JP4743368B2 - 感光体ドラム、その組み立て方法及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
感光体ドラム、その組み立て方法及びそれを用いた画像形成装置Info
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【発明の属する技術分野】
本発明は複写機やプリンタなどの電子写真装置に用いられる感光体ドラムとその組み立て方法及びそれを用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子写真装置の高解像度化、カラー化、小型化の推進により、感光体ドラムに対する高精度化要求がより高まってきている。
すなわち、感光体ドラムに曲がり(感光体ドラム自体が湾曲している状態)や軸ずれ(感光体ドラムの外周面中心と回転中心がずれている状態)があると、これら曲がりや軸ずれに起因する振れ回りにより、静電潜像形成時および転写時に、本来形成されるべき位置からの画像ずれが生じる。
より詳細に説明すると、レーザービームプリンタなどのようにポリゴンミラーを用いてレーザー走査を行なうものでは、静電潜像形成時、感光体ドラムの端部に近いほど斜めにレーザービームが入射するので、感光体ドラムに曲がりや軸ずれがあると、レーザービームの到達位置がドラム軸方向にずれる主走査方向ずれが生じる。また、感光体ドラムに曲がりや軸ずれがあると、感光体ドラムの回転中心から感光体ドラムの表面までの距離、すなわち、回転半径の違いにより、回転半径の小さい部位では感光体ドラム表面の露光系に対する移動速度が遅くなって静電潜像が詰まり、回転半径の大きい部位では感光体ドラム表面の露光系に対する移動速度が速くなって静電潜像が伸びる副走査方向ずれが生じる。
【0003】
その結果、印刷された画像に歪みが生じる。特に、タンデム型と呼ばれる、複数の感光体ドラムを平行に並べて使用するカラー複写機の場合には、位置ずれ、色ずれとして顕著化する。
他にも、発光ダイオードを露光装置として使用するものでは、焦点距離が近いことから振れ回りによる画像ぼけが生じ易く、問題が大きい。
これらの理由から感光体ドラムの高精度化、特に、回転精度に対する高精度化が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、図1に示すように、感光体ドラム12は、筒体1402の表面に感光層1404が形成されたドラム本体14と、ドラム本体14の両端の嵌合穴1406に配設されるフランジ部材16、18とで構成されている。
前記フランジ部材16、18は嵌合穴1406に嵌め込まれ固定される環板部1602、1802と、フレーム側で支持される軸受部1604、1804と、環板部1602、1802の基端に位置して環板部1602、1802が嵌合穴1406に嵌め込まれる際にドラム本体14(筒体1402)の端面1408に突き当たる環状の突き当て面1606、1806とを備え、また、一方のフランジ部材16にはドラム本体12を回転させるためのギヤ部1608が設けられている。
そして、フランジ部材16,18のドラム本体14への取り付けは、フランジ部材16,18の環板部1602,1802がドラム本体14の両端の嵌合穴1406に嵌め込まれ固定されることでなされる。
より詳細には、フランジ部材16,18の突き当て面1606、1806がドラム本体14の端面1408に突き当たるまで、フランジ部材16,18の環板部1602,1802をドラム本体14の両端の嵌合穴1406に圧入することで固定されている。
あるいは、ドラム本体14の両端の嵌合穴1406の内周面に接着剤を塗布しておき、フランジ部材16,18の突き当て面1606、1806がドラム本体14の端面1408に突き当たるまで、環板部1602,1802を嵌合穴1406に嵌め込むことで固定されている。
また、感光体ドラム12のフレーム側への配設は、フランジ部材16,18の軸受部1604、1804がフレーム側で回転可能に支持されることでなされている。なお、フランジ部材16,18の軸受部1604、1804が穴状である場合にはフレーム側の軸を介して回転可能に支持され、軸受部1604、1804が軸状である場合にはフレームの軸受穴を介して回転可能に支持されることになる。
【0005】
このように感光体ドラム12は、1本のドラム本体14と、2つのフランジ部材16,18から構成されているが、これらドラム本体14とフランジ部材16,18をそれぞれ設計寸法どうりに加工することは加工精度上困難で、実際には、許容範囲内において加工誤差(製造誤差)を有している。
すなわち、ドラム本体14について言えば、ドラム本体14を構成する筒体1402は、多くの場合アルミ合金製であり、素材の偏肉や曲がりを合わせて数十ミクロンの振れ回りが既に存在しており、また、筒体1402各部位で微妙な内部応力差が存在するなどしていることから、生産性を高めた通常の加工精度では限界がある。
また、このような筒体1402の表面に設けられる感光層1404の厚さも、筒体1402の周方向において均一とは言い難く、厳密にはばらつきを有している。
また、筒体1402の両端の嵌合穴1406も、それらの中心とドラム本体14の外周面とが高精度で一致しているとは限らず、この嵌合穴1406にフランジ部材16,18が固定され、フランジ部材16,18を介してドラム本体14が回転することから、嵌合穴1406の中心とドラム本体14の外周面中心とがずれている場合に振れ回りの原因となる。
【0006】
また、フランジ部材16、18について言えば、多くの場合、フランジ部材16、18は合成樹脂製で型成形されており、許容範囲内において加工誤差(製造誤差)を有している。
すなわち、環板部1602、1802の中心と軸受部1604、1804との中心とはずれており、環板部1602,1802を嵌合穴1406に圧入固定する構造を採るものでは振れ回りの原因となる。
また、軸受部1604、1804の中心軸線は、突き当て面1606、1806を通る仮想平面に対して直交しておらず、傾斜しており、嵌合穴1406の内周面に接着剤を塗布しておき、突き当て面1606、1806がドラム本体14の端面1408に突き当たるまで、環板部1602,1802を嵌合穴1406に嵌め込む構造を採るものでは、突き当て面1606、1806が基準面となることからやはり振れ回りの原因となる。
【0007】
このようなドラム本体14やフランジ部材16、18のさらなる高精度化も可能とは推察されるが、生産性を著しく阻害することから実現性は乏しい。
すなわち、感光体ドラム12を構成する部材の精度をより一層高めて高精度化要求を満たす感光体ドラム12を得ることは、感光体ドラム12の単価や製造コスト等の点で現実問題として困難となる。
これらの不具合は、ドラム本体の長手方向の一方の端部のみにフランジ部材を設けた片持ち式の感光体ドラムの場合も同様である。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、ドラム本体やフランジ部材について実現性の乏しい高精度化を要求することなく、高精度化要求を満たせる感光体ドラムを提供することにある。
また、本発明の目的は、上記の感光体ドラムを簡単にかつ迅速に得ることができる感光体ドラムの組み立て方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上記の感光体ドラムを用いた画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の感光体ドラムは、ドラム本体の偏心方向と、フランジ部材の偏心方向とを互いの偏心量を打ち消し合う方向にしてフランジ部材の環板部がドラム本体の嵌合穴に嵌め込まれ固定されていることを特徴とする。
また、本発明の感光体ドラムは、ドラム本体の偏心の方向と、フランジ部材の中心軸線の傾斜方向とをほぼ同じ向きにしてフランジ部材の環板部がドラム本体の嵌合穴に嵌め込まれ、突き当て面がドラム本体の端面に突き当てられて固定されていることを特徴とする。
また、本発明の感光体ドラムの組み立て方法は、予めフランジ部材の偏心方向を求めておき、ドラム本体を、その軸心回りに回転させることができる回転装置上において前記ドラム本体の偏心方向を求め、ドラム本体の偏心方向を求めた後、ドラム本体を回転装置上において回転させ、ドラム本体の偏心方向を所定の方向に一致させ、前記所定の方向に対して各フランジ部材の偏心方向をほぼ逆向きにして各フランジ部材の環板部をドラム本体の嵌合穴にそれぞれ嵌め込み固定するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の感光体ドラムの組み立て方法は、予めフランジ部材の軸受部の中心軸線の傾斜方向を求めておき、ドラム本体を、その軸心回りに回転させることができる回転装置上において前記ドラム本体の偏心方向を求め、ドラム本体の偏心方向を求めた後、ドラム本体を前記回転装置上において回転させ、ドラム本体の偏心方向を所定の方向に一致させ、前記所定の方向に対して各フランジ部材の軸受部の中心軸線の傾斜方向をほぼ同じ向きにして各フランジ部材の環板部をドラム本体の嵌合穴にそれぞれ嵌め込み、突き当て面をドラム本体の端面に突き当てて固定するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、前記感光体ドラムを用いたことを特徴とする。
【0009】
本発明の感光体ドラムによれば、ドラム本体の偏心量とフランジ部材の偏心量とが相殺され、製造精度上の誤差を有するドラム本体とフランジ部材から高精度要求を満たす感光体ドラムが得られる。
また、本発明の感光体ドラムの組み立て方法によれば、ドラム本体の偏心方向の計測から、両端のフランジ部材の嵌め込み固定まで、一連の動作により連続的に行なうので、製造精度上の誤差を有するドラム本体とフランジ部材から、高精度要求を満たすの感光体ドラムを簡単にしかも短時間で得ることができる。
また、本発明の画像形成装置によれば、位置ずれや色ずれなどのような歪みやぼけのない明瞭な画像が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る感光体ドラムをその組み立て方法と共に説明する。
図1を参照して説明すると、感光体ドラム12を構成する個々の部材は従来技術で述べたものと同様である。
すなわち、感光体ドラム12は、ドラム本体14と2つのフランジ部材16、18とで構成されている。前記ドラム本体14は、その長手方向の両端に嵌合穴1406が形成された筒体1402と、筒体1402の外周面に形成された感光層1404とで構成されている。前記各フランジ部材16,18は、それらの環板部1602,1802がドラム本体14の両端の嵌合穴1406に嵌め込まれ固定されている。
【0011】
前記筒体1402は多くの場合アルミ合金製であり、素材の偏肉や曲がりを合わせて数十ミクロンの振れ回りが既に存在しており、また、筒体1402各部位で微妙な内部応力差が存在している。
また、感光層1404の厚さも、筒体1402の周方向において厳密にはばらつきを有している。
すなわち、前記ドラム本体14は許容範囲内において加工誤差(製造誤差)を有し、図2(A)に示すように、両端の嵌合穴1406の中心C1に対してドラム本体14の外周面の中心C2は偏心している。この場合、嵌合穴1406の中心C1から外周面の中心C2への方向をドラム本体14の偏心方向F1と呼ぶ。
【0012】
前記フランジ部材16、18は、嵌合穴1406に嵌め込まれ固定される環板部1602、1802と、フレーム側で支持される軸受部1604、1804と、環板部1602、1802が嵌合穴1406に嵌め込まれる際にドラム本体14の端面1408に突き当たる環状の突き当て面1606、1806とを備え、フランジ部材16、18は合成樹脂製で型成形により形成されている。
すなわち、フランジ部材16、18は許容範囲内において加工誤差(製造誤差)を有し、図2(B)に示すように、軸受部1604、1804の中心C3に対して環板部1602、1802の中心C4は偏心している。この場合、軸受部1604、1804の中心C3から環板部1602、1802の中心C4への方向をフランジ部材16、18の偏心方向F2と呼ぶ。
【0013】
そして、前記ドラム本体14の偏心方向F1と、フランジ部材16、18の偏心方向F2とを、両端の嵌合穴1406の中心C1に対するドラム本体14の外周面の中心C2の偏心量と、軸受部1604、1804の中心C3に対する環板部1602、1802の中心C4の偏心量とを打ち消し合う方向にして、突き当て面1606、1806がドラム本体14の端面1408に突き当たるまで、環板部1602、1802がドラム本体14の嵌合穴1406に圧入され、固定されている。
言い換えると、本実施の形態では、前記ドラム本体14の偏心方向F1と、フランジ部材16、18の偏心方向F2とをほぼ逆向きにして、突き当て面1606、1806がドラム本体14の端面1408に突き当たるまで、環板部1602、1802がドラム本体14の嵌合穴1406に圧入され、固定されている。
より詳細に説明すると、例えば、偏心方向F1を鉛直方向で上向きとした状態のドラム本体14に対して、偏心方向F2を±60度の範囲で下向きとした、好ましくは、偏心方向F2を±15度の範囲で下向きとした、より好ましくは、偏心方向F2を鉛直方向で下向きとしたフランジ部材16、18がそれらの環板部1602、1802をドラム本体14の嵌合穴1406に圧入され、固定されている。
【0014】
本実施の形態にかかる感光体ドラム12によれば、ドラム本体14の偏心量とフランジ部材16、18の偏心量とが相殺され、組み立てられた感光体ドラム12の偏心量(フランジ部材16,18の軸受部1604、1804の中心を結ぶ中心線に対する感光体ドラム12の外周面の偏心量)を小さく抑えることができる。
したがって、ドラム本体14やフランジ部材16,18の加工精度(製造精度)について実現不能な高精度を要求することなく、加工精度(製造精度)上の誤差を有するドラム本体14とフランジ部材16,18から高精度要求を満たす感光体ドラム12が得られる。
この場合、ドラム本体14の外周面の中心C2と軸受部1604、1804の中心C3との距離が0〜10μであることが好ましく、0〜5μであればより好ましい。
【0015】
なお、上記の実施の形態では、環板部1602、1802がドラム本体14の嵌合穴1406に圧入されることで、ドラム本体14の両端にフランジ部材16,18が固定される場合について説明したが、嵌合穴1406の内周面に接着剤を塗布しておき、突き当て面1606、1806がドラム本体14の端面1408に突き当たるまで、環板部1602,1802を嵌合穴1406に嵌め込み、これによりドラム本体14の両端にフランジ部材16,18が固定される感光体ドラム12や、接着剤を用いずに圧入する感光体ドラム12でも、突き当て面1606、1806が、フランジ部材16,18を構成する各箇所の基準面となる場合があり、この場合には次のように構成されている。
図3を参照して説明すると、フランジ部材16,18は合成樹脂製で型成形により形成され、許容範囲内において加工誤差(製造誤差)を有しており、フランジ部材16,18の軸受部1604、1804の中心軸線Cは、突き当て面1606、1806を通る仮想平面Pに対して直交しておらず、フランジ部材16,18の軸受部1604、1804の中心を通り前記仮想平面Pに対して直交する垂線Hに対して傾斜しており、図3において符号F3は、感光体ドラム12の長手方向端部における前記垂線Hに対する中心軸線Cの傾斜方向を示す。より詳細には、仮想平面Pに直交する垂線Hと、軸受部1604、1804の中心軸線Cが軸受部1604、1804の内部で交差した場合に、軸受部1604、1804から見て感光体ドラム12の外部側で、当該軸線Cが垂線Hに対してずれる方向がフランジ部材16,18の中心軸線Cの傾斜方向である。
【0016】
この場合には、嵌合穴1406の内周面に接着剤を塗布しておき、前記ドラム本体14の偏心方向F1と、フランジ部材16、18の中心軸線Cの傾斜方向F3とをほぼ同じ向きにして、突き当て面1606、1806がドラム本体14の端面1408に突き当たるまで、環板部1602、1802がドラム本体14の嵌合穴1406に嵌め込まれ、固定されている。
より詳細に説明すると、例えば、偏心方向F1を鉛直方向で上向きとした状態のドラム本体14に対して、傾斜方向F3を±60度の範囲で上向きとした、好ましくは、傾斜方向F3を±15度の範囲で上向きとした、より好ましくは、傾斜方向F3を鉛直方向で上向きとしたフランジ部材16、18が、それらの環板部1602、1802がドラム本体14の嵌合穴1406に嵌め込まれ、突き当て面1606、1806がドラム本体14の端面1408に当接した状態で固定されている。
【0017】
このような感光体ドラム12によっても、前記と同様に、ドラム本体14の偏心量とフランジ部材16、18の偏心量とが相殺され、組み立てられた感光体ドラム12の偏心量を小さく抑えることができ、したがって、加工精度(製造精度)上の誤差を有するドラム本体14とフランジ部材16,18から高精度要求を満たす感光体ドラム12が得られる。
【0018】
つぎに、図4を参照して上記の感光体ドラム12を組み立てる方法について説明する。
図4(A)は感光体ドラムを組み立てる組み立て装置の正面図、(B)はVブロックでドラム本体を支持した状態の側面図を示す。
組み立て装置20は、ドラム本体14の両端を回転可能に支持できるようにした一対の支持部22と、夫々の支持部22の近傍に1つずつ配設された一対の載置部24と、一対の支持部22によって支持されたドラム本体14の外周面までの距離を検出するように配設された距離センサ26と、距離センサ26が出力するセンサ信号を処理すると共に、この組み立て装置20の様々な部分の制御を行う制御部28とを備えている。
制御部28は、距離センサ26から供給されるセンサ信号をコンピュータが読込可能なディジタル信号に変換する信号変換回路と、変換されたディジタル信号を読込んで処理すると共に、予めインストールされた制御プログラムに従って必要な制御を実行するコンピュータとを含んでいる。
【0019】
前記支持部22は、例えば、互いに対向するように基台から立設された一対の支持壁2202と、これら支持壁2202が向かい合う面に配設されそれぞれ支持壁2202で回転可能に支持された一対の軸状部材2204とで構成されている。
前記軸状部材2204は、ドラム本体の嵌合穴1406に挿入され係合されるように、先端に至るにつれてその直径が次第に小さくなるような円錐状に形成され、軸状部材2204は、例えば、合成樹脂や金属により形成されている。
前記一対の支持壁2202は、互いに離間接近する方向に移動可能に配設され、これら一対の支持壁2202の直線運動は、例えば、エアシリンダーなどの駆動手段により行われ、この駆動手段の制御は前記制御部28で行われる。
また、一対の支持壁2202のうちの一方の支持壁2202にはモータ30が配設され、モータ30により一方の軸状部材2204が回転されるように構成され、前記モータ30の回転制御は制御部28で行われる。
【0020】
前記載置部24は、一対の軸状部材2204で支持されたドラム本体14の長手方向両端寄りの下方にそれぞれ位置するように配設されたVブロック2402と、各Vブロック2402を昇降させる昇降手段2404とで構成されている。
前記Vブロック2402は、上方が開放されてドラム本体14の外周面が挿入され係合されるV溝2406を有し、Vブロック2402は、例えば、弾性を有するゴムなどにより形成され、昇降手段2404は、たとえば、エアーシリンダにより構成され、前記昇降手段2404の制御は制御部28で行われる。
前記距離センサ26は、一対の軸状部材2204で支持されたドラム本体14の長手方向中央の上方に臨むように配設され、距離センサ26としては、例えば、レーザ干渉計を利用した高精度の距離センサを用いることができる。
距離センサ26からは測定値を表すセンサ信号が出力され、このセンサ信号は制御部28へ供給される。
制御部28は、距離センサ26のセンサ信号から得られた測定値に対して所定の演算処理を施すことで、ドラム本体14の仮想中心軸(ドラム本体14の両端の嵌合穴1406の中心を結んだ軸線)に対する外周面の偏心量とその偏心方向とを算出する。
【0021】
つぎに、上記の組み立て装置20を用いて感光体ドラム12を組み立てる手順について説明する。
まず、一対の支持部22を、それらの軸状部材2204の先端間の距離がドラム本体14の長手方向の寸法よりも大きくなるように離しておく。
つぎに、V溝2406で支持されたドラム本体14の中心と、軸状部材2204の中心とがほぼ同じ高さになるように、一対のVブロック2402を上昇させ、各Vブロック2402のV溝2406にドラム本体14の長手方向両端寄り部分を載せる。
つぎに、一対の支持部22を互いに近づける方向に移動させ、一対の軸状部材2204を、ドラム本体14の両端の嵌合穴1406に挿入して係合させ、ドラム本体14を一対の軸状部材2204で支持する。
つぎに、Vブロック2402を下降させ、ドラム本体14からVブロック2402を離す。
【0022】
つぎに、距離センサ26によって、この距離センサ26からドラム本体14の外周面上の測定点までの距離を測定する。図示例では、ドラム本体14の外周面の長手方向中央で、そのとき真上を向いている部分が測定点となる。そして、モータ30を制御してドラム本体14を回転させ、ドラム本体14の角度位置を所定の角度間隔で変更しながら、次々と測定を行うことで、ドラム本体14の周囲の一周分の測定データを収集する。
こうしてデータの収集が完了したならば、制御部28では、そのデータが、そのドラム本体14の仮想中心軸(ドラム本体14の両端の嵌合穴1406の中心を結んだ軸線)に対して未知の偏心量だけ偏心した円を表している、ただし測定誤差を含んだデータであると見なして、曲線当てはめ法を適用することで、その円の中心位置を求める。そして、ドラム本体14の仮想中心軸に対するその円の中心位置のずれから、ドラム14の外周面の偏心量と偏心方向F1を決定する。
こうしてドラム14の外周面の偏心方向F1が得られたならば、続いて、制御部28は、モータ30を制御してドラム14を回転させ、その偏心方向F1を所定方向(図示例では、真上の方向)へ向ける。
【0023】
つぎに、Vブロック2402を上昇させ、ドラム本体14の外周面を押圧することなくドラム本体14の外周面にV溝2406を接触させ、一対の支持部22を互いに離れる方向に移動させる。
これにより、一対の軸状部材2204は、ドラム本体14の両端の嵌合穴1406から抜き出され、ドラム本体14は、偏心方向F1が鉛直方向で上向きとなった状態で一対のVブロック2402のV溝2406上に載置され、支持されることになる。
【0024】
つぎに、一対のVブロック2402を、水平方向で一対の支持部22が離間接近する方向に対して直交する方向に移動させ、該箇所でドラム本体14両側の嵌合穴1406にエアーシリンダなどを用いて、フランジ部材16,18の突き当て面1606、1806がドラム本体14の端面1408に突き当たるまで、フランジ部材16,18を圧入する。
この場合、フランジ部材16、18は合成樹脂製で型成形されており、軸受部1604、1804の中心に対する環板部1602、1802の中心のずれの方向、すなわち偏心方向F2は予め判明しているので、例えば、偏心方向F2に印を付けるなどして、その偏心方向F2を鉛直方向で下向きにしてドラム本体14の両側の嵌合穴1406にフランジ部材16、18を圧入し、これにより感光体ドラム12が得られる。
【0025】
なお、嵌合穴1406の内周面に接着剤を塗布しておき、突き当て面1606、1806がドラム本体14の端面1408に突き当たるまで、環板部1602,1802を嵌合穴1406に嵌め込み、突き当て面1606、1806が、フランジ部材16,18を構成する各箇所の基準面となる感光体ドラム12のような場合には、ドラム14の外周面の偏心量と偏心方向F1を求めた後、偏心方向F1を鉛直方向で上向きとした状態のドラム本体14に対して、フランジ部材16、18の中心軸線Cの傾斜方向F3を鉛直方向で上向きにして環板部1602、1802を嵌合穴1406に嵌め込み、突き当て面1606、1806をドラム本体14の端面1408に当接させればよく、これにより感光体ドラム12が得られる。
【0026】
本実施の形態に係る組み立て方法によれば、ドラム本体14の偏心量とフランジ部材16、18の偏心量とが相殺され、ドラム本体14やフランジ部材16,18の加工精度(製造精度)について実現不能な高精度を要求することなく、高精度要求を満たすの感光体ドラム12が得られる。
そして、本実施の形態に係る組み立て方法によれば、ドラム本体14の偏心方向F1の計測から、両端のフランジ部材16、18の嵌め込み固定まで、一連の動作により連続的に行なうので、製造精度上の誤差を有するドラム本体14とフランジ部材16、18から、高精度要求を満たすの感光体ドラム12を簡単にしかも短時間で得ることが可能となる。
【0027】
なお、ドラム本体をその軸心回りに回転させる回転方法や、ドラム本体の偏心方向を求める測定方法は、種々考えられ、実施の形態の方法に限定されない。
また、本発明は、ドラム本体の長手方向の一方の端部のみにフランジ部材を設けた片持ち式の感光体ドラムの場合にも当然適用される。
【0028】
本発明において用いる感光体ドラム12は、導電性支持体(筒体1402)上に感光層1404を具備してなるものである。感光層1404は、電荷発生層と電荷輸送層が別に構成されたいわゆる積層型のものと、一つの層からなる単層型のものがあるが、感度等の観点からは積層型の電子写真感光体が好ましい。特に高感度が要求されるフルカラー用の電子写真感光体においては、積層型の電子写真感光体が好適に用いられる。以下、積層型を例に挙げて感光体ドラム12を説明する。
電荷発生層に含有される電荷発生剤としては、セレン及びその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電体、フタロシアニン類、アゾ系、キナクリドン系、多環キノン系、ペリレン系、インジゴ系、スクアリリウム色素系、アズレニウム色素系、チアピリリウム系、ベンズイミダゾール系などの有機顔料を使用することができる。特に銅、塩化インジウム、塩化カリウム、スズ、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウムなどの金属、またはその酸化物や塩化物の配位したフタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、または、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類などのアゾ顔料が好ましい。これらのうち特にアゾ顔料又はフタロシアニン類がより好ましく、いわゆるY型オキシチタニウムフタロシアニンが高感度を得ることができるため特に好ましい。なお、電荷発生剤は、単独で用いても2種以上を含んで用いても良い。例えば、いわゆるY型オキシチタニウムフタロシアニンと、いわゆるβ型オキシチタニウムフタロシアニンやα型オキシチタニウムフタロシアニンの混合物を電荷発生剤として用いてもよい。
【0029】
いわゆるY型オキシチタニウムフタロシアニンとは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3゜に最大回折ピークを示すものである。この結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは、一般にはY型あるいはD型と呼ばれているものであり、例えば特開昭62−67094号公報の第2図(同公報ではII型と称されている)、特開平2−8256号公報の第1図、特開昭64−82045号公報の第1図、電子写真学会誌第92巻(1990年発行)第3号第250〜258頁(同刊行物ではY型と称されている)に示されたものである。この結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは、27.3°に最大回折ピークを示すことが特徴であるが、これ以外に通常7.4゜、9.7゜、24.2゜にピークを示す。
なお、回折ピークの強度は、結晶性、試料の配向性及び測定法により変化する場合もあるが、粉末結晶のX線回折を行う場合に通常用いられるブラッグ−ブレンダーノの集中法による測定では、上記のY型オキシチタニウムフタロシアニンは27.3°に最大回折ピークを有する。また、薄膜光学系(一般に薄膜法あるいは平行法とも呼ばれる)により測定された場合には、試料の状態によっては27.3°が最大回折ピークとならない場合があるが、これは結晶粉末が特定の方向に配向しているためと考えられる。
【0030】
電荷発生剤の分散媒としては種々の溶媒を用いてよい。例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
用いる分散媒の量は分散が充分行え、且つ分散液中に有効量の電荷発生剤が含まれる限りいかなる量でもよく、通常は分散時の分散液中の電荷発生剤の濃度にして3〜20wt%、より好ましくは4〜20wt%程度が好ましい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としてはポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、フノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等またこれらの部分的架橋硬化物等を単独あるいは2種以上用いることができる。
【0031】
結着樹脂と電荷発生剤粒子との混合方法としては例えば、電荷発生剤粒子を分散処理中に結着樹脂を粉末のまま或いはそのポリマー溶液を加え同時に分散する方法、分散液を結着樹脂のポリマー溶液中に混合する方法、或いは逆に分散液中にポリマー溶液を混合する方法等のいずれかの方法を用いてもかまわない。
次にここで得られた分散液は、塗布をするのに適した液物性にするために、種々の溶剤を用いて希釈してもかまわない。このような溶剤としては、例えば前記分散媒として例示した溶媒を使用することができる。電荷発生剤と結着樹脂との割合は特に制限はないが一般には樹脂100重量部に対して電荷発生剤が5〜500重量部の範囲より使用される。
【0032】
電荷移動層に含有される電荷移動剤としては例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン、テトラシアノキシジメタンなどの電子求引性物質、セルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。電荷移動層についても電荷発生層と同様の結着樹脂等を用いることができる。特に、電荷移動層との相溶性の高い結着樹脂を用いることが好ましい。電荷移動剤と結着樹脂との割合は結着樹脂100重量に対して電荷移動物質が5〜500重量部の範囲により電荷移動層用の分散液が調製される。
【0033】
このようにして調製された分散液を用いて、導電性支持体上に電荷発生層を形成させ、その上に電荷移動層を積層させて感光層1404を形成する。電荷発生層の膜厚は電荷移動層と積層させて感光層1404を形成する場合0.1μm〜10μmの範囲が好適であり、電荷移動層の膜厚は10〜40μmが好適である。
本発明において用いられる電子写真感光体の導電性支持体としては、特に限定されるものではないがアルミニウムまたはアルミニウム合金が好適に使用される。
アルミニウム導電性支持体の材質としては、例えば、JIS1050、JIS1070、JIS1080等の純アルミニウムまたは、AL−Mg系合金、AL−Cu系合金、AL−Si系合金、AL−Mg−Si系合金、AL−Cu−Si系合金等の種々のアルミニウム合金が挙げられ、より好ましくはAL−Mn系合金であるJIS3003、AL−Si系合金であるJIS6063等が挙げられる。なお、本発明において「アルミニウム」という時はアルミニウム合金と分けて表現しない限り、通常、アルミニウム合金も含めた総称を表す。
【0034】
これらのアルミニウム製導電性支持体の製造法は特に限定されないが、アルミニウムビレットをポートホール法、マンドレル法等により押し出し管に加工し、続いて所定の肉厚、外径寸法の円筒とするため、引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工、あるいは切削による鏡面加工を行うことで作ることができる。導電性支持体表面には引き抜き油、切削油、防錆油、空気中の各種塵埃等が付着しているため、通常、光導電層を形成する前に洗浄処理が行われる。
公知の方法で製造した導電性支持体は、完全な円筒形状であることは望めず、素材の偏肉や、曲がりを合わせ数μm〜数十μm程度の振れが存在する。この振れをより小さくすることにより電子写真感光体の精度を高めることも考えられる。しかしながら、コストが非常にかかり必ずしも現実的ではない。
導電性支持体と電荷発生層の間には通常使用されるような公知のバリアー層が設けられてもよい。また、感光層1404の外面には、表面保護層が設けられていても良い。
【0035】
バリアー層としては、例えば陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の有機層が使用される。バリアー層の膜厚は0.1μm〜20μm、好ましくは0.1μm〜10μmの範囲で使用されるのが最も効果的である。
導電性支持体の上に設けられる電荷発生層、電荷移動層、保護層(以下この欄において「感光層1404」という)の厚さの合計としては、10μm〜50μm程度が好適に設定される。特に、感光層1404が厚い場合には、感光層1404自体のムラが生じやすく本発明がより好適に適用される。このような感光層1404の厚さとしては、20〜50μmが好ましく、25〜50μmであればより好ましく、30〜50μmであれば特に好ましい。
【0036】
本発明の感光体ドラム12を用いた画像形成装置としては、プリンター、複写機、ファクシミリ等があげられる。
本発明の電子写真感光体は、振れが少なく構成されているので、特にフルカラー用のプリンター、複写機、ファクシミリ等に好適に用いることができる。
画像形成装置には、記憶装置▲1▼、記憶装置▲2▼、記憶装置▲3▼、記憶装置▲4▼、ホッパー、スタッカー、記録媒体(用紙)を搬送する搬送路、定着ユニットが設けてある。記憶装置▲1▼〜▲4▼には、それぞれ現像ユニット(帯電器、現像器、定着器、除電器、クリーナ)、電子写真感光体、光学ユニット(露光器)が設けてある。
記録装置▲1▼は、イエロー(以下「Y」という。)の現像ユニットと、電子写真感光体と、光学ユニットを具備する。記録装置▲2▼は、マゼンダ(以下「M」という。)の現像ユニットと電子写真感光体と、光学ユニットを具備する。記録装置▲3▼は、シアン(以下「C」という。)の現像ユニットと電子写真感光体と、光学ユニットを具備する。記録装置▲4▼は、ブラック(以下「K」という)の現像ユニットと、電子写真感光体と、光学ユニットを具備する。
【0037】
ホッパーは、用紙を搬送路に提供するものである。スタッカーは、印刷済みの用紙を積み重ねて保存するものである。搬送路は、用紙を搬送するものである。定着ユニットは、電子写真感光体から用紙に転写された画像を定着するものである。
現像ユニットは、電子写真感光体に形成された潜像に現像材(Y、M、C、Kの各記録装置に対応したトナー)を与えて現像を行うものである。電子写真感光体は、得ようとする画像に応じた静電潜像を作成後、現像ユニットで現像された画像を用紙に転写するものである。光学ユニットは、各画像データ(情報)により変調されたレーザ光で電子写真感光体上を走査して静電潜像を形成するものである。
【0038】
画像形成装置の動作を以下説明する。
コロトロン、ストロコロン等の帯電器を用いて電子写真感光体表面略均一に帯電する。上位コンピュータは、画像、文字等の情報に基づき印刷指令を送る。上位コンピュータからの印刷指令時に、印刷準備が整っていなければ、装置ビズィーを応答し、印刷準備が整っていれば、データ要求を行う。上位コンピュータから、Yデータ、Mデータ、Cデータ、Kデータが送られてくると、画像形成装置の記録装置▲1▼〜▲4▼は、光学ユニットで各色データに対応して変調されたレーザ光で各電子写真感光体上を走査する。これにより、レーザ光が照射された電子写真感光体上の部分は、電荷が除去され、電子写真感光体上に静電潜像が形成される。
【0039】
その後、各現像ユニットで該電子写真感光体に形成された静電潜像にトナー等の現像材を与えて、電子写真感光体上に可視像を形成する。次に、用紙をこの可視像に重ね、用紙の裏から帯電器で現像材とは逆の電荷を用紙に与え、静電力により可視像を用紙に転写する。転写された可視像は、熱又は圧力を加え、用紙に融着させて永久像とする。かかる作業を一つの用紙に対してY、M、C、Kの各色毎に行い、用紙上にカラー画像を得る。一方、転写後の電子写真感光体上の潜像電荷は、光により除電される。また、転写されずに残った残留トナー等の現像材は、クリーナにより除去する。上記、プロセスを繰り返すことにより、連続的に画像形成を行う。
【0040】
また、用紙がホッパーで一枚ずつ搬送路におくられ、ベルト状の搬送手段で用紙が搬送される間に電子写真感光体に掲載された各色の現像済みの像を順次用紙に転写していき、定着ユニットで用紙に転写された像を定着し、最後に、スタッカーで印刷済みの用紙を積み重ねて手保管する。
なお、画像形成装置としては、各電子写真感光体上に付着した現像材(各色トナー)を、一端一つの中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルト上で各色のトナーを合わせ、カラー可視像とした後、転写手段を用いて用紙に画像を形成するものであっても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の感光体ドラムによれば、製造精度上の誤差を有するドラム本体とフランジ部材から高精度要求を満たす感光体ドラムが得られる。
また、本発明の感光体ドラムの組み立て方法によれば、製造精度上の誤差を有するドラム本体とフランジ部材から、高精度要求を満たすの感光体ドラムを簡単にしかも短時間で得られる。
また、本発明の画像形成装置によれば、位置ずれや色ずれなどのような歪みやぼけのない明瞭な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】感光体ドラムの説明図である。
【図2】(A)はドラム本体の加工誤差の説明図、(B)はフランジ部材の加工誤差の説明図である。
【図3】フランジ部材の突き当て面が基準面となる場合の説明図である。
【図4】(A)は感光体ドラムを組み立てる組み立て装置の正面図、(B)はVブロックでドラム本体を支持した状態の側面図である。
【符号の説明】
12 感光体ドラム
14 ドラム本体
1402 筒体
1406 嵌合穴
16、18 フランジ部材
1602、1802 環板部
1604、1804 軸受部
1606、1806 突き当て面
Claims (9)
- ドラム本体と、ドラム本体の長手方向の端部に取着されるフランジ部材とからなり、
前記ドラム本体は、その外周面に形成された感光層と、その長手方向の端部に形成された嵌合穴とを備え、
前記フランジ部材は、前記嵌合穴に嵌め込み固定される環板部と、前記環板部の中心に位置する軸受部とを備え、
前記ドラム本体の端部の嵌合穴の内周面の中心に対してドラム本体の外周面の中心が偏心しており、前記フランジ部材の軸受部の中心に対して環板部の中心が偏心している感光体ドラムであって、
前記ドラム本体の端部の嵌合穴の内周面の中心に対してドラム本体の外周面の中心が偏心している方向であるドラム本体の偏心方向と、前記フランジ部材の軸受部の中心に対して環板部の中心が偏心している方向であるフランジ部材の偏心方向とが逆向きとなるようにフランジ部材の環板部がドラム本体の嵌合穴に嵌め込まれ固定されている、
ことを特徴とする感光体ドラム。 - ドラム本体と、ドラム本体の長手方向の端部に取着されるフランジ部材とからなり、
前記ドラム本体は、その外周面に形成された感光層と、その長手方向の端部に形成された嵌合穴とを備え、
前記各フランジ部材は、前記嵌合穴に嵌め込み固定される環板部と、前記環板部の中心に位置する軸受部と、前記環板部の基端に位置して前記環板部が嵌合穴に嵌め込まれる際にドラム本体の端面に突き当たる環状の突き当て面とを備え、
前記ドラム本体の端部の嵌合穴の内周面の中心に対してドラム本体の外周面の中心が偏心しており、前記フランジ部材の軸受部の中心を通り突き当て面を含む仮想平面に対して直交する垂線に対して軸受部の中心軸線が傾斜している感光体ドラムであって、
前記仮想平面に直交する垂線と、前記軸受部の中心軸線が前記軸受部内部で交差した場合に、前記軸受部から見て感光体ドラムの外部側で、当該軸線が垂線に対してずれる方向を前記フランジ部材の中心軸線の傾斜方向とした場合に、前記ドラム本体の端部の嵌合穴の内周面の中心に対してドラム本体の外周面の中心が偏心している方向であるドラム本体の偏心の方向と、フランジ部材の中心軸線の傾斜方向とを同じ向きにしてフランジ部材の環板部がドラム本体の嵌合穴に嵌め込まれ、突き当て面がドラム本体の端面に突き当てられて固定されている、
ことを特徴とする感光体ドラム。 - 前記嵌合穴は、ドラム本体の長手方向の両端にそれぞれ形成され、前記フランジ部材は、前記ドラム本体の長手方向両端の嵌合穴にそれぞれ取着され、前記ドラム本体の偏心方向は、前記ドラム本体の両端部の嵌合穴の内周面の中心を結んだ軸に対してドラム本体の外周面の中心が偏心している方向であることを特徴とする請求項1または2記載の感光体ドラム。
- ドラム本体と、ドラム本体の長手方向の両端にそれぞれ取着される2つのフランジ部材とからなり、
前記ドラム本体は、その外周面に形成された感光層と、その長手方向両端にそれぞれ形成された嵌合穴とを備え、
前記各フランジ部材は、前記嵌合穴に嵌め込み固定される環板部と、前記環板部の中心に位置する軸受部とを備え、
前記ドラム本体の両端部の嵌合穴の内周面の中心を結んだ軸に対してドラム本体の外周面の中心が偏心しており、前記フランジ部材の軸受部の中心に対して環板部の中心が偏心している感光体ドラムの組み立て方法であって、
予め前記フランジ部材の軸受部の中心に対して環板部の中心が偏心している方向であるフランジ部材の偏心方向を求めておき、
前記ドラム本体を、その軸心回りに回転させることができる回転装置上において前記ドラム本体の両端部の嵌合穴の内周面の中心を結んだ軸に対してドラム本体の外周面の中心が偏心している方向であるドラム本体の偏心方向を求め、
前記ドラム本体の偏心方向を求めた後、ドラム本体を前記回転装置上において回転させ、ドラム本体の偏心方向を所定の方向に一致させ、
前記所定の方向に対して各フランジ部材の偏心方向を逆向きにして各フランジ部材の環板部をドラム本体の嵌合穴にそれぞれ嵌め込み固定するようにした、
ことを特徴とする感光体ドラムの組み立て方法。 - ドラム本体と、ドラム本体の長手方向の両端にそれぞれ取着される2つのフランジ部材とからなり、
前記ドラム本体は、その外周面に形成された感光層と、その長手方向両端にそれぞれ形成された嵌合穴とを備え、
前記各フランジ部材は、前記嵌合穴に嵌め込み固定される環板部と、前記環板部の中心に位置する軸受部と、前記環板部の基端に位置して前記環板部が嵌合穴に嵌め込まれる際にドラム本体の端面に突き当たる環状の突き当て面とを備え、
前記ドラム本体の両端部の嵌合穴の内周面の中心を結んだ軸に対してドラム本体の外周面の中心が偏心しており、前記フランジ部材の軸受部の中心を通り突き当て面を含む仮想平面に対して直交する垂線に対して軸受部の中心軸線が傾斜している感光体ドラムの組み立て方法であって、
前記仮想平面に直交する垂線と、前記軸受部の中心軸線が前記軸受部内部で交差した場合に、前記軸受部から見て感光体ドラムの外部側で、当該軸線が垂線に対してずれる方向を前記フランジ部材の中心軸線の傾斜方向とした場合に、予め前記フランジ部材の軸受部の中心軸線の傾斜方向を求めておき、
前記ドラム本体を、その軸心回りに回転させることができる回転装置上において前記ドラム本体の両端部の嵌合穴の内周面の中心を結んだ軸に対してドラム本体の外周面の中心が偏心している方向であるドラム本体の偏心方向を求め、
前記ドラム本体の偏心方向を求めた後、ドラム本体を前記回転装置上において回転させ、ドラム本体の偏心方向を所定の方向に一致させ、
前記所定の方向に対して各フランジ部材の軸受部の中心軸線の傾斜方向を同じ向きにして各フランジ部材の環板部をドラム本体の嵌合穴にそれぞれ嵌め込み、突き当て面をドラム本体の端面に突き当てて固定するようにした、
ことを特徴とする感光体ドラムの組み立て方法。 - 前記ドラム本体の偏心方向は、ドラム本体の長手方向中央において求められることを特徴とする請求項4または5記載の感光体ドラムの組み立て方法。
- 前記フランジ部材は合成樹脂製で、型成形により形成され、前記フランジ部材の偏心方向は予め判明していることを特徴とする請求項4記載の感光体ドラムの組み立て方法。
- 前記フランジ部材は合成樹脂製で、型成形により形成され、前記軸受部の中心軸線の傾斜方向は予め判明していることを特徴とする請求項5記載の感光体ドラムの組み立て方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の感光体ドラムを用いた画像形成装置。
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