JP4375363B2 - 防振ダンパー、電子写真感光体用基体の製造方法 - Google Patents
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Description
詳細に説明すると、レーザービームプリンタなどのようにポリゴンミラーを用いてレーザー走査を行うものでは、静電潜像形成時、電子写真感光体用基体の端部に近いほど斜めにレーザービームが入射する。その際、何らかの要因によってレーザービームの到達位置が軸方向にずれるといった主走査方向のズレが生じることがあった。
前記ズレを生じさせる要因としては装置上の問題の他に電子写真感光体用基体の有する問題もあると考えられていた。
すなわち、本発明の目的は、明瞭な画像を得る上で有利な電子写真感光体用基体の製造方法およびその製造方法に用いる防振ダンパーを提供することにある。
また、本発明は、前記円筒管は、金属製であることを特徴とする。
また、本発明は、前記防振ダンパーは前記基体の長手方向に沿った長さを有し、前記防振ダンパーはその長手方向において少なくとも3つ以上に分割された分割体で構成され、前記分割体は、前記基体の長手方向の略中央部から端部に向かって配置されるものにしたがい対称的に重量が異なっていることを特徴とする。
図1(A)は電子写真感光体の正面図、(B)は電子写真感光体の分解図を示す。
図1に示すように、電子写真感光体12は、ドラム本体13と、第1、第2フランジ16、18とで構成されている。
前記ドラム本体13は、外周面が切削加工された中空円筒状の基体14と、基体14の外周面上に形成された感光層1402により構成されている。基体14の両端には嵌合孔1406が形成され、前記第1、第2フランジ16、18は、これら嵌合孔1406を介して基体14の両端に同心的に取着されている。
前記歯車1804には不図示の駆動歯車が噛合し、これら駆動歯車、歯車1804を介して電子写真感光体12が、軸支部1610、1810の中心を結ぶ中心軸Lを中心として回転駆動されるように配設される。
このような基体14の外径の寸法の測定は、例えば、基体14を水平方向に延在させて、あるいは垂直方向に延在させて支持し、距離センサ(例えばレーザ干渉計)や変位センサ(例えば走査型レーザ変位計)などのような従来公知の様々な高精度の測定器を用いて行なわれる。
そして、このような電子写真感光体12で、基体14の外径の最大値と外径の最小値との差が5μm以下の5本の電子写真感光体12−1〜5と、外径の最大値と外径の最小値との差が6μm以上10μm以下の5本の電子写真感光体12−6〜10と、外径の最大値と外径の最小値との差が11μm以上15μm以下の5本の電子写真感光体12−11〜15と、外径の最大値と外径の最小値との差が16μm以上20μm以下の5本の電子写真感光体12−16〜20との合計20本の電子写真感光体12−1〜12−20を用意し、各電子写真感光体12について試験を行なった。
各電子写真感光体12を、紙の大きさがA3対応のタンデム型フルカラー形式のプリンターの黄色用カートリッジに取り付け、高精細(1200dpi)モードで写真に白抜き文字を入れた画像を出力した。
この出力画像を目視および光学顕微鏡(50倍)にて観察し、画像中央部の色のずれを評価した。
具体的には、白抜き文字周辺部における黄色トナーのはみ出し具合をランク付けした。色の重ね合わせは100μm程度のドットで行われるが、ずれが50μm以上のものに×印を付し、20〜50μmのものに○印を付し、20μm以下のものに◎印を付した。なお、通常用いられるカートリッジについては程度差が見られるものの、×から○のランクに相当した。
この試験結果を表1に示す。
したがって、外径の最大値と外径の最小値との差が10μm以下になるように形成された電子写真感光体12では、良好な画像が得られ、外径の最大値と外径の最小値との差が5μm以下になるように形成された電子写真感光体12では、極めて良好な画像が得られる。
また、複数の(通常は4本の)電子写真感光体が、それらの長手方向を平行して配設されたタンデム型カラー画像形成装置では、電子写真感光体の振れが位置ずれや色ずれとして顕著化するため、タンデム型カラー画像形成装置に本実施の形態に係る電子写真感光体12を用いると、言い換えると、本実施の形態に係る電子写真感光体12により構成されたタンデム型カラー画像形成装置によれば、位置ずれや色ずれのない明瞭な画像を得る上で極めて有利となる。
なお、本実施の形態では、基体14の両端に第1、第2フランジ16、18が取着された電子写真感光体12の場合について説明したが、基体12の長手方向の一端にのみフランジが取着され、基体14の他端には該基体14と一体的に軸支部が設けられた電子写真感光体12の場合にも本発明は無論適用される。
基体14の材料としては、従来の基体14と同様に基体14として使用できる金属材料あるいは樹脂材料であれば限定されないが、アルミニウム製材料が使用されることが好ましい。本発明におけるアルミニウム製材料とは、アルミニウム或いはアルミニウム合金を示す。
前記金属材料は、通常、ポートホール法、マンドレル法等の押出加工により円筒状に加工された後、所定の肉厚、長さ、外径寸法の円筒とするため、引抜加工、切削加工等による処理加工が行なわれ、基体14が製造される。ここで、押出加工後の円筒状金属材料を押出管、引抜加工後に所定の長さに切断された円筒管を引抜管と呼ぶ。
引抜加工の手法としては、冷間引抜加工が施されることが好ましく、その引抜回数は1回、引抜後の矯正加工は行わず、そのまま所定の長さに切断することが好ましい。
切削加工時には超精密旋盤を使用し、治工具の芯出しに細心の注意を払うことが必要である。切削加工の条件としては、ごく一般的な条件として主軸回転数5,000回転、送りスピード0.4mm/rev程度で加工される。
防振ダンパー20の材料は切削加工時の加工面の振動を防ぐことの出来る材質であれば何でも良いが、一般的には硬質ゴムや樹脂管、発泡スチロールなどが用いられ、その重量は基体14の大きさにもよるが10〜1000g/cm3程度とまちまちで、防振効果が得られるのであればこの範囲を逸脱しても何ら問題ない。
また、単一材質で重量が不足するときなどは金属棒に硬質ゴムなどを巻き付けるなどして使用しても良い。
但し、防振ダンパー20として防振効果に優れ、削り上がりも高精度の基体を得るためには防振ダンパー20の外径サイズは基体14の内径に対して±0.2ミリ程度の範囲のものを用いるのが好ましい。
また、防振ダンパー20の長さは基体14の全長に対して80%以上の長さを有するものが好ましく、さらに好適には90%以上の長さを有するものの方が、端部までの防振効果に優れ、削り上がりの精度も良い。
図3および図4はそれぞれ防振ダンパーの断面正面図を示す。
図3に示す防振ダンパー20では、該防振ダンパー20の重量あるいは緩衝効果が、基体14に装着された状態で、基体14のほぼ中央部を中心として該基体14の両端部に向かって対称的に減少するように構成されている。
防振ダンパー20は、円筒管22と、この円筒管22の外周に固定された防振材24とで構成され、防振材24の外径は全長にわたって均一である。
円筒管22を構成する材料としては、鋼材やアルミ合金などが用いられ、防振材24としては、硬質ゴムや樹脂管、発泡スチロールなどが用いられる。
前記分割体20A、20B、20Bは、前記円筒管22と防振材24とからなり、等しい長さで形成されている。
前記分割体20A、20B、20Bにおいて、防振材24の材料および厚さは同一に形成されている。
また、前記分割体20A、20B、20Bにおいて、中央部に配置される分割体20Aの円筒管22の厚さは、その両側に配置される分割体20Bの円筒管22よりも大きな寸法で形成され、円筒管22の内径は、長手方向の両端部よりも中央部の方が小さくなっている。
すなわち、分割体20A、20B、20Bは、基体14の長手方向の略中央部から端部に向かって配置されるものにしたがい対称的に構造が異なっている。
したがって、図3に示す防振ダンパー20では、その重量あるいは緩衝効果が、基体14に装着された状態で、基体14のほぼ中央部を中心として該基体14の両端部に向かって対称的にかつ段階的に減少するように構成されている。
前記分割体20A、20B、20Bにおいて、円筒管22は同一の厚さで形成されているが、中央部に配置される分割体20Aの円筒管22の外径は、その両側に配置される分割体20Bの円筒管22よりも小さい寸法で形成されている。
また、前記分割体20A、20B、20Bにおいて、中央部に配置される分割体20Aの防振材24の厚さは、その両側に配置される分割体20Bの防振材24よりも大きな寸法で形成されている。
すなわち、分割体20A、20B、20Bは、基体14の長手方向の略中央部から端部に向かって配置されるものにしたがい対称的に構造が異なっている。
したがって、図4に示す防振ダンパー20でも、その重量あるいは緩衝効果が、基体14に装着された状態で、基体14のほぼ中央部を中心として該基体14の両端部に向かって対称的にかつ段階的に減少するように構成されている。
また、図3および図4に示す防振ダンパー20では、その重量あるいは緩衝効果を、基体14に装着された状態で、基体14のほぼ中央部を中心として該基体14の両端部に向かって対称的にかつ段階的に減少するように構成した場合について説明したが、例えば、円筒管22の肉厚を、基体14のほぼ中央部から両端部に向かって連続的に減少させ、防振ダンパー20の重量あるいは緩衝効果を、基体14のほぼ中央部を中心として該基体14の両端部に向かって対称的にかつ無段階的に減少するように構成してもよい。この場合には、防振ダンパー20を単体で構成してもよく、あるいは、複数の分割体で構成してもよい。
また、図3および図4に示す防振ダンパー20では、円筒管22や防振材24の厚さを異ならせた場合について説明したが、厚さを同一とし、すなわち、構造を同一とし、円筒管22や防振材24の材料を異ならせることでも、防振ダンパー20の重量あるいは緩衝効果を、基体14のほぼ中央部を中心として該基体14の両端部に向かって対称的に減少するように構成することが可能である。
(実施例1)
6000系アルミニウム合金の鋳造を行い、4ポートのダイスを使用して熱間押出し加工により押出管を得た(ポートホール法)。押出管は押出し後、押出管の前後の400mm程度を切断し、さらに冷間引抜き加工(1回抽伸)を行い、外径φ30.3mm、内径φ28.5mmの引抜管を得た。
この引抜管を丸鋸やレーザーなどで切断を行い、矯正加工をせずに、最終的に外径φ30.3mm、内径φ28.5mm、長さ342mmの引抜管を得た。
この引抜管に端部加工を施して長さを340mmとした後、外径φ24mm、内径が端部から中央に行くにしたがいφ23からφ22に変化しているアルミ製円筒管22に、防振材24として厚さ2.5mmの硬質ゴムを巻き付け、さらにその外周を切削、研磨して外径をφ28.52mmにした長さ318mmの防振ダンパー20を挿入し、昌運工作所製精密旋盤SPA−5にて切削加工を行い、基体14を得た。
この基体14をミツトヨ社製レーザー変位計RA−801により測定を実施したところ、基体14の端部から中央部にかけての膨れ量(外径の最大値と最小値との差)が4μであり、良好な結果が得られた。
防振ダンパー20を3分割し、中央の防振ダンパー20Aを長さ152mmで内径をφ22mm、両端の防振ダンパー20Bを長さ84mm、内径をφ23mmとしたこと以外、実施例1と同様にして基体14を得た。
この基体14をミツトヨ社製レーザー変位計RA−801により測定を実施したところ、基体14の端部から中央部にかけての膨れ量(外径の最大値と最小値との差)が3μであり、良好な結果が得られた。
防振ダンパーの内径をφ23mmとしたこと以外、実施例1と同様にして基体14を得た。
この基体14をレーザー変位計により測定を実施したところ、基体14の端部から中央部にかけての膨れ量(外径の最大値と最小値との差)が12μであり、膨れ量が増大した。
(比較例2)
防振ダンパーを3分割し、中央の防振ダンパーを長さ152mmで内径をφ22mm、片端の防振ダンパーを長さ84mm、内径をφ23mm、もう一端の防振ダンパーを長さ84mm、内径をφ22.5としたこと以外、実施例1と同様にして基体14を得た。
この基体14をレーザー変位計により測定を実施したところ、基体14の端部から中央部にかけての膨れ量(外径の最大値と最小値との差)が19μであり、膨れ量が増大した。
このように基体14によっては、その長手方向の半部のみにおいて防振ダンパー20の重量や緩衝効果を変化させても、膨れの少ない基体14、すなわち、外径の最大値と最小値との差が少ない基体14を得ることが可能となる。言い換えると、切削時に生じる振動を防振ダンパー20により、基体14の長手方向の一方の端部からほぼ中央部に向かって減少するように抑制すると、外径の最大値と最小値との差が少ない基体14を得ることが可能となる。言い換えると、切削加工時の切削抵抗などが原因で加工時に基体14中央部と端部の相対的な加工量が変化してしまう(基体14中央部での加工量が少なくなり、基体14端部での加工量が多くなる)ことを防振ダンパー20により効果的に抑制できることから、膨れの少ない高精度の基体14を得ることが可能となる。なお、この場合の変化も、段階的な変化であってもよく、無段階的な変化であってもよい。
陽極酸化被膜は、基体表面に陽極酸化処理を施すことにより形成される。陽極酸化処理を施す前に、酸、アルカリ、有機溶剤、界面活性剤、エマルジョン、電解などの各種脱脂洗浄方法により脱脂処理されることが好ましい。陽極酸化被膜は通常の方法、例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸などの酸性浴中で、陽極酸化処理することにより形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は0〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、これに限られるものではない。このようにして形成された陽極酸化被膜の膜厚としては、通常は20μm以下であり、好ましくは10μm以下、更に好ましくは7μm以下である。
感光層1402が単層構造の場合には、感光材料が結着材料に分散してなる公知のものが使用される。例えば、色素増感されたZnO感光層、CdS感光層、電荷発生物質を電荷輸送物質に分散させた感光層が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は電荷輸送層と積層させて感光層1402を形成する場合0.1〜10μmの範囲が好適であり電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好適である。単層構造で感光層1402を形成する場合の感光層の膜厚は5〜40μmの範囲が好適である。
[分散液Q1]
X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2゜) 9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に主たる回折ピークを持つオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルによって粉砕、分散処理を行ない分散液Q1を作製した。
X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2゜)9.7゜、24.2゜、27.3゜に主たる回折ピークを持つオキシチタニウムフタロシアニンを用いた他は、分散液Q1と同様にして分散液Q2を作製した。
下記のN,N−ジ−p−トリルアニリンジフェニルヒドラゾン54重量部と
Claims (5)
- 電子写真感光体を構成する中空円筒状の基体を切削加工する際に前記基体の内部に装着される防振ダンパーであって、
前記防振ダンパーは、円筒管と、前記円筒管の外周に装着された防振材とで構成され、
前記防振ダンパーの重量が、前記基体のほぼ中央部を中心として該基体の両端部に向かって対称的に減少するように構成され、
かつ、前記防振材の外径が全長にわたって均一である、
ことを特徴とする防振ダンパー。 - 前記円筒管の内径は、長手方向の両端部よりも中央部の方が小さい、
ことを特徴とする請求項1記載の防振ダンパー。 - 前記円筒管は、金属製である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の防振ダンパー。 - 前記防振ダンパーは前記基体の長手方向に沿った長さを有し、
前記防振ダンパーはその長手方向において少なくとも3つ以上に分割された分割体で構成され、
前記分割体は、前記基体の長手方向の略中央部から端部に向かって配置されるものにしたがい対称的に重量が異なっている、
ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の防振ダンパー。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の防振ダンパーを用いて該基体に切削加工を施すことを特徴とする電子写真感光体用基体の製造方法。
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