JP4752643B2

JP4752643B2 - ハブユニット軸受

Info

Publication number: JP4752643B2
Application number: JP2006178384A
Authority: JP
Inventors: 康誉鈴木; ナンシー尚子横山
Original assignee: NSK Ltd
Current assignee: NSK Ltd
Priority date: 2006-06-28
Filing date: 2006-06-28
Publication date: 2011-08-17
Anticipated expiration: 2026-06-28
Also published as: JP2008008375A

Description

本発明は、車輪用のハブユニット軸受に関し、特に、車輪の回転速度の検出部を備えた従動輪用のハブユニット軸受に関する。

従来、回転速度の検出部を備えたハブユニット軸受は、一般に車両の懸架装置に固定される外輪と車輪を固定する内輪との間に転動体を配して車輪を回転自在に支持すると共に、内輪の車両中心側端部にエンコーダを取付け、外輪の車両中心側端部を塞ぐ有蓋円筒形状のエンドキャップを外輪に固定し、前記エンドキャップにセンサー部をエンコーダと対向するように取付けて、このセンサー部でエンコーダから発信する信号を捉え回転速度を検出するようになっている。

このハブユニット軸受は、路面からの泥水の跳ねかけに晒されることから、軸受内に泥水が侵入し軸受寿命が低下すると云う虞がある。特に、エンドキャップ側からの泥水のはねかけに対処するために、前記エンドキャップは強固な外輪への固定と密封性の高い耐水性構造が必要になる。

従動輪用のハブユニット軸受では駆動用トルクを伝達するための軸を軸受内に貫通させる必要が無いことから、エンドキャップで軸受空間を完全に覆うことが一般的に行われている。また、最近は、回転速度の検出部を取付けた軸受の需要が高まり、センサー部の取付け構造を併せ持つ必要性から、従来は金属製の有蓋円筒形状のエンドキャップであったものを合成樹脂のボデイと外輪への取付け部材として鋼材製の芯金をインサート方式による一体成型した有蓋円筒形状のエンドキャップが多く使用されるようになっている。（例えば、特許文献１参照）
特開２００５−９５２７号公報

以下、特許文献１について考察する。なお、ここでの説明は特許文献１に使用されている文言ならびに括弧をつけた符号を使用している。

特許文献１に示す軸受は、芯金（１２）の一端を径方向外方へ折り曲げてフランジ部を形成して、芯金（１２）の剛性を高くしている。
その理由は、芯金（１２）は外輪に嵌合されるが、外輪内周面に強固に嵌合するために、寸法精度を良好に維持しなければならないので、フランジ部を形成して剛性を高めているのである。また、芯金（１２）の円筒部を外輪内周面に圧入する際にもカバー（５）の端面を押す関係で、変形がないように、押面補強を必要としているからである。

また、芯金（１２）の樹脂で覆われていない部分（特許文献１の図３参照）は、外輪の内周面との嵌合部となるので、良好な寸法精度に仕上げる必要がある。

芯金（１２）は通常プレス加工されるがフランジの折曲げ部の隅アール寸法は板厚寸法と同じ程度に必要となるためにフランジの外径寸法は大きくなる。

カバー（５）と芯金（１２）はインサート成型を行うが、溶融した合成樹脂の注入口であるゲイトの位置は、通常、カバー（５）の蓋部（５ｂ）に設けるので、樹脂の流れは蓋部（５ｂ）から筒部（５ａ）へとなる。カバー（５）の樹脂部分の外径寸法とフランジ部の外径寸法の差が少なくなるので、この部位が隘路となって、一体成型時の樹脂の流れが悪くなり、そのために、樹脂冷却速度が、フランジ部を境にして軸受側の筒部（５ａ）が遅くなり、冷却速度の差による冷却収縮が異なって、芯金（１２）の嵌合部が変形して直径寸法精度がそこなわれ、外輪への固定力が低下して、強固な固定とカバー（５）と外輪との間の密封性の高い構造が得られにくくなる虞が生じる。

本発明は、このような点に鑑みなされたもので、エンドキャップ（カバー５）を外輪に固定する芯金の直径寸法精度の低下をきたすことがないエンドキャップの構造を備えたハブユニット軸受を提供することを目的としている。

上記の目的を達成するため、本発明は、
内周軌道を有する外輪と、
外周軌道を有する内輪と、
前記外輪と前記内輪間に介装されている転動体と、
外輪の車両外端側端部に設けられている密封シール部材と、
内輪の車両側端部に設けられたエンコーダと、
外輪の車両中心側端部に取付けられ、軸受空間を密閉するエンドキャップと、
該エンドキャップに取付けられているセンサー部とからなり、
前記エンドキャップは、合成樹脂製のボデイと芯金とからなる一体成形品であり、
前記ボデイは合成樹脂製の円環部と該円環部に連なる合成樹脂製の底部とからなり、
前記底部にはセンサー部が取付けられており、
前記芯金は前記ボデイ底部の車両外端側面よりも車両中心側に延び前記円環部に埋め込まれている第１円筒部および該第１円筒部の車両中心側軸方向端部に形成された補強部と、前記円環部から突き出て車両外端側に延びる第２円筒部とからなり、
該第２円筒部外周面は前記外輪の内周面に圧着嵌合され、前記円環部の車両外端側面部と前記外輪の車両中心側端面とが当接するハブユニット軸受において、
前記第１円筒部と前記第２円筒部の外径寸法は同じであって、
前記補強部は前記第１円筒部の車両中心側軸方向端部を径方向内方に折り曲げたつば部であり、
前記第１円筒部と前記補強部とを埋め込んで囲繞する前記合成樹脂製の円環部が軸方向に略一定である肉厚寸法を有し、
前記円環部の車両外端面部には円周溝が形成され、該円周溝にＯ−リングが前記芯金の外周面に接するように収容されていることを特徴とするハブユニット軸受を提供する。
好適には、前記第２円筒部の外周部は補強部の曲げ加工後にシェービング加工されている。

本発明によれば、エンドキャップを外輪に固定する芯金の直径寸法精度の低下をきたすことがないエンドキャップの構造を備えたハブユニット軸受を提供する事が出来る。

以下、本発明に係わる実施形態を図面を参照しつつ説明する。

（実施形態１）
図１、図２、を参照して本発明の実施形態１を説明する。
図２は図１のＡ部の拡大図である。
図１は中心線Ｘ−Ｘより上半分断面図である。

以下の説明において、表現の簡略化のため、車両外端側を外端側と、また、車両中心側を中心側という。

本実施形態のハブユニット軸受は従動輪に使用される。

図１において、ころがり軸受Ｈ_１は、内周に複列の内周軌道１１，１２を有し、外周に車体への取付けフランジ１ｆを有している外輪１と、外端側に車輪（図示略）を取付けるフランジ２ｆと軸方向中央部２ｍのうちフランジ２ｆ側外周面に直接外周軌道２ａ_１が形成され、軸方向中央部２ｍに連設されて、中心側に小径部２ｎが形成されているハブ軸２ａｈと、ハブ軸２ａｈに嵌合され、外周に外周軌道２ｂ_１を有する内輪要素２ｂとからなる内輪２と、外輪１と内輪２との間に介装されているボール３、３と、ボール３、３を保持している保持器４、４と、外輪１の外端側に取付けられている外端側密封シール部材５ａと中心側に取付けられているエンドキャップ７と、内輪２に取付けられているエンコーダ６と、エンドキャップ７に取付けられて、エンコーダ６と近接対向して所定の距離Ｓだけ離隔して設けられたセンサー部８と、から構成されている。

次に、図２をも参照しながら各部品に関して詳細に説明する。

外輪１は上述のように、内周に複列の外端側の内周軌道１１と中心側の内周軌道１２を有し、外周に車体への取付けフランジ１ｆを有している。

また、外輪１の中心側端部１４に後述するエンドキャップ７を取付ける内周面１ｄを有している。さらに、外輪１の外端側端部１３には後述する外端側密封シール部材５ａを取付ける内周面１ｃを有している。

内輪２は、上述のように外端側に車輪（図示略）を取付けるフランジ２ｆと軸方向中央部２ｍにはフランジ２ｆ側外周面に直接外周軌道２ａ_１が形成されており、さらに、軸方向中央部２ｍに連設されて、段部２ｃを介して中心側に小径部２ｎが形成されているハブ軸２ａｈ、および、ハブ軸２ａｈの小径部２ｎに嵌合され、外周に外周軌道２ｂ_１を有する内輪要素２ｂとからなっている。

内輪要素２ｂはハブ軸２ａｈの小径部２ｎに嵌合され、その後に、ハブ軸２ａｈの小径部２ｎの軸方向先端部を径方向外方に拡開して塑性変形を起こさせ、固定部２ｎ_１を形成する。塑性変形によって、最終的には、内輪要素２ｂに軸方向に荷重Ｆを加えて段部２ｃとの間で内輪要素２ｂをハブ軸２ａｈに軸方向の固定をする。

固定部２ｎ_１を形成するには、固定部２ｎ_１の径方向内方のハブ軸２ａｈに空洞部２ｎ_２を設けて拡開による塑性変形によって荷重Ｆを適切に設定するようにしている。

なお、外周軌道２ａ_１は外輪１の内周軌道１１に、外周軌道２ｂ_１は内周軌道１２にそれぞれ対向している。

また、ハブ軸２ａｈのフランジ２ｆには車輪（図示略）を取付けるボルト９が装着されている。

ボール３、３は、外輪１と内輪２との間に複列に介装されており、外輪１および内輪２を相対回転可能に支持している転動体である。

保持器４、４は、ボール３、３を保持している。

外端側の密封シール部材５ａは、外輪１の内周面１ｃに取付けられて、外輪１とハブ軸２ａｈとの軸受空間を密封している。

エンコーダ６は円筒部６２と、円筒部６２の所定位置から軸受軸方向外方に拡大する円すい面６３と、円すい面６３の所定位置から径方向内方へ折れ曲がるフランジ部６４を有しているヨーク６１と、フランジ部６４の軸受軸方向外側面に取付けられている多極磁石６ａからなっている磁気エンコーダである。多極磁石６ａは磁性ゴムからなっており、円周方向に、Ｎ極、Ｓ極が交互に形成されている。また、多極磁石６ａはフランジ部６４の軸受軸方向外側面に接着剤などにより固定されている。

エンドキャップ７は、芯金７ａと、ボデイ７ｂとＯ−リング７ｃと、からなっている。

ボデイ７ｂは、合成樹脂製で、外周部と内周部が円筒部になっている円環部７ｂ_１と円環部７ｂ_１に連なる底部７ｂ_２とからなって有蓋円筒形状に形成され、外輪１に取付けられた状態でハブユニット軸受Ｈ_１の軸受空間を密閉する。

次に、芯金７ａについて説明する。

芯金７ａは第１円筒部７ａ_４と第２円筒部７ａ_５とからなり、ボデイ７ｂとの関係では、第１円筒部７ａ_４はボデイ７ｂに埋め込まれている部分であり、第２円筒部７ａ_５はボデイ７ｂの円環部７ｂ_１より突き出ている部分であると定義しておく。

芯金７ａは鋼製であって、第２円筒部７ａ_５と第１円筒部７ａ_４とからなる円筒部７ａ_１および第１円筒部７ａ_４の中心側端部を径方向内方に折り曲げたつば部７ａ_３とから形成されている。

つば部７ａ_３は補強部であって、芯金７ａの径方向の剛性を補強するためのものである。また、後述のように、エンドキャップ７を外輪１の内周面１ｄに嵌合するときの圧入力（図２において、軸方向右から左に向けて）への補強になっている。円筒部７ａ_１の外周面７ａ_２は外輪１の内周面１ｄにシメシロをもって嵌合して固定される。

芯金７ａを円筒部７ａ_１の第１円筒部７ａ_４と補強部であるつば部７ａ_３とをボデイ７ｂにインサート成型で一体化して組立体としている。

一体化によって、芯金７ａのつば部７ａ_３と円筒部７ａ_１の第１円筒部７ａ_４は成型時に円環部７ｂ_１の中に埋め込まれる。

樹脂によって被覆されていない芯金の円筒部７ａ_１の第２円筒部７ａ_５はボデイ７ｂの平面部７ｂ_５より突き出ていて外輪内周面１ｄとの嵌合部となる。

芯金７ａの中心側端部を径方向内方へ折り曲げてつば部７ａ_３を形成しているので、芯金７ａの外周部７ａ_２は円筒形状にすることができるので、シェービング加工により精度良く、外周寸法を仕上げることができて、外輪１の内周面１ｄとの嵌合は強固になる。

つば部７ａ_３と第１円筒部７ａ_４を囲繞している円環部７ｂ_１の外周部７ｂ_４の径寸法と芯金７ａの外周部７ａ_２の径寸法との差寸法７ｔは円環部７ｂ_１の肉厚寸法になるが、軸方向に略一定になるので、成型をする場合はボデイ７ｂの底部７ｂ_２に溶融樹脂の注入口となるゲイト（図示略）を設けた場合、樹脂の流れは底部７ｂ_２から円環部７ｂ_１の方向へ向かい（図中、右から左）、芯金７ａのつば部７ａ_３による隘路が形成されていないので、軸方向で樹脂の流れがよくなり、一体成型による軸方向の冷却速度に差が生じないようになっている。

従って、冷却による樹脂の収縮による円筒部７ａ_１の外周面７ａ_２の径方向寸法変化はないので、エンドキャップ７の外輪１への固定力は安定する。

円環部７ｂ_１に連なる底部７ｂ_２はエンドキャップ７がハブユニット軸受Ｈ_１に取付けられたときに、完全に軸受空間を覆うように有蓋円筒形状になっている。底部７ｂ_２には、磁気エンコーダ６からの信号を捉えるセンサー部８を取付ける取付け穴７ｂ_３が設けられている。

外輪１の端面１５と当接するボデイ７ｂの平面部７ｂ_５には、Ｏ−リング７ｃを収容する円周溝７ｃ_１が形成されていて、この円周溝７ｃ_１に、ゴム製のＯ−リング７ｃが軸方向に押圧された状態で収納されエンドキャップ７の芯金７ａが外輪１の内周面１ｄに圧入されてエンドキャップ７が外輪の端面１５に当接されたとき、端面１５と平面部７ｂ_５との密封性を高める機能がある。

センサー部８は、ボデイの底部７ｂ_２に設けられている取付け穴７ｂ_３に嵌合固定される取付け部８１とボデイ７ｂの端部に押圧される座部８２と検出部８３と信号を制御装置へ送るリード線８４よりなる。センサー部８の検出部８３と磁気エンコーダ６とは軸方向に所定の間隙Ｓをもって対向している。

次に、図３を参照しながら参考例１を説明する。

図３は、図２に対応するものである。

図１および図２に比べて異なる点は、芯金７ａの形状が異なることである。芯金７ａは、第１円筒部７ａ_４と第１円筒部７ａ_４の所定の位置から径方向外方に径寸法が所定寸法だけ大きくなっている段部７ａ_３が設けられている。芯金７ａは第１円筒部７ａ_４および段部７ａ_３になっているので径方向の剛性は高く維持される。

ボデイ７ｂの外周面７ｂ_４と第１円筒部７ａ_４との径寸法差７ｔ_１および段部７ａ_３との径寸法差７ｔ_２との差は大きくなく、ボデイ７ｂの外周面７ｂ_４と芯金７ａとの間が隘路になっていないので樹脂の流れはよい。従って、芯金７ａの第２円筒部７ａ_５の径寸法変化はないから、エンドキャップ７の外輪１への固定力は安定する。

また、この芯金の形状でも外輪内周面と嵌合する第２円筒部は、円筒形状であるため、シェービング加工により寸法精度の高い嵌合面が得られる。

他の点については図１、図２においてすでに説明済であるから、同一部位、同一符号に関しては説明を省略する。

図４は本実施形態の変形例１であるハブユニット軸受Ｈ_２の中心線Ｘ−Ｘの上半分断面図を示す。

本変形例は、実施形態１の図１に比べて相違する点は、図１がハブ軸２ａｈのフランジ側軌道２ａ_１を一体に設けているのに対し、本変形例では、車両中心側に設けてある内輪要素２ｂと略同様な内輪要素２ｄを設け、二つの内輪要素２ｂ、２ｄを互いに小径側端部２ｂ_５、２ｄ_５でつき合わせた構成としている。他の点に関しては図１において説明しているから、同一符号、同一部位に関する説明は省略する。

なお、実施形態１、参考例１ならびに変形例１では転動体としてボールを使用しているが、円すいころをしても実施するものである。

本発明の実施形態１を説明する上半分断面図である。図１のＡ部の拡大図である。参考例１を示す、図２相当図である。実施形態１の変形例１を示す上半分断面図である。

符号の説明

Ｈ_１、Ｈ_２：ハブユニット軸受
１：外輪
１１、１２：内周軌道
１３：外輪の車両外端側端部
１４：外輪の車両中心側端部
１５：車両中心側外輪端面
１ｃ、１ｄ：外輪内周面
２：内輪
２ａ_１：外周軌道
２ｂ、２ｄ：内輪要素
２ｂ_１：外周軌道
２ａｈ：ハブ軸
２ｃ：段部
２ｍ：中央部
２ｎ：小径部
２ｎ_１：固定部
３：転動体
４：保持器
５ａ：車両外端側密封シール部材
６：エンコーダ
６ａ：多極磁石
６１：ヨーク
６２：円筒部
６３：円すい部
６４：つば部
７：エンドキャップ
７ａ：芯金
７ａ_１：円筒部
７ａ_２：円筒部外周面
７ａ_３：つば部、段部
７ａ_４：第１円筒部
７ａ_５：第２円筒部
７ｂ：ボデイ
７ｂ_１：円環部
７ｂ_２：底部
７ｂ_３：取付け部
７ｂ_４：外周面
７ｂ_５：平面部
７ｃ：Ｏ−リング
７ｃ_１：環状溝
７ｔ、７ｔ_１、７ｔ_２：肉厚寸法
８：センサー部
８１：取付け部
８２：座部
８３：検出部
８４：リード線
Ｓ：間隙

Claims

内周軌道を有する外輪と、
外周軌道を有する内輪と、
前記外輪と前記内輪間に介装されている転動体と、
外輪の車両外端側端部に設けられている密封シール部材と、
内輪の車両側端部に設けられたエンコーダと、
外輪の車両中心側端部に取付けられ、軸受空間を密閉するエンドキャップと、
該エンドキャップに取付けられているセンサー部とからなり、
前記エンドキャップは、合成樹脂製のボデイと芯金とからなる一体成形品であり、
前記ボデイは合成樹脂製の円環部と該円環部に連なる合成樹脂製の底部とからなり、
前記底部にはセンサー部が取付けられており、
前記芯金は前記ボデイ底部の車両外端側面よりも車両中心側に延び前記円環部に埋め込まれている第１円筒部および該第１円筒部の車両中心側軸方向端部に形成された補強部と、前記円環部から突き出て車両外端側に延びる第２円筒部とからなり、
該第２円筒部外周面は前記外輪の内周面に圧着嵌合され、前記円環部の車両外端側面部と前記外輪の車両中心側端面とが当接するハブユニット軸受において、
前記第１円筒部と前記第２円筒部の外径寸法は同じであって、
前記補強部は前記第１円筒部の車両中心側軸方向端部を径方向内方に折り曲げたつば部であり、
前記第１円筒部と前記補強部とを埋め込んで囲繞する前記合成樹脂製の円環部が軸方向に略一定である肉厚寸法を有し、
前記円環部の車両外端面部には円周溝が形成され、該円周溝にＯ−リングが前記芯金の外周面に接するように収容されていることを特徴とするハブユニット軸受。
前記第２円筒部の外周部は補強部の曲げ加工後にシェービング加工されていることを特徴とする請求項１に記載のハブユニット軸受。