JP4741745B2 - 光導電性像形成部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、米国特許第5,645,965号に例示されている下記式1の環境的に許容し得、実質的に無毒、または無毒の対称形ペリレンビスイミドダイマー:
【化5】
Figure 0004741745
(式中、Rは、例えば、水素、アルキル、シクロアルキル、オキサアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキル等である);および、
下記の式2:
【化6】
Figure 0004741745
(式中、R1およびR2は、例えば、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、芳香族基、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキル等であるが、R1とR2は同じではない、即ち、各Rは異なる基を示し、例えば、R1はアルキルであり得、R2はアリールであり得る);
との混合物を含む光発生性光導電性部材に関する。
【0002】
アルキルには、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、ヘプチル、オクチル、デシル等のような、例えば1〜約25個、好ましくは1〜約10個の炭素原子を有する線状または枝分れ成分がある。シクロアルキルには、例えば、シクロプロパンからシクロドデカンまでのホモログ環状基がある。置換アルキル基は、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、ジアルキルアミノ等のような置換基を含有する。アリールには、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル等のような、例えば6〜約24個の炭素原子を有する成分がある。置換アリール基は、例えば、メチルまたはt-ブチルのようなアルキル、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモおよびイオド)、ヒドロキシ、メトキシのようなアルコキシ、ニトロ、シアノおよびジメチルアミノのような1〜5個の置換基を含有する。アラルキルには、ベンジル、フェネチル、フルオレニル等のような7〜約24個の炭素原子を有する成分がある。置換アラルキル基は、上記アリール基と同じ置換基、さらに詳しくは、例えば、メチル、t-ブチル、ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、ニトロおよびジアルキルアミノを含有し得る。
【0003】
本明細書で例示するペリレンダイマーの混合物は、電子写真プリンティング、有機太陽電池、化学センサー、エレクトロルミネセンス光導電性部材、並びに光導電体を用いる他の固形状光電性光導電性部材において使用する光導電性像形成部材中の光活性成分として使用できる。さらにまた、各実施態様において、上記混合ダイマーは、プラスチック類、ゼログラフィ用トナー等のような高分子複合材料の着色剤としても使用できる。さらにまた、上記ペリレンダイマー顔料は、高度に着色でき、例えばR置換基次第で、オレンジ、レッド、マジェンタ、マルーン、ブラウン、ブラック、グリニッシュブラック(緑黒色)等のような種々の色合いを有して調製できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明によれば、各実施態様において、2種以上の異なるペリレンモノイミドを、好ましくはプロピレン基を介して一緒にカップリングさせて得られた混合ペリレンダイマー顔料を含む光導電性像形成部材は、例えば米国特許第5,645,965号に記載されている単量体ペリレン顔料または純対称形2量体ペリレン顔料;米国特許第5,683,842号に記載されている内部非対称形ダイマー;および米国特許出願第09/165,595号に記載されているタイプの純粋末端非対称形ダイマーに比して、多くの利点を提供し得る。例えば、後述の表2において例示しているように、Rがn-ペンチルである式1の純粋ダイマーから調製した光発生体層を含む光導電性部材は2.85エルグ/cm2の感光度E1/2を示し、Rが2-メチルブチルである式1に相応するダイマーは約5.45エルグ/cm2の感光度を示し、R1がn-ペンチルでありR2が2-メチルブチルである式2に相応する純粋末端非対称形ダイマーは3.33エルグ/cm2の感光度を示す。一方、同じく後述するように、R = n-ペンチルである後述の式3に相応するモノイミドとR = 2-メチルブチルである式3に相応するモノイミドとの60:40混合物を1,3-ジアミノプロパンと縮合させることによって調製したダイマー混合物(この縮合により、約36%のR = n-ペンチルである式1に相応するダイマー、約16%のR = 2-メチルブチルである式1に相応するダイマー、および約48%のR1 = n-ペンチル、R2 = 2-メチルブチルである式2に相応するダイマーを含む緊密な混合物が得られる)から調製した同様な光導電性部材は、感光度E1/2 = 2.28エルグ/cm2を有していた。
【0005】
各実施態様において、本発明は、対称形ペリレンビスイミドダイマーと末端非対称形ダイマーとの混合物を含む光発生性顔料;並びに、支持基体、式1の対称形ペリレンダイマーと式2の非対称形ダイマーの混合物であって、さらに詳しくは、R、R1およびR2が水素、メチル、エチル、n-プロピル、3-ヒドロキシプロピル、3-メトキシプロピル、n-ブチル、イソプロピル、sec-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、フェニル、ベンジル、3-クロロベンジルおよびフェネチル等から選ばれるような混合物を含む光発生層、および電荷とりわけ正孔輸送層を含む像形成部材に関する。本発明の光発生性顔料を含む像形成部材は、例えば約400〜約700 nm、即ち、光スペクトルの可視領域の波長に対して感光性である。また、これらの各実施態様において、本発明の像形成部材は、白色光或いはとりわけ赤色、緑色または青色光発出ダイオードに対する広いスペクトル応答、並びに長時間のサイクル操作に亘る安定な電気特性を有する。本発明の混合ペリレンビスイミドダイマーの多くは、光発生体顔料として使用するとき、多層型光導電性部材における表面電位が約800ボルトの優れた電荷アクセプタンス;例えば約100ボルト/秒未満、例えば約40〜約90ボルト/秒の暗減衰;約3〜約10エルグ/cm2未満のE1/2範囲の感光度;優れた分散性;および多層型感光性または光導電性像形成部材の製造において用いる塩化メチレン、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼンおよび酢酸ブチルのような有機溶媒中のある種のポリマー溶液のような典型的なコーティング組成物における低溶解性を示す。本発明の混合ペリレンダイマーは、多層型光導電性像形成部材において、三方晶セレンのようなセレンの代替物として使用でき、さらに、本発明の像形成部材は、デジタルシステム用、高級型可視光線システムおよび装置用の赤色、青色および緑色LEDレーザーにおいて使用できる。
【0006】
また、本発明は、幾つかの実施態様において、式1と式2の各ダイマーを含む混合物の直接合成方法に関し、これらの混合物は少なくとも2種の異なるR1 およびR2基を含有し、これらの基は、例えば少なくとも約3〜35個のようにおおよそ統計的に分布し得、例えば、2種のR基は3個の基を、3種のR期は6個の基を、4種のR基は10個の基を、5種のR基は15個の基を、6種のR基は21個の基を与える。さらに、本発明の幾つかの実施態様は、実質的に無毒の非対称形ペリレンビスイミドダイマーの高収率、高純度の調製方法を含み、この方法は、下記の式3の2種以上のペリレンモノイミド無水物(式中、Rは、例えば、前述したとおりである)を1,3-ジアミノプロパンのような適切な反応物と1-メチル-2-ピロリジノンのような高沸点溶媒中で反応させ、得られた生成物を濾過し、例えば約50℃の高温溶媒で洗浄して残留出発成分と他の副生成物を除去することを含む。例えば、一方がR1を有し、他方が窒素置換基としてのR2を有する等量の2種のモノイミドを用いる場合、ジアミノプロパンとの縮合後に得られた混合物は、R基の両方がR1である式1で示される対称形ダイマー 約25%、R基の両方がR2である相応するダイマー 約25%、およびR1とR2が異なる式2で示される非対称形ダイマー 約50%を含み得た。
【0007】
【化7】
Figure 0004741745
式3で示されるタイプの化合物は文献に記載されている、例えば、H. Troster, Dyes and Pigments, 4, 171-183, (1983)、Y. Nagao et al, Ibid, 32, 71-83 (1996)、および米国特許第4,709,029号を参照されたい。
【0008】
従来の多層型ペリレン系感光体または光導電性像形成部材は所望のゼログラフィ電気特性を発揮し得るけれども、本発明の混合ペリレンビスイミドダイマーは、測定したE1/2 値で示されるように、押しなべて高感光度を示し得る。このE1/2尺度は、感光体技術において一般的に使用されており、例えば、感光体を初期表面電荷からこの初期値の半分、例えば、800ボルトから400ボルトの表面電位に放電させるのに必要なエネルギー(エルグ/平方cm)である。例えば、約10〜約12エルグ/cm2のE1/2が許容可能、約5〜約10エルグ/cm2が良好、約1〜約5エルグ/cm2のような約5エルグ/cm2以下の値が優れているとみなされ得る。後述の表1に示すように、例えば異なる対称形および非対称形混合ダイマーから形成させた本発明の感光体は、例えば2.28〜3.13エルグ/cm2範囲のE1/2値を有する優れた感光度を与えていた。
【0009】
さらに、多くの公知の像形成部材はその意図する目的には適しているけれども、実質的に無毒の光発生体顔料を含有する像形成部材が求められている。さらに、より高い電荷アクセプタンス、より低い暗減衰、増大された電荷発生効率と電荷輸送層への電荷注入、各種のリプログラフィ用途を可能にする誂られたPIDCカーブ形状、低減された残留電荷および/または低減された消去エネルギー、改良された長時間サイクル操作性能、並びに優れたE1/2特性と組合さった温度と相対湿度の環境変化による小さな性能変動のような優れたゼログラフィ電気性能を有する像形成部材が求められている。また、ポリマーおよび溶媒中での改善された分散性を有するある種の光発生性顔料を含む光導電性成分を含む像形成部材が求められている。また、コロイド的に安定であり、沈降を回避または最小にした、例えば、攪拌なしで20〜30日間殆ど沈降しない、とりわけディップコーティング操作用のコーティング分散液の調製を可能にする光発生性顔料が求められている。さらに、光導電性像形成部材の製造において低コストのコーティング処理を可能にするポリマーおよび溶媒中での改善された分散性を有する光導電性材料が求められている。さらに、光スペクトルの赤色領域において改善された感光性を有する像形成部材を提供し、得られた像形成部材を、赤色ダイオードおよびガスレーザーによる像形成において使用可能にする光導電性材料が求められている。さらにまた、新たに出現した青色および緑色電子像形成光源による像形成を可能にするスペクトルの緑色および青色領域におけるスペクトル応答を有する光発生体顔料が求められている。また、光-レンズ法を用いるカラーコピーにおいて約400〜700 nmの広いスペクトル応答を有する改良された全整色(パンクロ)顔料が求められている。また、商業的に入手可能な反応物から容易に調製できる光発生性顔料、さらに、ある顔料においては製造手順におよそ5日間もの日数を追加し得る溶媒抽出または減圧昇華のような時間の掛る合成後精製方法に頼ることなく、顕著なゼログラフィ電気性能を有する高純度顔料を提供する調製および精製方法が求められている。これらおよび他の要求は、本発明の各実施態様において達成でき、さらに詳細には、これらの要求は、優れたE1/2特性に関連して達成できるものと確信する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの特徴においては、(1)高分子複合体中に分散させた着色剤および多層型光導電性像形成部材中の光発生性顔料としての用途に適する混合ペリレンビスイミド;(2)1,3-プロピレン基により一緒に結合させた2種以上の異なるペリレンビスイミド成分を含む混合ペリレンビスイミドダイマー、および容易に入手可能な出発物質からの二量体混合顔料の調製方法;並びに(3)光導電性像形成部材中の光発生体顔料としての使用において光電的に安定な材料を提供する混合ダイマーの精製方法が提供される。
【0011】
本発明の幾つかの観点は、下記の如くである:
少なくとも2種の下記式1の対称形ペリレンビスイミドダイマー:
【化8】
Figure 0004741745
(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルである)と、
少なくとも1種の下記式2の末端非対称形ダイマー:
【化9】
Figure 0004741745
(式中、R1およびR2は、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルであるが、R1とR2は同じではない)
との混合物を含む光導電性像形成部材;
支持基体、その上の光発生層、およびこの光発生層に接した電荷輸送層を含み、上記光発生層が、少なくとも2種の下記式1の対称形ペリレンビスイミドダイマー:
【化10】
Figure 0004741745
(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルである)と、少なくとも1種の式2の末端非対称形ダイマーとの混合物を含む光導電性像形成部材;
支持基体、光発生層、および正孔輸送層を含み、上記光発生層が、少なくとも2種の下記式1のペリレン:
【化11】
Figure 0004741745
および、少なくとも1種の下記式2のペリレン:
【化12】
Figure 0004741745
(各式中、Rは、水素、アルキルまたはアリールであり;R1およびR2は、各々、水素、アルキルまたはアリールであり、R1とR2は等価ではない)
との混合物を含む光導電性像形成部材;
下記式1の対称形ペリレンビスイミドダイマー:
【化13】
Figure 0004741745
(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルである)と、下記式2の末端非対称形ダイマー:
【化14】
Figure 0004741745
(式中、R1およびR2は、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルであるが、R1とR2は同じではない)とを含むペリレン混合物の製造方法であって、
少なくとも2種の下記式3のペリレンモノイミド-モノアンハイドライドを含む混合物:
【化15】
Figure 0004741745
(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、および置換アラルキルである)を、1,3-ジアミノプロパンと縮合させることを含む上記製造方法;
上記モノイミド-モノアンハイドライド混合物が、n-ペンチルモノイミド(式3、Rがn-ペンチルである)と2-メチルブチルモノイミド(式3、Rが2-メチルブチルである)との混合物を含む部材および方法;
n-ペンチルモノイミドと2-メチルブチルモノイミドのぞれぞれのモル比が、約7:3である部材および方法;
n-ペンチルモノイミドと2-メチルブチルモノイミドのぞれぞれのモル比が、約6:4である部材および方法;
n-ペンチルモノイミドと2-メチルブチルモノイミドのぞれぞれのモル比が、約1:1である部材および方法;
n-ペンチルモノイミドと2-メチルブチルモノイミドのぞれぞれのモル比が、約4:6である部材および方法;
n-ペンチルモノイミドと2-メチルブチルモノイミドのぞれぞれのモル比が、約3:7である部材および方法;
n-ペンチルモノイミドと2-メチルブチルモノイミドのぞれぞれのモル比が、約7:3である部材および方法;
上記モノイミド-モノアンハイドライド混合物が、n-ブチルモノイミド(式3、Rがn-ブチルである)、n-ペンチルモノイミド(式3、Rがn-ペンチルである)および2-メチルブチルモノイミド(式3、Rが2-メチルブチルである)とを含む部材および方法;
上記モノイミド-モノアンハイドライド混合物が、n-ブチルモノイミド(式3、Rがn-ブチルである)、n-ペンチルモノイミド(式3、Rがn-ペンチルである)および2-メチルブチルモノイミド(式3、Rが2-メチルブチルである)の等モル混合物を含む部材および方法;
上記縮合を加熱により行う部材および方法;
支持基体とその上の光発生層を含み、この光発生層が、約3〜約12種の対称形および非対称形ペリレンビスイミドダイマー(例えば、式1および式2で表されるもの、さらに具体的には、式中、各R1とR2が異なり、例えば、水素、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル等のアルキル、フェニル、ベンジル、フェネチルなどであるもの)の混合物を含む光発生性顔料を含む多層型像形成部材;
好ましくは下記の順序で、導電性基体、樹脂バインダー組成物中に分散させた本願明細書に記載の混合ペリレンビスイミドダイマー顔料を含む光発生層、および不活性樹脂バインダー組成物中に分散させた電荷輸送分子を含む電荷輸送層を含む像形成部材;
導電性基体、不活性樹脂バインダー組成物中に分散させたアリールアミンのような正孔輸送組成物を含む正孔輸送層、およびトップ層としての樹脂バインダー組成物中に必要に応じて分散させた混合ペリレンビスイミドダイマーを含む光発生層を含む光導電性像形成部材;並びに、
導電性基体、正孔ブロッキング金属酸化物層、任意層としての接着層、樹脂バインダー組成物中に必要に応じて分散させた本発明の混合ペリレンビスイミドダイマー顔料を含む光発生層、および樹脂バインダー中に必要に応じて分散させたアリールアミン正孔輸送分子を含むアリールアミン正孔輸送層を含む像形成部材。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のペリレンダイマー顔料(式1参照)の特定の例には、Rが、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、3-メトキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-(3-メチル)ブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、シクロドデシル、フェニル、ベンジル、フェネチル、並びに芳香族環がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、エチル、t-ブチル、t-ブトキシ、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ニトロ、シアノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等のような置換基を1〜5個含有する置換フェニル、ベンジルおよびフェネチル基であるペリレンダイマー顔料がある。本発明のペリレンダイマー顔料(式2参照)の特定の例には、R1およびR2が、異なるものであり、例えば、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、3-メトキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-(3-メチル)ブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、シクロドデシル、フェニル、ベンジル、フェネチル、並びに芳香族環がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、エチル、t-ブチル、t-ブトキシ、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ニトロ、シアノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等のような置換基を1〜5個含有する置換フェニル、ベンジルおよびフェネチル基であるペリレンダイマー顔料がある。
【0013】
さらに詳細には、本発明の混合ペリレンの例は、下記の反応式のように、n-ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(式3、R = n-ペンチル)と2-メチルブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(式3、R = n-メチルブチル)の1:1混合物を1,3-ジアミノプロパンと縮合させることにより得られる混合ペリレンダイマーを含む。(3つの生成物の割合は、統計的計算および両モノイミドが同じ速度で反応するとの想定に基づく)。
【化16】
Figure 0004741745
【0014】
さらに、本発明の混合ペリレンは、下記の反応式のように、n-ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(式3、R = n-ペンチル)、n-ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(式3、R = n-ブチル)およびn-プロピルイミドペリレンモノアンハイドライド(式3、R = n-プロピル)の1:1:1混合物を1,3-ジアミノプロパンと縮合させるにより得られる混合ペリレンダイマーを含む。(下記に示す6つの生成物の割合は、統計的計算および両モノイミドが同じ速度で反応するとの想定に基づく)。
【化17】
Figure 0004741745
【0015】
本発明の方法は、異なる複数のペリレンビスイミドの混合物を生成させるものであり、得られた1つの混合物おける各成分の量は、例えば、核磁気共鳴分光測定により正確且つ完全に測定可能である。しかしながら、組成の簡単な統計的算定は、例えば、異なる複数のモノイミドすべてが例えばジアミノプロパンおよび中間アミノプロピルビスアミドと同じ速度で反応すると想定した場合になし得る。このことをさらに具体的に示すために、R基のみを用いて、式1および式2で示す異なる複数のダイマーを説明する。即ち、Rn-Rnは、2個のRn置換基を有する式1のダイマーを意味し、Rm-Rnは、異なるRm基とRn基を有する式2の非対称形ダイマーを意味する。即ち、例えば、R1基とR2基を有する式3に相応する2種のモノイミドの1:1混合物をジアミノプロパンと縮合させた場合、得られる生成物は、2種の対称形ダイマーR1-R1とR2-R2の各1部(即ち、各25%)と、非対称形ダイマーR1-R2の2部(即ち、50%)との混合物であろう。等モル比のそれぞれR1、R2およびR3基を有する3種の異なるモノイミドにおいては、次の6種の異なる生成物が生ずるであろう:1部のR1-R1、1部のR2-R2、1部のR3-R3、2部のR1-R2、2部のR1-R3および2部のR2-R3。同様に、等モル量のR1、R2、R3およびR4基を有する4種の異なるモノイミドにおいては、10種の生成物が得られるであろう:R1-R1、R2-R2、R3-R3およびR4-R4の各1部、並びにR1-R2、R1-R3、R1-R4、R2-R3、R2-R4およびR3-R4の各2部。この予測は、数学的に次のように説明できる:同様な反応性を有するR1、R2、R3等からRnまでの異なる置換基を有する等モル量のn数の異なるモノイミドから生成させ得る可能性ある組合せ数は、n数の対称形ダイマーRn-Rnの各1部と(n2-n)/2数の非対称形ダイマーRm-Rnの各2部を含む総計でn2である。同様な統計的方法を用いて、等量でない縮合から得られるダイマーの組成も推定できる。例えば、R1およびR2置換基を有するそれぞれのモノイミドの2:1混合物を用いる場合、生成物混合物は、R1-R1の4部、R2-R2の1部およびR1-R2の4部を含む9種の異なるダイマーの組合せを含有するであろう。同様に、R1およびR2置換基を有するそれぞれのモノイミドの6:4混合物は、可能性ある組合せ100種、即ち、36種がR1-R1ダイマー、16種がR2-R2ダイマー、48種がR1-R2ダイマーであろう。
【0016】
一般に、式1と式2のペリレンビスイミドは、式3のモノイミドの混合物をジアミンと反応させることによって調製できる。さらに詳細には、式1と式2のペリレンは、約2当量のモノイミド-モノアンハイドライド中間体(この中間体は、米国特許第4,709,029号およびH. Troster, Dyes and Pigments, 4 (1983), 171-183に一般的例示されているようにして調製できる)を1当量のジアミンと反応させることによって、さらに詳細には、第1級アミンR-H2(式中、Rはアルキルのような適当な置換基であり、このアミンは、2種以上の異なるアミンの混合物で置換し得る)を、例えばペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸モノアンハイドライドモノカリウム塩と反応させることによって調製できる。混合モノイミド中間体は、n-ペンチルアミンと2-メチルブチルアミンの50:50混合物の反応により調製でき、2種のモノイミドの混合物を用いる場合、得られるペリレン混合物は3つの化合物を含む。
【0017】
本発明の混合ダイマーは、式3のモノイミドの2種以上の混合物を好ましくは1,3-ジアミノプロパンと、約1.5〜4モル当量のモノイミド対1当量のジアミンの比で、ジメチルホルムアミド(DMF)、デカリン、スルホラン、イミダゾールまたは1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)等の高沸点溶媒中で、約1〜55部のモノイミド(混合物の合計重量)対約100部(重量部)の溶媒の比で縮合させることによって調製できる。次いで、混合物を、窒素またはアルゴンガスのような不活性雰囲気下に、約100℃〜250℃の温度で適当な時間、例えば、約1/2〜約24時間攪拌する。その後、反応混合物を約25℃〜約175℃に冷却し、濾過し、分離した固形分を、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、N-メチルピロリジノン(NMP)、メタノールおよび水のような溶媒約1〜約10部で、約25℃〜約125℃の温度で洗浄する;洗浄溶媒の割合は、縮合反応を行うのに最初に用いた溶媒量の約10〜約50%である。次に、洗浄した生成物を約50℃〜約200℃の温度で乾燥させて、最終の混合ペリレン光発生性生成物を得る。
【0018】
1つの方法の実施態様においては、モノイミド混合物約2〜約2.5当量対ジアミノプロパン1当量の比を、DMF(ジメチルホルムアミド)またはNMPのような溶媒(モノイミド混合物約10〜約25重量部対溶媒100重量部に相応する量の)中で用い、約155℃〜約205℃の温度で約1〜約6時間加熱し、次いで反応混合物を約90℃〜約175℃に冷却し、この高温混合物を濾過し、固形分を4〜6部(この割合は、上記反応溶媒の約50%に相応する量である)のDMFまたはNMPで約90℃〜約175℃の温度で洗浄し次いで1〜4部(上記と同様)のメタノールで洗浄し、得られた固形生成物を約60℃〜約100℃で乾燥させる。必要に応じて、最終洗浄工程においては、メタノールの代りに水を用いてもよく、得られた顔料湿潤ケーキは凍結乾燥させることができる。この処理は、時折分散させるのが困難な硬いケーキ化顔料塊状物を生成させ得るオーブン乾燥させた溶媒洗浄顔料よりも溶媒中に容易に分散できる微細な粉末顔料を一般に提供する。
【0019】
必要に応じて、洗浄した固形混合ダイマー生成物は、水中約1〜約10重量%のアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムまたはカリウム等)のような塩基性溶液中で約25℃〜約100℃の温度で有効時間、例えば、約1〜約72時間攪拌し、次いで濾過し、水洗することができる。この処理は、存在し得る場合の残留未反応モノイミドを深紫色水溶性塩に転化することによって除去するように機能し、この塩は、固形物を水洗することによって除去する。好ましい塩基洗浄処理においては、約2〜約5%水酸化カリウム水溶液を約25℃〜約80℃の温度で約2〜約24時間使用し、次いで濾過し、洗浄液が無色になるまで固形物を水洗する。
【0020】
像形成基体は、導電性材料から全体としてなっていてもよく、或いは導電性表面を有する絶縁性材料を含んでいてもよい。基体は、一般に約100ミル(2.54 mm)の実質的厚さ、好ましくは約1〜50ミル(0.0254 mm〜1.27 mm)の厚さを有し得るが、その厚さはこの範囲外であってもよい。基体層の厚さは、経済性および機械的特性のような多くの要因に依存する。即ち、この層は、例えば100ミル(2.54 mm)以上の実質的厚さ、或いは悪影響を及ぼさない限りの最小厚さを有し得る。とりわけ好ましい実施態様においては、この層の厚さは、約3ミル(0.0762 mm)〜約10ミル(0.254 mm)である。基体は、不透明または実質的に透明であり得、所望の機械的特性を有する数多くの適当な材料を含み得る。基体全体が導電性表面における材料と同じ材料を含み得。或いは導電性表面が基体上の単なるコーティングであってもよい。典型的な導電性材料には、銅、黄銅、ニッケル、亜鉛、クロム、ステンレススチール、導電性プラスチックおよびゴム、アルミニウム、半透明アルミニウム、スチール、カドミウム、チタン、銀、金、適当な材料を含ませることにより或いは湿分雰囲気で状態調節して十分量の水分を存在させて導電性とすることにより導電性を付与した紙、インジウム、錫、酸化錫および酸化インジウム錫のような金属酸化物類等がある。基体層は、厚さにおいて、光導電性部材の所望の用途により実質的に広い範囲に亘って変化し得る。一般的に、導電性層は、100のような約50Å〜数cmの厚さ範囲にあるが、その厚さはこの範囲外であってもよい。可撓性の電子写真像形成部材を所望する場合には、その厚さは、典型的に約100Å〜約750Åである。基体は、有機または無機材料のような任意の他の通常の材料を含み得る。典型的な基体材料には、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、紙、ガラス、プラスチック、MYLAR(登録商標)(E.I. DuPont社から入手可能)またはMELINEX 447(登録商標)(ICI Americas社から入手可能)のようなポリエステル等のようなこの目的において公知の種々の樹脂のような絶縁性非導電性材料がある。所望ならば、導電性基体を絶縁性材料上にコーティングしてもよい。さらに、基体は、チタン処理またはアルミニウム処理MYLAR(登録商標)のような金属処理プラスチックを含み得、その金属処理表面は、光発生層または基体と光発生層間にある他の任意の層と接触している。コーティングしたまたはコーティングしていない基体は、可撓質または硬質であり得、プレート、円筒状ドラム、スクロールまたはエンドレス可撓性ベルト等の任意の多くの形状を有し得る。基体の外表面は、好ましくは、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化チタン等の金属酸化物を含む。
【0021】
各実施態様において、基体とその後塗布された層との間に中間の接着層が接着性改善のために望まれ得る。そのような接着層を用いる場合、それらの接着層は、好ましくは、約0.1ミクロン〜約5ミクロンの乾燥厚を有するが、その厚さはこの範囲外であってもよい。典型的な接着層には、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、およびこれらの混合物のようなフィルム形成性ポリマーがある。基体表面は金属酸化物層または接着層であり得るので、基体なる表現は、金属酸化物層上に接着層を含む或いは含まない金属酸化物層を含むものとする。さらにまた、ポリマー保護オーバーコーティング等のような他の公知の層も、本発明の光導電性像形成部材において使用できる。
【0022】
光発生層は、例えば約0.05ミクロン〜約10ミクロンの有効厚さを有し、各実施態様において、約0.1ミクロン〜約3ミクロンの厚さを有する。この層の厚さは、一般に約5〜100%であり得る層中の光発生性物質の濃度に主として依存する。100%の値は、光発生層を本発明のペリレン顔料混合物の蒸着により形成させたときに一般に生ずる。光発生性物質をバインダー材料中に存在させる場合、バインダーは、例えば、約25〜約95重量%の光発生性物質を含有し、好ましくは、約60〜約80重量%の光発生性物質を含有する。一般に、この層は、この層に像形成またはプリンティング露光工程において照射する照射光の約90〜約95%以上を吸収するに十分な厚さで形成させるのが望ましい。この層の最高厚は、使用した特定の光発生性混合物、他の層の厚さ、および可撓性の光導電性像形成部材が所望されるかどうかのような機械特性のような要因に主として依存する。
【0023】
典型的な輸送層、とりわけ正孔輸送層は、例えば、米国特許第4,265,990号、第4,609,605号、第4,297,424号および第4,921,773号に記載されている。有機電荷輸送材料も使用できる。
【0024】
米国特許第4,306,008号、第4,304,829号、第4,233,384号、第4,115,116号、第4,299,897号、第4,081,274号および第5,139,910号に記載されているタイプの正孔輸送分子を、本発明の像形成部材において使用できる。典型的なジアミン正孔輸送分子には、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(4-メチルフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(2-メチルフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-エチルフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(4-エチルフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(4-n-ブチルフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-クロロフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(4-クロロフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(フェニルメチル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N,N',N'-テトラフェニル-[2,2'-ジメチル-1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジアミン、N,N,N',N'-テトラ-(4-メチルフェニル)-[2,2'-ジメチル-1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(4-メチルフェニル)-[2,2'-ジメチル-1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(2-メチルフェニル)-[2,2'-ジメチル-1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-[2,2'-ジメチル-1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-ピレニル-1,6-ジアミン等がある。
【0025】
電荷輸送成分は、一般に約5〜約90重量%、好ましくは約20〜約75重量%、より好ましくは約30〜約60重量%の有効量で電荷輸送層中に存在するが、その量は、この範囲外であってもよい。
【0026】
電荷輸送層用の高絶縁性で透明な樹脂成分、即ち、不活性バインダー材料の例には、米国特許第3,121,006号に記載されているようなバインダーがある。適切な有機樹脂材料の特定の例には、ポリカーボネート、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、セルローズポリマー、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ、並びにこれらのブロック、ランダムまたは交互コポリマーがある。好ましい電気的に不活性なバインダーは、約20,000〜約100,000の分子量を有するポリカーボネートであり、約50,000〜約100,000の範囲の分子量(Mw)が特に好ましい。一般に、樹脂バインダーは、約5〜約90重量%、好ましくは約20〜約75重量%の前述の式に相応する活性物質を含有する。
【0027】
ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリビニルカルバゾール、ポリカーボネート、ポリビニルホルマール、ポリ(ビニルアセタール)および米国特許第3,121,006号に例示されているもののような適当なバインダー材料を、光発生層において使用できる。
【0028】
光導電性像形成部材は、必要に応じて、導電性基体と光発生層の間に位置する電荷ブロッキング層を含有し得る。この層は、酸化アルミニウム等のような金属酸化物、またはシランおよびナイロンのような材料を含み得る。さらなる適切な材料の例としては、ポリイソブチルメタクリレート、スチレン/ n-ブチルメタクリレートのようなスチレンとアクリレートのコポリマー、スチレンとビニルトルエンのコポリマー、ポリカーボネート、アルキル置換ポリスチレン、スチレン-オレフィンコポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリターペン、シリコーンエラストマー、これらの混合物、これらのコポリマー等がある。この層の主目的は、荷電中または荷電後の基体からの電荷注入を防止することである。この層は、50オングストローム未満から約10ミクロンの厚さを有するが、好ましくは約2ミクロンを越えない。
【0029】
【実施例】
合成例
以下の合成例における出発モノアンハイドライドモノイミド(式3)は、米国特許第4,501,906号に記載されている方法により、或いはこの方法の僅かな修正により調製した。混合ダイマーの構造または式は、トリフルオロ酢酸を含有する溶媒混合物中での1Hおよび13C核磁気共鳴分光測定により主として確立した。トリフルオロ酢酸-塩化メチレン溶液中の可視光線吸収スペクトルも各生成物において測定した。各ビスイミドダイマーは、約500 nmと540 nmで溶液吸収最高値を示し、これが溶液溶媒系におけるペリレンビスイミド発色団の特性表示である。以下の合成例の反応物および生成物を完全且つ適切に説明する学術命名法は、複雑であり得る。従って、混乱と不明確さを回避或いは最小にするため、各化合物は、式1、2および3に関連して説明する。
以下の合成例は、使用した一般的合成および精製方法の代表的なものである。
【0030】
合成例 1
n- ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ペンチル ) 2- メチルブチルイミドペリレンモノアンハイドライドの 60 40 混合物と 1,3- ジアミノプロパンとの縮合
450 mlの1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)中のn-ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(式3、R = n-ペンチル、5.53 g、0.012モル)と2-メチルブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(式3、R = 2-メチルブチル、3.69 g、0.008モル)の60:40混合物を、1,3-ジアミノプロパン(0.667 g、0.751 ml、0.0090モル)で処理した。混合物を室温の約25℃〜約30℃で30分間攪拌し、次いで還流(202℃)に70分間加熱した。得られた黒色懸濁液を周囲温度〜150℃で攪拌により冷却し、次いで濾過した。得られた固形物を、4×100 ml部の沸騰N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)、次いで25 mlの冷DMF、さらに4×25 ml部のメタノールで洗浄した。生成物を60℃で乾燥させて8.2 g (95%収率)の黒色固形物を得た。この生成物の陽子磁気共鳴スペクトルは、この生成物が、R = n-ペンチルである式1に相応するダイマー 約36%;R = 2-メチルブチルである式1に相応するダイマー 約16%;およびR1 = n-ペンチル、R2 = 2-メチルブチルである式2に相応するダイマー 約48%の混合物を含むことを示した。
【0031】
合成例 2
n- ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ブチル ) n- ヘキシルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ヘキシル ) 1 1 混合物と 1,3- ジアミノプロパンとの縮合
モノ-n-ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.23 g、0.00275モル)とモノ-n-ヘキシルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.31 g、0.00275モル)を150 mlのNMP中で室温で30分間攪拌し、1,3-ジアミノプロパン(0.185 g、209μL、0.00250モル)を加え、得られた混合物を室温の約25℃で30分間攪拌し、次いで還流下に1時間加熱した。得られた混合物を150℃に冷却し、濾過した。得られた固形物を、4×50 ml部の沸騰N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)、次いで20 mlの冷DMF、さらに2×20 ml部の水で洗浄した。得られた湿潤ケーキを、2 gの水酸化カリウムを含有する200 mlの水中で18時間激しく攪拌した。次いで、生成物を濾過し、5×100 ml部の水で、さらに3×25 mlのメタノールで洗浄した。60℃で乾燥させて、2.2 g (92%)の漆黒粉末を得た。この生成物の陽子磁気共鳴スペクトルは、この生成物が、R = n-ブチルである式1に相応するダイマー 約25%;R = n-ヘキシルである式1に相応するダイマー 25%;およびR1 = n-ブチル、R2 = n-ヘキシルである式2に相応するダイマー 50%の混合物を含むことを示した。
【0032】
合成例 3
n- ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ブチル ) n- ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ペンチル ) 1 1 混合物と 1,3- ジアミノプロパンとの縮合
実施例2の合成および精製手順を、n-ヘキシルイミドアンハイドライドの代りにn-ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.27 g)を用いて繰返し、それによって2.3 gの粗生成物を得、塩基生成後に、2.2 g (93%)の黒色粉末を得た。この生成物の陽子磁気共鳴スペクトルは、この生成物が、R = n-ブチルである式1に相応するダイマー 約25%;R = n-ペンチルである式1に相応するダイマー 25%;およびR1 = n-ブチル、R2 = n-ペンチルである式2に相応するダイマー 50%の混合物を含むことを示した。
【0033】
合成例 4
イソブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = イソブチル ) n- ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ペンチル ) 1 1 混合物と 1,3- ジアミノプロパンとの縮合
実施例3の合成および精製手順を、n-ブチルモノイミドアンハイドライドの代りにイソブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.23 g)を用いて繰返し、かくして、塩基精製後に、2.1 g (89%)の黒色固形物を得た。この生成物の陽子磁気共鳴スペクトルは、この生成物が、R = イソブチルである式1に相応するダイマー 約25%;R = n-ペンチルである式1に相応するダイマー 25%;およびR1 = イソブチル、R2 = n-ペンチルである式2に相応するダイマー 50%の混合物を含むことを示した。
【0034】
合成例 5
n- ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ブチル ) n- ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ペンチル ) および 2- メチルブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = 2- メチルブチル ) 1 1 1 混合物と 1,3- ジアミノプロパンとの縮合
150 mlのNMP中のn-ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.12 g、0.0025モル)、n-ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.15 g、0.0025モル)および2-メチルブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.15 g、0.0025モル)の攪拌混合物を、1,3-ジアミノプロパン(292μl、0.0035モル)で処理した。得られた混合物を還流(202℃)下に2時間加熱し、次いで150℃に冷却し、濾過した。得られた固形物を、沸騰DMF、次いで冷DMF、さらにメタノールで上記各合成例におけるようにして洗浄し、次いで乾燥させて3.15 g (94%)の黒色固形物を得た。この生成物の陽子磁気共鳴スペクトルは、この生成物が、R = n-ブチルである式1に相応するダイマー約11%;R = n-ペンチルである式1に相応するダイマー 11%;R = 2-メチルブチルである式1に相応するダイマー 11%;R1 = n-ブチル、R2 = n-ペンチルである式2に相応するダイマー 22%;R1 = n-ブチル、R2 = 2-メチルブチルである式2に相応するダイマー 22%;およびR1 = n-ペンチル、R2 = 2-メチルブチルである式2に相応するダイマー 22%からなる6種の化合物の混合物を含むことを示した。
【0035】
合成例 6
n- ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ブチル ) n- ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ペンチル ) および 2- メチルブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = 2- メチルブチル ) それぞれの 2 1 1 混合物と 1,3- ジアミノプロパンとの縮合
175 mlのNMP中のn-ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(2.24 g、0.0050モル)、n-ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.15 g、0.0025モル)および2-メチルブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.15 g、0.0025モル)の攪拌混合物を、1,3-ジアミノプロパン(376μl、0.0045モル)で処理した。得られた混合物を還流(202℃)下に2時間加熱し、次いで約150℃に冷却し、濾過した。得られた固形物を、沸騰DMF、次いで冷DMF、さらにメタノールで上記各合成例におけるようにして洗浄し、次いで乾燥させて4.06 g (95%)の黒色固形物としてのペリレン顔料混合物を得た。この生成物の陽子磁気共鳴スペクトルは、この生成物が、R = n-ブチルである式1に相応するダイマー 約4部;R = n-ペンチルである式1に相応するダイマー 1部;R = 2-メチルブチルである式1に相応するダイマー 1部;R1 = n-ブチル、R2 = n-ペンチルである式2に相応するダイマー 4部;R1 = n-ブチル、R2 = 2-メチルブチルである式2に相応するダイマー 4部;およびR1 = n-ペンチル、R2 = 2-メチルブチルである式2に相応するダイマー 4部からなる6種の化合物の混合物を含むことを示した。
【0036】
合成例 7
n- ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ブチル ) n- ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ペンチル ) および 2- メチルブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = 2- メチルブチル ) それぞれの 1 2 1 混合物と 1,3- ジアミノプロパンとの縮合
175 mlのNMP中のn-ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.12 g、0.0025モル)、n-ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(2.30 g、0.0050モル)およびモノ(2-メチルブチルイミド)ペリレンモノアンハイドライド(1.15 g、0.0025モル)の攪拌混合物を、1,3-ジアミノプロパン(376μl、0.0045モル)で処理した。得られた混合物を還流(202℃)下に2時間加熱し、次いで約150℃に冷却し、濾過した。得られた固形物を、沸騰DMF、次いで冷DMF、さらにメタノールで上記各合成例におけるようにして洗浄し、次いで乾燥させて4.01 g (94%)の黒色固形物としてのペリレン顔料混合物を得た。この生成物の陽子磁気共鳴スペクトルは、この生成物が、R = n-ブチルである式1に相応するダイマー 約1部;R = n-ペンチルである式1に相応するダイマー 4部;R = 2-メチルブチルである式1に相応するダイマー 1部;R1 = n-ブチル、R2 = n-ペンチルである式2に相応するダイマー 2部;R1 = n-ブチル、R2 = 2-メチルブチルである式2に相応するダイマー 4部;およびR1 = n-ペンチル、R2 = 2-メチルブチルである式2に相応するダイマー 4部からなる6種の化合物の混合物を含むことを示した。
【0037】
合成例 8
n- プロピルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- プロピル ) n- ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ペンチル ) および 2- メチルブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ヘプチル ) 1 1 1 混合物と 1,3- ジアミノプロパンとの縮合
150 mlのNMP中のn-プロピルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.08 g、0.0025モル)、n-ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.15 g、0.0025モル)およびn-ヘプチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.22 g、0.0025モル)の攪拌混合物を、1,3-ジアミノプロパン(0.259 g、292μl、0.0035モル)で処理した。得られた混合物を還流(202℃)下に1時間加熱し、次いで160℃に冷却し、濾過した。得られた固形物を、4×50 ml部の沸騰DMF、次いで3×20 ml部のメタノールで洗浄し、その後、乾燥させて3.1 g (94%)の黒色固形物を得た。この生成物の陽子磁気共鳴スペクトルは、この生成物が、R = n-プロピルである式1に相応するダイマー 約11%;R = n-ペンチルである式1に相応するダイマー 11%;R = n-ペンチルである式1に相応するダイマー 11%;R1 = n-プロピル、R2 = n-ペンチルである式2に相応するダイマー 22%;R1 = n-プロピル、R2 = n-ヘプチルである式2に相応するダイマー 22%;およびR1 = n-ペンチル、R2 = n-ヘプチルである式2に相応するダイマー 22%からなる6種の化合物の混合物を含むことを示した。
【0038】
合成例 9
n- ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ブチル ) 、ネオペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = ネオペンチル ) および 2- メチルブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = ベンジル ) それぞれの 1 1 1 混合物と 1,3- ジアミノプロパンとの縮合
150 mlのNMP中のn-ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.12 g、0.0025モル)、ネオペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.15 g、0.0025モル)およびモノ(ベンジルイミド)ペリレンモノアンハイドライド(1.20 g、0.0025モル)の攪拌混合物を、1,3-ジアミノプロパン(292μl、0.0035モル)で処理した。得られた混合物を還流(202℃)下に1時間加熱し、次いで約150℃に冷却し、濾過した。得られた固形物を、4×50 ml部の沸騰DMF、次いで冷DMF、さらにメタノールで上記各合成例におけるようにして洗浄し、次いで乾燥させて3 g (88%)の黒色固形物を得た。この生成物の陽子磁気共鳴スペクトルは、この生成物が、R = n-ブチルである式1に相応するダイマー 約11%;R = ネオペンチルである式1に相応するダイマー 11%;R = ベンジルである式1に相応するダイマー 11%;R1 = n-ブチル、R2 = ネオペンチルである式2に相応するダイマー 22%;R1 = n-ブチル、R2 = ベンジルである式2に相応するダイマー 22%;およびR1 = ネオペンチル、R2 = ベンジルである式2に相応するダイマー 22%からなる6種の化合物の混合物を含むことを示した。
【0039】
合成例 10
n- プロピルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- プロピル ) n- ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ブチル ) n- ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- ペンチル ) および n- オクチルイミドペリレンモノアンハイドライド ( 3 R = n- オクチル ) それぞれの 1 1 1 1 混合物と 1,3- ジアミノプロパンとの縮合
300 mlのNMP中のn-プロピルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.20 g、0.00275モル)、n-ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.23 g、0.00275モル)、n-ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.27 g、0.00275モル)およびn-オクチルイミドペリレンモノアンハイドライド(1.38 g、0.00275モル)の攪拌混合物を、1,3-ジアミノプロパン(0.371 g、417μl、0.0050モル)で処理した。得られた混合物を還流(202℃)下に1 1/4時間加熱し、次いで160℃に冷却し、濾過した。得られた固形物を、3×100 ml部の沸騰DMF、次いで3×20 mlのメタノールで洗浄し、その後、乾燥させて4.4 g (92%)の黒色固形物(ペリレン混合物)を得た。この生成物の陽子磁気共鳴スペクトルは、この生成物が、R = n-プロピルである指揮に相応するダイマー 約1部;R = n-ブチルである式1に相応するダイマー 1部;R = n-ペンチルである式1に相応するダイマー 1部;R = n-オクチルである式1に相応するダイマー 1部;R1 = n-プロピル、R2 = n-ブチルである式2に相応するダイマー 2部;R1 = n-プロピル、R2 = n-ペンチルである式2に相応するダイマー 2部;R1 = n-プロピル、R2 = n-オクチルである式2に相応するダイマー 2部;R1 = n-ブチル、R2 = n-ペンチルである式2に相応するダイマー 2部; R1 = n-ブチル、R2 = n-オクチルである式2に相応するダイマー 2部;およびR1 = n-ペンチル、R2 = n-オクチルである式2に相応するダイマー 2部からなる10種の化合物の混合物を含むことを示した。
【0040】
比較合成例 1
ビス (n- ペンチル ) 対称形ダイマーの合成。式 1 R = n- ペンチル
化合物 (n-ペンチルイミド)ペリレンモノアンハイドライド、式3、R = n-ペンチル(20.3 g、0.044モル)を、窒素雰囲気下に、1,250 mlのNMP中で攪拌した。1,3-ジアミノプロパン(1.483 g、1.67 ml、0.020モル)を加え、混合物を室温で15分間攪拌し、次いで還流(202℃)に2時間加熱した。得られた黒色懸濁液を160℃に冷却し、濾過した。固形物を、4×400 ml部の沸騰DMF、次いで200 mlの冷DMF、さらに2×100 ml部のメタノールで洗浄した。生成物を60℃で乾燥させて、17.8 g (93%収率)の微細黒色粉末を得た。
【0041】
比較合成例 2
ビス (n- メチルブチル ) 対称形ダイマーの合成。式 1 R = n- メチルブチル
300 mlのNMP中の2-メチルブチルイミ)ペリレンモノアンハイドライド(式3、R = 2-メチルブチル) 5.07 g(.011モル) 分散液を、0.371 g (417μL、0.0050モル)の1,3-ジアミノプロパンで処理した。混合物を窒素下に室温で15分間攪拌し、次いで還流(202℃)に2時間加熱した。得られた混合物を155℃に冷却し、濾過し、3×100 ml部の沸騰DMF、次いで50 mlの冷DMF、さらに3×25 ml部のメタノールで洗浄した。生成物を60℃で乾燥させて、4.55 g (95%収率)の微細褐色粉末を得た。
【0042】
比較合成例 3
純粋粋非対称形 n- ペンチル -2- メチルブチルダイマーの合成。式 2 R 1 = n- ペンチル、 R 2 = 2- メチルブチル
n-ペンチルイミドペリレンモノアンハイドライド(式3、R = n-ペンチル、2.31 g、0.0050モル)と2-メチルブチルイミド-3-アミノプロピルイミド-ペリレン酢酸塩(米国特許出願第09/165,595号に記載されているようにして調製、2.60 g、0.045モル)の混合物を300 mlのNMP中で攪拌し、次いで還流に1時間加熱した。混合物を150℃に冷却し、濾過した。得られた固形物を3×50 ml部の沸騰DMF、次いで2×10 ml部のメタノールで洗浄した。得られた湿潤ケーキを、2 gの水酸化カリウムを含有する125 mlの水中で16時間激しく攪拌した。濾過し、4×100 ml部の沸騰水および2×25 ml部のメタノールで洗浄し、60℃で乾燥させて、3.7 g (87%収率)の上記末端非対称形ダイマーを得た。
【0043】
比較合成例 4
ビス (n- ブチル ) 対称形ダイマーの合成。式 1 R = n- ブチル
化合物 n-ブチルイミドペリレンモノアンハイドライド、式3、R = n-ペンチル(20.3 g、0.044モル)を、窒素雰囲気下に、1,250 mlのNMP中で攪拌した。1,3-ジアミノプロパン(1.483 g、1.67 ml、0.020モル)を加え、混合物を室温で15分間攪拌し、次いで還流(202℃)下に2時間加熱した。得られた黒色懸濁液を160℃に冷却し、濾過した。固形物を、4×400 ml部の沸騰DMF、次いで200 mlの冷DMF、さらに2×100 ml部のメタノールで洗浄した。生成物を60℃で乾燥させて、17.8 g (93%収率)の微細黒色粉末を得た。
【0044】
比較合成例 5
ビス (n- ヘキシル ) 対称形ダイマーの合成。式 1 n- ヘキシル
n-ヘキシルイミドペリレンモノアンハイドライド(式3、R = n-ヘキシル、4.18 g、0.0088モル)を、窒素雰囲気下に、200 mlのNMP中で攪拌した。1,3-ジアミノプロパン(0.296 g、0.334 ml、0.0040モル)を加え、混合物を室温で15分間攪拌し、次いで還流(202℃)に3時間加熱した。得られた黒色懸濁液を155℃に冷却し、濾過した。得られた固形物を、4×50 ml部の沸騰DMF、次いで50mlの冷DMF、さらに3×50 ml部のメタノールで洗浄した。生成物を60℃で乾燥させて、3.7 g (94%収率)の黒色固形物を得た。
【0045】
比較合成例 6
純粋非対称形 n- ブチル -n- ヘキシルダイマーの合成。式 2 R 1 = n- ブチル、 R 2 = n- ヘキシル
200mlのNMP中のn-ヘキシルイミドペリレンモノアンハイドライド(式3、R = n-ヘキシル、2.37 g、0.0050モル)とn-ブチルイミド-3-アミノプロピルイミド-ペリレン酢酸塩(米国特許出願第09/165,595号に記載されているようにして調製、2.02 g、0.040モル)の混合物を攪拌し、次いで還流に1 1/2時間加熱した。混合物を155 ℃に冷却し、濾過した。得られた固形物を3×75 ml部の沸騰DMF、次いで3×20 ml部のメタノールで洗浄した。生成物を、2 gの水酸化カリウムを含有する100 mlの水中で48時間激しく攪拌した。濾過し、2×100 ml部の水、次いで2×50 ml部の沸騰水および2×20 ml部のメタノールで洗浄し、60℃で乾燥させて、2.9 g (76%収率)の上記末端非対称形ダイマーを得た。
【0046】
ペリレンダイマー混合物のゼログラフィ評価
感光性像形成部材を、合成例1〜10および比較合成例1〜6で得られた各ペリレンダイマー顔料を用いて作成した。これらの感光性または光導電性像形成部材は、光発生体層およびその上の電荷輸送層を含有する二重層感光体として一般に知られている。感光体層は、顔料分散液から次のようにして形成させた:0.2 gのペリレンダイマー顔料を、0.05 gのポリビニルカルバゾール(PVK)ポリマーおよび8.1 mlの塩化メチレンと、70 gの1/8インチ(3.175 mm)ステンレススチール球を含む30 mlのガラスビン中で混合した。ガラスビンをロールミル上に置き、分差熱交換器を4日間ミリングした。1.5ミル(38.1ミクロン)間隙のフィルムアプリケーターを用いて、顔料分散液を、表面上の厚さ0.1ミクロンのガンマアミノプロピルトリエトキシシラン層とその上の厚さ0.1ミクロンのE.I. DuPont 49,000ポリエステル接着層とを有する厚さ75ミクロンのチタン処理MYLAR(登録商標)基体上にコーティングして感光体層を形成させた。その後、形成させた感光体層を、強制送風炉内で、135℃で20分間乾燥させた。各光導電性部材の感光体層には、次のようにして調製したアミン電荷輸送層をオーバーコーティングした。輸送層溶液を、8.3 gのMAKROLONTM (ポリカーボネート)、4.4 gのN,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミンおよび82.3 gの塩化メチレンを混合することによって調製した。この溶液を、上記光発生層上10ミル(0.254 mm)間隙のフィルムアプリケーターを用いてコーティングした。得られた部材を、強制送風炉内で、135℃で20分間乾燥させた。輸送層の最終感想厚は、20ミクロンであった。
【0047】
次に、各像形成部材のゼログラフィ電気特性を、コロナ放電光導電性部材を用い、電位計に接続した容量結合プローブで測定したときの表面電位が初期値Vo = 800ボルトに達するまで、像形成部材表面を静電的に荷電することによって測定した。暗中に0.5秒間静置後、荷電した部材がVddp(暗発生電位)の電位に達したところで、部材をフィルター付きキセノンランプからの光に露光させた。表面電位のVbg(光放電効果による背景電位)への低下を観察した。ボルト/秒での暗減衰は、(Vo‐Vddp)/0.5として算出した。暗減衰値が低いほど、像形成部材が露光前にその電荷を保持する能力は優れている。同様にVddpが低いほど、像形成部材の荷電挙動は貧弱である。%光放電は、100%×(Vddp‐Vbg)/Vddpとして算出した。像形成部材を露光工程中に光放電させるのに用いた光エネルギーは、光測計で測定した。像形成部材の感光度は、E1/2、即ち、暗発生電位から50%光放電を達成するのに要するエルグ/cm2での露光エネルギー量で示し得る。感光度が高い程、E1/2値は小さい。高感光度(低いE1/2値)、低い暗減衰および高荷電性が、ゼログラフィ像形成部材の改善された性能において望まれる。
【0048】
下記の表1は、10合成例の顔料で作成した光導電性部材において得られたゼログラフィ電気結果を要約している。用いた露光光は、620 nmの波長であった。
【0049】
【表1】
1
混合 2 量体ペリレンビスイミドの感光度
Figure 0004741745
【0050】
本発明の混合2量体光発生性顔料(合成例1〜10)を含むすべての像形成部材は、許容し得る800ボルトの電荷アクセプタンスを示し、その殆どが約40〜約100ボルト/秒の暗減衰を示した。すべての部材が、E1/2 = 2.28〜3.13エルグ/cm2の範囲の感光度を示した。
【0051】
これらのペリレン顔料ダイマー混合物の粗製または構造とこれら顔料のゼログラフィ像形成用途における光発生体顔料としての有効性との間に、厳密な経験的または理論的相関はないようである。しかしながら、多くの本発明の混合二量体ペリレンビスイミドが、例えば米国特許第5,645,965号、第5,683,842号、および米国特許出願第09/165,595号に記載されている純粋二量体ペリレンビスイミド顔料の幾つかに比べ、改善された感光度を有することを見出した。
【0052】
このことは表2において具体的に示しており、表2は、合成例1および2の混合顔料組成物から作成した光導電性部材の感光度とこれら混合物中に存在する個々の成分を用いて得られた感光度を比較している。前述のようにして調製したn-ペンチル-2-メチルブチル混合ダイマー顔料(合成例1)は、2.28エルグ/cm2の感光度E1/2を有する像形成部材を提供した。相応する純粋n-ペンチルダイマー(式1、R = n-ペンチル、比較合成例1)は2.85エルグ/cm2、純粋2-メチルブチルダイマー(式1、R = 2-メチルブチル、比較合成例2)は5.45エルグ/cm2、末端非対称形ダイマー(式2、R1 = n-ペンチル、R2 = 2-メチルブチル、比較合成例3)は3.33エルグ/cm2を与えた。同様に、n-ブチル-n-ヘキシル混合ダイマー(合成例2)は、2.51エルグ/cm2の感光度E1/2を有する像形成部材を提供した。相応する純粋ビスn-ブチルダイマー(式1、R = n-ブチル、比較合成例4)は2.85エルグ/cm2、純粋n-ヘキシルダイマー(式1、R = n-ヘキシル、比較合成例5)は4.34エルグ/cm2、末端非対称形ダイマー(式2、R1 = n-ブチル、R2 = n-ヘキシル、比較合成例6)は2.73エルグ/cm2を与えた。
【0053】
【表2】
2
混合および純粋二量体ペリレンビスイミドの感光度
Figure 0004741745

Claims (8)

  1. 少なくとも2種の下記式1の対称形ペリレンビスイミドダイマー:
    Figure 0004741745
    (式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルである);および、
    少なくとも1種の下記式2の末端非対称形ダイマー:
    Figure 0004741745
    (式中、R1およびR2は、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルであるが、R1とR2は同じではない);
    の混合物を含む光導電性像形成部材。
  2. 混合物が、Rがn-ペンチルである式1、Rが2-メチルブチルである式1、およびR1がn-ペンチルでありR2が2-メチルブチルである式2に相応する3種のダイマーを含む請求項1記載の光導電性像形成部材。
  3. 混合物が、Rがn-ペンチルである式1を25%、Rが2-メチルブチルである式1を25%、およびR1がn-ペンチルでありR2が2-メチルブチルである式2を50%含む請求項2記載の光導電性像形成部材。
  4. 混合物が、Rがn-ペンチルである式1を36%、Rが2-メチルブチルである式1を16%、およびR1がn-ペンチルでありR2が2-メチルブチルである式2を48%含む請求項1記載の光導電性像形成部材。
  5. 混合物が、Rがn-ペンチルである式1;Rが水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルである式1;およびR1がn-ペンチルでありR2が水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールである式2に相応する3種のダイマーを含む請求項1記載の光導電性像形成部材。
  6. 混合物が、Rがn-ブチルである式1、Rがn-ペンチルである式1、Rが2-メチルブチルである式1、R1がn-ブチルでありR2がn-ペンチルである式2、R1がn-ブチルでありR2が2-メチルブチルである式2、R1がn-ペンチルでありR2が2-メチルブチルである式2の6種のダイマーを、それぞれ、およそ1:1:1:2:2:2の比で含む請求項1記載の光導電性像形成部材。
  7. ダイマー混合物がバインダー中に分散されており、ダイマー混合物が前記ダイマー混合物と前記バインダーとの合計重量に基づいて5〜95重量%の量で存在する請求項1記載の光導電性像形成部材。
  8. 支持基体、その上の電荷発生層、およびこの電荷発生層に接した電荷輸送層を含み、上記電荷発生層が、
    少なくとも2種の下記式1の対称形ペリレンビスイミドダイマー:
    Figure 0004741745
    (式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルである);および、
    少なくとも1種の下記式2の末端非対称形ダイマー:
    Figure 0004741745
    (式中、R1およびR2は、水素、アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルであるが、R1とR2は同じではない);
    を含む組成物を含む光導電性像形成部材。
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