JP4756427B2 - 筒状固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒状固体酸化物形燃料電池に関する。さらに詳細には筒状セルが並列および/または直列に配列されたセル集合体同士、もしくはセル集合体と導電性版との接続を確実にして、発電効率を向上し、耐久性を向上し、さらに信頼性を向上した筒状固体酸化物形燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
筒状固体酸化物形燃料電池は、特公平1−59705等に開示されている固体酸化物形燃料電池の一タイプである。筒状固体酸化物形燃料電池は、多孔質支持管−空気極−固体電解質−燃料極−インターコネクタで構成される筒状セルを有する。空気極側に酸素(空気)を流し、燃料極側にガス燃料(H2、CO等)を流してやると、このセル内でO2−イオンが移動して化学的燃焼が起こり、空気極と燃料極の間に電位が生じ発電が行われる。なお、空気極が支持管を兼用する形式のものもある。
【0003】
図4は従来の筒状固体酸化物形燃料電池の主要部の平断面図を示すものである。通常の筒状固体酸化物形燃料電池にあっては、筒状セル1本における発電電圧は約1ボルトなので、多数の筒状セル1を直列に接続して所要の電圧を得る。その為、組立性、メンテナンス性などを考慮し3本程度の筒状セル1を並列接続し、さらにこれらの並列接続された筒状セル1を3〜6列前後、導電部材2を介して電気的に直列接続し、両端に一対の集電部材3を接続したセル集合体11を形成し、これらのセル集合体11を必要な数だけ直列接続することで十分な発電電圧を得ている。
筒状セル1は、上端開放・下端閉(有底筒状)のセラミックチューブである。筒状セル1の断面は多層円筒状をしており、空気極、固体電解質層、燃料極等の各層が積層されている。
【0004】
筒状セル1の各層の肉厚は数μm〜2mmであり、それぞれ必要な機能(導電性、通気性、固体電解質、電気化学触媒性等)を有する酸化物を主成分とするセラミックス材で形成されている。この筒状セル1の内面に酸化剤(空気や酸素リッチガス等、以下空気という)を流し、外面にH2、CO、CH4などの燃料ガスを流すと、このセル内でO2−イオンが移動して電気化学的反応が起こり、空気極と燃料極との間に電位差が生じ発電が行われる。
筒状セル1内には、空気を通すための細長い空気導入管7が通っている。空気導入管7は、固体酸化物形燃料電池上部の空気分配器(図示しない)から下に出て筒状セル1内に入り、その下端は筒状セル1の底近くにまで達している。この空気導入管7の下端から、空気が筒状セル1の底に供給される。セル底に供給された空気は、上述の発電反応に寄与しつつ筒状セル1内を上方に向かい、筒状セル1上端部から筒状セル1外に出て排気燃焼室(図示しない)に至る。この排気燃焼室においては、後述する燃料ガス排気と空気排気とが混合され、排気中の未反応の酸素と燃料が燃焼する。
筒状セル1の外面には、固体酸化物形燃料電池下部の燃料供給室(図示しない)から上方に向けて、燃料ガスが供給される。燃料ガスは、上述の発電反応に寄与しつつ筒状セル1外を上方に向かい、未反応部分の燃料ガスと、セル部での電気化学的燃焼反応生成物(CO2、H2O等)は、上述の排気燃焼室に入る。排気燃焼室で燃焼した後の顕熱は、燃料電池に供給される空気及び燃料ガスの予熱に用いられたり、あるいは、通常の蒸気ボイラー・タービンを用いる発電システムに送られて発電に利用される。
【0005】
次に、固体酸化物形燃料電池におけるセル集合体11の電気的接続関係について説明する。セル集合体11は必要な電位を得るために多数直列に接続される。この際、セル集合体11の端部の集電部材3と別のセル集合体11の端部の集電部材3とを接触させ電気的な導通を確保することが必要である。そのため隣り合う2枚の集電部材3の間にニッケルフェルトなどの接続部材5を介して、押し付け手段6によって接触圧力を作用させて接続していた。図4中の矢印は、押し付け手段6による押し付け力の方向を示す。
また、セル集合体11からの電力を外部に取り出すために導電性板4などを接続しているが、この場合もセル集合体11の端部の集電部材3と導電性板4の間にニッケルフェルトなどの接続部材5を介して、押し付け手段6によって接触圧力を作用させて接続していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の接続法では押し付け手段が必要であるという問題があった。前述のように筒状セルはセラミック製であるため、過大な押し付け力によって破損する場合があった。また、押し付け力の不均一が発生しやすく、押し付け力の不足するところでは、接触不良となり接触抵抗が増大するという不具合が発生していた。
本発明は、押し付け手段を必要としないセル集合体の接続を可能とし、接触信頼性を向上させ、安定的かつ効率的に発電を行うことのできる筒状固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、
第1の発明は、空気極と燃料極を有する複数の筒状セルが並列および/または直列に配列され、該筒状セルが電気的に接続され、両端に集電部材が接続されたセル集合体であって、該セル集合体同士を接続する際に、それぞれの前記集電部材同士を締結する手段を有することを特徴とする筒状固体酸化物形燃料電池である。本発明によって、複数のセル集合体を接続する際に、押し付け手段が不要となり、過大な押し付け力によってセルが破損することがなくなる。また、押し付け力の不足による接触不良がなくなり、筒状固体酸化物形燃料電池を安定的かつ効率的に発電を行うことが可能となる。
【0008】
第2の発明は、前記セル集合体と、該セル集合体に接触する導電性板とを接続する際に、前記集電部材と前記導電性板を締結する手段を有することを特徴とする筒状固体酸化物形燃料電池である。本発明によって、セル集合体と導電性板を接続する際に、押し付け手段が不要となり、過大な押し付け力によってセルが破損することがなくなる。また、押し付け力の不足による接触不良がなくなり、筒状固体酸化物形燃料電池を安定的かつ効率的に発電を行うことが可能となる。
【0009】
第3の発明は、前記締結する手段が、螺子であることを特徴とする筒状固体酸化物形燃料電池である。
【0010】
第4の発明は、前記締結する手段が、リベットであることを特徴とする筒状固体酸化物形燃料電池である。
【0011】
第5の発明は、前記締結する手段が、クランプであることを特徴とする筒状固体酸化物形燃料電池である。
螺子、リベットまたはクランプによって締結することによって、集電部材同士または集電部材と導電性板とを電気的に確実に接続することが可能となり、筒状固体酸化物形燃料電池を安定的かつ効率的に運転することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施例を略示する横断面図である。
筒状セル1を3並列×3直列に接続し、その両端に集電部材3を接続してセル集合体11を形成している。導電部材2は、一般的にニッケル製のフェルトを用いる。それぞれの筒状セル1には空気導入管7が内挿されている。空気導入管7はアルミナ製のチューブなどが用いられる。筒状セル1は、上端開放・下端閉(有底筒状)のセラミックチューブである。筒状セル1の断面は多層円筒状をしており、内側から空気極、固体電解質層、燃料極等の各層が積層されている。筒状セル1の各層の肉厚は数μm〜2mmであり、それぞれ必要な機能(導電性、通気性、固体電解質、電気化学触媒性等)を有する酸化物を主成分とするセラミックス材で形成されている。この筒状セル1の内面に空気導入管7によって酸化剤(空気や酸素リッチガス等、以下空気という)を流し、外面にH2、CO、CH4などの燃料ガスを流すと、このセル内でO2−イオンが移動して電気化学的反応が起こり、空気極と燃料極との間に電位差が生じ発電が行われる。
【0013】
前述のように、必要な出力電位を得るためにセル集合体11は複数接続して使用されるが、図1においては、2式のセル集合体11を接続する例を示している。それぞれのセル集合体11の端部に接続された集電部材3との間に、接続部材5を挟み込み、リベット12でかしめて締結している。接続部材5はニッケル製のフェルトであって、導電性と柔軟性を有するため、それぞれの集電部材3と密着して接続性を向上させる効果を呈するため挟み込むことが好ましい。リベット12はインコネルなどの耐熱合金製の部材を用いる。
さらに、図1においては、セル集合体11と導電性板4との接続例も示すが、前述の例と同様に、接続部材5を介してリベット12でかしめて締結している。導電性板4は、発電出力を燃料電池の外部に供給するためのブスバー等、あるいはブスバー等へ電気的に接続された導電性の部材である。
【0014】
図2は、図1の縦断面図を示す略図であって、縦方向に3個のリベット12で締結された例を示す。
なお、リベット12の寸法、本数、取り付け位置などは、必要に応じて最適な態様を選択することが可能である。また、螺子による締結も可能である。
【0015】
図3は、クランプ13による締結例を示す横断面図である。前述のリベット12の代わりにクランプ13によってかしめて締結するものであり、リベット12や螺子と同様の効果を得ることができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によって、セル集合体11の端部の集電部材3同士またはセル集合体11の端部の集電部材3と導電性板4との接続における信頼性と安定性を向上させ、高効率な筒状固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の筒状固体酸化物形燃料電池の一実施例を略示する横断面図である。
【図2】本発明の筒状固体酸化物形燃料電池の一実施例を略示する縦断面図である。
【図3】本発明の筒状固体酸化物形燃料電池の他の実施例を略示する横断面図である。
【図4】従来の筒状固体酸化物形燃料電池の一実施例を略示する横断面図である。
【符号の説明】
1:筒状セル
2:導電部材
3:集電部材
4:導電性板
5:接続部材
6:押し付け手段
7:空気導入管
11:セル集合体
12:リベット
13:クランプ
Claims (5)
- 空気極と燃料極を有する複数の筒状セルが並列および/または直列に配列され、該筒状セルが電気的に接続され、両端に集電部材が接続されたセル集合体であって、
該セル集合体同士を接続する際に、それぞれの前記集電部材同士を締結する手段を有することを特徴とする筒状固体酸化物形燃料電池。 - 前記セル集合体と、該セル集合体に接触する導電性板とを接続する際に、前記集電部材と前記導電性板を締結する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の筒状固体酸化物形燃料電池。
- 前記締結する手段が、螺子であることを特徴とする請求項1または2に記載の筒状固体酸化物形燃料電池。
- 前記締結する手段が、リベットであることを特徴とする請求項1または2に記載の筒状固体酸化物形燃料電池。
- 前記締結する手段が、クランプであることを特徴とする請求項1または2に記載の筒状固体酸化物形燃料電池。
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