すなわち、本発明に基づく実施例におけるチップ抵抗器A1は、図1に示されるように、絶縁基板10と、抵抗体(「抵抗体層」としてもよい)(機能素子)12と、上面電極(「上面電極層」としてもよい)14と、保護膜(「保護層」としてもよい)20と、下面電極22と、側面電極24と、メッキ26と、を有している。
ここで、チップ抵抗器A1についてさらに詳しく説明すると、上記絶縁基板10は、含有率96%程度のアルミナにて形成された絶縁体である。この絶縁基板10は、直方体形状を呈しており、平面視すると、略長方形形状を呈している。この絶縁基板10は、上記チップ抵抗器A1の基礎部材、すなわち、基体として用いられている。
なお、この絶縁基板10にはレーザースクライブによりスリットが形成されるので、レーザースクライブして形成したスリットを分割することにより形成された切欠部が絶縁基板10の角部に形成されていることになる。すなわち、本発明においては、絶縁基板の上面側には、一次スリットと二次スリットとを形成し、下面側には、二次スリットのみを形成することから、図1に示す断面図においては、絶縁基板10の上面側の角部に切欠部が形成されていることになる。また、二次スリットは、上面側も下面側も形成されるので、図3におけるY1側の側面とY2側の側面においては、上面側と下面側に切欠部が形成されている。なお、絶縁基板の上面側においては、一次スリットの深さは、二次スリットの深さよりも深く形成するので、絶縁基板10の上面側の切欠部も一次スリット側の方が深くなっている。
また、抵抗体12は、図1に示すように、上記絶縁基板10上面に設けられている。つまり、抵抗体12は、長手方向(電極間方向、通電方向としてもよい))(X1−X2方向(図1参照))に帯状(長方形状としてもよい)に形成され、具体的には、絶縁基板10のX1側の端部からX2側の端部にまで帯状に形成されている。この抵抗体12は、具体的には、酸化ルテニウム系厚膜(例えば、酸化ルテニウム系メタルグレーズ厚膜)である。この抵抗体12は、上記チップ抵抗器A1として電気的特性を担う機能素子である。
また、上面電極14は、図1に示すように、主に、上記抵抗体12の上面の長手方向(X1−X2方向(図1参照))の両端部領域に一対形成されている。つまり、上面電極14は、抵抗体12の上面のX1側の端部から所定の長さに形成されているとともに、上面電極14は、抵抗体12の上面のX2側の端部から所定長さに形成されている。この上面電極14は、具体的には、銀系厚膜(銀パラジウム系メタルグレーズ厚膜)により形成されている。また、上面電極14のY1−Y2方向(このY1−Y2方向は、X1−X2方向及びZ1−Z2方向に直角な方向である。また、Z1−Z2方向は、X1−X2方向及びY1−Y2方向に直角な方向である。)の幅は、抵抗体12のY1−Y2方向の幅よりも若干大きく形成されていて、絶縁基板10のY1−Y2方向の幅よりも小さく形成されている。これにより、上面電極14は基本的には抵抗体12の上面に積層して形成されているが、上面電極14の一部(すなわち、幅方向(Y1−Y2方向)の両側)は絶縁基板10の上面に積層している。なお、この上面電極14のY1−Y2方向の幅を抵抗体12のY1−Y2方向の幅と同一としてもよい。
また、保護膜20は、図1に示すように、主に、抵抗体12と上面電極14の一部の上面を被覆するように配設されている。すなわち、この保護膜20の配設位置をさらに詳しく説明すると、図2に示すように、Y1−Y2方向には、該絶縁基板10の幅と略同一(同一としてもよい)に形成され、さらに、X1−X2方向には、抵抗体12の露出部分と、両端に形成されている上記一対の上面電極14の一部を被覆するように設けられている。つまり、保護膜20は、図2のハッチング(つまり、左上から右下方向へのハッチング)に示す領域に設けられている。この保護膜20は、樹脂(エポキシ、フェノール、シリコン等)により形成されている。なお、ほう珪酸鉛ガラスにより形成してもよい。
また、下面電極22は、図1に示すように、上記絶縁基板10の下面の長手方向(X1−X2方向(図1参照))の両端部領域に一対形成されている。つまり、下面電極22は、絶縁基板10の下面のX1側の端部から所定の長さに形成されているとともに、下面電極22は、絶縁基板10の下面のX2側の端部から所定の長さに形成されている。なお、下面電極22のY1−Y2方向の幅は、絶縁基板10のY1−Y2方向の幅と略同一(同一としてもよい)に形成されている。すなわち、下面電極22は、図3のハッチング(つまり、左上から右下方向へのハッチング)に示す領域に設けられている。この下面電極22は、金系薄膜により形成されている。なお、下面電極22を銀系厚膜(例えば、銀系メタルグレーズ厚膜)により形成してもよい。
また、側面電極24は、上面電極14の一部と、下面電極22の一部と、絶縁基板10の側面や下面の一部を被覆するように断面略コ字状に層状に形成されている。この側面電極24は、X1側の端部とX2側の端部にそれぞれ設けられている。この側面電極24は、薄膜により形成されている。この側面電極24の上面部分は、図2のハッチング(つまり、右上から左下方向へのハッチング)に示す領域に設けられており、また、側面電極24の下面部分は、図3のハッチング(つまり、右上から左下方向へのハッチング)に示す領域に設けられている。なお、この側面電極24は、具体的には、金属薄膜により形成されている。
また、メッキ26は、ニッケルメッキ28と、錫メッキ30とから構成されていて、X1側の端部とX2側の端部にそれぞれ設けられている。ニッケルメッキ28は、保護層20の一部と、上面電極14の一部と、側面電極24と、下面電極22の一部とを被覆するように形成されている。つまり、上面電極14と側面電極24と下面電極22の露出部分を被覆するように形成されている。このニッケルメッキ28は、電気メッキにより略均一の膜厚で配設されている。このニッケルメッキ28は、ニッケルにて形成されており、上面電極14等の内部電極のはんだ食われを防止するために形成されている。このニッケルメッキ28は、ニッケル以外にも銅メッキが用いられる場合もある。
また、錫メッキ30は、ニッケルメッキ28の上面を被覆するように略均一の膜厚で配設されている。この錫メッキ30は、上記チップ抵抗器A1の配線基板へのはんだ付けを良好に行うために形成されている。なお、この錫メッキ30は、錫メッキ以外に、はんだが用いられる場合もある。
なお、上記上面電極14と、下面電極22と、側面電極24と、メッキ26とで電極部40が形成されるが、この電極部40において絶縁基板10の下面側に位置する部分が下面側電極部42となる。
なお、上記の構成において、保護膜20と抵抗体12の間にカバーコートを設けるようにしてもよい。つまり、抵抗体12の露出部分を被覆するようにカバーコートを設けてもよい。このカバーコートは、抵抗体へのトリミング時の熱衝撃を和らげてトリミング溝先端のマイクロクラックを防止するために形成され、ガラス、具体的には、ホウ珪酸鉛ガラス系厚膜により形成される。
なお、図2は、チップ抵抗器A1を上面側から視認した場合の各部の配置を示す図であり、抵抗体12、上面電極14、保護膜20、側面電極24について平面視した際に、最外郭の輪郭を図示したものである。なお、実際には隠れて見えない部分を含めて、各部とも同様に表現している。同様に、図3は、チップ抵抗器A1を下面側から視認した場合の各部の配置を示す図であり、下面電極22、側面電極24について平面視した際に、最外郭の輪郭を図示したものである。なお、実際には隠れて見えない部分を含めて、各部とも同様に表現している。
上記構成のチップ抵抗器A1の製造方法について、図4〜図10等を使用して説明する。まず、一次スリットや二次スリットが設けられていない無垢のアルミナ基板(このアルミナ基板は、複数のチップ抵抗器の絶縁基板の大きさを少なくとも有する大判のものである)(基板素体)5を用意し、このアルミナ基板5の下面(裏面、底面としてもよい)に下面電極G22を形成する(図4のS11、図5のW1参照、下面電極形成工程)。つまり、下面電極用の金レジネートペーストを印刷し、乾燥・焼成(840〜860℃(好適には850℃)による焼成)する。なお、図5に示すように、この下面電極の形成に際しては、隣接するチップ抵抗器について同時に下面電極G22を形成する。つまり、X方向(このX方向は二次スリットの方向である)に隣接する2つのチップ抵抗器に対応するアルミナ基板の領域について、境界位置(つまり、一次スリット)となる位置を跨ぐように1つの印刷領域で下面電極を形成する。さらには、Y方向(このY方向は一次スリットの方向であり、X方向とは直角の方向である)には、帯状に連続して下面電極を形成する。つまり、Y方向には複数のチップ抵抗器分まとめて一連の帯状に下面電極を形成し、さらに、X方向に隣接する2つの下面電極については、その2つの下面電極をまとめて形成する。この下面電極G22は、複数分の下面電極22であるといえる。なお、図5のW1は、アルミナ基板を下面側から見た状態を示す図である。
次に、アルミナ基板5の下面にレーザースクライブによって二次スリットを形成する(図4のS12、図5のW2参照、下面側スリット形成工程)。つまり、複数の二次スリットをX方向に溝状に形成する。この場合、アルミナ基板5の下面に溝状のスリットを形成するので、二次スリットを形成する際には、当然下面電極G22も切断されることになる。なお、このステップS12においては、二次スリットのみ形成し、一次スリットは形成しない。なお、アルミナ基板5の下面に形成する二次スリットは通常の深さとする。なお、図5のW2における二点鎖線は、アルミナ基板5の表側の面に形成される一次スリットJ1に対応する位置を仮想的に示すものである。
次に、アルミナ基板5の表側の面(すなわち、上面)にレーザースクライブによって一次スリットJ1を形成する(図4のS13、図6のW3参照、上面側一次スリット形成工程)。つまり、複数の一次スリットJ1をY方向に溝状に形成する。この一次スリットJ1は、当然、複数のチップ抵抗器に分割した際にX方向に隣接するチップ抵抗器との境界位置に形成する。なお、このアルミナ基板5の表側に形成する一次スリットJ1の深さについては、通常の深さよりも深く形成し、後に形成される二次スリットJ2よりも深く形成する。つまり、アルミナ基板5の下面には、一次スリットを形成しないため、一次スリットに沿ってアルミナ基板5を分割しやすくするため、二次スリットJ2よりも一次スリットJ1を深く形成する。
次に、該アルミナ基板の表側の面(すなわち、上面)に抵抗体を形成するが、そのためにまず、アルミナ基板の上面に抵抗体ペーストを印刷して乾燥させる(図4のS14、図6のW4参照、抵抗体ペースト塗布・乾燥工程)。つまり、アルミナ基板においてX方向(上面電極間方向)に抵抗体ペーストG12’’を帯状に連続して印刷して形成する。つまり、アルミナ基板において、最終的に個々のチップ抵抗器となった場合のX方向に連なる一連の絶縁基板10の領域(これを「集合領域」とする。この集合領域は、基板素体における個々のチップ抵抗器形成領域が直線状に複数連なる領域であるともいえる)において、該集合領域の一方の端部から他方の端部にまで1本の帯状に抵抗体ペーストG12’’を印刷する。つまり、X方向に複数のチップ抵抗器分まとめて一連の帯状に抵抗体ペーストを印刷する。また、Y方向には、抵抗体ペーストは、絶縁基板10のY方向の幅よりも小さい幅に印刷する。この場合の抵抗体ペーストは、酸化ルテニウム系ペースト(例えば、酸化ルテニウム系メタルグレーズペースト)であり、これにより、抵抗体を厚膜に形成する。抵抗体ペーストの印刷に際しては、例えば、スクリーン印刷により形成する。
印刷された抵抗体ペーストの長辺(すなわち、帯状の長手方向に沿った両側の辺部)に沿った端部は、実際には、図6のW4に示すように、平面視において直線的ではなく凹凸が形成された状態となる。また、後述するように、形成された抵抗体ペーストの端部は、UVレーザーにより除去されるので、なるべく抵抗体の厚み(すなわち、Y方向の厚み)を均一にするために、抵抗体の形成幅(Y方向の幅)よりも広く抵抗体ペーストを形成するのが好ましい。すなわち、抵抗体の形成領域を含む該形成領域よりもY方向に広い領域に抵抗体ペーストを印刷しておくことにより、UVレーザーで端部を除去した際には、抵抗体ペーストの長辺に沿った端部の厚みを確保することができる。
次に、抵抗体ペーストの一部をUVレーザーで除去する(図4のS15、図6のW5参照、抵抗体ペースト除去工程)。すなわち、抵抗体ペーストの長辺(すなわち、帯状の長手方向に沿った両側の辺部)に沿って抵抗体ペーストG12’’の一部を削除して、抵抗体ペーストの長辺がX方向に直線状になるようにし、抵抗体ペーストの形状、大きさを所望の形状、大きさとする。UVレーザーの照射に当たっては、UVレーザーをX方向に抵抗体ペーストの長辺に沿って照射していき、抵抗体ペーストをUVレーザーにより加熱蒸発させて抵抗体ペーストの余分な部分を除去する。このようにして、余分な領域が除去された抵抗体ペーストG12’を形成する。なお、このUVレーザーによる除去に際しては、抵抗体ペーストは焼成前であるので、容易に除去することが可能となる。
次に、抵抗体ペーストを焼成する(図4のS16、図7のW6参照、抵抗体ペースト焼成工程)。その場合の焼成温度は、840〜860℃(好適には850℃)とする。このようにして、X方向に帯状につながった状態の抵抗体G12を形成する。
なお、図6〜図9においては、抵抗体ペーストG12’’、G12’、抵抗体G12、上面電極ペーストG14’’、G14’、上面電極G14、保護膜G20については見やすくするためにハッチングを付して示してある。また、図6〜図8は、アルミナ基板を上面側から見た状態を示す図である。
次に、上面電極を形成するが、そのためにまず、上面電極ペーストを印刷して乾燥させる(図4のS17、図7のW7参照、上面電極ペースト塗布・乾燥工程)。つまり、抵抗体G12の形成方向とは直角の方向(つまり、Y方向。このY方向が上面電極形成方向となる)に帯状に上面電極ペーストG14’’を印刷する。この上面電極ペーストG14’’は、複数の上面電極14分の大きさであり、隣接するチップ抵抗器について同時に上面電極ペーストを印刷する。つまり、最終的にチップ抵抗器になった場合にX方向に隣接する2つのチップ抵抗器に対応するアルミナ基板5の領域について、境界位置(つまり、一次スリット)を跨ぐように1つの印刷領域で上面電極ペーストを印刷する。さらには、Y方向には、帯状に連続して上面電極ペーストを印刷する。つまり、Y方向には複数のチップ抵抗器分まとめて一連の帯状に上面電極ペーストを形成し、さらに、X方向に隣接する2つの上面電極については、その2つの上面電極をまとめて印刷する。この場合の上面電極ペーストは、銀系ペースト(例えば、銀系メタルグレーズペースト)であり、これにより、上面電極を厚膜に形成する。上面電極ペーストの印刷に際しては、例えば、スクリーン印刷により形成する。
なお、印刷された上面電極ペーストの長辺(すなわち、帯状の長手方向に沿った両側の辺部)に沿った端部は、実際には、上記抵抗体ペーストの場合と同様に、平面視において直線的ではなく凹凸が形成された状態となるが、図7のW6においては省略して示している。また、上面電極ペーストの長辺に沿った端部をUVレーザーで除去しようとすると、抵抗体の上面にもUVレーザーを照射しなけれならず、この上面電極の場合には、上面電極ペーストの長辺に沿った端部における抵抗体の上面に積層した部分は、UVレーザーを照射しないのが好ましいので、上面電極ペーストは、平面視において所望の形状、大きさに形成しておくのが好ましい。
次に、上面電極ペーストの一部をUVレーザーで除去する(図4のS18、図7のW8参照、上面電極ペースト除去工程)。すなわち、上面電極ペーストにおける抵抗体G12に積層していない領域の一部の領域で、後に形成される二次スリットを跨ぐ領域を矩形状に除去して、各上面電極ペーストG14’ごとに分割された構成とする。つまり、各抵抗体G12ごとに独立した上面電極ペーストG14’を形成する。これにより、上面電極ペーストG14’は、チップ抵抗器A1における上面電極14の2つ分の領域を有し、Y方向には、抵抗体G12の幅よりも若干大きく形成する。
なお、この上面電極ペーストG14’における抵抗体G12に接した両側の辺部については、抵抗体G12に積層していない部分はUVレーザーにより余分な部分を除去してもよいが、抵抗体G12に積層した部分は、抵抗体G12にUVレーザーを照射することになるので、UVレーザーによる余分な領域の除去を行わない方が好ましい。なお、抵抗体G12の電気的特性に影響を与えない場合(例えば、UVレーザーのパワーを上面電極ペーストは除去するが、抵抗体G12には影響を与えない値とする)には、上面電極ペーストG14における抵抗体G12に接した両側の辺部について、抵抗体G12に積層した部分も含めて、余分な領域を除去するようにしてもよい。
次に、上面電極ペーストを焼成する(図4のS19、図8のW9参照、上面電極ペースト焼成工程)。その場合の焼成温度は、840〜860℃(好適には850℃)とする。このようにして、上面電極G14を形成する。
次に、アルミナ基板5の表側の面(すなわち、上面)にレーザースクライブによって二次スリットJ2を形成する(図4のS20、図8のW10参照、上面側二次スリット形成工程)。つまり、複数の二次スリットJ2をX方向に溝状に形成する。この二次スリットJ2は、当然、複数のチップ抵抗器に分割した際にY方向に隣接するチップ抵抗器との境界位置に形成し、アルミナ基板5の下面に形成された二次スリットJ2に対応する位置に形成されることになる。また、アルミナ基板5の上面に形成する二次スリットJ2の深さは、一次スリットJ1の深さよりも浅くする。
なお、このステップS20においては、抵抗体G12の形成後に二次スリットJ2を形成するので、アルミナ基板5の上面の二次スリットJ2に抵抗体の素材が残存するのを防止することができる。また、上面電極G14の形成後に二次スリットJ2を形成するので、アルミナ基板5の上面の二次スリットJ2に上面電極の素材が残存するのを防止することができる。つまり、二次スリットJ2の形成後に抵抗体G12及び/又は上面電極G14を形成すると、抵抗体ペースト及び/又は上面電極ペーストが二次スリットJ2内に進入し二次スリットJ2内に残存する可能性があり、そうすると、メッキ形成の際にこの抵抗体の素材や上面電極の素材にメッキが形成されてしまい、チップ抵抗器A1の電気的特性に悪影響を及ぼす可能性があるが、本実施例の場合には、そのようなおそれがない。
なお、二次スリットJ2の形成工程は、抵抗体と上面電極の形成の後で二次分割(S25)の前であればどの時期でもよい。
一方、二次スリットJ2をステップS13において形成して一次スリットJ1と二次スリットJ2とを同時に形成するようにし、ステップS15において、UVレーザーを二次スリットJ2内にも照射して、二次スリットJ2内に抵抗体ペーストが進入しても、除去するようにし、また、同様に、ステップS18において、UVレーザーを二次スリットJ2内にも照射して、二次スリットJ2内に上面電極ペーストが進入しても、除去するようにてもよい。なお、その際、上面電極ペーストの場合には、上面電極ペーストの一部を除去する際に、二次スリットに跨っている領域を除去するので、二次スリット内の上面電極ペーストも除去されることになる。
また、上記のように、二次スリットJ2を抵抗体G12と上面電極G14の形成後に形成するものとし、一次スリットJ1を二次スリットJ2と同時に形成するようにしてもよい。
次に、抵抗体G12をトリミングして抵抗値を調整する(図4のS21、図9のW11参照、抵抗値調整工程)。つまり、レーザートリミングにより抵抗体G12にトリミング溝Tを形成する。
次に、抵抗体G12の露出部分を覆うように保護膜G20を形成する(図4のS22、図9のW12参照、保護膜形成工程)。つまり、Y方向に帯状に樹脂ペーストを印刷し、乾燥・硬化(190〜210℃(好適には200℃)による硬化)させる。つまり、Y方向には複数のチップ抵抗器分まとめて一連の帯状に保護膜を形成する。なお、保護膜G20は、X方向には、抵抗体G12の露出部分の幅よりも若干大きくする。この保護膜G20は、保護膜20の複数分であるといえる。
なお、カバーコートを形成する場合には、保護膜G20を形成する前にカバーコートを形成する。つまり、Y方向に帯状にホウ珪酸鉛ガラス系のガラスペーストを印刷し、乾燥・焼成(590〜610℃(好適には600℃)による焼成)する。つまり、Y方向には複数のチップ抵抗器分まとめて一連の帯状にカバーコートを形成する。なお、X方向には、抵抗体G12の露出部分の幅よりも若干大きくする。このように形成するカバーコートは、各チップ抵抗器におけるカバーコートの複数分であるといえる。
次に、一次スリットJ1に沿って一次分割する(図4のS23参照、一次分割工程)。この分割に際しては、例えば、下面側を基点として、アルミナ基板を折り曲げるようにして分割する。つまり、1つのチップ抵抗器分のアルミナ基板の部分を直線状に配列してなる短冊状基板を隣接する短冊状基板に対して折り曲げるように上面側から下方に折曲させて分割する。
その後、該短冊状基板に対して、側面電極を形成する(図4のS24参照、側面電極形成工程)。つまり、スパッタ法により金属薄膜を形成する。なお、側面電極用ペーストを印刷し、乾燥・焼成(焼成ではなく硬化としてもよい)し、厚膜に形成してもよい。
その後、二次スリットJ2に沿って二次分割する(図4のS25参照)。そして、メッキを形成してチップ抵抗器とする(図4のS26参照)。
なお、側面電極の形成に際して、スパッタ法により形成する場合には、具体的には以下のような方法を用いる。すなわち、レジストを形成した後、露光、現像を行うことにより、フォトリソ法によりマスクを形成し、スパッタ法により金属薄膜を形成する。
ここで、ポジタイプのレジストを用いる場合を図10等を使用して説明すると、ステップS22において保護膜G20を形成したら、アルミナ基板5の表側の全面にポジタイプのレジスト70を塗布し、塗布したレジスト70を乾燥させ、レジスト70を硬化させる。その後、透明なガラス82と薄膜84とからなるフォトマスク80により露光を行う。この薄膜84は、Y方向(つまり、X方向とZ方向に直角な方向)に帯状(具体的には、細長長方形状)に複数平行に設けられ、各チップ抵抗器において側面電極を形成すべき領域以外の領域の上方に設けられる。図10のW13に示すように、フォトマスク80を上記の位置に配置したら、露光を行う。露光を行ったら、次に、現像を行う。つまり、レジスト70において露光により光が照射された部分を薬品で溶解して除去する。すると、図10のW14に示すように、フォトマスク80の薄膜84で被覆された領域以外の領域のレジストが除去される。
以上のように、ポジタイプのレジストを使用してフォトリソ法によりマスクを形成する。つまり、図10のW14に示すように、現像後に残ったレジスト70によりマスクが形成される。
また、ネガタイプのレジストを用いる場合を図11等を使用して説明すると、ステップS22において保護膜G20を形成したら、アルミナ基板5の表側の全面にネガタイプのレジスト50を塗布し、塗布したレジストを乾燥した後に、露光を行う。つまり、透明なガラス62と薄膜64とからなるフォトマスク60を使用して露光を行う。この薄膜64は、Y方向に帯状(具体的には、細長長方形状)に複数平行に設けられ、各チップ抵抗器において側面電極を形成すべき領域の上方に設けられる。図11のW15に示すように、フォトマスク60を上記の位置に配置したら、露光を行う。露光を行うことにより、レジスト50において光が照射された部分のみが硬化する。次に、現像を行う。つまり、レジスト50において露光により光が照射されず未硬化の部分を薬品で溶解して除去する。すると、図11のW16に示すように、フォトマスク60の薄膜64で被覆された領域のレジストが除去される。
以上のように、ネガタイプのレジストを使用してフォトリソ法によりマスクを形成する。つまり、図11のW16に示すように、現像後に残ったレジスト50によりマスクが形成される。
なお、上記では、アルミナ基板の表面の全面にレジストを塗布するとしたが、これに限らず、スクリーン印刷によりスリット形成領域を除いた領域に限定してレジスト(ポジタイプのレジスト又はネガタイプのレジスト)を塗布してもよい。これによれば、スリット内部にレジストが残ることがなく、側面電極形成不良のおそれがない。
上記のように、ポジタイプのレジスト又はネガタイプのレジストを用いてマスクを形成したら、一次スリットJ1に沿って一次分割する(図4のS23)。その後、一次分割した短冊状基板を積層して、スパッタ法により金属薄膜を形成する。この金属薄膜の形成は、側面電極の形成のために行われる。そして、メッキを形成する前(二次分割の前でも後でもよい)にレジストを薬品により剥離することにより、残った金属薄膜が側面電極となる。
上記のチップ抵抗器の製造方法によれば、抵抗体や上面電極の形成に際して、抵抗体ペーストや上面電極ペーストを印刷、乾燥した後に余分な領域をUVレーザーにより除去するので、抵抗体や上面電極を所望の形状や大きさに形成することができ、特に、抵抗体ペーストについて長辺に沿って余分な領域を除去するので、抵抗体ペーストが二次スリットにまで及ぶことがなく、トリミング等において支障となることがない。また、抵抗体ペーストや上面電極ペーストの除去に際して、UVレーザーを用いるので、絶縁基板にクラックが入る等の不都合がない。さらに、抵抗体ペーストや上面電極ペーストの焼成前にUVレーザーにより除去するので、除去が容易となる。
また、抵抗体ペーストをステップS14において帯状に形成して、その後、ステップS15においてUVレーザーにより長辺に沿って除去するので、耐サージ特性を良好とすることができる。すなわち、図12に示すように、抵抗体12は、抵抗体G12を長手方向に長く帯状に形成することにより形成するので、長手方向には図19に示すような盛り上がりがなく、また、短手方向においては図12に示すように盛り上がりがあるものの、ステップS15においてUVレーザーにより長辺に沿って余分な領域を除去するので、抵抗体12の厚みを短手方向にも一定以上の厚みを確保できることから、全体に抵抗体の厚みを確保でき、よって、抵抗体12の耐サージ特性を良好とすることができる。
また、抵抗体12の上面や上面電極14の上面を従来に比べて平面状に形成することができるので、抵抗体12や上面電極14の上側に形成される部材を良好に形成することが可能となる。つまり、抵抗体や上面電極を従来のように個別に形成した場合には、抵抗体や上面電極の上面が平面状に形成されないので、抵抗体や上面電極の上側に形成される部材が良好に形成されず、例えば、保護膜の電極間方向の端部の辺部が直線状に形成されず、場合によっては、抵抗体を良好に被覆できないおそれもあるが、本実施例の場合には、上記のように長手方向には盛り上がりがなく、また、短手方向にもUVレーザーにより除去することにより盛り上がりを少なくできるので、抵抗体や上面電極の上面をより平面状に形成することが可能となる。
なお、上記の実施例1においては、抵抗体を形成する工程(S14〜S16)の後に上面電極を形成する工程(S17〜S19)を行なうものとしたが、上面電極を形成する工程(S17〜S19)を抵抗体を形成する工程(S14〜S16)の前に行うようにして、上面電極G14の上面に抵抗体G12が積層するようにしてもよい。このように製造すると、完成状態においては、上面電極14の上面に抵抗体12が積層することになる。この場合においては、上面電極ペーストは抵抗体の上に積層しないので、上面電極G14を所望の形状、大きさに正確に形成することができ、また、抵抗体G12についても、少なくとも上面電極G14に積層しない領域の長辺に沿った余分な領域を除去できるので、抵抗体G12についても十分所望の形状、大きさに形成することが可能となる。
なお、上記実施例1においては、抵抗体の形成に際して、抵抗体ペーストを複数のチップ抵抗器分まとめてX方向に帯状に印刷、乾燥し、その後、帯状の抵抗体ペーストの長辺に沿ってUVレーザーで余分な領域を除去するものとして説明したが、これには限られず、図19に示す従来のように、各チップ抵抗器ごとに個別に抵抗体ペーストを印刷するようにしてもよい。その場合には、方形状の抵抗体ペーストの各辺に沿ってUVレーザーで余分な領域を除去して直線状に形成する。つまり、この場合には、結果として、図15のW5に示す形状に抵抗体を形成することになる。
また、図6のW4に示すように、抵抗体ペーストを複数のチップ抵抗器分まとめてX方向に帯状に印刷、乾燥し、その後、UVレーザーで余分な領域を除去して、図15のW4に示す形状に形成してもよい。
また、上記実施例1においては、上面電極の形成に際して、上面電極を複数のチップ抵抗器分まとめてY方向に帯状に印刷、乾燥し、UVレーザーにより余分な領域を除去するものとして説明したが、これに限られず、従来と同様に、X方向に隣接する2つの上面電極についてまとめて上面電極ペーストを印刷、乾燥し、その後、UVレーザーにより余分な領域を除去するものとしてもよい。
なお、上記の説明においては、抵抗体ペーストや上面電極ペーストを印刷するものとして説明したが、印刷以外の塗布を行なうものとしてもよい。すなわち、本出願において、「塗布」の語は「印刷」を含む上位概念として使用している。
次に、実施例2について説明する。実施例2におけるチップ抵抗器A2は、上記実施例1のチップ抵抗器A1と略同様の構成であるが、抵抗体が絶縁基板の端部にまで形成されていない点が異なる。
すなわち、チップ抵抗器A2は、図13に示すように構成され、抵抗体12は、長方形状に形成されているが、X1−X2方向の端部は、絶縁基板10の端部にまで形成されておらず、抵抗体12の端部と絶縁基板10の端部との間には、間隔αが設けられている。これにより、上面電極14の絶縁基板10の端部側の領域は、抵抗体12には積層しておらず、絶縁基板10の上面に接している。
上記以外の構成は、実施例1のチップ抵抗器A1と同様であるので、詳しい説明を省略する。図2、図3に示す各部の配置についても、チップ抵抗器A2にも当てはまるが、図2については、抵抗体12の端部は絶縁基板10の端部にまで形成されていない点が異なる。
上記構成のチップ抵抗器A2の製造方法について、図14〜図17等を使用して説明する。
まず、一次スリットや二次スリットが設けられていない無垢のアルミナ基板(このアルミナ基板は、複数のチップ抵抗器の絶縁基板の大きさを少なくとも有する大判のものである)(基板素体)5を用意し、このアルミナ基板5の下面(裏面、底面としてもよい)に下面電極G22を形成する(図14のS31、図5のW1参照、下面電極形成工程)。このステップS31の工程は、実施例1におけるステップS11と同様であるので、詳しい説明を省略する。
次に、アルミナ基板5の下面にレーザースクライブによって二次スリットを形成する(図14のS32、図5のW2参照、下面側スリット形成工程)。このステップS32の工程は、実施例1におけるステップS12と同様であるので、詳しい説明を省略する。なお、このステップS32においても、二次スリットのみ形成し、一次スリットは形成しない。
次に、該アルミナ基板の表側の面(すなわち、上面)に抵抗体を形成するが、そのためにまず、アルミナ基板5の表側の面(すなわち、上面)の全面に抵抗体ペーストを印刷して乾燥させる(図14のS33、図15のW3参照、抵抗体ペースト塗布・乾燥工程)。すなわち、アルミナ基板5の上面の全面に抵抗体ペーストG12’を印刷する。なお、少なくとも、アルミナ基板5の上面におけるチップ抵抗器A2の絶縁基板10となる領域に全体に亘って印刷すればよく、チップ抵抗器A2の絶縁基板10とならない領域には特に印刷する必要はない。抵抗体ペーストは、上記実施例1と同様に、酸化ルテニウム系ペースト(例えば、酸化ルテニウム系メタルグレーズペースト)であり、これにより、抵抗体を厚膜に形成する。抵抗体ペーストの印刷に際しては、例えば、スクリーン印刷により形成する。なお、アルミナ基板5の上面の全面に抵抗体ペーストを印刷するものとしたが、アルミナ基板5の上面の全面に抵抗体ペーストを塗布(すなわち、印刷以外の塗布)するものとしてもよい。
次に、抵抗体ペーストの一部をUVレーザーで除去する(図14のS34、図15のW4参照、抵抗体ペースト除去工程)。すなわち、抵抗体ペーストG12’にUVレーザーを照射して、格子状に抵抗体ペーストを除去して、各チップ抵抗器ごとの抵抗体ペースト12’を形成する。つまり、後に形成される一次スリットと二次スリットとを跨ぐ領域に帯状に抵抗体ペーストを除去して、格子状に抵抗体ペーストを除去する。この抵抗体ペースト12’は、抵抗体12の形状、大きさとと同じであり、焼成することにより抵抗体12となるものである。
次に、抵抗体ペーストを焼成する(図14のS35、図15のW5参照、抵抗体ペースト焼成工程)。その場合の焼成温度は、840〜860℃(好適には850℃)とする。このようにして、各チップ抵抗器ごとに個別の抵抗体12が形成される。
なお、図15〜図17においては、抵抗体ペーストG12’、12’、抵抗体12、上面電極ペーストG14’’、G14’、上面電極G14については見やすくするためにハッチングを付して示してある。また、図15〜図17は、アルミナ基板を上面側から見た状態を示す図である。
次に、アルミナ基板5の表側の面(すなわち、上面)にレーザースクライブによって一次スリットJ1を形成する(図14のS36、図16のW6参照、上面側一次スリット形成工程)。つまり、複数の一次スリットJ1をY方向に溝状に形成する。この一次スリットJ1は、当然、複数のチップ抵抗器に分割した際にX方向に隣接するチップ抵抗器との境界位置に形成する。また、一次スリットJ1は、X方向に隣接する抵抗体12の間の位置にY方向に形成する。なお、このアルミナ基板5の表側に形成する一次スリットJ1の深さについては、通常の深さよりも深く形成し、後に形成される二次スリットJ2よりも深く形成する。つまり、アルミナ基板5の下面には、一次スリットを形成しないため、一次スリットに沿ってアルミナ基板5を分割しやすくするため、二次スリットJ2よりも一次スリットJ1を深く形成する。
なお、実施例2においては、上記のように、抵抗体12を形成した後に、アルミナ基板5の上面に一次スリットJ1を形成するが、これは、抵抗体ペーストを全面に塗布するため、抵抗体ペーストの塗布前に一次スリットJ1を形成しておくと、一次スリットJ1に抵抗体ペーストが残存する可能性があり、特に、Y方向に隣接するチップ抵抗器との境界位置に抵抗体ペーストが残存すると、Y方向に隣接する抵抗体と導通してしまい、トリミングを良好に行うことができないからである。
ただし、UVレーザーにより一次スリットJ1内の抵抗体ペーストを十分除去できる場合には、抵抗体12を形成する前にアルミナ基板5の上面側に一次スリットJ1を形成してもよい。
次に、上面電極を形成するが、そのためにまず、上面電極ペーストを印刷して乾燥させる(図14のS37、図16のW7参照、上面電極ペースト塗布・乾燥工程)。つまり、抵抗体12の形成方向(X方向)とは直角の方向(つまり、Y方向。このY方向が上面電極形成方向となる)に帯状に上面電極ペーストG14’’を印刷する。このステップS37の工程は、実施例1におけるステップS17と同様であるので、詳しい説明を省略する。なお、上面電極14と抵抗体12とが接続されるように、この上面電極ペーストG14’’の一部が、抵抗体12の上面に積層して形成されることになる。
次に、上面電極ペーストの一部をUVレーザーで除去する(図14のS38、図16のW8参照、上面電極ペースト除去工程)。すなわち、上面電極ペーストにおける抵抗体12に積層していない領域の一部の領域で、後に形成される二次スリットを跨ぐ領域を矩形状に除去して、各上面電極ペーストG14’ごとに分割された構成とする。これにより、上面電極ペーストG14’は、チップ抵抗器A2における上面電極14の2つ分の領域を有し、Y方向には、抵抗体12の幅よりも若干大きく形成する。
なお、この上面電極ペーストG14’における抵抗体12に接した両側の辺部については、抵抗体12に積層していない部分はUVレーザーにより余分な部分を除去してもよいが、抵抗体12に積層した部分は、抵抗体12にUVレーザーを照射することになるので、UVレーザーによる余分な領域の除去を行わない方が好ましい。なお、抵抗体12の電気的特性に影響を与えない場合(例えば、UVレーザーのパワーを上面電極ペーストは除去するが、抵抗体12には影響を与えない値とする)には、上面電極ペーストG14’における抵抗体12に接した両側の辺部について、抵抗体12に積層した部分も含めて、余分な領域を除去するようにしてもよい。
次に、上面電極ペーストを焼成する(図14のS39、図17のW9参照、上面電極ペースト焼成工程)。その場合の焼成温度は、840〜860℃(好適には850℃)とする。このようにして、上面電極G14を形成する。
次に、アルミナ基板5の表側の面(すなわち、上面)にレーザースクライブによって二次スリットJ2を形成する(図14のS40、図17のW10参照、上面側二次スリット形成工程)。つまり、複数の二次スリットJ2をX方向に溝状に形成する。この二次スリットJ2は、当然、複数のチップ抵抗器に分割した際にY方向に隣接するチップ抵抗器との境界位置に形成し、アルミナ基板5の下面に形成された二次スリットJ2に対応する位置に形成されることになる。また、アルミナ基板5の上面に形成する二次スリットJ2の深さは、一次スリットJ1の深さよりも浅くする。
なお、このステップS40においては、抵抗体12の形成後に二次スリットJ2を形成するので、アルミナ基板5の上面の二次スリットJ2に抵抗体の素材が残存するのを防止することができる。また、上面電極G14の形成後に二次スリットJ2を形成するので、アルミナ基板5の上面の二次スリットJ2に上面電極の素材が残存するのを防止することができる。つまり、二次スリットJ2の形成後に抵抗体12及び/又は上面電極G14を形成すると、抵抗体ペースト及び/又は上面電極ペーストが二次スリットJ2内に進入し二次スリットJ2内に残存する可能性があり、そうすると、メッキ形成の際にこの抵抗体の素材や上面電極の素材にメッキが形成されてしまい、チップ抵抗器A2の電気的特性に悪影響を及ぼす可能性があるが、本実施例の場合には、そのようなおそれがない。
なお、二次スリットJ2の形成工程は、抵抗体と上面電極の形成の後で二次分割(S45)の前であればどの時期でもよい。
一方、二次スリットJ2をステップS36において形成して一次スリットJ1と二次スリットJ2とを同時に形成するようにし、ステップS34において、UVレーザーを二次スリットJ2内にも照射して、二次スリットJ2内に抵抗体ペーストが進入しても、除去するようにし、また、同様に、ステップS38において、UVレーザーを二次スリットJ2内にも照射して、二次スリットJ2内に上面電極ペーストが進入しても、除去するようにしてもよい。なお、その際、上面電極ペーストの場合には、上面電極ペーストの一部を除去する際に、二次スリットに跨っている領域を除去するので、二次スリット内の上面電極ペーストも除去されることになる。
また、上記のように、二次スリットJ2を抵抗体12と上面電極G14の形成後に形成するものとし、一次スリットJ1を二次スリットJ2と同時に形成するようにしてもよい。
次に、抵抗体12をトリミングして抵抗値を調整する(図14のS41参照、抵抗値調整工程)。つまり、上記実施例1と同様に、レーザートリミングにより抵抗体12にトリミング溝を形成する。
次に、抵抗体12の露出部分を覆うように保護膜を形成する(図14のS42参照、保護膜形成工程)。つまり、上記実施例1と同様に、Y方向に帯状に樹脂ペーストを印刷し、乾燥・硬化(190〜210℃(好適には200℃)による硬化)させる。つまり、Y方向には複数のチップ抵抗器分まとめて一連の帯状に保護膜を形成する。なお、形成される保護膜は、X方向には、抵抗体の露出部分の幅よりも若干大きくする。形成される保護膜は、保護膜20の複数分であるといえる。
なお、カバーコートを形成する場合には、ステップS42の前にカバーコートを形成する。カバーコート形成の工程は、上記実施例1と同様であるので詳しい説明を省略する。
次に、一次スリットJ1に沿って一次分割する(図14のS43参照、一次分割工程)。この一次分割の構成は、上記実施例1のステップS23と同様であるので詳しい説明を省略する。
その後、該短冊状基板に対して、側面電極を形成する(図14のS44参照、側面電極形成工程)。つまり、スパッタ法により金属薄膜を形成する。なお、側面電極用ペーストを印刷し、乾燥・焼成(焼成ではなく硬化としてもよい)し、厚膜に形成してもよい。
その後、二次スリットJ2に沿って二次分割する(図14のS45参照)。そして、メッキを形成してチップ抵抗器とする(図14のS46参照)。これらステップS44〜S46の工程は、実施例1におけるステップS24〜S26と同様である。
なお、側面電極の形成に際して、スパッタ法により形成する場合の方法は、上記実施例1における場合と同様であるので詳しい説明を省略する。つまり、ポジタイプ又はネガタイプのレジストを使用してフォトリソ法によりマスクを形成した後に、スパッタ法により金属薄膜を形成し、その後、残ったレジストを除去する。
上記のチップ抵抗器の製造方法によれば、抵抗体や上面電極の形成に際して、抵抗体ペーストや上面電極ペーストを印刷、乾燥した後に余分な領域をUVレーザーにより除去するので、抵抗体を所望の形状や大きさに形成することができる。また、上面電極についても、上面電極ペーストを印刷、乾燥した後に余分な領域をUVレーザーにより除去するので、上面電極を所望の形状や大きさに形成することができる。また、抵抗体ペーストや上面電極ペーストの除去に際して、UVレーザーを用いるので、絶縁基板にクラックが入る等の不都合がない。さらに、抵抗体ペーストや上面電極ペーストの焼成前にUVレーザーにより除去するので、除去が容易となる。
また、抵抗体ペーストをステップS33において全面に塗布して、その後、ステップS34においてUVレーザーにより余分な領域を除去するので、耐サージ特性を良好とすることができる。すなわち、図18に示すように、アルミナ基板5の上面全面に抵抗体ペーストを塗布した後に、UVレーザーによって余分な領域を除去して各抵抗体12についての抵抗体ペースト12’を形成するので、抵抗体の厚みを全体に亘って均一にすることができ、よって、抵抗体12の全ての領域について厚みを確保できるので、抵抗体12の耐サージ特性を良好とすることができる。
また、抵抗体12の上面や上面電極14の上面を従来に比べて平面状に形成することができるので、抵抗体12や上面電極14の上側に形成される部材を良好に形成することが可能となる。特に、抵抗体12については、アルミナ基板の上面の全面に抵抗体ペーストを塗布した後にUVレーザーにより余分な領域を除去して形成するので、抵抗体12の上面を平面状に形成することができ、これにより、抵抗体12の上側に形成される部材を良好に形成することが可能となる。
なお、上記の実施例2においては、抵抗体を形成する工程(S33〜S35)の後に上面電極を形成する工程(S37〜S39)を行なうものとしたが、上面電極を形成する工程を抵抗体を形成する工程よりも前に行うものとし、上面電極の形成は、上面電極ペーストをアルミナ基板5の上面の全面に印刷(塗布としてもよい)、乾燥した後に、UVレーザーにより余分な領域を除去して上面電極G14’を形成し、その後、上面電極G14’を焼成することにより上面電極G14を形成し、その後、抵抗体ペーストを実施例1のように帯状に印刷、乾燥させ、その後に、抵抗体ペーストの長辺に沿った余分な領域をUVレーザーにより除去し、その後に、抵抗体ペーストを焼成して抵抗体を形成するようにしてもよい。この場合には、一次スリットと二次スリットの形成時期は、抵抗体を形成した後とするのが好ましい。
なお、上記の実施例2においては、アルミナ基板5の上面の全面に抵抗体ペーストを印刷、乾燥し(図15のW3)、その後、図15のW4に示すように、各チップ抵抗器ごとに抵抗体ペーストを設けるものとして説明したが、アルミナ基板5の上面の全面に抵抗体ペーストを印刷、乾燥し(図15のW3)、その後、UVレーザーによって余分な領域を除去して図6のW5に示すように、抵抗体を帯状に形成するようにしてもよい。
なお、上記の説明で用いた図12、図18は、説明の都合上、チップ抵抗器における絶縁基板10と抵抗体12のみを示すものであり、また、図19も、説明の都合上、絶縁基板110と、抵抗体112と、上面電極114のみを示すものである。
なお、上記の実施例2の説明においては、上面電極ペーストを印刷するものとして説明したが、印刷以外の塗布を行なうものとしてもよい。