JP4753655B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池に関するものであり、詳細にはチタン酸リチウムを負極活物質として用いたリチウム二次電池に関するものである。
リチウム二次電池は、極めて高い電圧を示すため、この特性を生かした多くの用途に使用されている。リチウム二次電池においては、正極活物質に、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウム等が使用され、負極活物質に、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料、あるいはリチウム金属、リチウム合金、チタン酸リチウム等が使用されている。
負極活物質としてチタン酸リチウムを用いたリチウム二次電池は、充放電サイクル特性に優れることが知られており、特許文献1においては、負極活物質としてチタン酸リチウムを用い、六フッ化リン酸リチウムを非水電解質の溶質として用いたリチウム二次電池が提案されている。
しかしながら、チタン酸リチウムを負極活物質として用いたリチウム二次電池は、保存中において、チタン酸リチウムと非水電解質との副反応が生じるため、保存特性が悪いという問題があった。
特開2001−196060号公報
本発明の目的は、チタン酸リチウムを負極活物質として用いたリチウム二次電池において、保存特性が改善されたリチウム二次電池を提供することにある。
本発明は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、溶質及び溶媒を含む非水電解質とを備えるリチウム二次電池であり、負極活物質がチタン酸リチウムであり、溶質が六フッ化リン酸リチウムと硝酸リチウムの混合溶質であることを特徴としている。
本発明に従い、溶質として、六フッ化リン酸リチウムと硝酸リチウムの混合溶質を用いることにより、保存特性に優れたリチウム二次電池とすることができる。硝酸リチウムを溶質として用いることにより保存特性が向上する理由の詳細は明らかでないが、硝酸リチウムを用いることにより六フッ化リン酸リチウムなどの非水電解質の成分がチタン酸リチウムによって還元されるのを抑制することができるためであると考えられる。硝酸リチウムによる還元反応の抑制は、硝酸リチウムが含まれることにより、負極表面に、亜硝酸リチウムなどの被膜が形成されること、並びに硝酸リチウムの酸化作用によるものと推測される。
本発明において、非水電解質中における六フッ化リン酸リチウムの含有量は、0.5〜1.5mol/L(モル/リットル)の範囲内であることが好ましい。また、非水電解質中における硝酸リチウムの含有量は、0.1〜1g/L(グラム/リットル)の範囲内であることが好ましい。硝酸リチウムの含有量が少なすぎると、保存特性が向上するという本発明の効果が十分に得られない場合があり、硝酸リチウムの含有量が多すぎると、硝酸リチウムが非水電解質中に溶解されず、添加量に比例した効果が得られない場合がある。
本発明において負極活物質として用いるチタン酸リチウムは、リチウム二次電池の負極活物質として用いることができるものであれば特に限定されるものではないが、Li4/3Ti5/34で表されるスピネル型のチタン酸リチウムを用いた場合に、特に硝酸リチウムによる電解液の還元反応の抑制が強く作用し、保存特性が著しく向上する。
本発明において用いる正極活物質は、リチウム二次電池の正極活物質として用いることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、リチウム二次電池の正極活物質として一般的に用いられているLiCoO2などのリチウム含有遷移金属複合酸化物を用いることができる。
本発明において用いる非水電解質の溶媒としては、従来よりリチウム二次電池の電解質の溶媒として用いられているものを用いることができる。これの中でも、環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒が特に好ましく用いられる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が挙げられる。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。特に、混合溶媒としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒が好ましく用いられる。エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒を用いることにより、硝酸リチウムによる本発明の作用効果がより効果的に発揮され、チタン酸リチウムによる電解液の還元反応が強く抑制されるものと思われる。混合溶媒における混合割合は、体積比(エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート)で、1:9〜9:1の範囲内であることが特に好ましい。このような範囲内にすることによりさらに優れた保存特性が得られる。
本発明に従い、六フッ化リン酸リチウムに硝酸リチウムを混合させた混合溶質を用いることにより、チタン酸リチウムを負極活物質として用いたリチウム二次電池において、保存特性を改善することができる。
以下、本発明の実施例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施することが可能なものである。
<実施例1>
(実施例1−1)
〔正極の作製〕
LiCoO2粉末が85重量部、導電剤としての炭素粉末が10重量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン粉末が5重量部となるように混合して正極合剤を調製し、正極合剤を加圧成型することにより、直径が17mm、厚みが1.0mmの円盤状の正極を作製した。
〔負極の作製〕
Li4/3Ti5/34粉末が85重量部、導電剤としての炭素粉末が10重量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン粉末が5重量部となるように混合して負極合剤を調製し、負極合剤を加圧成型することにより、直径が17mm、厚みが1.0mmの円盤状の負極を作製した。
〔非水電解液の調製〕
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との等体積混合溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を1mol/L、硝酸リチウム(LiNO3)を0.5g/L溶解して電解液とした。
〔電池の組立〕
上記の正極、負極及び非水電解液を使用して、扁平形の本発明電池A1(リチウム二次電池:電池寸法:外径24mm、厚さ3mm)を組み立てた。なお、セパレータとしては、ポリプロピレン製の不織布を使用し、これに非水電解液を含浸させた。
正極缶には、電池内部から厚さ0.05mmのアルミニウムと厚さ0.20mmのステンレス鋼SUS304からなるクラッド材のSUS304側に厚さ0.002mmのニッケルメッキした材料を使用した。負極缶には、負極缶の外側に厚さ0.002mmのニッケルメッキした厚さ0.25mmのSUS304を使用した。
図1は作製したリチウム二次電池の断面模式図であり、負極1、正極2、セパレータ3、負極缶4、正極缶5、負極集電体6、正極集電体7及びポリプロピレン製の絶縁パッキング8などからなる。
(実施例1−2)
電解液溶媒に、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との等体積混合溶媒を使用したこと以外は実施例1−1と同様にして、本発明電池A2を組み立てた。
(比較例1−1)
非水電解液に、硝酸リチウム(LiNO3)を溶解しないこと以外は実施例1−1と同様にして、比較電池X1を組み立てた。
(比較例1−2)
電解液の溶質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)1mol/Lの代わりに、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)1mol/Lを使用したこと以外は実施例1−1と同様にして、比較電池X2を組み立てた。
〔容量維持率(保存特性)の測定〕
電池作製直後の各電池を、25℃において、電流値1mAで3Vまで充電した後、電流値1mAで2Vまで放電し、電池作製直後の放電容量を測定した。また、各電池を、25℃において、電流値1mAで3Vまで充電した後、60℃、90%の相対湿度で1カ月間保存し、その後、電流値1mAで2Vまで放電し、保存後の放電容量を測定した。そして、保存後の容量維持率={(保存後の放電容量)/(電池作製直後の放電容量)}×100(%)を求めた。各電池の容量維持率を表1に示す。
Figure 0004753655
表1に示す結果から明らかなように、本発明に従い、六フッ化リン酸リチウムと硝酸リチウムの混合溶質を用いた本発明電池A1及びA2においては、比較電池X1及びX2に比べ、容量維持率が高くなっており、保存特性が向上していることがわかる。また、本発明電池A1と本発明電池A2の比較から、電解液の溶媒としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒を用いたときに、特に保存特性が向上することがわかる。
<実施例2>
(実施例2−1)
負極活物質として、Li4/3Ti5/34(スピネル型)粉末を使用し、実施例1−1と同様にして、本発明電池をB1(本発明電池A1)を組み立てた。
(実施例2−2)
負極活物質として、Li2Ti37(ラムスデライト型)粉末を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして、本発明電池B1を組み立てた。
(比較電池X3)
非水電解液に、硝酸リチウム(LiNO3)を溶解しないこと以外は、実施例2−2と同様にして、比較電池X3を組み立てた。
〔容量維持率の測定〕
実施例1と同様にして、上記各電池の容量維持率を測定し、表2に示した。
Figure 0004753655
表2に示す結果から明らかなように、チタン酸リチウムとして、Li4/3Ti5/34で表されるスピネル型のチタン酸リチウムを用いた場合に、特に保存特性が優れることがわかる。
本発明に従う実施例において作製したリチウム二次電池を示す断面模式図。
符号の説明
1…負極
2…正極
3…セパレータ
4…負極缶
5…正極缶
6…負極集電体
7…正極集電体
8…絶縁パッキング

Claims (3)

  1. 正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、溶質及び溶媒を含む非水電解質とを備えるリチウム二次電池において、
    前記負極活物質がチタン酸リチウムであり、前記溶質が六フッ化リン酸リチウムと硝酸リチウムの混合溶質であることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 前記溶媒が、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記チタン酸リチウムが、Li4/3Ti5/34で表されるスピネル型のチタン酸リチウムであることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム二次電池。

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