JP3524068B2 - 半導体光吸収素子および半導体光吸収素子を応用したパルス光発生装置および光パルス整形方法 - Google Patents

半導体光吸収素子および半導体光吸収素子を応用したパルス光発生装置および光パルス整形方法

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JP3524068B2
JP3524068B2 JP2001072906A JP2001072906A JP3524068B2 JP 3524068 B2 JP3524068 B2 JP 3524068B2 JP 2001072906 A JP2001072906 A JP 2001072906A JP 2001072906 A JP2001072906 A JP 2001072906A JP 3524068 B2 JP3524068 B2 JP 3524068B2
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saturable absorption
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体光吸収素子
および半導体光吸収素子を応用したパルス光発生装置に
関する。特に、光強度の大きい入射光ほど透過率の高い
特性をもつ透過型の半導体光吸収素子に関するものであ
る。また、その半導体光吸収素子を光路の中におくこと
により自己パルス生成機能を備えるパルスレーザ光の発
生に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光パルス発生技術の進展により、安定な
フェムト秒(1フェムト秒=10-15秒)領域のコヒー
レンスのある超短光パルスが得られるようになった。図
11、図12、図13を参照して従来の半導体光吸収素
子および超短パルス光を発生する従来のパルス光発生装
置を説明する。
【0003】図11は従来の技術の説明図であって、図
11(a)は従来の可飽和吸収の機能説明図を示し、図
11(b)は半導体可飽和吸収ミラーを示す。図11
(a)において、120は可飽和吸収素子であって、半
導体のキャリアのバンドギャップにおける光学遷移を利
用したものである。11は入射光であって、パルス光で
あって、例えばパルスレーザ光である。12は出射光で
あって、入射光11が可飽和吸収素子120で可飽和吸
収を受けて生成されたパルス光である。
【0004】図11(a)に示すように、可飽和吸収素
子120にパルスの入射光11が入射すると、可飽和吸
収素子120のバンドギャップにおいてキャリアの光学
遷移を生じ、入射光11が吸収される。この吸収は吸収
飽和があり、光強度が大きい程吸収が小さくなる。従っ
て、パルスの出射光12は入射光11よりもエネルギが
小さくなるだけでなく、パルス幅も狭いパルスになる。
また、入射光11の光強度が十分に大きいと可飽和吸収
素子120は透明媒質とみなすことができる。
【0005】図11(b)は半導体可飽和吸収ミラーで
あって、可飽和吸収層4の裏面に全反射鏡131を付
け、表面側に表面コートをしたものである(SESAM
(Semiconductor Saturable Absober Mirror ))。半
導体可飽和吸収ミラーは従来のパルス光発生装置(図1
2参照)に使用されるものである。
【0006】図11(b)は半導体可飽和吸収ミラーで
ある。4は可飽和吸収層である。11は入射光であり、
パルス光である。12は出射光であって、入射光11が
全反射鏡131で反射したものである。135は表面コ
ート層であって可飽和吸収層4を保護するものである。
【0007】図11(b)において、入射光11は表面
コート層135を通過して可飽和吸収層4に入射し、全
反射鏡131で反射して出射される間に可飽和吸収層4
で光吸収される。この吸収は吸収飽和があり、光強度が
大きい程吸収が小さくなる。そのため、パルスの出射光
12はパルスの入射光11よりもパルスの幅が狭いパル
スになる。以後この光吸収特性を可飽和吸収と称する。
【0008】図12は従来のパルス光発生装置1であ
る。図12において、101は励起光であり、連続コヒ
ーレント光(例えば、連続レーザ光)である。102は
レンズである。103はレーザ結晶であり、励起光を入
射してパルス光を発生するものであり、例えばクロムの
4価イオンを添加したフォルステライトである。111
は凹面鏡1である。112は凹面鏡2である。113、
114はプリズムである。115は全反射鏡である。1
16はスリットである。117は出力鏡であって、光の
一部を透過し、残りを反射するものである。116はス
リットである。
【0009】図12の構成の動作を説明する。励起光1
01がレンズ102を介して凹面鏡2を透過してレーザ
結晶103に入射する。レーザ結晶103を透過した励
起光は凹面鏡1(111)で反射し、プリズム113、
114を透過して全反射鏡115に入射し、反射して同
じ経路を戻って、凹面鏡1(111)に入射される。凹
面鏡1(111)で反射したレーザ光は再びレーザ結晶
103に入射し、凹面鏡2(112)で反射しスリット
116を通過して出力鏡117に入射する。出力鏡11
7において、一部の入射光は透過して外部に出力され、
残りは再び光路を戻って凹面鏡2(112)に入射さ
れ、そこで反射して再びレーザ結晶103に入射され、
レーザ結晶103で生成されたレーザ光は再び凹面鏡1
(111)に入射する。
【0010】上記の光路を反復する間に、レーザ結晶の
カーレンズ効果のためにパルス光が出力鏡117から外
部に出力される。
【0011】図12の装置構成において、超短パルス光
の発生には、レーザ結晶103のカーレンズ効果を利用
している。カーレンズ効果は、レーザ結晶103のカー
効果によるレンズ効果であり、光の強度に比例して屈折
率が増大する現象である。光パルスがレーザ結晶内に入
射すると、光強度の強い中心部では屈折率が大きくな
り、光強度の弱い周辺部では屈折率が小さくなる。この
屈折率効果により、レーザ結晶103はレンズとして作
用する。その結果、入射光が平行光の場合、出射光は広
がるようになる。CW発振(連続発振)のレーザ光の光
強度は、パルス発振のピーク強度の1000分の1以下
なので、カーレンズ効果による出射光の広がりは無視で
きる。しかし、フェムト秒のパルス発振においては、ピ
ーク強度が10kW 以上に達することから、カーレンズ
効果は無視できない。従って、パルス発振と連続発振で
は共振器配置が異なる。レンズ効果を考慮して共振器の
配置を最適化することが、超短光パルスレーザの設計に
は必要不可欠である。カーレンズ効果の問題点は、パル
スの自己形成機能がないことである。レーザの立ち上げ
時には、光パルスのピーク強度が小さいために、カーレ
ンズ効果を受けない。従って、光パルスの生成が出来な
い。経験的に、レーザ共振器に振動または衝撃を与え
て、起動することが広く行なわれている。光学定盤をハ
ンマーで叩くことも行われている。更には、外部からの
擾乱でレーザ発振が停止するという問題点があった。
【0012】この欠点を補うために、Kellerらに
より前述したSESAM(Semiconductor Saturable Ab
sorber Mirror)(図11(b)参照)が考案され、パ
ルスレーザ光発生装置に応用された。
【0013】図13は従来のパルス光発生装置2であっ
て、図12の従来のパルス光発生装置1の光学路に半導
体可飽和吸収ミラー(SESAM)121を挿入したも
のである。図13において、図12と共通の番号は共通
部品である。121は半導体可飽和吸収ミラー(SES
AM)である。
【0014】このSESAMは、前述したように、入射
光パルスのエネルギーとパルス幅を減らす機能を有す
る。パルスエネルギーが増大するほど、パルスエネルギ
ーの減少分が小さくなり、可飽和吸収特性を有する。可
飽和吸収層とレーザ結晶を組み合わせることでパルスレ
ーザ発振を得ることが出来る。
【0015】図13の構成で、励起光101はレンズ1
02を介してレーザ結晶103に入射される。レーザ結
晶103は励起光101を入射して励起され、パルスレ
ーザ光を発生する。レーザ結晶103で発生したパルス
レーザ光は凹面鏡1(111)で反射し、プリズム11
3、114を介して出力鏡119に入射される。出力鏡
119において一部は出射光117として外部に出射さ
れ、残りは反射して光学路を戻る。出力鏡119で反射
して戻ったパルスレーザ光はプリズム114、113を
通過し、凹面鏡1(111)で反射して再びレーザ結晶
103に入射される。レーザ結晶103は、凹面鏡1
(111)で反射したパルスレーザ光を入射して増幅
し、強度が強められたパルスレーザ光を出射する。その
ようにしてレーザ結晶103で発生したパルスレーザ光
は凹面鏡2(112)、凹面鏡3(118)で反射して
半導体可飽和吸収ミラー121に入射する。
【0016】半導体可飽和吸収ミラー(SESAM)1
21に入射したパルスレーザ光は可飽和吸収層を通過す
る間に光強度の小さい部分の吸収を受けてパルス幅が狭
くされて出射される。半導体可飽和吸収ミラー(SES
AM)121を出射したレーザパルス光は、凹面鏡3
(118)、凹面鏡2(112)で反射して再びレーザ
結晶103に入射され、そこで、レーザ結晶103は、
入射したパルスレーザ光を増幅し、強度の強まったパル
スレーザ光を出射する。そのようにしてレーザ結晶10
3で発生したパルスレーザ光は凹面鏡1(111)で反
射し、プリズム113、114を介して出力鏡119に
入射される。出力鏡119において、一部は出射光とな
り、残りは反射して光学路を戻る。
【0017】この過程を繰り返して光強度の大きい超短
パルスレーザ光が生成され、出射光として外部に取り出
すことができる。
【0018】上記のようなSESAM(121)は、表
面コート層135と可飽和吸収層4と全反射鏡131が
一体となった構造である。光強度が強くなると、半導体
の可飽和吸収層4の可飽和吸収特性を利用して、各種の
レーザで超短パルスレーザ光の自己生成機能を実現して
いる。全反射鏡の材料が半導体によるものと誘電体によ
るものとの2種類がある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】このSESAMにも欠
点があり、その問題点を以下に列挙する。 (1)可飽和吸収層における入射光と反射ミラーでの反
射光との相互作用について。
【0020】反射光に対する光吸収は、入射光の光吸収
による励起電子の状態に依存する。具体的には、入射光
と反射光との時間差と、入射光または反射光の強度に対
して、反射光の光吸収は依存する。従って、光強度また
はパルス幅が変わると、SESAMの光吸収が変化し、
パルス発振に必要な光吸収条件から外れる場合もある。 (2)エタロン効果について(エタロンは対向した2枚
の板により構成される構造である)。
【0021】SESAMは表面コート層と全反射鏡の間
に可飽和吸収層が存在する構造である。このエタロン構
造においては反射率は波長依存性を持つ。言い換える
と、可飽和吸収層での光吸収が波長依存性をより強く持
つようになる。フェムト秒光パルスは広い周波数帯域を
もつもので多数のスペクトルを含み、ある波長では光吸
収が大きく、別の波長では光吸収が小さいことになる。
吸収の波長依存性は、広い周波数帯域のスペクトルをも
つフェムト秒光パルス生成の障害となる。 (3)全反射鏡作成の困難さについて。
【0022】全反射鏡と一体構造であることからSES
AMの作製は非常に難しい。全反射鏡が半導体により構
成されるものと、誘電体により構成されるものとの2種
類が実現されている。いずれも作製は困難である。その
理由は次のようなものである。
【0023】 高い反射率を持つ半導体による全反射
鏡の作製には、通常の成長条件で約10時間の成長時間
が必要となる。半導体の結晶成長レートの精度は通常1
時間で1%程度である。また、レーザに用いる全反射鏡
の波長に対する許容誤差は、通常1%以内である。従っ
て、半導体結晶成長レートを10時間に渡って一定に保
つには、最低20時間以上、装置を運転して熱的に安定
になるまで待つ必要がある。そのため、全反射鏡の生成
に長時間を要する。このことは高額な半導体製造設備の
減価償却費が上乗せされることにもなり、SESAMは
生産コストの高いものである。
【0024】 誘電体による全反射鏡と半導体層の可
飽和吸収層のハイブリッド構造も、提案と実現が為され
ている。この構造の問題点は、誘電体と半導体の界面に
ある。誘電体と半導体の界面に、高密度の界面準位が形
成されることにより、付加的な光吸収が発生する。ま
た、界面の熱歪みに起因する機械的強度の不足と、信頼
性の低下も問題となる。特に、エタロン効果の低減のた
めに半導体の可飽和吸収層の厚さを10μm以下の厚さ
にすることが必要である。10μmの厚さにおいては、熱
歪みに起因した機械強度が問題となる。誘電体を半導体
に蒸着するとき、半導体表面は、瞬間的に200度以
上、温度上昇する。その結果、取り出し時の室温状態で
は、半導体と誘電体の界面に熱歪みが発生する。更に、
半導体と誘電体の付着力も大きな問題点である。一般に
基板温度が高いほど、半導体と誘電体の付着力は大きく
なる。付着力を大きくするために、誘電体の蒸着時に半
導体の温度を上げると、熱歪みが大きくなる。熱歪みが
大きいと、エタロンを作製する時、半導体層の可飽和吸
収層にひび割れが発生する。逆に、誘電体蒸着時の半導
体基板温度を下げると、エタロン作製時に、半導体の可
飽和吸収層が誘電体から剥離する。半導体と誘電体の界
面に対する付着力と熱歪みの最適条件は、装置依存性が
強く経験的に求めざるを得ない。また、誘電体は熱伝導
係数が小さいために、半導体による全反射鏡を含んだ構
造と比較すると、半導体の可飽和吸収層の温度が高くな
る。温度上昇による半導体の可飽和吸収層の特性変化と
熱歪みの発生により、SESAM特性と信頼性の劣化が
問題となる。
【0025】可飽和吸収層については、吸収端と吸収係
数を基に設計されている。光パルス幅が狭くなり、ピー
ク強度が大きくなると、励起キャリアの拡散とキャリア
散乱の効果が顕在化してくる。SESAMに関しては、
これまで多数の文献が発表されているが、これらの問題
点を考慮した発表は無い。
【0026】本発明は、SESAMの全反射鏡に起因す
る問題点を解決し、超短光パルス発生のために有効で信
頼性のある半導体光吸収素子を実現することを目的とし
ている。また、その半導体光吸収素子を応用してパルス
光の発振の容易なパルス光発生装置を提供することを目
的にしている。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の半導
体光吸収素子は、光強度の大きい入射光に対して光透過
率の高い可飽和吸収特性を有する半導体の可飽和吸収層
と、該可飽和吸収層の両面に該可飽和吸収層の量子準位
より高い量子準位の材料により構成されるキャリア閉じ
込め層を備え、可飽和吸収層の量子準位は閉じ込め層の
量子準位より低いものであり、入射光により可飽和吸収
層に励起された電子を可飽和吸収層に閉じ込めることに
より入射光のピーク付近の光透過率を高くするようにし
た。本発明の請求項17記載のパルス光発生装置は、コ
ヒーレントな励起光を入射し、該励起光によりパルス光
を生成するパルス光生成媒体を備えたパルス光発生装置
において、光路中に透過型の半導体光吸収素子を備え、
該半導体光吸収素子は、光強度の大きい入射光に対して
光透過率の高い可飽和吸収特性を有するものであって、
入射光のパルス幅より出射光のパルス幅を狭くするもの
であり、該半導体光吸収素子に該パルス光発生媒体の出
力するパルス光を入射し、該半導体光吸収素子の出射光
を該パルス光発生媒体に入射することによりパルス光を
生成するものであって、該半導体光吸収素子は、光強度
の大きい入射光に対して光透過率の高い可飽和吸収特性
を有する半導体の可飽和吸収層と、該可飽和吸収層の両
面に該可飽和吸収層の量子準位より高い量子準位の材料
により構成されるキャリア閉じ込め層を備え、可飽和吸
収層の量子準位は閉じ込め層の量子準位より低いもので
あり、入射光により可飽和吸収層に励起された電子を可
飽和吸収層に閉じ込めることにより入射光のピーク付近
の光透過率を高くするものであるようにした。本願発明
の請求項20の光パルス整形方法方法は、光強度の大き
い入射光に対して光透過率の高い可飽和吸収特性を有す
る半導体の可飽和吸収層と、該可飽和吸収層の両面に該
可飽和吸収層の量子準位より高い量子準位の材料により
構成されるキャリア閉じ込め層を備え、可飽和吸収層の
量子準位は閉じ込め層の量子準位より低いものであり、
入射光により可飽和吸収層に励起された電子を可飽和吸
収層に閉じ込める密度を高くすることにより入射光のピ
ーク付近の光透過率を高くすることにより光パルスの幅
を狭めるようにした。
【0028】また、本発明は、コヒーレントのある励起
光を入射し、該励起光によりパルス光を生成するパルス
光生成媒体を備えたパルス光生成装置において、光路中
に透過型の半導体光吸収素子を備え、該半導体光吸収素
子は、光強度の大きい入射光に対して光透過率の高い可
飽和吸収特性を有するものであって、入射光のパルス幅
より出射光のパルス幅を狭くするものであり、該半導体
光吸収素子に該パルス光生成媒体の出力するパルス光を
入射し、該半導体光吸収素子の出射光を該パルス光生成
媒体に入射することによりパルス光を生成するようにし
た。
【0029】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態1を示
す。図1(a)において、1は半導体光吸収素子であ
る。2、3はキャリア閉じ込め層である。4は可飽和吸
収層であって、半導体により構成されるものである。可
飽和吸収層4は、例えば半導体薄膜で構成する。設ける
吸収値に依存してきめられ、例えば10nmないし20
0nmである。後述するように超格子としても良い。1
1は入射光である。12は出射光である。
【0030】本発明の半導体光吸収素子は、図1(a)
のような構成にすることにより上述の欠点を解決した。
本発明の半導体光吸収素子1は透過型の構成であり、入
射光11が可飽和吸収層4で可飽和光吸収を受け出射光
12を生じる。また、可飽和吸収層4はキャリア閉じ込
め層2、3により挟まれた構造にすることにより、可飽
和吸収層4に発生したキャリアが散乱されて消滅しない
ようにした。
【0031】本発明の半導体光吸収素子は全反射鏡のな
い透過型の構成である。そのため、入射光と出射光の相
互作用を除くことが出来る。更に、エタロン効果による
波長依存性を除去することが出来る。従って、設計自由
度の高い、より汎用性の高い半導体光吸収素子を実現出
来る。また、全反射鏡が無いことから作製が容易にな
り、機械的強度も大きくなる。
【0032】また、本発明の半導体光吸収素子の特徴
は、可飽和吸収特性の向上を図るために、キャリア閉じ
込め構造をもつことである。通常、光パルスが短くなる
と、ピークパワーが増大する。そして、可飽和吸収層の
中に瞬間的に高密度の多数の励起キャリアが生成され
る。その結果、キャリアの拡散と散乱の効果が顕著にな
る。これらの効果は可飽和吸収層の特性を劣化させるこ
とになる。本発明の半導体光吸収素子は、可飽和吸収層
で発生した光励起キャリアの拡散を防ぐために、可飽和
吸収層がバンドギャップの大きな半導体であるキャリア
閉じ込め層2、3によるキャリア閉じ込め構造を備えて
いる。そのため、可飽和吸収層4で発生したキャリアは
可飽和吸収層4の中に閉じ込められ、可飽和吸収層の外
に拡散することは出来なくなる。従って、可飽和吸収体
の中のキャリア密度が増大し、より低いパルスエネルギ
ーで吸収飽和特性を示すようになり、吸収飽和特性が向
上する。
【0033】さらに、本発明の半導体光吸収素子は、位
相が逆相であるキャリア同士の散乱を防止するキャリア
散乱防止構造を備えるようにしても良い。一般的に、半
導体中の光励起キャリアは、半導体中を動いている。あ
る瞬間における光励起キャリアを考えてみると、光の位
相に同期したキャリアが励起される。可飽和吸収層の厚
さが十分に厚い時には、位相の異なるキャリアが相互に
衝突し、電子と正孔の再結合確率が増大し、キャリア密
度が小さくなる。しかし、可飽和吸収層の厚さを波長の
4分の1以下にした場合は、逆相のキャリア同士の衝突
が避けられる。その結果、電子と正孔の再結合確率が低
下し、キャリア密度が増大する。すなわち、光励起後の
キャリア密度の減少が小さいことから可飽和吸収特性が
向上する(キャリア散乱防止構造については後に詳述す
る)。このような半導体光吸収素子をパルス光発生装置
に使用することにより高性能で、パルス光発振の容易な
パルス光発生装置を実現できる。
【0034】図1(b)は、本発明の半導体光吸収素子
を利用したパルス光発生装置の実施の形態を原理的に示
すものである。図1(b)において、1は半導体光吸収
素子である。14はレーザ媒体であり、パルスレーザ光
を生成するものである。21は入射光Aであって、半導
体光吸収素子1に入射するパルス光である。22は出射
光Aであって、半導体光吸収素子1から出射されるパル
ス光である。23は入射光Bであって、レーザ媒体14
に入射するパルス光である。24は出射光Bであってレ
ーザ媒体14から出射するパルス光である。
【0035】図1(b)の構成において、レーザ媒体1
4で生成された入射光A(24)は半導体光吸収素子1
に入射される。入射光A(21)は半導体光吸収素子1
で可飽和吸収をされ、パルス幅が狭くされた出射光A
(22)を出射する。出射光A(22)は、レーザ媒体
14の入射光B(23)となって、レーザ媒体14に入
射される。レーザ媒体14は入射光B(23)よりエネ
ルギーの大きい出射光B(24)を出射する。出射光B
(24)は半導体光吸収素子1に再度入射される。この
ようにレーザ媒体14でのパルス光の入射と出射、およ
び半導体光吸収素子1でのパルス光の入射と出射を繰り
返し、パルス幅が狭くかつエネルギーの大きいパルス光
を自己生成的に生成できる。
【0036】図1(c)は本発明の半導体光吸収素子に
より、出射光のパルス幅が入射光より狭められて出射さ
れることの説明図である。本発明の半導体光吸収素子で
は入射光パルスのうちキャリアを励起する立ち上がり部
分のエネルギーの光は吸収される(図1(c)の斜線部
分)。光強度が大きいと発生するキャリア数が多くな
り、充満帯の電子密度が減少して光透過率が高くなる。
そのため、パルスの出射光は図1(c)に示すようにパ
ルスの幅が狭められる。
【0037】図2は本発明の実施の形態2である。図2
において、1は半導体光吸収素子であり、本発明の半導
体光吸収素子である。30’は励起光であって、連続光
のコヒーレント光である。31はレンズである。32は
凹面鏡2である。33は凹面鏡3である。41は出力
鏡、42は全反射鏡2である。45は出射光である。
【0038】レーザ結晶30はクロムの4価イオンが添
加されたフォルステライトと呼ばれる結晶である。波長
1μmの光を吸収して、1.3μmの蛍光を出す。励起
光は波長1.06μm、出力6Wの連続光であり、レー
ザ結晶30でのコヒーレント光の励起を行なっている。
半導体光吸収素子1の両面およびレーザ結晶30の片面
は、光の入射方向に対してブルースタ角をもつように
し、入射光に対して無反射になる角に設定されている。
半導体光吸収素子1は、出力鏡(41)と凹面鏡3(3
3)の間に設置されている。半導体光吸収素子1が透過
型であることから、半導体光吸収素子1の位置を自在に
調整できる。半導体光吸収素子1の位置を出力鏡(4
1)に近づけると、半導体光吸収素子1に入射するパル
ス光の集光径が小さくなる。集光径が小さくなると、集
光径内で励起されるキャリア密度が大きくなり、光吸収
係数が小さくなる(光透過率が大きくなる)。小さなパ
ルスエネルギーで吸収飽和を起こさせるには、集光径を
小さくすれば良い。即ち、半導体光収素子1を出力鏡
(41)に近づければ良い。逆に、大きなパルスエネル
ギーで吸収飽和を起こさせるには、集光径を大きくすれ
ば良い。即ち、半導体光吸収素子を出力鏡(41)から
遠ざければ良い。このように、本発明のパルス光発生装
置では、吸収飽和特性の調整は半導体光吸収素子1の位
置の調整だけで良い。従来のパルス光発生装置のように
SESAMを使用する場合(図13参照)は、レーザ光
の集光径を変えるには集光のための凹面鏡3(118)
を交換する必要がある。凹面鏡の交換とそれに伴う、光
学系の調整が必要である。従って、本発明の装置をSE
SAMを使用した従来の装置と比較すると、吸収飽和特
性の最適化が、簡便な操作で実現できるという利点があ
る。
【0039】なお、本発明の実施の形態2においては、
出力鏡(41)と半導体光吸収素子1との間隔は2mm
であった。図6に本発明の実施の形態の実験結果の出力
光パルス波形の例を示す。測定は、非線型結晶を用いた
自己相関の波形である。相関パルス幅は1100fsで
ある。ガウス型のパルス波形を仮定すると、730fs
とフェムト秒領域の短い光パルスが得られている。キャ
リア閉じ込め構造とキャリア拡散防止構造のない可飽和
吸収体を同じ配置で挿入して実験したが、フェムト秒領
域の短パルスの発生は得られなかった。従って、本発明
の半導体光吸収素子のキャリア閉じ込め構造とキャリア
拡散防止構造が短パルスの発生に効果があることが実験
的に明らかにされたことになる。
【0040】図3、図4、図5を参照して、本発明の半
導体光吸収素子の実施の形態を説明する。
【0041】図3は本発明の実施の形態3であって、半
導体光吸収素子の実施の形態である。図3(a)は半導
体光吸収素子1の構造である。図3(a)において、1
は半導体光吸収素子である。2、3はキャリア閉じ込め
層であり、エネルギーバンドギャップをもつものであっ
て、バンドギャップが可飽和吸収層4のものより大きい
ものである。4は可飽和吸収層であって半導体である。
【0042】図3(b)は図3(a)の半導体光吸収素
子のエネルギーバンド構造を示す。
【0043】51はキャリア閉じ込め層1のバンドギャ
ップである。52はキャリア閉じ込め層2のバンドギャ
ップである。53は可飽和吸収層4のバンドギャップで
ある。図3(b)のエネルギーバンド構造のように、キ
ャリア閉じ込め層1とキャリア閉じ込め層2のバンドギ
ャップ(51、52)は、可飽和吸収層4のバンドギャ
ップ53より大きい。そのため、本発明の半導体光吸収
素子では、半導体の可飽和吸収層4に発生したキャリア
は、キャリア閉じ込め層2、3のエネルギーバンドの壁
に閉じ込められ、拡散されて消滅することがない。その
ため、本発明の半導体光吸収素子は入射光に対する可飽
和吸収特性が高くなり、光強度の高いパルス光に対する
透過率が向上する。
【0044】図4は、本発明の実施の形態4であり、キ
ャリア閉じ込め層を半導体の超格子多層構造とすること
により量子井戸を形成したものである。図4(a)は本
発明の半導体光吸収素子の構成を示す。図4(b)は図
4(a)のバンド構造である。図4(c)は本実施の形
態のキャリア閉じ込めの原理説明図である。
【0045】図4(a)において、4は可飽和吸収層で
あって、半導体である。62はキャリア閉じ込め層Aで
あって、超格子の多層積層構造をもつものである。63
はキャリア閉じ込め層Bであって、超格子の多層積層構
造をもつものである。図4(b)において、53は半導
体の可飽和吸収層4のバンドギャップである。66はキ
ャリア閉じ込め層Aのバンド構造であり、超格子の多層
構造により連続した量子井戸が形成されていることを示
す。67はキャリア閉じ込め層Bのバンド構造であり、
超格子の多層構造により連続した量子井戸が形成されて
いることを示す。
【0046】図4(a)、(b)において、半導体の可
飽和吸収層4に隣接するキャリア閉じ込め層A(6
2)、キャリア閉じ込め層B(63)の超格子層のバン
ドギャップは半導体の可飽和吸収層4のバンドギャップ
より大きいものである。
【0047】図4(b)の超格子多層構造の量子井戸を
もつバンド構造では、図4(c)に示すように、可飽和
吸収層4で励起したキャリアが伝導帯において、閉じ込
め層のエネルギーバンドの上端を越えて拡散しても、量
子井戸にトラップされ、超格子のトンネル効果により可
飽和吸収層4に戻り、可飽和吸収層4のキャリアが拡散
で減少することが妨げられる。そのため、本実施の形態
によれば半導体光吸収素子を透過する光の透過率が向上
される。
【0048】なお、図4の構成において、可飽和吸収層
4を、単層の半導体層でかつ厚さが可飽和吸収層での光
の波長の4分の1以下であるようにしてキャリア散乱防
止構造にしても良い。このように可飽和吸収層4をキャ
リア散乱防止構造とした場合には、可飽和吸収層で発生
したキャリアの散乱が防止され、半導体光吸収素子の光
吸収効果を効果的にすることができる。
【0049】あるいは、可飽和吸収層を複数層の半導層
とし、かつ各層の厚さを可飽和吸収層での光の波長の4
分の1以下にする。このように、可飽和吸収層にキャリ
ア拡散防止構造を設けた場合には、各可飽和吸収層で発
生したキャリアの散乱が防止され、半導体光吸収素子の
光吸収効果は一層効果的になる。
【0050】なお、可飽和吸収層に不純物を添加し、バ
ンドギャップの間にエネルギー不純物準位をもたせ、不
純物準位による吸収遷移を利用するようにしても良い。
このような場合には、波長の長い光に対しても光吸収を
もたせることができる。
【0051】あるいは、図4においては、本発明の半導
体光吸収素子の閉じ込め層と半導体の可飽和吸収層との
接合構造は、不連続構造(図3(b)および図4(b)
参照)である。しかし、本発明の閉じ込め層と可飽和吸
収層の接合部は連続構造でも良い。例えば、閉じ込め層
をGaAs、可飽和吸収層をInGaAsで構成する場
合、接合部のInを含む割合を連続的に変化させること
によりバンドギャップの幅が連続的に変化する構造にす
ることができる。これにより吸収光の波長の範囲を波長
の長い方に連続的に広げることができる。
【0052】図5は本発明の実施の形態5であって、図
4のキャリア閉じ込め層を半導体の超格子の多層構造と
することにより量子井戸を形成する場合の実施の形態を
示すものである。また、可飽和吸収層4の厚さを透過光
(例えば波長1、3μm)に対してキャリア散乱防止構
造となるように薄くしたものである。図5(a)はキャ
リア閉じ込め層A、キャリア閉じ込め層Bと可飽和吸収
層の積層構造を示す。格子定数の同じインジウム・アル
ミニウム・砒素合金とインジウム・ガリウム・砒素合金
側の積層構造である。図5(b)は図5(a)の積層構
造のバンド構造を示すものである。
【0053】図5(a)において、81は基板であり、
鉄が添加されたインジウム(InPFe−doped)
基板である。82は、基板81の上に設けたバッファ層
であり、厚さ500nmのインジウム・アルミニウム・
砒素(InAlAs)から成るものである。バッファ層
82は、基板表面の欠陥や不純物の影響を低減するため
のものである。また、バッファ層82は、レーザの波長
1.3μmに対して透明である。83〜87はキャリア
閉じ込め層Aであって、インジウム・ガリウム・砒素
(InGaAs(厚さ2.0nm))とインジウム・ア
ルミニウム・砒素(InAlAs(厚さ3.0nm))
からなる超格子層を繰り返し積層したものである。
【0054】88は可飽和吸収層であって、インジウム
・ガリウム・砒素(4nm)から成る半導体である。8
9〜93は閉じ込め層Bであって、インジウム・アルミ
ニウム・砒素(InAlAs(厚さ3.0nm))とイ
ンジウム・ガリウム・砒素(InGaAs(厚さ2、0
nm))からなる超格子層を繰り返し積層したものであ
る。94は保護層であり、インジウム・アルミニウム・
砒素(InAlAs(厚さ200nm))により構成さ
れるものである。
【0055】図5(b)は図5(a)の構造のバンドギ
ャップ構造を示す。100は可飽和0収層の領域であ
る。量子井戸はそれぞれ各超格子層1、超格子層2のエ
ネルギーバンド構造により形成される量子井戸の領域で
ある。
【0056】超格子層の量子レベルはレーザの波長1.
3μmに対して透明である。超格子層の目的は、可飽和
吸収層から超格子層(量子井戸をもつ)に拡散して来た
キャリアを、可飽和吸収層に戻す働きをする。すなわ
ち、光励起キャリアの閉じ込め機能を有する。可飽和吸
収層からエネルギーバンドギャップの壁を越えて拡散し
たキャリアは、インジウム・ガリウム・砒素の量子井戸
に落ち込み、量子井戸間のトンネル現象により、可飽和
吸収層に戻る。可飽和吸収層は厚さ4nmのインジウム
・ガリウム・砒素であり、線形吸収は1.5%である。
キャップ層は、薄い超格子層を保護するためのものであ
るとともに、表面の欠陥に起因する表面準位の影響を低
減するためのものである。
【0057】図6について説明する。図6は、図2のパ
ルス光発生装置に図5の実施の形態5の半導体可飽和吸
収素子(キャリア閉じ込め構造とキャリア拡散防止構造
をもつ)を使用して得られた実験結果の波形である。す
でに説明したように、測定は非線型結晶を用いた自己相
関の波形である。相関パルス幅は1100fsである。
ガウス型のパルス波形を仮定すると、730fsのフェ
ムト秒領域の短い光パルスが得られている。キャリア閉
じ込め構造とキャリア拡散防止構造のない可飽和吸収素
子(図11(a)参照)を同じ配置で挿入して実験した
が、フェムト秒領域の短パルスの発生は得られなかっ
た。従って、前述したキャリア閉じ込め構造とキャリア
拡散防止構造が、短パルスの発生には効果があることが
実験的に明らかにされた。
【0058】図7は本発明の半導光吸収素子と従来の可
飽和吸収素子との比較結果を示すものであり、キャリア
閉じ込め構造とキャリア散乱防止構造を有する半導体光
吸収素子の光励起キャリア密度と時間応答の関係を示
す。図7(a)、(b)は各素子の過渡応答の測定結果
であり、レーザ光の透過率の変化を示すものである。グ
ラフの横軸は時間、縦軸は測定電圧であり、可飽和吸収
層中のキャリア密度に相当する。可飽和吸収層にキャリ
アが光励起されると、吸収係数が小さくなり、レーザ光
の透過率が大きくなる。従って、測定電圧値が高い程
(縦軸の上方向程)、キャリア密度が大きいことにな
る。図7(a)は図5の本発明の実施の形態の半導体光
吸収素子に対する測定結果であり、図7(b)の可飽和
吸収層と同じ材料でキャリア閉じ込め構造とキャリア拡
散防止構造のない従来の可飽和吸収素子についての測定
結果である。時刻0においては、半導体基板の非線型効
果により、鋭いピークを持つ。この区間の測定値は、可
飽和吸収層のキャリア密度とは関係無く、光パルスのピ
ーク強度によりきめられる。図7(a)では、光パルス
励起後の出力電圧が60μVであるのに対して、図7
(b)では、光パルス励起後の出力電圧は励起前と差が
認められない。図7(b)で信号出力の変化が得られな
い理由は、可飽和吸収層で励起されたキャリアが、可飽
和吸収層からほとんど拡散して消滅していることによ
る。図7(a)の超格子によるキャリア閉じ込め構造と
キャリア散乱防止構造を有する試料では、60μVの出
力があることから、光励起後に可飽和吸収層にキャリア
が閉じ込められている。超格子構造によるキャリアの閉
じ込め構造とキャリア散乱防止構造の有効性が図7
(a)と図7(b)の実験結果により示されている。図
2の本発明のパルス光発生装置において、半導体光吸収
素子1としてキャリア閉じ込め層のない従来の可飽和吸
収素子(図11(a)参照)を組み込んでも、フェムト
秒領域の短パルスの生成が行なわれなかった。このこと
からも、超格子構造によるキャリア閉じ込め構造とキャ
リア散乱防止構造が有効であることが、実験的に明らか
になった。
【0059】光励起キャリアの振る舞いについて説明す
る。可飽和吸収層の厚さは、光の波長より十分大きい事
を仮定する。光パルス入射前には電子は基底状態にある
(状態1)。光パルスが入射した直後に、基底状態の電
子は、エネルギーを受け取って励起状態になる(状態
2)。キャリア散乱により電子と正孔が衝突と再結合を
して、励起状態にある電子数が減少し、基底状態にある
電子数が増大する(状態3)。キャリア散乱後に励起状
態にある電子数が更に減少し、基底状態の電子数が更に
増大し、吸収の飽和効果は小さくなる(状態4)。吸収
飽和の効果を大きくするためには、キャリア散乱の影響
を低減することが必要である。光励起直後のキャリア散
乱は100fs内外の短い時間で起こることから、光励
起直後のキャリアの状態について考慮する必要がある。
【0060】図8は光励起直後のキャリアの状態の模式
図を示す。ここで、可飽和吸収層の厚さは、半導体内部
の光の波長よりも十分に大きいとする。光電界と、電子
と正孔の分極振動が示されている。半導体中の屈折率は
約3.4であることから、真空中の光の波長が1300
nmの場合、半導体中の波長は、380nmとなる。従
って、山と谷との間隔は190nmとなる。室温では、
電子は運動エネルギーkTの分布を持って運動してい
る。このときの電子の速度は約4×107m/sにも達
する。この電子が山と谷の間隔である190nmを走行
する時間は、10fs以下という非常に短い時間であ
る。これは、一般に光パルス幅よりも短い時間である。
半導体中の電子は結晶内部を自由に動き回っていること
から、10fs内の時間で、分極振動が逆相の励起キャ
リアが互いに衝突する。位相が逆の励起キャリアが相互
に衝突すると、位相情報が失われて、電子と正孔が再結
合をする。その結果、励起状態の電子数が減少し、吸収
飽和効果が小さくなる。ここで、可飽和吸収層の厚さを
半導体内部における光の波長の4分の1以下にすると、
逆相の光励起キャリアとの衝突をなくすことが出来る。
この長さは、光電界の山から谷までの距離の半分に相当
する。但し、前提条件として、光励起キャリアが可飽和
吸収層に閉じ込められることが必要である。順相同士の
キャリアの衝突では、位相関係が保存されて、電子・正
孔の再結合確率が低下する。前述のキャリア散乱防止構
造は、このような原理に基づいて設けられたもので、半
導体光吸収素子に、このキャリア散乱防止構造を導入す
ることにより、良好な吸収飽和特性を得ることが出来
る。
【0061】可飽和吸収層が複数の層から成る場合に
は、各層の厚さが波長の4分の1以下になるように設定
すれば良い。この場合、それぞれの可飽和吸収層で光励
起されるキャリアが別の可飽和吸収層に拡散しないよう
なキャリア閉じ込め構造の存在が必要になる。
【0062】図9は本発明の実施の形態6である。図9
は本発明の半導体光吸収素子の実施の形態を示す。図9
(a)は薄膜の可飽和吸収層が量子細線構造を含むもの
であり、図9(b)は量子ドットを有する構造のもので
ある。図9(a)、図9(b)において、いずれも、1
は半導体光吸収素子、2はキャリア閉じ込め層、4は可
飽和吸収層である。
【0063】図9(a)は可飽和吸収素子が細線状にキ
ャリア閉じ込め層2に囲まれているものである。図の水
平方向に対してはキャリア閉じ込め効果を生じないが、
図の面に垂直な方向に対してキャリア閉じ込め効果を有
するものである。量子細線構造にすることにより光吸収
が偏光依存性をもつようになる。そのため、偏光を制御
した短パルス光を発生することが可能になる。
【0064】図9(b)は可飽和吸収素子がドット状に
キャリア閉じ込め層2に囲まれているものである。図面
の水平方向および図面に垂直な方向の双方に対してキャ
リア閉じ込め効果を有するものである。量子ドット構造
により光励起キャリアの空間拡散を抑えることができ
る。
【0065】図10は本発明の実施の形態7であり、透
過型の半導体光吸収素子の配置についての実施の形態を
示す。
【0066】図10(a)は表面での反射のないブルー
スタ角を利用したものであり、図10(b)は半導体光
吸収素子の表面と裏面に、無反射コーティングを施した
構造である。図10(a)のブルースタ角は、レーザ結
晶及びプリズムで用いられている技法であり、広い波長
域で表面での反射をなくすことが出来る。先に述べた図
2の実施の形態のパルス光発生装置では、半導体光吸収
素子1に図10(a)のようなブルースタ角で入射光が
入射されるようにした。
【0067】
【発明の効果】SESAMのような反射型の可飽和吸収
素子に対して、本発明の透過型の半導体光吸収素子の利
点は、2つある。一つは、集光条件を調整する場合、反
射型の配置では集光のための凹面鏡を交換する必要があ
るのに対して、透過型の配置では、半導体光吸収素子の
位置を動かすだけで良い。凹面鏡の交換は、集光条件を
規定する凹面鏡の曲率を自由に設定することが出来ない
だけでなく、凹面鏡の交換に伴いSESAMの位置と共
振器の配置を再度調整する必要がある。凹面鏡の交換作
業は難しく、熟練者においても数時間を必要とする。特
に、自己パルス生成条件の最適化には、吸収飽和の最適
化が必要であることから、本発明の半導体光吸収素子は
レーザ共振器配置の最適化を容易にする。
【0068】もう一つの利点は、本発明の半導体光吸収
素子は設置自由度が大きいということである。SESA
Mの場合、共振器内のレーザ光の往路と復路が同じであ
るリニア共振器の端でしか用いることが出来ない。これ
に対して、本発明の半導体光吸収素子は透過型なので、
リニア型共振器だけでなくリング共振器のような周回型
のレーザ共振器にも使用できる。前述したように、本発
明の半導体光吸収素子は、共振器内部の任意の場所に設
置することが可能であり、利得媒質通過直後の光パルス
エネルギーの大きい場所、チャープミラー・プリズム対
などの分散補償直後の光パルス幅の短い位置など、自由
に設定できる。
【0069】本発明の半導体吸収素子は、上記のような
実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲
に記載の範囲内で当業者が改変しうる他の構成も含むも
のである。また、それを応用したパルス光発生装置の構
成も上記の実施の形態に限定されるものでなく、特許請
求の範囲に記載の範囲内で当業者が改変しうる他の構成
も含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態2を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態3を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態4を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態5を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態の実験結果を示す図であ
る。
【図7】本発明の半導体光吸収素子と従来の可飽和吸収
素子の比較結果を示す図である。
【図8】本発明の超格子構造をもつ半導体光吸収素子の
説明図である。
【図9】本発明の実施の形態6を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態7を示す図である。
【図11】従来の技術の説明図である。
【図12】従来のパルス光発生装置1を示す図である。
【図13】従来のパルス光発生装置2を示す図である。
【符号の説明】
1:半導体光吸収素子 2:キャリア閉じ込め層 3:キャリア閉じ込め層 4:可飽和吸収層 14:レーザ媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河西 勇二 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 経済 産業省産業技術総合研究所電子技術総合 研究所内 (72)発明者 村川 正宏 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 経済 産業省産業技術総合研究所電子技術総合 研究所内 (72)発明者 樋口 哲也 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 経済 産業省産業技術総合研究所電子技術総合 研究所内 (56)参考文献 特開 平9−43646(JP,A) 特開 平6−29608(JP,A) 特開 平4−354170(JP,A) 特開 平5−283774(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/35 H01S 3/00 - 3/30

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光強度の大きい入射光に対して光透過率の
    高い可飽和吸収特性を有する半導体の可飽和吸収層と、
    該可飽和吸収層の両面に該可飽和吸収層の量子準位より
    高い量子準位の材料により構成されるキャリア閉じ込め
    層を備え、 可飽和吸収層の量子準位は閉じ込め層の量子準位より低
    いものであり、 入射光により可飽和吸収層に励起された電子を可飽和吸
    収層に閉じ込めることにより入射光のピーク付近の光透
    過率を高くすることを特徴とする半導体光吸収素子。
  2. 【請求項2】該可飽和吸収層は半導体のバンドギャップ
    による光学遷移により光励起キャリアを発生するもので
    あることを特徴とする請求項1に記載の半導体光吸収素
    子。
  3. 【請求項3】可飽和吸収層は半導体薄膜であることを特
    徴とする請求項2に記載の半導体光吸収素子。
  4. 【請求項4】可飽和吸収層の両側に設けるキャリア閉じ
    込め層は多層の超格子構造により量子井戸を構成する構
    造を備えるものであることを特徴とする請求項3に記載
    の半導体光吸収素子。
  5. 【請求項5】該可飽和吸収層は量子細線構造もしくは量
    子ドット構造であることを特徴とする請求項3に記載の
    半導体光吸収素子。
  6. 【請求項6】該可飽和吸収層は不純物を含み、該不純物
    準位の吸収遷移を利用したものであることを特徴とする
    請求項1に記載の半導体光吸収素子。
  7. 【請求項7】該不純物がイオン注入法により注入された
    ものであることを特徴とする請求項6に記載の半導体光
    吸収素子。
  8. 【請求項8】不純物準位は半導体中に不純物を析出させ
    ることにより生成したものであることを特徴とする請求
    項6に記載の半導体光吸収素子。
  9. 【請求項9】該可飽和吸収層は砒素を含む化合物半導体
    であり、該不純物は該化合物半導体の低温成長により析
    出した砒素であることを特徴とする請求項8に記載の半
    導体光吸収素子。
  10. 【請求項10】該キャリア閉じ込め構造は半導体による
    キャリア閉じ込め層であって、入射光に対して透明であ
    り、該可飽和吸収層も半導体層であって、該キャリア閉
    じ込め層のバンドギャップは該可飽和吸収層のバンドギ
    ャップより大きいものであることを特徴とする請求項1
    に記載の半導体光吸収素子。
  11. 【請求項11】キャリア閉じ込め層と可飽和吸収層との
    バンドギャップの接続が不連続であることを特徴とする
    請求項10に記載の半導体光吸収素子。
  12. 【請求項12】キャリア閉じ込め層と可飽和吸収層との
    バンドギャップの接続が連続であることを特徴とする請
    求項10に記載の半導体光吸収素子。
  13. 【請求項13】キャリア閉じ込め層が入射光に対して透
    明であり、かつ可飽和吸収層よりも大きなバンドギャッ
    プを有する超格子構造である請求項10に記載の半導体
    光吸収素子。
  14. 【請求項14】可飽和吸収層が単層の半導体層でかつ厚
    さが可飽和吸収層での光の波長の4分の1以下であって
    可飽和吸収層で発生したキャリアの散乱が防止されるも
    のであることを特徴とする請求項1に記載の半導体光吸
    収素子。
  15. 【請求項15】可飽和吸収層が複数層でかつ半導体層で
    あって、各層の厚さが可飽和吸収層での光の波長の4分
    の1以下であり、可飽和吸収層で発生したキャリアの散
    乱を防止するものであることを特徴とする請求項1に記
    載の半導体光吸収素子。
  16. 【請求項16】光の入射する部分と光が出射する部分に
    無反射コーティング層を有することを特徴とする請求項
    1に記載の半導体光吸収素子。
  17. 【請求項17】コヒーレントな励起光を入射し、該励起
    光によりパルス光を生成するパルス光生成媒体を備えた
    パルス光発生装置において、光路中に透過型の半導体光
    吸収素子を備え、該半導体光吸収素子は、光強度の大き
    い入射光に対して光透過率の高い可飽和吸収特性を有す
    るものであって、入射光のパルス幅より出射光のパルス
    幅を狭くするものであり、該半導体光吸収素子に該パル
    ス光発生媒体の出力するパルス光を入射し、該半導体光
    吸収素子の出射光を該パルス光発生媒体に入射すること
    によりパルス光を生成するものであって、 該半導体光吸収素子は、光強度の大きい入射光に対して
    光透過率の高い可飽和吸収特性を有する半導体の可飽和
    吸収層と、該可飽和吸収層の両面に該可飽和吸収層の量
    子準位より高い量子準位の材料により構成されるキャリ
    ア閉じ込め層を備え、 可飽和吸収層の量子準位は閉じ込め層の量子準位より低
    いものであり、 入射光により可飽和吸収層に励起された電子を可飽和吸
    収層に閉じ込めることにより入射光のピーク付近の光透
    過率を高くするものであることを特徴とするパルス光発
    生装置。
  18. 【請求項18】 半導体光吸収素子の位置を調整するこ
    とにより、該半導体光吸収素子の吸収飽和特性を調整す
    ることを特徴とする請求項17に記載のパルス光発生装
    置。
  19. 【請求項19】可飽和吸収素子への入射角と出射角がブ
    ルースタ角になるように該半導体光吸収素子を配置する
    ことを特徴とする請求項17又は18に記載のパルス光
    発生装置。
  20. 【請求項20】光強度の大きい入射光に対して光透過率
    の高い可飽和吸収特性を有する半導体の可飽和吸収層
    と、該可飽和吸収層の両面に該可飽和吸収層の量子準位
    より高い量子準位の材料により構成されるキャリア閉じ
    込め層を備え、 可飽和吸収層の量子準位は閉じ込め層の量子準位より低
    いものであり、 入射光により可飽和吸収層に励起された電子を可飽和吸
    収層に閉じ込める密度を高くすることにより入射光のピ
    ーク付近の光透過率を高くすることにより光パルスの幅
    を狭めることを特徴とする光パルス整形方法方法。
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