JP4756761B2 - セルロースエステル誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸湿性が低く、寸法安定性及び機械特性に優れたセルロースエステル誘導体及びそれを用いた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
多くのセルロース誘導体が工業製品として種々の用途で使用されている。その中でも、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロースなどのセルロースエステルは、繊維、フィルム、その他の成形体として広く利用されている。特に酢酸セルロースは医療用繊維、タバコフィルター用繊維、医療用中空繊維、写真フィルム用基材、液晶表示用シートなどとして使用されている。
【0003】
酢酸セルロースのうち、結合酢酸量が55重量%程度の二酢酸セルロースは、アセトンなどの低沸点で環境的にも安全な汎用有機溶媒に可溶であり、成形加工も容易である。しかし、遊離のヒドロキシル基が比較的多いため、吸湿性が比較的大きく、寸法安定性が損なわれる。従って、高い寸法精度を必要とする成形体には利用し難い。
【0004】
一方、結合酢酸量が60重量%程度の三酢酸セルロースは、二酢酸セルロースに比べると未置換の水酸基が少ないため吸湿性は低く、寸法安定性は大きく改善されている。しかし、三酢酸セルロースは、可溶な溶剤が環境汚染のおそれのあるメチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素類に限定される。そのため、安全且つ工業的に有利に利用にするのが困難である。
【0005】
酢酸セルロースは透明性などの光学特性に優れるため、例えば、液晶表示用シートなどとして重要な材料である。この液晶表示装置の使用環境が拡がるにつれて、耐熱性及び耐湿性の向上が強く求められている。しかし、酢酸セルロースの吸湿性を更に低減することは困難である。
【0006】
酢酸セルロースの物性を改善するため、ビニル重合鎖をグラフト重合により導入する試みがなされているが、溶剤に対する溶解性などに問題を残したままで、目的達成には至っていない。また、酢酸セルロースの内部可塑性を向上させるため、カプロラクトンをグラフト重合させた変性体が提案されている(特開昭60−188401号公報)。しかし、耐衝撃性などを向上できるものの、吸湿性の面での改善は未だ十分でない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、吸湿性が低く、機械特性に優れたセルロースエステル誘導体及びそれを用いた成形体を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、低吸湿性であるにも拘わらず、安全で環境に対する負荷の小さな溶剤に可溶なセルロースエステル誘導体及びそれを用いた成形体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、セルロースエステル類に架橋脂環式炭化水素基を導入することにより、吸湿性が低く、溶剤に対する溶解性、機械特性に優れたセルロースエステル誘導体が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明のセルロースエステル誘導体は、架橋脂環式炭化水素基とアシル基とを有する。前記架橋脂環式炭化水素基は、例えば、下記式(I)で表されるアダマンタン及びその誘導体に対応する架橋脂環式炭化水素基などであってもよく、前記アシル基は、例えば、C1-4アシル基であってもよい。
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R1、R2、R3はそれぞれ同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す)
前記アシル基と前記架橋脂環式炭化水素基との平均置換度の割合は、前者/後者=2/1〜10/1であってもよい。アシル基の平均置換度は1〜2.9、架橋脂環式炭化水素基の平均置換度は0.1〜1、平均置換度の合計は2〜3程度であってもよい。
【0013】
また、本発明には、前記セルロースエステル誘導体により形成された成形体も含まれる。
【0014】
なお、本明細書では、セルロースエステル誘導体において、無水グルコース単位当たりの置換基の平均置換度を「平均置換度」という。
【0015】
【発明の実施の形態】
[セルロースエステル]
セルロースエステル誘導体を構成するセルロースとしては、天然又は再生セルロースの何れを用いてもよく、例えば、木材繊維(例えば、針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)、種子毛繊維(例えば、リンターなどの綿花、ボンバックス綿、カポックなど)、ジン皮繊維(例えば、麻、亜麻、黄麻、ラミー、コウゾ、ミツマタなど)、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)などから得られる天然セルロース;ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、硝酸人絹などの再生セルロースを用いることができる。これらのセルロースは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0016】
セルロースには、アシル基が導入されて、セルロースエステルを形成している。アシル基としては、種々のアルキルカルボニル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などのC1-6アシル基、好ましくはC1-4アシル基、特に好ましくはC2-4アシル基)、アルケニルカルボニル基[(メタ)アクリロイル基、アリルカルボニル基など]、アラルキルカルボニル基(ベンジルカルボニル基など)、ヒドロキシアルキルカルボニル基(ヒドロキシC2-4アルキルカルボニル基など)などが含まれる。上記アシル基は、不飽和結合、酸素原子、脂肪族炭化水素基(C1-4アルキル基など)や芳香族炭化水素基(フェニル基)などの置換基を有していてもよい。好ましいアシル基は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基であり、特に少なくともアセチル基である。
【0017】
これらのセルロースエステルは、部分的に硝酸、硫酸、燐酸などの無機酸とのエステルを形成していてもよく、ポリカプロラクトンなどのグラフト成分がグラフトしていてもよい。また、セルロースエステルは、部分的にセルロースエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテルなどのアルキルエーテル;ヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシプロピルエーテルなどのヒドロキシアルキルエーテル;カルボキシメチルエーテル;ベンジルエーテル;シアノエチルエーテルなど)を形成していてもよい。
【0018】
代表的な上記セルロースエステルとしては、有機酸エステル(セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートなど)、混酸エステル(セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースなど)などが例示される。これらのセルロースエステルは単独で又は二種類以上組合わせて使用できる。好ましいセルロースエステルは、有機酸エステル(例えば、炭素数2〜4程度の有機酸エステル)、特に少なくともアセチルオキシ基を有するセルロースエステル(例えば、セルロースアセテート)である。
【0019】
アシル基の平均置換度は1〜2.9(例えば1.5〜2.9)、好ましくは2〜2.8、さらに好ましくは2.2〜2.6程度である。
【0020】
[架橋脂環式炭化水素基]
前記セルロースエステル誘導体には、吸水性、機械特性を改善するために架橋脂環式炭化水素基が導入されている。
【0021】
前記架橋脂環式炭化水素基としては、アダマンタン、ホモブレダン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカンなどの架橋3環式炭化水素類、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンなどの架橋4環式炭化水素類などに対応する架橋脂環式炭化水素基が含まれる。架橋脂環式炭化水素基には、アルキル基(メチル基、エチル基など)、アルケニル基(ビニル基、アリル基など)、アラルキル基(ベンジル基など)、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル基など)などの、不飽和結合やヘテロ原子を含んでいてもよいC1-20の炭化水素基から選択された1種以上の置換基(好ましくはメチル基、エチル基)を有していてもよい。前記置換基の種類は、単一の又は異なるグルコース単位で同一又は異なっていてもよい。
【0022】
好ましい架橋脂環式炭化水素基は、前記式(I)に示すアダマンタン及びその誘導体に対応する架橋脂環式炭化水素基であり、R1、R2、R3で表される置換基としては前記と同様、不飽和結合やヘテロ原子を含んでいてもよいC1-20の炭化水素基から選択された1種以上の置換基が挙げられる。好ましいアダマンタン誘導体としては、メチルアダマンタン、1,3−ジメチルアダマンタン、エチルアダマンタン、クロロアダマンタン、アダマンタノール、アダマンタノン、メチルアダマンタノン、ジメチルアダマンタノンなどが挙げられる。特に好ましくはアダマンタンに対応する架橋脂環式炭化水素基である。
【0023】
前記式(I)で表されるアダマンチル基の結合手は、第三級炭素原子(メチン炭素原子)又は第二級炭素原子に位置していてもよい。
【0024】
架橋脂環式炭化水素基は、カルボニル基、アルキレン基(C1-4アルキレン基など)、アルケニレン基(C2-4アルケニレン基など)、カルバメート基、酸素原子などを介してセルロース骨格に結合していてもよい。架橋脂環式炭化水素基は、好ましくはカルボニル基を介してセルロース骨格にエステル結合する。例えばアダマンチル基は、アダマンチルカルボニル基として結合する。
【0025】
架橋脂環式炭化水素基の平均置換度は0.1〜1、好ましくは0.2〜1、より好ましくは0.4〜0.8程度である。
【0026】
[セルロースエステル誘導体]
セルロースエステル誘導体において、アシル基と架橋脂環式炭化水素基との平均置換度の合計は、低吸湿性、溶剤への溶解性、優れた機械特性を保持できる範囲から選択でき、例えば2〜3モル、好ましくは2.2〜3、さらに好ましくは2.6〜3程度である。
【0027】
アシル基と架橋脂環式炭化水素基との平均置換度の割合は、前者/後者=2/1〜10/1、好ましくは4/1〜8/1、さらに好ましくは4/1〜6/1程度である。
【0028】
セルロースエステル誘導体の粘度平均重合度は、前記セルロースエステルに対応しており、通常、10〜1000、好ましくは50〜500、より好ましくは100〜300程度である。また、セルロースエステル誘導体は、通常、白色固体(例えば、フレーク状など)で利用できる。
【0029】
なお、架橋脂環式炭化水素基の平均置換度は、1H−NMR測定結果から次のような方法により定量できる。
【0030】
例えば、本発明における前記式(I)で表される架橋脂環式炭化水素基のうち、R1、R2、R3が全て水素原子であるアダマンチルカルボニル基の平均置換度は、1H−NMRの測定から得られたスペクトルを解析し、アダマンチルカルボニル基の水素原子由来の共鳴ピークと無水グルコース単位の炭素原子に隣接する水素原子由来の共鳴ピークから、それぞれの積分値を求め、それらに基づいて下記計算式(1)から求められる。
【0031】
平均置換度=(fAd/6)/(fGlc/7) (1)
(計算式中、fAdはメチレン基水素原子由来の共鳴ピークの積分値、fGlcは無水グルコース単位の炭素原子に隣接する水素原子由来の共鳴ピークの積分値を示す)
アシル基の平均置換度は、1H−NMRの測定から得られたスペクトルを解析し、アシル基水素原子由来の共鳴ピークと無水グルコース単位の炭素原子に隣接する水素原子由来の共鳴ピークから、それぞれの積分値を求め、それらに基づいて下記計算式(2)から求められる。
【0032】
平均置換度=(fAc/NAc)/(fGlc/7) (2)
(計算式中、fAcはアシル基水素原子由来の共鳴ピークの積分値、fGlcは無水グルコース単位の炭素原子に隣接する水素原子由来の共鳴ピークの積分値、NAcはアシル基に含まれる水素原子の数を示す)
【0033】
[製造方法]
セルロース骨格に、アシル基と架橋脂環式炭化水素基とを導入することにより、所望のセルロースエステル誘導体を得ることができる。アシル基と架橋脂環式炭化水素基とに対応する反応成分の反応順序は特に制限されず、一方の成分をセルロースに導入した後、他方の成分を導入する多段階法で導入してもよく、双方の成分を一段階法で導入してもよい。
【0034】
アシル基の導入は、前記アシル基に対応する酸無水物類、酸ハライド類などのアシル化剤を用いる慣用のエステル化法で行うことができる。より具体的には、セルロースエステル(セルロースアセテートなど)は、パルプ(セルロース)をカルボン酸(酢酸など)により活性化処理(活性化工程)した後、硫酸触媒を用いてアシル化剤によりセルロースをアシル化する(アシル化工程)ことにより得ることができる。
【0035】
前記活性化工程は、例えば、カルボン酸(酢酸など)や含水カルボン酸(含水酢酸など)の噴霧、カルボン酸(酢酸など)や含水カルボン酸(含水酢酸など)への浸漬などによリ、パルプ(セルロース)を処理することにより行うことができ、カルボン酸(酢酸など)の使用量は、セルロース100重量部に対して10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、さらに好ましくは30〜60重量部程度である。
【0036】
アシル化剤としては、カルボン酸類(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、カルボン酸無水物類(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸など)、アシルハライド類(アセチルクロライド、アセチルブロマイドなど)、混合酸無水物類(アセチルホスホン酸など)などが含まれ、好ましいアシル化剤は、カルボン酸無水物である。
【0037】
アシル化剤の使用量は、例えば、セルロースの遊離水酸基に対して1〜100当量、好ましくは5〜50当量、さらに好ましくは10〜30当量程度である。触媒の使用量は、セルロース100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは5〜15重量部、さらに好ましくは5〜10重量部程度である。
【0038】
反応は、必要により反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよく、このような溶媒としては、例えば、ケトン類、エステル類、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類、アミド類、ニトリル類、ニトロ化合物、スルホキシド類、有機酸類およびこれらの混合溶媒などが挙げられる。溶媒としては、通常、前記活性化のためのカルボン酸類を用いる場合が多い。
【0039】
反応溶媒の使用量は、セルロース100重量部に対して200〜1500重量部、好ましくは300〜1000重量部、さらに好ましくは400〜1000重量部程度である。
【0040】
前記アシル化工程において、平均置換度の高いセルロースエステル(セルローストリアセテートなど)を、ケン化(加水分解)・熟成することにより、アシル基の平均置換度を調整してもよい。
【0041】
前記アシル化反応の反応温度は30〜80℃、アシル化(アセチル化など)後のケン化および熟成の反応温度は50〜150℃(例えば、50〜70℃)で行うことができる。
【0042】
架橋脂環式炭化水素基の導入方法についても、慣用の方法が利用でき、例えば、架橋脂環式炭化水素基を有する酸無水物類、架橋脂環式炭化水素基を有する酸ハライド類などのアシル化剤を用いるエステル化、ハロゲン化架橋脂環式炭化水素類などを用いたエーテル化、イソシアネート基を有する架橋脂環式炭化水素類などを用いたカルバメート化などで行うことができる。
【0043】
架橋脂環式炭化水素基を有する反応成分としては、例えば、架橋脂環式炭化水素基を有するカルボン酸類(1−アダマンタンカルボン酸、1−アダマンタン酢酸など)、架橋脂環式炭化水素基を有するアシルハライド類(1−アダマンタンカルボニルクロリド、2−アダマンタンカルボニルクロリドなど)、ハロゲン化架橋脂環式炭化水素類(ブロモ−1−アダマンチル、ブロモ−2−アダマンチル、クロロ−1−アダマンチルなど)、イソシアネート基を有する架橋脂環式炭化水素類(1−アダマンチルイソシアネートなど)、エポキシ基を有する架橋脂環式炭化水素類(アダマンチルエチレンオキシド、グリシジルオキシアダマンタンなど)などが挙げられる。
【0044】
架橋脂環式炭化水素基を有する反応成分の使用量は、架橋脂環式炭化水素基の導入量に応じて選択できる。例えば、セルロースの遊離水酸基に対して1〜20当量、好ましくは1〜10当量、さらに好ましくは1〜5当量程度である。
【0045】
触媒は、必要であれば反応成分に応じて選択でき、例えば、酸性触媒[鉱酸(硫酸、塩酸など)、有機酸(プロピオン酸、トルエンスルホン酸など)、ルイス酸(フッ化ホウ素エーテラートなど)など]、塩基性触媒[アミン類(ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなど)など]などを使用できる。
【0046】
触媒の使用量は、例えば、セルロース100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは5〜10重量部程度である。
【0047】
反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよく、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類(メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなど)、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、塩化エチレンなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、ニトロ化合物、有機酸類(ギ酸、酢酸、プロピオン酸など)およびこれらの混合溶媒などが挙げられる。
【0048】
反応溶媒の使用量は、セルロース100重量部に対して100〜5000重量部、好ましくは200〜3000重量部、さらに好ましくは500〜1500重量部程度である。
【0049】
反応温度は、反応成分に応じて、30〜150℃(例えば40〜100℃)程度から選択することができる。
【0050】
なお、セルロースエステル誘導体の光学的特性を改善するため、セルロースエステル誘導体の製造工程のうち適当な段階、例えば、酢化やケン化・熟成終了後、生成したセルロースエステル誘導体を酸化剤で処理してもよい。
【0051】
反応終了後は、酸触媒や未反応酸性化合物が残存する場合は、反応成分に応じて、適当な中和剤[アルカリ金属塩類(酢酸ナトリウムなど)、アルカリ土類金属塩類(酢酸カルシウムなど)、アミン類(ピリジン、N,N−ジメチルアニリンなど)など]で中和してもよい。
【0052】
反応生成物(セルロースエステル誘導体)は、再沈殿操作などの慣用の分離精製方法を利用して分離精製できる。
【0053】
[成形体]
本発明のセルロースエステル誘導体は、種々の成形体に成形加工可能であり、耐湿性、耐熱性、寸法安定性の要求される用途に有用である。成形体の形態は特に制限されず、1次元的形態[繊維(タバコフィルター用繊維、医療用繊維、医療用中空繊維など)など]、2次元的形態[フィルム(写真用フィルム、逆浸透膜など)、シート(液晶表示用シートなど)など)]、3次元的形態[プラスチック(工具、電機絶縁部品、機械部品など)など]の何れであってもよく、コーティング剤などとして成形品の表面装飾などにも利用できる。
【0054】
【発明の効果】
本発明のセルロースエステル誘導体は、架橋脂環式炭化水素基の導入により、低吸湿性、優れた透明性などの光学特性、寸法安定性及び機械特性を有し、高温高湿下のような厳しい環境下で耐えうる組成物を提供できる。
【0055】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0056】
実施例1
[アダマンチルカルボニル基を有するセルロースアセテートの調製]
市販の酢酸セルロース(平均置換度2.42、粘度平均重合度160;ダイセル化学工業(株)製)12.5gとピリジン120mlとの混合物を、100℃に昇温して溶解させた。反応試薬として市販のアダマンタンカルボニルクロリド(純度95%;東京化成工業(株)製)10.5g(酢酸セルロースの水酸基に対して約2当量に相当)、触媒としてジメチルアミノピリジン1gを添加し、反応液を撹拌しながら100℃で7時間反応させた。反応液を、イソプロピルアルコール(IPA)/水=50/50(体積比)の混合液2000mlに滴下して、反応生成物を沈殿させた。沈殿物をIPA 1000ml、次いで水1000mlで各3時間洗浄し、室温で一晩風乾させた。乾燥試料をアセトン200mlに完全に溶解させてから、IPA 2000mlに再沈殿させた。沈殿物をIPA 500ml、次いでメタノール500ml、さらに水2500mlで十分に洗浄し、80℃で真空乾燥し、セルロースエステル誘導体16.17g(収率95%)を得た。
【0057】
このセルロースエステル誘導体において、アセチル基の平均置換度は2.42、アダマンチルカルボニル基の平均置換度は0.45であった。生成物は白色で、アセトン、塩化メチレンなどの有機溶媒に可溶であった。生成物をフィルム化し、透明度の高いフィルムを得た。フィルムの物理特性を評価した。結果を表1に示す。
【0058】
比較例1
実施例1で使用した市販酢酸セルロースを用いてフィルムを作成し、諸物理特性を評価した。結果を表1に示す。
【0059】
比較例2
実施例1で使用したものと同一の市販の酢酸セルロース20.0gをピリジン200mlに投入し、窒素雰囲気下で撹拌しながら60℃まで昇温して完全に溶解させた。反応試薬は無水酢酸100g(酢酸セルロースの水酸基に対して約22当量に相当)、触媒はジメチルアミノピリジン10gを添加し、反応液を撹拌しながら60℃で3時間反応させた。その反応液をIPA 1500mlに滴下して、反応生成物を沈殿させた。沈殿物をIPA/アセトン=1/3(体積比)混合液500mlで5回濾過洗浄し、次いでアセトン/水=1/1(体積比)混合液500mlで3回濾過洗浄した。生成物を40℃で真空乾燥して、白色の生成物18.87gを得た(収率92%)。このセルロースアセテートのアセチル基の平均置換度は3.0、粘度平均重合度は160であった。本試料のフィルムを作成し、諸物理特性を評価した。結果を表1に示す。
【0060】
比較例3
アダマンタンカルボニルクロリドに代えてシクロヘキサンカルボニルクロリド(純度97%;東京化成工業(株)製)を用いる以外は、実施例1と同じ方法、条件で酢酸セルロースからシクロヘキシルカルボニル基を有するセルロースアセテートを調製した。得られたセルロースエステル誘導体において、アセチル基の平均置換度は2.42、シクロヘキシルカルボニル基の平均置換度は0.41であった。得られた生成物のフィルムを作成し、諸物理特性を評価した。結果を表1に示す。
【0061】
上記実施例及び比較例で得られたセルロースエステルまたはセルロースエステル誘導体の平均置換度、粘度平均重合度、平衡含水率、引張強度及び最大点伸度は、下記方法により測定した。
【0062】
[平均置換度]
下記の測定条件により1H−NMRの積分値を求め、前記計算式(1)及び(2)から平均置換度を算出した。
【0063】
NMR装置:JEOLJNM−A500FT−NMR
測定核:1H
測定周波数:500MHZ
測定磁場:11.74T
溶媒:重水素化クロロホルム
測定温度:55℃
積算回数:32回
PD+ACQTM:7秒
測定モード:シングル
パルス幅:6.3μ秒
なお、アダマンチルカルボニル基を有するセルロースアセテートの場合、重水素化クロロホルムに溶解した試料を用いて測定したプロトンスペクトルでは、化学シフト1.85〜2.15ppmの領域にアセチル基由来の水素の共鳴ピークが観察され、化学シフト1.65〜1.80ppmの領域にアダマンタン構造の3つのメチレン基由来の水素の共鳴ピークが観察され、化学シフト3.3〜5.2ppmの領域にセルロースを構成する無水グルコース単位の炭素に隣接する水素の共鳴ピークが観察された。
【0064】
[粘度平均重合度]
105℃の電気恒温乾燥器で1時間以上乾燥した粉砕状態のセルロースエステル又はセルロースエステル誘導体約500mgを精秤し、100ml容メスフラスコに移した。溶媒は、測定するセルロースエステル又はセルロースエステル誘導体に応じて選択した。例えば、平均置換度約2.5の酢酸セルロースの場合はアセトン、平均置換度約3.0の酢酸セルロースの場合は塩化メチレン/エタノール=8/2(重量比)の混合液を使用した。前記溶媒をメスフラスコの刻線まで入れ、振とうしながら試料を完全に溶解させた。溶解した溶液10mlをオストワルド型粘度計(毛細管径0.440mmφ)に注入し、25±0.1℃の恒温水槽で15分以上整温した後、試料溶液が粘度計の上部刻線から下部刻線まで流下するのに要する時間(秒)を数回測定した。試料を含まないブランク溶液でも同様に測定を行い、それぞれの平均値から下記計算式(3)及び(4)により粘度平均重合度DPを算出した。
【0065】
[η]=ln(t/t0)/c (3)
DP=[η]/Km (4)
なお、式(3)および(4)中、[η]は極限粘度、tは試料溶液の通過時間(秒)、t0はブランク溶液の通過時間(秒)、cは試料濃度(g/l)、Kmは補正係数である。平均置換度約2.5の酢酸セルロースのKm=9×104、平均置換度約3.0の酢酸セルロースのKm=6×104である。
【0066】
[フィルムの作製]
セルロースエステルまたはセルロースエステル誘導体15重量部を、塩化メチレン/メタノール=9/1(重量比)混合物75重量部に溶解し、ガラス板上にクリアランス1.2mmのガラス製キャスト棒で流延させた。塩化メチレン/メタノール=9/1(重量比)の溶媒雰囲気下で乾燥させることにより、白化のない透明フィルムを得ることができた。24時間以上真空乾燥し、フィルム中の残留溶媒を完全に除去し、平衡含水率、引張強度及び最大点伸度の特性を評価した。
【0067】
[平衡含水率]
試料を温度23℃、相対湿度50%の環境条件下に48時間静置し、静置前後の重量変化から平衡含水率を下記計算式(5)により算出した。
【0068】
平衡含水率(%)=((w0−wd)/w0)×100 (5)
なお、式中、w0は平衡前フィルムの重量(g)、wdは48時間静置後のフィルムの重量(g)である。
【0069】
[引張強度及び最大点伸度]
温度23℃、相対湿度50%の環境条件下に48時間静置後のフィルムから、幅15mm、長さ12cm以上の試験片を作製した。試験片は長辺側に欠損部を生じないように金属の型で打ち抜いた。自記記録式引張試験機UCT−5T(エーアンドデー(株)製)で引張試験を行い、記録された応力−歪み曲線から、破断時の伸び及び破断荷重(最大荷重)を読み取った。つかみ間隔は10cmで行った。試験時の引張速度は、予備的に行った試験から、試験片が20±5秒で破断するような引張速度を求めた。引張強度及び最大点伸度測定は5回以上行い、平均値を算出した。引張強度TS(kgf/cm2=9.8×104Pa)及び最大点伸度S(%)は、破断荷重(kgf=9.8N)をB、試験片の幅(cm)をL、試験片の厚み(cm)をD、破断時の伸び(mm)をLBとし、下記式(6)及び(7)から算出した。
【0070】
TS=B/(L×D) (6)
S=LB (7)
【0071】
【表1】
【0072】
表1より明らかなように、実施例1のセルロースエステル誘導体のフィルムは、比較例1及び2のセルロースエステルのフィルムや、比較例3のセルロースエステル誘導体のフィルムに比べて、吸湿性が低く、強靱且つ柔軟であった。
Claims (5)
- アシル基が、C1−4アシル基である請求項1記載のセルロースエステル誘導体。
- アシル基と架橋脂環式炭化水素基との平均置換度の割合が、前者/後者=2/1〜10/1である請求項1記載のセルロースエステル誘導体。
- アシル基の平均置換度が1〜2.9、架橋脂環式炭化水素基の平均置換度が0.1〜1であり、平均置換度の合計が2〜3である請求項1記載のセルロースエステル誘導体。
- 請求項1記載のセルロースエステル誘導体で形成された成形体。
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