JP4134866B2 - 封止膜形成方法 - Google Patents

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Description

この発明は封止膜形成方法に関する。
半導体素子には、一般的にCSP(chip size package)と呼ばれるもので、半導体基板上に再配線を設け、再配線の接続パッド部上面に柱状電極を設け、柱状電極の周囲を樹脂からなる封止膜で覆ったものがある。このような半導体素子において封止膜を形成する方法としては、コンプレッションモールド法、トランスファモールド法と呼ばれる封止膜形成方法が知られている。
コンプレッションモールド法と呼ばれる封止膜形成方法では、下金型上に柱状電極を有する半導体ウエハを配置し、柱状電極を有する半導体ウエハの上面中央部に樹脂ブロックを配置し、上金型を下降させ、樹脂ブロックを加熱加圧して流動させることにより、柱状電極を含む半導体ウエハ上に封止膜を形成している(例えば、特許文献1参照)。
トランスファモールド法と呼ばれる封止膜形成方法では、金型内に柱状電極を有する半導体ウエハを配置し、金型内に液状樹脂を注入して、柱状電極を含む半導体ウエハ上に封止膜を形成している(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−79362号公報 特開2001−185660号公報
しかしながら、上記従来の封止膜形成方法では、いずれの方法であっても、半導体ウエハが大面積化した場合には、封止膜形成用樹脂を半導体ウエハ上の隅々まで十分に行き渡らせることができないことがあり、また、柱状電極の本数が増加して柱状電極の配置密度が増大した場合には、封止膜形成用樹脂を柱状電極の封止膜形成用樹脂の流れの下流側に十分に回り込ませることができないことがあり、封止不良が発生しやすいという問題がある。また、いずれの封止膜形成方法であっても、高価な金型を必要とするため、設備費が嵩むという問題がある。
そこで、この発明は、半導体ウエハが大面積化したり、柱状電極の本数が増加して柱状電極の配置密度が増大したりしても、封止不良が発生しないようにすることができ、また、高価な金型を用いないで封止膜を形成することができる封止膜形成方法およびその装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、柱状電極を有する半導体ウエハ上ほぼ全面に、シート状の封止膜形成用樹脂膜を前記半導体ウエハ上に対向させて配置する工程と前記封止膜形成用樹脂膜を前記半導体ウエハ上に加熱加圧処理して、前記柱状電極を含む前記半導体ウエハ上ほぼ全面に転写する工程と、前記転写された封止膜形成用樹脂膜を硬化させて前記半導体ウエハ上に封止膜を形成する工程と、を含み、前記封止膜形成用樹脂膜は支持テープの一面に設けられて、前記半導体ウエハ上に配置され、且つ、前記封止膜形成用樹脂膜の前記半導体ウエハのダイシングラインに対応する部分は予め除去されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、柱状電極を有する半導体ウエハ上ほぼ全面に、シート状の封止膜形成用樹脂膜を前記半導体ウエハ上に対向させて配置する工程と、前記封止膜形成用樹脂膜を前記半導体ウエハ上に加熱加圧処理して、前記柱状電極を含む前記半導体ウエハ上ほぼ全面に転写する工程と、前記転写された封止膜形成用樹脂膜を硬化させて前記半導体ウエハ上に封止膜を形成する工程と、を含み、前記封止膜形成用樹脂膜は支持テープの一面に設けられて、前記半導体ウエハ上に配置され、且つ、前記封止膜形成用樹脂膜の前記半導体ウエハのダイシングラインに対応する部分は予め硬化されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記加熱加圧処理は真空中で行なうことを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記半導体ウエハはステージ上に吸着されて配置されていることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記加熱加圧処理は加熱加圧ローラによって行い、前記封止膜形成用樹脂膜を加熱するとともに、前記半導体ウエハ上に向けた押し圧力を加えることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記封止膜形成用樹脂膜は1層であることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記封止膜形成用樹脂膜は複数層であり、最層の封止膜形成用樹脂層は最層の封止膜形成用樹脂層と異なるものからなることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記最上層の封止膜形成用樹脂層は前記最下層の封止膜形成用樹脂層よりも流動性が高いものからなることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記最上層の封止膜形成用樹脂層は前記最下層の封止膜形成用樹脂層よりも弾性率が低いものからなることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記加熱加圧処理は前記支持テープを介して行われ、前記封止膜を形成する工程は、前記封止膜形成用樹脂膜の硬化後に前記支持テープを剥離する工程を含むことを特徴とするものである。
この発明によれば、柱状電極を有する半導体ウエハ上ほぼ全面にシート状の封止膜形成用樹脂膜を配置し、該封止膜形成用樹脂膜を加熱加圧して、半導体ウエハ上に封止膜を形成するようにしているので、加熱されて流動可能となった封止膜形成用樹脂膜は柱状電極の相対的な食い込みを許容する程度に流動すればよく、したがって半導体ウエハが大面積化したり、柱状電極の本数が増加して柱状電極の配置密度が増大したりしても、封止不良が発生しないようにすることができ、また、例えば加熱加圧ローラによる加熱加圧処理によって、柱状電極を含む半導体ウエハ上に封止膜を形成することができるので、高価な金型を用いないで封止膜を形成することができる。
図1はこの発明の一実施形態としての封止膜形成装置の概略構成図を示す。この封止膜形成装置はステージ1を備えている。ステージ1は、上下方向および紙面に対して垂直な方向に移動可能となっている。ステージ1の上面にはほぼ円形状の凹部2が設けられている。ステージ1の凹部2内には半導体ウエハ3が位置決めされて載置されるようになっている。また、ステージ1の凹部2内には、例えば、真空吸着機構(図示せず)を備え、凹部2に載置された半導体ウエハ3の底面近傍を吸引して吸着、固定するようになっている。
ステージ1の上方には加熱加圧ローラ4が上下方向および左右方向に移動可能に配置されている。ステージ1の左側には供給ローラ5が配置され、右側には巻取ローラ6が配置されている。供給ローラ5には支持テープ7が巻き付けられている。供給ローラ5に巻き付けられた支持テープ7の外面にはシート状に形成された封止膜形成用樹脂膜8が支持テープ7の長手方向に、例えば一定の間隔をおいて、形成されている。この場合、各封止膜形成用樹脂膜8は、例えば半導体ウエハ3にほぼ対応する大きさとなっている。そして、供給ローラ5から繰り出された支持テープ7は、供給側ガイドローラ9、ステージ1と加熱加圧ローラ4との間および巻取側ガイドローラ10を順次通過した後に、巻取ローラ6に巻き取られるようになっている。
ここで、この実施形態での半導体ウエハ3から製造されるCSPと呼ばれる半導体素子の一例について、図2を参照して説明する。この半導体素子はシリコン基板11を備えている。シリコン基板11の上面中央部には集積回路(図示せず)が設けられ、上面周辺部にはアルミニウム系金属等からなる複数の接続パッド12が集積回路に接続されて設けられている。接続パッド12の中央部を除くシリコン基板11の上面には酸化シリコン等からなる絶縁膜13が設けられ、接続パッド12の中央部は絶縁膜13に設けられた開口部14を介して露出されている。
絶縁膜13の上面にはエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等からなる保護膜15が設けられている。この場合、絶縁膜13の開口部14に対応する部分における保護膜15には開口部16が設けられている。両開口部14、16を介して露出された接続パッド12の上面から保護膜15の上面にかけて、銅等からなる下地金属層17が設けられている。下地金属層17の上面全体には銅からなる再配線18が設けられている。
再配線18の接続パッド部上面には銅からなる柱状電極19が設けられている。再配線18を含む保護膜15の上面にはエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等からなる封止膜10がその上面が柱状電極19の上面と面一となるように設けられている。したがって、柱状電極19の上面は露出されている。この露出された柱状電極19の上面には半田ボール21が設けられている。
ここで、この半導体素子の一部の寸法の一例について説明する。この場合、図示の都合上、図示の各部の厚さとこれから説明する寸法とは整合性がとれていない。保護膜15の厚さは1〜2μm、下地金属層17の厚さは400〜800nm、再配線18の厚さは1〜10μm、柱状電極19の高さは80〜150μm程度である。
次に、上記構成の封止膜形成装置の動作について説明する。図3、図4は半導体ウェハ上に封止膜を形成する前、および、封止膜を形成した状態を示す断面図である。また、上記図1の構成を適宜参照して説明する。封止膜形成装置の動作は、まず、図3に示すように、ステージ1の凹部2内に半導体ウエハ3を位置決めして配置する。次に、ステージ1の凹部2の底面近傍を吸引し、半導体ウエハ3を凹部2底面に吸着させる。次に、巻取ローラ6で支持テープ7を一定の長さだけ巻き取ることにより、支持テープ7の下面に設けられた1つの封止膜形成用樹脂膜8を半導体ウエハ3の上方に位置させる。
ここで、図1に示す状態における半導体ウエハ3の構成を説明する。図3に示すように、半導体ウエハ3上には接続パッド12、絶縁膜13および保護膜15が形成され、絶縁膜13および保護膜15に形成された開口部14、16を介して露出された接続パッド12の上面を含む保護膜15の上面には下地金属層17が形成され、下地金属層17の上面には再配線18が形成され、再配線18の接続パッド部上面には柱状電極19が形成されている。
そして、柱状電極19を有する半導体ウエハ3の上方には、支持テープ7の下面に設けられた1つの封止膜形成用樹脂膜8が配置されている。なお、図3において符号22で示す領域は、ダイシングラインに対応する領域である。また、図1では、図示の都合上、半導体ウエハ3上に柱状電極19のみを図示している。
次に、初期位置つまりステージ1の左上に位置する加熱加圧ローラ4を一定の高さだけ下降させた後に右方向に転動させる。すると、支持テープ7の下面に設けられた1つの封止膜形成用樹脂膜8が支持テープ7を介して加熱加圧ローラ4によって加圧されて柱状電極19を有する半導体ウエハ3上ほぼ全面に押し付けられ、且つ、支持テープ7を介して加熱加圧ローラ4によって加熱されて流動可能となり、柱状電極19を有する半導体ウエハ3上ほぼ全面に、具体的には、図4に示すように、柱状電極19および再配線18を含む保護膜15の上面ほぼ全体に封止膜20が転写(付着)される。ここで、封止膜20の厚さは、柱状電極19の高さよりも厚くなるように形成される。
この場合、柱状電極19を有する半導体ウエハ3上ほぼ全面に封止膜形成用樹脂膜8を配置しているので、加熱されて流動可能となった封止膜形成用樹脂膜8は、柱状電極19の相対的な食い込みを許容し、且つ、再配線18間の隙間を埋める程度に流動すればよい。したがって、半導体ウエハ3が大面積化したり、柱状電極19の本数が増加して柱状電極19の配置密度が増大したりしても、封止不良が発生しないようにすることができる。
また、加熱加圧ローラ4により加熱加圧処理すれば、柱状電極19を含む半導体ウエハ3上ほぼ全面に封止膜20を形成することができるので、高価な金型を用いないで封止膜20を形成することができる。なお、ステージ1をそれに内蔵されたヒータ等の加熱機構によって加熱するようにしてもよい。また、加熱加圧ローラ4の代わりに、単なる加熱加圧板を用いるようにしてもよい。
次に、図1において右方向移動限位置に到達した加熱加圧ローラ4は一定の高さだけ上昇した後に左方向に移動して元の初期位置に戻る。次に、柱状電極19を有する半導体ウエハ3上に形成された封止膜20が硬化した後に、ステージ1が一定の高さだけ下降した後に所定の水平方向に移動して待機兼ウエハ取出位置に到達する。ステージ1が一定の高さだけ下降するとき、支持テープ7は、それ自体に付与されたテンションにより、柱状電極19を有する半導体ウエハ3上に形成された封止膜20の上面から剥離される。この場合、半導体ウエハ3は、ステージ1の凹部2底面に吸着されているため、支持テープ7に追従して浮き上がることはない。
これ以後の工程を簡単に説明すると、封止膜20および柱状電極19の上面側を適宜に研磨して柱状電極19の上面を露出させ、且つ、この露出された柱状電極19の上面を含む封止膜20の上面を平坦化し、柱状電極19の上面に半田ボール21を形成し、ダイシングを行なうと、図2に示す半導体素子が複数個得られる。
ところで、加熱加圧ローラ4による支持テープ7下の封止膜形成用樹脂8に対する加熱加圧処理を大気中で行なうと、封止膜20の内部等に空気が気泡として入り込むおそれがある。封止膜20の内部等に気泡が散在すると、その強度や耐湿性が低下してしまう。そこで、上記加熱加圧処理を真空中で行なうと、封止膜20の内部等に空気が気泡として入り込むのを確実に防止することができ、好ましい。
ここで、封止膜形成用樹脂膜8の具体的な材料について説明する。主剤は、エポキシ、フェノール、ビスマレイミド、アクリル、合成ゴム、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドの単体、共重合体、混合体であり、少なくとも常温で固体の成分が1種類以上配合されているもの、あるいは、常温で液状であるモノマーをある程度架橋して流動性を抑制する形で支持テープ7上への形成が可能に調整されているものである。
そして、上記主剤に、イオントラッパー、充填物や着色剤、安定剤(老化防止剤、酸化防止剤)、硬化剤、硬化促進剤、溶剤、流動(粘性)調整剤等を添加するようにしてもよい。また、支持テープ7上への形成を容易とするために、上記主剤に、熱可塑性の高分子やエラストマー(弾性体)等を添加するようにしてもよい。この場合、エラストマーとしては、シリコンゴム、アクリルゴム、天然ゴム、NBR、SBR等がある。
次に、支持テープ7の具体的な材料について説明する。支持テープ7の材料は、金属箔、樹脂、紙、それらの複合材料であってもよいが、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリカーボネート、アクリル等の汎用樹脂である。そして、このようなものからなる支持テープ7の一面に上記のような封止膜形成用樹脂膜材料をスクリーン印刷、グラビア印刷、スプレイ印刷、凸版印刷、インクジェット印刷、スピンコート印刷、スリットコート、ダイコート等の手法により塗布して、封止膜形成用樹脂膜8を形成する。
この場合、上記実施形態の如く、支持テープ7の一面に半導体ウエハ3に対応する大きさの封止膜形成用樹脂膜8を支持テープ7の長手方向に一定の間隔をおいて形成するようにしてもよく、また、これに限らず支持テープ7の一面に封止膜形成用樹脂膜8を支持テープ7の長手方向に連続して形成するようにしてもよく、更に、封止膜形成用樹脂膜8が形成された支持テープ7を枚葉(シート状)に裁断して、このシート状に裁断された支持テープの一面に封止膜形成用樹脂膜が形成されたものとしてもよい。
また、上記実施形態では、例えば図3に示すように、支持テープ7の下面に1層の封止膜形成用樹脂膜8を設けた場合について説明したが、これに限らず、支持テープの下面に複数層の封止膜形成用樹脂膜を設けるようにしてもよい。この場合、支持テープ7から最も離れた最下層の封止膜形成用樹脂層は、支持テープ7の下面に直接設けられた最上層の封止膜形成用樹脂層の材料と組成が異なるもの、あるいは、同じ組成でも配合比が異なるものからなっている。
この場合、例えば、最上層の封止膜形成用樹脂層を最下層の封止膜形成用樹脂層よりも流動性が高い材料によって形成してもよい。このようにした場合には、封止膜20の半導体ウエハ3に対する接着性を高めることができる。材料の流動性を高くするには、例えば、主剤中のフィラー(添加物、非接着成分)の量を減少させればよい。フィラーは、線膨張係数を下げる、機械的安定性を上げる(強度アップ)、耐水性を向上させる、ために入れられている。また、ポリマー重合度を下げたり、熱可塑性樹脂を混合したり、ポリマー間にセグメント(分子構造)を導入したりしてもよい。
また、最上層の封止膜形成用樹脂層を最下層の封止膜形成用樹脂層よりも弾性率が低い材料によって形成してもよい。このようにした場合には、半導体素子として高い温度サイクル耐性を実現することができ、また、半導体ウエハ3やシリコン基板11の反りを低減することができる。材料の弾性率を低くするには、主剤にエラストマーを添加し、弾性率を低下させ、柔らかくするようにしてもよい。
また、主剤にガラス転移点が低いセグメントを導入し、弾性率を低下させ、柔らかくするようにしてもよい。この場合、ガラス転移点は、ホリマーの主鎖が分子運動する点であり、ガラス状領域からゴム状領域に変化する指標になる。そして、主剤にガラス転移点が低いセグメントを導入すると、弾性率が極端に低下し、柔らかくなる。
ところで、図4に示す場合には、ダイシングするとき、樹脂からなる封止膜20およびシリコンからなる半導体ウエハ3を切断するため、それぞれ専用のダイシングブレードを用いて別々に切断することが必要となり、ダイシング時に途中でダイシングブレードを交換しなければならず、工程数が増加する。そこで、次に、半導体ウエハ切断用のダイシングブレードのみでダイシングすることができるようにする構成について説明する。
図5はこの発明の他の実施形態における半導体ウエハ3等の図3同様の断面図を示す。この場合、保護膜15のダイシングライン22に対応する部分には開口部15aが、例えば開口部16の形成と同時に形成されている。また、支持テープ7下に設けられた封止膜形成用樹脂膜8のダイシングライン22に対応する部分は予めフォトリソグラフィ法により除去され、開口部8aが形成されている。
そして、上記実施形態の場合と同様に、加熱加圧ローラによる加熱加圧処理を行なうと、図6に示すように、柱状電極19および再配線18を含む保護膜15の上面ほぼ全体に封止膜20が転写される。封止膜20の厚さは、柱状電極19の高さよりも厚くなるように形成される。この場合も、加熱されて流動可能となった封止膜形成用樹脂膜8は、柱状電極19の食い込みを相対的に許容し、且つ、再配線18間の隙間を埋める程度に流動すればよい。
したがって、保護膜15の開口部15a上には、図5に示す封止膜形成用樹脂膜8の開口部8aがほとんどそのまま形成される。この結果、半導体ウエハ切断用のダイシングブレードのみを用いて、シリコンからなる半導体ウエハ3および酸化シリコン等からなる絶縁膜13をダイシングライン22に沿って切断すればよい。この場合、ダイシングライン22は、両開口部8a、15aを介して視認することができる。
次に、半導体ウエハ切断用のダイシングブレードのみでダイシングすることができるようにする構成の他の例について説明する。図5に示す場合において、支持テープ7下に設けられた封止膜形成用樹脂膜8に開口部8aを形成せずに、この部分における封止膜形成用樹脂膜8を予めフォトリソグラフィ法により硬化させておく(以下、当初硬化部という)。すると、加熱加圧ローラによる加熱加圧処理を行なっても、封止膜形成用樹脂膜8の当初硬化部は硬化されたままであって流動しないため、半導体ウエハ3上に転写されない。そして、この転写されない当初硬化部は、支持テープ7と共に剥離される。すると、保護膜15の開口部15a上の封止膜20に開口部が形成される。したがって、半導体ウエハ切断用のダイシングブレードのみを用いてダイシングすることができる。
ところで、この場合の封止膜形成用樹脂膜8の材料の主剤は、光感光性(あるいは電子ビーム硬化性)を有するものであり、例えば、エポキシ、アクリル、ノボラック、ポリイミド、ビスマレイミドの単体、共重合体、混合体である。そして、ネガ型の封止膜形成用樹脂膜8の場合には、ダイシングライン22に対応する部分のみを露光すると、当該露光部が硬化される。なお、ポジ型の封止膜形成用樹脂膜8の場合には、ダイシングライン22に対応する部分のみを露光すると、当該露光部が現像により溶解するため、図5に示すように、開口8a部を形成することができる。
次に、上記加熱加圧処理の条件について説明する。加熱加圧処理の条件は、封止膜形成用樹脂膜の材料により異なるが、基本的には、加熱加圧処理温度は、加熱加圧ローラおよびステージが同温度で、室温〜200℃である。また、加熱加圧ローラによる加圧力は30〜400Nであり、加熱加圧ローラの移動速度は10〜30mm/secである。
封止膜形成用樹脂膜の材料の主剤が熱硬化性樹脂の場合には、硬化温度は加熱加圧処理温度と同等かそれよりも高い温度とする。一例として、エポキシ系樹脂の場合には、加熱加圧処理温度は100℃であり、硬化温度は180℃である。封止膜形成用樹脂膜の材料の主剤が紫外線、電子ビーム、近紫外可視光による硬化性樹脂の場合には、室温でそれらを照射して硬化させる。この場合、硬化促進のため、それらを照射後に、40〜200℃でアニール処理を行なうようにしてもよい。
次に、いくつかの具体的な例について説明する。第1に、封止膜形成用樹脂膜の材料がエポキシ樹脂、アミン系硬化剤である場合には、加熱加圧処理温度90℃、加熱加圧ローラによる加圧力100N、加熱加圧ローラの移動速度30mm/sec、温度150℃で1時間+温度180℃で2時間での硬化である。第2に、封止膜形成用樹脂膜の材料がエポキシ樹脂、ジアゾニウム系紫外線硬化剤である場合には、加熱加圧処理温度30℃、加熱加圧ローラによる加圧力300N、加熱加圧ローラの移動速度10mm/sec、室温で紫外線照射による硬化である。第3に、封止膜形成用樹脂膜の材料がアクリル樹脂、ベンゾフェノン系硬化剤である場合には、加熱加圧処理温度40℃、加熱加圧ローラによる加圧力200N、加熱加圧ローラの移動速度20mm/sec、室温で電子ビーム照射による硬化である。
この発明の一実施形態としての封止膜形成装置の概略構成図。 半導体ウエハから製造される半導体装置の一例の断面図。 柱状電極を含む半導体ウエハ上に封止膜を形成する前の状態の一部の断面図。 柱状電極を含む半導体ウエハ上に封止膜を形成した状態の一部の断面図。 この発明の他の実施形態における半導体ウエハ3等の図3同様の断面図。 図5に示す場合において柱状電極を含む半導体ウエハ上に封止膜を形成した状態の断面図。
符号の説明
1 ステージ
3 半導体ウエハ
4 加熱加圧ローラ
5 供給ローラ
6 巻取ローラ
7 支持テープ
8 封止膜形成用樹脂膜
19 柱状電極
20 封止膜
21 半田ボール
22 ダイシングライン

Claims (10)

  1. 柱状電極を有する半導体ウエハ上ほぼ全面に、シート状の封止膜形成用樹脂膜を前記半導体ウエハ上に対向させて配置する工程と、
    前記封止膜形成用樹脂膜を前記半導体ウエハ上に加熱加圧処理して、前記柱状電極を含む
    前記半導体ウエハ上ほぼ全面に転写する工程と、
    前記転写された封止膜形成用樹脂膜を硬化させて前記半導体ウエハ上に封止膜を形成する
    工程と、を含み、
    前記封止膜形成用樹脂膜は支持テープの一面に設けられて、前記半導体ウエハ上に配置され
    且つ、前記封止膜形成用樹脂膜の前記半導体ウエハのダイシングラインに対応する部分は予め除去されていることを特徴とする封止膜形成方法。
  2. 柱状電極を有する半導体ウエハ上ほぼ全面に、シート状の封止膜形成用樹脂膜を前記半導体ウエハ上に対向させて配置する工程と、
    前記封止膜形成用樹脂膜を前記半導体ウエハ上に加熱加圧処理して、前記柱状電極を含む
    前記半導体ウエハ上ほぼ全面に転写する工程と、
    前記転写された封止膜形成用樹脂膜を硬化させて前記半導体ウエハ上に封止膜を形成する
    工程と、を含み、
    前記封止膜形成用樹脂膜は支持テープの一面に設けられて、前記半導体ウエハ上に配置され、
    且つ、前記封止膜形成用樹脂膜の前記半導体ウエハのダイシングラインに対応する部分は予め硬化されていることを特徴とする封止膜形成方法。
  3. 請求項1または2に記載の発明において、前記加熱加圧処理は真空中で行なうことを特徴とする封止膜形成方法。
  4. 請求項1または2に記載の発明において、前記半導体ウエハはステージ上に吸着されて配置されていることを特徴とする封止膜形成方法。
  5. 請求項1または2に記載の発明において、前記加熱加圧処理は加熱加圧ローラによって行い、前記封止膜形成用樹脂膜を加熱するとともに、前記半導体ウエハ上に向けた押し圧力を加えることを特徴とする封止膜形成方法。
  6. 請求項1または2に記載の発明において、前記封止膜形成用樹脂膜は1層であることを特徴とする封止膜形成方法。
  7. 請求項1または2に記載の発明において、前記封止膜形成用樹脂膜は複数層であり、最下層の封止膜形成用樹脂層は最上層の封止膜形成用樹脂層と異なるものからなることを特徴とする封止膜形成方法。
  8. 請求項に記載の発明において、前記最層の封止膜形成用樹脂層は前記最層の封止膜形成用樹脂層よりも流動性が高いものからなることを特徴とする封止膜形成方法。
  9. 請求項に記載の発明において、前記最層の封止膜形成用樹脂層は前記最層の封止膜形成用樹脂層よりも弾性率が低いものからなることを特徴とする封止膜形成方法。
  10. 請求項1または2に記載の発明において、前記加熱加圧処理は前記支持テープを介して行われ、前記封止膜を形成する工程は、前記転写された封止膜形成用樹脂膜の硬化後に前記支持テープを剥離する工程を含むことを特徴とする封止膜形成方法。
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