JP4324525B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に使用される電子写真感光体に関する。
画像形成装置においては、該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の感光体が使用されている。その1つはセレン等の無機材料を感光層に用いた無機感光体であり、他は有機材料を感光層に用いた有機感光体である。有機感光体は、製造が容易であり、かつ電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂等の材料選択肢が多様で機能設計の自由度が高いことから、近年、広範な研究が進められている。
有機感光体には、電荷発生剤を含有した電荷発生層と電荷輸送剤を含有した電荷輸送層との積層構造からなる、いわゆる積層型感光体と、電荷発生剤と電荷輸送剤とを単一層に含有させた、いわゆる単層型感光体とがある。
電荷輸送剤には、正孔輸送剤と電子輸送剤があり、高い電荷移動度が要求される。一般に、電荷移動度が高い電荷輸送剤は、その多くが正孔輸送剤であるため、実用に供されている有機感光体は、正孔輸送剤を使用するものが多い。
例えば下記特許文献1には、アゾキノン構造を有する電子輸送剤を用いた電子写真用感光体が開示されている。この特許文献1によれば、電気特性、特に感度と残留電位に優れた電子写真用感光体を得ることができるとされている。しかしながら、特許文献1に記載の電子写真用感光体では、必ずしも十分な感度が得られていないのが現状であるため、より高い感度を有した電子写真感光体の開発が望まれている。
特開2000−147806号公報(請求項2、一般式(II))
本発明の課題は、高い感度を有する電子写真感光体を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤、電子輸送剤およびバインダ樹脂を含有する感光層が設けられた電子写真感光体であって、前記電子輸送剤が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする。
Figure 0004324525
[式中、Xは、置換基を有していてもよい炭素数2〜8の飽和脂肪族炭化水素の異なる炭素原子から水素原子2〜4個を取り去った構造を有する2〜4価の基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素の環に結合する水素原子2〜4個を取り去った構造を有する2〜4価の基、置換基を有していてもよいフェニレンジオキシ基、酸素原子、硫黄原子、または単なる結合を表す。R1〜R4は、同一または異なる基であって、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、水素原子、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。Aは、酸素原子、またはシアノ基およびアルコキシカルボニル基の少なくとも一方を有する炭素原子を表す。nは2〜4の整数を表す。ただし、Xがフェニレンジオキシ基、酸素原子、硫黄原子または単なる結合のときは、n=2である。]
本発明によれば、電子輸送剤として電荷移動度の高い上記化合物を用いているので、残留電位を効果的に低下させ、高い感度を得ることができる。これにより、良好な画像を得ることができる。式(I)におけるXの炭素数が1の場合と比較して、Xが単なる結合である場合は、式(I)で表される電子輸送剤のπ電子系が広がるために電界移動度が高まり、Xの炭素数が2以上の場合は、バインダー樹脂への相溶性および導電性基材上に感光層を形成する際の塗工溶媒への溶解性が高まるために電荷移動度が高まるものと推測される。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤、電子輸送剤およびバインダ樹脂を含有し、さらに必要に応じて正孔輸送剤を含有した感光層を設けたものである。感光層には、単層型感光層と積層型感光層とがあるが、本発明には、いずれの感光層も適用可能である。
単層型感光層は、電荷発生剤、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を同一の層に含有する光導電層単独で構成されるものである。この単層型感光層は、層構成が簡単で生産性に優れており、層を形成する際の皮膜欠陥を抑制でき、層間の界面が少なく光学的特性を向上できるという利点がある。
一方、積層型感光層は、導電性基体上に電荷輸送剤を含有する電荷輸送層と、電荷発生剤を含有する電荷発生層とを積層することで構成される。また、電荷発生剤とともに電荷輸送剤を含有させた光導電層を、電荷輸送層、電荷発生層と組み合わせてもよい。積層型感光層は、上記電荷発生層、電荷輸送層などの形成順序と、両層に含有させる電荷輸送剤の種類(正孔輸送剤または電子輸送剤)によって種々の組み合わせが考えられるが、本発明においては、電荷輸送層および光導電層の少なくとも1つに電子輸送剤として上記一般式(I)で表される化合物を含有させる。該積層型感光体は、電荷発生、電荷輸送といった機能を各層に分離しているので、構成材料の無駄が少なく、感度を向上させ易いという利点を有する。
電荷発生剤としては、例えば無金属フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、α-チタニルフタロシアニン、Y-チタニルフタロシアニン、V-ヒドロキシガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミニウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料などが挙げられる。これらの電荷発生剤は単独でまたは2種以上をブレンドして用いてもよい。
特に、フタロシアニン系顔料、とりわけ無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびクロロガリウムフタロシアニンから選ばれる少なくとも1種を電荷発生剤として用いるのが、LEDやレーザー等、650nm以上の赤色もしくは赤外光を露光光源としたときの、感光体の電気特性のうえで好ましい。
本発明において使用する電子輸送剤は、前記一般式(I)で表される化合物(アゾキノン二量体ないし四量体)である。前記したように、式(I)中、Xは、置換基を有していてもよい炭素数2〜8の飽和脂肪族炭化水素の異なる炭素原子から水素原子2〜4個を取り去った構造を有する2〜4価の基(以下、X1という)、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素の環に結合する水素原子2〜4個を取り去った構造を有する2〜4価の基(以下、X2という)、置換基を有していてもよいフェニレンジオキシ基、酸素原子、硫黄原子、または単なる結合を表す。
XがX1である場合、飽和脂肪族炭化水素としては、例えばエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の直鎖または分岐した炭素数2〜8の飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。X1が2価の基である場合の具体例としては、例えばエチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレンなどのアルキレン基が挙げられる。式(I)中にX1を有する化合物としては、例えば下式(I-1)〜(I-9)が例示できる。
Figure 0004324525
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XがX2である場合、芳香族炭化水素としては、例えばベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、フェナントレン等が挙げられる。X2が2価の基である場合の具体例としては、例えばフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、アントリレン、フェナントリレンなどが挙げられる。式(I)中にX2を有する化合物としては、例えば下式(I-10)〜(I-12)が例示できる。
Figure 0004324525
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Xが置換基を有していてもよいフェニレンジオキシ基である場合、例えば下式(I-13),(I-14)が例示できる。
Figure 0004324525
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下式(I-15)は、Xが単なる結合である場合の構造式である。
Figure 0004324525
また、式(I)中、R1〜R4は、同一または異なる基であって、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、水素原子、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。
1〜R4で表されるアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の直鎖または分岐した炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、例えばモノクロルメチル、モノブロモメチル、モノヨードメチル、モノフルオロメチル、ジクロルメチル、ジブロモメチル、ジヨードメチル、ジフルオロメチル、トリクロルメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、トリフルオロメチル、モノクロルエチル、モノブロモエチル、モノヨードエチル、モノフルオロエチル、ジブロモブチル、ジヨードブチル、ジフルオロブチル、クロルヘキシル、ブロモヘキシル、ヨードヘキシル、フルオロヘキシルなどのように、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基があげられる。
アリール基としては、例えばフェニル、トリル、キシリル、ビフェニリル、o−テルフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどが挙げられる。これらのアリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えばヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン基、アミノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
また、式(I)中、Aは、酸素原子、またはシアノ基およびアルコキシカルボニル基の少なくとも一方を有する炭素原子を表す。Aが酸素原子である場合の具体例は、上記式(I-1)〜(I-15)に示した通りである。Aがシアノ基およびアルコキシカルボニル基の少なくとも一方を有する炭素原子である場合の具体例としては、下式(I-16)〜(I-18)が挙げられる。
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次に、一般式(I)で表される化合物の合成方法について、上記式(I-1)で表される化合物の場合を例に挙げて説明する。式(I-1)で表される化合物の合成例を下記反応スキームに示す。まず、Dean−Starkを備えた反応器に化合物(a)を46.8g(0.2mol)、化合物(b)を24.2g(0.1mol)、トルエンを300mL、ZnCl2を13.6g(0.1mol)加え、1時間還流させ、水600mLに注ぎ入れる。ついで、得られた生成物を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ヘキサンを加え、晶析により化合物(c)を28g(収率78%)得る。次に、化合物(c)28g(0.078mol)をクロロホルム150mL中で、過マンガン酸カリウム15.8g(0.1mol)と一昼夜撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘキサン=1/1)により精製して化合物(I-1)を25g(収率90%)を得る。
Figure 0004324525
また、式(I)中のAがシアノ基およびアルコキシカルボニル基の少なくとも一方を有する炭素原子である化合物の合成方法について、式(I-4)で表される化合物から式(I-16)で表される化合物を合成する場合を例に挙げて説明する。式(I-16)で表される化合物の合成例を下記反応スキームに示す。まず、式(I-4)の化合物18.5g(0.026mol)を、ベンゼン200mL中で、マロノニトリル4.2g(0.064mol)、ピペリジン5.4g(0.064mol)、および触媒量の安息香酸と撹拌、混合し、生成した水をDean−Starkにより除去しながら、加熱還流させた後、水600mLに注ぎ入れる。ついで、得られた生成物を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘキサン=1/1)により精製し、式(I-16)の化合物18.9g(収率90%)を得る。また、マロノニトリルに代えて、下記化合物(d)を用いることにより、上記式(I-17),(I-18)で表される化合物を合成することもできる。
Figure 0004324525
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本発明では、上記した電子輸送剤に加えて、さらに公知の電子輸送剤を感光層に含有させてもよい。このような電子輸送剤としては、例えばジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、チオキサントン誘導体(2,4,8−トリニトロチオキサントン等)、フルオレノン誘導体(3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体等)、アントラセン誘導体、アクリジン誘導体、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸誘導体、無水マレイン酸誘導体、ジブロモ無水マレイン酸誘導体などの、電子受容性を有する化合物が挙げられる。
正孔輸送剤としては、例えばN,N,N’,N’‐テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N‘,N’‐テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N‘,N’‐テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’‐テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5‐ジ(4−メチルアミノフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどのスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなどのピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物などの含窒素環式化合物や、縮合多環指揮化合物が挙げられる。
バインダ樹脂としては、例えばスチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリウレタン、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシ−アクリレート、ウレタン−アクリレートなどの光硬化性樹脂などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用できるほか、2種以上を併用することもできる。
感光層には、前記した成分のほかに、画像形成に悪影響を与えない範囲で、種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤などの劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤,増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナーなどが挙げられる。また、感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
導電性基体としては、導電性を有する各種の材料が使用可能であり、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属単体、上記金属が蒸着もしくはラミネートされたプラスチック材料、さらにヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラスなどが挙げられる。導電性基体は、使用する画像形成装置の構造に合わせてドラム状、シート状などの形態で使用される。この導電性基体は充分な機械的強度を有しているのが好ましい。
単層型感光層は、電荷発生剤、電子輸送剤、バインダ樹脂、必要に応じて正孔輸送剤や他の添加剤を適当な溶剤と共に、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて混合して分散液を調製し、この分散液を導電性基体上にこれを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。乾燥後の感光層の厚さは5〜100μm、好ましくは10〜50μmであるのがよい。
分散液を調製するための溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n‐ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶剤は単独で使用するほか、2種以上を混合して用いてもよい。さらに、電荷発生剤および電荷輸送剤の分散性、感光体表面の平滑性を良くするために、界面活性剤、レベリング剤などを使用してもよい。
単層型感光層においては、バインダ樹脂100質量部に対して、電荷発生剤を0.1〜50質量部、好ましくは0.5〜30質量部の割合で、電子輸送剤を5〜100質量部、好ましくは10〜80質量部の割合で含有させるのがよい。正孔輸送剤を含有させる場合は、バインダ樹脂100質量部に対して5〜500質量部、好ましくは25〜200質量部の割合で含有させるのがよい。
また、感光層として単層型感光層を備えた電子写真感光体は、構造が簡単で製造が容易である上、被膜欠陥の発生を抑制し、光学的特性を向上させることができる等の利点がある。また、単層型感光層を備えた感光体は、電荷輸送剤として電子輸送剤と正孔輸送剤とを併用することで、1つの感光体を正帯電型および負帯電型の両方に使用でき、感光体の応用範囲を広げることができる。
積層型感光層は、電荷発生剤および電荷輸送剤をそれぞれ適当なバインダ樹脂および溶剤と共に、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて混合して分散液を調製し、この分散液を導電性基体上にこれを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。乾燥後の各層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μm、好ましくは0.1〜3μmであり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μmであるのがよい。
積層型感光層のうち電荷発生層においては、バインダ樹脂100質量部に対して電荷発生剤を5〜1000質量部、好ましくは30〜500質量部の割合で含有させるのがよい。また、電荷輸送層においては、バインダ樹脂100質量部に対して電子輸送剤を10〜500質量部、好ましくは30〜200質量部の割合で含有させるのがよい。また、電子輸送剤と正孔輸送剤を併用する場合は、その総量がバインダ樹脂100質量部に対して10〜500質量部、好ましくは30〜200質量部の割合で含有させるのがよい。
単層型感光層または積層型感光層と、導電性基体との間や、積層型感光層を構成する電荷発生層と電荷輸送層との間には、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層、バリア層などを形成してもよい。また、感光層の表面には保護層が形成されていてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の電子写真感光体をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[実施例、比較例]
<電子写真感光体の作製>
溶媒であるテトラヒドロフラン800質量部に対して、バインダ樹脂(繰り返し単位が下式Resin-1で表わされる粘度平均分子量50,000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂)100質量部、正孔輸送剤(下式H-1)50質量部、表1に示す電荷発生剤(X型無金属フタロシアニン:PcH2またはY型チタニルフタロシアニン:PcTiO)3質量部、および表1に示す電子輸送剤(上記式I-1〜I-4,I-13,I-15〜I-18,下式E-1,E-2)50質量部を添加した。この混合物を超音波分散機で1時間混合分散して、単層型感光層用の分散液を作製した。ついで、得られた分散液を導電性基材(アルミニウム素管)上にディップコート法にて塗布し、100℃で30分間で熱風乾燥して、膜厚30μmの単層型感光層を有する電子写真感光体を得た。
次に、上記で得られた電子写真感光体の感度特性を以下のようにして評価した。すなわち、電子写真感光体について、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、700Vになるように帯電させ、ついでハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光強度:1.5μJ/m2)を露光[照射時間:0.08秒(80msec)]した。そして、露光開始から0.33秒(330msec)経過した時点での表面電位Vr(V)を測定し、それを感度とした。結果を表1に示す。
Figure 0004324525
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表1から、電子輸送剤として、式(I-1)〜(I-4),(I-13),(I-15)〜(I-18)で表される化合物を用いた実施例1〜9の電子写真感光体は、比較例1,2と比べて、高い感度を有していることがわかる。

Claims (1)

  1. 導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤、電子輸送剤およびバインダ樹脂を含有する感光層が設けられた電子写真感光体であって、前記電子輸送剤が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0004324525
    [式中、Xは、置換基を有していてもよい炭素数2〜8の飽和脂肪族炭化水素の異なる炭素原子から水素原子2〜4個を取り去った構造を有する2〜4価の基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素の環に結合する水素原子2〜4個を取り去った構造を有する2〜4価の基、置換基を有していてもよいフェニレンジオキシ基、酸素原子、硫黄原子、または単なる結合を表す。R1〜R4は、同一または異なる基であって、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、水素原子、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。Aは、酸素原子、またはシアノ基およびアルコキシカルボニル基の少なくとも一方を有する炭素原子を表す。nは2〜4の整数を表す。ただし、Xがフェニレンジオキシ基、酸素原子、硫黄原子または単なる結合のときは、n=2である。]

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