[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による樹脂層の形成方法並びにその樹脂層の形成方法を用いた半導体装置及びその製造方法を図1乃至図14を用いて説明する。図1は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置を図1を用いて説明する。
半導体基板10としては、例えばシリコンウェハが用いられている。半導体基板10には、トランジスタ等の能動素子(図示せず)及び/或いは容量素子等の受動素子(図示せず)などを用いて構成される論理回路及び/或いは記憶回路等(図示せず)が形成されている。かかる半導体基板10上には、例えばシリコン酸化膜より成る層間絶縁膜12が形成されている。層間絶縁膜12は、例えばCVD法により形成されたものである。層間絶縁膜12は、半導体基板10上に複数層形成されているが、図1においては1層のみ示している。層間絶縁膜12には、導体プラグ14が埋め込まれている。導体プラグ14は、上述した論理回路や記憶素子等に電気的に接続されている。
層間絶縁膜12上には、例えばCuより成る複数の配線22が形成されている。配線22の下には、配線22等を電気めっき法により形成する際に用いられたシード層16が存在している。シード層16は、例えば膜厚80nmのCr膜と例えば膜厚300nmのCu膜とを順次積層することにより構成されている。配線22は、導体プラグ14に電気的に接続されている。
配線22上には、例えばCuより成る導体プラグ28が形成されている。
層間絶縁膜12上には、配線22及び導体プラグ28を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)34aが形成されている。樹脂層34aは、熱膨張率を低減するための混合物(フィラー)が含有された第1の層30と、第1の層30上に形成され、かかる混合物が含有されていない第2の層32とにより構成されている。換言すれば、熱膨張率を低減するための混合物が半導体基板10側に偏在する樹脂層34aが形成されている。熱膨張率を低減するための混合物としては、例えばシリカ(酸化シリコン)等の無機材料が用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層30における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。第1の層30の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層32の材料としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。
樹脂層34aのうちの第1の層30に混合物を含有させるのは、樹脂層34と半導体基板10との熱膨張率の差を小さくするためである。即ち、半導体基板10の材料として用いられているシリコンの熱膨張率は、2〜3ppm/℃程度である。これに対し、エポキシ樹脂の熱膨張率は、45〜65ppm/℃程度である。このため、半導体基板10上に単なる樹脂層を形成した場合には、樹脂層を硬化させるための熱処理等の際に、半導体基板10と樹脂層の熱膨張率の差に起因して、半導体基板10等に過度のストレスが加わってしまう。一方、シリカ等の無機材料より成る混合物の熱膨張率は0.4〜0.55ppm/℃程度である。本実施形態では、熱膨張率の比較的小さい混合物が、第1の層30に含有されているため、第1の層30と半導体基板10との熱膨張率の差を小さくすることが可能となる。半導体基板10と第1の層30との熱膨張率の差を小さくすることができるため、樹脂フィルム33より成る樹脂層34を硬化等させるための熱処理等の際に、半導体基板10と樹脂層34の熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを小さくすることが可能となる。
樹脂層34aの表面及び導体プラグ28の表面は、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図5参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ28の表面及び樹脂層34aの表面は平坦になっている。
平坦化された樹脂層34a上には、例えばCuより成る複数の配線44が形成されている。配線44の下面側には、配線44等を電気めっき法により形成する際に用いられたシード層42が存在している。シード層42は、例えばCr膜とCu膜とを順次積層することにより構成されている。配線44は、導体プラグ28に電気的に接続されている。
配線44上には、例えばCuより成る導体プラグ46が形成されている。
樹脂層34a上には、配線44及び導体プラグ46を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)52aが形成されている。樹脂層52aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層48と、第1の層48上に形成され、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層50とにより構成されている。混合物の材料としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層48における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。第1の層48の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。また、第2の層50の材料としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。
樹脂層52aの表面と導体プラグ46の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図8参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ46の表面及び樹脂層52aの表面は平坦になっている
平坦化された樹脂層52a上には、例えばCuより成る複数の配線56が形成されている。配線56の下には、配線56等を電気めっき法により形成する際に用いられたシード層54が存在している。シード層54は、例えばCr膜とCu膜とを順次積層することにより構成されている。配線56は、導体プラグ46に電気的に接続されている。
配線56上には、例えばCuより成る導体プラグ58が形成されている。
樹脂層52a上には、配線56及び導体プラグ58を埋め込むように樹脂層64aが形成されている。樹脂層64aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層60と、第1の層60上に形成され、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層62とにより構成されている。混合物の材料としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層60における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。第1の層60の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層62の材料としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。
樹脂層64aの表面と導体プラグ58の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図11(a)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ58の表面及び樹脂層64aの表面は平坦になっている。
平坦化された樹脂層64a上には、例えばCuより成る複数の配線68が形成されている。配線68の下には、配線68等を電気めっき法により形成する際に用いられたシード層66が存在している。シード層66は、例えばCr膜とCu膜とを順次積層することにより構成されている。配線68は、導体プラグ58に電気的に接続されている。
配線68上には、例えばCuより成る導体プラグ70が形成されている。
樹脂層64a上には、配線68及び導体プラグ70を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)76aが形成されている。樹脂層76aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層72と、第1の層72上に形成され、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層74とにより構成されている。かかる混合物の材料としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。樹脂層72における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。樹脂層72の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。樹脂層74の材料としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。
樹脂層76aの表面と導体プラグ70の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図13参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ70の表面及び樹脂層76aの表面は平坦になっている。
平坦化された樹脂層76a上には、例えばAl又はAu等より成る複数の電極80が形成されている。電極80は、例えばボンディングパッドとして機能し得る。電極80の下には、配線80を電気めっき法により形成する際に用いられたシード層78が存在している。シード層78は、例えばCr膜とCu膜とを順次積層することにより構成されている。配線80は、導体プラグ70に電気的に接続されている。
こうして、複数の樹脂層34a、52a、64a、76a及び複数の配線層22、44、56、68から成る多層配線構造を有する半導体装置が構成されている。
本実施形態による半導体装置は、後述するように、無機材料より成る混合物が含有された第1の層と、かかる混合物が含有されていない第2の層とから成る樹脂層を形成し、かかる樹脂層の表層部をバイトにより切削することにより、樹脂層の表面が平坦化されていることに主な特徴がある。
本実施形態によれば、無機材料より成る混合物が含有された第1の層を切削せずに、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層を切削することにより、樹脂層の表層部が平坦化されるため、無機材料より成る混合物によってバイトが著しく摩耗したり欠損したりするのを回避することができる。このため、本実施形態によれば、バイトの摩耗や欠損を抑制しつつ樹脂層を平坦化することができ、ひいては、半導体装置等を低コストで製造することが可能となる。
(樹脂層の形成方法、半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による樹脂層の形成方法及びその樹脂層の形成方法を用いた半導体装置の製造方法を図2乃至図14を用いて説明する。図2乃至図14は、本実施形態による樹脂層の形成方法及び半導体装置の製造方法を示す工程図である。図2(a)乃至図4(c)、図5(b)乃至図7(b)、及び、図8(b)乃至図14(b)は断面図である。図5(a)及び図8(a)は斜視図である。
まず、図2(a)に示すように、半導体基板10を用意する。半導体基板10としては、例えばシリコンウェハを用いる。半導体基板10には、トランジスタ等の能動素子(図示せず)及び/或いは容量素子等の受動素子(図示せず)などを用いて構成される論理回路及び/或いは記憶回路等(図示せず)が形成されている。かかる半導体基板10上には、例えばシリコン酸化膜より成る層間絶縁膜12が形成されている。層間絶縁膜12は、例えばCVD法により形成されたものである。層間絶縁膜12は、半導体基板10上に複数層形成されているが、図2(a)においては1層のみ示している。層間絶縁膜12には、導体プラグ14が埋め込まれている。導体プラグ14は、上述した論理回路や記憶素子等に電気的に接続されている。
次に、図2(b)に示すように、全面に、例えばスパッタ法により、膜厚80nmのCr膜と例えば膜厚300nmのCu膜とを順次形成する。こうして、Cr膜とCu膜とから成るシード層16が形成される。
次に、図2(c)に示すように、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜18を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、シード層16に達する開口部20をフォトレジスト膜18に形成する。開口部20は、配線22(図2(d)参照)を形成するためのものである。
次に、図2(d)に示すように、電気めっき法により、開口部20内にCuより成る配線22を形成する。配線22の高さ(層間絶縁膜12の表面からの高さ)は、例えば5μm程度とする。この後、フォトレジスト膜18を剥離する(図3(a)参照)。
次に、図3(b)に示すように、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜24を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、配線22に達する開口部26をフォトレジスト膜24に形成する。開口部26は、導体プラグ28(図3(c)参照)を形成するためのものである。
次に、図3(c)に示すように、電気めっき法により、開口部26内にCuより成る導体プラグ28を形成する。導体プラグ28の高さ(配線22の上面からの高さ)は、例えば10μm程度とする。この後、フォトレジスト膜24を剥離する。
次に、図4(a)に示すように、配線22の周囲に表出している部分のシード層16をウエットエッチングにより除去する。エッチング液としては、例えば1〜10%程度の過硫酸アンモニウム水溶液を用いる。エッチング時間は、例えば2分程度とする。シード層16をエッチング除去する際には、配線22や導体プラグ28の表面も若干エッチングされる。但し、シード層16の厚さは、配線22や導体プラグ28のサイズと比較して十分に小さいため、短時間でエッチングすることが可能である。このため、シード層16をエッチングする際に、配線22や導体プラグ28が過度にエッチングされてしまうことはない。
次に、図4(b)に示すように、半導体基板10上に樹脂フィルム(樹脂シート)33を載置する。樹脂フィルム33としては、熱膨張率を低減するための混合物(フィラー)が含有された第1の層30と、かかる混合物が含有されていない第2の層32とが積層されて成る2層構造の樹脂フィルム33を用いる。換言すれば、熱膨張率を低減するための混合物が基板側に偏在する樹脂フィルム33を用いる。混合物の材料としては、例えばシリカ等の無機材料を用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層30における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。第1の層30の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層32の材料としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層30の厚さは、例えば10μmとする。第2の層32の厚さは、例えば10μmとする。
樹脂フィルム33のうちの第1の層30に混合物を含有させるのは、樹脂フィルム33より成る樹脂層34と半導体基板10との熱膨張率の差を小さくするためである。即ち、半導体基板10の材料として用いられているシリコンの熱膨張率は、2〜3ppm/℃程度である。これに対し、エポキシ樹脂の熱膨張率は、45〜65ppm/℃程度である。このため、半導体基板10上に単なる樹脂層を形成した場合には、樹脂層を硬化させるための熱処理等の際に、半導体基板10と樹脂層の熱膨張率の差に起因して、半導体基板10等に過度のストレスが加わってしまう。一方、シリカより成る混合物の熱膨張率は0.4〜0.55ppm/℃程度である。本実施形態では、熱膨張率の比較的小さい混合物が、第1の層30に含有されているため、第1の層30と半導体基板10との熱膨張率の差を小さくすることが可能となる。半導体基板10と第1の層30との熱膨張率の差を小さくすることができるため、樹脂フィルム33より成る樹脂層34を硬化等させるための熱処理等の際に、半導体基板10と樹脂層34の熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを小さくすることが可能となる。
樹脂フィルム33のうちの第2の層32に混合物を含有させていないのは、混合物によってバイト40が著しく摩耗してしまうのを防止するためである。
シリカ等の無機材料より成る混合物を比較的多く含有する樹脂層をダイヤモンド等より成るバイト40により切削する場合には、バイト40が著しく摩耗し、切削可能な距離はせいぜい1km程度である。1kmの切削は、6インチのウェーハでは3〜4回程度の切削に相当し、8インチのウェーハでは約1回の切削に相当する。
これに対し、シリカ等の無機材料より成る混合物が含まれていない樹脂層をダイヤモンド等より成るバイト40により切削する場合には、例えば10km以上の切削を行っても、バイト40の刃先は殆ど摩耗しない。従って、本実施形態によれば、バイト40の摩耗や欠損を確実に防止しつつ、樹脂層34を平坦化することが可能である。
なお、ここでは、第1の層30における混合物の含有率を60wt%程度とする場合を例に説明したが、第1の層30における混合物の含有率は60wt%程度に限定されるものではない。例えば、第1の層30における混合物の含有率を10wt%〜90wt%の範囲で適宜設定してもよい。但し、第1の層30における混合物の含有率を小さめに設定した場合には、半導体基板10と樹脂層34との熱膨張率の差が比較的大きくなる。一方、第1の層30における混合物の含有率を大きめに設定した場合には、第1の層30の硬度が高くなり、真空プレスにより樹脂フィルム33を半導体基板10上に貼り付けることが容易でなくなる。従って、第1の層30における混合物の含有率は、20〜70wt%の範囲内とすることがより好ましい。
また、ここでは、第1の層30の厚さを10μm、第2の層32の厚さを10μmとする場合を例に説明したが、第1の層30や第2の層32の厚さはこれに限定されるものではない。但し、後述するように、樹脂層34の表面は、導体プラグ28の上部と第2の層32の表層部とをバイト40により切削することにより平坦化される。樹脂層34の表層部をバイト40により切削する際にバイト40が著しく摩耗するのを防止するためには、上述したように、無機材料より成る混合物を含有していない第2の層32のみに切削を行い、無機材料より成る混合物を含有している第1の層30に切削を行わないことが望ましい。このため、導体プラグ28の上面の高さより第1の層30の上面の高さが低くなり、配線22の上面の高さより第1の層30の上面の高さが高くなるように、配線22の高さ、導体プラグ28の高さ、及び、第1の層30の厚さを設定することが望ましい。
次に、真空プレス装置を用いて、層間絶縁膜12等が形成された半導体基板10上に樹脂フィルム33を貼り付ける。真空プレスを行う際の条件は、例えば以下の通りとする。減圧時間は、例えば60秒程度とする。真空プレスを行う際の温度は、例えば120℃程度とする。真空プレスの際の圧力は例えば1MPa程度とする。真空プレスにより成形する時間は例えば60秒とする。こうして、半導体基板10上に樹脂フィルム33より成る樹脂層34が形成される(図4(c)参照)。
次に、熱処理を行うことにより、樹脂層34を硬化させる。熱処理条件は、例えば、190℃、1時間とする。樹脂層34のうちの第1の層30に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層34の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層34との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38上に、真空吸着により固定する(図5(a)参照)。チャックテーブル38とは、ウェハ等を加工する際に、ウェハ等を固定するための台のことである。半導体基板10をチャックテーブル38上に固定する際には、半導体基板10の裏面側、即ち、樹脂層34が形成されていない側の面をチャックテーブル38に固定する。なお、半導体基板10をチャックテーブル38上に固定する際には、ピンチャックを用いることが好ましい。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層34の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層34の表層部及び導体プラグ28の上部を切削する(図5(b)参照)。
樹脂層34の表層部等を切削する際の条件は、例えば以下の通りとする。
バイト40のすくい角を0度とする。なお、すくい角とは、被切削物の切削面に対して垂直な面と、バイト40の刃先の進行方向の前面(すくい面)とのなす角度のことである。一般に、すくい角が大きくなる程切れ具合は良くなるが、その反面で刃先へのダメージが大きくなり刃先の寿命が短くなる傾向がある。すくい角としては、0度〜30度の設定であれば適用可能であるが、本実施形態では、切削の対象が比較的柔らかい樹脂材料等であるため、すくい角を上記のような値とする。
チャックテーブルの回転数は、例えば1000rpm程度とする。このような回転数に設定すると、回転半径が5cm程度の際には、切削速度が5m/秒程度となる。
樹脂層34の表層部を切削する際には、切削を例えば2回行うことにより、樹脂層34を所望の厚さまで切削する。第1回目の切削におけるバイト40の切り込み量は、例えば4μm程度とする。第2回目の切削におけるバイト40の切り込み量は、例えば3μm程度とする。なお、切り込み量とは、切削を行う際におけるバイト40の切り込み深さのことである。
バイト40の送りは、例えば20μm/秒とする。なお、送りとは、切削を行う際にチャックテーブルの半径方向、即ち、チャックテーブルにおける外縁の一点と回転中心とを結ぶ方向にバイトを進めていく速度のことである。
このような条件で樹脂層34の表層部を切削すると、切削後の樹脂層34aの表面には適度な凹凸(図示せず)が形成され、切削後の樹脂層34aの表面おける十点平均粗さRzは、例えば1〜2μm程度となる。一方、導体プラグ28の表面における十点平均粗さRzは、例えば5〜15nm程度となる。なお、本明細書中においては、切削後の樹脂層を樹脂層34aと表示し、切削前の樹脂層34と区別している。
十点平均粗さRzとは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和を求め、マイクロメートル(μm)で表したもののことである(JIS B 0601−1994参照)。即ち、十点平均粗さRzとは、粗さ曲線で最高の山頂から高い順に5番目までの山高さの平均と、最深の谷底から深い順に5番目までの谷深さの平均との和のことである。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第1の層30を切削せずに、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層32を切削することにより、樹脂層34の表層部を平坦化するため、無機材料より成る混合物によってバイト40が著しく摩耗してしまったり欠損してしまったりするのを防止することが可能となる。
こうして、図6(a)に示すように、樹脂層34aの表面が平坦化される。
なお、ここでは、製造コストを低く抑えるために、半導体基板10を個々の半導体素子(半導体チップ)10aに切断しない状態で切削を行うことを想定しているが、半導体基板10を個々の半導体素子10aに切断・分離した後に、切削を行うことも可能である。
次に、例えばスパッタリング法又は無電解めっき法により、樹脂層34a上に、例えば膜厚80nmのCr膜と膜厚300nmのCu膜とを順次積層して成るシード層42を形成する。
表面に適度な凹凸(図示せず)が形成された樹脂層34a上にシード層42を形成するため、シード層42のうちの凹部(図示せず)内に形成された部分が、凹部内において確実に固定される。このような現象は、アンカー効果と称される。このため、シード層42と樹脂層34aとの密着性が十分に確保される。
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、シード層42に達する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。かかる開口部は、配線44(図6(b)参照)を形成するためのものである。樹脂層34aの表面には過度に深い凹凸が形成されていないため、フォトレジスト膜を微細にパターニングした場合であっても、良好なパターンを形成しうる。
次に、電気めっき法により、フォトレジスト膜の開口部内のシード層42上に、例えばCuより成る配線44を形成する。配線44の高さ(樹脂層34aの上面からの高さ)は、例えば5μm程度とする。シード層42と樹脂層34aとの密着性が十分に確保されているため、配線44はシード層42を介して樹脂層34aに確実に固定される。
この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、スピンコート法により、配線44が形成された樹脂層34a上の全面に、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、配線44に達する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。かかる開口部は、導体プラグ46(図6(b)参照)を形成するためのものである。
次に、電気めっき法により、開口部内にCuより成る導体プラグ46を形成する。導体プラグ46の高さ(配線44の上面からの高さ)は、例えば10μm程度とする。
この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、配線44の周囲に表出しているシード層42をウエットエッチングにより除去する。エッチング液としては、例えば1〜10%程度の過硫酸アンモニウム水溶液を用いる。エッチング時間は、例えば2分程度とする。シード層42をエッチング除去する際には、配線44や導体プラグ46の表面も若干エッチングされる。但し、シード層42の厚さは、配線44や導体プラグ46のサイズと比較して十分に小さいため、短時間でエッチングすることが可能である。このため、シード層42をエッチングする際に、配線44や導体プラグ46が過度にエッチングされてしまうことはない。
次に、図7(a)に示すように、半導体基板10上に樹脂フィルム51を載置する。樹脂フィルム51としては、例えば上述した樹脂フィルム33と同様の樹脂フィルムを用いる。即ち、樹脂フィルム51として、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層48と、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層50とが積層されて成る2層構造の樹脂フィルム51を用いる。
次に、真空プレス装置を用いて、樹脂フィルム51を樹脂層34a上に貼り付ける(図7(b)参照)。真空プレスを行う際の条件は、樹脂フィルム33を真空プレスする際の条件と同様に、例えば以下の通りとする。減圧時間は、例えば60秒程度とする。真空プレスを行う際の温度は、例えば120℃程度とする。真空プレスの際の圧力は例えば1MPa程度とする。真空プレスにより成形する時間は例えば60秒とする。こうして、配線44及び導体プラグ46等が形成された樹脂層34a上に、樹脂フィルム51より成る樹脂層52が形成される(図7(b)参照)。
次に、熱処理を行うことにより、樹脂層52を硬化させる。熱処理条件は、樹脂層34を硬化させる際の上述した条件と同様に、例えば、190℃、1時間とする。樹脂層52のうちの第1の層48に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層52の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層52との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38上に、真空吸着により固定する(図8(a)参照)。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層52の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層52の表層部及び導体プラグ46の上部を切削する(図8(b)参照)。樹脂層52の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層34の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第1の層48を切削せずに、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層50を切削することにより、樹脂層52の表層部を平坦化するため、無機材料より成る混合物によりバイト40が著しく摩耗したり欠損したりしてしまうのを防止することができる。
こうして、図9(a)に示すように、樹脂層52aの表面が平坦化される。なお、本明細書中においては、切削後の樹脂層を樹脂層52aと表示し、切削前の樹脂層52と区別している。
次に、スパッタリング法又は無電解めっき法により、樹脂層52a上及び導体プラグ46上にシード層54を形成する。
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜にシード層に達する開口部(図示せず)を形成する。
次に、電気めっき法により、フォトレジスト膜の開口部内にCuより成る配線56を形成する。配線56の高さ(樹脂層52aの上面からの高さ)は、例えば5μm程度とする。
この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、スピンコート法により、配線56が形成された樹脂層52a上の全面に、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、配線56に達する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。かかる開口部は、導体プラグ58(図9(b)参照)を形成するためのものである。
次に、電気めっき法により、開口部内にCuより成る導体プラグ58を形成する。導体プラグ58の高さ(配線56の上面からの高さ)は、例えば10μm程度とする。
この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、ウエットエッチングにより、配線56の周囲に表出しているシード層54を除去する。
次に、図10(a)に示すように、半導体基板10上に樹脂フィルム63を載置する。樹脂フィルム63としては、例えば上述した樹脂フィルム33と同様の樹脂フィルムを用いる。即ち、樹脂フィルム63として、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層60と、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層62とが積層されて成る2層構造の樹脂フィルム63を用いる。
次に、真空プレス装置を用いて、樹脂フィルム63を樹脂層52a上に貼り付ける(図10(b)参照)。真空プレスを行う際の条件は、樹脂フィルム33を真空プレスする際の条件と同様に、例えば以下の通りとする。減圧時間は、例えば60秒程度とする。真空プレスを行う際の温度は、例えば120℃程度とする。真空プレスの際の圧力は例えば1MPa程度とする。真空プレスにより成形する時間は例えば60秒とする。こうして、配線56及び導体プラグ58等が形成された樹脂層52a上に、樹脂フィルム63より成る樹脂層64が形成される(図10(b)参照)。
次に、熱処理を行うことにより、樹脂層64を硬化させる。熱処理条件は、樹脂層34を硬化させる際の上述した条件と同様に、例えば190℃、1時間とする。樹脂層64における第1の層60に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層64の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層64との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図8(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層64の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層64表層部及び導体プラグ58の上部を切削する(図11(a)参照)。樹脂層64の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層34の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第1の層60を切削せずに、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層62を切削することにより、樹脂層64の表層部を平坦化するため、無機材料より成る混合物によりバイト40が著しく摩耗したり欠損したりしてしまうのを防止することができる。
こうして、図11(b)に示すように、樹脂層64aの表面が平坦化される。なお、本明細書中においては、切削後の樹脂層を樹脂層64aと表示し、切削前の樹脂層64と区別している。
次に、スパッタリング法又は無電解めっき法により、樹脂層64a上及び導体プラグ58上にシード層66を形成する。
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜にシード層に達する開口部(図示せず)を形成する。
次に、電気めっき法により、フォトレジスト膜の開口部内にCuより成る配線68(図12(a)参照)を形成する。配線68の高さ(樹脂層64aの上面からの高さ)は、例えば5μm程度とする。
この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、スピンコート法により、配線68が形成された樹脂層64a上の全面に、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、配線68に達する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。かかる開口部は、導体プラグ70を形成するためのものである。
次に、電気めっき法により、開口部内にCuより成る導体プラグ70を形成する。導体プラグ70の高さ(配線68の上面からの高さ)は、例えば10μm程度とする。
この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、配線68の周囲に表出しているシード層66をウエットエッチングにより除去する。
次に、図12(b)に示すように、半導体基板10上に樹脂フィルム75を載置する。樹脂フィルム75としては、例えば上述した樹脂フィルム33と同様の樹脂フィルムを用いる。即ち、樹脂フィルム75として、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層72と、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層74とが積層されて成る2層構造の樹脂フィルム75を用いる。
次に、真空プレス装置を用いて、樹脂フィルム75を樹脂層64a上に貼り付ける(図13(a)参照)。真空プレスを行う際の条件は、樹脂フィルム33を真空プレスする際の条件と同様に、例えば以下の通りとする。減圧時間は、例えば60秒程度とする。真空プレスを行う際の温度は、例えば120℃程度とする。真空プレスの際の圧力は例えば1MPa程度とする。真空プレスにより成形する時間は例えば60秒とする。こうして、配線68及び導体プラグ70等が形成された樹脂層64a上に、樹脂フィルム75より成る樹脂層76が形成される(図13(a)参照)。
次に、熱処理を行うことにより、樹脂層76を硬化させる。熱処理条件は、樹脂層76を硬化させる際の上述した条件と同様に、例えば、190℃、1時間とする。樹脂層76のうちの第1の層72に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層76の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層76との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図8(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層76の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層76の表層部及び導体プラグ70の上部を切削する(図13(b)参照)。樹脂層76の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層34の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第1の層72を切削せずに、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層74を切削することにより、樹脂層76の表層部を平坦化するため、無機材料より成る混合物によりバイト40が著しく摩耗したり欠損したりしてしまうのを防止することができる。
こうして、図14(a)に示すように、樹脂層76aの表面が平坦化される。なお、本明細書においては、切削後の樹脂層を樹脂層76aと表示し、切削前の樹脂層76と区別している。
次に、スパッタリング法又は無電解めっき法により、樹脂層76a上及び導体プラグ70上にシード層78を形成する。
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜にシード層に達する開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、電極80を形成するためのものである。
次に、電気めっき法により、フォトレジスト膜の開口部内にCuより成る電極80(図14(b)参照)を形成する。
この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、電極80の周囲に表出しているシード層78をウエットエッチングにより除去する。
こうして、本実施形態による樹脂層の形成方法を用いて、本実施形態による半導体装置が製造される。
本実施形態によるめっき方法及び半導体装置の製造方法は、無機材料より成る混合物が含有された第1の層と、かかる混合物が含有されていない第2の層とから成る樹脂層を形成し、かかる樹脂層の表層部をバイトにより切削することにより、樹脂層の表面を平坦化することに主な特徴がある。
本実施形態によれば、無機材料より成る混合物が含有された第1の層を切削せずに、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層を切削することにより、樹脂層の表層部を平坦化し得るため、無機材料より成る混合物によりバイトが著しく摩耗したり欠損したりするのを回避することができる。このため、本実施形態によれば、バイトの摩耗や欠損を抑制しつつ樹脂層を平坦化することができ、ひいては、半導体装置等を低コストで製造することが可能となる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による樹脂層の形成方法並びにその樹脂層の形成方法を用いた半導体装置及びその製造方法を図15乃至図25を用いて説明する。図15は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。図1乃至図14に示す第1実施形態による樹脂層の形成方法並びに半導体装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
(半導体装置)
本実施形態による半導体装置は、樹脂層114a、120a、126a、132aのうちの第1の層110、116、122、128に無機材料より成る混合物が第1の含有率で含有されており、樹脂層114a、120a、126a、132aのうちの第2の層112、118、124、130に第1の含有率より低い第2の含有率で無機材料より成る混合物が含有されていることに主な特徴がある。
図15に示すように、層間絶縁膜12上には、配線22及び導体プラグ28を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)114aが形成されている。樹脂層114aは、熱膨張率を低減するための混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層110と、第1の層110上に形成され、かかる混合物が第1の含有率より低い第2の含有率で含有された第2の層112とにより構成されている。換言すれば、熱膨張率を低減するための混合物が半導体基板10側に偏在する樹脂層114aが形成されている。
第1の層110の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層110に含有させる混合物としては、例えばシリカ等の無機材料が用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層110における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。
第2の層112の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層112に含有させる混合物としては、例えばシリカ等の無機材料が用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第2の層112における混合物の含有率は、例えば20wt%程度とする。本実施形態において第2の層112に含有させる混合物の含有率を比較的低く設定しているのは、樹脂フィルム113(図16(b)参照)より成る樹脂層114(図17(a)参照)の表層部を切削する際に、混合物によってバイト40が著しく摩耗等してしまうのを防止するためである。
樹脂層114aの表面及び導体プラグ28の表面は、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図17(a)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ28の表面及び樹脂層114aの表面は平坦になっている。
樹脂層114a上には、配線44及び導体プラグ46を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)120aが形成されている。樹脂層120aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層116と、第1の層116上に形成され、無機材料より成る混合物が第1の混合率より低い第2の混合率で含有された第2の層118とにより構成されている。
第1の層116の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層116に含有させる混合物の材料としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層116における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。
第2の層118の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層118に含有させる混合物の材料としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第2の層118における混合物の含有率は、例えば20wt%程度とする。本実施形態において第2の層118に含有させる混合物の含有率を比較的低く設定しているのは、樹脂フィルム119(図18(b)参照)より成る樹脂層120(図19(b)参照)の表層部を切削する際に、混合物によってバイト40が著しく摩耗等してしまうのを防止するためである。
樹脂層120aの表面と導体プラグ46の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図19(b)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ46の表面及び樹脂層120aの表面は平坦になっている。
樹脂層120a上には、配線56及び導体プラグ58を埋め込むように樹脂層126aが形成されている。樹脂層126aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層122と、第1の層122上に形成され、無機材料より成る混合物が第1の含有率より低い第2の含有率で含有された第2の層124とにより構成されている。
第1の層122の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層122に含有させる混合物の材料としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層122における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。
第2層124の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層124に含有させる混合物の材料としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第2の層124における混合物の含有率は、例えば20wt%程度とする。本実施形態において第2の層124に含有させる混合物の含有率を比較的低く設定しているのは、樹脂フィルム125(図21(a)参照)より成る樹脂層126(図22(a)参照)の表層部を切削する際に、混合物によってバイト40が著しく摩耗等してしまうのを防止するためである。
樹脂層126aの表面と導体プラグ58の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図22(a)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ58の表面及び樹脂層126aの表面は平坦になっている。
樹脂層126a上には、配線68及び導体プラグ70を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)132aが形成されている。樹脂層132aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層128と、第1の層128上に形成され、無機材料より成る混合物が第1の含有率より低い第2の含有率で含有された第2の層130とにより構成されている。
第1の層128の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層128に含有させる混合物の材料としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層128における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。
第2の層130の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層130に含有させる混合物の材料としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第2の層130における混合物の含有率は、例えば20wt%程度とする。本実施形態において第2の層130に含有させる混合物の含有率を比較的低く設定しているのは、樹脂フィルム131(図21(a)参照)より成る樹脂層132(図24(b)参照)の表層部を切削する際に、混合物によってバイト40が著しく摩耗等してしまうのを防止するためである。
樹脂層132aの表面と導体プラグ70の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図24(b)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ70の表面及び樹脂層132aの表面は平坦になっている。
平坦化された樹脂層132a上には、複数の電極80が形成されている。電極80は、例えばボンディングパッドとして機能し得る。電極80の下には、配線80を電気めっき法により形成する際に用いられたシード層78が存在している。
こうして、複数の樹脂層114a、120a、126a、132a及び複数の配線層22、44、56、68から成る多層配線構造を有する半導体装置が構成されている。
本実施形態による半導体装置は、上述したように、樹脂層114a、120a、126a、132aのうちの第1の層110、116、122、128に無機材料より成る混合物が第1の含有率で含有されており、樹脂層114a、120a、126a、132aのうちの第2の層112、118、124、130に第1の含有率より低い第2の含有率で無機材料より成る混合物が含有されていることに主な特徴がある。
本実施形態では、第1の層110、116、122、128のみならず、第2の層112、118、124、130にも無機材料より成る混合物が含有されているため、樹脂層114a、120a、126a、132aと半導体基板10との熱膨張率の差をより小さくすることができる。
しかも、本実施形態によれば、第2の層112、118、124、130に含有されている混合物の含有率が比較的低く設定されているため、バイト40が混合物によって著しく摩耗等してしまうのを抑制することができる。
(樹脂層の形成方法、半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による樹脂層の形成方法及びその樹脂層の形成方法を用いた半導体装置の製造方法を図16乃至図25を用いて説明する。図16乃至図25は、本実施形態による樹脂層の形成方法及び半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、半導体基板10を用意する工程から導体プラグ28を形成する工程までは、図2(a)乃至図4(a)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図16(a)参照)。
次に、図16(b)に示すように、半導体基板10上に樹脂フィルム113を載置する。樹脂フィルム113としては、熱膨張率を低減するための混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層110と、かかる混合物が第1の含有率より低い第2の含有率で含有された第2の層112とが積層されて成る2層構造の樹脂フィルム113を用いる。換言すれば、熱膨張率を低減するための混合物が基板側に偏在する樹脂フィルム113を用いる。
第1の層110の基材としては、例えばエポキシ樹脂を用いる。第1の層110に含有させる混合物の材料としては、例えばシリカ等の無機材料を用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層110における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。第1の層30の厚さは、例えば10μmとする。なお、樹脂フィルム113のうちの第1の層110に混合物を含有させるのは、樹脂フィルム113より成る樹脂層114(図16(c)参照)と半導体基板10との熱膨張率の差を小さくするためである。
第2の層112の基材としては、例えばエポキシ樹脂を用いる。第2の層32の厚さは、例えば10μmとする。第2の層112に含有させる混合物の材料としては、例えばシリカ等の無機材料を用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層112における混合物の含有率は、例えば20wt%程度とする。なお、第2の層112における混合物の含有率を比較的小さく設定するのは、樹脂フィルム113より成る樹脂層114(図16(c)参照)の表層部を切削する際に、バイト40が混合物によって著しく摩耗等するのを防止するためである。
また、ここでは、第2の層112における混合物の含有率を20wt%程度とする場合を例に説明したが、第2の層112における混合物の含有率は20wt%程度に限定されるものではない。但し、第2の層112における混合物の含有率を比較的高く設定した場合には、樹脂層114を切削する際にバイト40が摩耗等しやすくなってしまう。バイト40の著しい摩耗等を避けるためには、第2の層112における混合物の含有率を30wt%以下に設定することが好ましい。
次に、真空プレス装置を用いて、層間絶縁膜12等が形成された半導体基板10上に樹脂フィルム113を貼り付ける。真空プレスを行う際の条件は、例えば以下の通りとする。減圧時間は、例えば60秒程度とする。真空プレスを行う際の温度は、例えば130℃程度とする。真空プレスの際の圧力は例えば1MPa程度とする。真空プレスにより成形する時間は例えば60秒とする。こうして、半導体基板10上に樹脂フィルム113より成る樹脂層114が形成される(図16(c)参照)。
次に、熱処理を行うことにより、樹脂層114を硬化させる。熱処理条件は、例えば、190℃、1時間とする。本実施形態では、第1の層110のみならず、第2の層112にも熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層114の熱膨張率の差をより小さくすることが可能となる。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層114との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、より小さくすることが可能となる。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図5(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層114の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層114の表層部及び導体プラグ28の上部を切削する(図17(a)参照)。
樹脂層114の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層34の表層部を切削する際の条件と同様とする。即ち、バイト40のすくい角を、0度とする。チャックテーブルの回転数は、例えば1000rpm程度とする。樹脂層114の表層部を切削する際には、切削を例えば2回行うことにより、樹脂層114を所望の厚さまで切削する。第1回目の切削におけるバイト40の切り込み量は、例えば4μm程度とする。第2回目の切削におけるバイト40の切り込み量は、例えば3μm程度とする。バイト40の送りは、例えば20μm/秒とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第2の層112をバイト40により切削するものの、第2の層112における混合物の含有率が比較的低く設定されているため、バイト40が混合物によって著しく摩耗等してしまうことはない。
こうして、図17(b)に示すように、樹脂層114aの表面が平坦化される。なお、本明細書においては、切削後の樹脂層を樹脂層114aと表示し、切削前の樹脂層114と区別している。
次に、図6(b)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、配線44及び導体プラグ46を形成する(図18(a)参照)。
次に、図18(b)に示すように、半導体基板10上に樹脂フィルム119を載置する。樹脂フィルム119としては、例えば上述した樹脂フィルム113と同様の樹脂フィルムを用いる。即ち、樹脂フィルム119として、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層116と、無機材料より成る混合物が第1の含有率より小さい第2の含有率で含有された第2の層118とが積層されて成る2層構造の樹脂フィルム119を用いる。
次に、真空プレス装置を用いて、樹脂フィルム119を樹脂層114a上に貼り付ける。真空プレスを行う際の条件は、樹脂フィルム113を真空プレスする際の条件と同様に、真空プレスを行う際の条件は、例えば以下の通りとする。減圧時間は、例えば60秒程度とする。真空プレスを行う際の温度は、例えば130℃程度とする。真空プレスの際の圧力は例えば1MPa程度とする。真空プレスにより成形する時間は、例えば60秒とする。こうして、配線44及び導体プラグ46等が形成された樹脂層114a上に、樹脂フィルム119より成る樹脂層120が形成される(図19(a)参照)。
次に、熱処理を行うことにより、樹脂層120を硬化させる。熱処理条件は、樹脂層114を硬化させる際の上述した条件と同様に、例えば、190℃、1時間とする。第1の層116のみならず、第2の層118にも熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層120の熱膨張率の差をより小さくすることが可能となる。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層120との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、より小さくすることが可能となる。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図8(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層120の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層120の表層部及び導体プラグ46の上部を切削する(図19(b)参照)。樹脂層120の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層114の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第2の層118をバイト40により切削するものの、第2の層118における混合物の含有率が比較的低く設定されているため、バイト40が混合物により著しく摩耗等してしまうことはない。
こうして、図20(a)に示すように、樹脂層120aの表面が平坦化される。なお、本明細書においては、切削後の樹脂層を樹脂層120aと表示し、切削前の樹脂層120と区別している。
次に、図9(b)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、配線56及び導体プラグ58を形成する(図20(b)参照)
次に、図21(a)に示すように、半導体基板10上に樹脂フィルム125を載置する。樹脂フィルム125としては、例えば上述した樹脂フィルム113と同様の樹脂フィルムを用いる。即ち、樹脂フィルム125として、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層122と、無機材料より成る混合物が第1の含有率より小さい第2の含有率で含有された第2の層124とが積層されて成る2層構造の樹脂フィルム125を用いる。
次に、真空プレス装置を用いて、樹脂フィルム125を樹脂層120a上に貼り付ける。真空プレスを行う際の条件は、樹脂フィルム113を真空プレスする際の条件と同様に、例えば以下の通りとする。減圧時間は、例えば60秒程度とする。真空プレスを行う際の温度は、例えば130℃程度とする。真空プレスの際の圧力は例えば1MPa程度とする。真空プレスにより成形する時間は例えば60秒とする。こうして、配線56及び導体プラグ58等が形成された樹脂層120a上に、樹脂フィルム125より成る樹脂層126が形成される(図21(b)参照)。
次に、熱処理を行うことにより、樹脂層126を硬化させる。熱処理条件は、樹脂層114を硬化させる際の上述した条件と同様に、例えば、190℃、1時間とする。本実施形態では、第1の層122のみならず、第2の層124にも熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層126の熱膨張率の差を、より小さくすることが可能となる。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層126との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、より小さくすることが可能となる。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図8(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層126の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層126の表層部及び導体プラグ58の上部を切削する(図22(a)参照)。
樹脂層126の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層114の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第2の層124をバイト40により切削するものの、第2の層124における混合物の含有率が比較的低く設定されているため、バイト40が混合物により著しく摩耗等してしまうことはない。
こうして、図22(b)に示すように、樹脂層126aの表面が平坦化される。なお、本明細書中においては、切削後の樹脂層を樹脂層126aと表示し、切削前の樹脂層126と区別している。
次に、図12(a)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、配線68及び導体プラグ70を形成する(図23(a)参照)。
次に、図23(b)に示すように、半導体基板10上に樹脂フィルム131を載置する。樹脂フィルム131としては、例えば上述した樹脂フィルム113と同様の樹脂フィルムを用いる。即ち、樹脂フィルム131として、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層128と、無機材料より成る混合物が第1の含有率より小さい第2の含有率で含有された第2の層130とが積層されて成る2層構造の樹脂フィルム131を用いる。
次に、真空プレス装置を用いて、樹脂フィルム131を樹脂層126a上に貼り付ける(図24(a)参照)。真空プレスを行う際の条件は、樹脂フィルム113を真空プレスする際の条件と同様に、例えば以下の通りとする。減圧時間は、例えば60秒程度とする。真空プレスを行う際の温度は、例えば130℃程度とする。真空プレスの際の圧力は例えば1MPa程度とする。真空プレスを行う際の時間は例えば60秒とする。こうして、配線68及び導体プラグ70等が形成された樹脂層126a上に、樹脂フィルム131より成る樹脂層132が形成される(図24(a)参照)。
次に、熱処理を行うことにより、樹脂層132を硬化させる。熱処理条件は、樹脂層114を硬化させる際の上述した条件と同様に、例えば、190℃、1時間とする。本実施形態では、第1の層128のみならず、第2の層130にも熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層132の熱膨張率の差をより小さくすることが可能となる。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層132との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、より小さくすることが可能となる。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図8(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層132の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層130の表層部及び導体プラグ70の上部を切削する(図24(b)参照)。樹脂層132の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層114の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第2の層130をバイト40により切削するものの、第2の層130における混合物の含有率が比較的低く設定されているため、バイト40が混合物により著しく摩耗等してしまうことはない。
こうして、図25(a)に示すように、樹脂層132aの表面が平坦化される。なお、本明細書においては、切削後の樹脂層を樹脂層132aと表示し、切削前の樹脂層132と区別している。
次に、図14(b)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、電極80を形成する。
こうして、本実施形態による樹脂層の形成方法を用いて、本実施形態による半導体装置が製造される。
本実施形態では、第1の層110、116、122、128のみならず、第2の層112、118、124、130にも無機材料より成る混合物が含有されているため、樹脂層114a、120a、126a、132aと半導体基板10との熱膨張率の差をより小さくすることができる。このため、本実施形態によれば、樹脂層114a、120a、126a、132aと半導体基板10との熱膨張率の差に起因して半導体基板10に加わるストレスを低減することができる。
しかも、本実施形態によれば、第2の層112、118、124、130に含有されている混合物の含有率が比較的低く設定されているため、バイト40が混合物により著しく摩耗等してしまうのを抑制することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による樹脂層の形成方法並びにその樹脂層の形成方法を用いた半導体装置及びその製造方法を図26乃至図35を用いて説明する。図26は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。図1乃至図25に示す第1又は第2実施形態による樹脂層の形成方法並びに半導体装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
(半導体装置)
本実施形態による半導体装置は、樹脂層86a、92a、98a、104aを構成する第1の層82、88、94、100及び第2の層84、90、96、102が、塗布法(スピンコート法)により形成されていることに主な特徴がある。
図26に示すように、層間絶縁膜12上には、配線22及び導体プラグ28を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)86aが形成されている。樹脂層86aは、熱膨張率を低減するための混合物(フィラー)が含有された第1の層82と、第1の層82上に形成され、かかる混合物が含有されていない第2の層84とにより構成されている。換言すれば、熱膨張率を低減するための混合物が半導体基板10側に偏在する樹脂層86aが形成されている。第1の層82と第2の層84は、いずれもスピンコート法により形成されている。第1の層82の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層82に含有させる混合物としては、例えばシリカ等の無機材料が用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層82における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。第2の層84の材料としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。
樹脂層86aの表面及び導体プラグ28の表面は、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図28参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ28の表面及び樹脂層86aの表面は平坦になっている。
樹脂層86a上には、配線44及び導体プラグ46を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)92aが形成されている。樹脂層92aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層88と、第1の層88上に形成され、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層90とにより構成されている。第1の層88と第2の層90は、いずれもスピンコート法により形成されている。第1の層88の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層88に含有させる混合物としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層88における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。第2の層90の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。
樹脂層92aの表面と導体プラグ46の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図30(a)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ46の表面及び樹脂層92aの表面は平坦になっている。
樹脂層92a上には、配線56及び導体プラグ58を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)98aが形成されている。樹脂層98aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層94と、第1の層94上に形成され、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層96とにより構成されている。第1の層94と第2の層96は、いずれもスピンコート法により形成されている。第1の層94の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層94に含有させる混合物としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層94における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。第2の層96の材料としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。
樹脂層98aの表面と導体プラグ58の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図32(a)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ58の表面及び樹脂層98aの表面は平坦になっている。
樹脂層98a上には、配線68及び導体プラグ70を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)104aが形成されている。樹脂層104aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層100と、第1の層100上に形成され、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層102とにより構成されている。第1の層100と第2の層102は、いずれもスピンコート法により形成されている。第1の層100の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層100に含有させる混合物としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層100における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。第2の層102の材料としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。
樹脂層104aの表面と導体プラグ70の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図34(a)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ70の表面及び樹脂層104aの表面は平坦になっている。
平坦化された樹脂層104a上には、複数の電極80が形成されている。電極80の下には、電極80を電気めっき法により形成する際に用いられたシード層78が存在している。
こうして、複数の樹脂層86a、92a、98a、104a及び複数の配線層22、44、56、68から成る多層配線構造を有する半導体装置が構成されている。
本実施形態のように、樹脂層86a、92a、98a、104aを構成する第1の層82、88、94、100及び第2の層84、90、96、102が塗布法により形成されていてもよい。
(樹脂層の形成方法、半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による樹脂層の形成方法及びその樹脂層の形成方法を用いた半導体装置の製造方法を図27乃至図35を用いて説明する。図27乃至図35は、本実施形態による樹脂層の形成方法及び半導体装置の製造方法を示す工程図である。なお、図27(a)乃至図27(b)、図28(b)乃至図35は断面図であり、図28(a)は斜視図である。
まず、半導体基板10を用意する工程から導体プラグ28を形成する工程までは、図2(a)乃至図4(a)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図27(a)参照)。
次に、図27(a)に示すように、全面に、例えばスピンコート法により、第1の層82を形成する。第1の層82の材料としては、例えば熱膨張率を低減するための混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。エポキシ樹脂溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカ等の無機材料を用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第1の層82を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第1の層82の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば60wt%程度の含有率で混合物が含有された第1の層82が形成される。第1の層82に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と第1の層82の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と第1の層82との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第2の層84を形成する。第2の層84の材料としては、例えばエポキシ樹脂溶液を用いる。
次に、第2の層84を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第2の層84の厚さは、例えば10μm程度となる。第1の層82に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と第1の層82の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層86との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
こうして、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層82と、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層84とが積層されて成る樹脂層86が形成される(図27(b)参照)。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図28(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層86の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層86の表層部及び導体プラグ28の上部を切削する(図28(b)参照)。
樹脂層86の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層34の表層部を切削する際の条件と同様とする。即ち、バイト40のすくい角を、0度とする。チャックテーブルの回転数は、例えば1000rpm程度とする。樹脂層86の表層部を切削する際には、切削を例えば2回行うことにより樹脂層86の表層部を切削する。第1回目の切削におけるバイト40の切り込み量は、例えば4μm程度とする。第2回目の切削におけるバイト40の切り込み量は、例えば3μm程度とする。バイト40の送りは、例えば20μm/秒とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第1の層82を切削せずに、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層84を切削することにより、樹脂層86の表層部を平坦化するため、無機材料より成る混合物によりバイト40が著しく摩耗等してしまうのを防止することができる。
こうして、図29(a)に示すように、樹脂層86aの表面が平坦化される。なお、本明細書においては、切削後の樹脂層を樹脂層86aと表示し、切削前の樹脂層86と区別している。
次に、図6(b)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、配線44及び導体プラグ46を形成する(図29(b)参照)。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第1の層88を形成する。第1の層88の材料としては、例えば無機材料より成る混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカを用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第1の層88を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第1の層88の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば60wt%程度の含有率で混合物が含有された第1の層88が形成される。第1の層88に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と第1の層88の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と第1の層88との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第2の層90を形成する。第2の層90の材料としては、例えばエポキシ樹脂溶液を用いる。
次に、第2の層90を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第2の層90の厚さは、例えば10μm程度となる。第1の層88に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層92の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層92との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
こうして、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層88と、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層90とが積層されて成る樹脂層92が形成される(図29(c)参照)。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図28(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層92の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層92の表層部及び導体プラグ46の上部を切削する(図30(a)参照)。
樹脂層92の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層86の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第1の層88を切削せずに、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層90を切削することにより、樹脂層92の表層部を平坦化するため、無機材料より成る混合物によりバイト40が著しく摩耗等してしまうのを防止することができる。
こうして、図30(b)に示すように、樹脂層92aの表面が平坦化される。なお、本明細書においては、切削後の樹脂層を樹脂層92aと表示し、切削前の樹脂層92と区別している。
次に、図9(b)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、配線56及び導体プラグ58を形成する(図31(a)参照)。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第1の層94を形成する。第1の層94の材料としては、例えば無機材料より成る混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。エポキシ樹脂溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカを用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第1の層94を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第1の層94の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば60wt%程度の含有率で混合物が含有された第1の層94が形成される。第1の層94に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と第1の層94の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と第1の層94との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第2の層96を形成する。第2の層96の材料としては、例えばエポキシ樹脂溶液を用いる。
次に、第2の層96を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第2の層96の厚さは、例えば10μm程度となる。樹脂層98のうちの第1の層96に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層98の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層98との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
こうして、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層94と、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層96とが積層されて成る樹脂層98が形成される(図31(b)参照)。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図28(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層98の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層98の表層部及び導体プラグ58の上部を切削する(図32(a)参照)。
樹脂層98の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層86の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第1の層94を切削せずに、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層96を切削することにより、樹脂層98の表層部を平坦化するため、無機材料より成る混合物によりバイト40が著しく摩耗等してしまうのを防止することができる。
こうして、図32(b)に示すように、樹脂層98aの表面が平坦化される。なお、本明細書中においては、切削後の樹脂層を樹脂層98aと表示し、切削前の樹脂層98と区別している。
次に、図12(a)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、配線68及び導体プラグ70を形成する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第1の層100を形成する。第1の層100の材料としては、例えば無機材料より成る混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。エポキシ樹脂溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカを用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第1の層100を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第1の層100の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば60wt%程度の含有率で混合物が含有された第1の層100が形成される。第1の層100に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と第1の層100の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と第1の層100との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第2の層102を形成する。第2の層102の材料としては、例えばエポキシ樹脂溶液を用いる。
次に、第2の層102を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第2の層102の厚さは、例えば10μm程度となる。樹脂層104のうちの第1の層100に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層104の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層104との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
こうして、無機材料より成る混合物(フィラー)が含有された第1の層100と、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層102とが積層されて成る樹脂層104が形成される(図33(b)参照)。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図28(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層104の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層104の表層部及び導体プラグ70の上部を切削する(図34(a)参照)。
樹脂層104の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層86の表層部を切削する際の条件と同様とする。
無機材料より成る混合物が含有された第1の層100を切削せずに、無機材料より成る混合物が含有されていない第2の層102を切削することにより、樹脂層104の表層部を平坦化するため、無機材料より成る混合物によりバイト40が著しく摩耗等してしまうのを防止することができる。
こうして、図34(b)に示すように、樹脂層104aの表面が平坦化される。なお、本明細書中においては、切削後の樹脂層を樹脂層104aと表示し、切削前の樹脂層104と区別している。
次に、図14(b)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして電極80を形成する(図35参照)。
こうして、本実施形態による樹脂層の形成方法を用いて半導体装置が製造される。
本実施形態のように、樹脂層86a、92a、98a、104aを構成する第1の層82、88、94、100及び第2の層84、90、96、102を、塗布法により形成してもよい。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による樹脂層の形成方法並びにその樹脂層の形成方法を用いた半導体装置及びその製造方法を図36乃至図44を用いて説明する。図36は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。図1乃至図35に示す第1乃至第3実施形態による樹脂層の形成方法並びに半導体装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
(半導体装置)
本実施形態による半導体装置は、樹脂層138a、144a、150a、156aのうちの第1の層134、140、146、152に無機材料より成る混合物が第1の含有率で含有されており、樹脂層138a、144a、150a、156aのうちの第2の層136、142、148、154に第1の含有率より低い第2の含有率で無機材料より成る混合物が含有されており、第1の層134、140、146、152及び第2の層136、142、148、154が塗布法により形成されていることに主な特徴がある。
図36に示すように、層間絶縁膜12上には、配線22及び導体プラグ28を埋め込むように、樹脂層(層間絶縁膜)138aが形成されている。樹脂層138aは、熱膨張率を低減するための混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層134と、第1の層134上に形成され、かかる混合物が第1の含有率より低い第2の含有率で含有された第2の層136とにより構成されている。換言すれば、熱膨張率を低減するための混合物が半導体基板10側に偏在する樹脂層138aが形成されている。第1の層134と第2の層136は、いずれもスピンコート法により形成されている。
第1の層134の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層134に含有させる混合物としては、例えばシリカ等の無機材料が用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層134における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。
第2の層136の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層136に含有させる混合物としては、例えばシリカ等の無機材料が用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第2の層136における混合物の含有率は、例えば15wt%程度とする。
樹脂層138aの表面及び導体プラグ28の表面は、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図36参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ28の表面及び樹脂層138aの表面は平坦になっている。
樹脂層138a上には、配線44及び導体プラグ46を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)144aが形成されている。樹脂層144aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層140と、第1の層140上に形成され、無機材料より成る混合物が第1の含有率より低い第2の含有率で含有された第2の層142とにより構成されている。第1の層140と第2の層142は、いずれもスピンコート法により形成されている。
第1の層140の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層140に含有させる混合物としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層140における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。
第2の層142の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層142に含有させる混合物としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第2の層142における混合物の含有率は、例えば15wt%程度とする。
樹脂層144aの表面と導体プラグ46の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図39(a)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ46の表面及び樹脂層144aの表面は平坦になっている。
樹脂層144a上には、配線56及び導体プラグ58を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)150aが形成されている。樹脂層150aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層146と、第1の層146上に形成され、無機材料より成る混合物が第1の含有率より低い第2の含有率で含有された第2の層148とにより構成されている。第1の層146と第2の層148は、いずれもスピンコート法により形成されている。
第1の層146の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層146に含有させる混合物としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層146における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。
第2の層148の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層148に含有させる混合物としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第2の層148における混合物の含有率は、例えば15wt%程度とする。
樹脂層150aの表面と導体プラグ58の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図41(a)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ58の表面及び樹脂層150aの表面は平坦になっている。
樹脂層150a上には、配線68及び導体プラグ70を埋め込むように樹脂層(層間絶縁膜)156aが形成されている。樹脂層156aは、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層152と、第1の層152上に形成され、無機材料より成る混合物が第1の含有率より低い第2の含有率で含有された第2の層154とにより構成されている。第1の層152と第2の層154は、いずれもスピンコート法により形成されている。
第1の層152の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第1の層152に含有させる混合物としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層152における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。
第2の層154の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。第2の層154に含有させる混合物としては、例えばシリカが用いられている。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第2の層154における混合物の含有率は、例えば15wt%程度とする。
樹脂層156aの表面と導体プラグ70の表面とは、後述するように、ダイヤモンド等より成るバイト40(図43(a)参照)を用いて切削されている。ダイヤモンド等より成るバイト40により切削されているため、導体プラグ70の表面及び樹脂層156aの表面は平坦になっている。
平坦化された樹脂層156a上には、複数の電極80が形成されている。電極80の下には、配線80を電気めっき法により形成する際に用いられたシード層78が存在している。配線80は、導体プラグ70に電気的に接続されている。
こうして、複数の樹脂層138a、144a、150a、156a及び複数の配線層22、44、56、68から成る多層配線構造を有する半導体装置が構成されている。
本実施形態のように、樹脂層138a、144a、150a、156aを構成する第1の層134、140、146、152及び第2の層136、142、148、154を、塗布法により形成してもよい。
(樹脂層の形成方法、半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による樹脂層の形成方法及びその樹脂層の形成方法を用いた半導体装置の製造方法を図37乃至図44を用いて説明する。図37乃至図44は、本実施形態による樹脂層の形成方法及び半導体装置の製造方法を示す工程断面である。
まず、半導体基板10を用意する工程から導体プラグ28を形成する工程までは、図2(a)乃至図4(a)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図27(a)参照)。
次に、図37(a)に示すように、全面に、例えばスピンコート法により、第1の層134を形成する。第1の層134の材料としては、例えば熱膨張率を低減するための混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。熱膨張率を低減するための混合物としては、例えばシリカ等の無機材料を用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第1の層134を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第1の層134の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば60wt%の含有率で混合物が含有された第1の層134が形成される。第1の層134に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と第1の層134の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と第1の層134との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第2の層136を形成する。第2の層136の材料としては、例えば熱膨張率の比較的低い混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。エポキシ樹脂溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカ等の無機材料を用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第2の層136を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第2の層136の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば15wt%の含有率で混合物が含有された第2の層136が形成される。本実施形態では、第1の層134のみならず、第2の層136にも熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層138との熱膨張率の差をより小さくすることが可能である。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層138との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、より小さくすることが可能となる。
こうして、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層134と、無機材料より成る混合物が第1の含有率より小さい第2の含有率で含有された第2の層136とが積層されて成る樹脂層138が形成される(図37(c)参照)。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図28(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層138の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層138の表層部及び導体プラグ28の上部を切削する(図37(c)参照)。
樹脂層138の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層86の表層部を切削する際の条件と同様とする。即ち、バイト40のすくい角を、0度とする。チャックテーブルの回転数は、例えば1000rpm程度とする。樹脂層138の表層部を切削する際には、切削を例えば2回行うことにより樹脂層138の表層部を切削する。第1回目の切削におけるバイト40の切り込み量は、例えば4μm程度とする。第2回目の切削におけるバイト40の切り込み量は、例えば3μm程度とする。バイト40の送りは、例えば20μm/秒とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第2の層136をバイト40により切削するものの、第2の層136における混合物の含有率が比較的低く設定されているため、バイト40が混合物により著しく摩耗等してしまうことはない。
こうして、図38(a)に示すように、樹脂層138aの表面が平坦化される。なお、本明細書においては、切削後の樹脂層を樹脂層138aと表示し、切削前の樹脂層138と区別している。
次に、図6(b)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、配線44及び導体プラグ46を形成する(図38(b)参照)。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第1の層140を形成する。第1の層140の材料としては、例えば無機材料より成る混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。エポキシ樹脂溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカを用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第1の層140を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第1の層140の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば60wt%の含有率で混合物が含有された第1の層140が形成される。第1の層140に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と第1の層140の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と第1の層140との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第2の層142を形成する。第2の層142の材料としては、例えば無機材料より成る混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。エポキシ樹脂溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカを用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第2の層142を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第2の層142の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば15wt%の含有率で混合物が含有された第2の層142が形成される。第1の層140のみならず、第2の層142にも熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層144との熱膨張率の差は、より小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層144との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、より小さくすることが可能となる。
こうして、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層140と、無機材料より成る混合物が第1の含有率より小さい第2の含有率で含有された第2の層142とが積層されて成る樹脂層144が形成される(図38(c)参照)。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図28(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層144の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層144の表層部及び導体プラグ46の上部を切削する(図30(a)参照)。
樹脂層144の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層138の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第2の層142をバイト40により切削するものの、第2の層142における混合物の含有率が比較的低く設定されているため、バイト40が混合物により著しく摩耗等してしまうことはない。
こうして、図39(b)に示すように、樹脂層144aの表面が平坦化される。なお、本明細書においては、切削後の樹脂層を樹脂層144aと表示し、切削前の樹脂層144と区別している。
次に、図9(b)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、配線56及び導体プラグ58を形成する(図40(a)参照)。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第1の層146を形成する。第1の層146の材料としては、例えば無機材料より成る混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。エポキシ樹脂溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカを用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第1の層146を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第1の層146の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば60wt%の含有率で混合物が含有された第1の層146が形成される。第1の層146に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と第1の層146の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と第1の層146との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第2の層148を形成する。第2の層148の材料としては、例えば無機材料より成る混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。エポキシ樹脂溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカを用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第2の層148を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第2の層148の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば15wt%の含有率で混合物が含有された第2の層148が形成される。第1の層146のみならず、第2の層148にも熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層150との熱膨張率の差は、より小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層150との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
こうして、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層146と、無機材料より成る混合物が第1の含有率より小さい第2の含有率で含有された第2の層148とが積層されて成る樹脂層150が形成される(図40(b)参照)。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図28(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層150の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層150の表層部及び導体プラグ58の上部を切削する(図41(a)参照)。
樹脂層150の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層138の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第2の層148をバイト40により切削するものの、第2の層148における混合物の含有率が比較的低く設定されているため、バイト40が混合物により著しく摩耗等してしまうことはない。
こうして、図41(b)に示すように、樹脂層150aの表面が平坦化される。なお、本明細書中においては、切削後の樹脂層を樹脂層150aと表示し、切削前の樹脂層150と区別している。
次に、図12(a)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、配線68及び導体プラグ70を形成する(図42(a)参照)。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第1の層152を形成する。第1の層152の材料としては、例えば無機材料より成る混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。エポキシ樹脂溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカを用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。第1の層152における混合物の含有率は、例えば60wt%程度とする。
次に、第1の層152を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第1の層152の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば60wt%の含有率で混合物が含有された第1の層152が形成される。第1の層152に熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と第1の層152の熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と第1の層152との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、第2の層154を形成する。第2の層154の材料としては、例えば無機材料より成る混合物(フィラー)が含有されたエポキシ樹脂溶液を用いる。エポキシ樹脂溶液中に含有させる混合物としては、例えばシリカを用いる。混合物の平均粒径は、例えば1μm程度とする。
次に、第2の層154を半硬化させるための熱処理を行う。熱処理条件は、例えば、80〜150℃、30分〜1時間とする。熱処理後における第2の層154の厚さは、例えば10μm程度となる。こうして、例えば15wt%の含有率で混合物が含有された第2の層154が形成される。第1の層152のみならず、第2の層154にも熱膨張率の比較的低い混合物が含有されているため、半導体基板10と樹脂層156との熱膨張率の差が比較的小さくなっている。このため、本実施形態によれば、半導体基板10と樹脂層156との熱膨張率の差に起因して半導体基板10等に加わるストレスを、比較的小さくすることが可能となる。
こうして、無機材料より成る混合物(フィラー)が第1の含有率で含有された第1の層152と、無機材料より成る混合物が第1の含有率より小さい第2の含有率で含有された第2の層154とが積層されて成る樹脂層156が形成される(図42(b)参照)。
次に、半導体基板10を、超精密旋盤36のチャックテーブル38(図28(a)参照)上に、真空吸着により固定する。
次に、半導体基板10を回転させながら、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて、樹脂層156の厚さが例えば13μm程度になるまで、樹脂層156の表層部及び導体プラグ70の上部を切削する(図43(a)参照)。
樹脂層156の表層部を切削する際の条件は、例えば、樹脂層138の表層部を切削する際の条件と同様とする。
本実施形態では、無機材料より成る混合物が含有された第2の層154をバイト40により切削するものの、第2の層154における混合物の含有率が比較的低く設定されているため、バイト40が混合物により著しく摩耗等してしまうことはない。
こうして、図43(b)に示すように、樹脂層156aの表面が平坦化される。なお、本明細書中においては、切削後の樹脂層を樹脂層156aと表示し、切削前の樹脂層156と区別している。
次に、図14(b)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、電極80を形成する(図44参照)。
こうして、本実施形態による樹脂層の形成方法を用いて、半導体装置が製造される。
本実施形態のように、樹脂層138a、144a、150a、156aを構成する第1の層134、140、146、152及び第2の層136、142、148、154を、塗布法により形成してもよい。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、半導体基板10を回転させながらバイト40を一方向に直進させることにより切削処理を行う場合を例に説明したが、半導体基板10を一方向に直進させながら、バイト40を取り付けたフォイール(図示せず)を回転させることにより切削処理を行うことも可能である(図示せず)。
また、上記実施形態では、第1の層30、48、60、72、82、88、94、100、110、116、122、128、134、140、146、152の基材として、エポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、かかる第1の層の基材はエポキシ樹脂に限定されるものではない。例えば、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、又は、フェノール樹脂等を第1の層の基材として用いてもよい。なお、ポリイミド樹脂の熱膨張率は45〜55ppm/℃程度であり、ポリフェニレンエーテル樹脂の熱膨張率は38〜77ppm/℃程度であり、フェノール樹脂の熱膨張率は68ppm/℃程度である。
また、上記実施形態では、第2の層32、50、62、74、84、90、96、102の材料として、エポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、かかる第2の層の材料はエポキシ樹脂に限定されるものではない。例えば、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、又は、フェノール樹脂等を第2の層の材料として用いてもよい。
また、上記実施形態では、第2の層112、118、124、130、136、142、148、154の基材として、エポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、かかる第2の層の基材はエポキシ樹脂に限定されるものではない。例えば、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、又は、フェノール樹脂等を第2の層の基材として用いてもよい。
また、上記実施形態では、混合物(フィラー)の材料として、シリカを用いる場合を例に説明したが、混合物はシリカに限定されるものではない。例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、タルク、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、又は、ケイ酸カルシウム等の他の無機材料を、混合物として用いてもよい。
また、上記実施形態では、ダイヤモンドより成るバイト40を用いて樹脂層を切削する場合を例に説明したが、バイト40の材料はダイヤモンドに限定されるものではない。例えば、タングステン・カーバイトやキュービック・ボロン・ナイトライド(Cubic-Boron Nitride)等より成るバイトを用いて樹脂層を切削してもよい。
また、上記実施形態では、多層配線構造の層間絶縁膜として用いられる樹脂層を平坦する場合を例に説明したが、本発明の原理は、多層配線構造の層間絶縁膜として用いられる樹脂層に限定されるものではなく、他のあらゆる樹脂層を平坦化する場合に適用することが可能である。
また、上記実施形態では、半導体装置を製造する場合を例に説明したが、本発明の原理は、半導体装置を製造する場合に限定されるものではなく、他のあらゆる電子装置を製造する際に適用することが可能である。
以上詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下のようになる。
(付記1)
熱膨張率を低減するための混合物が含有された樹脂層を基板上に形成する工程であって、前記混合物が前記基板側に偏在する樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の表層部をバイトにより切削することにより、前記樹脂層の表面を平坦化する工程と
を有することを特徴とする樹脂層の形成方法。
(付記2)
付記1記載の樹脂層の形成方法において、
前記樹脂層の前記表層部には前記混合物が存在しない
ことを特徴とする樹脂層の形成方法。
(付記3)
付記1記載の樹脂層の形成方法において、
前記樹脂層の前記表層部における前記混合物の含有率は、前記樹脂層のうちの前記基板側における前記混合物の含有率より小さい
ことを特徴とする樹脂層の形成方法。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の樹脂層の形成方法において、
前記樹脂層を形成する工程では、前記混合物が前記基板側に偏在する樹脂フィルムを前記基板上に貼り付けることにより、前記樹脂シートより成る前記樹脂層を形成する
ことを特徴とする樹脂層の形成方法。
(付記5)
付記1乃至3のいずれかに記載の樹脂層の形成方法において、
前記樹脂層を形成する工程では、塗布法により前記樹脂層を形成する
ことを特徴とする樹脂層の形成方法。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の樹脂層の形成方法において、
前記混合物は、無機材料より成る
ことを特徴とする樹脂層の形成方法。
(付記7)
付記6記載の樹脂層の形成方法において、
前記混合物は、酸化シリコン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、タルク、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、又は、ケイ酸カルシウムより成る
ことを特徴とする樹脂層の形成方法。
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の樹脂層の形成方法において、
前記樹脂層の基材は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、又は、フェノール樹脂より成る
ことを特徴とする樹脂層の形成方法。
(付記9)
基板上に形成され、熱膨張率を低減するための混合物が含有された樹脂層であって、前記混合物が前記基板側に偏在する樹脂層を有し、
前記樹脂層の表面が平坦化されている
ことを特徴とする半導体装置。
(付記10)
付記9記載の半導体装置において、
前記樹脂層は、前記基板上に形成された電極を埋め込むように形成されており、
前記電極の表面及び前記樹脂層の表面が平坦化されている
ことを特徴とする半導体装置。
(付記11)
付記9又は10記載の半導体装置において、
前記樹脂層の表層部には、前記混合物が存在しない
ことを特徴とする半導体装置。
(付記12)
付記9又は10記載の半導体装置において、
前記樹脂層の表層部における前記混合物の含有率は、前記樹脂層のうちの前記基板側における前記混合物の含有率より小さい
ことを特徴とする半導体装置。
(付記13)
熱膨張率を低減するための混合物が含有された樹脂層を基板上に形成する工程であって、前記混合物が前記基板側に偏在する樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の表層部をバイトにより切削することにより、前記樹脂層の表面を平坦化する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記14)
付記13記載の半導体装置の製造方法において、
前記樹脂層の前記表層部には、前記混合物が存在しない
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記15)
付記13記載の半導体装置の製造方法において、
前記樹脂層の前記表層部における前記混合物の含有率は、前記樹脂層のうちの前記基板側における前記混合物の含有率より小さい
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記16)
付記13乃至15のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記樹脂層を形成する工程では、前記混合物が前記基板側に偏在する樹脂フィルムを前記基板上に貼り付けることにより、前記樹脂シートより成る前記樹脂層を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記17)
付記13乃至15のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記樹脂層を形成する工程では、塗布法により前記樹脂層を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記18)
付記13乃至17のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記混合物は、無機材料より成る
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記19)
付記13乃至18のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記樹脂層を形成する工程の前に、前記基板上に電極を形成する工程を更に有し、
前記樹脂層を形成する工程では、前記電極を埋め込むように前記樹脂層を形成し、
前記樹脂層の表層部を切削する工程では、前記電極の上部をも前記バイトにより切削する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記20)
付記19記載の半導体装置の製造方法において、
前記樹脂層の前記表層部を切削する工程の後に、前記樹脂層上にシード層を形成する工程と、前記シード層上に電気めっき法により配線を形成する工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。