JP4746995B2 - 光学ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、低いガラス転移温度(Tg)及び高屈折率低分散性を有し、軽量で、精密モールドプレス成形に適した光学ガラスに関する。
光学系を構成するレンズには一般に球面レンズと非球面レンズがある。多くの球面レンズは、ガラス材料をリヒートプレス成形して得られたガラス成形品を研削研磨することによって製造される。一方、非球面レンズは、加熱軟化したレンズプリフォーム材を、高精度な成形面をもつ金型でプレス成形し、金型の高精度な成形面の形状をレンズプリフォーム材に転写して得る方法、すなわち、精密モールドプレス成形によって製造されることが主流となっている。
精密プレス成形によって非球面レンズのようなガラス成形品を得るにあたっては、前述したように高温環境下でプレス成形することが必要であるので、この際使用する金型も高温に曝され、また、金型に高いプレス圧力が加えられる。そのため、レンズプリフォーム材を加熱軟化させる際及びレンズプリフォーム材をプレス成形する際に、金型の成形面が酸化、侵食されたり、金型成形面の表面に設けられている離型膜が損傷したりして金型の高精度な成形面が維持できなくなることが多く、また、金型自体も損傷し易い。そのようになると、金型を交換せざるを得ず、金型の交換回数が増加して、低コスト、大量生産を実現できなくなる。そこで、精密プレス成形に使用するレンズプリフォーム材となるガラスは、上記損傷を抑制し、金型の高精度な成形面を長く維持し、かつ、低いプレス圧力での精密プレス成形を可能にするという観点から、できるだけ低いガラス転移温度(Tg)を有することが望まれている。
精密プレス成形を行う場合、そのレンズプリフォーム材となるガラスは表面が鏡面、あるいはそれに近い状態である必要がある。ここで、レンズプリフォーム材の作製法は、滴下法によって熔融ガラスから直接作製される方法と研削研磨によって作製される方法が一般的である。研削研磨によってレンズプリフォーム材を作製する場合、ガラス表面を削り取るので、ガラス表面だけに発生している失透などの外観不良があっても特に問題なく使用可能である。これら研削研磨によって作製されるレンズプリフォーム材には、リヒートプレス品の表面を研磨加工したものや、真球度の高い球状に加工されたものが例として挙げられる。
また、これら光学ガラスが使用される光学系はデジタルカメラなどの光学製品に搭載されるが、近年の小型軽量化の流れを受けて、光学系を構成するレンズについても軽量であることが求められている。
以上の理由より、光学設計上の有用性という観点で従来から高屈折率低分散性を有し、ガラス転移温度(Tg)が低く、軽量の光学ガラスが強く求められている。
特に、屈折率(nd)が1.73〜1.80未満、アッベ数(νd)が43〜55の範囲の光学定数を有する高屈折率低分散性の光学ガラスが強く求められている。
高屈折率低分散性の光学ガラスは光学設計上非常に有用であるため、古くから種々のガラスが提案されている。
特開2002−249337号公報には屈折率が1.72〜1.83、アッベ数が45〜55の光学ガラスが記載されている。しかし、この公報に記載の光学ガラスは、La、Gdを主体とする成分構成であってYを含んでいないために比重が大きくなり、小型軽量化できないという不利益がある。また、実施例に記載された光学ガラスはガラス転移点が高すぎるため、精密プレス成形を行うには適切とは言えない。
また、特開2003−201143には屈折率が1.75〜1.85、アッベ数が40〜55の光学ガラスが記載されている。しかし、この公報に記載の光学ガラスは、La、Gdを主体とする成分構成であってYを含んでいないために比重が大きくなり、小型軽量化できないという不利益がある。
さらに特許文献1及び2の公報に具体的に開示されている光学ガラスの中で、前述した光学定数の範囲を満たすものは、質量%の比率でSiO2/B23が0.30〜1.55、かつY23/La23が0.15〜1.00、の範囲外にあり、後述の本願発明における所望の特性を十分に満たすものではない。
特開2002−249337号公報 特開2003−201143号公報
本発明の目的は、前記背景技術に記載した光学ガラスに見られる諸欠点を総合的に解消し、前記の光学定数を有し、ガラス転移温度(Tg)が低く、軽量な、精密モールドプレス成形に適した光学ガラスを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、特定量のSiO2、B23、Y23、La23、ZnO、Li2Oを含有させることにより、前記の光学定数を有し、ガラス転移温度(Tg)が低く、軽量な、精密モールドプレス成形に適した光学ガラスが得られた。さらに本発明者は、所望の光学定数を維持しつつ軽量化を実現するために、特にYとLaを使用し所定量含有させることが好ましいことを見出し、さらに、光学ガラスとして安定に生産可能で耐失透性に優れる特性を保持させるために、特にSiO及びB、並びにY及びLaを所定の比率で含有させることが好ましいことを見出した。
本発明の第1の構成は、屈折率(nd)が1.73〜1.80未満、アッベ数(νd)が43〜55の範囲の光学定数を有し、必須成分としてSiO2、B23、Y23、La23、ZnO及びLi2Oを含有し、実質的に鉛成分、ヒ素成分、弗素成分を含まず、酸化物基準の質量%の比率でSiO2/B23が0.30〜1.55、かつY23/La23が0.15〜1.00、ガラス転移温度(Tg)が620℃以下であることを特徴とする光学ガラス。である。
本発明の第2の構成は、酸化物基準の質量%で、LiOを1%より多く含有し、ガラス転移温度(Tg)が570℃以下であることを特徴とする前記構成1の光学ガラスである。
本発明の第3の構成は、酸化物基準の質量%で、Y23を5%より多く含有し、かつLaを10%以上含有し、比重が4.5以下であることを特徴とする前記構成1〜2の光学ガラスである。
本発明の第4の構成は、酸化物基準の質量%で、
SiO2 5%より多く20%以下
23 5〜25%未満
23 5%より多く35%以下
La23 10〜50%
ZnO 5%より多く25%未満、及び
Li2O 1%より多く6%以下
並びに
Gd23 0〜20%及び/又は
Yb23 0〜20%及び/又は
ZrO2 0〜10%及び/又は
Ta25 0〜8%未満及び/又は
WO3 0〜5.5%未満及び/又は
Sb23 0〜1%
の各成分を含有することを特徴とする光学ガラスである。
本発明の第5の構成は、酸化物基準の質量%で、
SiO2 5%より多く20%以下及び/又は
23 5〜25%未満及び/又は
23 5%より多く35%以下及び/又は
La23 10〜50%及び/又は
ZnO 5%より多く25%未満及び/又は
Li2O 1%より多く6%以下及び/又は
並びに
Gd23 0〜20%及び/又は
Yb23 0〜20%及び/又は
ZrO2 0〜10%及び/又は
Ta25 0〜8%未満及び/又は
WO3 0〜5.5%未満及び/又は
Sb23 0〜1%
の各成分を含有することを特徴とする前記構成1〜3の光学ガラスである。
本発明の第6の構成は、酸化物基準の質量%で、
NaO 0〜5%及び/又は
O 0〜5%及び/又は
MgO 0〜5%及び/又は
CaO 0〜15%未満及び/又は
SrO 0〜10%及び/又は
BaO 0〜15%及び/又は
GeO 0〜5%及び/又は
Al 0〜5%及び/又は
TiO 0〜3%未満及び/又は
Nb 0〜3%未満及び/又は
Bi 0〜10%未満
の各成分を含有することを特徴とする前記構成1〜5の光学ガラスである。
本発明の第7の構成は、液相温度が1160℃以下であり、液相温度における粘度(dPa・s)の対数logηの値が0.3〜2.0であることを特徴とする前記構成1〜6の光学ガラスである。
本発明の第8の構成は、前記構成1〜7の光学ガラスからなるレンズプリフォーム材である。
本発明の第9の構成は、前記構成8のレンズプリフォーム材を精密プレス成形してなる光学素子である。
本発明の第10の構成は、前記構成1〜7の光学ガラスを精密プレス成形してなる光学素子である。
本発明の光学ガラスの各成分について説明する。以下、特に断らない限り各成分の含有率は質量%を意味する。
SiO2成分は、本発明の光学ガラスにおいて、ガラスの粘度を高め、耐失透性および化学的耐久性を向上させるのに非常に有効であり、欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとその効果が不十分であり、多すぎるとガラス転移温度(Tg)の上昇や熔融性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは5%より多く、より好ましくは5.1%、最も好ましくは5.5%を下限として含有することができ、好ましくは20%、より好ましくは18%、最も好ましくは15%を上限として含有することができる。
SiOは、原料として例えばSiO等を使用してガラス内に導入される。
23成分は、ランタン系ガラスである本発明の光学ガラスにおいて、ガラス形成酸化物成分として欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎると耐失透性が不十分となりやすく、多すぎると屈折率が低くなって目的とする光学定数の範囲から外れ、化学的耐久性が悪くなりやすくなる。従って、好ましくは5%、より好ましくは8%、最も好ましくは10%を下限として含有することができ、好ましくは25%未満、より好ましくは22%以下、最も好ましくは20%未満含有することができる。
23は、原料として例えばH3BO3、B23等を使用してガラス内に導入される。
23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに有効であり、高屈折率低分散性を有する本発明のガラスにおいては、軽量化を実現する上で欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとガラスの光学定数の値を前記範囲内に維持しにくくなり、多すぎると耐失透性が悪くなりやすくなる。従って、好ましくは5%より多く、より好ましくは6%、最も好ましくは10%を下限として含有することができ、好ましくは35%、より好ましくは30%、最も好ましくは25%を上限として含有することができる。
23は、原料として例えばY23等を使用してガラス内に導入される。
La23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに有効であり高屈折率低分散性を有する本発明のガラスに欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとガラスの光学定数の値を前記範囲内に維持しにくくなり、多すぎると耐失透性が悪くなりやすくなる。従って、好ましくは10%、より好ましくは15%、最も好ましくは20%を下限として含有することができ、好ましくは50%、より好ましくは45%、最も好ましくは40%を上限として含有することができる。
La23は、原料として例えばLa23、硝酸ランタン又はその水和物等を使用してガラス内に導入される。
ZnO成分は、ガラス転移温度(Tg)を低くする効果が大きく、欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとその効果が不十分となりやすく、多すぎると耐失透性が悪くなりやすくなる。従って、好ましくは5%を超え、より好ましくは8%を超え、最も好ましくは12%を下限として含有することができ、好ましくは25%未満、より好ましくは23%、最も好ましくは20%を上限として含有することができる。
またZnOは、原料として例えばZnO等を使用してガラス内に導入できる。
Li2O成分は、ガラス転移温度(Tg)を大幅に下げ、かつ、混合したガラス原料の溶融を促進する効果を有するため、欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとその効果が不十分となりやすく、多すぎると耐失透性が急激に悪化しやすくなる。従って、好ましくは1%を超え、より好ましくは1.5%を下限とし、最も好ましくは2%を超えて含有することができ、好ましくは6%、より好ましくは5%、最も好ましくは4%を上限として含有することができる。
またLi2Oは、原料として例えばLi2O、Li2CO3、LiOH、LiNO3等を使用してガラス内に導入できる。
Gd23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性および化学的耐久性が悪くなることがある。従って、好ましくは20%、より好ましくは3%未満、を上限として含有することができ、実質的に含有しないことが最も好ましい。
またGd23は、原料として例えばGd23等を使用してガラス内に導入される。
Yb23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性および化学的耐久性が悪くなることがある。従って、好ましくは20%、より好ましくは10%、最も好ましくは5%を上限として含有することができる。
またYb23は、原料として例えばYb23等を使用してガラス内に導入される。
ZrO2成分は、光学定数を調整し、耐失透性を改善し、化学的耐久性を向上させる効果のある成分である。しかし、その量が多すぎると逆に耐失透性が悪くなることがあり、ガラス転移温度(Tg)を所望の低い値に維持し難くなる傾向にある。従って、好ましくは10%、より好ましくは6%、最も好ましくは5%を上限として含有することができる。
またZrO2は、原料として例えばZrO2等を使用してガラス内に導入される。
Ta25成分は、屈折率を高め、化学的耐久性及び耐失透性を改善する効果のある成分である。しかし、その量が多すぎると上記範囲の光学定数を維持し難くなる傾向にある。従って、好ましくは8%未満、より好ましくは5%、最も好ましくは4%を上限として含有することができる。
またTa25は、原料として例えばTa25等を使用してガラス内に導入される。
WO3成分は、光学定数を調整し、耐失透性を改善する効果がある。しかし、その量が多すぎると逆に耐失透性や可視光領域の短波長域の光線透過率が悪くなることがある。従って、好ましくは5.5%未満、より好ましくは4%未満、最も好ましくは2%を上限として含有することができる。
またWO3は、原料として例えばWO3等を使用してガラス内に導入される。
Sb23成分は、ガラス溶融時の脱泡のために任意に添加しうるが、その量が多すぎると可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなることがある。従って、好ましくは1%、より好ましくは0.5%、最も好ましくは0.1%を上限として含有できる。
TiO2成分は、光学定数を調整し、耐失透性を改善する効果がある。しかしその量が多すぎると逆に耐失透性が悪くなりやすく、可視光短波長域の透過率も悪化することがある。従って、好ましくは3%未満、より好ましくは2%、最も好ましくは1%未満を上限として含有することができる。
TiO2は、原料として例えばTiO2等を使用してガラス内に導入される。
Nb25成分は、屈折率を高め、化学的耐久性及び耐失透性を改善する効果がある。しかし、その量が多すぎると逆に耐失透性が悪くなりやすく、可視光短波長域の透過率も悪化することがある。従って、好ましくは3%未満、より好ましくは2%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
またNb25は、原料として例えばNb25等を使用してガラス内に導入される。
Bi23成分は、屈折率を高める効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなることがある。従って、好ましくは10%未満、より好ましくは5%、最も好ましくは3%を上限として含有することができる。
またBi23は、原料として例えばBi23等を使用してガラス内に導入される。
Na2O成分は、ガラス転移温度(Tg)を下げる効果を有する成分である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは5%、より好ましくは3%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
またNa2Oは、原料として例えばNa2O、Na2CO3、NaOH、NaNO3等を使用してガラス内に導入できる。
2O成分は、ガラス転移温度(Tg)を下げる効果を有する成分である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは5%、より好ましくは3%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
またK2Oは、原料として例えばK2O、K2CO3、KOH、KNO3等を使用してガラス内に導入できる。
MgO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなることがある。従って、好ましくは5%、より好ましくは3%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
MgO成分は、原料として例えばMgOまたはその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を使用してガラス内に導入できる。
CaO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなることがある。従って、好ましくは15%未満、より好ましくは10%、最も好ましくは5%を上限として含有することができる。
CaO成分は、原料として例えばCaOまたはその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を使用してガラス内に導入できる。
SrO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなることがある。従って、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは3%を上限として含有することができる。
SrO成分は、原料として例えばSrOまたはその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を使用してガラス内に導入できる。
BaO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなることがある。従って、好ましくは15%、より好ましくは10%、最も好ましくは5%を上限として含有することができる。
BaO成分は、原料として例えばBaOまたはその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を使用してガラス内に導入できる。
GeO2成分は、屈折率を高め、耐失透性を向上させる効果を有する成分であるが、原料が非常に高価であるため、好ましくは5%を上限とし、より好ましくは3%、最も好ましくは1%を上限として含有できる。
またGeO2は、原料として例えばGeO2等を使用してガラス内に導入される。
Al23成分は、化学的耐久性の改善に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなることがある。従って、好ましくは5%、より好ましくは3%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
またAl23は、原料として例えばAl23、Al(OH)3等を使用してガラス内に導入される。
TeO2成分は、屈折率を高める効果を有する成分であるが、白金製の坩堝や、溶融ガラスと接する部分が白金で形成されている溶融槽でガラス原料を溶融する際、テルルと白金が合金化し、合金となった箇所は耐熱性が悪くなるため、その箇所に穴が開き、溶融ガラスが流出する事故がおこる危険性が憂慮される。従って、好ましくは8%を上限とし、より好ましくは5%、最も好ましくは3%を上限として含有できる。
またTeO2は、原料として例えばTeO2等を使用してガラス内に導入される。
Ga23成分は、屈折率を高める効果を有する成分であるが、原料が非常に高価であるため、好ましくは1%を上限とし、より好ましくは0.5%、最も好ましくは0.1%を上限として含有できる。
またGa23は、原料として例えばGa23等を使用してガラス内に導入される。
なお、上記ガラス中に存在する各成分を導入させるために使用される原料は、例示の目的で記載したものであり、上記列挙された酸化物等に限定されるものではない。従って、ガラス製造の条件の諸変更に適宜対応させて、公知の材料から選択できる。
本発明者は、前記範囲内の光学定数において、SiO2成分とB23成分の含有量の比を所定の値に調節することにより、低比重で、液相温度とガラス表面に発生する失透を適切な状態に制御し得ることを見出した。すなわちSiO2/B23の値が、好ましくは0.3、より好ましくは0.35、最も好ましくは0.4を下限とすることができ、好ましくは1.55、より好ましくは1.30、最も好ましくは1.26を上限とすることができる。
また、本発明者は、前記範囲内の光学定数において、Y23成分とLa23成分の含有量の比を所定の値に調節することにより、低比重で、液相温度とガラス表面に発生する失透を適切な状態に制御し得ることを見出した。すなわちY23/La23の値が、好ましくは0.15、より好ましくは0.20、最も好ましくは0.26を下限とすることができ、好ましくは1.00、より好ましくは0.90、最も好ましくは0.80を上限とすることができる。
さらに、所望の光学定数を維持し、かつ低比重で、液相温度とガラス表面に発生する失透を適切な状態に制御するためには、SiO2/B23の値、Y23/La23の値を同時に上記所定の好ましい範囲内にするほうがよい。
ここで、液相温度とガラス表面に発生する失透の制御について説明する。光学ガラスを製造する場合、流出したガラスの粘度が一定範囲内にあると、欠陥の少ない成形体を得ることができる。ランタン系の光学ガラスでは総じて粘度が低いため、液相温度を低くして粘度を高め、光学ガラスを製造し易くする。一方で、液相温度とは無関係にガラス表面に失透を発生し易いガラスが存在する。例えば板状に成形されたガラス表面に失透が発生することがある。従って、液相温度を低くし、かつガラス表面に失透が発生しない状況がベストである。本願発明においては、液相温度が低い場合にガラス表面に失透が発生し易く、逆に液相温度が高い場合にガラス表面に失透が発生し難く、相反する関係となっているため、前記限定した特定の範囲内において、両立可能な光学ガラスを得ることができる。なお、前述の通り、ガラス表面の失透発生が最表面に限定して発生している場合には、光学ガラスとして使用可能である。
Lu23、Hf23、SnO2、BeOの各成分は含有させることは可能であるが、Lu23、Hf23は高額原料であるため原料コストが高くなり実際の製造においては現実的ではなく、SnO2は白金製の坩堝や、溶融ガラスと接する部分が白金で形成されている溶融槽でガラス原料を溶融する際に錫と白金が合金化して合金となった箇所は耐熱性が悪くなり、その箇所に穴が開き溶融ガラス流出する事故がおこる危険性が憂慮され、BeOは、環境に有害な影響を与え、環境負荷の非常に大きい成分である、という問題がある。従って、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%を上限として含有され、最も好ましくは含有しない。
次に、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない成分について説明する。
弗素成分は、レンズプリフォーム材となるゴブを作製する際に揮発による脈理などを発生させるため、ゴブの作製が困難である。従って、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
鉛化合物は、精密プレス成形時に金型と融着しやすい成分であるという問題並びにガラスの製造のみならず、研磨等のガラスの冷間加工及びガラスの廃棄に至るまで、環境対策上の措置が必要となり、環境負荷が大きい成分であるという問題があるため、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
As23、カドミウム及びトリウムは、共に、環境に有害な影響を与え、環境負荷の非常に大きい成分であるため、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
25は、本発明の光学ガラスに含有させると、耐失透性を悪化させやすいのでP25を含有させることは好ましくない。
さらに本発明の光学ガラスにおいては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Eu、Nd、Sm、Tb、Dy、Er等の着色成分は、含有しないことが好ましい。ただし、ここでいう含有しないとは、不純物として混入される場合を除き、人為的に含有させないことを意味する。
また、本発明のガラス組成物は、その組成が質量%で表されているため直接的にモル%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各酸化物のモル%表示による組成は、概ね以下の値をとる。
SiO2 10〜40%、
23 8〜40%、
23 2〜18%、
La23 3〜16%、
ZnO 7〜35%、及び
Li2O 4〜24%、
並びに
Gd23 0〜7%及び/又は
Yb23 0〜7%及び/又は
ZrO2 0〜10%及び/又は
Ta25 0〜2%及び/又は
WO3 0〜3%及び/又は
Sb23 0〜1%
NaO 0〜10%及び/又は
O 0〜10%及び/又は
MgO 0〜5%及び/又は
CaO 0〜10%及び/又は
SrO 0〜10%及び/又は
BaO 0〜15%及び/又は
GeO 0〜3%及び/又は
Al 0〜5%及び/又は
TiO 0〜3%未満及び/又は
Nb 0〜2%及び/又は
Bi 0〜2%及び/又は
TeO 0〜5%及び/又は
Ga 0〜1%
SiO2成分は、本発明の光学ガラスにおいて、ガラスの粘度を高め、耐失透性および化学的耐久性を向上させるのに非常に有効であり、欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとその効果が不十分となりやすく、多すぎるとガラス転移温度(Tg)の上昇や熔融性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは10%、より好ましくは10.5%、最も好ましくは11%を下限として含有することができ、好ましくは40%、より好ましくは35%、最も好ましくは30%を上限として含有することができる。
23成分は、ランタン系ガラスである本発明の光学ガラスにおいて、ガラス形成酸化物成分として欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎると耐失透性が不十分となりやすく、多すぎると屈折率が低くなって目的とする光学定数の範囲から外れ、化学的耐久性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは8%、より好ましくは11%、最も好ましくは15%を下限として含有することができ、好ましくは40%、より好ましくは36%、最も好ましくは32%、を上限として含有することができる。
23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに有効であり、高屈折率低分散性を有する本発明のガラスにおいては、軽量化を実現する上で欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとガラスの光学定数の値を前記範囲内に維持し難く、多すぎると耐失透性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは2%、より好ましくは3%、最も好ましくは4%を下限として含有することができ、好ましくは18%、より好ましくは15%、最も好ましくは13%を上限として含有することができる。
La23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに有効であり高屈折率低分散性を有する本発明のガラスに欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとガラスの光学定数の値を前記範囲内に維持し難く、多すぎると耐失透性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは3%、より好ましくは4.5%、最も好ましくは6%を下限として含有することができ、好ましくは16%、より好ましくは15%、最も好ましくは13%を上限として含有することができる。
ZnO成分は、ガラス転移温度(Tg)を低くする効果が大きく、欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとその効果が不十分となりやすく、多すぎると耐失透性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは7%、より好ましくは11%、最も好ましくは15%を下限として含有することができ、好ましくは35%、より好ましくは31%、最も好ましくは28%を上限として含有することができる。
Li2O成分は、ガラス転移温度(Tg)を大幅に下げ、かつ、混合したガラス原料の溶融を促進する効果を有するため、欠かすことのできない成分である。しかし、その量が少なすぎるとその効果が不十分となりやすく、多すぎると耐失透性が急激に悪化する傾向にある。従って、好ましくは4%、より好ましくは6%、最も好ましくは8%を下限として含有することができ、好ましくは24%、より好ましくは20%、最も好ましくは16%を上限として含有することができる。
Gd23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性および化学的耐久性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは7%、より好ましくは1%、を上限として含有することができ、実質的に含有しないことが最も好ましい。
Yb23成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性および化学的耐久性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは7%、より好ましくは4%、最も好ましくは2%を上限として含有することができる。
ZrO2成分は、光学定数を調整し、耐失透性を改善し、化学的耐久性を向上させる効果のある成分である。しかし、その量が多すぎると逆に耐失透性が悪くなりやすく、ガラス転移温度(Tg)を所望の低い値に維持し難くなる傾向にある。従って、好ましくは10%、より好ましくは6%、最も好ましくは5%を上限として含有することができる。
Ta25成分は、屈折率を高め、化学的耐久性及び耐失透性を改善する効果のある成分である。しかし、その量が多すぎると上記範囲の光学定数を維持し難くなる傾向にある。従って、好ましくは2%、より好ましくは1.5%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
WO3成分は、光学定数を調整し、耐失透性を改善する効果がある。しかし、その量が多すぎると逆に耐失透性や可視光領域の短波長域の光線透過率が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは3%、より好ましくは2%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
Sb23成分は、ガラス溶融時の脱泡のために任意に添加しうるが、その量が多すぎると可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなる。従って、好ましくは1%、より好ましくは0.5%、最も好ましくは0.1%を上限として含有できる。
TiO2成分は、光学定数を調整し、耐失透性を改善する効果がある。しかしその量が多すぎると逆に耐失透性が悪くなりやすく、可視光短波長域の透過率も悪化する傾向にある。従って、好ましくは3%未満、より好ましくは2%、最も好ましくは1%未満を上限として含有することができる。
Nb25成分は、屈折率を高め、化学的耐久性及び耐失透性を改善する効果がある。しかし、その量が多すぎると逆に耐失透性が悪くなりやすく、可視光短波長域の透過率も悪化する傾向にある。従って、好ましくは2%、より好ましくは1.5%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
Bi23成分は、屈折率を高める効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは3%、より好ましくは2%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
Na2O成分は、ガラス転移温度(Tg)を下げる効果を有する成分である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは3%を上限として含有することができる。
2O成分は、ガラス転移温度(Tg)を下げる効果を有する成分である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは3%を上限として含有することができる。
MgO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなることがある。従って、好ましくは5%、より好ましくは3%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
CaO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは10%、より好ましくは8%、最も好ましくは5%を上限として含有することができる。
SrO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは3%を上限として含有することができる。
BaO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは10%、より好ましくは8%、最も好ましくは5%を上限として含有することができる。
GeO2成分は、屈折率を高め、耐失透性を向上させる効果を有する成分であるが、原料が非常に高価であるため、好ましくは3%を上限とし、より好ましくは2%、最も好ましくは1%を上限として含有できる。
Al23成分は、化学的耐久性の改善に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪くなる傾向にある。従って、好ましくは5%、より好ましくは3%、最も好ましくは1%を上限として含有することができる。
TeO2成分は、屈折率を高める効果を有する成分であるが、白金製の坩堝や、溶融ガラスと接する部分が白金で形成されている溶融槽でガラス原料を溶融する際、テルルと白金が合金化し、合金となった箇所は耐熱性が悪くなるため、その箇所に穴が開き、溶融ガラスが流出する事故がおこる危険性が憂慮される。従って、好ましくは5%を上限とし、より好ましくは4%、最も好ましくは3%を上限として含有できる。
Ga23成分は、屈折率を高める効果を有する成分であるが、原料が非常に高価であるため、好ましくは1%を上限とし、より好ましくは0.5%、最も好ましくは0.1%を上限として含有できる。
次に本発明の光学ガラスの物性について説明する。
前述のとおり、本発明の光学ガラスは光学設計上の有用性の観点から、好ましくは屈折率(nd)が1.73〜1.80未満かつアッベ数(νd)が43〜55の範囲の光学定数を有し、より好ましくは屈折率(nd)が1.74〜1.795未満かつアッベ数(νd)が44〜50未満の範囲の光学定数を有し、最も好ましくは、屈折率(nd)が1.75〜1.795未満かつアッベ数(νd)が45〜50未満の範囲の光学定数を有する。
本発明の光学ガラスにおいては、Tgが高くなりすぎると前述したように精密プレス成形を行う場合、成形型の劣化などが起こり易くなる。従って、本発明の光学ガラスのTgは好ましくは620℃、より好ましくは570℃、最も好ましくは550℃を上限とする。
また屈伏点Atは好ましくは670℃、より好ましくは620℃、最も好ましくは600℃以下とする。
本発明の光学ガラスでは、光学製品などに搭載される光学系を小型軽量化するため、比重を4.5以下とすることが重要である。より好ましくは4.5未満、特に好ましくは4.4以下である。
本発明の光学ガラスでは、流出したガラスを適切な粘度範囲で成形するために、液相温度を1160℃以下とすることが重要である。より好ましくは1150℃以下、特に好ましくは1150℃未満とすることで、安定生産可能な粘度範囲が広くなり、また、ガラス熔解温度を下げることができるため、消費されるエネルギーを抑えることができる。
液相温度とは、粉砕したガラス試料を白金板上にのせ、温度傾斜のついた炉内に30分間保持した後取り出し、冷却後、ガラス中の結晶の有無を顕微鏡にて観察し、結晶が認められない一番低い温度を表す。
本発明の光学ガラスは精密プレス成形用のプリフォーム材として使用することができる。プリフォーム材として使用する場合、その製造方法及び精密プレス成形方法は特に限定されるものではなく、公知の製造方法及び成形方法を使用することができる。例えば、熔融ガラスから直接プリフォーム材を製造することもでき、また板状に成形されたガラスを冷間加工して製造しても良い。
なお、本発明の光学ガラスを用いて熔融ガラスを滴下させてプリフォームを製造する場合、熔融ガラスの粘度は、低すぎるとガラスプリフォームに脈理が入りやすくなり、高すぎると、自重と表面張力によるガラスの切断が困難になる。
従って、高品質かつ安定した生産のためには、液相温度における粘度(dPa・s)の対数logηの値が好ましくは0.3〜2.0、より好ましくは0.4〜1.8、最も好ましくは0.4を超え〜1.6の範囲である。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本発明のガラスの実施例(No.1〜No.21)の組成を、これらのガラスの屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移温度(Tg)、比重および液相温度と共に表1〜表4に示す。なお、実施例(No.16〜No.21)については、組成、屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移温度(Tg)、比重および液相温度に加えて外観失透も示す。表中、各成分の組成は質量%で表示するものとする。
また、比較例のガラス(No.A〜No.B)の組成を、これらのガラスの屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移温度(Tg)、比重、液相温度および外観失透と共に表5に示す。
Figure 0004746995





Figure 0004746995
























Figure 0004746995























Figure 0004746995






















Figure 0004746995
表1〜表4に示した本発明の実施例の光学ガラス(No.1〜No.21)は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の通常の光学ガラス用原料を表1〜表4に示した各実施例の組成の割合となるように秤量し、混合し、白金るつぼに投入し、組成による熔融性に応じて、1100〜1400℃で、3〜5時間溶融、清澄、攪拌して均質化した後、金型等に鋳込み徐冷することにより得ることができた。
屈折率(nd)及びアッベ数(νd)は徐冷降温速度を−25℃/時にして得られた光学ガラスについて測定した。
ガラス転移温度(Tg)は日本光学硝子工業会規格JOGIS08−2003(光学ガラスの熱膨張の測定方法)に記載された方法により測定した。ただし試験片として長さ50mm、直径4mmの試料を使用した。
比重は日本光学硝子工業会規格JOGIS05−1975(光学ガラスの比重の測定方法)に記載された方法により測定した。
外観失透は、目視検査にて判定した。○はガラス表面に失透が発生していない状態、△はガラスの最表面にのみ失透が発生している状態、×はガラスの表面から内部にかけて失透が発生している状態を表す。
表1〜表4に見られる通り、本発明の実施例の光学ガラス(No.1〜No.21)はすべて、前記範囲内の光学定数(屈折率(nd)及びアッベ数(νd))を有し、ガラス転移温度(Tg)が620℃以下であるため、精密モールドプレス成形に適している。また、比重が4.25〜4.39であるため、光学系の軽量化に有効である。また、表4の実施例の光学ガラス(No.16〜No.21)はSiO2/B23が0.40〜1.25、かつY23/La23が0.26〜0.78の範囲にある。従って、液相温度が1041〜1144℃であり、更にガラス表面に失透が発生しない、あるいは失透が発生してもガラス最表面のみであるため、工業的に使用可能な程度に失透が制御できている。
これに対し、表5に示す組成の比較例A〜Bの各試料について、上記実施例と同じ条件にてガラスを作製し、同一の評価方法により、作製したガラスを評価した。比較例A〜Bに見られる通り、SiO2/B23が0.30〜1.55、かつY23/La23が0.15〜1.00の範囲外にあるため、液相温度と外観失透を両立できていない。従って、工業的には使用できない。
以上、述べたとおり、本発明の光学ガラスは、組成がSiO2−B23−Y23−La23−ZnO−Li2O系であり、かつ、鉛成分、ヒ素成分、弗素成分を含まないガラスであって、屈折率(nd)が1.73〜1.80未満、アッベ数(νd)が43〜55の範囲の光学定数を有し、転移温度(Tg)が620℃以下であるから、精密モールドプレス成形に適しており、比重が4.5以下であるから光学系を軽量化でき、産業上非常に有用である。

Claims (9)

  1. 屈折率(nd)が1.75〜1.80未満、アッベ数(νd)が43〜55の範囲の光学定数を有し、必須成分として酸化物基準の質量%で、
    SiO 5%より多く20%以下
    5〜20%未満
    5%より多く35%以下
    La 10〜50%
    ZnO 5%より多く25%未満
    LiO 1%より多く6%以下を含有し、
    実質的に鉛成分、ヒ素成分、弗素成分を含まず、酸化物基準の質量%の比率でSiO/B が0.30〜1.55、かつY/Laが0.15〜1.00、ガラス転移温度(Tg)が620℃以下であることを特徴とする光学ガラス。
  2. 酸化物基準の質量%で、LiOを1%より多く含有し、ガラス転移温度(Tg)が570℃以下であることを特徴とする請求項1の光学ガラス。
  3. を5%より多く含有し、かつLaを10%以上含有し、比重が4.5以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学ガラス。
  4. 酸化物基準の質量%で
    0〜20%
    Yb 0〜20%
    ZrO 0〜10%
    Ta 0〜8%未満
    WO 0〜5.5%未満
    Sb 0〜1%
    の各成分を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. 酸化物基準の質量%で、
    NaO 0〜5%
    O 0〜5%
    MgO 0〜5%
    CaO 0〜15%未満
    SrO 0〜10%
    BaO 0〜15%
    GeO 0〜5%
    Al 0〜5%
    TiO 0〜3%未満
    Nb 0〜3%未満
    Bi 0〜10%未満
    の各成分を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  6. 液相温度が1160℃以下であり、液相温度における粘度(dPa・s)の対数logηの値が0.3〜2.0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学ガラス。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項の光学ガラスからなるレンズプリフォーム材。
  8. 請求項7のレンズプリフォーム材を精密プレス成形してなる光学素子。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項の光学ガラスを精密プレス成形してなる光学素子。
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