種類毎に別々に設けた2つの光検出器にそれぞれ接続し、前記光ファイバ束の先端と対向する位置に光源を設け、前記光ファイバ束の先端付近の前記光源側位置を試料の配置部とし、上記2つの光検出器の信号出力を比較することによって試料の光透過率を測定する判定手段を設けたものである。
この構成によると、2種類の光ファイバ束の先端位置のずれ分だけの試料厚さを通過した光の減衰分が、2つの光検出器の信号出力の比較によって検出されることになる。そのため、試料そのものの厚さ、試料の量、光源の強度、光源から光検出器までの距離などに影響されることなく、試料の光透過率を安定良く測定することができる。その結果、軸受内部などへ透過率検出装置を設置する場合にも、配置の自由度が高くなり、設置スペースの制約に合わせた構成が可能となる。また、2つの光検出器の信号出力を比較して試料の光透過率を測定することから、電源変動などのコモンモードノイズの影響を受けず、この点からも安定した光透過率の測定が可能となる。また、光ファイバ束を用いるため、受光側において、十分な受光面積を確保できるので、光検出器で十分な受光強度を得ることができると共に、場所による試料の厚さのばらつきがキャンセルされることになり、この点でも安定した光透過率の測定が可能となる。
この構成によると、2種類の光ファイバ束の先端位置のずれ分だけの試料厚さを通過した光の減衰分が、2つの光検出器の信号出力の比較によって検出されることになる。そのため、試料そのものの厚さ、試料の量、光源の強度、光源から光検出器までの距離などに影響されることなく、試料の光透過率を安定良く測定することができる。その結果、軸受内部などへ透過率検出装置を設置する場合にも、配置の自由度が高くなり、設置スペースの制約に合わせた構成が可能となる。また、2つの光検出器の信号出力を比較して試料の光透過率を測定することから、電源変動などのコモンモードノイズの影響を受けず、この点からも安定した光透過率の測定が可能となる。また、光ファイバ束を用いるため、受光側において、十分な受光面積を確保できるので、光検出器で十分な受光強度を得ることができると共に、場所による試料の厚さのばらつきがキャンセルされることになり、この点でも安定した光透過率の測定が可能となる。
この発明における第1の潤滑剤劣化検出装置は、この発明の透過率検出装置において、前記試料として潤滑剤を用い、前記判定手段は、前記光透過率によって潤滑剤の劣化を検出するものとしている。
潤滑剤が劣化すると、光の透過率が変化する。この光の透過率の変化により、潤滑剤の劣化を検出する。この場合に、この発明の潤滑剤劣化検出装置の構成によると、この発明の透過率検出装置につき説明したと同様に、軸受内部などへの配置の自由度が高く、潤滑剤の厚さや光源から光検出器までの距離などに影響されることなく、光透過率の測定により、潤滑剤の劣化を安定して検出することができる。
潤滑剤が劣化すると、光の透過率が変化する。この光の透過率の変化により、潤滑剤の劣化を検出する。この場合に、この発明の潤滑剤劣化検出装置の構成によると、この発明の透過率検出装置につき説明したと同様に、軸受内部などへの配置の自由度が高く、潤滑剤の厚さや光源から光検出器までの距離などに影響されることなく、光透過率の測定により、潤滑剤の劣化を安定して検出することができる。
この発明における他の潤滑剤劣化検出装置は、この発明の透過率検出装置において、前記試料として潤滑剤を用い、前記判定手段は、潤滑剤に含まれる混入物の量を推定するものとしている。
潤滑剤の劣化の要因として、摩耗粉等の混入物が増えることがあり、混入物が増加すると、光の透過率が変化する。この光の透過率の変化により、潤滑剤の混入物の増加を検出する。この場合に、この発明の潤滑剤劣化検出装置の構成によると、この発明の透過率検出装置につき説明したと同様に、軸受内部などへの配置の自由度が高く、潤滑剤の厚さや光源から光検出器までの距離などに影響されることなく、潤滑剤に含まれる混入物の量を安定して推定することができる。
潤滑剤の劣化の要因として、摩耗粉等の混入物が増えることがあり、混入物が増加すると、光の透過率が変化する。この光の透過率の変化により、潤滑剤の混入物の増加を検出する。この場合に、この発明の潤滑剤劣化検出装置の構成によると、この発明の透過率検出装置につき説明したと同様に、軸受内部などへの配置の自由度が高く、潤滑剤の厚さや光源から光検出器までの距離などに影響されることなく、潤滑剤に含まれる混入物の量を安定して推定することができる。
これらの発明の潤滑剤劣化検出装置において、前記光ファイバ束を先端がライン状に並ぶように設けても良い。この構成の場合、受光部を薄い構成とできるので、平面状に分布する潤滑剤の劣化を効果的に検出することができる。
この発明において、前記光源を、前記光ファイバ束の先端のライン状の並びに対応するライン状の光源としても良い。このように、光源もライン状とすることにより、受光効率を上げることができる。
これらの発明の潤滑剤劣化検出装置において、前記光ファイバ束を先端面が平面状に並ぶように設けても良い。光源は、光ファイバ束の先端が並ぶ平面状の面に対応する面状光源とするのが望ましい。この構成の場合、潤滑剤の厚み分布がばらついていても平均化されるので、そのばらつきが測定値に影響せず、安定した測定が可能となる。また、光ファイバ束の先端面に潤滑剤を付着させた状態で、これに光源を対向配置するだけで、安定した測定が可能となる。
これらの発明の潤滑剤劣化検出装置において、光ファイバ束の先端付近に温度センサを設け、この温度センサの検出値により前記判定手段の出力を補正する補正手段を設けても良い。この構成の場合、環境温度の変化による測定値の変化を、潤滑剤の劣化に起因するものと見誤るのを回避できる。
この発明にかかる潤滑剤劣化検出装置付き軸受は、この発明の上記いずれか構成の潤滑剤劣化検出装置を搭載したものである。
この構成によると、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで、または定期的に安定良く検出することができる。これにより、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
この構成によると、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで、または定期的に安定良く検出することができる。これにより、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
この発明の透過率検出装置は、先端位置を互いにずらした2種類の光ファイバからなる光ファイバ束を設け、この光ファイバ束の光ファイバの基端を、上記2種類のうちの各種類毎に別々に設けた2つの光検出器にそれぞれ接続し、前記光ファイバ束の先端と対向する位置に光源を設け、前記光ファイバ束の先端付近の前記光源側位置を試料の配置部とし、上記2つの光検出器の信号出力を比較することによって試料の光透過率を測定する判定手段を設けたため、軸受内部などへの配置の自由度が高く、受光強度も十分に得られ、光源から受光部までの距離や試料の厚さによる影響を受けずに試料の光透過率を安定して検出することができる。
この発明の潤滑剤劣化検出装置は、この発明の透過率検出装置において、前記試料として潤滑剤を用い、前記判定手段は、前記光透過率によって潤滑剤の劣化の検出、または混入物の量の推定を行うものとしたため、軸受内部などへの装置の配置自由度が高く、受光強度も十分に得られ、光源から受光部までの距離や潤滑剤の厚さなどに影響されることなく、潤滑剤の劣化の検出、または混入物の量の推定を安定して行うことができる。
この発明の潤滑剤劣化検出装置付き軸受は、この発明の上記いずれか構成の潤滑剤劣化検出装置を搭載したものであるため、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで、または定期的に安定して検出することができる。その結果、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化径装置の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
この発明の潤滑剤劣化検出装置は、この発明の透過率検出装置において、前記試料として潤滑剤を用い、前記判定手段は、前記光透過率によって潤滑剤の劣化の検出、または混入物の量の推定を行うものとしたため、軸受内部などへの装置の配置自由度が高く、受光強度も十分に得られ、光源から受光部までの距離や潤滑剤の厚さなどに影響されることなく、潤滑剤の劣化の検出、または混入物の量の推定を安定して行うことができる。
この発明の潤滑剤劣化検出装置付き軸受は、この発明の上記いずれか構成の潤滑剤劣化検出装置を搭載したものであるため、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで、または定期的に安定して検出することができる。その結果、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化径装置の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
この発明の一実施形態を図1ないし図4と共に説明する。図1は、この実施形態の透過率検出装置の概略構成図を示す。この透過率検出装置1は、先端位置を所定間隔dだけ互いにずらした2種類の光ファイバ2a,2bからなる光ファイバ束2と、前記光ファイバ2a,2bの各種類毎に別々に設けられ、対応する各種類の光ファイバ2a,2bの基端が接続される2つの光検出器3,4と、前記光ファイバ束2の先端と対向する位置に設けられる光源5と、前記2つの光検出器3,4の信号出力を比較することによって試料7の光透過率を測定する判定手段6とを備える。前記光ファイバ束2の先端付近の前記光源5側の位置が試料7の配置部とされ、これにより光検出面となる各光ファイバ2a,2bの先端が試料7の内部に存在するようにされる。
なお、光ファイバ束2の先端付近には温度センサ8が設けられる。前記各種類の光ファイバ2a,2bは共に複数本とされるが、片方の光ファイバ2aの合計受光面はもう片方の光ファイバ2bの合計受光面と等しくされる。各種類の光ファイバ2a,2bは、先端位置を互いにずらせ、また基端位置を互いに異なる光検出器3,4に対向させた他は、互いに同じ構成のものである。試料7としては、例えば潤滑剤が用いられる。
なお、光ファイバ束2の先端付近には温度センサ8が設けられる。前記各種類の光ファイバ2a,2bは共に複数本とされるが、片方の光ファイバ2aの合計受光面はもう片方の光ファイバ2bの合計受光面と等しくされる。各種類の光ファイバ2a,2bは、先端位置を互いにずらせ、また基端位置を互いに異なる光検出器3,4に対向させた他は、互いに同じ構成のものである。試料7としては、例えば潤滑剤が用いられる。
前記光源5としては、LED、白熱電球、半導体レーザダイオード、EL、有機EL、蛍光管などを用いることができる。また、前記光検器3,4としては、フォトダイオード、フォトトランジスタ、CDS、太陽電池、光電子増倍管などを用いることができる。図1では、前記判定手段6を、前記2つの光検出器3,4の出力の信号強度の差分を求める差動増幅回路9と、この差動増幅回路9の信号出力を所定基準値と比較する判定回路10と、前記温度センサ8の検出値により判定手段6の出力を補正する補正手段11とで構成した例を示しているが、これに限らず、2つの光検出器3,4の出力の信号強度の比を求める回路構成としても良い。
上記構成の透過率検出装置1において、前記試料7を透過する光の強度は、透過した距離によって大きく減衰する。これら透過光強度と透過距離との間には、図2にグラフで示す関係がある。この関係は、透過光強度(透過光量)をI、透過距離をx、試料7への入射光量をIinとすると、αを定数として、
I=Iinexp(−αx) ……(1)
となる。
そこで、各光検出器3,4の出力の信号強度I0 ,I1 は、
I0 =Iinexp(−αx0 ) ……(2)
I1 =Iinexp(−αx1 ) ……(3)
となる。前記判定手段6が、2つの光検出器3,4の出力の信号強度の比を求めるものとすると、判定手段6の検出出力は、
(I1 /I0 )=exp(−α(x1 −x0 ))
=exp(−αd) ……(4)
となる。すなわち、判定手段6の検出出力は、試料7そのものの厚さには関係なく、2種類の光ファイバ2a,2bの光検出面である先端の間隔dに依存する値となる。
I=Iinexp(−αx) ……(1)
となる。
そこで、各光検出器3,4の出力の信号強度I0 ,I1 は、
I0 =Iinexp(−αx0 ) ……(2)
I1 =Iinexp(−αx1 ) ……(3)
となる。前記判定手段6が、2つの光検出器3,4の出力の信号強度の比を求めるものとすると、判定手段6の検出出力は、
(I1 /I0 )=exp(−α(x1 −x0 ))
=exp(−αd) ……(4)
となる。すなわち、判定手段6の検出出力は、試料7そのものの厚さには関係なく、2種類の光ファイバ2a,2bの光検出面である先端の間隔dに依存する値となる。
また、式(4)における定数αの値は、試料7の状態によって変化する。例えば、試料7が軸受内に封入された潤滑剤である場合、軸受の使用に伴って摩耗粉等の異物が潤滑剤に混入することになるので、その混入物の量が増加するに従い前記定数αが大きくなる。また、潤滑剤が劣化すると酸化や変色が進行するので、試料7が潤滑剤である場合には、その劣化状態が進行するにつれて前記定数αが大きくなる。したがって、前記判定手段6が、上記したように前記2つの光検出器3,4の信号強度の比を求める場合、試料(潤滑剤)7における光路差dを透過する光の透過率を測定することになり、その検出出力の値から潤滑剤の内部に混入した混入物の量を推定し、あるいは潤滑剤の劣化状態を検出することができる。
図1のように、判定手段6において、差動増幅器9により2つの光検出器3,4の信号強度の差を求める場合にも、試料(潤滑剤)7における光路差dを透過する光の透過率を測定することになる。このため、その検出出力から潤滑剤の内部に混入した混入物の量を推定し、あるいは潤滑剤の劣化状態を検出することができる。
このように、この透過率検出装置1では、先端位置を間隔dだけ互いにずらした2種類の光ファイバ2a,2bからなる光ファイバ束2を設け、この光ファイバ束2の2種類の光ファイバ2a,2bの基端を、各種類の光ファイバ2a,2b毎に別々に設けた2つの光検出器3,4にそれぞれ接続し、光ファイバ束2の先端と対向する位置5に光源を設け、光ファイバ束2の先端付近の光源側位置を試料7の配置部とし、2つの光検出器3,4の信号出力を判定手段6で比較することによって試料7の透過率を測定するようにしているので、試料7そのものの厚さ、試料7の量、光源5の強度、光源5から光検出器3,4までの距離などに影響されることなく、試料5の光透過率を安定良く測定することができる。その結果、軸受内部などへ透過率検出装置1を設置する場合にも、配置の自由度が高くなり、設置スペースの制約に合わせた構成が可能となる。また、2つの光検出器3,4の信号出力を比較して試料7の光透過率を測定することから、電源変動などのコモンモードノイズの影響を受けず、この点からも安定した光透過率の測定が可能となる。また、光ファイバ束2を用いるため、受光側において、十分な受光面積を確保できる。このため、光検出器3,4で十分な受光強度を得ることができると共に、場所による試料7の厚さのばらつきがキャンセルされることになり、この点でも安定した光透過率の測定が可能となる。
試料7として潤滑剤を用いる場合、潤滑剤の劣化が進行するにつれて光透過率が減衰するので、判定手段6は測定する光透過率から潤滑剤の劣化を検出することになる。また、この場合、透過率検出装置1は潤滑剤劣化検出装置として機能することになる。
また、試料7として例えば軸受内に封入された潤滑剤を用いる場合、潤滑剤に含まれる摩耗粉等の混入物が増加するにつれて光透過率が減衰するので、判定手段6は測定する光透過率から潤滑剤に含まれる混入物の量を推定することになる。この場合も、透過率検出装置1は潤滑剤劣化検出装置として機能することになる。
また、試料7として例えば軸受内に封入された潤滑剤を用いる場合、潤滑剤に含まれる摩耗粉等の混入物が増加するにつれて光透過率が減衰するので、判定手段6は測定する光透過率から潤滑剤に含まれる混入物の量を推定することになる。この場合も、透過率検出装置1は潤滑剤劣化検出装置として機能することになる。
また、図1に示した判定手段6では、光ファイバ束2の先端付近に設けた温度センサ8で試料7と光検出器3,4の温度を検出し、その検出値に基づき試料7の温度特性を測定し、あるいはその検出値に基づき補正手段11で温度変化に応じた補正を測定結果に施すようにしているので、環境温度の変化による測定値の変化を、試料7である潤滑剤の劣化に起因するものと見誤るのを回避できる。これにより、より正確な測定が可能となる。
さらに、図1に示した判定手段6では、2つの光検出器3,4の信号出力を比較して得られる検出信号を、所定の基準値と比較する判定回路10を設けているので、試料7である例えば潤滑剤の劣化状態が所定のレベル以上であることを容易に判断でき、潤滑剤の交換時期などの目安とすることができる。
さらに、図1に示した判定手段6では、2つの光検出器3,4の信号出力を比較して得られる検出信号を、所定の基準値と比較する判定回路10を設けているので、試料7である例えば潤滑剤の劣化状態が所定のレベル以上であることを容易に判断でき、潤滑剤の交換時期などの目安とすることができる。
図3は、図1の透過率検出装置1における受光側の具体的構成例を示す。この例では、光ファイバ束2を構成する2種類の光ファイバ2a,2bを、その光検出面となる先端が例えば円形などの面状となるように束ねている。
このように、光ファイバ束2の先端を面状にした場合、試料(例えば潤滑剤)7の厚み分布がばらついていても平均化されるので、そのばらつきが測定値に影響せず、安定した測定が可能となる。また、光ファイバ束2の先端面に試料7を付着させた状態で、これに光源5(図1)を対向配置するだけで、安定した測定が可能となる。なお、この場合、光ファイバ束2の受光面積に合わせて、光源5の面積を大きくするか、光源5を面状の発光体とするのが好ましい。
このように、光ファイバ束2の先端を面状にした場合、試料(例えば潤滑剤)7の厚み分布がばらついていても平均化されるので、そのばらつきが測定値に影響せず、安定した測定が可能となる。また、光ファイバ束2の先端面に試料7を付着させた状態で、これに光源5(図1)を対向配置するだけで、安定した測定が可能となる。なお、この場合、光ファイバ束2の受光面積に合わせて、光源5の面積を大きくするか、光源5を面状の発光体とするのが好ましい。
図4は、図1の透過率検出装置1の他の具体的構成例を示す。この例では、光ファイバ束2を構成する2種類の光ファイバ2a,2bをライン状に並べている。
このように、2種類の光ファイバ2a,2bをライン状に並べた場合、受光部を薄い構成とできるので、平面状に分布する試料(例えば潤滑剤)7の光透過率を測定することができる。なお、この場合、光源5もライン状のものとして、受光効率を上げるようにすることが望ましい。
このように、2種類の光ファイバ2a,2bをライン状に並べた場合、受光部を薄い構成とできるので、平面状に分布する試料(例えば潤滑剤)7の光透過率を測定することができる。なお、この場合、光源5もライン状のものとして、受光効率を上げるようにすることが望ましい。
図5は、上記した透過率検出装置1である潤滑剤劣化検出装置を搭載した検出装置付き軸受を、鉄道車両用軸受ユニットに用いた断面図である。透過率検出装置1は、図1ないし図4のいずれの例のものであっても良い。この場合の鉄道車両用軸受ユニットは、検出装置付き軸受21とその内輪24の両側に各々接して設けられた付属部品である油切り22および後ろ蓋23とで構成される。軸受21は、ころ軸受、詳しくは複列の円すいころ軸受からなり、各列のころ26,26に対して設けた分割型の内輪24,24と、一体型の外輪25と、前記ころ26,26と、保持器27とを備える。
後ろ蓋23は、車軸30に軸受21よりも中央側で取付けられて外周のオイルシール28を摺接させたものである。油切り22は、車軸30に取付けられて外周にオイルシール29を摺接させたものである。これら軸受21の両端部に配置される両オイルシール28,29により軸受21の内部に潤滑剤が封止され、かつ防塵・耐水性が確保される。
後ろ蓋23は、車軸30に軸受21よりも中央側で取付けられて外周のオイルシール28を摺接させたものである。油切り22は、車軸30に取付けられて外周にオイルシール29を摺接させたものである。これら軸受21の両端部に配置される両オイルシール28,29により軸受21の内部に潤滑剤が封止され、かつ防塵・耐水性が確保される。
この場合の透過率検出装置1は潤滑剤劣化検出装置として用いられるものであって、軸受21の外輪25の内径部における両軌道面間に取付けられ、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を検出する。透過率検出装置1は、ころ26の端面付近に配置される。外輪25には、透過率検出装置1の配線ケーブル15を挿通させるケーブル挿入孔25aが設けられ、配線ケーブル15の挿通部には、防水・防油処理が施される。前記配線ケーブル15を通じて、軸受外から透過率検出装置1への電源供給と軸受外への検出信号の取り出しが行われる。これにより、透過率検出装置1の取付部から軸受内部へ水分やゴミ等が侵入するのを防止している。
上記透過率検出装置1を搭載したこの検出装置付き軸受21では、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで安定して検出することができる。その結果、軸受21に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受21の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を透過率検出装置1の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
上記透過率検出装置1を搭載したこの検出装置付き軸受21では、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで安定して検出することができる。その結果、軸受21に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受21の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を透過率検出装置1の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
図6は、検出装置付き軸受の他の例を示す。この検出装置付き軸受21Aは、図5に示した検出装置付き軸受21において、上記した透過率検出装置1をオイルシール29の内側面に取付けたものである。この場合、透過率検出装置1は、保持器27の端面付近に配置される。
図7は、検出装置付き軸受のさらに他の例を示す。この検出装置付き軸受21Bは、図5に示した検出装置付き軸受21において、上記した透過率検出装置1を、外輪25の転走面の脇部に取付けたものである。このように、転走面の脇部に透過率検出装置1を配置することにより、潤滑に寄与している潤滑剤の状態を確実に検出することができる。
1…透過率検出装置
2…光ファイバ束
2a,2b…光ファイバ
3,4…光検出器
5…光源
6…判定手段
7…試料(潤滑剤)
8…温度センサ
11…補正手段
21,21A,21B…検出装置付き軸受
2…光ファイバ束
2a,2b…光ファイバ
3,4…光検出器
5…光源
6…判定手段
7…試料(潤滑剤)
8…温度センサ
11…補正手段
21,21A,21B…検出装置付き軸受
Claims (9)
- 先端位置を互いにずらした2種類の光ファイバからなる光ファイバ束を設け、この光ファイバ束の光ファイバの基端を、上記2種類のうちの各種類毎に別々に設けた2つの光検出器にそれぞれ接続し、前記光ファイバ束の先端と対向する位置に光源を設け、前記光ファイバ束の先端付近の前記光源側位置を試料の配置部とし、上記2つの光検出器の信号出力を比較することによって試料の光透過率を測定する判定手段を設けた透過率検出装置。
- 請求項1記載の透過率検出装置において、前記試料として潤滑剤を用い、前記判定手段は、前記光透過率によって潤滑剤の劣化を検出するものとした潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項1記載の透過率検出装置において、前記試料として潤滑剤を用い、前記判定手段は、潤滑剤に含まれる混入物の量を推定するものとした潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項2または請求項3記載の潤滑剤劣化検出装置において、前記光ファイバ束を先端がライン状に並ぶように設けた潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項4において、前記光源を、前記光ファイバ束の先端のライン状の並びに対応するライン状の光源とした潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項2または請求項3記載の潤滑剤劣化検出装置において、前記光ファイバ束を先端面が平面状に並ぶように設けた潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項6において、前記光源を、前記光ファイバ束の先端が並ぶ平面状の面に対応する面状光源とした潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項2ないし請求項7のいずれか1項において、光ファイバ束の先端付近に温度センサを設け、この温度センサの検出値により前記判定手段の出力を補正する補正手段を設けた潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項2ないし請求項8のいずれかに記載の潤滑剤劣化検出装置を搭載した軸受。
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2006
- 2006-02-07 JP JP2006029338A patent/JP2007212161A/ja active Pending
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