JP4749044B2 - 電気かみそり器の内刃及びその製法 - Google Patents
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Description
金属薄板に切刃を形成するには、スリット孔、切刃を含めたパターン全体をエッチングによって加工する方法(特許文献1)と、予め開設されたスリット孔に対して、切刃をエッチングや精密研磨で形成する方法がある。
前者の場合は、切刃を含む全ての角部が鋭角になり、組立時等において危険なため、切刃以外の鋭角部は研磨等の後加工によって角部を殺さねばならない。
後者の場合は、予め金属薄板をプレス加工によって内刃の形状に打抜き、次にエッチングや精密研磨によって切刃を形成しなければならない。
何れの場合も、2つ以上の種類の異なる加工が必要であった。
又、エッチング工程において、ピンホールやオーバエッチング等の不良は、検出が困難であり、これら不良品は、切刃を形成した金属薄板を逆U字状に湾曲させる際に折損する虞れがある。このためも製造コストを抑えるための前提となる、高い歩留まりでの大量生産には、大きな障害が伴う。
ハンドル部(1)は、縦長でに形成され電源スイッチ(11)を具えている。
外刃(3)(3)は、髭の1本1本が嵌まる多数の小孔(31)(31)が開設されている。
スリット孔列は、金属薄板(41)の幅中心線Lに対して少し傾いて開設されている。
各スリット孔(42)(42a)は、外刃(3)と摺接する髭切断有効範囲Aよりも両端がはみ出る様に開設され、該はみ出し部は、後記する髭切断有効範囲Aに対するプレス加工の際の応力逃し部(40)となっている。図5に示す如く、髭切断有効範囲Aにおいて、スリット孔(42)(42a)の孔縁は斜面(43)(43)に形成されて、斜面の下端は鋭角な切刃(43a)(43a)となっている。
先ず、図6に示す如く、スリット孔列と取付け孔(44)を開設した金属薄板(41)を準備する。
スリット孔列と取付け孔(44)の開設は、プレスの打抜きによって能率的に行うことができる。
図7、図8はプレス機での切刃(43a)(43a)の成形工程を示しており、プレス機のワーク(金属薄板(41))の受台(6)に対して該受台(6)の上方にパンチ型(5)と保形型(7)が昇降可能に配備される。
同一プレス機に、第1ステーションS1と第2ステーションS2の2つのステーションが設定されて、金属薄板(41)は、第1ステーションS1での加工が終わると、フィーダ(図示せず)によって第2ステーションS2に送られて次の加工が成される。
使用するプレス機械は、パンチ型(5)と保形型(7)の下死点を正確に制御できるプレス機である。
図7、図8に示す第1ステーションS1及び第2ステーションS2の各型条(51)は、スリット孔(42)(42a)の前記髭切断有効範囲Aの長さに対応する長さであり、長手方向と直交する断面は逆台形を呈し、該逆台形の下底(51b)の幅はスリット孔(42)(42a)の幅よりも少し小さい。台形の上底幅、即ち、型条(51)の最大幅はスリット孔(42)(42a)の幅より少し大きい。台形の高さは、金属薄板(41)の厚みに対応している。
各押え部(71)は、スリット孔(42a)に緊密に嵌まる嵌り部(73)と、該嵌り部(73)の両側に、隣り合うスリット孔(42)(42a)間の細帯状部(49)を押圧する押え面(72)(72)を有している。
図8に示す第2ステーションS2の各押え部(71)の嵌り部(73)は、前記パンチ型(5)の型条(51)に対応する断面逆台形に形成されている。
図7(b)に示す如く、パンチ型(5)と保形型(7)が下降して、先ず、保形型(7)がその嵌り部(73)を金属薄板(41)の1つ置きのスリット孔(42a)(42a)に嵌め、押え面(72)で金属薄板(41)のスリット孔(42)(42a)間の細帯状部(49)を変形させない程度に押圧する。
上記状態で図7(c)に示す如く、パンチ型(5)の型条(51)が金属薄板(41)の残りのスリット孔(42)(42)に打ち込まれる。
型条(51)の下死点は、型条(51)の下面が受台(6)の上面と一致する様に制御される。又、金属薄板(41)の細帯状部(49)と型条(51)と受台(6)との3者の間に隙間が生じることのない様に、型条(51)は設計されている。これによって、スリット孔(42)(42)の長手方向の孔縁は、各型条(51)の両斜面(51a)(51a)に対応して斜面(43)(43)に形成され、斜面(43)(43)の下端には、鋭角の切刃(43a)(43a)が形成される。
保形型(7)は、金属薄板(41)がパンチ型(5)と一緒に持ち上がることを防止するストリッパの役割を兼用している。
金属薄板(41)は、図8(a)に示す如く、第2ステーションS2へ移送され、未加工のスリット孔(42a)(42a)がパンチ型(5)の型条(51)(51)に対応し、孔縁が斜面(43)(43)に加工されたスリット孔(42)(42)が、保形型(7)の嵌り部(73)に対応する様に位置決めしてセットされる。
上記状態で図8(c)に示す如く、パンチ型(5)の型条(51)が金属薄板(41)の未加工のスリット孔(42a)(42a)に打ち込まれる。これによって、スリット孔(42a)(42a)の長手方向の孔縁は、各型条(51)の両斜面(51a)(51a)に対応して斜面(43)(43)に形成され、斜面(43)(43)の下端には、鋭角の切刃(43a)(43a)が形成される。
これは、図9(a)に示す予備湾曲工程と、図9(b)に示す本湾曲工程の2段階で行なう。
予備湾曲工程では、断面逆台形の凹条(83)を有する第1雌型(81)と、該凹条(83)に対応する形状の凸条(84)を有する第1雄型(82)との間に金属薄板(41)を挟み込んで該金属薄板を断面逆台形状に屈曲する。
本湾曲工程では、上記断面逆台形の金属薄板(41)の下底の幅に対応する開口幅の断面逆U字状の溝条(87)を有する第2雌型(85)と、該溝条(87)に溝幅方向に余裕のある状態に嵌まり下端に溝条の円弧状底面に対応する円弧断面の加圧部(88)を有する第2雄型(86)との間に、上記断面逆台形の金属薄板(41)を挟み込んで、該金属薄板の下底を円弧状に湾曲させると共に、金属薄板(41)の上向き両端をスプリングバックを見込んで互いに接近する方向に湾曲させる。
又、パンチ型(5)によるスリット孔(42)(42a)への加圧は、スリット孔列の1つ置きのスリット孔(42)(42)に対して同時にない、加圧するスリット孔(42)(42)と隣り合うスリット孔(42a)(42a)との間の細帯状部(49)及び該スリット孔(42a)(42a)は保形型(7)で押圧した状態で行うから、金属薄板(41)のスリット孔周辺の撓み変形は防止され、スリット孔(42)(42a)の配列ピッチが小さくても、正確に切刃(43a)を形成できる。
金属薄板(41)は、髭切断有効領域A(スリット孔を開設する範囲)に少し食い込んで、開設予定の各スリット孔の両側に連続可能な応力逃し孔(48)(48)が開設されている。
上記応力逃し孔(48)をプレス加工で打抜く際に、取付け孔(44)も打抜き開設しておく。
従って、受台(6)には、各型条(51)の位置に対向して打抜きカスを排出する排出孔(61)が開設されている。
図13に示す如く、排出孔(61)の上端の開口幅は、逆台形の型条(51)の下底(51b)の幅より僅か広い。
型条(51)の下死点は、型条(51)の下端が排出孔(61)に僅か侵入して、型条(51)の両斜面(51a)(51a)が排出孔(61)の孔縁に接する様に制御される。
図11に示す第1ステーションS1の保形型(7)の各押え部(71)の下面には、金属薄板(41)に食い込む先尖りの凸条(74)が形成され、凸条(74)の両側は金属薄板(41)に対する押え面(72)(72)となっている。
図12に示す如く、第2ステーションS2の保形型(7)の押え部(71)は、前記図8に示す保形型(7)の押え部(71)と同様の形状に形成されている。
図11(b)に示す如く、パンチ型(5)と保形型(7)が下降して、先ず、保形型(7)がその凸部(74)を金属薄板(41)に打ち込むと共に、押え面(72)(72)で金属薄板(41)の上面を押圧する。
上記状態で図11(c)に示す如く、パンチ型(5)の型条(51)が金属薄板(41)に打ち込まれる。これによって、金属薄板(41)にスリット孔(42)(42)が開設されると共に、スリット孔(42)(42)の孔縁は、各型条(51)の両斜面(51a)(51a)に対応して斜面(43)(43)に形成され、斜面(43)(43)の下端には、鋭角の切刃(43a)(43a)が形成される。
金属薄板(41)は、図12(a)に示す如く、第2ステーションS2へ移送され、切刃(43a)(43a)を具えたスリット孔(42)(42)が保形型(7)の押え部(71)(71)に対応する様に位置決めしてセットされる。
上記状態で図12(c)に示す如く、パンチ型(5)の型条(51)が金属薄板(41)に打ち込まれる。これによって、金属薄板(41)の前記スリット孔(42)(42)間にスリット孔(42a)(42a)が開設されると共に、スリット孔(42a)(42a)の孔縁は、各型条(51)の両斜面(51a)(51a)に対応して斜面(43)(43)に形成され、斜面(43)(43)の下端には、鋭角の切刃(43a)(43a)が形成される。
尚、前記図7、図8の実施例において、上記同様に受台(6)に排出孔(61)を開設し、型条(51)の下死点を、該排出孔(61)に僅か嵌まり込み、両斜面(51a)(51a)が、排出孔(61)の孔縁に接する様に制御すれば、バリの発生を確実に無くすことができる。
金属薄板(41)のスリット孔(42)(42a)の両端に、各スリット孔(42)(42a)に跨る様に、金属薄板(41)の全長に亘って細溝(9)を開設して、スリット孔(42)(42a)間の細帯状部(49)に薄肉部(91)を開設している。この様にすることで、髭を切断した際の細帯状部(49)の振動を助長して、切断音を大きくできる。従って、剃り音を聞いて、剃り残しの有無が容易に検知できる。
薄肉部(91)は、細帯状部(49)の端部ほど効果がある。細帯状部(49)の少なくとも1箇所に薄肉部(91)が存在していれば、剃り音を大きくする効果が認められる。
髭を切断する際、該スリット孔と隣り合う細帯部が髭の切断方向に振動するため、切れ味が低下すると共に、振動の変位量も大きくなってしまう。又、落下や異物挿入があった場合、スリット孔が長いと、破損し易く、危険度も高い。
本実施例では、金属薄板(41)の細帯状部(49)の一部を薄くするため、薄肉部分を任意の位置に設定することが可能となる。この結果、髭を切断する際に起きるスリット孔間の細帯状部(49)の振動の支点を任意に設定できると共に、振動の変位量を少なくできるため、切れ味の低下を抑えることができる。又、スリット孔(42)(42a)を長くする必要がないため、破損の危険度も小さくなる。
4 内刃
41 金属薄板
42 スリット孔
43 斜面
48 応力逃し孔
5 パンチ型
51 型条
51a 斜面
51b 下底
6 受台
7 保形型
71 押え部
72 押え面
73 嵌り部
Claims (4)
- 髭が嵌まり込む多数の小孔を開設した断面逆U字状の外刃に対し、該外刃の内側にて外刃に摺接スライドしてスリット孔列の各孔縁で髭を刈る断面逆U字状の内刃の製法であって、金属薄板に、外刃と摺接する有効領域に、内刃のスライド方向と交叉する方向に延びるスリット孔を該スライド方向に等間隔にプレス加工により打抜き形成し、次にスリット孔の幅より僅か狭幅の下底を有する断面逆台形の型条を規則的に配列したパンチ型と、該パンチ型に対向した受台との間に、上記スリット孔を施した金属薄板をセットして、型条の台形斜面でスリット孔の長手方向の孔縁をプレス加工により加圧して該孔縁を斜面に形成し、これによって孔縁の下端断面を鋭角にして切刃を形成し、この金属板を該切刃が外側となる様に断面逆U字状に湾曲して保形し、
パンチ型によるスリット孔への加圧は、スリット孔列の1つ置きのスリット孔に対して同時に行い、加圧するスリット孔と隣り合うスリット孔との間の細帯状部及び該スリット孔には押え型が被さって、該スリット孔周縁の変形を防止する内刃の製法。 - 髭が嵌まり込む多数の小孔を開設した断面逆U字状の外刃に対し、該外刃の内側にて外刃に摺接スライドしてスリット孔列の孔縁で髭を刈る断面逆U字状の内刃の製法であって、パンチ型と、該パンチ型に対向した受台との間に、断面逆台形を呈する型条を規則的に配列したパンチ型と、該パンチ型に対向する受台との間に、金属薄板をセットして、パンチ型の各型条の下端のエッジで金属薄板にスリット孔列をプレス加工により打抜き形成すると共に、型条の両斜面でスリットの長手方向の孔縁をプレス加工により加圧して該孔縁を斜面に形成し、これによって孔縁の下端断面を鋭角にして切刃を形成し、この金属板を該切刃が外側となる様に断面逆U字状に湾曲して保形し、
パンチ型によるスリット孔の打抜き及び切刃の形成は、開設予定のスリット孔列の1つ置きのスリット孔を同時に行い、打ち抜くべきスリット孔の周辺は押え型によって押さえて金属板の変形を防止している内刃の製法。 - 金属薄板に開設すべき各スリット孔の両端にスリット孔に連続可能な応力逃がし孔が、予め金属薄板に打抜き開設されている請求項2に記載の内刃の製法。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の内刃の製法によって製造された内刃。
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