JP4595982B2 - 感光体ドラムの組み立て方法および感光体ドラムならびにそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明者は明瞭な画像を得るため、画像形成装置の主要部品である感光体ドラム自体に着目した。
すなわち、感光体ドラムは、感光層が形成されたドラム本体と、このドラム本体の一端に取着されるフランジ部材から構成されている。そして、感光体ドラムは、前記ドラム本体の他端に設けられた軸支部と、前記フランジ部材に設けられた軸支部との双方の中心を結ぶ中心軸を回転中心として回転されるように画像形成装置に配設される。あるいは、感光体ドラムは、ドラム本体と、このドラム本体の両端にそれぞれ取着されるフランジ部材から構成され、感光体ドラムは、ドラム本体の両端の各フランジ部材の軸支部の中心を結ぶ中心軸を回転中心として回転されるように画像形成装置に配設される。
そして、感光体ドラムに振れがあると、すなわち、感光体ドラムに曲がり(感光体ドラム自体が湾曲している状態)や軸ずれ(感光体ドラムの外周面中心と回転中心がずれている状態)があると、これら曲がりや軸ずれに起因する振れにより、静電潜像形成時および転写時に、本来形成されるべき位置からの画像ずれが生じる。
また、感光体ドラムに曲がりや軸ずれがあると、感光体ドラムの回転中心から感光体ドラムの表面までの距離、すなわち、回転半径の違いにより、回転半径の小さい部位では感光体ドラム表面の露光系に対する移動速度が遅くなって静電潜像が詰まり、回転半径の大きい部位では感光体ドラム表面の露光系に対する移動速度が速くなって静電潜像が伸びる副走査方向ずれが生じる。
他にも、発光ダイオードを露光装置として使用するものでは、焦点距離が近いことから振れ回りによる画像ぼけが生じ易く、問題が大きい。
感光体ドラムに振れがなく設計通りに組み立てられていれば上述のような問題は生じないが、振れの全くない感光体ドラムを得ることは現実問題として不可能に近い。
感光体ドラムのみに着目した場合、感光体ドラムの振れの大きさがどの程度あると明瞭な画像が得られず、また、どの程度の範囲内の加工誤差であれば明瞭な画像を得ることができるか、定量的な基準はない。
しかしながら、近年の画像形成装置の高解像度化、カラー化に伴い、上述の対策では限界があり、何らかの更なる改善が望まれていた。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、明瞭な画像を得ることができる感光体ドラムを簡易に確実に組み立てることができる方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、画像ずれや画像ぼけのない明瞭な画像を得る上で極めて有利な感光体ドラムを提供することにある。
また、本発明の目的は、明瞭な画像を得ることができる画像形成装置を提供することにある。
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3に何れか1項記載の感光体ドラムの組み立て方法により得られた感光体ドラムである。
また、請求項5記載の発明は、請求項4に記載の感光体ドラムを用いた画像形成装置である。
本発明の感光体ドラムによれば、画像ずれや画像ぼけのない明瞭な画像を得る上で極めて有利となる。
また、本発明の画像形成装置によれば、画像ずれや画像ぼけのない明瞭な画像を得ることができる。
まず、感光体ドラムから説明する。
図1(A)は感光体ドラムの正面図、(B)は感光体ドラムの分解図を示す。
図1に示すように、感光体ドラム12は、ドラム本体14と、ドラム本体14の長手方向の両端にドラム本体14に対して同心的に取着される第1、第2フランジ部材16、18とで構成されている。
前記ドラム本体14は、筒体1402と、この筒体1402の表面に形成された感光層1404により構成され、筒体1402の両端にはそれぞれ嵌合孔1406が形成されている。
前記第2フランジ部材18は、ドラム本体14の他端の嵌合孔1406に嵌め込まれ固定される筒部1802と、筒部1802がドラム本体14の一端に嵌め込まれ固定された状態でドラム本体14の端部に隣接するように設けられた歯車1804と、軸支部1810とで構成されている。
感光体ドラム12の画像形成装置への配設は、第1、第2フランジ部材16、18の軸支部1610、1810が画像形成装置のフレーム側で回転可能に支持されることでなされ、例えば、第1、第2フランジ部材16、18の軸支部1610、1810が軸状である場合にはフレームの軸受孔で回転可能に支持され、あるいは、軸支部1610、1810が孔状である場合にはフレーム側の軸で回転可能に支持されることになり、本実施の形態では、軸支部1610、1810は軸受孔により形成されている。
前記歯車1804には不図示の駆動歯車が噛合し、これら駆動歯車、歯車1804を介して感光体ドラム12が、軸支部1610、1810の中心を結ぶ中心軸Lを中心として回転駆動されるように配設される。
このような振れの測定は、例えば、感光体ドラム12を水平方向に延在させて支持し、中心軸Lを中心として感光体ドラム12を回転させつつ、距離センサ(例えばレーザ干渉計)や変位センサ(例えば走査型レーザ変位計)などのような従来公知の様々な高精度の測定器を用いて行なわれる。本実施の形態に係る感光体ドラム12は、径方向の振れの大きさが15μm以下になるように、あるいは、10μm以下になるように形成されている。なお、本発明において径方向の振れとは、任意の位置で測定した最大の振れの値をいう(JISでいう「全振れ」に相当している)。
なお、この試験では径方向の振れの大きさは、ドラム本体14の長手方向の中央部の箇所を測定した値を採用している。
各感光体ドラム12を、紙の大きさがA3対応のタンデム型フルカラー形式のプリンターの黄色用カートリッジに取り付け、高精細(1200dpi)モードで写真に白抜き文字を入れた画像を出力した。
この出力画像を目視および光学顕微鏡(50倍)にて観察し、画像中央部の色のずれを評価した。
具体的には、白抜き文字周辺部における黄色トナーのはみ出し具合をランク付けした。色の重ね合わせは100μm程度のドットで行われるが、ずれが50μm以上のものに×印を付し、20〜50μmのものに○印を付し、20μm以下のものに◎印を付した。なお、通常用いられるカートリッジについては程度差が見られるものの、×から○のランクに相当した。
この試験結果を表1に示す。
したがって、径方向の振れの大きさが15μm以下になるように形成された感光体ドラム12では、良好な画像が得られ、径方向の振れの大きさが10μm以下になるように形成された感光体ドラム12では、極めて良好な画像が得られる。
したがって、本実施の形態に係る感光体ドラム12を、より高解像度化が進められる画像形成装置に用いた場合に、画像ずれや画像ぼけのない明瞭な画像を得る上で極めて有利となる。
また、複数の(通常は4本の)感光体ドラムが、それらの長手方向を平行して配設されたタンデム型カラー画像形成装置では、感光体ドラムの振れが位置ずれや色ずれとして顕著化するため、タンデム型カラー画像形成装置に本実施の形態に係る感光体ドラム12を用いると、言い換えると、本実施の形態に係る感光体ドラム12により構成されたタンデム型カラー画像形成装置によれば、位置ずれや色ずれのない明瞭な画像を得る上で極めて有利となる。
なお、本実施の形態では、ドラム本体14の両端に第1、第2フランジ部材16、18が取着された感光体ドラム12の場合について説明したが、ドラム本体12の長手方向の一端にのみフランジ部材が取着され、ドラム本体14の他端には該ドラム本体14と一体的に軸支部が設けられた感光体ドラム12の場合にも本発明は無論適用される。
図2は感光体ドラム組み立て装置の正面図、図3は感光体ドラム組み立て装置の平面図、図4(A)、(B)は回転手段および昇降手段部分の拡大図を示す。
感光体ドラム12の組み立て装置は、基台24と、基台24上に設けられドラム本体14が載置される載置部26と、載置部26の両側に設けられた第1、第2支持部28A、28Bと、第1、第2支持部28A、28Bに支持された第1、第2フランジ部材16、18をそれぞれ回転させる第1、第2回転手段30A、30Bと、それら回転手段30A、30Bを昇降する第1、第2昇降手段32A、32Bと、第2支持部28Bをドラム本体14に対して離間接近する方向に移動する移動手段34と、第1、第2支持部28A、28Bに設けられた第1、第2透過型レーザ変位計36A、36Bと、第1、第2回転手段30A、30Bに装備された第1、第2ロータリーエンコーダ3006A、3006Bと、この組み立て装置の様々な動作を制御する制御ユニット(制御手段)38とを備えている。
載置部材2602は、制御ユニット38によって制御されている不図示の駆動手段によりスライダ2604を介して図2の紙面の厚さ方向(水平X方向と直交する水平Y方向)に移動され、両側の支持部28A、28Bの間に位置する測定および嵌合位置と、この測定および嵌合位置から離れた退避位置との間を移動するように配設されている。
前記第2支持部28Bは、移動手段34によりドラム本体14に対して離間接近する方向に移動されるため、第1支持部28Aのように基台24に固定されておらず、移動手段34で支持されている。すなわち、移動手段34はエアーシリンダにより構成されており、移動手段34はエアーの給排により前記水平X方向に移動する移動台3402を備え、第2支持部28Bの支持台2802'はこの移動台3402に固定されている。
なお、前記載置部26が測定および嵌合位置に位置した状態で、二つの載置部材2602上に載置されたドラム本体14の軸心と、両側の支持部28A、28Bのスピンドル2806で支持された第1、第2フランジ部材16、18の軸心とはほぼ同軸上に位置するように設けられている。
図4に示すように、第1回転手段30Aは、モータ3002と、モータ3002により回転駆動されるローラ3004とで構成されている。ローラ3004の周面は摩擦係数の大きな材料で形成されており、摩擦係数が大きくしかも弾性を有するゴム系材料で形成することが好ましい。第2回転手段30Bも同様に、モータ3002とローラ3004とで構成されている。
前記第1、第2回転手段30A、30Bは、例えばエアシリンダなどからなる昇降手段32A、32Bにより、基台24の上面の上方に位置してローラ3004が第1、第2フランジ部材16、18の筒部1602、1802の外周面に当接する測定位置と、基台24の下方の退避位置との間を、基台24に設けられた開口を通って昇降され、第1、第2回転手段30A、30Bの各モータ3002および昇降手段32A、32Bは制御ユニット38により制御される。
なお、前記第1、第2回転手段30A、30Bが測定位置に位置し、第1、第2回転手段30A、30Bの各ローラ3004が第1、第2フランジ部材16、18の筒部1602、1802の外周面に当接されると、第1、第2フランジ部材16、18の軸受孔1610、1810の一側がスピンドル2806に押し当てられる。そして、この状態でモータ3002が駆動されて第1、第2フランジ部材16、18が回転され、したがって、第1、第2フランジ部材16、18は軸受孔1610、1810を基準として回転されることになる。
この測定手段は、第1、第2支持部28A、28Bに設けられた第1、第2透過型レーザ変位計36A、36Bと、第1、第2回転手段30A、30Bに装備された第1、第2ロータリーエンコーダ3006A、3006Bと、制御ユニット38の情報処理部3802とで構成されている。
第1ロータリーエンコーダ3006Aは、第1回転手段30Aのローラ3004の回転角を検出してその回転角を表すセンサ信号S2Aを出力し、同様に、第2ロータリーエンコーダ3006Bは、第2回転手段30Bのローラ3004の回転角を検出してその回転角を表すセンサ信号S2Bを出力する。
制御ユニット38の情報処理部3002は、以上のセンサ信号S1A、S2A、S2A、S2Bを受取って処理することで、第1、第2支持部28A、28Bに支持された第1、第2フランジ部材16、18の、軸支部1610,1810を基準とした筒部1602,1802の外周面の径方向の振れの大きさと向きを表す情報を抽出する。
受光部3604から受取ったセンサ信号S1A、S1Bによって表される振れの大きさが最大のときに、ロータリーエンコーダ3006A、3006Bから受取ったセンサ信号S2A、S2Bによって表されるローラ3004の回転角を検出することで、予め分かっているローラ3004径と筒部1602,1802の外周面径の比より、第1フランジ部材16ないし第2フランジ部材18の、軸支部1610,1810を基準とした筒部1602,1802の外周面の径方向の振れの向きを算出することができる。
制御ユニット38は更に、駆動制御部3806を備えており、この駆動制御部3806は、上述の測定手段によって得られた、第1、第2フランジ部材16、18の筒部1602,1802の外周面の振れの大きさと向きを表す情報をメモリ3804から読出し、その読出した情報に基づいて、第1、第2回転手段30A、30Bの各モータ3002を制御する。
まず、載置部26および第1、第2回転手段30A、30Bを退避位置とし、支持部28A、28Bのスピンドル2806にそれぞれ第1フランジ部材16と第2フランジ部材18を装着する。
また、退避位置に位置した載置部26上にドラム本体14を載置する。
この場合、両端の嵌合孔1406を基準としたドラム本体14の径方向の振れの大きさと向きを予め測定しておく。それらを表す情報は、制御ユニット38のメモリ3804に入力する。
ドラム本体14は、その振れの向きを所定の方向にして、例えば、上向きにして載置部26に載置する。尚、ドラム本体14の振れの大きさと向きを表す情報を制御ユニット38のメモリ3804に入力する作業は、ドラム本体14を載置部26に載置する毎に行なってもよく、あるいは、多数のドラム本体14の振れの大きさを一度に入力し、その入力した順にドラム本体14を載置部26に載置するようにしてもよい。
なお、第1、第2フランジ部材16、18の装着やドラム本体14の載置は、作業員の手作業によって行なってもよく、あるいは、機械を用いて自動的に行なってもよく、載置部26にドラム本体14が載置されると、載置部26は退避位置から測定および嵌合位置に移動される。
続いて、制御ユニット38は、第1、第2回転手段30A、30Bの各モータ3002を同時に駆動し、第1、第2フランジ部材16、18をそれぞれの軸受孔1610、1810を基準として回転させつつ、上述の測定手段により、軸支部1610,1810を基準とした第1、第2フランジ部材16、18の筒部1602,1802の外周面の径方向の振れの大きさと向きを測定する。
そして、前記差が前記所定値以下の場合に、本実施の形態では前記差が15μmの場合に、制御ユニット38の駆動制御部3806が、第1、第2フランジ部材16、18の筒部1602,1802の外周面の径方向の振れの向きがドラム本体14の振れの向きと逆向きになるように、本実施の形態では下向きとなるように、第1、第2回転手段30A、30Bの各モータ3002の回転を制御する。
この場合には、載置部26に載置されたドラム本体14と、支持部28A、28Bで支持された第1、第2フランジ部材16、18とを全て取り外し、次の新たなドラム本体14を載置部26に載置し、また、次の新たな第1、第2フランジ部材16、18を支持部28A、28Bに装着して前記の作業を最初から行なうようにしてもよいし、あるいは、前記差が15μm以下となるように、第1、第2フランジ部材16、18とドラム本体14のうちの一つの部材、あるいは、2つの部材を取り外し、取り外したものについて次の新たな部材を装着して前記の作業を最初から行なうようにしてもよい。
次に、制御ユニット38の駆動制御部3806は、移動手段34を制御して、第2支持部28Bをドラム本体14に接近する方向に移動させる。このとき、第2フランジ部材18が、移動手段34によって押動されてドラム本体14の端部に当たり、それによってドラム本体14を第1フランジ部材16側へ移動させることにより、やがて、ドラム本体14の他端が第1フランジ部材16に当接する。この状態を越えて更に移動手段34が第2フランジ部材18を押動することで、ドラム本体14の両端の嵌合孔1406に第1フランジ部材16と第2フランジ部材18の筒部1602、1802がそれぞれ嵌合固定される。
試験1では、外径20mm、長さ250mm、嵌合孔肉厚0.75mmのアルミ合金製のドラム本体14に対して、軸受孔1610、1810が8mmで合成樹脂製の第1、第2フランジ部材16,18をドラム本体14の両端の嵌合孔に嵌合させて25個の感光体ドラム12を組み立てた。
そして、感光体ドラム12両端の軸受孔1610、1810の中心を結ぶ中心軸を基準として感光体ドラム12の径方向の振れの大きさを測定した。
試験1の結果を表2に示す。
そして、感光体ドラム12両端の軸受孔1610、1810の中心を結ぶ中心軸を基準として感光体ドラム12の径方向の振れの大きさを測定した。
試験2の結果を表3に示す。
外径30mm、長さ350mm、嵌合孔肉厚0.75mmのアルミ合金製のドラム本体14に対して、軸受孔1610、1810が8mmで合成樹脂製の第1、第2フランジ部材16,18をドラム本体14の両端の嵌合孔に嵌合させて20個の感光体ドラム12を組み立てた。
そして、感光体ドラム12両端の軸受孔1610、1810の中心を結ぶ中心軸を基準として感光体ドラム12の径方向の振れの大きさを測定した。
試験3の結果を表4に示す。
また、表3から明らかなように、試験2では20個の感光体ドラム12の全てについて振れの大きさが14μm以下のものが得られた。振れの最も大きいものでも14μmで、振れの平均も7.3μmとなり、試験2でも振れの極めて少ない感光体ドラム12が確実に得られた。
また、表4から明らかなように、試験3では、試験2とほぼ同程度の振れの大きさを有するドラム本体14および第1、第2フランジ部材16、18を使用しているにもかかわらず、感光体ドラム12の振れの大きさが15μm以下のものが半分以下しか得られず、生産ラインとして採用することができない。
したがって、表2乃至表4からも明らかなように本発明によれば、振れが所定値以下の感光体ドラム12を、例えば、所定値が15μmである場合には振れが15μm以下の感光体ドラム12を、また、例えば、所定値が10μmである場合には振れが10μm以下の感光体ドラム12を簡易にしかも確実に得ることが可能となる。
また、本実施の形態では、ドラム本体14の径方向の振れの大きさと向きを予め測定した後に載置部26に載置した場合について説明したが、ドラム本体14を載置部26に載置してから不図示の支持手段でドラム本体14を持ち上げ、あるいは、載置部26に代えてドラム本体14を回転可能に支持する支持部を設け、第1、第2フランジ部材16、18の振れの大きさと向きの測定時に、第1、第2フランジ部材16、18と同様にドラム本体14の振れの大きさと向きを測定するようにしてもよい。
このように印を確認できるように構成しておくと、感光体ドラム12の品質管理上極めて有利となる。
この場合、ドラム本体14の印と第1、第2フランジ部材16、18の印は、感光体ドラム12の完成時に、一致する箇所に設けれられることが望ましく、したがって、ドラム本体14または第1、第2フランジ部材16,18において、一方の印を振れの向きに対して180度ずらした箇所に設ければよい。あるいは、ドラム本体14では、振れの向きに対して+90度ずらした箇所に印を設け、第1、第2フランジ部材16,18では、振れの向きに対して−90度ずらした箇所に印を設ければよい。
(別組み立て方法1)
まず、ドラム本体12として、径方向の振れの大きさが7μm以下のものを多数用意する。
また、フランジ部材16、18として、同軸度が5μm以下のものを多数用意する(同軸度が5μm以下とは、フランジ部材16、18の筒部1602,1802の外周面の中心と、軸支部1610,1810の中心とのずれ量が5μm以下の場合である)。
そして、これらドラム本体12とフランジ部材16,18とをランダムに組み合わせて感光体ドラム12を得る。
このような組み立て方法によれば、理論上、振れの大きさの平均が12μm以下の感光体ドラム12が得られ、実用上も、フランジ部材16,18の筒部1602,1802の歪みや組み立て工程におけるフランジ部材16,18の傾きの影響を考慮に入れても、振れの大きさが15μm以下の感光体ドラム12を安定して得ることが可能となる。
試験4では、外径30mm、長さ350mm、嵌合孔肉厚0.75mmのアルミ合金製のドラム本体14に対して、軸受孔1610、1810が8mmで合成樹脂製の第1、第2フランジ部材16,18をドラム本体14の両端の嵌合孔に嵌合させて20個の感光体ドラム12を組み立てた。
用いたドラム本体12は、径方向の振れの大きさの平均が7.7μmであった。
また、用いたフランジ部材16、18の同軸度の平均が4.5μmと4.9μmであった。
そして、感光体ドラム12両端の軸受孔1610、1810の中心を結ぶ中心軸を基準として感光体ドラム12の径方向の振れの大きさを測定した。
試験4の結果を表5に示す。
試験4では、振れの大きさの平均が7.7μmのドラム本体14を使用して上記の値となるので、言いかえると、ドラム本体14には振れの大きさが7μmを越えるものが含まれていて上記の値となるので、一つ一つの振れの大きさが7μm以下のドラム本体14を使用すれば、振れの平均がさらに小さい値となり、一つ一つの振れの大きさが15μm以下の感光体ドラム12がほぼ確実に得られることは明らかである。
また、前記実施の形態のように、ドラム本体14とフランジ部材16,18の振れの向きがほぼ逆向きになるような位相合わせをした後、嵌め込んで固定すれば、10μm以下の感光体ドラム12がほぼ確実に得られることになる。
まず、ドラム本体14の長手方向の両端にそれぞれ軸受嵌合孔を形成し、ドラム本体14の長手方向の両端または一端で前記軸受嵌合孔の外側に連続してフランジ部材嵌合孔(1406)を形成する。
次に、ドラム本体14の各軸受嵌合孔に軸受(例えば、ころがり軸受や滑り軸受)を嵌合固定する。
次に、ドラム本体14の前記軸受の外側に、フランジ部材(第1フランジ部材16または第2フランジ部材18)を、その筒部(1602または1802)を嵌合孔1406に嵌合固定してフランジ部材を取着する。
このような組み立て方法によれば、感光体ドラム12の径方向の振れは、ドラム本体14の両端の前記軸受の軸受孔が基準となり、感光体ドラム12の径方向の振れの大きさは、ドラム本体14の両端の軸受嵌合孔を基準とした振れの大きさと、軸受の振れの大きさとの総和となり、フランジ部材の径方向の振れは感光体ドラム12の振れに影響しないため、径方向の振れの大きさが15μm以下、あるいは、10μm以下といった振れの極めて少ない感光体ドラム12を確実に簡単に得ることが可能となる。
まず、筒体1402の長手方向の両端にそれぞれ嵌合孔1406を形成し、各嵌合孔1406に筒部1602,1802を嵌合固定して第1、第2フランジ部材16、18を配設する。本組み立て方法の場合には、第1、第2フランジ部材16、18として金属製のものを用いることが好ましい。
次に、第1、第2フランジ部材16、18の軸受孔1610,1810を基準として筒体1402の外周面を切削加工する。この場合、軸受孔1610,1810が、画像形成装置のフレーム側で回転可能に支持される軸支部に相当しており、軸支部は軸受孔ではなく軸の場合もある。
次に、筒体1402の外周面に感光層1404を形成する。
このような組み立て方法によっても、筒体1402に既に嵌合固定された金属製の第1、第2フランジ部材16、18の軸受孔1610,1810を基準として筒体1402の外周面が切削加工されているので、径方向の振れの大きさが15μm以下、あるいは、10μm以下といった振れの極めて少ない感光体ドラム12を確実に簡単に得ることが可能となる。
ホッパーは、記録媒体(用紙)を搬送路に提供するものである。スタッカーは、記録済みの媒体(印刷済み用紙)を積み重ねて保存するものである。搬送路は、記録媒体(用紙)を搬送するものである。定着ユニットは、電子写真感光体から記録媒体(用紙)に転写された画像を定着するものである。
また、本発明の感光体ドラムによれば、画像ずれや画像ぼけのない明瞭な画像を得る上で極めて有利となる。
また、本発明の画像形成装置によれば、画像ずれや画像ぼけのない明瞭な画像を得ることができる。
Claims (5)
- 外周面に感光層が形成されたドラム本体と、前記ドラム本体の長手方向の両端にそれぞれ配設されるフランジ部材とからなり、前記各フランジ部材は、該フランジ部材の回転中心となる軸支部と、前記ドラム本体の長手方向の両端の嵌合孔に嵌め込まれ固定される筒部とを有し、両端のフランジ部材の軸支部の中心を結ぶ中心軸を基準とした径方向の振れの大きさが15μm以下の感光体ドラムを組み立てる方法であって、
前記ドラム本体として、前記両端の嵌合孔を基準とした径方向の振れの大きさが7μm以下のものを多数用意し、
前記フランジ部材として、前記筒部の中心と前記軸支部の中心とのずれ量が5μm以下のものを多数用意し、
これらドラム本体とフランジ部材とをランダムに組み合わせて前記筒部を前記嵌合孔に嵌め込んで固定するようにした、
ことを特徴とする感光体ドラムの組み立て方法。 - 外周面に感光層が形成されたドラム本体と、前記ドラム本体の長手方向の一端または両端に配設されるフランジ部材とからなり、径方向の振れの大きさが15μm以下の感光体ドラムを組み立てる方法であって、
前記ドラム本体の長手方向の両端にそれぞれ軸受嵌合孔を形成すると共に、前記ドラム本体の長手方向の一端または両端で前記軸受嵌合孔の外側に連続してフランジ部材嵌合孔を形成し、
前記ドラム本体の各軸受嵌合孔に軸受を嵌合固定し、
前記嵌合固定された軸受の外側の前記フランジ部材嵌合孔に、前記軸受の軸受孔よりも大きな内径の軸挿通孔が形成されたフランジ部材を嵌合固定するようにした、
ことを特徴とする感光体ドラムの組み立て方法。 - 筒体の外周面に感光層が形成されたドラム本体と、前記ドラム本体の長手方向の両端にそれぞれ配設されるフランジ部材とからなり、前記各フランジ部材は、該フランジ部材の回転中心となる軸支部と、前記ドラム本体の長手方向の両端の嵌合孔に嵌め込まれ固定される筒部とを有し、両端のフランジ部材の軸支部の中心を結ぶ中心軸を基準とした径方向の振れの大きさが15μm以下の感光体ドラムを組み立てる方法であって、
前記筒体の長手方向の両端にそれぞれ嵌合孔を形成し、
前記各嵌合孔に筒部を嵌合固定して第1、第2フランジ部材を配設し、
前記第1、第2フランジ部材の軸支部を基準として筒体の外周面を切削加工し、
前記切削加工された筒体の外周面に感光層を形成するようにした、
ことを特徴とする感光体ドラムの組み立て方法。 - 請求項1乃至3に何れか1項記載の感光体ドラムの組み立て方法により得られた感光体ドラム。
- 請求項4に記載の感光体ドラムを用いた画像形成装置。
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