JP4746228B2 - 多管式反応器からの固形物抜き出し方法 - Google Patents

多管式反応器からの固形物抜き出し方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多管式反応器の個々の反応管に充填された固形物、例えば炭化水素類の接触反応に用いられる触媒等の充填物を抜き出す方法を対象にしている。
【0002】
【従来の技術】
石油化学工業の分野において、管式反応器を用いた炭化水素類の酸化反応、アンモ酸化反応、分解反応、還元反応、改質反応等の接触反応は数多く実施されており、 これらの反応に使用される反応器には、それぞれの接触反応に適した触媒や不活性充填物が充填されている。
具体的には、以下の技術が知られている。
特開2000−1484号公報には、反応管にバナジウムを必須成分とし、組成の異なる複数種の触媒を充填して、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンを接触気相酸化して無水ピロメリット酸を製造する方法が示されている。
【0003】
特開平9−323950号公報には、不活性なラシヒリングの混合比を変えて活性を制御したモリブデン、ビスマスおよび鉄を必須成分とする触媒を反応管に充填して、イソブチレンおよび/またはt−ブチルアルコールから選ばれる少なくとも1種を接触気相酸化してメタクロレインを製造する方法が示されている。
特公平3−57906号公報には、不活性なアルミナペレットの混合比を変えて活性を制御したリンおよびバナジウムを必須成分とする触媒を反応管に充填して、n−ブタンを接触気相酸化して無水マレイン酸を製造する方法が示されている。
【0004】
特開平11−130722号公報には、モリブデン、ビスマスおよび鉄を必須成分とする前段触媒の充填層とモリブデンおよびバナジウムを必須成分とする後段触媒の充填層の間に不活性物質充填層を設けて、一つの多管式熱交換型反応器を用いて二段接触気相酸化法によりプロピレンからアクリル酸を製造する方法が示されている。
これらの接触反応に使用される触媒は、一般に、一定期間の使用において被毒、コーキング、シンタリング等によって活性や機械的強度が低下するため、その都度反応器から抜き出され、新しい触媒に交換される。
【0005】
触媒の交換に際して、反応器内のこれら触媒等の固形物を抜き出す方法としては、作業員が反応器の内部に入り、反応管の下部開口部から上方に向かって金属製などの細い棒で突き上げながら、反応管内部の固形物を落下させる方法が採られている。
また、米国特許第5,228,484号明細書には、反応管の上端から内部にノズルを挿入し、ノズル先端から高圧空気を吹き出し、反応管内に充填された触媒を高圧空気でほぐしたり流動化させたりして反応管の上端まで持ち上げて反応管の上端に設置された充満室に送り込み、充満室を真空排気して触媒を排出する技術が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来における突き上げ棒を用いる固形物の抜き出し方法では、棒で突き上げる度に反応管内部の触媒等の固形物やこれらの破砕物が落下し、落下した固形物は床に散乱、多量の粉塵が発生するなどして作業員にとって作業環境は劣悪である。
また、 これら落下物および粉塵は人体に有害な物質である場合が多く、そのため抜き出し作業に従事する作業員は防塵服、ゴーグル、防塵マスク、手袋等の保護具の着用が必須となる。
【0007】
さらに、これら接触反応に用いられる触媒は高価な金属等を高濃度で含有している場合も多いことから抜き出された廃触媒は金属等の回収処理を施される場合がある。ところが、 前記特開平11−130722号公報に記載されているような複数種の触媒および不活性物質が反応管に充填された反応器の場合、従来の抜き出し方法では反応管から落下したこれら触媒および不活性物質は混じってしまい、触媒の分別および回収には大きな手間がかかる。
工業的実施においては、通常、管式反応器は数百から数万本にもおよぶ反応管を有しており、これら反応器内の触媒等固形物を従来の方法によって抜き出すことは、抜き出し作業に従事する作業員への肉体的、 精神的苦痛は大きいばかりでなく、環境にも悪影響を及ぼすものである。
【0008】
また、前記した高圧空気を用いる方法では、反応管の上端に充満室を配置しているので粉塵発生の問題は軽減されるが、高圧空気とともに触媒が流入する充満室と反応管上端との気密性が要求される。反応管内に送り込まれる高圧空気ノズルが充満室を貫通して通過するので、この貫通部分における気密性も問題になる。これらの気密構造が複雑になるとともに、高圧空気の供給と真空排気との両方の機構装置が必要になるなど、装置が大掛かりになり、作業性もあまり良くないものになる。
本発明の課題は、 前記従来技術の問題点を解決して、多管式反応器内の固形物を安全かつ衛生的に効率よく抜き出す方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多管式反応器の反応管に充填された固形物を抜き出す方法であって、前記反応管の端部より、排気吸引装置に接続される吸引管を挿入する工程(a)と、前記反応管内の固形物を、前記吸引管の先端から空気流とともに吸引して、反応管から抜き出す工程(b)とを含み、反応管内径Dと吸引管先端の外径d との比率が0.7≦d /D≦0.95、吸引管先端の傾斜角度θが0°≦θ≦70°であり、かつθ=0°の場合において吸引管内径d と固形物の粒径Sとの比率がd /S≧2.5であることを特徴とする、多管式反応器からの固形物抜き出し方法である。
〔多管式反応器〕
通常の化学製品の製造あるいは処理技術において使用されている多管式反応器が用いられる。例えば、特開昭54−21966号公報、特開昭56−108525号公報、特開昭59−39342号公報、特開昭59−82943号公報、特開昭62−121644号公報、特開平5−125010号公報、特公平7−73674号公報に開示された技術が適用できる。
【0010】
一般的に、反応管は縦方向に配置されたものが使用されるが、横方向に配置されたものや、特開平9−141083号公報に開示されているように斜めに配置されたものでもよい。
反応管の材質については特に制限はなく、ステンレス製、カーボンスチール製など通常接触反応に用いられる材質が採用できる。反応管の内径Dは、10mm〜60mm、好ましくは15mm〜50mm、より好ましくは20mm〜40mmである。
反応管は、一般的には全長にわたって直線状で同径のものであるが、湾曲しているものや軸方向で径が変化するものなども使用される。
【0011】
〔反 応〕
多管式反応器で、反応管に触媒等の固形物を充填して実施する反応であれば、通常の接触反応その他の化学的処理反応に適用できる。
前記した特開2000−1484号公報、特開平9−323950号公報、特公平3−57906号公報、特開平11−130722号公報に開示された反応に適用することができる。
反応流体は、ガス、溶液、エマルジョンなど、通常の多管式反応器で使用される形態のものが用いられる。
【0012】
〔固形物〕
反応管内の固形物としては、多管式反応器を用いた各種反応において利用される固形物および各種反応を行った際に反応管内で生成した付着物等であれば、特に限定されない。具体的には、各種接触反応用触媒、不活性物質および炭化物等の付着物質が挙げられる。
接触反応用触媒としては、炭化水素類の酸化反応、アンモ酸化反応、分解反応、還元反応、改質反応等に一般的に用いられる触媒であるが、 これに限定されるものではない。
【0013】
不活性物質は、触媒を管式反応器に充填するにあたり触媒を支持するための支持体、反応流体の加熱材または冷却材、あるいは触媒の活性制御を目的とした希釈材として使用され、各種接触反応(原料および目的生成物)に対して不活性な物質を言う。例えばアルミナ、シリカ、シリカアルミナ、炭化珪素、窒化珪素、ステアタイト等の各種セラミックスやカーボンスチール、ステンレス等の各種金属製充填物である。
触媒や不活性物質あるいは反応管内壁に付着している物質としては、反応流体中に微量に含まれる不純物や炭化物等の接触反応による生成物および触媒成分からの飛散・昇華物等の堆積物がある。
【0014】
触媒や不活性物質は、通常、粒塊状の形態で使用される。粒形状については特に限定はなく、球形、円柱状、リング状、不定形状などのいずれでもよい。
抜き出される固形物の粒径に関しては、例えば、固形物が球状または円柱状の場合はその直径を、リング状の場合はその外径を粒径とする。固形物の粒径Sと反応管内径Dとの比S/Dは、0.5以下、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.4以下である。但し、上記比率が0.5より大きい固形物であっても、吸引管の先端で0.5以下に小さく砕くことができる場合は、この限りではない。
【0015】
〔吸引管〕
吸引管は、抜き出し作業に従事する作業員が握りやすく、 作業性が良いことから、通常、断面形状が円形のものが使用されるが、楕円形や多角形なども採用でき、反応管の断面形状に合わせて、適宜選択すればよい。
吸引管は、剛性が高く変形し難いものであってもよいし、可撓性があって湾曲できるものであってもよい。但し、排気吸引時の負圧によって潰れない程度の形状維持性を有するものが好ましい。
吸引管の材質については、ポリエチレン製のものが適度にたわむことから作業性が良く使いやすいが、ポリプロピレン、テフロン、ポリ塩化ビニルなどの樹脂製やステンレスや炭素鋼などの金属製のものも使用でき、これら複数の材料層を積層したり継ぎ合わせたりして使用することもできる。
【0016】
吸引管のうち、反応器の反応管に挿入される部分と、反応管の外部に延びる部分とで材質や形状構造を違えることもできる。さらには、反応管に挿入される部分のうち先端部分と後方部分とで材質や形状構造を違えることもできる。
吸引管の管壁の厚みTは、材質や要求性能によっても異なるが、通常はT≦5mm、好ましくは1mm≦T≦3mm、より好ましくは1mm≦T≦2mmである。
〔排気吸引装置〕
吸引管には、先端の開口から空気流とともに固形物を吸引するために排気吸引装置が接続される。
【0017】
排気吸引装置の構造あるいは仕様としては、一般に用いられる排気吸引装置と同様のものが用いられる。排気吸引装置には、モータやエンジンなどの動力源で駆動される排気ポンプを備えている。排気ポンプの機構や構造は、一般に用いられる排気ポンプと同様のものが採用できる。
吸引管は排気吸引装置の吸気口に接続される。吸引管を直接に排気吸引装置に接続してもよいし、吸引管と排気吸引装置との間を配管で連結しておくこともできる。
吸引管と排気ポンプとの間には、空気流と固形物とを分離して固形物だけを捕集するためのトラップを設けることができる。空気流と抜き出される固形物との分離方法は特に限定はなく、一般に固形物の分級に利用される重力式、遠心式、慣性式の分級器や適当な目開きのフィルターを用いることができる。
【0018】
また、 トラップで捕集できなかった微粉等が排気ポンプへ混入するのを防止するために、適当な目開きのバグフィルターやサイクロン等の捕集装置を前記トラップと排気ポンプとの間に設置するのが望ましい。
排気吸引装置の能力、すなわち吸気量は、抜き出そうとする固形物の大きさ、比重、容器内への触媒等の固形物の付着度合い、吸引管の耐圧(吸引管の内部が減圧になってもつぶれない)、配管抵抗、固形物の抜き出し速度(反応管1本当たりの固形物抜き出し所要時間)などを総合的に判断して適当な能力の装置を使用すればよい。
【0019】
排気吸引装置には、クーラーやサイレンサーを設けて、環境への悪影響を軽減することができる。
〔固形物の抜き出し〕
反応管が縦方向に配置された多管式反応器の場合、吸引管の挿入位置は反応管の上端開口部または下端開口部のいずれからでもよく、反応器の構造等を考慮して作業性の良い方法を採用すればよい。一般的には、反応管上端開口部から挿入するほうが作業姿勢が楽になるなど作業性はよい。
吸引管の先端を反応管の何れかの開口部から挿入し、吸引管の先端から反応管内の空気を吸い込むと空気流が発生する。反応管の先端を反応管内の固形物に近づけると、固形物は反応管の先端部分の空気流によって吸引管内に運ばれて反応管から抜き出される。反応管の先端部分には、反応管の外部の空気が、主に反応管の内壁と吸引管の外壁との隙間を通って順次補給される。固形物の吸引とともに吸引管の先端を徐々に反応管の内部に向かって挿入することで、反応管内の固形物を順次抜き出すことができる。
【0020】
このとき、吸引管の先端と固形物との間隔が大きすぎると、固形物の抜き出し速度が低下したり、場合によっては固形物を抜き出せなくなる。また、固形物と吸引管先端の間隔が極端に小さすぎたり、反応管内壁と吸引管の外壁との隙間が小さい場合も固形物の抜き出し速度は低下する。
つまり、吸引管への空気の補給を効率よく行い、かつ、固形物が吸引管の先端の空気流内または近傍に位置するように吸引管の先端部分の位置を操作することにより、固形物の抜き出し速度が向上する。例えば、吸引管の外径を工夫して反応管内壁と吸引管の間に適度な隙間をあけ、さらに、吸引管の先端を適当な形状に加工することで、そのような効果が得られる。
【0021】
〔吸引管の先端〕
反応管内壁と反応管の内部に挿入される吸引管先端との隙間、すなわち、反応管内径Dと吸引管先端の外径d1の比率が、固形物の抜き出し速度に大きな影響を及ぼす。具体的には、0.7≦d1/D≦0.95、好ましくは0.72≦d1/D≦0.9、より好ましくは0.75≦d1/D≦0.85であると効率よく抜き出し作業が行える。前記d1/Dが小さいほど、反応管の内壁と吸引管との隙間が大きくなり、反応管の外部の空気は吸引管の先端に効率よく補給されるが、吸引管の内側の開口面積は小さくなる。d1/Dが小さすぎると、抜き出される固形物量が少なくなるばかりでなく、固形物が吸引管内に詰まりやすくなってしまう。d1/Dが大きすぎると、反応管の内壁と吸引管の隙間が小さくなるため、反応管の外部から吸い込まれる空気が少なくなり、固形物が抜き出し難くなるとともに、吸引管を反応管に差し込み難くなったり、反応管内壁と吸引管の摩擦抵抗が大きくなって吸引管を反応管内部に挿入し難くなる。
【0022】
また、固形物の粒径Sと吸引管の内径d2との比d2/Sも、固形物の抜き出し速度に大きな影響を及ぼす。具体的には、d2/S≧2.5、好ましくはd2/S≧2.7、より好ましくはd2/S≧3である。但し、このときに、d2はd1−d2×2<0を満足しなければならない。前記d2/Sが小さすぎると、吸引管内部に固形物が吸引され難くなったり、吸引管の内部に固形物が詰まりやすくなるなど、作業効率が著しく低下する。
反応管内に挿入する吸引管の先端形状については、固形物の形状やサイズ、反応管への付着状態、固形物の抜き出し速度を考慮して適宜選択すればよい。吸引管の先端部分の空気流を効率よく固形物の抜き出しに利用できる形状を選択すれば、固形物が空気流と共に抜き出し易くなり、固形物の抜き出し速度が向上して好ましい。
【0023】
例えば、円筒状の吸引管を使用する場合、吸引管の管軸方向と直交する面で水平に切断された円形端面を有するものであってもよいし、吸引管の管軸方向と直交する面に対して一定の角度θで傾斜している楕円端面を有するものであってもよい。
効率よく反応管内の固形物を抜き出すには、傾斜角度θと固形物の抜き出し速度との関係を考慮する必要がある。
そこで、本発明者は吸引管先端の傾斜角度θと固形物の抜き出し速度との関係について検討を行った。その結果、図1に示すように、θ=0から傾斜角度を大きくしていくに従って固形物の抜き出し速度は増加するが、ある傾斜角度θx以上になると、固形物の抜き出し速度は減少する傾向があることが分かった。
【0024】
もちろん、抜き出し速度が最大となる傾斜角度θxは、排気吸引装置の吸気量や反応管内の固形物の大きさ、前記したd1/Dにより変化するが、吸引管先端の傾斜角度θをむやみに大きくしすぎると固形物の抜き出し速度は低下する。
本発明者は、前記検討の結果、固形物の抜き出しに適した吸引管先端の傾斜角度θとしては、0°≦θ≦70°であり、好ましくは0°≦θ≦60°であり、より好ましくは0°≦θ≦50°であることを見出した。
吸引管の先端には管軸方向と直交する面よりも凹んだ凹入部を備えてもよい。凹入部の形状として、クサビ形のような矩形状のものなどが挙げられる。
【0025】
端面が傾斜していたり凹入部を有していれば、固形物と吸引管の先端の間には適度な隙間が形成されることから、吸引管先端部分の空気流を効率よく固形物の抜き出しに利用でき、常に安定した空気流を保つことができ、結果として固形物の抜き出し速度が向上する。
吸引管の先端外周に凸部を備えておくことができる。この凸部は、吸引管の外面と反応管の内壁面との間に一定の間隔を維持するのに有効である。吸引管の剛性や耐変形性を向上する作用もある。凸部の配置形状として、吸引管の周方向に断続的に配置しておけば、吸引管と反応管との間の隙間を通る空気流を阻害することが少ない。凸部を螺旋状に配置しておくこともできる。
【0026】
吸引管の先端には、後方部分とは別部材で、ステンレスやカーボンスチールなどの金属製や樹脂製等のアダプターを接続して用いても良い。例えば、固形物が吸引管の内径よりも大きい場合や固形物が反応管内壁に強固に付着している場合、ポリエチレン製等の比較的軟らかい材質の吸引管を用いると抜き出しにくくなるが、金属製等の硬い材質で加工されたアダプターを吸引管の先端に備えていると、アダプターの先端で固形物を細かく砕きながら抜き出しを行えることから、抜き出し効率が向上するという効果が得られる。
抜き出し工程で、固形物は吸引管内を空気流と共に高速で移動するため、使用する吸引管およびそれに付属する配管や排気吸引装置の材質によっては摩擦により静電気を帯びるものもある。抜き出される固形物によっては静電気により発火もしくは爆発する危険もあることから、安全上、適所にアースを接続することが好ましい。
【0027】
なお、 抜き出す固形物が脆く粉塵の発生が著しい場合、または、酸素との接触により触媒や触媒上に付着した物質が自然発火する危険のある場合は、抜き出し作業を実施する前に、水や各種添加物を混合した鉱油、界面活性物質等の薬剤で固形物を湿潤処理してもよい。具体的には、特開昭50−140369号公報、特開昭59−73038号公報に示された技術が適用できる。また、非通気性の板材を反応器内に敷設してもよい。具体的には、特開昭61−35842号公報に示された技術が適用できる。
〔作用および効果〕
排気吸引装置に直接または間接に接続される抜き出し用の吸引管を用いて、吸引管の先端を反応管の何れかの開口部から挿入して、固形物を空気流と共に吸引して抜き出せば、作業場所での粉塵の発生がなくなり、 極めて良好な作業環境で抜き出し作業が行える。また、抜き出し用吸引管の材質、外径、先端形状などを適切に設定することで抜き出し作業の効率が向上し、固形物の抜き出し時間の短縮も可能となる。
【0028】
更には、 固形物を反応管の上端側の開口部から抜き出す場合、吸引管の先端を反応管開口部から所望の位置まで挿入することで、反応管内の不要な固形物のみを選択的に抜き出せ、抜き出した触媒の分離・回収も容易になる。
例えば、特開平11−130722号公報に記載されているような、反応管の管軸方向に複数個に分割された反応帯にそれぞれ種類の異なる触媒や不活性物質を充填して反応を行う反応器において、上部の反応帯に充填されている触媒のみを抜き出すことができる。具体的には、従来の方法では反応管下部から抜き出すため、抜き出す必要のない下部反応帯に充填されている触媒までも抜き出さなければならないが、本発明による抜き出し方法を用いれば、吸引管の先端を反応管の所望の位置まで挿入する事で反応管の上部反応帯に充填されている触媒のみを選択的に抜き出すことができる。
【0029】
本発明の抜き出し方法は、触媒等充填物の交換時に多管式反応器から劣化した触媒等の固形物を抜き出す際に利用されるばかりでなく、多管式反応器の反応管に新しい触媒や不活性物質を充填する際における充填物の充填量を調整する作業にも利用できる。
多管式反応器を用いた接触反応の工業的実施において触媒や不活性物質を反応管に充填する場合、各反応管に充填される触媒等の充填量(充填層高)および充填による各反応管の圧力損失は、理想的には均一であることが好ましいことは当業者なら当然認識している。
【0030】
反応管に触媒等を充填する際に触媒等の質量や体積を予め正確に測っておけば、充填後の各反応管内における触媒等の充填層高および圧力損失は一定になるはずである。しかしながら、実際には触媒等の形状や粒径等に多少の差があることや、充填時における触媒等の充填速度が必ずしも一定でないこと等の理由から、各反応管における充填層高や圧力損失にばらつきが生じる。
このように、反応管の数が数百から数万本にもおよぶ多管式反応器において、触媒等の固形物の充填層高および圧力損失を全ての反応管において均一になるように充填することは非常な努力を要する。
【0031】
そこで、現実的には触媒性能や機器の能力を考慮して、これら充填層高および圧力損失は予め決められた基準値の範囲内に入るように調整される。この際、充填後に基準値をはずれ、触媒充填層高が高くなったり圧力損失が高くなった反応管については充填物を抜き出し、再度充填をやり直すといった作業を行う。
この際、充填した触媒を一部抜き出す方法として本発明の抜き出し方法を利用すると、充填した全ての触媒を抜き出す必要が無く、効率的に充填層高や圧力損失の調整作業を実施できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について詳細に説明する。
〔多管式反応器〕
図2に示すように、多管式反応器10は、垂直方向に立設された多数の反応管20を備えている。反応器10の上下端には反応流体の出入口12、14が設けられている。
反応器10の出入口12、14は、反応流体の供給設備や前工程の処理設備、次工程の処理設備などと配管接続されているが、図示を省略している。また、反応器10には、反応流体を加温したり冷却したりする温度調整装置や、反応の進行を監視するセンサ装置など、通常の反応器10と同様の機構設備を備えておくことができる。
【0033】
図3に示すように、反応管20には、固形物として粒塊状の触媒90が充填されており、反応管20を通過する反応流体が触媒90と接触することで触媒作用を受けて所定の反応を起こしたあと、反応器10より排出される。
反応器10の稼働を続けることで、触媒90の物性が変化したり触媒90の表面に副生物が付着したりして、触媒90の機能が低下すると、触媒90を反応管20から取り出して、新しい触媒90が再充填される。
〔触媒の抜き出し〕
反応器10から反応流体を排出したり反応器10の内部を洗浄したりしたあと、反応管20の内部から触媒90を抜き出す作業を行う。
【0034】
図2に示すように、作業員Mが、反応管20の上端が開口して並んでいる作業床に上がり、吸引管30の先端を反応管20の上端に配置し、反応管20に吸引管30を挿入していく。
吸引管30は、反応器10の出入口12から反応器10の任意の場所に設けられているマンホールを通して外部に延び、配管32を経て反応器10の外に設置された固形物トラップ装置40に接続されている。固形物トラップ装置40は、空気流から固形物である触媒90だけを分離する。
固形物トラップ装置40は、さらに配管32を介して、バグフィルター50、クーラー60、排気ポンプ70、サイレンサー80に接続されている。排気ポンプ70は、モータ等で駆動される真空ポンプであり、配管32内の空気を強制排気して空気流を発生させる。吸引管30による固形物の抜き出し、固形物トラップ装置40による空気流からの固形物の分離回収を行うという基本的な機能は、排気ポンプ70だけでも達成できる。しかし、バクフィルター50、クーラー60、サイレンサー80を備えていることで、環境汚染の防止、作業環境の改善に有効である。具体的には、バグフィルター50は、固形物トラップ装置40では捕捉できなかった微小な粉塵を空気流から捕捉して回収することができる。クーラー60は、配管32内の空気を冷却でき、過熱した排気が放出されるのを防ぐ。配管32内の空気流がそれほど高温でなければクーラー60は無くても構わない。サイレンサー80は、配管32内の空気流が発生する騒音を軽減することができる。
【0035】
固形物トラップ装置40で空気流と分離回収された固形物90は、通常の手段で廃棄したり有用資源を回収したり再利用したりすることができる。例えば、固形物90が触媒の場合には、含有する金属類を分離回収する処理に送ることができる。
〔抜き出し作業〕
図2において、配管32を介して固形物トラップ装置40に接続された吸引管30の一端を、反応器10の内部に引き込み、反応管20の上端に吸引管30の先端を配置する。
【0036】
図3に詳しく示すように、吸引管30の先端から空気を吸い込む。吸引管30の先端を、反応管20の内部に充填された固形物90の上に配置すると、吸引管30に吸い込まれる空気の流れに引かれて固形物90も吸引管30に吸い込まれる。吸引管30に吸い込まれた固形物90は、前記した配管32を経て固形物トラップ装置40に送り込まれ、空気流と分離されて回収される。
吸引管30の先端で固形物90を吸い込むと、吸い込まれた固形物90の分だけ反応管20内の固形物90の上端と吸引管30の先端との距離が離れるので、吸引管30の先端を固形物90の上端に近づけるように反応管20に挿入していく。
【0037】
この動作を継続しておこなえば、反応管20の全長にわたって充填された固形物90を抜き出すことができる。また、吸引管30を反応管20の途中まで挿入した状態でそれ以上の挿入を停止すれば、その位置における吸引管30の先端位置よりも少し下までの固形物90が抜き出され、それよりも下の固形物90は充填されたまま残ることになる。このとき、吸引管30の先端の挿入深さを調節すれば、反応管20に残る固形物90の充填層高を任意に調整することが可能になる。
なお、吸引管30の外径は、反応管20の内壁と吸引管30の外壁との間に反応管20の外の空気が吸引管30の先端部分に効率よく補給できる程度の隙間があくように設定されている。
【0038】
〔吸引管の先端構造〕
図4は、吸引管の先端構造が異なる数種の具体例を示している。
図4(a) は、吸引管30の先端が、管軸方向と直交する水平面で切断された円形端面を有している。
図4(b) は、吸引管30の先端が、管軸方向と直交する水平面に対して傾斜角度θで傾斜し、楕円形端面を有している。図4(a) に比べて、実質的な開口面積が広くなり、かつ、固形物90と吸引管30の先端に適度な隙間を形成することで、空気流とともに固形物90が吸い込まれ易くなる。吸引管30の先端に当接した固形物90が傾斜に沿って移動しながら吸引管30に吸い込まれることで、固形物90が端面に当接したまま開口を塞いでしまうことが防げる。
【0039】
図4(c) は、吸引管30の先端で直径方向で対向する2個所に、先端が開いたU字形をなす凹入部34を設けている。上記図4(b) の構造と同様、先端の実質的な開口面積が大きくなり、固形物90と吸引管30の先端に適度な隙間を形成する。複数の凹入部34を備えていることで、一方の凹入部34が固形物90で一時的に塞がれても、他方の凹入部34からは空気流および固形物90を吸い込むことができる。また、一方の凹入部34を塞ぐ固形物90が他方の凹入部34を通過する空気流や固形物90の力で動かされて、吸引管30に吸い込まれるので、固形物90の詰まりが解消される作用も生じる。
【0040】
図4(d) は、三角形のクサビ状をなす凹入部34が周方向に並んでいる。多数の凹入部34を備えることで、周方向で均等に効率良く吸い込み作用を発揮することができる。反応管20の内部に固着した固形物90を、凹入部34の間の尖った先端で突き崩して吸い込み易くすることもできる。
図4(e) は、細長い矩形の凹入部34が周方向に並んでいる。吸引管30の先端面が固形物90の塊で塞がれても、外側面に十分な大きさの開口が確保できる。この場合、凹入部34の幅を固形物90の粒径より大きい程度に設定しておけば、凹入部34からの固形物90の吸い込みが良好に行える。
【0041】
図4(f) は、吸引管30の外周面に螺旋状の凸部36を一定の長さ分だけ設けている。凸部36の外周端が反応管20の内壁に当接することで、反応管20と吸引管30との間に空気流が通過する隙間を確実に設けることができ、吸引管の先端に効率よく空気を補給できる。凸部36が吸引管30の全周にわたって配置されていても、螺旋状の凸部36であれば、螺旋に沿って空気が流通できるため、凸部36の部分で空気流が遮断される問題がない。
〔固形物の充填量調整〕
図5は、吸引管30を利用して、反応管20に充填する固形物90の充填層高(量)を調整する方法を示している。
【0042】
(a) は、反応管20aに固形物90が適正な量で充填された状態を示している。<MID>線が適正な充填量の高さ位置を表している。<MAX>線から<MIN>線の間が、許容できる充填層高の範囲である。
(b) は、固形物90の充填後に充填層高が高くなりすぎた状況を示している。
固形物90の充填層高が<MAX>線を超えている。
そこで、(c) に示すように、反応管20bの上端から吸引管30を差し込んで、吸引管30の先端から固形物90を抜き出す。(d) に示すように、吸引管30の先端を、<MAX>線よりも下で<MIN>線よりは下がらない位置、出来るだけ<MID>線に近い位置まで挿入すれば、反応管20b内に残る固形物90の上端位置は、<MID>線を中心にして<MAX>線と<MIN>線との間の位置に確実に設定されることになる。
【0043】
なお、予め、<MAX>線、<MID>線、<MIN>線から反応管20bの上端までの距離を測定または算出しておけば、その距離に合わせて、反応管20bに対する吸引管30の差し込み量を調節すればよい。吸引管30の外周に、<MAX>、<MID>、<MIN>に対応する指示線を表示しておけば、この指示線を目安にして作業が行い易い。吸引管30の外周で<MID>に対応する位置に突起状のストッパを設けておいて、ストッパが反応管20bの上端開口に引っ掛かる位置まで吸引管30を挿入すれば、吸引管30の挿入深さを簡単かつ確実に設定できる。
【0044】
また、反応管に固形物90を充填した後の圧力損失についても、許容範囲が存在する。固形物90を充填後に圧力損失が上限値よりも高くなりすぎた反応管20については、上記した充填層高の下限値、すなわち<MIN>線を下限として固形物90を吸引にて抜き出し、圧力損失が基準値内に入るように調整すればよい。
〔特定層の固形物のみの抜き出し〕
図6に示す実施形態は、反応管20から特定層の固形物90だけを抜き出す方法を示している。
【0045】
反応管20には、下から順に、触媒90c、隔離用の不活性物質90b、触媒90aが充填されている。触媒90cは、反応管20の下端から高さCまで充填され、その上に、不活性物質90bが高さBで充填され、一番上に触媒90aが高さAで充填されている。このような充填構造は、反応流体を順次接触させ、それぞれの触媒90a、90cによる反応を連続的に行わせる反応方法に適用される。不活性物質90bは、各種金属やセラミックスあるいは樹脂製で、リング状や球状などの形状をなし、触媒90aと90cを確実に隔離しておくとともに、反応流体の加熱または冷却をする働きがある。
【0046】
このような反応管20から、活性が低下したりした触媒90aだけを抜き出す作業を行う。
吸引管30を、反応管20の上端に配置して吸引を行う。反応管20の上部に充填された触媒90aが空気とともに吸引管30内に吸い込まれて抜き出される。吸引管30の先端を、反応管20の深さAよりも少し上の位置まで挿入すれば、触媒90aの全部が抜き出されるとともに、不活性物質90bおよび触媒90cは反応管20内に残ったままになる。
その後、反応管20に新たな触媒90aあるいは再生処理された触媒90aを充填すれば、所望の反応処理を再開することができる。
【0047】
前記した触媒90aの抜き出し工程のあとで、触媒90cを残して不活性物質90bだけを抜き出せば、不活性物質90bの交換を行うことができる。この場合、触媒90aの抜き出しが完了した段階で、固形物トラップ装置40から触媒90aを回収して取り除いておけば、次の段階で固形物トラップ装置40には不活性物質90bだけが回収される。
さらに、触媒90cを抜き出すときには、固形物トラップ装置40に回収された不活性物質90bを取り出してから、触媒90cの抜き出しを行えば、固形物トラップ装置40には触媒90cだけが回収される。
【0048】
この方法では、種類の異なる固形物90a、90bおよび90cを、それぞれ別個に分別して回収できる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明の一実施例として、多管式熱交換型反応器から酸化反応に供した触媒等固形物を抜き出す例を挙げて本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
なお、 本実施例および参考例における平均抜き出し所要時間および粉塵発生量はそれぞれ次の通り定義する。
平均抜き出し所要時間:
1本の反応管から全固形物を抜き出すのに要した時間の平均(秒)
粉塵量:
100本の反応管から全ての固形物を抜き出した後に、作業員が着用していた防塵マスクに付着していた粉塵量(mg)
粉塵量 =
(反応管100本の抜き出し作業終了後の防塵マスクの乾燥重量)
−(作業前の防塵マスクの乾燥重量)

−実施例1−
特開平4−210937号公報の実施例1に記載の方法に準じて、メタクロレインからメタクリル酸を製造する反応を実施した。なお、反応管の数は10000本であり、反応管の長さは3000mmであった。
【0050】
上記反応を8000時間継続した後、反応管を冷却し、以下の抜き出し作業を行った。
(抜き出し作業)
外径21mm、内径18mmのポリエチレン製チューブからなる吸引管の一方の端部を、固形物トラップ装置を介して吸気量3.0m3/min、到達真空度19600Paの能力を持つ排気ポンプが連結された排気吸引装置に接続した。反応管に挿入する側の吸引管先端は、図4(a) に示す水平端面形状に加工しておいた。
【0051】
抜き出し用の吸引管を反応管上部開口部から反応管下部に向かって徐々に挿入し、空気と共に反応管内部に充填されている触媒を全て抜き出した。この抜き出し作業を合計100本の反応管について実施した。
平均抜き出し所要時間は22秒だった。また、 粉塵量は91mgであった。
−比較例1−
実施例1において、以下のような抜き出し作業をおこなった以外は実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。
【0052】
(抜き出し作業)
4mm×2mm角、長さ4500mmのピアノ線を用意した。該ピアノ線の一方の端部を反応管下部開口部から挿入し、反応管上部に向かって突き上げながら反応管内の全ての触媒等固形物を徐々に落下させて抜き出した。
抜き出し作業実施中は粉塵の発生が非常に多く、また落下物から身体を保護するために、作業員は防塵マスクのみならず綿製の頭巾、防塵服、ヘルメット、ゴーグルおよび手袋を装着して当該作業を行った。
平均抜き出し所要時間は40秒、粉塵量は1594mgであった。
−実施例2−
実施例1において、外径18.5mm、内径15mmのポリエチレン製チューブからなる吸引管を用いた以外は、実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。
【0053】
平均抜き出し所要時間は30秒、粉塵量は87mgであった。

−実施例3−
実施例1において、外径23mm、内径18mmのポリエチレン製チューブからなる吸引管を用いた以外は、実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。
平均抜き出し所要時間は28秒、粉塵量は87mgであった。

参考
実施例1において、外径17mm、内径15mmのポリエチレン製チューブからなる吸引管を用いた以外は、実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。
【0054】
平均抜き出し所要時間は42秒、粉塵量は80mgであった。
参考
実施例1において、外径24.5mm、内径18mmのポリエチレン製チューブからなる吸引管を用いた以外は、実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。
平均抜き出し所要時間は40秒、粉塵量は77mgであった。

−実施例
実施例1において、外径21mm、内径14mmのポリエチレン製チューブからなる吸引管を用いた以外は、実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。
【0055】
平均抜き出し所要時間は33秒、粉塵量は85mgであった。

参考
実施例1において、外径21mm、内径12mmのポリエチレン製チューブからなる吸引管を用いた以外は、実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。
平均抜き出し所要時間は58秒、粉塵量は93mgであった。

−実施例
実施例1において、反応管に挿入する側の吸引管先端を、図4(b) に示す傾斜端面(傾斜角θ= 45°)に加工した抜き出し用の吸引管を用いた以外は、実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。
【0056】
平均抜き出し所要時間は18秒、粉塵量は90mgであった。

−実施例
実施例1において、反応管に挿入する側の吸引管先端を、図4(b) に示す傾斜端面(傾斜角θ= 65°)に加工した抜き出し用の吸引管を用いた以外は、実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。
平均抜き出し所要時間は25秒、粉塵量は84mgであった。

参考
実施例1において、反応管に挿入する側の吸引管先端を、図4(b) に示す傾斜端面(傾斜角θ= 75°)に加工した抜き出し用の吸引管を用いた以外は、実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。
【0057】
平均抜き出し所要時間は44秒、粉塵量は80mgであった。

−実施例
実施例1において、抜き出し用の吸引管のうち反応管に挿入する側に、図4(c) に示す凹入部34付きの端面形状に加工したアダプターを接続した以外は、実施例1と同様に反応管100本について抜き出し作業を行った。アダプターはステンレス製の外径19mm、内径17mmのものを使用した。
平均抜き出し所要時間は18秒、粉塵量は83mgであった。

−実施例
特開平11−130722号公報の実施例1に記載の方法に準じて、プロピレンからアクリル酸を製造する反応を実施した。なお、反応管の数は10000本であった。また、前段触媒は外径6mm、高さ6mmの円柱状のものを使用した。
【0058】
上記反応を8000時間継続した後、反応管を冷却し、以下の抜き出し作業を行った。
(抜き出し作業)
実施例と同じ吸引装置および抜き出し用吸引管を用い、吸引管の先端を反応管上部開口部から反応管下部に向かって2500mm挿入して後段触媒のみを抜き出した。吸引装置と吸引管の間に設置された固形物トラップ装置から後段触媒を取り出したところ、後段触媒中にラシヒリングはわずか0.1wt%しか混入しておらず、後段触媒だけを選択的に回収することができた。次いで吸引管の先端を反応管上部開口部から3200mm挿入してラシヒリングのみを抜き出した。固形物トラップ装置からラシヒリングを取り出したところ、ラシヒリング中には前段触媒はわずか0.2wt%しか混入していなかった。
【0059】
このように、当該発明の方法によると、前段触媒を抜き出すことなく後段触媒のみを抜き出すことができ、さらには各反応帯に充填された触媒等充填物をほぼ完全に選択的に抜き出すことができることから、反応管より抜き出した触媒等の分別、回収および再使用が容易となる。

−実施例
実施例における多管式反応器の空の反応管に、実施例の前段触媒を層高2800mm充填した。次いで、上記ラシヒリングを充填したところ、ラシヒリングの目標充填層高である700mmに対し、実際の層高は820mmであった。
【0060】
そこで、実施例の吸引管および吸引装置を用いて、吸引管の先端を反応管上部開口部から2500mmの位置まで挿入して、充填したラシヒリングの上部120mm分を抜き出し、ラシヒリングの充填層高を700mmとした。
この方法に対して、比較例1のような従来の方法では、既に充填した前段触媒までも抜き出して再度充填を実施しなければならず、作業効率が非常に悪いことが分かる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、反応器内の固形物の抜き出しに当たり、以下の効果が達成できる。
(a)粉塵の発生が少なく、安全かつ衛生的な作業環境で抜き出し作業を実施できる。
(b)抜き出し作業にかかる時間が短縮される。
また、 反応管の上部開口部から抜き出す場合には、
(c)反応管の任意の位置までの固形物の抜き出しが可能である。
【0062】
(d)抜き出した触媒等の分別・回収・再利用が容易である。
従って、本発明の方法は管式反応器内の固形物の抜き出し方法として極めて有用な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 吸引管先端の傾斜角度と固形物抜き出し速度の関係を示すグラフ
【図2】 本発明の実施形態を表す全体構成図
【図3】 反応管からの固形物の抜き出し工程を示す概略断面図
【図4】 吸引ノズルの構造例を示す斜視図
【図5】 抜き出し量の調整方法を説明する模式的断面図
【図6】 特定層の固形物だけを抜き出す方法を示す模式的断面図
【符号の説明】
10 反応器
12、14 出入口
20 反応管
30 吸引管
32 配管
34 凹入部
36 凸部
40 固形物トラップ装置
70 排気ポンプ
90 固形物

Claims (3)

  1. 多管式反応器の反応管に充填された固形物を抜き出す方法であって、
    前記反応管の端部より、排気吸引装置に接続される吸引管を挿入する工程(a)と、
    前記反応管内の固形物を、前記吸引管の先端から空気流とともに吸引して、反応管から抜き出す工程(b)とを含み、
    反応管内径Dと吸引管先端の外径d との比率が0.7≦d /D≦0.95、吸引管先端の傾斜角度θが0°≦θ≦70°であり、かつθ=0°の場合において吸引管内径d と固形物の粒径Sとの比率がd /S≧2.5であることを特徴とする、
    多管式反応器からの固形物抜き出し方法。
  2. 前記工程(b)のあとで、前記吸引管で抜き出した固形物を空気流から分離して回収する工程(c)をさらに含む
    請求項1に記載の多管式反応器からの固形物抜き出し方法。
  3. 前記工程(a)が、前記反応管の上端より前記吸引管を挿入することである、
    請求項1または2に記載の多管式反応器からの固形物抜き出し方法。
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