JP4741113B2 - 臭気調製装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定強度の臭気を調製するのに用いられる臭気調製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、所定強度の臭気を調製するには、気密な臭気調製室に所定量のニオイ発生物質の蒸気を導入し、そのニオイ発生物質の濃度を調節することにより、そのニオイ発生物質の臭気の強度を設定することが行われている。このようにして調製された所定強度の臭気は、例えばニオイ検知装置の感度を調節するのに用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したように所定濃度の臭気を調製するにはニオイ発生物質の正確な秤量が可能で、しかも、気密な臭気調製室を用意できる環境が必要になるため、簡便に所定強度の臭気を得ることは困難であった。また、例えば、ニオイ検知装置の感度を調製するためにこのようにして得られた臭気を用いる場合には、前記臭気調製室のある場所にニオイ検知装置をもってきて臭気調製室内にそのニオイ検知装置を収容しなければならないことになり、そのニオイ検知装置が本来使用される場所での感度調節は実質不可能であり、その臭気が必要な場所に直接強度の調製された臭気を供給することは困難であった。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記実状に鑑み、所定強度の臭気を簡便に調製することができる臭気調製装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明の特徴構成は、
ガス流入口とガス排出口とを備えてガス流路を形成可能な容器を設け、ニオイ発生剤を前記ガス流路内に流通されるガスに接触自在に封入し、前記ガス流入口側にガス吸着剤を設けたフィルタを介装してある点にある。
また、前記ニオイ発生剤が、ニオイ発生物質をゲル化剤でゲル化させたゲル状物質、あるいは、前記ニオイ発生剤が粒状固形物にニオイ発生物質を脱離自在に吸着させてある粒状物であることが好ましく、
前記ニオイ発生物質には、エタノール、硫化水素、アンモニア、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、イソブタノール、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、スチレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸から選ばれる少なくとも一種を主成分とするもの、前記ゲル化剤には、ゼラチン、寒天、界面活性剤、乳化剤等が用いられ、界面活性剤としては、オレイン酸系界面活性剤やD−ソルビトール誘導体系界面活性剤が用いられ、乳化剤としては、ペクチン、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類等が用いられる。
さらに、前記ニオイ発生剤が、ニオイ発生物質を開口部を有する筒状セル内に充填した状態で固化させてあってもよく、
前記ニオイ発生剤がシリカゲルにエタノール、硫化水素、アンモニア、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、イソブタノール、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、スチレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸を主成分とするニオイ発生物質を含浸させ、所定時間乾燥処理してある粒状物であってもよい。
【0006】
また、前記ニオイ発生剤を前記ガス流路の断面方向視における中央部に配置固定させる位置決め部材を前記容器に内装してあることが好ましく、前記位置決め部材としては、グラスウール、木綿布、PET、ポリエステル、ポリフッ化ビニル等の樹脂粒状物から選ばれる少なくとも一種を採用することができる。
【0007】
〔作用効果〕
つまり、ガス流入口とガス排出口とを備えてガス流路を形成可能な容器を設けてあると、前記ガス流入口から前記容器内にガスを導入しつつ前記ガス排出口から前記容器内のガスを排出するガス流路を形成し、そのガス流路に沿ってガスを流通させることができる。
ここで、ニオイ発生剤を前記ガス流路内に流通されるガスに接触自在に封入してあると、前記ガスが前記ニオイ発生剤に接触しつつ、ニオイ発生剤中からニオイを気化させ、そのニオイ発生剤から発生するニオイを前記ガス排出口から排出させることができる。このとき、ニオイは、ニオイ成分の気化、凝縮の相平衡にともなって発生するから、ニオイ発生剤に接触するガスの流速、流量及び前記容器の容量、前記ニオイ発生剤の有効表面積等に従って、前記ガス排出口から排出されるガスに含まれるニオイ濃度は所定値に調節されることになる。従って、この臭気調製装置は、前記ガス流入口から実質的にニオイを含まないガスを流通させるだけで、前記ガス排出口から臭気濃度がほぼ一定に調節されたガスを排出させられることになるから所定のニオイ強度の臭気を調製できるようになる。
また、前記ガス流入口側にガス吸着剤を設けたフィルタを介装してあると、前記容器に流通されるガスにニオイ成分がすでに混入している可能性があったとしても、そのニオイ成分を前記ガス吸着剤で吸着除去した後、前記容器内で所定のニオイ強度を調製できるから、調製される前記ニオイ発生物質のニオイ強度は外気の影響を受けず、安定したものとなる。尚、前記フィルタとしては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル等の汎用のものが用いられる。
【0008】
また、前記ニオイ発生剤が、ニオイ発生物質をゲル化剤でゲル化させたゲル状物質、あるいは、前記ニオイ発生剤が粒状固形物にニオイ発生物質を脱離自在に吸着させてある粒状物であると、ニオイ発生物質を単独でニオイ発生剤とするのに比べて、ニオイ発生物質の気化、凝縮平衡が、ゲル化剤あるいは粒状物に対する吸着あるいは結合力によって凝縮側に偏ることになるから、ニオイ発生物質の蒸気発生量は抑えられ、ニオイ強度が低く抑制されるとともに、そのニオイ発生物質がすべて気化してしまうまでに要する時間が長くなるために、そのニオイ発生剤がニオイを発し続けられる寿命が長く設定される。
【0009】
また、前記ニオイ発生物質が、エタノール、硫化水素、アンモニア、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、イソブタノール、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、スチレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸から選ばれる少なくとも一種を主成分とするものであれば、通常液体でゼラチン、寒天、界面活性剤等の汎用のゲル化剤によって、秤量などの容易に取り扱い容易なゲル状物質に変換することができる。また、ガス検知装置等の感度を調節する際の標準物質としても適している。また、特にエタノールは、人に対して無害であって、取り扱いの際にガスの漏洩等に対し必要以上に細心の注意を払う必要がない。
【0010】
また、前記ゲル化剤が、ゼラチン、寒天、界面活性剤、乳化剤から選ばれる少なくとも一種を主成分とするものであると、水溶性のニオイ発生物質であれば、通常ゲル化させることができ、かつ、ゲル化した後に適度な形状安定性を確保することができる。また、このようなゲル化剤を選択すれば、ゲル化した後に内部に含まれるニオイ発生物質を徐々に脱離させ、ニオイを放出する能力を長期にわたって安定的に維持できる。
【0011】
さらに、前記ニオイ発生剤が、ニオイ発生物質を開口部を有する筒状セル内に充填した状態で、ゲル化させるなどして固化させてあると、前記ニオイ発生剤は前記開口部に臨んでのみガス流路内のガスと接触することになる。そのため、前記開口部の断面積をコントロールすることによってニオイ発生物質の気化量を適宜設定することができるとともに、ゲル化したニオイ発生剤を直接手で取り扱い操作することなく、より確実な保形性を有する筒状セルを扱えばよいことになるから、より一層取り扱い容易さを増すとともに、ニオイ発生物質の気化量を制御してニオイ強度を適宜設定することが容易になる。
【0012】
また、前記粒状固形物の粒径を好適に設定すると、その粒状固形物に吸着されたニオイ発生物質の放出量の経時的な減衰率が低くおさえられることが、後述の実験より明らかになっている。
【0013】
前記ニオイ発生剤が、シリカゲルにエタノール、硫化水素、アンモニア、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、イソブタノール、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、スチレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸から選ばれる少なくとも一種を主成分とするニオイ発生物質を含浸させ、所定時間乾燥処理してある粒状物としてあれば、例えば、粒径2.9〜3.1mmのシリカゲルを用いた場合、20℃で180minの風乾処理を行うことにより、安定したニオイ発生物質の放出量に調整することができる。
【0014】
さらに、前記ニオイ発生剤を前記ガス流路の断面方向視における中央部に配置固定させる位置決め部材を前記容器に内装してあると、前記位置決め部材は前記ニオイ発生剤をガス流路の中央部に保持して、流通されるガスと接触容易な姿勢に保持させることができるから、前記容器内を流通されるガスが、前記ニオイ発生剤に接触しない状態で短絡するような状況は起きにくく、信頼性高くニオイ強度を調製することができるようになる。
【0015】
また、前記位置決め部材としては、グラスウール、木綿布、PET、ポリエステル、ポリフッ化ビニル等の樹脂粒状物等を採用することができ、無臭かつニオイ発生物質吸着能力の低い綿状、布状、粒塊状の部材を吸着ガス流路内に充填し、その中央部にニオイ発生剤を配置されていると、前記位置決め部材が通気抵抗になりながら、通気されるガスを前記ニオイ発生剤と確実に接触する状態に通過させやすい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の臭気調製装置は、ガス流入口1aとガス排出口1bとを備えてガス流路を形成可能な筒状容器1を設け、前記筒状容器1内のガス流入口1a側には活性炭2aを充填した活性炭フィルタ部2を設けるとともに、前記筒状容器1内のガス排出口1b側には、位置決め部材としてのグラスウール3aを充填するとともに、そのグラスウール3aの中央部には、ニオイ発生剤を前記ガス流路の断面視における中央部に流通されるガスに接触自在な姿勢で配置固定させてある。
【0017】
また、前記ニオイ発生剤4は、たとえばニオイ発生物質としてのエタノール41をゲル化剤としてのゼラチンでゲル化させ、開口部5aを有する筒状セル5内に充填した状態で固化させたゲル状物質4a(図2(a)参照)、あるいは、粒状固形物としてのシリカゲル6にエタノール41を含浸させて脱離自在に吸着させてある粒状物4b(図2(b)参照)を用いることができる。
【0018】
これらのニオイ発生剤について下記に詳述する。
【0019】
<ゲル状物質からなるニオイ発生剤>
ガラス瓶に蒸留水5mlを入れ、80℃にてゼラチン0.2gを攪拌しながら溶解させる。これに所定量のエタノールを加え、振とう攪拌した後、十分冷却して固化する。固化させるに際しては、ゼラチンが流動性を失わない程度の粘性になった状態で、断面積0.225cm2の筒状セル5内に充填し、さらに冷却固化させる。すると、前記筒状セル5内でゼラチンが固化し、開口部5aにおいてのみ外気と接触自在に充填されることになる。
【0020】
〈1〉添加されるエタノールの濃度と、このニオイ発生剤から発生するエタノールガス濃度との関係を調べたところ、図5に示すようになった。図中エタノール濃度は別途感度調節された下記ニオイ検知装置Sにより図3のようにして測定されたものであり、その値は感度出力の濃度換算値である。
【0021】
図3による測定では、前記ガス検知装置を前記臭気調製装置のガス排出口に接続し、ガスを吸引検知させる。すると、前記ガス検知装置に調製された臭気が流入することになる。ここでは、前記臭気調製装置の容器は、断面積0.2cm2の円筒状で、前記ガス検知装置のガス吸引能力は400mL/minである。尚、前記容器として筒状のものを採用する場合、断面積0.07〜0.59cm2のものが好適に用いられる。また、ガス吸引能力は、300〜1000mL/minの範囲で特に好適に用いられる。
【0022】
図5によると、ニオイ発生剤中のニオイ発生物質濃度(エタノール濃度)に応じてニオイ発生物質の気化量(吸引エタノール濃度)がほぼ比例していることが分かる。
【0023】
<ニオイ検知装置>
ニオイ検知装置Sは、図3に示すように、ガス検知素子10を内装するとともに、検知対象ガスを吸引して前記ガス検知素子10に誘導するガス吸引ポンプ11を備え、前記ガス検知素子10をブリッジ回路12に組み込んで用いられる。前記ブリッジ回路12は、前記ガス検知素子10に、固定抵抗R0を直列に接続するとともに、このガス検知素子10と固定抵抗R0との合成抵抗に対して固定抵抗R1と固定抵抗R2との合成抵抗を、前記ガス検知素子10と固定抵抗R1、固定抵抗R0と固定抵抗R2が対向するように並列に接続する。また、前記ガス検知素子10と固定抵抗R0の間と、前記固定抵抗R1と固定抵抗R2との間との電位差をセンサ出力として取出す出力部13を接続してある。前記出力部13では、得られたセンサ出力をニオイ強度に換算し、報知部14において数値表示したり、ブザーを鳴動させたりして検知結果を報知可能に構成する。
【0024】
前記ガス検知素子10は、例えば、以下のようにして作製される。
<ガス検知素子>
市販の塩化スズ(Sn(Cl)4)と少量の塩化アンチモンの混合水溶液を、攪拌条件下でアンモニア水を滴下することにより、加水分解し、水酸化物のゾルを得る。このゾルを水洗し乾燥し、さらに粉砕後に電気炉で700℃で8時間焼成した。このようにして得られた固体は、アンチモンを含有する酸化スズ半導体であった。この酸化スズをさらに粉砕し、微粉体とし、分散媒を用いてペースト状にし、図4に示すように、貴金属線21を覆って球状に塗布し、乾燥後、前記貴金属線21に電流を流通させ、空気中で600℃1時間焼結し、感応層22のみからなる熱線型半導体式検知素子10を得る。
前記感応層22に第一成分として、アルカリ度類金属元素の一例としてのカルシウムの塩(塩化カルシウム)水溶液、及び、第二成分として3属金属元素の一例としてのランタンの塩(硝酸ランタン)の水溶液、を順次含浸させ、前記感応層にカルシウムをCaO換算で0.25〜20mol%及びランタンをLaO3/2換算で0.25〜20mol%添加する。
尚、前記各水溶液は、含浸させた後、乾燥・焼成して前記感応層22に、各種金属を酸化物の形態で担持させる。(特願昭63−289608号参照)
【0025】
〈2〉添加されるエタノール濃度を6vol%として得られたニオイ発生剤4から発生するエタノールガス濃度の経時変化を調べたところ図6のようになった。図6より、ニオイ検知装置Sは、エタノールガス濃度100ppm相当の指示値を長時間にわたって示すことがわかり、この出力値に従えば、100ppmエタノール相当のニオイを検知したときに前記ニオイ検知装置が指示値1000を示すように較正するのに適していることが読みとれる。
【0026】
〈3〉前記筒状セルの開口部5aの開口面積を種々変更してニオイ発生剤から発生するエタノールガス濃度を調べたところ図7のようになった。図7より開口部5aの開口面積(断面積)とエタノールガス濃度(吸引エタノール濃度)は比例関係にあることが分かる。
【0027】
〈4〉得られたニオイ発生剤から発生するエタノールガス濃度の温度依存性を調べたところ図8に示すようになり、室温以下程度の温度域では安定して一定濃度のエタノールガスを発生させていることが分かる。
【0028】
<粒状物からなるニオイ発生剤>
粒状シリカを200℃、90分間加熱する。加熱処理された粒状シリカを室温下で過剰量のエタノール溶液に浸漬する。1時間〜18時間浸漬された粒状シリカを濾別した後、所定時間乾燥し、粒状物のニオイ発生剤を得る。
〈1〉エタノール溶液のエタノール含有率及びその溶液に対する添加剤としてのエチレングリコールの含有率を変化させ、種々の条件で粒状物のニオイ発生剤を得るとともに、そのニオイ発生剤から発生するニオイ強度を調べたところ、表1のようになった。尚、ニオイ強度の測定は、先述と同様に行った。また、体積%で示したニオイ発生物質、添加物以外の残部は精製水である。尚、表中「OverRange」とあるのは、出力2000以上の測定不可能な値であることを示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1より、エタノール濃度が高いものほど高いニオイ強度が得られ、エタノール濃度が低いものほど、長時間にわたって安定したニオイ強度を出力し続けられることが読みとれる。また、粒子数を増やすと、ニオイ強度もそれに応じて強くなるが、容器の容積に対して必要以上に強い強度は得られず、安定した出力を維持するのに寄与していることが分かる。これらの状況から、ニオイ発生物質溶液にはエタノール90%、エチレングリコール10%の混合液が好適に用いられる。
【0031】
〈2〉次に、前記臭気調製装置により調製されるニオイ強度と、前記ニオイ発生剤の調製方法との関係を調べたところ表2のようになった。ここでは、図9(イ)に示すように、臭気調製装置により調製されるニオイを、図9(ロ)に示すように、一旦袋31に捕集し、捕集された臭気のニオイ強度を別途調節されたニオイ検知装置で測定した。尚、図9において、ポンプ32の出力は、1L/minとし、袋31は、PET製で、容量7Lで、前記臭気調製装置に封入されるニオイ発生剤は5粒としてある。また、前記袋31に臭気を捕集する際には一旦袋31を脱気してから、前記臭気調製装置のガス排出部に接続する。
【0032】
【表2】
【0033】
表2より、ニオイ発生物質の含浸時間の相違によってはあまりニオイ強度のばらつきは見られず、少なくとも1時間の含浸時間で十分なニオイ強度のニオイ発生剤を得られることが分かる。また、乾燥時間の長さによって得られるニオイ強度は次第に低下することが読みとれ、さらに、シリカゲルの粒子が大きいほど、その表面積の大きさに応じた強度のニオイが調製されていることが分かる。
【0034】
尚、表2より、また、乾燥の度合いによるニオイ強度の低下幅が少ないという点で、シリカゲルの粒子は2.9〜3.1mm程度のものが好ましいことが分かる。そのため、シリカゲルの粒子は2.9〜3.1mmの径のものが採用される。
【0035】
〈3〉前述の〈2〉と同様の装置を用い、流量調整装置33によってガス流量を種々変更しつつ、ニオイ発生剤により調製されるニオイ強度のガス流量依存性を調べたところ、図10のようになった。尚、先に用いた袋31に替え4Lの容量のものを用い、シリカゲルは2.9〜3.1mm径のものに、ニオイ発生剤として、エタノール90%、エチレングリコール10%の混合液を1時間含浸、180分乾燥して得られたものを5粒採用している。
【0036】
図10より、前記容器に流通されるガス量が増えるに従って、前記ニオイ発生剤に接触することなく排出されるガス量が増え、調製されるニオイ強度が低下しているものと考えられるものの、300〜1000mL/min程度の流量では、流量が多少ばらついたとしても、得られたニオイの強度に大きな影響はでにくいことが分かる。
【0037】
このようにして得られた臭気調製装置は、図3,9のようにガス検知装置に取付けられ、そのガス検知装置の感度校正用に用いられる。
【0038】
〔別実施形態〕
以下に別実施形態を説明する。
前記粒状固形物としては、シリカゲルに替え、粒径2.9〜3.1mmの多孔質物質であってもよく、例えば、アルミナゲル、ゼオライト、活性炭等が用いられる。尚、中でも、ニオイガスに対して吸着能を発揮させないような構成とすることができる粒子を用いることが好ましく、シリカゲルは特に好ましい粒状固形物であるといえる。また、粒状固形物にニオイ発生物質が含浸吸着される機構については、単に粒子表面における相互作用による吸着によるものであってもよいが、多孔質物質であると、孔に対するニオイ発生物質の取込みによる作用がさらに加わるので、吸着されるニオイの容量を大きくすることができ好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】臭気調製装置の概略図
【図2】ニオイ発生剤の概略図
【図3】ニオイ検知装置の使用状態を示す図
【図4】ガス検知素子の概略図
【図5】添加されるエタノールの濃度と、このニオイ発生剤から発生するエタノールガス濃度との関係を示すグラフ
【図6】発生するエタノールガス濃度の経時変化を示すグラフ
【図7】開口面積とニオイ発生剤から発生するエタノールガス濃度との関係を示すグラフ
【図8】エタノールガス濃度の温度依存性を示すグラフ
【図9】臭気調製装置の試験装置の概略図
【図10】調製されるニオイ強度のガス流量依存性を示すグラフ
【符号の説明】
1a ガス流入口
1b ガス排出口
1 容器
4 ニオイ発生剤
Claims (9)
- ガス流入口とガス排出口とを備えてガス流路を形成可能な容器を設け、ニオイ発生剤を前記ガス流路内に流通されるガスに接触自在に封入し、前記ガス流入口側にガス吸着剤を設けたフィルタ部を介装してある臭気調製装置。
- 前記ニオイ発生剤が、ニオイ発生物質をゲル化剤でゲル化させたゲル状物質である請求項1に記載の臭気調製装置。
- 前記ニオイ発生剤が粒状固形物にニオイ発生物質を脱離自在に吸着させてある粒状物である請求項1に記載の臭気調製装置。
- 前記ニオイ発生物質が、エタノール、硫化水素、アンモニア、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、イソブタノール、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、スチレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸から選ばれる少なくとも一種を主成分とするものである請求項2〜3のいずれかに記載の臭気調製装置。
- 前記ゲル化剤が、ゼラチン、寒天、界面活性剤、乳化剤から選ばれる少なくとも一種を主成分とするものである請求項2に記載の臭気調製装置。
- 前記ニオイ発生剤が、ニオイ発生物質を、開口部を有する筒状セル内に充填した状態で固化させてある請求項2に記載の臭気調製装置。
- 前記ニオイ発生剤がシリカゲルにエタノール、硫化水素、アンモニア、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、イソブタノール、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、スチレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸から選ばれる少なくとも一種を主成分とするニオイ発生物質を含浸させ、所定時間乾燥処理してある粒状物である請求項3に記載の臭気調製装置。
- 前記ニオイ発生剤を、前記ガス流路の断面方向視における中央部に配置固定させる位置決め部材を前記容器に内装してある請求項1〜7のいずれかに記載の臭気調製装置。
- 前記位置決め部材がグラスウール、木綿布、樹脂粒状物から選ばれる少なくとも一種である請求項8に記載の臭気調製装置。
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