JP2981315B2 - 半導体レーザ素子 - Google Patents

半導体レーザ素子

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JP2981315B2
JP2981315B2 JP3236646A JP23664691A JP2981315B2 JP 2981315 B2 JP2981315 B2 JP 2981315B2 JP 3236646 A JP3236646 A JP 3236646A JP 23664691 A JP23664691 A JP 23664691A JP 2981315 B2 JP2981315 B2 JP 2981315B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い信頼性を有する高
出力半導体レーザ素子に関し、特に光ピックアップ装置
に好適に使用される半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク装置やレーザビームプリンタ
装置等の情報処理装置では、半導体レーザ素子から発せ
られる集光性および指向性に優れたレーザ光が使用され
ている。最近では、情報処理装置における処理情報量を
増大させ、しかも、高速化するために、半導体レーザ素
子から発振されるレーザ光を高出力化するとともに、高
度の信頼性が要求されている。例えば、光ディスク装置
では、消去および書き込み可能な光ディスク用の光源と
して、40〜50mW程度の高出力状態を長時間維持できるよ
うな高信頼性が要求されており、また、光ディスク装置
を含むシステム全体の動作速度を高速化するために、さ
らに、高い光出力が要望されている。また、レーザビー
ムプリンタ装置では、高精細化のために、100mW以上の
高出力半導体レーザが必要であり、YAGレーザ等の固
体レーザ装置の励起用の光源として使用される半導体レ
ーザ素子も、100mW以上の高出力が要求されている。
【0003】AlGaAs系の半導体材料により構成された半
導体レーザでは、30mw〜40mW程度の出力が得られている
が、さらに高出力させると、光出射端面で表面準位を介
した非発光再結合が起こり、局部的に発熱する。共振器
端面の温度が上昇すると、その発熱により、端面部の禁
制帯幅が縮小して、光吸収が増加し、その光吸収により
発生したキャリアが表面準位を介して非発光再結合する
ため、端面温度は更に上昇する。この過程が繰り返され
ると、共振器端面が溶融して劣化が生じる。
【0004】また、波長600nmの赤色領域で発振するInG
aAlP系の半導体により構成された半導体レーザ素子も、
光ディスクの高密度化、レーザプリンタの高速化のため
に、盛んに研究が行われている。このようなInGaAlP系
の半導体レーザ素子も、高出力化が要望されているが、
AlGaAs系材料を用いた半導体レーザと同様に、高出力に
て動作させると、共振器の端面劣化が生じることが板谷
等により報告されている(1988年春期応用物理学会予稿
(31a-ZP-4,5)参照)。
【0005】さらに、光ディスクに対する書き込みおよ
び消去のための光ピックアップ装置の光源として使用さ
れる半導体レーザでは、高出力特性以外に、垂直方向遠
視野像θvと水平方向遠視野像θhとの比、いわゆる楕円
率θv/θhが小さいことが望ましい。特に、楕円率が2
以下になると、半導体レーザから出射された楕円ビーム
を円形に整形するためのビーム整形用プリズムが不要に
なる。
【0006】ビーム整形用プリズムを使用する場合に
は、光ディスクに対する書き込み時にレーザ波長が変化
することにより、集光スポットのずれが生じるという問
題もある。光磁気ディスクに対する書き込み時には、半
導体レーザは、30〜50mWの高出力状態で使用されるが、
このときのレーザの発振スペクトルはシングルモードで
ある。フォーカスサーボによりレーザ集光スポットが完
全に光ディスクの面上に集光されると、ディスク面から
の戻り光によりレーザの波長は、長波長側へシフトす
る。これは、戻り光によりレーザ光にゲインが付加され
るために、ゲイン分布ピークが波長のシフトに相当する
分だけ長波長側にシフトすることによる。一方、ビーム
整形用プリズムは、色収差、すなわち、レーザ発振波長
の違いにより、屈折方向が異なるために、レーザ発振波
長が前述のように、3〜10nmだけシフトすれば、集光ス
ポットは光ディスクの面上にて大きくずれ、書き込まれ
たデータ(ピット)の長さが変化し、読み取り時に正確
に読み取られないおそれがある。レーザの波長が長波長
側にシフトすることは、レーザのゲイン分布が戻り光に
より変化するという物理現象に起因しているために避け
ることは困難である。従って、集光スポットがズレを起
こす一因であるビーム整形用プリズムを使用しないこと
により、集光スポットのズレが抑制される。このために
は、光源である半導体レーザ素子から発せられるレーザ
ビームの楕円率を2以下とすることが必要である。
【0007】レーザビームの楕円率を小さくするため
に、導波路幅を共振器の各端面近傍部において、中央部
よりも狭くすることが実施されている。例えば、VSI
S(V-channeled substrate inner stripe)型半導体レ
ーザ(Appl.Phys.Lett.40,372(1982))では、p-GaAs基
板上に、n-GaAs層を1000nm程度の厚さに積層してフォト
リソグラフィーとエッチングによりストライプ状のV溝
を形成した後に、2回目の液層成長により、該V溝を埋
めるp-GaAlAsクラッド層、p-GaAlAs活性層、n-GaAlAsク
ラッド層、n-GaAsコンタクト層を順次積層して構成され
ており、活性層からしみだした光はV溝の肩部で基板に
吸収され、その光損失により実効的にV溝内外で屈折率
差が生じる、いわゆるロスガイド構造となっている。導
波路幅は、主としてV溝幅Wで決定され、典型的にはW
=5000nmである。このとき、接合方向に沿った水平方向
遠視野像の半値幅はθhは、9゜〜10゜となる。また、接
合方向に対して直交方向の垂直方向遠視野像の半値幅θ
vは、23゜〜24゜となり、結局、楕円率θv/θhは2以上
になる。そこで、共振器端面近傍部における導波路幅
が、共振器各端面近傍部を除く中央部よりも小さくなる
ようにすることが行われている。例えば、導波路幅が、
共振器の各端面においては3500nmであって、共振器各端
面から離れるに連れて順次広がって、共振器中央部にお
いて5000nmの一定幅になった導波路の構成であれば、レ
ーザビームの発振スポットが、出射端面での導波路幅に
より規定され、このように、出射端面において導波路幅
が3500nmとなっている半導体レーザ素子では、出射され
るレーザビームのスポットが狭められて、水平方向の遠
視野像は12゜となり、楕円率を2以下にすることができ
る。
【0008】しかしながら、このようにして、出射端面
での発振スポットが狭められるために光密度が上昇し、
共振器端面の酸化による非発光再結合中心が形成されて
端面劣化を引き起こしやすいために、50mW以上の高出力
により動作させた場合には信頼性が低下するという問題
がある。
【0009】InGaAlP系半導体レーザ素子では、端面をA
l2O3誘電体膜によりコートすると、該端面に対して酸素
を遮蔽できるために、端面の劣化抑制に効果があること
が知られている。しかし、半導体レーザ素子では、へき
開等により大気中にて共振器端面が形成された後に、誘
電体膜がコートされるために、共振器端面と誘電体膜と
の界面には、酸素が存在する。このため、レーザを出射
させるべく動作させると、その酸素に起因して端面の劣
化が生じるという問題がある。
【0010】半導体レーザ素子において、このような共
振器の端面劣化を抑制するために、該共振器端面に、活
性層よりも大きな禁制帯幅を有する半導体結晶を成長さ
せて、該半導体結晶層にて共振器端面を被覆した半導体
レーザが知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】AlGaAs系の半導体レー
ザ素子では、通常、図24に示すように、GaAs基板81、
Al0.45Ga0.55Asクラッド層82、Al0.15Ga0.85As活性層8
3、Al0.45Ga0.55Asクラッド層84、GaAsコンタクト層85
が、順次、積層されており、活性層83内にてレーザが励
起されて、共振器端面80aから出射される。そして、該
共振器端面80aには、活性層83よりも禁制帯幅が大きく
なるように、Al混晶比が活性層83よりも大きいAl0.4Ga
0.6As窓層86が積層されている。
【0012】このような窓層86は、活性層83とはAl混晶
比が大きく異なっており、該活性層83上に積層されると
結晶歪が生じる。このような結晶歪は、結晶欠陥にな
り、高出力では高い信頼性を得ることができない。
【0013】本発明は上記従来の問題を解決するもので
あり、その目的は、高出力で高い信頼性を有する半導体
レーザ素子を提供することにある。本発明の他の目的
は、楕円率の小さいレーザビームを発振することができ
る半導体レーザ素子を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ素
子は、禁制帯幅がほぼ同一である一対のクラッド層にて
挟まれた活性層内における導波路にて励起されたレーザ
光が共振器の端面から出射するように、半導体材料によ
り構成された半導体レーザ素子であって、少なくともレ
ーザ光が出射される一方の共振器端面に、該活性層及び
該クラッド層よりも禁制帯幅の大きいIII−V族化合物
半導体により構成され、該半導体と共振器端面における
半導体との格子不整合率による局所的な結晶欠陥の発生
が抑制される層厚1000nm以下に結晶成長により形成され
た窓層を有してなり、そのことにより上記目的が達成さ
れる。
【0015】
【0016】好ましくは、結晶成長により形成された前
記窓層の層厚が200nm以下である構成とする。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】また、本発明の半導体レーザ素子は、一対
のクラッド層にて挟まれた活性層内における導波路にて
励起されたレーザ光が共振器の端面から出射するよう
に、半導体材料により構成された半導体レーザ素子であ
って、少なくともレーザ光が出射される一方の共振器端
面に、該活性層よりも禁制帯幅の大きい半導体により構
成され、該半導体と共振器端面における半導体との格子
不整合率による局所的な結晶欠陥の発生が抑制される厚
さの窓層を有し、該窓層の禁制帯幅が該共振器端面から
遠ざかるにつれて増減方向に交互に変化しており、その
周期が減少している多重量子障壁構造であり、そのこと
により上記目的が達成される。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】また、本発明の半導体レーザ素子は、一対
のクラッド層にて挟まれた活性層内における導波路にて
励起されたレーザ光が共振器の端面から出射するよう
に、半導体材料により構成された半導体レーザ素子であ
って、少なくともレーザ光が出射される一方の共振器端
面に、該活性層よりも禁制帯幅の大きい半導体により構
成され、該半導体と共振器端面における半導体との格子
不整合率による局所的な結晶欠陥の発生が抑制される厚
さの窓層を有し、該窓層表面には、該窓層と禁制帯幅の
異なる半導体の保護層が設けられてなり、そのことによ
り上記目的が達成される。
【0028】また、本発明の半導体レーザ素子は、禁制
帯幅がほぼ同一である一対のクラッド層にて挟まれた活
性層内における導波路にて励起されたレーザ光が共振器
の端面から出射するように、半導体材料により構成され
た半導体レーザ素子であって、少なくともレーザ光が出
射される一方の共振器端面に、該活性層及び該クラッド
層よりも禁制帯幅の大きい半導体により構成され、該半
導体と共振器端面における半導体との格子不整合率によ
る局所的な結晶欠陥の発生が抑制される厚さの窓層を有
し、該窓層表面に、硫黄含有膜の保護層が設けられてお
り、そのことにより上記目的が達成される。
【0029】好ましくは、前記活性層はアルミニウム成
分を含んでおり、前記保護層アルミニウム混晶比が該
活性層よりも小さい半導体で構成する
【0030】
【0031】また、本発明の半導体レーザ素子は、一対
のクラッド層にて挟まれた活性層内における導波路にて
励起されたレーザ光が共振器の端面から出射するよう
に、半導体材料により構成された半導体レーザ素子であ
って、少なくともレーザ光が出射される一方の共振器端
面に、該活性層よりも禁制帯幅の大きい半導体により構
成され、該半導体と共振器端面における半導体との格子
不整合率による局所的な結晶欠陥の発生が抑制される厚
さの窓層を有し、該窓層表面に、該窓層と禁制帯幅の異
なる半導体の保護層が設けられており、該保護層が隣接
層同士で異なるアルミニウム混晶比を有する多層保護層
であり、そのことにより上記目的が達成される。また、
本発明の半導体レーザ素子は、一対のクラッド層にて挟
まれた活性層内における導波路にて励起されたレーザ光
が共振器の端面から出射するように、半導体材料により
構成された半導体レーザ素子であって、少なくともレー
ザ光が出射される一方の共振器端面に、該活性層よりも
禁制帯幅の大きい半導体により構成され、該半導体と共
振器端面における半導体との格子不整合率による局所的
な結晶欠陥の発生が抑制される厚さの窓層を有し、該窓
層表面に硫黄含有膜の保護層が設けられており、該保護
層が隣接層同士で異なるアルミニウム混晶比を有する多
層保護層であり、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0032】
【作用】本発明の半導体レーザ素子では、共振器におけ
る少なくともレーザ光が出射される端面に設けられる窓
層が、活性層及びクラッド層よりも広禁制帯幅のIII−
V族化合物半導体により構成されているために、共振器
のレーザビーム出射端面の劣化が抑制される。また、窓
層が、共振器端面における半導体との格子不整合率によ
る歪に起因する局所的な結晶欠陥が抑制される層厚1000
nm以下に結晶成長により形成されるので、結晶欠陥密度
の増加、並びに外部微分効率及び最大光出力の低下を抑
制することが可能となり、高出力状態において高い信頼
性が得られる。また、各窓層を層厚200nm以下にして活
性層よりも広禁制帯幅のIII−V族化合物半導体により
構成すると、外部微分効率の低下が大幅に抑制され、結
晶欠陥の発生が少なくなるので、最大光出力をより一層
向上することが可能となる。
【0033】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。
【0034】<実施例1>本発明の半導体レーザ素子の
一例を図1および図2に示す。該半導体レーザ素子は、
例えば、S.Yamamoto et al., Applied Physics letter
s, vol.40, No.5,pp372〜374(1982)に詳細に記載された
VSIS(V-channeled Substrate InnerStripe)構造
であり、p-GaAs基板11上に、液相成長法(LPE法:Li
quid PhaseEpitaxy法)によりn-GaAs電流阻止層12が成
長されている。このn-GaAs電流阻止層12には、基板11に
達するストライプ状のV溝12aが、ホトリソグラフィ法
および化学エッチングにより形成されている。そして、
該V溝12aを埋めるように、p-AlyGa1-yAsクラッド層13
がLPE法により成長される。該クラッド層13は、V溝
12aを埋め尽くした後に電流阻止層12の全面にわたって
平坦になるように成長されている。該クラッド層13上に
は、p-AlxGa1-xAs活性層14(Al混晶比はx≦y)、n-Al
yGa1-yAsクラッド層15、n-GaAsコンタクト層16が、順次
積層されている。
【0035】そして、ストライプ状のV溝12aの長手方
向の各端面は、へき開法により、それぞれ共振器端面10
aおよび10bとされている。
【0036】各共振器端面10a,10bには、有機金属気相
成長法(MOCVD法:Metal Organic Chemical Va
por Deposition法)により、キャリア濃度が1017cm 3
以下の高抵抗AlzGa1-zAs窓層17aおよび17bが、V溝12a
の長手方向に沿って成長されて厚さt1およびt2とされ
ている。各AlzGa1-zAs窓層17aおよび17bのAl混晶比z
は、AlxGa1-xAs活性層14におけるAl混晶比xよりも大き
く、従って、各窓層17aおよび17bは活性層14よりも広禁
制帯幅になっている。本実施例では、各窓層の厚さt1
よびt2は等しく設定されている。
【0037】このようにして結晶が成長された状態で、
GaAs基板11の表面およびGaAsコンタクト層16の表面に
は、p型電極19aおよびn型電極19bがそれぞれ設けられ
る。
【0038】一方の共振器端面10aに形成された高抵抗A
lzGa1-zAs窓層17aには、図2に示すように、この共振器
端面10aの反射率を、例えば15%に制御するために、Al2
O3誘電体膜18aが積層されている。他方の共振器端面10b
に形成された高抵抗AlzGa1-zAs窓層17bには、この共振
器端面10bの反射率を、例えば95%に制御するために、A
l2O3誘電体膜とシリコン(Si)膜との多層膜18bが積層
されている。
【0039】このような構成の半導体レーザ素子は、ヒ
ートシンク上にマウントされた状態で、p型電極19aお
よびn型電極19bにより、クラッド層13および15にて挟
まれた活性層14に電流が注入される。活性層14は、各ク
ラッド層13および15よりもAl混晶比が小さい。従って、
再結合によりレーザ光が励起される。そして、励起され
たレーザ光は、Al2O3誘電体膜18aにより反射率が15%と
された共振器端面10aを光出射面として発振される。
【0040】各共振器端面10aおよび10b上に形成される
高抵抗AlzGa1-zAs窓層17aおよび17bは、MOCVD法に
より成長されるために、下地である共振器端面10aおよ
び10bの結晶層とは良好な界面が形成され、非発光再結
合中心が存在しなくなる。また、各窓層17aおよび17b
は、活性層14よりもAl混晶比が大きく、従って禁制帯幅
が大きくなっているために、各窓層17aおよび17bにおい
て光吸収はなく、しかも発熱もせず、その結果、共振器
の端面劣化が抑制される。
【0041】各共振器端面10aおよび10b上に形成される
高抵抗AlzGa1-zAs窓層17aおよび17bは、下地である共振
器端面10aおよび10bの結晶層と窓層17aおよび17bの格子
定数の差、並びに各窓層17aおよび17bの層の厚さt1およ
びt2により、歪んだ状態になって、結晶欠陥が発生する
おそれがある。窓層17aおよび17bの層の厚さt1およびt2
が、それぞれ薄い場合には、窓層17aおよび17bにおける
歪は緩和されるために、結晶欠陥は発生しない。しか
し、窓層17aおよび17bが厚くなると、歪の影響により、
結晶欠陥が発生する。結晶欠陥が発生する場合の窓層17
aおよび17bの厚さは、結晶の格子定数から見積ることが
できる。
【0042】AlzGa1-zAs窓層17aおよび17bは、下地層で
あるAlxGa1-xAs活性層14と各AlyGa1-yAsクラッド層13お
よび15のいずれの影響を受けて歪んだ状態になるかは、
活性層14におけるAl混晶比xおよびクラッド層13,15に
おけるAl混晶比yそれぞれと、窓層17aおよび17bのAl混
晶比zとの差に依存し、その差が大きくなる半導体層上
では歪んだ状態で結晶が成長される。従って、活性層14
のAl混晶比xがクラッド層13および15におけるAl混晶比
yよりも小さくなっており(x≦y)、しかも、窓層17
aおよび17bのAl混晶比zが活性層14のAl混晶比xよりも
大きくなっている半導体レーザ素子において、活性層14
におけるAl混晶比xとクラッド層13および15におけるAl
混晶比yの平均値{(x+y)/2}よりも、窓層17aお
よび17bにおけるAl混晶比zが大きいときには、常に、
(z−x)≧(z−y)となり、窓層17aおよび17bは、
Al混晶比の差が大きい活性層14上にて歪んだ状態にな
る。反対に、窓層17aおよび17bのAl混晶比zが、活性層
14におけるAl混晶比xとクラッド層13,15におけるAl混
晶比yとの平均値以下である場合には、常に、(z−
y)≧(z−x)となり、クラッド層13および15上に窓
層17aおよび17bが歪んだ状態で成長される。
【0043】例えば、AlxGa1-xAs活性層14におけるAl混
晶比xが0.15、各AlyGa1-yAsクラッド層13および15にお
けるAl混晶比yが0.45(両者の平均値=0.3)である場
合に、AlzGa1-zAs窓層17aおよび17bのAl混晶比zが0.5
(≧0.3)であれば、各窓層17aおよび17bは、窓層17aお
よび17bとのAl混晶比の差の大きい活性層14上にて歪ん
だ状態になる。これに対して、AlzGa1-zAs窓層17aおよ
び17bのAl混晶比zが、0.2(≦0.3)の場合には、各窓
層17aおよび17bは、窓層17aおよび17bとのAl混晶比の差
の大きい各クラッド層13および15上にて歪んだ状態にな
る。
【0044】GaAsの格子定数(a(GaAs)で示す)とAlxGa
1-xAsの格子定数(a(AlxGa1-xAs)で示す)は、H.C.Case
y, Jr.and M.B.Panish, Heterostructure Lasers(197
8)によれば、それぞれ、0.565325nm、および(0.56532
5+0.000725x)nm(ただし、xはAlxGa1-xAsにおけるA
l混晶比)である。AlxGa1-xAs結晶上にAlzGa1-zAs半導
体層を再成長する場合には、AlzGa1-zAs半導体層に欠陥
が発生する層厚さhは、J.M.Wooall et al., Physical
Review Letters, vol.51, No.19, pp1783 (1983)に示さ
れているように、次式で表される。
【0045】 h=(AlxGa1-xAsとAlzGa1-zAsとの平均格子定数)2 /|a(AlxGa1-xAs)−a(Alz Ga1-zAs)| …(1) 上述のように、活性層14のAl混晶比xが0.15であり、各
クラッド層13,15のAl混晶比yがそれぞれ0.45(両者の
平均=0.3)の場合には、AlzGa1-zAs窓層17aおよび17b
におけるAl混晶比zが0.3以上であれば、各窓層17aおよ
び17bは、活性層14上にて歪んだ状態になる。このとき
に、上述の(1)式によって求められる、AlzGa1-zAs窓層1
7aおよび17bにおけるAl混晶比zと、結晶欠陥発生する
窓層17aおよび17bの厚さhとの関係を図3に示す。それ
ぞれの窓層17aおよび17bは、Al混晶比zが0.5のとき
に、厚さh=1260.5nmよりも厚くなると結晶欠陥が発生
し、従って、これよりも薄い場合には、欠陥の発生が抑
制される。
【0046】また、AlzGa1-zAs窓層17aおよび17bにおけ
るAl混晶比zが0.3以下であれば、各窓層17aおよび17b
は、各クラッド層13および15上にて歪んだ状態になる。
このときに、上記(1)式によって求められる、AlzGa1-zA
s窓層17aおよび17bにおけるAl混晶比zと、欠陥発生状
態になる窓層17aおよび17bの厚さhとの関係を図4に示
す。それぞれの窓層17aおよび17bは、Al混晶比zが0.2
のときに、厚さh=1764.7nmよりも厚くなることにより
欠陥発生状態になり、従って、これよりも薄い場合に
は、欠陥の発生は抑制される。
【0047】活性層14と、各クラッド層13,15のAl混晶
比がこのようになっている場合には、図3および図4よ
り明かなように、窓層17a,17bの層厚さの最大は、そのA
l混晶比zの値にかかわらず、3000nmである。
【0048】各窓層17aおよび17bは、Al混晶比zに基づ
いて、このような条件を満足するように、それぞれの厚
さt1およびt2がそれぞれ設定されるが、それぞれの厚
さt1およびt2は等しく設定してもよく、また、結晶欠陥
が発生しない限りは異なって設定してもよい。
【0049】AlzGa1-zAs窓層17aおよび17bのAl混晶比z
が0.5の場合におけるそれぞれの層厚さt1およびt2に対
する半導体レーザ素子特性の依存性を次に示す。図5
は、各窓層17aおよび17bの層厚t1およびt2に対する外部
微分効率の変化である。層厚t1およびt2が1200nm程度以
上では効率が急激に低減する。これは、窓層17aおよび1
7bが活性層14およびクラッド層13,15近傍において歪を
受けて結晶欠陥が発生し、レーザ光が散乱されて、光損
失が増大するためである。これに対して、窓層17aおよ
び17bの層厚t1およびt2が1200nm程度以下の場合には、
窓層17aおよび17bにおける歪が緩和されるために、結晶
欠陥の発生率が少なくなり、良好な効率が得られる。特
に層厚t1およびt2が200nm程度以下の場合には、結晶欠
陥がかなり減少し、さらに良好な効率が得られる。
【0050】図6に窓層17aおよび17bの層厚t1およびt
2に対する発振レーザの最大光出力の変化を示す。層厚t
1およびt2が1200nm程度以上であれば、上述したよう
に、窓層17aおよび17bが歪むことにより結晶欠陥が発生
し、それに起因した非発光再結合が増大するために、最
大光出力が低減する。逆に、層厚t1およびt2が0.2nm未
満であれば、Al0.5Ga0.5As窓層17aおよび17bにおける分
子サイズよりも小さいために、Al0.5Ga0.5As分子の性質
を有さなくなり、各窓層17aおよび17bが存在しない場合
と同様の特性を示す。これに対し、窓層17aおよび17bの
層厚t1およびt2が0.2nm以上1200nm程度以下では、レー
ザの最大出力として300mW以上が得られ、特に層厚t1
よびt2が100nm程度以下では最大光出力が400mWが得ら
れ、しかも、端面劣化が生じず、熱により光出力が飽和
する。
【0051】窓層17aおよび17bの禁制帯幅は活性層14の
禁制幅より広く設定されており、窓層17aおよび17bと活
性層14の禁制帯幅の差はレーザの最大光出力と相関があ
る。窓層17a,17bと活性層14との禁制帯幅との差ΔEg
およびそれに相当するAl混晶比の差ΔXと、レーザの最
大光出力との関係を図7に示す。ΔEgが300meV以上で
最大光出力は350mW以上に向上し、さらに、窓層17a,17b
の禁制帯幅がクラッド層13,15の禁制帯幅以上では、400
mWまで向上する。これは、x=0.15、y=0.45、z>
y、従って、ΔX=z−x≧0.3のときに相当する。Δ
Egが300meV以下の場合には、活性層14と窓層17a,17b
の禁制帯幅の差が小さすぎるために、活性層14に注入さ
れたキャリアが窓層17a,17bにあふれ出して、各窓層17
a,17bからのリーク電流が発生する。そして、それによ
って発熱が生じるために最大光出力が低下する。窓層17
a,17bの禁制帯幅がクラッド層13,15の禁制帯幅よりも小
さい場合、例えば、ΔX<0.3の場合には、各クラッド
層13,15から各窓層17a,17bへそれぞれキャリアがあふれ
出し、各窓層17a,17bからのリーク電流が発生して、光
出力が低下する。従って、各窓層17a,17bの禁制帯幅が
活性層より300meV以上に大きくなると、レーザの最大光
出力を向上させる効果が大きくなる。さらに、各窓層17
a,17bの禁制帯幅がクラッド層13,15より大きくなると、
その効果は一層大きくなる。
【0052】また、窓層17a、17bを禁制帯幅がへき開面
から遠ざかるに連れて漸増する傾斜禁制帯幅を有する構
造にすると、窓層17a、17bにあふれ出したキャリアが活
性層14に引き戻されるために、リーク電流を抑制でき
るので、レーザの最大光出力を更に向上できる利点があ
る。
【0053】図8はこのような傾斜禁制帯幅を有する窓
層17a、17bの一例を示しており、具体的には活性層14か
ら窓層17a、17bへの共振器方向のAl混晶比の変化を示し
ている。図からわかるように、窓層17a、17bのAl混晶比
はへき開面から遠ざかるに連れて漸増している。ここ
で、Al混晶比と禁制帯幅の関係は対応した関係にある。
即ち、Al混晶比が漸増するとこれに伴い禁制帯幅が漸増
する関係にある。従って、図8に示す構造によれば傾斜
禁制帯幅を有する窓層17a、17bを実現できる。
【0054】また、窓層17a、17bを異なる井戸幅と障壁
幅を有する多重量子障壁構造とすることによってもレー
ザの最大光出力を向上できる。すなわち、このような構
造によれば、活性層14からあふれ出したキャリアが多重
量子障壁で反射されて活性層14に引き戻されるため、
リーク電流を抑制できるからである。
【0055】図9は多重量子障壁構造を有する窓層17
a、17bの一例を示しており、具体的には活性層14から窓
層17a、17bへの共振器方向のAl混晶比の変化を示してい
る。
【0056】図からわかるように、本構造においては、
窓層17a、17bのAl混晶比はへき開面から遠ざかるに連れ
て増減方向に交互に変化し、かつその周期が減少するよ
うになっている。
【0057】<実施例2>図10に、本発明の半導体レー
ザ素子の第2実施例を示す。本実施例の半導体レーザ素
子は、図1に示す第1実施例の半導体レーザ素子と同様
のVSIS構造になっており、共振器各端面10aおよび1
0bに高抵抗のAl0.5Ga0.5As窓層100aおよび100bと、窓層
100aおよび100bとは異なるAl0.2Ga0.8As保護層101aおよ
び101bが、MOCVD法によりそれぞれ成長されてい
る。そして、各保護層101aおよび101b上にAl2O3誘電体
膜18aおよびAl2O3誘電体膜とシリコン(Si)膜との多層
膜18bがそれぞれ積層されている。その他の構成は、図
1に示す第1実施例の半導体レーザと同様であるので、
説明を省略する。
【0058】本実施例の半導体レーザ素子では、窓層10
0aおよび100b上に、各窓層100aおよび100bよりもAl混晶
比の小さな半導体層である保護層101aおよび101bが設け
られているために、保護層101aおよび101bのAl成分に基
づく大気による酸化は、Al混晶比が大きい窓層100aおよ
び100bが直接、大気と接触する場合に比較して、減少す
る。その結果、各窓層100aおよび100bが酸化することに
より、活性層14またはクラッド層13,15からあふれ出し
たキャリアが非発光再結合することが抑制されて、長期
にわたって安定した信頼性が得られる。
【0059】本実施例においても、窓層100aおよび100b
の層厚は、活性層14のAl混晶比xを0.15、クラッド層13
および15のAl混晶比yを0.45とすると、図3および図4
のグラフから、最大で3000nmになる。そこで、歪による
結晶欠陥を抑制するために窓層100aおよび100bの厚さを
100nm、各窓層100aおよび100bからの歪導入を防ぐため
に、保護層101aおよび101bの厚さを50nmとして、50℃、
100mWの駆動条件で駆動したところ、20000時間にわたっ
て安定的に駆動された。保護層101aおよび101bが設けら
れていない場合には、安定的な駆動時間は8000時間程度
であった。
【0060】保護層101aおよび101bは、Al成分を含んで
いる必要がなく、例えば、Al成分を含まないGaAsの場合
には、活性層よりも禁制帯幅が小さく、光吸収が生じる
が、層厚を20nm以下にすることにより光吸収をほぼ無視
することができ、Al成分を含んだ保護層の場合と同様の
効果が得られる。
【0061】また、保護層101aおよび101bは単層である
必要がなく、例えば、窓層100a、100bに隣接する層のAl
混晶比が窓層100a、100bよりも小さければ、隣接する層
同士で異なるAl混晶比を有する多層保護層構造であって
もよい。
【0062】図11はこのような多層保護膜の一例を示し
ており、具体的には活性層14から窓層100a、100bおよび
保護層へのAl混晶比の変化を示している。窓層100a、10
0bのAl混晶比は0.5であり、保護層のAl混晶比は窓層100
a、100bに近い第1保護層101a′が0.3、第2保護層101
a″が0.5になっている。このような多層構造によれば以
下に示す利点がある。すなわち、活性層14から窓層100
a、100bにあふれ出したキャリアは、第1保護層101a′
に閉じ込められるので、保護層表面の大気によって酸化
の影響を受けることがない。従って、長期にわたり安定
した信頼性が得られる。
【0063】さらに、保護層101aおよび101bとしては、
例えば、窓層100aおよび100b成長後に半導体レーザ素子
全体を硫化アンモニウム溶液中で処理することによる、
窓層100aおよび100bの表面処理により形成される硫黄含
有膜であってもよい。この場合にも、窓層表面における
キャリアの再結合が抑制され、長期にわたって安定した
信頼性が得られる。さらにまた、窓層100aおよび100b表
面にAl混晶比が小さい第1保護層を積層して、該第1保
護層を表面処理して得られる硫黄含有膜を第2保護層と
する構成としてもよい。この場合には、Al混晶比が小さ
い第1保護層および硫黄含有膜の第2保護層により、窓
層の酸化が低減されて、いっそう長期にわたる安定的な
信頼性が得られる。
【0064】<実施例3>図12に、特に光ピックアップ
装置に好適に使用できる半導体レーザ素子の一例を示
す。本実施例の半導体レーザ素子は、図1に示す実施例
1の半導体レーザ素子と同様に、VSIS構造になって
おり、共振器の各端面10aおよび10bにおけるV溝12aの
幅(導波路の幅)寸法wが、各端面近傍部を除く中央部
におけるV溝幅寸法Wよりも小さくなっている。そし
て、各端面近傍部において、V溝幅が、端面から離れる
に連れて順次広がっている。その他の構成は、図1に示
す半導体レーザと同様の構成になっているために、同様
の構成要素には同様の符号を付けて説明を省略する。
【0065】本実施例の半導体レーザ素子は、実施例1
において詳述したように、AlxGa1-xAs活性層14における
Al混晶比xと、各AlyGa1-yAsクラッド層13および15にお
けるAl混晶比yと、AlzGa1-zAs窓層17a,17bのAl混晶比
zとにより、各窓層17aおよび17bの厚さが設定され、活
性層14のAl混晶比xが0.15、クラッド層13および15にお
けるAl混晶比yが0.45であれば、図3および図4に示す
グラフに基づいて、各窓層17aおよび17bの最大厚さが設
定される。この場合の窓層17a,17bの層厚さの最大は、A
l混晶比zの値にかかわらず、3000nmである。
【0066】このような構成の半導体レーザ素子におい
て、各窓層17a,17bの層厚を100nm、光出射側の端面にお
ける窓層17aに、Al2O3誘電体膜18aを膜厚を制御して積
層し、該誘電体膜18aの透過率を光ディスク用の半導体
レーザ素子として適当な15%前後とした。また、他方の
端面における多層膜18bにおける反射率を、60〜95%と
した。
【0067】誘電体膜18aおよび多層膜18bは、端面に窓
層成長後、素子を大気中に取り出すことなく、成長装置
内で同時に形成した。
【0068】該半導体レーザ素子の電流−光出力特性を
図13に、また、遠視野像を図14にそれぞれ示す。窓層17
a,17bが設けられていない半導体レーザ素子は、図10に
破線で示すように、150mWの出力で出射端面が溶融して
破壊した。これに対して、窓層17aおよび17bを有する本
実施例の半導体レーザ素子では、400mWの光出力まで発
振し、熱飽和に至った。このように、光出射側の端面に
おける窓層17aは、出射端面の非発光再結合中心をなく
し、良好に出射端面を保護している。さらに、50℃、10
0mWの駆動条件下では、8000時間以上安定に動作し、き
わめて良好な信頼性を示した。
【0069】また、図14に示す遠視野像の測定結果によ
り、窓層17aの有無にかかわらず、楕円率1.9が実現され
ていた。
【0070】図12に示す構造の半導体レーザ素子におい
て、レーザ出射端面のV溝幅wを変化させた場合におけ
る水平方向遠視野像の半値幅θhは、図15に示すよう
に、w≦3500nmの場合に、θh≧12゜になる。VSIS構
造の半導体レーザ素子において、活性層14の厚さdを50
nm前後に設定すれば、垂直方向の遠視野像の半値幅がθ
v≦24゜となる半導体レーザ素子の出現率が非常に高くな
り、従って、w≦3500nmとすることにより、楕円率(θ
v/θh)が2以下の素子を歩留まりよく製造できる。
【0071】なお、本実施例では、電流阻止層12として
n-GaAsを用いているが、n-AlnGa1-nAs(0<n<x)ま
たはn-GaAsとn-AlnGa1-nAsとの2層構造を用いてもよ
い。この場合には、2回目のLPE成長で、V溝12aの
エッチバックによる変形を防止することができるため
に、溝幅を良好に制御できる。
【0072】本実施例の半導体レーザ素子は、光ピック
アップ装置に好適に使用される。図16に、本実施例の半
導体レーザ素子を使用した光ピックアップ装置の概略を
示す。本実施例の半導体レーザ素子10から発せられたレ
ーザビームは、コリメートレンズ21を透過して、第1ビ
ームスプリッタ22に与えられる。該第1ビームスプリッ
タ22に照射されるレーザビームは、該第1ビームスプリ
ッタ22を直線的透過した後に対物レンズ23を介して光デ
ィスクに照射されるビームと、該第1ビームスプリッタ
22により直角に屈折されるビームとに分割される。該第
1ビームスプリッタ22により屈折されたレーザビーム
は、第2ビームスプリッタ24に与えられて、該第2ビー
ムスプリッタ24を直線的に透過するビームと、直角に屈
曲されるビームとに分割される。該第2ビームスプリッ
タ24を直線的に透過したレーザビームは、シリンドリカ
ルレンズ25を介して、フォーカスエラー信号検出用ディ
テクタ26に照射され、該フォーカスエラー検出用ディテ
クタによりフォーカスエラー信号が検出される。第2ビ
ームスプリッタ24により直角に屈曲されたビームは、半
波長板27を介して、第3ビームスプリッタ28に与えられ
ている。該第3ビームスプリッタ28も、照射されるレー
ザビームを直線的に透過するビームと、直角に屈曲する
ビームとに分割する。そして、該第3ビームスプリッタ
28を直線的に透過したビームは、コリメートレンズ29を
介して、第1偏向成分検出用ディテクター31に照射さ
れ、また、該第3ビームスプリッタ28により直角に屈曲
されたビームは、コリメートレンズ33を介して、第2偏
向成分検出用ディテクター32に照射される。
【0073】このような構成の光ピックアップ装置で
は、本実施例における楕円率が2以下の半導体レーザ素
子を使用しているために、従来、第1ビームスプリッタ
22とコリメートレンズ21との間に設けられいたビーム整
形用プリズムを使用する必要がなく、光ピックアップ装
置全体が小型化し、また、ビーム整形用プリズムを使用
することによるレーザ発振波長が変化することにより生
じた集光スポットのズレを抑制することができる。
【0074】<実施例4>図17に光ピックアップ装置に
好適に使用される半導体レーザ素子の他の実施例を示
す。該半導体レーザ素子は、n-GaAs基板41上に、MOC
VD法により、n-Al0.5Ga0.5Asクラッド層42、ノンドー
プAl0.15Ga0.85As活性層43、p-Al0.5Ga0.5Asクラッド層
44が、順次積層されている。該p-Al0.5Ga0.5Asクラッド
層44は、幅方向の中央部分を発振部分44aとして残るよ
うに、幅方向の側部がエッチングにより除去された状態
になっており、その除去された部分に、それぞれn-GaAs
電流狭窄層45がそれぞれ積層されている。そして、各電
流狭窄層45およびクラッド層44の発振部分44aは平坦に
されており、その平坦な面上に、p-Al0.5Ga0.5Asクラッ
ド層46、およびp-GaAsキャップ層47が順次積層されてい
る。本実施例においても、各電流狭窄層45が光吸収層と
して機能し、各電流狭窄層45の間隔wにより、ロスガイ
ド型の導波路幅が規定される。そして、この導波路幅
が、共振器各端面近傍部において、共振器各端面近傍部
を除く中央部よりも狭くなっており、例えば、共振器各
端面では、導波路幅w=3000nm、共振器中央部ではW=
5000nmとされている。そして、各端面近傍部において導
波路幅が、各端面から離れるにつれて順次広がってい
る。
【0075】n-GaAs基板41には、n型電極40aが設けら
れており、p-GaAsコンタクト層47には、p型電極40bが
設けられている。
【0076】共振器におけるビーム出射側の端面には、
ノンドープAl0.6Ga0.4As窓層48aが、厚さ100nmで積層さ
れており、この窓層48a上に、Al2O3誘電体膜49a(反射
率12%)が積層されている。共振器における他方の端面
にも同様の窓層48bが積層されており、該窓層48bに、Al
2O3誘電体膜とシリコン(Si)膜との多層膜49bが、反射
率が60〜95%となるように積層されている。
【0077】このような構成の半導体レーザ素子は、最
大光出力として400mWが達成された。50℃、100mWの駆動
条件下では、8000時間以上安定に動作し、きわめて良好
な信頼性を示した。また、水平方向遠視野像θh=13゜、
垂直方向遠視野像θv=24゜であり、楕円率が1.8になっ
て、光ピックアップ装置に好適に使用される。
【0078】<実施例5>図18に、やはり、光ピックア
ップ装置に好適に使用できる半導体レーザ素子の他の実
施例を示す。本実施例の半導体レーザ素子は、図17に示
す半導体レーザ素子とほぼ同様であり、n-GaAs基板51上
に、分子線エピタキシー法(MBE法:Molecular Bea
m Epitaxy法)により、n-Al0.5Ga0.5Asクラッド層52、
ノンドープAl0.15Ga0.85As活性層53、p-Al0.5Ga0.5Asク
ラッド層54が、順次積層されている。そして、該クラッ
ド層54上に、電流挟窄層55が積層されている。該電流挟
窄層55は、幅方向中央部がエッチングによりストライプ
状に除去されて、電流通路および導波路を形成後、該電
流通路および導波路を埋めるように、p-Al0.5Ga0.5Asク
ラッド層54上にp-Al0.5Ga0.5As層56が積層され、該p-Al
0.5Ga0.5As層56が電流狭窄層55上にも積層されている。
そして、該p-Al0.5Ga0.5As層56上に、p-GaAsキャップ層
57が積層されている。さらに、n-GaAs基板51には、n型
電極58aが設けられており、また、p-GaAsコンタクト層5
7にはp型電極58bが設けられている。
【0079】本実施例においても、各電流狭窄層55が光
吸収層として機能し、各電流狭窄層55の幅により、ロス
ガイド型の導波路幅が規定される。そして、この導波路
幅が、共振器各端面近傍部において、共振器各端面近傍
部を除く中央部よりも狭くなっており、例えば、共振器
各端面から長さ25000nmまでの近傍部では、それぞれ導
波路幅w=3000nmで一定になっており、各端面近傍部以
外の共振器中央部では、導波路幅W=5500nmとされてい
る。
【0080】共振器におけるビーム出射側の端面には、
ノンドープAl0.6Ga0.4As窓層59aが、厚さ50nmで、ガス
ソースMBE法により積層されており、この窓層59a
に、SiO2誘電体膜50a(反射率20%)が積層されてい
る。共振器における他方の端面にも同様の窓層59bが積
層されており、この窓層59bには、多層膜50bが、反射率
60〜95%となるように積層されている。
【0081】本実施例の半導体レーザ素子においても、
最大光出力400mW、水平方向遠視野像θh=13゜、垂直方向
遠視野像θv=24゜となって、楕円率は1.8になり、光ピッ
クアップ装置に好適に使用される。50℃、100mWの駆動
条件下では、8000時間以上安定に動作し、きわめて良好
な信頼性を示した。
【0082】<実施例6>図19に、やはり、光ピックア
ップ装置に好適に使用できる半導体レーザ素子の他の実
施例を示す。本実施例の半導体レーザ素子は、n-GaAs基
板61上に、MBE法により、n-Al0.5Ga0.5Asクラッド層
62、ノンドープAl0.15Ga0.85As活性層63、p-Al0.5Ga0.5
Asクラッド層64、p-GaAsコンタクト層65が、順次積層さ
れて、クラッド層62、活性層63、クラッド層64、および
キャップ層65を、発振部分である中央部を除いた各側部
に沿ってそれぞれ基板61に達するまで、エッチングによ
り除去し、その除去した部分に、高抵抗Al0.55Ga0.45As
層66を積層している。また、活性層63の幅で規定される
導波路の幅は、共振器各端面近傍部において、共振器各
端面近傍部を除く中央部よりも狭くなっており、共振器
各端面近傍部から中央部にかけて導波路幅が順次広くな
っている。本実施例では、例えば、共振器各端面の近傍
部では、それぞれ導波路幅w=2000nm、各端面近傍部以
外の共振器中央部では、導波路幅W=4000nmとされてい
る。そして、n-GaAs基板61には、n型電極68aが設けら
れており、また、p-GaAsギャップ層65および高抵抗Al
0.55Ga0.45As層66にはp型電極68bが設けられている。
【0083】共振器におけるビーム出射側の端面には、
ノンドープAl0.55Ga0.45As窓層69aが、厚さ10nmで、原
子層成長法(ALE法:Atomic Layer Epitaxy法)に
より積層されており、この窓層69aに、MgF2誘電体膜60a
(反射率10%)が積層されている。共振器における他方
の端面にも同様のMgF2窓層69bが積層されており、この
窓層69bには、多層膜60bが、反射率60〜95%となるよう
に積層されている。
【0084】本実施例の半導体レーザ素子においても、
最大光出力400mW、水平方向遠視野像θh=15゜、垂直方向
遠視野像θv=24゜であり、楕円率は1.6になって、光ピッ
クアップ装置に好適に使用される。50℃、100mWの駆動
条件下では、8000時間以上安定に動作し、きわめて良好
な信頼性を示した。
【0085】<実施例7>本発明の半導体レーザ素子と
しては実屈折率導波構造であってもよく、例えば、図17
に示す実施例4の半導体レーザ素子において、n-GaAs基
板41、n-Al0.5Ga0.5Asクラッド層42、ノンドープAl0.15
Ga0.85As活性層43、p-Al0.5Ga0.5Asクラッド層44を、順
次積層した後に、該p-Al0.5Ga0.5Asクラッド層44の幅方
向の中央部分を発振部分44aとして残るように、幅方向
の側部をエッチングにより除去して、その除去した部分
に、電流狭窄層45として、n-GaAsに替えて、p-Al0.5Ga
0.5Asクラッド層44よりも広禁制帯幅でしかも低屈折率
のノンドープAl0.6Ga0.4As、ZnS、ZnSe等で埋め込んだ
埋め込み構造としてもよい。このような構成とすること
により、導波路幅が電流狭窄層幅で規定される実屈折率
導波構造になる。この場合、共振器における出射側端面
に設けられる窓層48aとして、酸素ドープAl0.55Ga0.45A
s層が設けられ、該窓層48aに、AlN透過膜49a(反射率12
%)が設けられる。 本実施例では、共振器各端面にお
いて、導波路幅w=2500nm、共振器中央部においてW=
4000nmとされている。
【0086】このような構成の半導体レーザ素子は、最
大光出力として400mWが達成された。また、水平方向遠
視野像θh=13.8゜、垂直方向遠視野像θv=23.5゜であり、
楕円率は1.7になって、光ピックアップ装置に好適に使
用される。50℃、100mWの駆動条件下では、8000時間以
上安定に動作し、きわめて良好な信頼性を示した。
【0087】<実施例8>本発明の半導体レーザ素子
は、発振波長が600nm帯の赤色領域であるInGaAlP系半導
体レーザ素子にも適用できる。図20にその一例を示す。
この半導体レーザ素子は、SBR(Selectively Buried
Ridge )導波路構造と呼ばれる内部ストライプ型レー
ザであって(波多腰等:レーザ研究17(1990) P.706参
照)、n-GaAs基板71上に、n-In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pク
ラッド層72、In0.5Ga0.5P活性層73、p-In0.5(Ga0.3Al
0.7)0.5Pクラッド層74が、MOCVD法により、順次積
層して、そのクラッド層74の表面にSiO2膜ストライプを
形成する。そして、順メサ型リッジストライプ74aを、
化学エッチングにより形成する。その後に、2回目のM
OCVD法により、SiO2膜ストライプ以外のリッジスト
ライプの側面およびクラッド層表面上に、選択的にn-Ga
As電流狭窄層75を成長する。そして、SiO2膜ストライプ
を除去し、3回目のMOCVD法により、表面全体にp-
GaAsコンタクト層76を成長させる。その後に、へき開法
により共振器端面70aおよび70bをそれぞれ形成し、GaAs
基板71にn型電極78aを設けるとともに、GaAsコンタク
ト層76にp型電極78bを設ける。
【0088】また、各端面70aおよび70bに、MOCVD
法により、キャリア濃度1017cm 3以下の高抵抗In0.5(G
a0.1Al0.9)0.5P窓層77aおよび77bを、500nmとなるよう
にそれぞれ成長させる。出射側とされる端面70aの窓層7
7aには、Al2O3誘電体膜79a(反射率12%)を設けるとと
もに、他方の端面の窓層77bには、Al2O3誘電体膜とSi膜
との多層膜79b(反射率95%)を設けた。
【0089】このような構成の半導体レーザ素子を、ヒ
ートシンク上にマウントして、レーザ発振させたとこ
ろ、最大光出力は150mWが得られ、熱により光出力は飽
和する。さらに、本実施例の半導体レーザ素子は高い信
頼性を有しており、光出力100mWでも長時間にわたって
端面の劣化は認められなかった。各端面70aおよび70bに
窓層を成長させる際に、各端面に付着した酸素が除去さ
れるために、良質な界面が得られることにより、劣化が
抑制され、また、各窓層において、発振されるレーザ光
の吸収がないために、各端面における温度上昇がなく、
端面劣化を完全に抑制できて、非常に良好な信頼性が得
られる。
【0090】本実施例の半導体レーザ素子の素子特性を
図21〜図23に示す。各窓層77aおよび77bは、各端面70a
および70bにおける格子不整合率(格子定数の差)が大
きく異なるGaAs基板71により歪を受ける。歪に対する結
晶欠陥の発生は、層厚に依存しており、図21に示すよう
に、1000nm以上では、結晶の欠陥密度が104cm 2以上と
高いが、層厚が1000nm以下では欠陥が減少する。
【0091】また、図22に示すように、窓層の厚さが10
00nm以上ではレーザの外部微分効率が急激に低下する。
これは、基板71近傍に積層された窓層が歪を受けて結晶
欠陥が発生し、レーザ光が散乱されて光損失が増大する
ためであると考えられる。これに対して層厚が1000nm以
下で窓層における歪が緩和されて、結晶欠陥の発生が少
なくなり、良好な効率が得られている。特に、層厚が20
0nm程度以下の場合には結晶欠陥がかなり少なくなり、
特に良好な効率が得られる。
【0092】さらに、図23に示すように、窓層の厚さが
1000nm以上になると、最大光出力が低下する。これは、
上述のように、窓層に結晶欠陥が発生して、そのために
界面準位が形成され、それに起因した非発光再結合が増
大するためである。特に、層厚が200nm程度以下では最
大光出力150mWが得られた。これに対して、層厚が0.2nm
未満では、InGaAlP層の分子サイズ以下になるために、I
nGaAlP分子の特性を有さず、窓層が設けられていない場
合と同様の結果になる。
【0093】また、実施例2に示したように、窓層77a
および77bに、各窓層77aおよび77bよりもAl混晶比の小
さな(Ga0.7Al0.30.5P0.5の保護層、硫黄含有膜の保
護層、あるいは両保護層を順次積層した構造としてもよ
く、いずれの場合にも、長期にわたって安定した信頼性
が得られる。
【0094】 <実施例9> 図1に示すAlGaAs系の半導体レーザ素子における共振器
各端面10aおよび10bに、InGaAlP系半導体からなる窓層1
7aおよび17bを形成しても、同様の効果が得られる。こ
の場合にも、実施例2に示すように、各窓層17aおよび1
7bにそれぞれ保護層を積層する構成としてもよい。各窓
層の層厚は歪による結晶欠陥が発生しないように設定さ
れる。図21のグラフから明かなようにGaAs基板上に、In
GaAlPを成長する場合には、層厚が1000nm以上では、結
晶欠陥密度が10 4 /cm2以上と高いが、層厚が1000nm以下
では欠陥の発生が抑制される。窓層17aおよび17bとして
InGaAlPを使用する本実施例において、層厚を200nmとし
た場合には、実施例1および2の半導体レーザ素子と同
様の効果が得られた。
【0095】 <実施例10> 図20に示すInGaAlP系の半導体レーザ素子における共振
器各端面10aおよび10bに、AlGaAs系半導体からなる窓層
77aおよび77bを形成しても、同様の効果が得られる。こ
の場合にも、実施例2に示すように、各窓層77aおよび7
7bに保護層を積層する構成としてもよい。各窓層の層厚
は歪による結晶欠陥が発生しないように設定される。図
21のグラフから明かなようにGaAs基板上に、InGaAlPを
成長する場合には、層厚が1000nm以上では、結晶欠陥密
度が10 4 /cm2以上と高いが、層厚が1000nm以下では欠陥
が減少する。InGaAlP系半導体レーザである本実施例に
おいて、各窓層77aおよび77bとしてAl0.6Ga0.4Asを用い
て層厚を200nmとした場合には、実施例8の半導体レー
ザ素子と同様の効果が得られた。
【0096】なお、上記各実施例では、共振器の両端面
に窓層を設けるようにしたが、光出射端面にのみ窓層を
設ける構成としてもよい。窓層はキャリア濃度1017/cm
3以下の例について示したが、それ以外に窓層のリーク
電流が問題にならない範囲ならば窓層は1017/cm3以上
のp型あるいはn型の半導体であってもよい。また、端
面反射率も、上記各実施例の数値に限定されるものでは
ない。さらに、上記各実施例では、活性層として単一の
半導体層の場合を示したが、それ以外に超格子で多層の
活性層を形成したMQW(Multi Quantum Well)構造の
場合でも同様の効果がある。また、導波路構造として、
クラッド層、活性層、クラッド層からなる3層構造を示
したが、それ以外に活性層の片側にガイド層を設けたL
OC(Large Optical Cavity)構造、両側にガイド層を
設けたSCH(Separated Confinement Heterostructur
e)構造、さらには、ガイド層の屈折率が徐々に変化し
たGRIN−SCH(Graded Index-SCH)構造にも適用
できる。また、前記各実施例では導波路として単一スト
ライプ構造を示したが、導波路がアレイ状になった複数
のストライプ構造であってもよい。共振器端面の形成方
法としては、へき開法以外に、ドライエッチング法、化
学エッチング法等も適用できる。共振器端面における窓
層の成長法としては、MOCVD法、MBE法、ALE
法、MOMBE法等の気相成長法がある。
【0097】
【発明の効果】本発明の半導体レーザ素子は、このよう
に、共振器におけるレーザビームが出射される端面に、
活性層及びクラッド層よりも禁制帯幅が広い半導体によ
り構成された窓層が設けられており、しかも、その窓層
が共振器端面における半導体との格子不整合率による局
所的な結晶欠陥の発生を抑制するような1000nm以下の層
厚に結晶成長により形成されるので、結晶欠陥密度の増
加、並びに外部微分効率及び最大光出力の低下を抑制す
ることができ、高出力状態においても、高い信頼性が得
られる。また、各窓層を層厚200nm以下にして活性層よ
りも禁制帯幅が広いIII−V族化合物半導体により構成
すると、外部微分効率の低下を大幅に抑制でき、結晶欠
陥の発生を少なくできるので、最大光出力をより一層向
上することができる。 更には、本発明の半導体レーザ素
子は、発振されるレーザビームの楕円率を小さくするこ
とができるために、光ピックアップ装置の光源として、
きわめて好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体レーザ素子の第1実施例を示す
斜視図。
【図2】図1の半導体レーザ素子の要部の断面図。
【図3】図1の半導体レーザ素子の窓層におけるAl混晶
比とその厚さとの関係を示すグラフ。
【図4】図1の半導体レーザ素子の窓層におけるAl混晶
比とその厚さとの関係を示すグラフ。
【図5】図1の半導体レーザ素子の窓層の層厚と外部微
分効率との関係を示すグラフ。
【図6】図1の半導体レーザ素子の窓層の層厚と最大出
力との関係を示すグラフ。
【図7】図1の半導体レーザ素子の窓層と活性層の禁制
帯幅の差およびAl混晶比の差と、最大光出力との関係示
すグラフ。
【図8】図1の半導体レーザ素子の窓層の禁制帯幅が傾
斜禁制帯幅を有するときのAl混晶比の分布を示す図面。
【図9】図1の半導体レーザ素子の窓層の禁制帯幅が多
重量子障壁構造を有するときのAl混晶比の分布を示す図
面。
【図10】本発明の第2実施例の半導体レーザ素子を示
す斜視図。
【図11】図10に示す半導体レーザ素子の保護層が多
層構造を有するときのl混晶比の分布を示す図面。
【図12】本発明の第3実施例の半導体レーザ素子を示
す分解斜視図。
【図13】図12の半導体レーザ素子の電流−光出力特
性を示すグラフ。
【図14】(A)は図12の半導体レーザ素子の遠視野
像を示すグラフ。 (B)は図12の半導体レーザ素子において窓層が設け
られていない場合の遠視野像を示すグラフ。
【図15】図12の半導体レーザ素子の出射端面におけ
るV溝幅と水平方向遠視野像との関係を示すグラフ。
【図16】図12の半導体レーザ素子を使用した光ピッ
クアップ装置の概略図。
【図17】本発明の第4実施例の半導体レーザ素子の分
解斜視図。
【図18】本発明の第5実施例の半導体レーザ素子の分
解斜視図。
【図19】本発明の第6実施例の半導体レーザ素子の分
解斜視図。
【図20】本発明の第8実施例の半導体レーザ素子の斜
視図。
【図21】図20の半導体レーザ素子の窓層の厚さと結
晶欠陥密度との関係を示すグラフ。
【図22】図20の半導体レーザ素子の窓層の厚さと外
部微分効率との関係を示すグラフ。。
【図23】図20の半導体レーザ素子の窓層の厚さと最
大光出力との関係を示すグラフ。
【図24】従来の半導体レーザ素子の要部の断面図であ
る。
【符号の説明】
10 半導体レーザ素子 11 基板 12 電流素子層 13 クラッド層 14 活性層 15 クラッド層 16 コンタクト層 17a,17b 窓層 22,24,28 ビームスプリッタ 26 フォーカスエラー信号検出用ディテクタ 31 第1偏向成分検出用ディテクター 32 第2偏向成分検出用ディテクター 41 基板 42 クラッド層 43 活性層 44 クラッド層 45 電流狭窄層 48a,48b 窓層 51 基板 52 クラッド層 53 活性層 54 クラッド層 55 電流狭窄層 59a,59b 窓層 61 基板 62 クラッド層 63 活性層 64 クラッド層 65 キャップ層 69a,69b 窓層 71 基板 72 クラッド層 73 活性層 74 クラッド層 75 電流挟窄層 77a,77b 窓層
フロントページの続き (72)発明者 竹岡 忠士 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャー プ株式会社内 (72)発明者 中津 弘志 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャー プ株式会社内 (72)発明者 渡辺 昌規 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャー プ株式会社内 (72)発明者 山本 修 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャー プ株式会社内 (72)発明者 山本 三郎 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャー プ株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−115191(JP,A) 特開 平2−239680(JP,A) 特開 平2−114586(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のクラッド層にて挟まれた活性層内
    における導波路にて励起されたレーザ光が共振器の端面
    から出射するように、半導体材料により構成された半導
    体レーザ素子であって、 少なくともレーザ光が出射される一方の共振器端面に、
    該活性層よりも禁制帯幅の大きい半導体により構成さ
    れ、該半導体と共振器端面における半導体との格子不整
    合率による局所的な結晶欠陥の発生が抑制される厚さの
    窓層を有し、 該窓層表面に、該窓層と禁制帯幅の異なる半導体の保護
    層が設けられてい る半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 一対のクラッド層にて挟まれた活性層内
    における導波路にて励起されたレーザ光が共振器の端面
    から出射するように、半導体材料により構成された半導
    体レーザ素子であって、 少なくともレーザ光が出射される一方の共振器端面に、
    該活性層よりも禁制帯幅の大きい半導体により構成さ
    れ、該半導体と共振器端面における半導体との格子不整
    合率による局所的な結晶欠陥の発生が抑制される厚さの
    窓を有し、 該窓層表面に、該窓層と禁制帯幅の異なる半導体の保護
    層が設けられており、該保護層が隣接層同士で異なるア
    ルミニウム混晶比を有する多層保護層である 半導体レー
    ザ素子。
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