JP4746664B2 - 近接場光発生素子および光アシスト磁気記録素子 - Google Patents

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Description

本発明は、近接場光を発生する近接場発生素子及びこれを含む光アシスト磁気記録素子関する。
近年、高度情報化社会が進展するにつれ、例えば、ハードディスクドライブ(磁気記録再生システム)や、光ディスクドライブ(光記録再生システム)等の大容量記録システムに対する期待が高まっている。
磁気記録再生システムでは、記録媒体上の記録の最小単位である磁気ビットの磁化方向によって情報が記録されている。ここで、磁性体の磁気的異方性エネルギーをKu、磁性体の体積をVとすると、磁気ビットの磁化反転に必要なエネルギーである磁気的エネルギーはKu・Vで表される。つまり、磁気的エネルギーKu・Vが高いほど磁気ビットの磁化反転に必要なエネルギーは大きくなる。
磁気記録再生システムの大容量化のために高記録密度化を進めると、必然的に磁気ビットの体積Vが小さくなる。したがって、磁気的異方性エネルギーKuが同じ材料を用いた場合、体積Vが小さくなるに連れて磁気ビットの磁気的エネルギーKu・Vは小さくなる。つまり、磁気記録再生システムの高密度化が進むことにより、磁気ビットの磁気的エネルギーは小さくなる。その結果、室温付近の熱エネルギーによって磁気ビットの磁化が反転してしまう超常磁性の問題が生じる。そして、磁気ビットの磁化が反転してしまうと、室温でも磁気ビットの磁化情報が変化するため、磁気記録再生システムに記録情報を保持できなくなる。
磁気ビットの体積が小さくなったときに発生する超常磁性の問題を回避するためには、高い磁気的異方性エネルギーKuを持つ材料を用いればよい。磁気的異方性エネルギーKuの高い材料を用いると、磁気ビットの体積が小さくなった場合にも磁気的エネルギーKu・Vを大きくすることでき、それにより超常磁性の問題を回避できる。しかしながら、磁気的異方性エネルギーKuの高い材料を用いることにより、記録(磁気ビットの磁化反転)に必要な磁界(保磁力)が大きくなるという別の問題が生じる。
この問題を解決するために考えだされた方法として、光アシスト磁気記録技術がある。光アシスト磁気記録技術とは、磁気ビットに磁気記録を行うときに、集光された光によって磁気ビットを昇温させて、それにより記録媒体の保磁力を低下させ、その状態で磁気ビットに磁界を印加して記録を行う技術である。磁化反転を行った後には、温度が低下するため、記録媒体の保磁力が大きくなる。つまり、室温付近の熱エネルギーによって磁気ビットの磁化が反転するという超常磁性の問題は生じない。
しかしながら、この光アシスト磁気記録技術にも次のような問題がある。つまり、磁気記録再生システムの高記録密度化が進むにつれ、小さな磁気ビットを磁化反転させなければならず、光によって昇温する磁気ビットも狭くしなければならない。しかし、光には回折限界が存在し、波長程度のスポットにしかビームを絞ることができないため、昇温される磁気ビットは、光の波長以上の領域に及ぶ。このように、磁気記録再生システムの高記録密度化には、光の波長という制限が加わる。
光アシスト磁気記録を用いることによる前記問題を解決する方法として、近接場光の利用が考えられる。近接場光は光の波長より小さな物体や、光の波長より狭い開口等に光が照射されたときに、物体や開口の周りに発生する光のことであり、光の波長よりも狭い範囲に局在している。この近接場光を記録媒体を昇温するための光源とすることで、光の波長よりも狭い領域の磁気ビットを昇温することができ、それにより高密度化を実現することができる。
近接場光により光の波長よりも狭い領域の磁気ビットを昇温し、的確にその磁気ビットに磁界を印加して記録を行うには、近接場光の発生位置と磁界の発生位置とができるだけ近い位置にあることが望ましい。
光の回折限界よりも狭い領域に近接場光を発生させる方法として、金属等の導電膜により光の波長よりも短い寸法の狭窄部を形成し、開口部に光を照射する方法や、光の波長より小さな金属の散乱体に光を照射する方法がある。いずれの方法においても、表面プラズモン及び局所プラズモンを利用することにより、入射光よりも強い光を、光の波長よりも狭い領域に発生させることが可能である。上述の狭窄部を利用する場合、導電膜に直接電流を流すことにより、狭窄部近傍に強い磁界を発生させることができる。また、金属の散乱体を利用する場合、散乱体周囲に導電膜により、散乱体を取り囲むように微小コイルを形成し、微小コイルに電流を流すことで、近接場光発生位置の近傍で磁界を発生させることが可能である。
上記近接場光発生素子に照射される光は、一般には、近接場光発生素子の外部に設けられた発光素子から照射される。近接場光発生素子から効率よく近接場光を発生させるためには光の波長以下のナノメートルの精度で発光素子と近接場光発生素子との位置あわせを行う必要がある。上記位置あわせを考慮すると、発光素子、近接場光発光素子および磁界発生素子の三者は、半導体プロセス等を用いて一体に形成されることが好ましい。
従来技術における、発光素子と近接場発光素子と磁界発生素子とが一体に形成された光アシスト磁気記録素子(非特許文献1)においては、発光素子として半導体レーザ素子が用いられており、半導体レーザ素子から発生する光は直接近接場光発生素子に照射される。
次に、近接場光の発生方法について述べる。
図19および図20は、それぞれ、非特許文献1および特許文献1に示された光アシスト磁気記録素子の斜視図および平面図である。図19に示されるように、光透過性の材料よりなる基板901の表面上に、導電性の金属による棒状の散乱体902が形成されている。散乱体902の長手方向と照射される光の偏光方向を合わせて配置し、且つ散乱体902の長手方向の長さを表面プラズモンが励起される条件に合わせて適切に選定することによって、表面プラズモンを励起することができる。
このように適切な条件に合わせて配置構成した散乱体902に対して基板901側から光を照射すると、図19に示すように、散乱体902の入射光が照射される面である受光面903とその反対側の面である出射面904において、入射光の電界によって電荷の偏りが生じることにより表面プラズモンが生じる。
表面プラズモンの共鳴波長と入射光の波長が一致すると表面プラズモン共鳴とよばれる共振状態となり、散乱体902は偏光方向に対して強く分極した電気双極子となる。電気双極子となると、散乱体902の長手方向両端近傍に大きな電磁界が生じ、近接場光が発生する。発生する近接場光の分布及び強度は散乱体902の構造に大きく依存するが、一般的には、入射光の偏光方向と交わる面における曲率が大きい箇所では電界の集中が生じるため、周囲に比べ強い近接場光が発生する。
例えば、図20に示す棒状構造の散乱体902に偏光方向(電界ベクトルの方向)が散乱体902の長手方向(E1)の光を照射すると、曲率半径の大きい端部905および端部906の頂点で電界集中が生じ、強い近接場光が発生する。散乱体902に偏光方向が散乱体902の長手方向と垂直な方向(E2)の光を照射すると、近接場光は図20の長手方向のエッジ部907および908で発生する。
非特許文献1および特許文献1においては、近接場光発生のために前述の散乱体902を用い、磁界発生のために、磁界発生部909を設けている。磁界発生部909は散乱体902を囲むように設けられた微小コイルである。微小コイルに電流を流すことにより散乱体902近傍に磁界を発生させている。
上述の通り、金属導電膜を用いて表面プラズモン共鳴を利用することにより強い近接場光を発生させることが可能である。上述のように、導電膜に発生する表面プラズモンは入射光の偏光方向および導電膜エッジの凹凸(曲率半径)に非常に敏感であるため、近接場光発生素子に意図しない凹凸が存在する場合及び意図しない方向に偏光した光が照射された場合、意図しない箇所で表面プラズモンによる電界増幅効果が生じ、強い近接場光が発生する可能性がある。
例えば、図21(a)に示されるように、散乱体902のエッジ907および908に凹凸が存在する場合、散乱体902に、図21(b)中の矢印Ea方向の偏光成分を有する光が照射されると、頂点部分905および906において強い近接場光(図21(b)のAおよびB)が発生する。しかしながら、図21(c)中の矢印Eb方向の偏光成分を有する光が照射されると、エッジ907および908の各凹凸(図21(c)のCおよびD)で強い近接場光が発生する。このように、意図しない箇所で近接場光が発生する。
散乱体902は、リソグラフィ等の半導体プロセスにより作製される。量産プロセスにおいては、フォトリソグラフィが一般的に利用される微細加工方法であり、フォトリソグラフィによる微細加工においては、数ナノメートル〜数十ナノメートル程度の凹凸が発生する。
非特許文献1に示された光アシスト磁気記録技術においては、照射光発生源として、半導体レーザ素子が用いられている。半導体レーザ素子から発せられた光は直接散乱体に照射される。一般の半導体レーザ素子は、半導体レーザ素子に含まれる活性層の面内方向及びその垂直方向のいずれか一方のみに偏光した光がレーザ発振により安定して出力されるように設計されることが多い。一般的には半導体レーザ素子の活性層に用いられている量子井戸構造の井戸層の結晶歪を制御することにより、誘導放出の偏光方向が制御される。
特開2008−90939号公報 K.Hongo, T.Watanabe"Lensless Surface Plasmon Head with 1Tbit/in.2 Recording Density" in Japanese Journal of Applied Physics Vol.47, No.7, 2008, pp.6000-6006
しかしながら、半導体レーザ素子からは、上述のレーザ発振による光に、自然放出光による光が混在して出射される。一般的に、自然放出光は、レーザ発振により生じる光の偏光方向とは異なる方向に偏光した光も含まれている。
レーザ発振により放出される光は、一般的には自然放出光よりも強く、半導体レーザ素子の駆動電流が大きくなるほど偏光比は大きくなる傾向にある。しかしながら、低駆動電流の条件では、偏光比は小さく、10:1以下の条件で駆動する場合もある。
近接場光の発生に表面プラズモンを利用する場合、導電膜の形状によっては、発生する近接場光の電界強度は入射光強度の数100倍にも増強される場合がある。したがって、近接場光発生素子に、意図しない偏光方向を有する光が照射されると、意図しない個所で近接場光が発生する可能性があり、上述の近接場光発生素子を用いた光アシスト磁気記録素子において、誤記録が生じる可能性がある。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、信頼性が高く、動作が安定した近接場光発生素子及びこれを含む光アシスト磁気記録素子を提供することである。
本発明の近接場光発生素子は、基板と、前記基板上に形成され、第1方向に偏光したレーザ光を出射する発振モードで発振する半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子の光出射端に近接するように前記基板上に形成され、前記第1方向と直交する第2方向に偏光した光を吸収すると共に導波路構造を有する光吸収導波路素子と、前記光吸収導波路素子の光出射端に接するように前記基板上に形成された近接場光発生部とを備えており、前記光吸収導波路素子の吸収層が、量子井戸及び量子ドットのうち、いずれかの構造を有している。
上記の構成によれば、半導体レーザ素子から出射された光が光吸収導波路素子を介して近接場光発生部に照射される。近接場光発生部に照射される光はほぼ第1方向だけに偏光していることになるため、第2方向に偏光した光による不要な近接場光の発生を抑制することが可能になり、近接場光発生素子の信頼性が高まり、動作が安定する。
光吸収導波路素子を用いているために、近接場光発生部で発生する近接場光の強度が半導体レーザ素子と近接場光発生部との距離にほとんど依存しないので、当該距離に関する設計自由度が高くなる。また、半導体レーザ素子と近接場光発生部との間に光吸収導波路素子が配置されることによって、近接場光発生部で発生するジュール熱が半導体レーザ素子に悪影響を及ぼすのを抑制でき、近接場光発生素子の寿命を伸ばすことが可能になる。
さらに、前記光吸収導波路素子の吸収層が、量子井戸及び量子ドットのうち、いずれかの構造を有しているので、光吸収導波路素子の吸収層が吸収する光に係る偏光方向の制御が容易になるため、高効率な近接場光の発生が可能になる。
前記半導体レーザ素子の活性層は、量子井戸、量子細線及び量子ドットのうち、いずれかの構造を有していることが好ましい。上記の構成によれば、半導体レーザ素子の材料利得の方向依存性を制御することが容易になり、一方向に偏光して発振するレーザの実現が容易になるため、高効率な近接場光の発生が可能になる。
前記半導体レーザ素子の活性層は、井戸層が量子井戸面内方向に引っ張り歪を有する量子井戸構造を有しており、前記光吸収導波路素子の吸収層は、井戸層が無歪又は量子井戸面内方向に圧縮歪を有する量子井戸構造を有していることが好ましい。上記の構成によれば、半導体レーザ素子は効率よく量子井戸面内方向と垂直な方向に偏光したモードで発振することが可能になり、光吸収素子は量子井戸面内方向に偏光した光のみを吸収することが可能になる。
前記半導体レーザ素子の活性層は、井戸層が無歪又は量子井戸面内方向に圧縮歪を有する量子井戸構造を有しており、前記光吸収導波路素子の吸収層は、井戸層が量子井戸面内方向に引っ張り歪を有する量子井戸構造を有していてもよい。上記の構成によれば、半導体レーザ素子は効率よく量子井戸面内方向に偏光したモードで発振することが可能になり、光吸収素子は量子井戸面内方向と垂直方向に偏光した光のみを吸収することが可能になる。
半導体レーザ素子及び光吸収導波路素子が上記のような量子井戸構造を含んでいるとき、前記光吸収導波路素子の前記吸収層に含まれる前記井戸層において、価電子帯の第1量子準位と伝導帯の第1量子準位との間のエネルギー差が、前記半導体レーザ素子の発振波長に対応する光のエネルギーよりも小さく、かつ、価電子帯の第2量子準位と伝導帯の第1量子準位との間のエネルギー差が、前記半導体レーザ素子の発振波長に対応する光のエネルギーよりも大きいことが好ましい。上記の構成によれば、光吸収導波路素子において、半導体レーザ素子から出射された光から第2方向に偏光した成分だけを強く吸収させることが可能になる。そのため、光吸収導波路素子から出射される光が所望の偏光特性を得やすくなり、近接場光発生素子の信頼性を高めることが可能になる。
前記半導体レーザ素子の前記光出射端に近接した前記光吸収導波路素子の光入射端の幅が、前記半導体レーザ素子の共振器の幅以上であると共に、前記光吸収導波路素子の前記光出射端の幅が、前記半導体レーザ素子の前記共振器の幅未満であることが好ましい。上記の構成によれば、半導体レーザ素子から出射される光のビーム径を効果的に絞ることが可能になり、高効率に近接場光を発生させることが可能になる。
本発明の光アシスト磁気記録素子は、上述したいずれかの近接場光発生素子と、前記近接場光発生素子に含まれる近接場光発生部の近傍に配置された磁界発生素子とを備えている。上記の構成によれば、不要な近接場光の発生による誤記録が抑制され、さらに磁界発生素子での発熱による半導体レーザ素子の不安定動作が抑制され、高信頼性で寿命の長い光アシスト磁気記録素子が得られ易くなる。
(実施の形態1)
まず、図1〜図7を用いて、実施の形態1の光アシスト磁気記録素子1を説明する。光アシスト磁気記録素子1は、基板100、基板100の同一面上に形成された半導体レーザ素子10、光吸収導波路20および近接場光発生部30を含む近接場光発生素子と、磁界発生素子50とを含んでいる。
<全体構成>
図1および2に示されるように、光アシスト磁気記録素子1は、GaAs(ガリウムヒ素)基板100を有している。基板100上には、半導体レーザ素子10が設けられている。半導体レーザ素子10は共振器構造を有しており、共振器構造の両端に光を反射するための端面ミラー11、12を有している。一方の端面ミラー11からの光の出射方向に沿って端面ミラー11近傍には、端面ミラー11に対向するように光吸収導波路20の光入射端21が配置されている。光吸収導波路20の光入射端21と反対側には光出射端22が形成されている。光出射端22からの光の出射方向に沿って光出射端22近傍には、近接場光発生部30及び磁界発生素子50が設けられている。
<半導体レーザ素子>
次に、図3を用いて、半導体レーザ素子10の構造が説明される。n−GaAs基板100の上に、n−(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.7,y=0.49)nクラッド層101、InxGa1-xP(x=0.45)井戸層/(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.5,y=0.49)バリア層量子井戸活性層102、p-(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.7,y=0.49)pクラッド層103、p−InxGa1-xP(x=0.49)pバッファ層104、p−GaAsコンタクト層105の順に各層が積層されている。また、nクラッド層101およびpクラッド層103の厚さはともに1.2μm、活性層102の井戸層数は1以上であり、井戸層が3層であることが好ましい。バリア層と井戸層が交互に積層され、活性層102の両端はバリア層となっている。各井戸層およびバリア層の厚さは7nmであり、p−GaAsコンタクト層105の厚さは20nmである。なお、各層の厚さ、井戸層数および材料は一例であって、所望の性能(発光波長、偏光方向、発光パワー、閾値など)に応じて、材料および層厚をこれら以外の材料を使用することも可能である。
例えば、基板100としては、GaAs、GaAsP、GaP、InP、GaN、ZnO、Ga、SiまたはAlなど、一般的に半導体レーザ素子に用いられる基板を選択することが可能である。活性層102としては、AlGaInP、InGaP、InP、GaAs、AlGaAs、InGaAs、AlGaInAs、GaN、InGaN、InN、AlInGaN、AlGaN、ZnO、ZnMgO、ZnCdO、ZnSe、ZnSSe、InGaNAs等の半導体薄膜を選択可能である。
前述の各層は、一般的な半導体レーザ素子用結晶薄膜を作製するのに用いられる有機金属気相成長法(MOVPE)又は分子線エピタキシー(MBE)法等の結晶成長方法により形成される。
半導体レーザ素子10は、非埋め込みリッジ型導波路構造になっており、半導体レーザ素子10の表面からpクラッド層103まで、共振器を規定するリッジ111が画定されるように溝112、113が形成されている。
溝112、113は、量子井戸活性層102の表面までは到達せず、溝112、113の底面から量子井戸活性層102の表面までの間に他の半導体層(pクラッド層103)が残されている。このように、活性層の上に積層されている半導体層に溝が形成された構造を非埋め込み型リッジ構造という。
また、コンタクト層105上にはp電極106が設けられ、n−GaAs基板100上にはn電極107が蒸着等の手法を用いて積層されている。
ここで、量子井戸におけるバンド構造についての一般的な説明を行う。図4は、InxGa1-xP井戸層/(AlyGa1-y)1-zInzP(y=0.50,z=0.49)バリア層により構成される量子井戸において、形成される量子準位のInxGa1-xP井戸層歪依存性の数値計算結果の一例であり、InxGa1-xP井戸層幅5.5nm、(AlyGa1-y)1-zInzP(y=0.50,z=0.49)バリア層幅7.0nmのときの結果である。上述の半導体レーザ素子10の各層101〜105は、GaAs基板100に格子整合しているため、各層の量子井戸面内方向の格子定数は、GaAsの格子定数のバルク値に一致している。したがって、InxGa1-xP井戸層の歪εは、GaAs基板の格子定数(aGaAs)および無歪InxGa1-xPの格子定数(aInGaP)より式(1)の通り計算される。
ε=(aGaAs−aInGaP)/aInGaP (1)
また、無歪InxGa1-xPの格子定数は、ベガード則に従い、無歪InPの格子定数(aInP)および無歪GaPの格子定数(aGaP)を用いて、式(2)の通り計算され、InxGa1-xP井戸層のIn組成xにより変化する。
aInxGa1-xP=xaInP+(1−x)aGaP (2)
式(1)に示されるように、aGaAs<aInGaPの場合、歪εは正の値をとり、aGaAs>aInGaPの場合、歪εは負の値をとる。
価電子帯量子準位は、歪を考慮した6×6ハミルトニアンの対角化により計算されている。本計算方法は一般的に半導体価電子帯量子準位計算に用いられており、例えば、文献(J.Piprek“Semiconductor Optoelectronic Devices”,Academic Press, (2003))等に詳細が記されている
図4において、HH1は価電子帯のヘビーホールバンドの第1(基底)量子準位、LHはライトホールバンドの第1(基底)量子準位を示す。図4に示されるように、HH1、LH1ともにInxGa1-xP井戸層のεによって変化する。
ε=0近傍又はε<0の場合、HH1が最もエネルギーの高い価電子帯量子準位、つまり価電子帯の第1量子準位となり、発光素子として利用する場合、伝導帯の基底(第1量子)準位(CB1)とHH1間、CB1−HH1の遷移が支配的となる。CB1−HH1間の遷移においては、量子井戸面内方向に偏光する光(TE偏光)が放出される。従って、電流注入によりキャリアを注入した際に生じる材料利得は、TE偏光で最も大きくなる。また、光吸収においては、TE偏光の光が吸収される。
ε=0.13%の場合、HH1とLH1はほぼ同じ値となり、ε>0.13の場合、LH1の準位が価電子帯の第1量子準位となり、CB1−LH1の遷移が支配的となる。CB1−LH1間の遷移においては、量子井戸面内方向と垂直方向に偏光する光(TM偏光)とTE偏光の両方が放出されるが、TE偏光よりもTM偏光の強度の方が大きい。例えば、井戸層の結晶成長方向が<100>方向である場合、TM偏光はTE偏光に比べて、4倍強度が大きくなる。従って、電流注入によりキャリアを注入した際に生じる材料利得は、TM偏光で最も大きくなる。また、光吸収においても同様に、TM偏光がよく吸収される。
図4に示した計算結果は一例であり、HH1、LH1量子準位の値、HH1とLH1の交差する井戸層歪の値は井戸層幅、バリア層幅、井戸層材料、バリア層材料、基板材料などによって変化する。ただし、一般的な半導体レーザ素子の量子井戸活性層に用いられるAlGaInP、InGaP、InP、GaAs、AlGaAs、InGaAs、AlGaInAsなどの材料の場合でも、上述の計算結果と同様の傾向を示し、量子井戸活性層の井戸層の歪εが0またはε<0の場合、HH1が価電子帯の最大エネルギー準位となり、ある正の歪εの値のときにHH1およびLH1のエネルギー準位がほぼ同じ値をとり、それよりも大きな歪εの値では、LH1が価電子帯の最大エネルギーとなる傾向がある。HH1とLH1のエネルギー準位が一致する歪εの値は、0.03〜0.20%となる。
上述の0.03〜0.20%の歪量は、小さい値であり、上述の有機金属気相成長法(MOVPE)又は分子線エピタキシー(MBE)法等の結晶成長方法による結晶成長では、ばらつきの範囲に収まる値であるため、実質上無歪であるとみなせる。したがって、本実施の形態においては、HH1とLH1が同一値をとる歪εよりも大きな歪を、引っ張り歪とし、HH1とLH1が同一値をとる歪εよりも小さな歪を、無歪または圧縮歪と定義する。
本実施の形態に係る半導体レーザ素子10の活性層102は井戸層が量子井戸面内方向に引っ張り歪(ε〜0.4%)を有している。従って、レーザ発振時の利得はTM偏光の方がTE偏光よりも大きくなるため、半導体レーザ素子10の発振モードはTM偏光モードである。また、レーザ発振の波長は630nm近傍である。
半導体レーザ素子10の共振器端面はミラー11、12になっている。ミラー11、12は、エッチングによって平坦な面が形成されていることが好ましいが、へき開やその他の方法で平坦な面が形成されていてもよい。ミラー11、12の表面には、反射率を調整するために例えば、誘電体多層膜や金属膜が形成されていてもよい。本実施の形態において、半導体レーザ素子10は、光吸収導波路20に面した出射端面13からレーザ光を出射する。
n−GaAs基板100およびp−GaAsコンタクト層105上には、それぞれ、n電極107およびp電極106が形成されている。p電極106には、外部に設けられた電源(図示せず)から正電圧が印加される。n電極は0Vとされる。このようにして活性層102にレーザ発振閾値以上の電流が注入されると、半導体レーザ素子10はレーザ発振する。
レーザ光は出射端面13から外部に取り出される。出射端面13から出射された光は、半導体レーザ素子10内の導波路構造により生じる回折のため、ある一定の角度(広がり角)で広がる性質を持つ。広がり角は半導体レーザ素子10の層構造およびリッジ111の形状により異なる。例えば図2においては、x方向は約10度、z方向は約30度である。出射端面13から出射された光には、レーザ発振によるTM偏光以外に、自然放出によって生じたTE偏光も混在している。
<光吸収導波路>
図5を用いて、光吸収導波路20の構造が説明される。光吸収導波路20は、n−GaAs基板100の上に、下部(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.7,y=0.49)クラッド層201、InxGa1-xP(x=0.52)井戸層/(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.5,y=0.49)バリア層量子井戸吸収層202、上部(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.7,y=0.49)クラッド層203の順に各層が積層されることによって形成されたものである。また、クラッド層201およびクラッド層203の厚さは1.15μmである。吸収層202は1以上の量子井戸により構成され、各井戸層の厚さは3.5 nm、各バリア層の厚さは7nmである。井戸層数は10以上であることが好ましい。なお、クラッド層201および203の厚さは、吸収層202の中心が半導体レーザ素子10の活性層102の高さと略同一になるように設計される。
なお、各層の材料は一例であって、これら以外の材料を使用することも可能である。光吸収導波路20は、図2および図5のようにストライプ型の構造になっており、光吸収導波路20の表面からクラッド層201までリッジ211が形成されるように溝212および213が形成されている。リッジ211の幅は、半導体レーザ素子10のリッジ111の幅と略同一寸法である。
光吸収導波路20は、上記の有機金属気相成長法(MOCVD)又は分子線エピタキシー(MBE)法により、半導体レーザ素子10と同じく、n−GaAs基板100に形成される。まず、n−GaAs基板100上に半導体レーザ素子10の各層が積層される。その後、光吸収導波路20を形成する領域部分の半導体レーザ素子10の各層をエッチングにより除去し、再度n−GaAs基板100を露出させ、光吸収導波路20の各層を積層する。その後、エッチングにより、半導体レーザ素子10の各層上に積層された光吸収導波路20の層が除去され、半導体レーザ素子10のp電極106およびn電極107を形成する(2段階成長)。ただし、前述の2段階成長を用いる方法は一例であり、同一基板上に半導体レーザ素子10と光吸収導波路20が形成可能であれば、他の手法を用いてもよい。
量子井戸吸収層202は、井戸層が無歪又は量子井戸面内方向に圧縮歪を有している。従って、量子井戸吸収層202の価電子帯では、HH1のエネルギーが最も高く、量子井戸吸収層202のCB1−HH1間のエネルギー差に相当するより大きなエネルギーの光が光吸収導波路20に照射されると、CB1−HH1間の励起によりTE偏光の光が主に吸収される。また、CB1−LH1のエネルギー差より大きなエネルギーの光が光吸収導波路20に照射されると、CB1−LH1間の励起により主にTM偏光の光が吸収される。
本実施の形態において、量子井戸吸収層202のLH1はHH1よりもエネルギー準位が低いため、CB1−LH1(ここでは価電子帯の第2量子準位となる)間のエネルギーは、CB1−HH1(ここでは価電子帯の第1量子準位となる)間のエネルギーよりも大きい。従って、CB1−HH1間より大きくCB1−LH1間より小さなエネルギーに相当する波長の光が照射されると、光吸収導波路20は、TE偏光の光のみを吸収する。
図6は、InxGa1-xP(x=0.55)井戸層/(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.5,y=0.49)バリア層量子井戸における、CB1−HH1及びCB1−LH1間のエネルギーの井戸層幅依存性の数値計算結果を示している。図6に示されたとおり、CB1−HH1及びCB1−LH1は井戸層の幅によって変化する。光吸収導波路20の井戸幅は3.5nmであるため、630nmの光の波長に相当するエネルギーは、CB1−HH1とCB1−LH1の間である。従って、光吸収導波路20に630nmの光が照射されると、TE偏光の光が選択的に強く吸収される。また、図6の通り、井戸層が2.5nm以上4.5nm以下の幅であれば630nmの光の波長に相当するエネルギーは、CB1−HH1とCB1−LH1の間になるため、TE偏光を選択的に強く吸収させることが可能になる。
光吸収導波路20の光入射端21は、半導体レーザ素子10の出射端面13に対向するように設けられている。このため、半導体レーザ素子10の出射端面13から出射された光は、光入射端21を通して光吸収導波路20に導入される。
光吸収導波路20は光入射端21と反対側に光出射端22を有する。光入射端21から光吸収導波路20に入射した光は、光吸収導波路20内を導波し、光出射端22から出射される。従って、レーザ光にTE偏光成分が混在している場合であっても、光吸収導波路20の光出射端からはTM偏光の光のみが出射される。
なお、光吸収導波路20の膜構成、材料については、上記の構成に限らず、半導体レーザ素子10から発せられた光のうち、TE偏光成分のみを吸収させることが可能であれば上記以外の構成も可である。
<近接場光発生部>
図2および図7を用いて、近接場光発生部30が詳細に説明される。近接場光発生部30は、光吸収導波路20の光出射端22に対向するように、光吸収導波路20の近傍に設けられている。
近接場光発生部30は、クラッド層201上に形成された絶縁層31と、金属製の導電層32とによって形成されている。導電層32には、光吸収導波路20からの光出射方向に延びた溝33が、形成されている。溝33には、光吸収導波路20からの光出射方向と直交する方向に関して互いに対向する2つの側面34、35が形成されている。導電膜32の厚さは50nmであり、溝33の深さは30nmであるため、溝33の底36は絶縁層31まで達していない、近接場光発生のために必要な微小開口となる狭窄部37を形成している。狭窄部37の底面は、下方に膨らんだ曲面になっている。
絶縁層31の厚さは50nmであり、狭窄部37が光吸収導波路20の吸収層202の中心と略同一高さになるような厚さとなっていることが好ましい。また、溝33の幅は約50nm、溝33によって形成された狭窄部37の底面近傍の曲率半径は約20nmである。近接場光発生部30は、光吸収導波路20と対向する面である光入射面38とその反対側に近接場光発生面39とを有する。
半導体レーザ素子10により発せられたレーザ光は光吸収導波路20を通り、光吸収導波路20の出射端面21から光入射面38に照射される。照射される光はTM偏光であるため、溝33の底面に表面プラズモンが発生し、溝33の底面と近接場光発生面39との交差領域付近に近接場光が発生する。狭窄部37の幅は照射される光の波長よりも小さいため、伝搬光は狭窄部37を通り抜けることができず、近接場光発生面39には近接場光のみが存在する。
近接場光の発生領域は、照射される光の偏光方向と狭窄部37の形状に依存する。本実施の形態に係る近接場光発生部30においては、溝33の底面付近にのみ近接場光が発生し、近接場光発生面39付近での近接場光の発生領域(光強度がピーク強度の1/e以上の範囲)は溝33の底面中心を中心として20nm程度であり、底面の曲率半径と同程度である。
なお、近接場光発生部30の材料及び膜厚並びに狭窄部37の形状は、発生させる近接場光の波長、強度及びスポット径により定められる。具体的には、マクスウェル方程式の有限差分時間領域(FDTD)法等の電磁界シミュレーション方法により計算および設計される。
<磁界発生素子>
近接場光発生部30の導電層32の端面34から端面35の方向(図7の矢印I1方向)に電流が流されると、図7の矢印H1に示されるように、溝33の周囲には右ねじの法則にしたがって磁界が発生する。溝33の部分は電流の流れる断面積が導電層32のその他の部分に比べて小さくなるため、溝33の導電層32を流れる電流の電流密度はその他の部分に比べて大きくなる。従って、溝33近傍に発生する磁界は最大となる。電流を端面35から端面34の方向に流すと、導電層32周囲に発生する磁界の向きは図7のH1に示される磁界とは反対向きになる。すなわち、本実施の形態において、導電層32の溝33付近が磁界発生素子50を構成している。本実施の形態では、磁界発生素子50は、近接場光発生部30と共通の部材によって構成されることで、近接場光発生部30の近傍に配置されていることになる。
前述の通り、半導体レーザ素子10に電流を流すことによりレーザ光を発生させると同時に、近接場光発生部30の導電層32に電流を流すことで、レーザ光の波長よりも狭い領域に近接場光と磁界を同時に発生させることが可能になり、光アシスト磁気記録素子1が形成される。
本実施の形態によると、半導体レーザ素子10から出射された光が光吸収導波路20を介して近接場光発生部30に照射される。近接場光発生部30に照射される光はほぼTM偏光だけになるため、TE偏光による不要な近接場光の発生を抑制することが可能になり、近接場光発生素子の信頼性が高まり、動作が安定する。
図19及び図20で説明した非特許文献1に記載の光アシスト磁気記録素子においては、半導体レーザ素子で発生する光が集光素子等を介さずに散乱体902に照射されるため、散乱体902と半導体レーザ素子の距離が離れるにつれて、発生する近接場光強度は小さくなっていく。したがって、光アシスト磁気記録に必要な強度の近接場光を発生させるためには、半導体レーザ素子と散乱体902との間の距離を小さくする必要がある。一方で、磁界の発生のためには、磁界発生素子909に電流を流す必要があるため、磁界発生素子909には抵抗熱が発生する。微小領域に磁界を発生させるために導体のサイズを小さくすると、磁界発生素子909の抵抗は大きくなる。また、強い磁界を発生させるためには、導体に流す電流を大きくする必要がある。従って、微小領域で強い磁界を発生させるに伴い、磁界発生素子909での発熱量は大きくなる。磁界発生部909で生じた熱が半導体レーザ素子に伝わると、半導体レーザ素子の特性に影響を及ぼし、例えば、素子の劣化や発光状態の変化等の動作不安定が生じる場合がある。
これに対して、本実施の形態では、半導体レーザ素子10と近接場光発生部30との間に光吸収導波路20が配置されることによって、近接場光発生部30で発生するジュール熱が半導体レーザ素子10に悪影響を及ぼすのを抑制でき、近接場光発生素子の寿命を伸ばすことが可能になる。また、光吸収導波路20を用いているため、近接場光発生部30で発生する近接場光の強度が半導体レーザ素子10と近接場光発生部30との距離にほとんど依存しないので、当該距離に関する設計自由度が高くなる。
また、半導体レーザ素子10の活性層102が量子井戸構造を有しているので、一方向に偏光して発振するレーザの実現が容易になるため、高効率な近接場光の発生が可能になる。さらに、光吸収導波路20の吸収層202が、量子井戸構造を有しているので、光吸収導波路20の吸収層202が吸収する光に係る偏光方向の制御が容易になるため、高効率な近接場光の発生が可能になる。
半導体レーザ素子10の活性層102は、井戸層が量子井戸面内方向に引っ張り歪を有する量子井戸構造を有しており、光吸収導波路20の吸収層202は、井戸層が無歪又は量子井戸面内方向に圧縮歪を有する量子井戸構造を有している。したがって、半導体レーザ素子10は効率よく量子井戸面内方向と垂直な方向に偏光したモードで発振することが可能になり、光吸収導波路20は量子井戸面内方向に偏光した光のみを吸収することが可能になる。
本実施の形態では、光吸収導波路20の吸収層202に含まれる井戸層において、価電子帯の第1量子準位と伝導帯の第1量子準位との間のエネルギー差が、半導体レーザ素子10の発振波長に対応する光のエネルギーよりも小さく、かつ、価電子帯の第2量子準位と伝導帯の第1量子準位との間のエネルギー差が、半導体レーザ素子10の発振波長に対応する光のエネルギーよりも大きい。したがって、光吸収導波路20において、半導体レーザ素子10から出射された光からTE偏光の光だけを強く吸収させることが可能になる。そのため、光吸収導波路20から出射される光が所望の偏光特性を得やすくなり、近接場光発生素子の信頼性を高めることが可能になる。
本実施の形態に係る光アシスト磁気記録素子1によると、不要な近接場光の発生による誤記録が抑制され、さらに磁界発生素子50での発熱による半導体レーザ素子10の不安定動作が抑制される。したがって、光アシスト磁気記録素子1が高信頼性で寿命の長いものとなる。
(実施の形態2)
図8を用いて、本実施の形態2の光アシスト磁気記録素子2を説明する。なお、実施の形態1に示された光アシスト磁気記録素子1と同一構成および同一の機能を実現する構成要素には同一参照符号が付され、その説明は繰り返さない。
光アシスト磁気記録素子2は、基板100、基板100の同一面上にそれぞれ形成された半導体レーザ素子10、光吸収導波路40及び近接場光発生部30を含む近接場光発生素子と、磁界発生素子50とを含んでいる。半導体レーザ素子10、近接場光発生部30、磁界発生素子50の構成および配置は、実施の形態1の光アシスト磁気記録素子1で説明したものと同一である。
光吸収導波路40は実施の形態1で示された光吸収導波路20と同一の積層膜の構成であるため、説明は繰り返さない。光吸収導波路40の光入射端41は、半導体レーザ素子10の出射端面13に対向するように(つまり、出射端面13からの光の出射方向と直交するように)設けられている。このため、半導体レーザ素子10の出射端面13から出射された光は光入射端41を通して光吸収導波路40に導入される。
光吸収導波路40は光入射端41と反対側に光出射端42を有する。光入射端41から入射した光は光吸収導波路40内を導波し、光出射端42から出射される。従って、レーザ光にTE偏光成分が混在している場合であっても、光吸収導波路40の光出射端41からはTM偏光の光のみが出射される。
光入射端41の幅は、半導体レーザ素子10のリッジ111つまり共振器の幅よりも広くなっている。このような構造により、実施の形態1に示された光吸収導波路20に比べ、多くの光を光吸収導波路40へと導くことが可能である。さらに、光出射端42の幅は、半導体レーザ素子10のリッジ111つまり共振器の幅よりも狭くなっている。このため、光出射端42での光スポットサイズは半導体レーザ素子10の出射端面13におけるスポットサイズよりも小さなサイズになっており、近接場光発生部30に照射する光のパワーが大きくなる。言い換えると、半導体レーザ素子10から出射される光のビーム径を効果的に絞ることが可能になり、光吸収導波路20に比べ、光の利用効率が高くなる。
(実施の形態3)
続いて、図9および図10を用いて、本実施の形態3の光アシスト磁気記録素子3を説明する。なお、実施の形態1または実施の形態2に示された光アシスト磁気記録素子1または2と同一構成および同一の機能を実現する構成要素には同一参照符号が付され、その説明は繰り返さない。
光アシスト磁気記録素子3は、基板100、基板100の同一面上にそれぞれ形成された半導体レーザ素子10、光吸収導波路20および近接場光発生部60を含む近接場光発生素子と、磁界発生素子70とを含んでいる。
<近接場光発生部>
図10に示されるように、近接場光発生部60は、光吸収導波路20の光出射面22(図2参照)に形成された、半導体レーザ素子10から発せられる波長の光に対して吸収能を持たない材料からなる絶縁層62と、絶縁層62上に形成された金属膜である散乱体61とで構成されている。散乱体61は、図10のxz面内方向からみると、両端に円弧63および64を有する棒状構造となっている。散乱体61の長軸方向はz方向である。xz面内において、散乱体61の長軸方向の長さ(円弧63頂点から円弧64頂点までの長さ)は100nm、短軸方向の長さは25nmであり、円弧63及び64の曲率半径は25nmである。
絶縁層62には段差面65が設けられており、段差面65を境として上方に上面部66、下方に下面部67が形成されている。段差面65は45度の傾斜を持って設けられている。上面部66と下面部67の高さの差は30nmである。
散乱体61の一方の円弧63は上面部66上に設けられており、他方の円弧64は下面部67上に設けられている。また、円弧63は光吸収導波路20の吸収層202と、図10のy方向に重なるように設けられている。表面プラズモン励起のためには、円弧63及び64が共に吸収層202とy方向に重なるように設けられていることが望ましい。
光吸収導波路20の光出射面22からは、z方向に偏光した光が近接場光発生部60に向けて出射される。近接場光発生部60にz方向に偏光した光が照射されると、散乱体61に表面プラズモン共鳴が生じ、円弧63および64に強い近接場光が発生する。
なお、散乱体60の材料、形状および配置については、所望の近接場光の波長、近接場光発生領域に対して、表面プラズモンが励起される条件に合わせて設計されるため、上述の構成以外の構成も可能である。
<磁界発生素子>
図10に示されるように、磁界発生素子70は絶縁層62上に設けられている。導電層71からなる磁界発生素子70は、散乱体60を取り囲むようにコの字状に形成されている。導電層71はその両端部72及び73が、外部に設けられた電源(図示せず)にそれぞれ接続されており、導電層71に電流を流すことができるようになっている。すなわち、本実施の形態において、導電層71からなる磁界発生素子70は、近接場光発生部60の近傍に配置されていることになる。
図10の矢印I1で示す方向の電流が導電層72に流されると、アンペールの法則に従い、散乱体60近傍に、3つの矢印H1で示す方向に磁界が発生する。
ここで、本実施の形態3における光アシスト磁気記録素子3においては、光吸収導波路20の代わりに、実施の形態2の構成に示した光吸収導波路40を用いてもよい。本構成の場合、図11に示したように、近接場光発生部60及び磁界発生素子70は光出射端42に設けられる。
(実施の形態4)
続いて、図12〜17を用いて、本実施の形態4の光アシスト磁気記録素子4を説明する。なお、実施の形態1、実施の形態2または実施の形態3に示された光アシスト磁気記録素子1、2または3と同一構成および同一の機能を実現する構成要素には同一参照符号が付され、その説明は繰り返さない。
光アシスト磁気記録素子4は、基板100、基板100の同一面上にそれぞれ形成された半導体レーザ素子310、光吸収導波路320および近接場光発生部360を含む近接場光発生素子と、磁界発生素子370とを含んでいる。
<全体構成>
光アシスト磁気記録素子4は、GaAs(ガリウムヒ素)基板100を有している。基板100上には、半導体レーザ素子310が設けられている。半導体レーザ素子310は共振器構造を有しており、共振器構造の両端には光を反射するための端面ミラーを有している。一方の端面ミラーからの光の出射方向に沿って端面ミラー近傍には、この端面ミラーに対向するように光吸収導波路320の光入射端が配置されている。光吸収導波路320の光入射端と反対側には光出射端が形成されている。この光出射端からの光の出射方向に沿って光吸収導波路320の光出射端近傍には、近接場光発生部360及び磁界発生素子370が設けられている。
<半導体レーザ素子>
次に図13を用いて、半導体レーザ素子310の構造が説明される。n−GaAs基板100の上に、n−(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.7,y=0.49)クラッド層301、InxGa1-xP(x=0.52)井戸層/(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.5,y=0.49)バリア層量子井戸活性層302、p-(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.7,y=0.49)pクラッド層303、p−InxGa1-xP(x=0.49)pバッファ層304、p−GaAsコンタクト層305の順に各層が積層されている。また、nクラッド層301およびpクラッド層303の厚さはともに1.2μm、活性層302の井戸層数は1以上であり、井戸層が3層であることが好ましい。バリア層と井戸層が交互に積層され、活性層302の両端はバリア層となっている。各井戸層の厚さは5.5nm、各バリア層の厚さは7nm、p−GaAsコンタクト層305の厚さは20nmである。なお、各層の材料は一例であって、これら以外の材料を使用することも可能である。
半導体レーザ素子310は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子10と同様、非埋め込みリッジ型導波路構造になっており、半導体レーザ素子310の表面からp−AlGaInPクラッド層303まで、共振器を規定するリッジ311が画定されるように溝312、313が形成されている。
溝312、313は、量子井戸活性層302の表面までは到達せず、溝312、313の底面から量子井戸活性層302の表面までの間に他の半導体層(p−AlGaInPクラッド層303)が残されている。
本実施の形態に係る半導体レーザ素子310の活性層302は井戸層に量子井戸面内方向の圧縮歪を有している。従って、前述のように、レーザ発振時の利得はTE偏光の方がTM偏光よりも大きくなるため、半導体レーザ素子310の発振モードはTE偏光である。また、レーザ発振の波長は630nm近傍である。
半導体レーザ素子310の共振器端面はミラーになっている。ミラーは、エッチングによって平坦な面が形成されていることが好ましいが、へき開やその他の方法で平坦な面が形成されていてもよい。ミラーの表面には、反射率を調整するために例えば、誘電体多層膜や金属膜が形成されていてもよい。本実施の形態において、半導体レーザ素子310は、光吸収導波路320に面した出射端面316からレーザ光を出射する。
n−GaAs基板100およびp−GaAsコンタクト層305には、それぞれ、n電極307およびp電極306が形成されている。p電極306には、外部に設けられた電源(図示せず)から正電圧が印加される。n電極はグラウンドとされる。このようにして活性層302にレーザ発振閾値以上の電流が注入されると、半導体レーザ素子310はレーザ発振する。
レーザ光は出射端面から外部に取り出される。出射端面から出射された光は、半導体レーザ素子310内の導波路構造により生じる回折のため、ある一定の角度(広がり角)で広がる性質を持つ。広がり角は半導体レーザ素子10のものと同程度である。出射端面から出射された光には、レーザ発振によるTE偏光以外に、自然放出によって生じたTM偏光も混在している。
<光吸収導波路>
図14を用いて、光吸収導波路320の構造が説明される。光吸収導波路320は、n−GaAs基板100の上に、下部(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.7,y=0.49)クラッド層401、InxGa1-xP(x=0.45)井戸層/(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.5,y=0.49)バリア層量子井戸吸収層402、上部(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.7,y=0.49)クラッド層403の順に各層が積層されることによって形成されたものである。また、クラッド層401およびクラッド層403の厚さは1.2μmである。吸収層402は1以上の量子井戸により構成され、各井戸層の厚さは8.0 nm、各バリア層の厚さは7nmである。井戸層数は10以上であることが好ましい。
なお、各層の材料は一例であって、これら以外の材料を使用することも可能である。光吸収導波路320は、図14のようにストライプ型の構造になっており、光吸収導波路320の表面から下部AlGaInPクラッド層401までリッジ411が形成されるように、溝412および413が形成されている。
量子井戸吸収層402は、量子井戸面内方向に引っ張り歪を有している。従って、量子井戸吸収層402の価電子帯では、LH1が価電子帯の第1量子準位になっており、量子井戸吸収層402のCB1−LH1のエネルギー差より大きなエネルギーの光が光吸収導波路320に照射されると、CB1−LH1間の励起によりTM偏光の光が主に吸収される。また、CB1−LH1間のエネルギー差より大きなエネルギーの光が光吸収導波路320に照射されると、CB1−HH1間の励起により主にTE偏光の光が吸収される。
本実施の形態において、量子井戸吸収層402のHH1はLH1よりもエネルギー準位が低いため、CB1−HH1間のエネルギーは、CB1−LH1間のエネルギーよりも大きい。従って、CB1−LH1間より大きくCB1−HH1よりも小さなエネルギーに相当する波長(618nm〜634nm)の光(例えば630nm)が照射されると、光吸収導波路320は、TM偏光の光のみを吸収する。
図15は、InxGa1-xP(x=0.45)井戸層/(AlxGa1-x)1-yInyP(x=0.5,y=0.49)バリア層量子井戸における、HH1及びLH1の井戸層幅依存性の数値計算結果を示している。図15に示されたとおり、HH1及びLH1は井戸層の幅によって変化する。光吸収導波路320の井戸幅は8.0nmであるため、630nmの光の波長に相当するエネルギーは、HH1とLH1の間である。従って、光吸収導波路360に630nmの光が照射されると、TM偏光の光が選択的に強く吸収される。また、図15の通り、井戸層が7.0nm以上15nm以下の幅であれば630nmの光の波長に相当するエネルギーは、HH1とLH1の間になるため、TM偏光を選択的に強く吸収させることが可能になる。
光吸収導波路320の光入射端は、半導体レーザ素子310の出射端面に対向するように設けられている。このため、半導体レーザ素子310の出射端面から出射された光は、光入射端を通じて光吸収導波路320に導入される。
光吸収導波路320は光入射端と反対側に光出射端を有する。光入射端から光吸収導波路320に入射した光は、光吸収導波路320内を導波し、光出射端から出射される。従って、半導体レーザ素子310から出射されるレーザ光のエネルギーが光吸収導波路320のCB1−LH1(ここでは価電子帯の第1量子準位となる)間のエネルギーとCB1−HH1(ここでは価電子帯の第2量子準位となる)間のエネルギーとの間であれば、レーザ光にTM偏光成分が混在している場合であっても、光吸収導波路320の光出射端からはTE偏光の光のみが出射され、近接場光発生部360に照射される。
<近接場光発生部>
図16および図17に示されるように、近接場光発生部360は、光吸収導波路320の光出射面に形成された、半導体レーザ素子310から発せられる波長の光に対して吸収能を持たない材料からなる絶縁層362と、絶縁層362上に形成された金属膜である散乱体361とで構成されている。散乱体361は、図16のxz面内方向からみると、両端に円弧363および364を有する棒状構造となっている。散乱体361の長軸方向はx方向である。xz面内において、散乱体361の長軸方向の長さ(円弧363頂点から円弧364頂点までの長さ)は100nm、短軸方向(z方向)の長さは25nmであり、円弧363及び364の曲率半径は25nmである。
絶縁層362には段差面365が設けられており、段差面365を境として右方に上面部366、左方に下面部367が形成されている。段差面365は45度の傾斜を持って設けられている。上面部366と下面部367の高さの差は30nmである。
散乱体361の一方の円弧363は上面部366上に設けられており、他方の円弧364は下面部上に設けられている。また、円弧363および364は光吸収導波路320の吸収層402の中心軸と重なるように設けられている。表面プラズモン励起のためには、円弧363及び364が共に吸収層402と重なるように設けられていることが望ましい。
光吸収導波路320の光出射面322からは、x方向に偏光した光が近接場光発生部360に向けて出射される。近接場光発生部360にx方向に偏光した光が照射されると、散乱体361に表面プラズモン共鳴が生じ、円弧363および364に強い近接場光が発生する。
なお、散乱体361の材料、形状および配置については、所望の近接場光の波長、近接場光発生領域に対して、表面プラズモンが励起される条件に合わせて設計されるため、上述の構成以外の構成も可能である。なお、段差面365を設けたのは、円弧363を円弧364よりも磁気記録層に近づけて、円弧363付近で発生する近接場光が円弧364付近で発生する近接場光よりも磁気記録により大きな割合で寄与するようにするためである。また、段差面365を傾斜させているのは、プラズモンをより確実に発生させるためである。
<磁界発生素子>
図16に示されるように、磁界発生素子370は絶縁層362上に設けられている。導電層371からなる磁界発生素子370は、散乱体361を取り囲むようにコの字状に形成されている。導電層371はその両端部372及び373が、外部に設けられた電源(図示せず)にそれぞれ接続されており、導電層372に電流を流すことができるようになっている。
図16の矢印I1で示す方向の電流が導電層372に流されると、アンペールの法則に従い、散乱体361近傍に、3つの矢印H1に示す方向に磁界が発生する。すなわち、本実施の形態において、導電層371からなる磁界発生素子370は、近接場光発生部360の近傍に配置されていることになる。
本実施の形態によると、半導体レーザ素子310から出射された光が光吸収導波路320を介して近接場光発生部360に照射される。近接場光発生部360に照射される光はほぼTE偏光だけになるため、TM偏光による不要な近接場光の発生を抑制することが可能になり、近接場光発生素子の信頼性が高まり、動作が安定する。
半導体レーザ素子310の活性層302は、井戸層が無歪又は量子井戸面内方向に圧縮歪を有する量子井戸構造を有しており、光吸収導波路320の吸収層402は、井戸層が量子井戸面内方向に引っ張り歪を有する量子井戸構造を有している。したがって、半導体レーザ素子310は効率よく量子井戸面内方向に偏光したモードで発振することが可能になり、光吸収導波路320は量子井戸面内方向と垂直方向に偏光した光のみを吸収することが可能になる。
光吸収導波路320の吸収層402に含まれる井戸層において、価電子帯の第1量子準位と伝導帯の第1量子準位との間のエネルギー差が、半導体レーザ素子310の発振波長に対応する光のエネルギーよりも小さく、かつ、価電子帯の第2量子準位と伝導帯の第1量子準位との間のエネルギー差が、半導体レーザ素子310の発振波長に対応する光のエネルギーよりも大きい。したがって、光吸収導波路320において、半導体レーザ素子310から出射された光からTM偏光の光だけを強く吸収させることが可能になる。そのため、光吸収導波路320から出射される光が所望の偏光特性を得やすくなり、近接場光発生素子の信頼性を高めることが可能になる。
(実施の形態5)
図18を用いて、本実施の形態5の光アシスト磁気記録素子5を説明する。なお、実施の形態1〜4に示された光アシスト磁気記録素子1〜4と同一構成および同一の機能を実現する構成要素には同一参照符号が付され、その説明は繰り返さない。
光アシスト磁気記録素子5は、基板100、基板100の同一面上にそれぞれ形成された半導体レーザ素子310、光吸収導波路340および近接場光発生部360を含む近接場光発生素子と、磁界発生素子370とを含んでいる。半導体レーザ素子310、近接場光発生部360、磁界発生素子370の構成および配置は、実施の形態4の光アシスト磁気記録素子4と同一である。
光吸収導波路340は実施の形態4で示された光吸収導波路320と同一の積層膜の構成であるため、説明は繰り返さない。光吸収導波路340の光入射端341は、半導体レーザ素子310の出射端面316に対向するように(つまり、出射端面316からの光の出射方向と直交するように)設けられている。このため、半導体レーザ素子310の出射端面316から出射された光は光入射端341を通して光吸収導波路340に導入される。
光吸収導波路340は光入射端341と反対側に光出射端342を有する。光入射端341から入射した光は光吸収導波路340内を導波し、光出射端342から出射される。従って、レーザ光にTM偏光成分が混在している場合であっても、光吸収導波路340の光出射端342からはTE偏光の光のみが出射される。
光入射端341の幅は、半導体レーザ素子310のリッジ311つまり共振器の幅よりも広くなっている。このような構造により、実施の形態1に示された光吸収導波路320に比べ、多くの光を光吸収導波路340へと導くことが可能である。さらに、光出射端342の幅は、半導体レーザ素子310のリッジ311つまり共振器の幅よりも狭くなっている。このため、光出射端342での光スポットサイズは半導体レーザ素子310の出射端面316におけるスポットサイズよりも小さなサイズになっており、近接場光発生部360に照射する光のパワーが大きくなる。言い換えると、半導体レーザ素子310から出射される光のビーム径を効果的に絞ることが可能になり、光吸収導波路320に比べ、光の利用効率が高くなる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更を上述の実施の形態に施すことが可能である。例えば、上述した実施の形態では、半導体レーザ素子の活性層が量子井戸構造を有しているが、半導体レーザ素子の活性層が量子細線構造又は量子ドット構造を有していても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。また、上述した実施の形態では光吸収導波路の吸収層が量子井戸構造を有しているが、光吸収導波路の吸収層が量子ドット構造を有していても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる
本発明の実施の形態1に関する光アシスト磁気記録素子の斜視図である。 図1に示す光アシスト磁気記録素子の部分拡大斜視図である。 図1に示す光アシスト磁気記録素子に含まれる半導体レーザ素子の断面図である。 図1に示す光アシスト磁気記録素子に含まれる半導体レーザ素子における、量子井戸の価電子帯エネルギーの井戸層歪依存性を示すグラフである。 図1に示す光アシスト磁気記録素子に含まれる光吸収導波路の断面図である。 図1に示す光アシスト磁気記録素子に含まれる光吸収導波路の吸収端の井戸幅依存性を示すグラフである。 図1に示す光アシスト磁気記録素子に含まれる近接場光発生部及び磁界発生素子の斜視図である。 本発明の実施の形態2に関する光アシスト磁気記録素子の部分拡大斜視図である。 本発明の実施の形態3に関する光アシスト磁気記録素子の斜視図である。 図9に示す光アシスト磁気記録素子に含まれる近接場光発生素子及び磁界発生素子の斜視図である。 図9に示す光アシスト磁気記録素子の部分拡大斜視図である。 本発明の実施の形態4に関する光アシスト磁気記録素子の斜視図である。 図12に示す光アシスト磁気記録素子に含まれる半導体レーザ素子の断面図である。 図12に示す光アシスト磁気記録素子に含まれる光吸収導波路の断面図である。 図12に示す光アシスト磁気記録素子に含まれる光吸収導波路の吸収端の井戸幅依存性を示すグラフである。 図12に示す光アシスト磁気記録素子に含まれる近接場光発生素子及び磁界発生素子の斜視図である。 図12に示す光アシスト磁気記録素子の部分拡大斜視図である。 本発明の実施の形態5に関する光アシスト磁気記録素子の部分拡大斜視図である。 特許文献1および非特許文献1に示された近接場光発生素子の斜視図である。 特許文献1および非特許文献1に示された近接場光発生素子の平面図である。 凹凸の存在する近接場光発生素子の偏光依存性を示す平面図である。
符号の説明
1、2、3、4、5 光アシスト磁気記録素子
10、310 半導体レーザ素子
20、40、320、340 光吸収導波路
30、60 近接場光発生部
50、70 磁界発生素子
100 基板

Claims (7)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成され、第1方向に偏光したレーザ光を出射する発振モードで発振する半導体レーザ素子と、
    前記半導体レーザ素子の光出射端に近接するように前記基板上に形成され、前記第1方向と直交する第2方向に偏光した光を吸収すると共に導波路構造を有する光吸収導波路素子と、
    前記光吸収導波路素子の光出射端に接するように前記基板上に形成された近接場光発生部とを備えており、
    前記光吸収導波路素子の吸収層が、量子井戸及び量子ドットのうち、いずれかの構造を有していることを特徴とする近接場光発生素子。
  2. 前記半導体レーザ素子の活性層が、量子井戸、量子細線及び量子ドットのうち、いずれかの構造を有していることを特徴とする請求項に記載の近接場光発生素子。
  3. 前記半導体レーザ素子の活性層は、井戸層が量子井戸面内方向に引っ張り歪を有する量子井戸構造を有しており、
    前記光吸収導波路素子の吸収層は、井戸層が無歪又は量子井戸面内方向に圧縮歪を有する量子井戸構造を有していることを特徴とする請求項に記載の近接場光発生素子。
  4. 前記半導体レーザ素子の活性層は、井戸層が無歪又は量子井戸面内方向に圧縮歪を有する量子井戸構造を有しており、
    前記光吸収導波路素子の吸収層は、井戸層が量子井戸面内方向に引っ張り歪を有する量子井戸構造を有していることを特徴とする請求項に記載の近接場光発生素子。
  5. 前記光吸収導波路素子の前記吸収層に含まれる前記井戸層において、価電子帯の第1量子準位と伝導帯の第1量子準位との間のエネルギー差が、前記半導体レーザ素子の発振波長に対応する光のエネルギーよりも小さく、かつ、価電子帯の第2量子準位と伝導帯の第1量子準位との間のエネルギー差が、前記半導体レーザ素子の発振波長に対応する光のエネルギーよりも大きいことを特徴とする請求項3又は4に記載の近接場光発生素子。
  6. 前記半導体レーザ素子の前記光出射端に近接した前記光吸収導波路素子の光入射端の幅が、前記半導体レーザ素子の共振器の幅以上であると共に、前記光吸収導波路素子の前記光出射端の幅が、前記半導体レーザ素子の前記共振器の幅未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の近接場光発生素子。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の近接場光発生素子と、
    前記近接場光発生素子に含まれる近接場光発生部の近傍に配置された磁界発生素子とを備えていることを特徴とする光アシスト磁気記録素子。
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