JP2005236147A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Abstract


【課題】 リッジ幅すなわちストライプ幅および電流阻止層厚を規定することによってキンクの発生の抑制および所望の水平放射角のレーザ光を発射可能な半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】 化合物半導体多層構造においてストライプ部の幅を、レーザ光の水平放射角との相関関係に基づいて決定する。また電流阻止層の最小電流阻止層厚は、最小電流阻止層厚dとレーザ光のIL特性の関係に基づいて決定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体レーザ素子に関する。
本発明において、「IL特性」とは、光出力と電流との特性と同義である。
近年、半導体レーザ素子は、デジタル多機能ディスク(Digital Versatile Disc;略称:DVD)などの記録媒体への記録および記録媒体の再生が可能な装置の光源として用いられている。半導体レーザ素子が発するレーザ光を記録媒体に照射することによって、記録媒体に情報を記録、すなわち書き込みすることができ、光レーザの出力を高くすることによって記録媒体への情報の書き込み速度を大きくすることができる。このため高出力の半導体レーザ素子の需要が高まっている。このような高出力のレーザ光の発振を可能とするために、半導体レーザ素子は、半導体レーザ素子内で導波される光の積層および水平方向の閉じ込めを効率よく行うことができる実屈折率ガイド構造を導入している。これによって半導体レーザ素子は、閾値電流を低減するとともに光出力を向上することができ、光出射端面での光吸収を抑制することができる。これによって高出力のレーザ光を出射可能な半導体レーザを実現することができる。
第1の従来の技術である半導体レーザ装置では、実屈折率ガイド構造が導入される。半導体レーザ装置は、複数の層によって構成され、前記層のうちの第1クラッド層および第2クラッド層の厚みが規定される。半導体レーザ装置では、前記各層の厚みを規定することによって出射されるレーザ光の水平および垂直方向広がり角を制御しキンクの発生を抑制することができる。また半導体レーザ装置は、そのガイドの幅が2.5μm以上3.5μm以下に規定される。これによってレーザ光の広がり特性を良好にすることができる(たとえば特許文献1参照)。
第2の従来の技術である半導体レーザ装置の製造方法では、小さいリッジ幅を有するリッジを精度良く均一に形成することができる。これによって閾値電流をさらに低減することができ、低電流で動作可能な半導体レーザ装置を実現することができる(たとえば特許文献2参照)。
特開2003−78208号公報(第7−9頁、第1−6図) 特開平10−163560号公報(第4−5頁、第1図)
実屈折率ガイド構造を有する半導体レーザ素子では、レーザ光の出力を高くすると、キンクが発生する。半導体レーザ素子は、キンクが発生すると、注入電流と光出力との間に線形性がなくなり、所望の光出力のレーザ光を得ることができない。また実屈折率ガイド構造では、リッジを設けることによって水平方向の広がり角が小さくなる。
第1の従来の技術である半導体レーザ装置では、前記半導体レーザ装置を構成する第1および第2クラッド層の層厚を規定することによって、レーザ光の高出力化にともなうキンク発生を抑制し、水平方向の広がり角を大きくすることができる。このように第1および第2クラッド層の層厚を規定することによってキンクの発生を抑制するけれども、リッジ幅および電流阻止層の層厚を規定することによってキンクの発生が抑制できるか否かについて言及されていない。またリッジ幅が2.5μm以上3.5μm以下の範囲では、拡がり角の増大を可能としているけれども、その範囲以外については言及されていない。
第2の従来の技術である半導体レーザ装置の製造方法については、リッジ幅が小さいリッジを精度良く均一に形成し、閾値電流の低減を可能としているけれども、キンク発生を抑制することについて言及されていない。
本発明の目的は、リッジ幅すなわちストライプ幅および電流阻止層厚を規定することによってキンクの発生の抑制および所望の水平放射角のレーザ光を発射可能な半導体レーザ素子を提供することである。
本発明は、一方向に順次積層される第1導電型の第1クラッド層、活性層および第2導電型の第2クラッド層とを備えるとともに、前記第2クラッド層にストライプ状に形成されるストライプ部が含まれる化合物半導体多層構造であって、
前記化合物半導体多層構造のストライプ部の幅を、発せられるべきレーザ光の水平放射角との相関関係に基づいて決定することを特徴とする半導体レーザ素子である。
本発明に従えば、化合物半導体多層構造は、厚み方向一方に第1導電型の第1クラッド層、活性層および第2クラッド層が順次積層される。第2クラッド層には、ストライプ形状に形成されるストライプ部が含まれる。このように形成される化合物半導体多層構造において、順方向のバイアスを印加すると、ストライプ部付近の活性層でレーザ光を発することができる。前記ストライプ部の幅は、前記レーザ光の水平放射角との相関関係に基づいて決定される。したがってストライプ部の幅を決定することによって、所望の水平放射角のレーザ光を発することができる。
また本発明は、一方向に順次積層される第1導電型の第1クラッド層、活性層および第2導電型の第2クラッド層とを備えるとともに、前記第2クラッド層にストライプ状に形成されるストライプ部が含まれる化合物半導体多層構造であって、
前記化合物半導体多層構造に積層される電流阻止層をさらに備え、化合物半導体多層構造に対する最小電流阻止層厚であって、電流阻止層のうち化合物半導体多層構造に近接する部位の最小電流阻止層厚とIL特性との関係に基づいて、最小電流阻止層厚を決定することを特徴とする半導体レーザ素子である。
本発明に従えば、化合物半導体多層構造は、厚み方向一方に第1導電型の第1クラッド層、活性層および第2クラッド層が順次積層される。第2クラッド層には、ストライプ形状に形成されるストライプ部が含まれる。このように形成される化合物半導体多層構造において、順方向のバイアスを印加すると、ストライプ部付近の活性層でレーザ光を発することができる。前記化合物半導体多層構造には、電流阻止層がさらに積層される。これによって化合物半導体多層構造の内部における水平方向の光の閉じ込めの効果を高めることができる。最小電流阻止層厚は、電流阻止層が化合物半導体多層構造に近接する部位の層厚である。前記最小電流阻止層厚は、発せられるレーザ光のIL特性との関係に基づいて決定される。したがって最小電流阻止層厚を決定することによって、所望のIL特性を示すレーザ光を発することができる。
また本発明は、前記化合物半導体多層構造に積層される電流阻止層をさらに備え、化合物半導体多層構造に対する最小電流阻止層厚であって、電流阻止層のうち化合物半導体多層構造に近接する部位の最小電流阻止層厚とIL特性との関係に基づいて、最小電流阻止層厚を決定することを特徴とする。
本発明に従えば、ストライプ部の幅を決定することによって、所望の水平放射角のレーザ光を発することができる。また最小電流阻止層厚は、電流阻止層が化合物半導体多層構造に近接する部位の層厚である。前記最小電流阻止層厚は、発せられるレーザ光のIL特性との関係に基づいて決定される。つまり最小電流阻止層厚を決定することによって、所望のIL特性を示すレーザ光を発することができる。したがってストライプ部の幅および最小阻止層厚を決定することによって、所望の水平放射角であって所望のIL特性を示すレーザ光を発することができる。
また本発明は、前記ストライプ部の幅を1.7μm以上2.2μm以下にすることを特徴とする。
本発明に従えば、ストライプ部の幅は、1.7μm以上2.2μm以下に形成される。これによって所定の範囲の水平放射角を有するレーザ光を発することができる。
また本発明は、前記最小電流阻止層厚を0.4μm以上0.55μm以下にすることを特徴とする。
本発明に従えば、最小電流阻止層厚は、0.4μm以上0.55μm以下に形成される。これによって発せられるべきレーザ光のIL特性において、キンクの発生が抑制される。
本発明によれば、ストライプ部の幅は、ストライプ部の幅と水平放射角との相関関係に基づいて決定される。前記関係に基づいてストライプ部の幅を決定することによって、所望の水平放射角のレーザ光を発することができる。またストライプ部の幅と発せられるべきレーザ光のキンク出力との間にも相関関係がある。このためストライプ部の幅を決定する場合、ストライプ部の幅と水平放射角との相関関係およびストライプ部の幅とキンク出力との相関関係に基づいて決定することができる。これによってストライプ幅を決定するだけで、所望の水平放射角のレーザ光を発することができるとともに、前記レーザ光のキンク出力の向上、すなわちキンクの発生を抑制可能な半導体レーザ素子を実現することができる。
本発明によれば、最小電流阻止層厚は、最小電流阻止層厚とIL特性との関係に基づいて決定される。前記関係に基づいて最小電流阻止層厚を決定することによって、所望のIL特性を示すレーザ光を発することができる。したがってキンクの発生が抑制されるレーザ光を発することができる。また最小電流阻止層厚とレーザ光の水平放射角との間には、相関関係がある。このため最小電流阻止層厚を決定する場合、最小電流阻止層厚とIL特性および水平放射角との関係に基づいて最小電流阻止層厚を決定することができる。したがって最小電流阻止層厚を決定するだけで、キンクの発生が抑制でき、所望の水平放射角のレーザ光を発することができる半導体レーザ素子を実現することができる。
本発明によれば、ストライプ幅を決定するだけで、所望の水平放射角のレーザ光を発することができるとともに前記レーザ光のキンク出力の向上、すなわちキンクの発生を抑制可能な半導体レーザ素子を実現することができる。また最小電流阻止層厚は、最小電流阻止層厚とIL特性との関係に基づいて決定される。前記関係に基づいて最小電流阻止層厚を決定することによって、所望のIL特性を示すレーザ光を発することができる。したがってキンクの発生が抑制されるレーザ光を発することができる。また最小電流阻止層厚とレーザ光の水平放射角との間には、相関関係がある。このため最小電流阻止層厚を決定する場合、最小電流阻止層厚とIL特性および水平放射角との関係に基づいて、最小電流阻止層厚を決定することができる。したがって最小電流阻止層厚を決定するだけで、キンクの発生が抑制でき、所望の水平放射角のレーザ光を発することができる半導体レーザ素子を実現することができる。このようにストライプ部の幅および最小電流阻止層厚を各相関関係に基づいて決定することによって、所望の水平放射角のレーザ光の発射およびキンク出力の向上、すなわちキンクの発生の抑制が可能な半導体レーザ素子を実現することができる。
本発明によれば、レーザ光の水平放射角の拡がりを抑制するとともに、キンクの発生を抑制することができる。
本発明によれば、キンクの発生を抑制することができるとともに、レーザ光の水平放射角の拡がりを抑制することができる。
図1は、本発明の実施の一形態である半導体レーザ素子1を示す斜視図である。図2は、半導体レーザ素子1を示す正面図である。図3は、半導体レーザ素子1によって発せられるレーザ光のNFP(Near Field Pattern)およびFFP(Far Field Pattern)を示す図である。半導体レーザ素子1は、順方向のバイアスが印加されて電流が流れる、すなわち電子が流れるとレーザ光を発することができる。半導体レーザ素子1は、たとえば光ピックアップ装置に設けられる。半導体レーザ素子1は、実屈折率導波構造によって構成される半導体であり、レーザ光が発せられるべき方向の両端面が端面窓構造によって形成される。半導体レーザ素子1には、n電極2、p電極3および半導体レーザ素子本体4が含まれる。半導体レーザ素子1は、略直方体に形成され、n電極2に対してその厚み方向一方に半導体レーザ素子本体4およびp電極3を順次積層して構成される。ただし半導体レーザ素子1は、略直方体形状に限定されるものではない。
n電極2は、電池などの電源に電気的に接続可能に構成される。n電極2は、前記電源から電力が供給され、p電極3とともに半導体レーザ素子本体4に順方向のバイアスを印加可能に構成される。n電極2は、陰極であり、酸化しにくく電気伝導性の良い導電材料、たとえば金(Au)によって形成される。n電極2は、略板状に形成される。ただしn電極2は、必ずしも略板形状のものに限定されない。
p電極3は、電池などの電源に電気的に接続可能に構成される。p電極3は、前記電源から電力が供給され、n電極2とともに半導体レーザ素子本体4に順方向のバイアスが印加されるように構成される。p電極3は、陽極であり、酸化しにくく電気伝導性の良い導電材料、たとえば金(Au)によって形成される。p電極3は、板状に構成される。ただしp電極3は、略板形状に限定されるものではない。
半導体レーザ素子本体4には、n型基板5、n型電流阻止層6、p型キャップ層7および化合物半導体多層構造8が含まれる。半導体レーザ素子本体4は、略直方体に形成され、n型基板5に対して厚み方向に、化合物半導体多層構造8、n型電流阻止層6およびp型キャップ層7を順次積層して構成される。ただし半導体レーザ素子本体4は、その形状が略直方体に限定されない。ここでn型基板5、化合物半導体多層構造8、電流阻止層 およびp型キャップ層7が積層される方向、すなわちn型基板5の厚み方向を積層方向とする。積層方向は、n電極2の厚み方向と同義である。
基板であるn型基板5は、n電極2と後述するn型クラッド層9とがオーミック接触できるように構成される。n型基板5は、n型半導体に不純物を添加することによって構成される。n型基板5は、たとえばガリウム砒素(GaAs)によって構成されるn型半導体に不純物である珪素(Si)を添加することによって構成される。n型基板5は、扁平形状に形成される。n型基板5は、n型コンタクト層と呼ばれることもあり、また不純物は、ドナーと呼ばれることがある。
電流阻止層であるn型電流阻止層6は、n型および後述するp型クラッド層10より実屈折率の小さいn型半導体によって構成される。n型電流阻止層6は、p型半導体と接合させて電子の流れを阻止可能に構成される。n型電流阻止層6は、たとえばアルミニウムインジウムリン(AlInP)によって構成される。
p型キャップ層7は、p電極3とp型クラッド層10とがオーミック接触できるように構成される。p型キャップ層7は、p型半導体に不純物を添加することによって構成される。p型キャップ層7は、たとえばガリウム砒素(GaAs)によって構成されるp型半導体に不純物である亜鉛(Zn)を添加することによって構成される。p型キャップ層7は、扁平形状に形成される。p型キャップ層7は、p型コンタクト層と呼ばれることもある。
化合物半導体多層構造8には、n型クラッド層9、p型クラッド層10および活性層11が含まれる。化合物半導体多層構造8は、n型クラッド層9に対して積層方向に活性層11およびn型クラッド層9を順次積層することによって構成される。化合物半導体多層構造8は、誘電放出するレーザ光を化合物半導体多層構造8端部で吸収しないように、レーザ光が発せられるべき方向の両端部が端面窓構造によって形成される。また前記両端面部において、レーザ光が出射される側の端面部の反射率が略8%であり、レーザ光が出射れる側と反対側の端面部の反射率が略90%となるように形成される。ただし化合物半導体多層構造8は、このような反射率で形成されるものに限定されない。第1導電型の第1クラッド層であるn型クラッド層9は、電子のキャリアを注入および光の閉じ込めを可能に構成される。n型クラッド層9は、活性層11より禁制帯幅が大きく、実屈折率が小さい結晶によって形成されるn型半導体である。n型クラッド層9は、たとえばアルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)によって形成される。
第2導電型の第2クラッド層であるp型クラッド層10は、キャリアである正孔を注入および光の閉じ込めが可能に構成される。p型クラッド層10は、活性層11より禁制帯幅が大きく、実屈折率が小さい結晶によって形成されるn型半導体である。p型クラッド層10には、板状に形成される板状部12とストライプ部13とが含まれる。ストライプ部13は、板状部12の厚み方向の一表面部にであって、幅方向中央部に長手方向に伸びるように形成される。ストライプ部13は、その長手方向に直交する仮想平面で切断して見た断面が板状部12の厚み方向一方、図1に矢符Z1に示す方向に向かうに従って末広がりになるようなテーパ状になるように形成される。ストライプ部13の板状部12に対向する一端部と厚み方向反対側の他端部の幅、すなわち短尺の方の端部である他端部の幅をストライプ部13の幅aとする。p型クラッド層10は、たとえばアルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)によって形成される。
活性層11は、電子および正孔のキャリアを注入可能に構成される。活性層11は、電子と正孔とを再結合してレーザ光を誘導放出し、前記レーザ光を半導体レーザ素子1の外方に放出可能に構成される。活性層11は、誘電放出するレーザ光を活性層11端部で吸収しないように前記端部が窓構造によって形成される。本実施の形態では、活性層11は、異なる禁制帯幅の井戸層および障壁層を交互に積層して形成される多層量子井戸構造によって構成される。活性層11は、たとえばガリウムインジウムリン(GaInP)によって形成される井戸層とAlGaInPによって形成される障壁層とを交互に積層することによって形成される。本実施の形態では、井戸層および障壁層を交互に4層ずつ積層して構成される。ただし活性層11は、4層に限定されるものではない。
このように複数の層を有する半導体レーザ素子1は、具体的には、以下のように積層されて構成される。半導体レーザ素子1は、n電極2に対して厚み方向、すなわち積層方向一方にn型基板5を積層する。n型基板5に対して積層方向一方にn型クラッド層9、活性層11およびp型クラッド層10を順次積層する。これによってn型基板5に対して積層方向一方に化合物半導体多層構造8を積層することができる。また化合物半導体多層構造8に含まれるp型クラッド層10に対して積層方向一方にn型電流阻止層6が積層される。具体的には、n型電流阻止層6は、ストライプ部13の側面部を覆うようにp型クラッド層10の板状部12の積層方向一方に積層される。またn型電流阻止層6は、ストライプ部13の他端部が積層方向一方に露出するように積層される。これによって、n型電流阻止層6の幅方向中央部には、長手方向に伸びるストライプ状の溝が形成される。前記溝には、ストライプ部13を形成される。このようにして積層されるストライプ部13およびn型電流阻止層6に対して積層方向一方には、p型キャップ層7が積層される。ストライプ部13が積層方向一方に露出するので、p型キャップ層7は、ストライプ部13と接触可能に積層される。さらにp型キャップ層7には、p電極3が積層される。このように各層を積層することによってn電極2とn型クラッド層9とがオーミック接触し、p電極3とp型クラッド層10とがオーミック接触し、活性層11がn型クラッド層9とp型クラッド層10とによって挟まれる半導体レーザ素子1を形成することができる。
このように積層して構成される半導体レーザ素子1は、以下のように作製される。まず板状のn電極2を形成し、前記n電極2に対して積層方向一方に半導体結晶を結晶成長させ不純物を添加、すなわちドーピングする。これによってn電極2に対して積層方向一方にn型基板5を積層することができる。本実施の形態では、n型基板5は、GaAsを結晶成長させて不純物であるSiをドーピングして形成される。次にn型基板5の積層方向一方に半導体結晶を結晶成長させてn型半導体を積層する。これによってn型基板5に対して積層方向一方にn型クラッド層9を積層することができる。本実施の形態では、n型クラッド層9は、GaAsを結晶成長させることによって形成される。さらにn型クラッド層9に対して積層方向一方に禁制帯幅の異なる半導体結晶を交互に積層する。このように積層することによって、活性層11を量子井戸構造にすることができる。これによってn型クラッド層9に対して積層方向一方に量子井戸構造の活性層11を積層することができる。本実施の形態では、GaInPによって形成される井戸層およびAlGaInPによって形成される障壁層を交互に結晶成長させて、n型クラッド層9に対して積層方向一方に活性層11を積層する。
さらに活性層11には、活性層11に対して積層方向一方に半導体結晶を結晶成長させて扁平形状のp型のクラッド層を形成する。前記p型のクラッド層の幅方向略中央部以外の部分を積層方向他方に向かって一部エッチングで除去する。これによって活性層11に対して積層方向一方に板状部12を形成し、前記板状部12に積層方向一方にテーパ状に突出するストライプ部13を形成することができる。このようにして活性層11に対して積層方向一方にp型クラッド層10を積層する。本実施の形態では、p型クラッド層10は、GaAsを結晶成長させることによって形成される。p型クラッド層10の板状部12には、板状部12に対して積層方向一方にストライプ部13を埋め込むように半導体結晶を結晶成長させて、n型電流阻止層6を形成する。このときn型電流阻止層6は、テーパ状に形成されるストライプ部13に半導体結晶を結晶成長させるため、その表面部に凹凸が生じる。このためn型電流阻止層6の層厚は、前記n型電流阻止層6の部位によって異なる。n型電流阻止層6のp型クラッド層10に対する積層方向の最小の層厚を最小電流阻止層厚dとする。前記最小電流阻止層厚dは、ストライプ部13の幅aによって異なり、ストライプ部13の幅aとの間に線形性を示す相関関係がある。本実施の形態では、n型電流阻止層6は、p型クラッド層10に対して積層方向一方にAlInPを結晶成長することによって形成される。
n型電流阻止層6およびストライプ部13には、これらに対して積層方向一方に半導体結晶を結晶成長させ不純物を添加、すなわちドーピングしてp型キャップ層7が形成される。これによってn型電流阻止層6に対して積層方向一方にp型キャップ層7を積層することができる。本実施の形態では、p型キャップ層7は、GaAsを結晶成長させて不純物であるZnをドーピングして形成される。最後にp型キャップ層7の積層方向一方に板状に形成されるp電極3を積層する。このようにしてn電極2とn型クラッド層9とがオーミック接触し、p電極3とp型クラッド層10とがオーミック接触し、活性層11がn型クラッド層9とp型クラッド層10とによって挟まれる半導体レーザ素子1は、半導体結晶を結晶成長させることによって作製される。結晶成長は、たとえば有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapour Deposition:略称MOCVD)または分子線成長(
Molecular Beam Epitaxy:略称MBE)によって実現することができる。このように形成される半導体レーザ素子1は、必ずしも前述のような半導体結晶によって形成されることに限定されず、前述とは異なる半導体結晶によって形成されてもよい。
このように各層を積層して形成される半導体レーザ素子1は、以下のような効果を奏する。半導体レーザ素子1に順方向のバイアスを印加すると、レーザ光を発することができる。具体的に説明すると、n電極2およびp電極3に順方向のバイアスを印加する。n電極2は、n型基板5によってn型クラッド層9とオーミック接触しているので、順方向バイアスが印加されると、n型基板5を介してn型クラッド層9に電流を流すことができる。換言すると、n電極2からn型クラッド層9にキャリアである電子を注入することができる。
またp電極3は、p型キャップ層7によってp型クラッド層10とオーミック接触しているので、順方向にバイアスが印加されると、p型キャップ層7を介してp型クラッド層10に電流を流すことができる。換言すると、p電極3からp型クラッド層10にキャリアである正孔を注入することができる。p型キャップ層7とp型クラッド層10の板状部12との間には、n型電流阻止層6が介在する。p型キャップ層7には、正のバイアス電圧が印加されるため、p型キャップ層7からn型電流阻止層6は、逆方向となる。したがってp型キャップ層7からn型電流阻止層6への電流を阻止することができる、すなわち正孔が移動することを阻止できる。したがってp型キャップ層7から注入される正孔をストライプ部13に集中させることができる。これによってストライプ部13付近に正孔を閉じ込めることができる。
n型クラッド層9に注入される電子およびp型クラッド層10のストライプ部13付近に注入される正孔は、n型およびp型クラッド層9,10より禁制帯幅が小さい活性層11に流入する。活性層11は、禁制帯幅が小さい井戸層および禁制帯幅が大きい障壁層が含まれ、前記流入する電子および正孔は、禁制帯幅が小さい井戸層に流入し閉じ込められる。井戸層に閉じ込められる電子および正孔が再結合などすることによって誘電放出される。このとき半導体レーザ素子1のストライプ部13が形成される幅方向中央部では、内部における積層方向のレーザ光の分布が均一である。これに対してストライプ部13が形成されていない半導体レーザ素子1の幅方向中央部以外の部分である両横部では、実屈折率の小さいn型電流阻止層6を形成することによって、内部における積層方向のレーザ光の分布が積層方向他方、すなわちn型クラッド層9側に裾が拡がり、不均一となる。これによって半導体レーザ素子1の中央部の中央部実屈折率nに比べて、半導体レーザ素子1の両横部の横部実屈折率nは、小さくなる。また横部実屈折nは、n型クラッド層9を厚くすることによっても小さくすることができる。これによって半導体レーザ素子1の内部を導波するレーザ光を中央部に閉じ込めることができる。このようにして閉じ込められるレーザ光は、半導体レーザ素子1の一部がへき開面部を透過して外方に発射され、残りがへき開面部で反射されて増幅される。このようにレーザ光の増幅および透過を繰り返して、半導体レーザ素子1は、連続的にレーザ光を発することができる。ここでへき開面部とは、へき開されることによって形成される端部であって、半導体レーザ素子1のレーザ光が発せられるべき方向の端部である。このようにして半導体レーザ素子1は、レーザ光を発することができる。このとき化合物半導体多層構造8のレーザ光が発せられるべき方向の両端部が端面窓構造によって形成されているので、前記両端部では、誘電放出されるレーザ光を吸収することがなく、高出力のレーザ光を出力することができる。
また半導体レーザ素子1は、ストライプ部13の幅aを小さくすることによって、活性層11にキャリアである電子の注入可能な範囲を小さくし、注入される電子を集中させる。このように注入される電子を集中させて多くのキャリアを活性層11の幅方向中央部に閉じ込めることによって、電子と正孔の再結合を割合を多くすることができる。これによってキャリアが部分的に、特に活性層11の幅方向中央部で欠乏することによって生じるホールバーニングを抑制することができる。これによってホールバーニングが原因の1つであるキンクの発生を抑制することができる。またキンクの発生は、レーザ光の高次モードの発生も起因している。したがって高次モードの発生を抑制することによって、キンクの発生を抑制することができる。レーザ光の高次モードのカットオフの条件は、数式(1)で与えられる。ここでλは、レーザ光の波長である。
Figure 2005236147
数式(1)に示されるように、ストライプ部13の幅aを小さくすることによって、高次モードの発生を抑制することができる。したがってストライプ部13の幅aを小さくすることによって、レーザ光の高次モードの発生を抑制し、キンクの発生を抑制することができる、すなわちキンク出力を向上させることができる。
またストライプ部13の幅aを小さくすると、光の閉じ込めが強くなり、レーザ光が導波する導波路の幅が小さくなる。このためNFP14の水平方向の半値全角が小さくなる。NFP14とは、へき開面部付近でのレーザ光によって形成される光スポットの形状のことである。半値全角は、光強度の最も高い点を中心として角度間隔を示す値である。FFP15の水平方向の半値全角すなわち、水平放射角θは、NFP14の水平方向の半値全角とレーザ光の波長λによって決まる。FFP15とは、へき開面部から離れた地点でのレーザ光によって形成される光スポットの形状であり、半導体レーザがどのような広がり角で光が放射されているかという状態を示す特性である。光の波長λよりNFP14の水平方向の幅が小さくなる、すなわち水平方向の半値全角が小さくなると、レーザ光は、光の波の性質としての回折効果が現れて水平放射角θが大きくなる。これは、NFPとFFPとがフーリエ変換の関係にあるために生じる現象である。したがってストライプ部13の幅aを小さくすると、NFPの水平方向の半値全角が小さくなり、水平放射角θが大きくなる。このようにストライプ部13の幅aと水平放射角θとの間には、前述のような相関関係がある。このような相関関係に基づいて所望の水平放射角θを得るためにストライプ部13の幅aを決定することができる。
さらに最小電流阻止層厚dを小さくすると、n型電流阻止層6によって屈折されるレーザ光が少なくなる。このため半導体レーザ素子1の両横部での積層方向のレーザ光の分布は、n型クラッド層9側に分布するレーザ光が少なくなり、n型クラッド層9の方へのレーザ光の裾の拡がりが小さくなる。これによって半導体レーザ素子1の両横部では、横部実屈折率nが大きくなる。したがってn型電流阻止層6が形成される半導体レーザ素子1の両横部では、最小電流阻止層厚dが小さくなることによって横部実屈折率nが大きくなる。これによって半導体レーザ素子1中央部の中央部実屈折率nと横部実屈折率nとの差である実屈折率差n−nが小さくなる。これによって光の閉じ込めを強めることができ、発せられるレーザ光の出力を向上させることができる。また数式(1)の右辺の分母が小さくなる。したがって右辺の値が大きくなり、レーザ光の高次モードが発生を抑制することができる。これによってキンクの発生を抑制することができる。すなわちレーザ光のキンク出力を向上させることができる。またn型電流阻止層6の表面部がストライプ部13付近で凹凸が生じるので、ストライプ部13が露出し、p型キャップ層7に接触する部分が多くなる。これによってp型キャップ層7からストライプ部13へ注入される正孔の量が多くなる。これによってホールバーニングが発生することを抑制することができる。
また最小電流阻止層厚dを小さくすると、光の閉じ込めが強くなり、レーザ光が導波する導波路の幅が小さくなる。このためNFP14の水平方向の半値全角が小さくなる。以下ストライプ部13の幅aを小さくする場合と同様に、最小電流阻止層厚dを小さくすることによって水平放射角θを小さくすることができる。最小電流阻止層厚dと水平放射角θとの間には、ストライプ部13の幅aと水平放射角θと同様に相関関係がある。このような相関関係に基づいて所望の水平放射角θを得るために最小電流阻止層厚dを決定することができる。またn型クラッド層9を積層方向に厚くすることによって、活性層11とn型電流阻止層6との距離d1を小さくすることができる。前記距離d1を小さくすることによって中央部実屈折率と横部実屈折率との差n−nが小さくなり、光の閉じ込めを強くすることができる。これによってNFP14の水平方向の半値全角を小さくすることができ、水平放射角θを大きくすることができる。
このようにストライプ部13の幅aとキンクの発生との間、ストライプ部13の幅aと水平放射角θとの間、最小電流阻止層厚dとキンクの発生との間および最小電流阻止層厚dと水平放射角θとの間には、前述のような相関関係がある。これらの相関関係に基づいてストライプ部13の幅aおよび最小電流阻止層厚dを決定することによって、キンクの発生を抑制し所望の水平放射角θを有するレーザ光を発することができる半導体レーザ素子1を作製することができる。換言すると、ストライプ部13の幅aとIL特性との相関関係および最小電流阻止層厚dとIL特性との相関関係に基づいてストライプ部13の幅aおよび最小電流阻止層厚dを決定しキンクの発生を抑制することができる。ここでキンクの発生は、半導体レーザ素子1のIL特性に基づいて発生しているか否かを判定する。本実施の形態では、その評価基準としてキンク率を用いる。キンク率は、パルス駆動時でのキンクを示すものであり、所定の電流範囲でのIL特性に基づく効率波形を用いて定義される。効率波形とは、半導体レーザ素子1から発せられるレーザ光の光出力Lを注入電流Ifで除した値である。注入電流とは、半導体レーザ素子1に順方向のバイアスが印加される場合に半導体レーザ素子1に流れる電流と同義である。具体的には、前記所定の範囲の効率波形η(If)に基づいて2次近似曲線η0(If)を取得する。2次近似曲線η0(If)は、たとえば最小2乗法に基づいて与えられ得る2次近似曲線である。つぎに効率波形η(If)と前記2次近似曲線η0(If)との差に、所定の注入電流に基づく効率η1を加えて得られる効率差ηH(If)を算出する。効率差ηH(If)は、具体的には数式(2)によって与えられる。
ηH(If)=η(If)−η0(If)+η1 …(2)
さらに効率差ηH(If)に基づいて、所定の範囲における効率差ηH(If)の最大値ηHmaxおよび最小値ηHminを取得する。キンク率P-kinkは、前記最大値ηHmaxから最小値ηHminを減じて、所定の効率差ηH1で除したものの百分率である。キンク率P-kinkは、具体的には数式(3)によって与えられる。
Figure 2005236147
以下では図を用いて説明する。
図4は、半導体レーザ素子1の効率波形16と2次近似曲線17を示すグラフである。図5は、効率波形16と2次近似曲線17との効率差18を示すグラフである。図4では、縦軸が半導体レーザ素子1から発せられるレーザ光の効率η(W/A)示し、横軸が半導体レーザ素子1に注入される注入電流If(mA)を示す。図5では、縦軸が効率差ηH(W/A)を示し、横軸が半導体レーザ素子1に注入される注入電流If(mA)を示す。ここで効率波形η(If)は、効率波形16の関数を示し、2次近似曲線η0(If)は、2次近似曲線17の関数を示し、効率差ηH(If)は、効率差18の関数を示す。キンク率P-kinkは、図4に示す注入電流の電流値がI1以上I2以下の範囲についてのIL特性の効率波形η(If)に基づいて定義される。電流値I1およびI2は、半導体レーザ素子1が発するレーザ光の仕様に基づいて決定される電流値である。具体的には、まず電流値I1以上I2以下の範囲についての効率波形η(If)に基づいて2次近似曲線η0(If)を算出する。次に効率波形η(If)と前記算出される2次近似曲線η0(If)と差に注入電流I1に基づく効率η1を加えて得られる効率差ηH(If)を算出する。このようにして算出される式は、数式(2)で与えられる。さらに図5に示されるような数式(2)で与えられる効率差ηH(If)に基づいて、注入電流I1以上I2以下における効率差ηH(If)の最大値ηHmaxおよび最小値ηHminを取得する。キンク率P-kinkは、前記最大値ηmaxから最小値ηminを減じて、注入電流I1での効率差ηH(If)1で除したものの百分率である。キンク率P-kinkは、具体的には数式(3)によって与えられる。このようにしてキンクの発生を評価基準であるキンク率P-kinkを定義する。
図6は、キンクが発生していない場合の注入電流に対するIL特性および効率を示すグラフである。図7は、キンクが発生する場合の注入電流に対するIL特性および効率を示すグラフである。図6および図7は、紙面左側の縦軸が光出力(mW)を示し、紙面右側の縦軸が効率(W/A)を示す。また図6および図7は、横軸が注入電流(mA)を示す。
図6のグラフにおいて線形性を有する関数がIL特性を示す第1IL特性関数19である。また他の関数は、前記IL特性の効率を示す関数である第1効率波形20である。第1IL特性関数19は、線形性がよく、図6に示す注入電流の範囲では折れ曲がっていない。このように線形性がよく途中で折れ曲がっていない場合、レーザ光は、図6に示す注入電流の範囲では、キンクが発生していないと評価することができる。このとき第1効率波形20は、図6に示すようにステップ関数のような波形を示す。このような第1IL特性関数19によってレーザ光のIL特性が示される場合、半導体レーザ素子1のキンク率P-kinkは、略5%となる。
図7のグラフにおいて折れ曲がり傾きが変化するような関数が、レーザ光のIL特性を示す第2IL特性関数21である。また他の関数は、前記IL特性の効率を示す関数である第2効率波形22である。第2IL特性関数21は、線形性がわるく、所々で折れ曲がっている。このように線形性が悪く途中で折れ曲がっている場合、レーザ光の光出力は、使用者が意図する出力と異なったものが生じる。このように第2IL特性関数21の線形性が悪く途中で折れ曲がっている場合、図6に示す注入電流の範囲では、キンクが発生していると評価することができる。このとき第2効率波形22は、図6に示すようにキンクが発生していない、すなわち第2IL特性関数21の線形性が良い範囲の第2効率波形22に対してそれ以外の部分が大きく振幅し、2次近似曲線との効率差ηH(If)が大きくなる。これによってキンク率P-kinkが大きくなる。このようなキンクが発生するような第2IL特性関数21によってレーザ光のIL特性が示される場合、半導体レーザ素子1のキンク率P-kinkは、略130%となる。このようにキンク率P-kinkを用いてキンクの発生の度合いを評価することができる。以下では、このような評価基準であるキンク率P-kinkを用いて、実験に基づくストライプ部13の幅aおよび最小電流阻止層厚dとキンク率P-kinkとの相関関係を示す。
図8は、ストライプ部13の幅aとキンク率P-kinkとの相関関係を示すグラフである。図8は、ストライプ部13の幅aが1.6μm以上2.5μm以下の範囲におけるストライプ部13の幅aとキンク率P-kinkとの相関関係を示す。図8は、縦軸がキンク率P-kink(%)を示し、横軸がストライプ部13の幅a(μm)を示す。各プロットは、ストライプ部13の幅aを変化させて得られるキンク率P-kinkの値を示す。図8に示すように、ストライプ部13の幅aが1.6μm以上2.2μm以下では、その大部分のキンク率P-kinkが20%以下で分布する。したがってストライプ部13の幅aがこの範囲では、キンクの発生が抑制されていることが確認できる。特にストライプ部13の幅aが1.6μm以上1.9μm以下では、キンク率P-kinkが略20%以下である。このようにストライプ部13の幅aが1.6μm以上1.9μm以下では、特にキンクの発生が抑制されていることが確認できる。ストライプ部13の幅aが1.9μm以上2.2μm以下では、そのほとんどがキンク率P-kinkが20%以下で分布する。したがってこの範囲であっても、キンクの発生が抑制されていることが確認できる。ストライプ部13の幅aが2.2μm以上である場合、キンク率P-kinkの値が10%から100%の間で散在しており、キンクの抑制することが困難であることが確認できる。このようにストライプ部13の幅aを1.6μm以上2.2μm以下の範囲で決定すると、キンクの発生を抑制することが可能であり、特にストライプ部13の幅aを1.6μm以上1.9μm以下の範囲にすると、特にキンクの発生を抑制することができる。
図9は、ストライプ部13の幅aが1.6μm以上2.2μm以下の場合のキンク率P-kinkに対する各プロットの頻度を示す棒グラフである。図10は、ストライプ部13の幅aが2.2μm以上の場合のキンク率P-kinkに対する各プロットの頻度を示す棒グラフである。図9および図10は、それぞれ縦軸が図8における各プロットの頻度を示し、横軸がキンク率P-kinkを10%毎に分けられる階級を階級別に示す。具体的な各階級の範囲は、0%以上10%未満、10%以上15%未満、15%以上20%未満、25%以上30%未満、30%以上35%未満、35%以上40%未満、40%以上45%未満、45%以上50%未満、50%以上55%未満、55%以上60%未満、60%以上65%未満、65%以上70%未満および70%以上である。図9では、各プロットの頻度は、キンク率P-kinkが0%以上15%未満であるものが多く、25%以上のものが少ない。このようにストライプ部13の幅aを1.6μm以上2.2μm以下に決定すると、キンク率P-k inkを0%以上15%未満にすることができ、キンクの発生を抑制できることが確認できる。図10では、プロットの頻度がキンク率P-kinkが0%以上15%未満であるものも多いけれども、45%以上の頻度も確認される。このように45%以上のキンク率P-kinkが確認されることから、キンクの発生を充分に抑制できないことが確認できる。したがってストライプ部13の幅aを2.2μm以上にすると、キンクの発生を抑制できないことが確認できる。したがってキンクの発生を抑制するために、ストライプ部13の幅aを1.6μm以上2.2μm以下に決定することが望ましい。
図11は、最小電流阻止層厚dとキンク率P-kinkとの相関関係を示すグラフである。図11は、最小電流阻止層厚dが0.35μm以上0.6μm以下の範囲における最小電流阻止層厚dとキンク率P-kinkとの相関関係を示す。図11は、縦軸がキンク率P-kink(%)を示し、横軸が最小電流阻止層厚d(μm)を示す。各プロットは、最小電流阻止層厚dを変化させて得られるキンク率P-kinkの値を示す。図11に示すように、最小電流阻止層厚dが0.35μm以上0.55μm以下では、キンク率P-kinkが略20%以下で分布する。したがって最小電流阻止層厚dがこの範囲では、キンクの発生が抑制されていることが確認できる。最小電流阻止層厚dが0.55μmを越える場合、キンク率P-kinkの値が略80%となり、キンクの発生が確認できる。このように最小電流阻止層厚dを0.35μm以上0.55μm以下の範囲で決定すると、キンクの発生を抑制できることが確認できる。
図12は、ストライプ部13の幅aと水平放射角θとの相関関係を示すグラフである。図12では、ストライプ部13の幅aが1.7μm以上2.5μm以下の範囲におけるストライプ部13の幅aと水平放射角θとの相関関係を示す。図12のグラグにおいて縦軸が水平放射角θ(度)を示し、横軸がストライプ部13の幅a(μm)を示す。各プロットは、ストライプ部13の幅aを変化させて得られる水平放射角θの値を示す。図12に示すように、ストライプ部13の幅aが1.7μm以上2.5μm以下の範囲で変化しても、水平放射角θが9度以上13度以下の範囲にある。このようにストライプ部13の幅aを変化させても略一定の水平放射角θのレーザ光を発することができる。またストライプ部13の幅aと水平放射角θとは、図12に示すように第1近似直線23のような線形性を有する関係である。このようにストライプ部13の幅aと水平放射角θとは、線形性を有する相関関係にある。この相関関係に基づいてストライプ部13の幅aを決定することによって、一義的に水平放射角θを決定することができる。したがってストライプ部13の幅aを決定して、半導体レーザ素子1を作製することによって、所望の水平放射角θのレーザ光を発射させることができる。
図13は、最小電流阻止層厚dと水平放射角θとの相関関係を示すグラフである。図12では、最小電流阻止層厚dが0.35μm以上0.55μm以下の範囲における最小電流阻止層厚dと水平放射角θとの相関関係を示す。図13のグラグにおいて縦軸が水平放射角θ(度)を示し、横軸が最小電流阻止層厚d(μm)を示す。各プロットは、最小電流阻止層厚dを変化させて得られる水平放射角θの値を示す。図13に示すように、ストライプ部13の幅aが0.35μm以上0.55μm以下の範囲で変化しても、水平放射角θが略9度以上13度以下の範囲にある。このように最小電流阻止層厚dを変化させても略一定の水平放射角θのレーザ光を発することができる。また最小電流阻止層厚dと水平放射角θとは、図13に示すように第2近似直線24のような線形性を有する関係である。このように最小電流阻止層厚dと水平放射角θとは、線形性を有する相関関係にある。この相関関係に基づいて最小電流阻止層厚dを決定することによって、一義的に水平放射角θを決定することができる。したがって最小電流阻止層厚dを決定して、半導体レーザ素子1を作製することによって、所望の水平放射角θのレーザ光を発射させることができる。
図14は、半導体レーザ素子1を作製する場合のストライプ部13の幅aと最小電流阻止層厚dと関係を示すグラフである。図14は、ストライプ部13の幅aを1.5μm以上2.3μm以下の範で作製する際のストライプ部13の幅aと最小電流阻止層厚dとの相関関係を示す。各プロットは、ストライプ部13の幅aを変化させて作製される場合の最小電流阻止層厚dを示す。前記グラフは、縦軸が最小電流阻止層厚d(μm)を示し、横軸はストライプ部13の幅a(μm)を示す。図14に示すように各プロットは、ストライプ部13の幅aが大きくなるとともに最小電流阻止層厚dが大きくなる。このようにストライプ部13の幅aが1.5μm以上2.3μm以下の範囲では、ストライプ部13の幅aと最小電流阻止層厚dとは、線形性の相関関係を示す。ストライプ部13の幅aと最小電流阻止層厚dとの間の相関関係は、図14で示す第3近似直線のような線形性を示す。したがって前記相関関係に基づいてストライプ部13の幅aを決定して、所望の最小電流阻止層厚dを有するn型電流阻止層6を形成することができる。これによってストライプ部13の幅aを決定することによって所望の最小電流阻止層厚dに形成し、キンクの発生を抑制し所望の水平放射角θのレーザ光を発することができる半導体レーザ素子1を作製することができる。
このようにしてストライプ部13の幅aおよび最小電流阻止層厚dを決定することで、キンクの発生を抑制し、光出力が不安定となることを抑制できる。これによって意図した光出力が得られず、記録媒体への書き込みが不可能になるなどの不具合を発生を解消できる。換言すれば、ストライプ部13の幅aおよび最小電流阻止層厚dを決定することで、キンクの発生を抑制し、光出力を安定化することができる。これによって所望の光出力であって,従来よりも出力を高めた光出力を得ることができる。したがって記録媒体に情報を確実に書き込むことができるだけでなく、その書き込み速度を大きくすることができる。それ故、記録密度の高い種々の記録媒体に対し、本半導体レーザ素子1を適用し得る。このようにして半導体レーザ素子1の汎用性を高めることが可能になる。
以上説明した半導体レーザ素子1によれば、ストライプ部13の幅aは、ストライプ部13の幅aと水平放射角θとの相関関係に基づいて決定される。前記関係に基づいてストライプ部13の幅aを決定することによって、所望の水平放射角θのレーザ光を発することができる。またストライプ部13の幅aと発せられるべきレーザ光のキンク出力との間にも相関関係がある。このためストライプ部13の幅aを決定する場合、ストライプ部13の幅aと水平放射角θとおよびストライプ部13の幅aとキンク出力との相関関係に基づいて決定することができる。これによってストライプ部13の幅aを決定するだけで、所望の水平放射角θのレーザ光を発することができるとともに、前記レーザ光のキンク出力の向上、すなわちキンクの発生を抑制可能な半導体レーザ素子1を実現することができる。
また最小電流阻止層厚dは、最小電流阻止層厚dとIL特性との関係に基づいて決定される。前記関係に基づいて最小電流阻止層厚dを決定することによって、所望のIL特性を示すレーザ光を発することができる。したがってキンクの発生が抑制されるレーザ光を発することができる。また最小電流阻止層厚dとレーザ光の水平放射角θとの間には、相関関係がある。このため最小電流阻止層厚dを決定する場合、最小電流阻止層厚dとIL特性および水平放射角θとの関係に基づいて最小電流阻止層厚dを決定することができる。したがって最小電流阻止層厚dを決定するだけで、キンクの発生が抑制でき、所望の水平放射角θのレーザ光を発することができる半導体レーザ素子1を実現することができる。
また本実施形態に係る半導体レーザ素子1によれば、ストライプ幅を決定するだけで、所望の水平放射角θのレーザ光を発することができるとともに前記レーザ光のキンク出力の向上、すなわちキンクの発生を抑制することができる。また最小電流阻止層厚dは、最小電流阻止層厚dとIL特性との関係に基づいて決定される。前記関係に基づいて最小電流阻止層厚dを決定することによって、所望のIL特性を示すレーザ光を発することができる。したがって、キンクの発生を抑制されるレーザ光を発することができる。また最小電流阻止層厚dとレーザ光の水平放射角θとの間には、相関関係がある。このため最小電流阻止層厚dを決定する場合、最小電流阻止層厚dとIL特性および水平放射角θとの関係に基づいて最小電流阻止層厚dを決定することができる。したがって最小電流阻止層厚dを決定するだけで、キンクの発生が抑制でき、所望の水平放射角θのレーザ光を発することができる半導体レーザ素子を実現することができる。このようにストライプ部13の幅aおよび最小電流阻止層厚dを各相関関係に基づいて決定することによって、所望の水平放射角θのレーザ光の発射およびキンク出力の向上、すなわちキンクの発生の抑制が可能な半導体レーザ素子1を実現することができる。
本発明の実施の一形態である半導体レーザ素子1を示す斜視図である。 半導体レーザ素子1を示す正面図である。 半導体レーザ素子1によって発せられるレーザ光のNFP(Near Field Pattern)およびFFP(Far Field Pattern)を示す図である。 半導体レーザ素子1の効率波形16と所定の範囲における2次近似曲線17を示すグラフである。 効率波形16と2次近似曲線17との効率差18を示すグラフである。 キンクが発生していない場合のIL特性および注入電流に対する効率を示すグラフである。 キンクが発生する場合のIL特性および注入電流に対する効率を示すグラフである。 ストライプ部13の幅aとキンク率P-kinkとの相関関係を示すグラフである。 ストライプ部13の幅aが1.6μm以上2.2μm以下の場合のキンク率P-kinkに対する各プロットの頻度を示す棒グラフである。 ストライプ部13の幅aが2.2μm以上の場合のキンク率P-kinkに対する各プロットの頻度を示す棒グラフである。 最小電流阻止層厚dとキンク率P-kinkとの相関関係を示すグラフである。 ストライプ部13の幅aと水平放射角θとの相関関係を示すグラフである。 最小電流阻止層厚dと水平放射角θとの相関関係を示すグラフである。 半導体レーザ素子1を作製する場合のストライプ部13の幅aと最小電流阻止層厚dと関係を示すグラフである。
符号の説明
1 半導体レーザ素子
6 n型電流阻止層
8 化合物半導体多層構造
9 n型クラッド層
10 p型クラッド層
11 活性層
13 ストライプ部

Claims (5)

  1. 一方向に順次積層される第1導電型の第1クラッド層、活性層および第2導電型の第2クラッド層とを備えるとともに、前記第2クラッド層にストライプ状に形成されるストライプ部が含まれる化合物半導体多層構造であって、
    前記化合物半導体多層構造のストライプ部の幅を、発せられるべきレーザ光の水平放射角との相関関係に基づいて決定することを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 一方向に順次積層される第1導電型の第1クラッド層、活性層および第2導電型の第2クラッド層とを備えるとともに、前記第2クラッド層にストライプ状に形成されるストライプ部が含まれる化合物半導体多層構造であって、
    前記化合物半導体多層構造に積層される電流阻止層をさらに備え、化合物半導体多層構造に対する最小電流阻止層厚であって、電流阻止層のうち化合物半導体多層構造に近接する部位の最小電流阻止層厚とIL特性との関係に基づいて、最小電流阻止層厚を決定することを特徴とする半導体レーザ素子。
  3. 前記化合物半導体多層構造に積層される電流阻止層をさらに備え、化合物半導体多層構造に対する最小電流阻止層厚であって、電流阻止層のうち化合物半導体多層構造に近接する部位の最小電流阻止層厚とIL特性との関係に基づいて、最小電流阻止層厚を決定することを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記ストライプ部の幅を1.7μm以上2.2μm以下にすることを特徴とする請求項1または3に記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記最小電流阻止層厚を0.4μm以上0.55μm以下にすることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体レーザ素子。
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CN113686235A (zh) * 2021-08-16 2021-11-23 中国科学院力学研究所 一种基于纳米孔过孔电流估计蛋白质构象形貌特征的方法

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