JP4733803B2 - 薬剤揮散装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薬剤揮散装置に関し、特に、装飾機能を発揮する薬剤揮散装置に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
従来から、液状やゲル状の芳香剤や消臭剤等の薬剤を収容した薬剤揮散装置がある。この薬剤揮散装置は、揮散性薬剤(芳香剤、消臭剤、防臭剤、防虫剤等)を包装体に収容した態様のものであり、トイレ、部屋、玄関、車の中等に載置し、包装体の開口部より揮散性薬剤を揮散させて周囲に薬剤機能を発揮するものである。
【0003】
近年においては、その薬剤機能はもちろんのこと、薬剤揮散装置自体の意匠性、デザイン性の向上が求められている。例えば香料を含んだ有色透明の揮散性薬剤を無色の透明乃至半透明の包装体内に収容してなる薬剤揮散装置等が提案されている。これら従来の薬剤揮散装置では、収容する揮散性薬剤に任意に選択した色彩を施したり、包装体自体にデザインを施したり、包装体内に揮散性薬剤と共に装飾体を収容している。
【0004】
このような薬剤揮散装置においては、無色透明の包装体内に収容した有色透明の揮散性薬剤を包装体外方から目視することが可能であり、揮散性薬剤を包装体外方から直接見られることになる。
【0005】
しかしながら、包装体や薬剤の色彩等に工夫を凝らした従来の薬剤揮散装置にあっては、太陽光や蛍光灯等の照明器具の光によって室内が明るいときはその装飾機能を発揮することができるものの、夜間の車の中や、夜の就寝時等に照明を消した部屋の中の様な暗所においては全く目視することができず装飾機能を発揮することができない。
【0006】
本発明は上記問題点に着目し、これを解決せんとしたものであり、その目的は、さらなる意匠性、デザイン性の向上により商品価値を高め、暗所においても装飾機能を発揮する薬剤揮散装置を提供することにある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために本発明の薬剤揮散装置は、包装体内に揮散性薬剤と蓄光顔料を無機担持体又はプラスチックの担持体に担持させた複数の蓄光材とを収容し、蓄光材が揮散性薬剤中に略均一に点在するように、蓄光材を揮散性薬剤中に分散させたことを特徴とする。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記揮散性薬剤をゲル状とした。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記揮散性薬剤を液状とした。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体の少なくとも一部を透光性とした。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体に装飾を施した。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体の装飾を蓄光処理によるものとした。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体及び/又は揮散性薬剤及び/又は蓄光材に、同種の色彩若しくは異種の色彩を施した。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記揮散性薬剤が芳香剤、消臭剤、防臭剤、防虫剤のうち一種又は複数種を含むものとした。
【0008】
【作用】
本発明の薬剤揮散装置は、包装体内に収容した揮散性薬剤が周囲に揮散してその成分に応じた薬剤機能を発揮しつつ、包装体内に収容した蓄光材が太陽光や蛍光灯等の照明器具の光(励起光)が照射される明所においてその励起光を吸収蓄積し、この吸収蓄積した光(蓄積光)を暗所において徐々に放出発光する。そして、均一に分散させた蓄光材が複数の点在箇所においてポイント発光するようになる。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記揮散性薬剤をゲル状としたことにより、包装体内に収容される光材を所定位置に保つことが液体に比べ容易である。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記揮散性薬剤を液状としたことにより、包装体内に揮散性薬剤と共に収容した光材が、包装体内を遊動することが可能になる。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体の少なくとも一部を透光性としたことにより、包装体内に収容した光材を包装体の外方から簡単に目視することが可能になる。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体に装飾を施したことにより、装飾機能が向上する。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体の装飾を光処理によるものとしたことにより、更に特異な装飾機能を発揮する。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体及び/又は揮散性薬剤及び/又は光材に、同種の色彩若しくは異種の色彩を施したことにより、当該装置の美観について選択の範囲を大幅に拡げることが可能になる。本発明の他の薬剤揮散装置は、上記揮散性薬剤が芳香剤、消臭剤、防臭剤、防虫剤のうち一種又は複数種を含むものとしたことにより、揮散性薬剤が周囲に揮散してその成分に応じた薬剤機能を発揮しつつ、装飾機能を発揮することが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで図1〜図6は第1の実施形態、図7は第2の実施形態、図8は第3の実施形態、図9は第4の実施形態、図10は第5の実施形態である。
【0010】
図1〜図6には、ゲル状の芳香剤(揮散性薬剤)を包装体に収容した装置態様が第1の実施形態として示されている。この薬剤揮散装置は、包装体13内に、芳香剤(揮散性薬剤)11と、複数の蓄光材12とを収容したものであり、複数の蓄光材12を略均一に分散させて設けている。
【0011】
芳香剤11は、有色透明であり、長期間にわたって徐々に揮散するものであって、周囲に揮散することで芳香剤機能を発揮する。また芳香剤11は、包装体13内において略均一に分散して設けられる複数の蓄光材12を所定位置に保持する。尚、この芳香剤11は、蓄光材12の発光色と異種の色彩に着色されている。
【0012】
包装体13内に設けられた各蓄光材12は、粒状に形成されたプラスチック製ペレットに蓄光顔料を練り込んだものである。このペレットに練り込んだ蓄光顔料が、太陽光や照明器具の光(励起光)を受ける明所においてその励起光を吸収蓄積した後、この吸収蓄積した蓄積光を暗所において徐々に放出発光する。従って、上記蓄光材を収容した当該装置芳香剤を所望の場所に載置することで、暗所においても芳香剤として特異な美観を起こさせて視覚的に楽しむことが可能であるといった装飾機能を発揮することができる。特にここでは、包装体内に均一に分散させて設けられた蓄光材が複数の所定点在箇所においてポイント発光するので、このポイント発光によって当該装置をイルミネーションのように装飾することが可能になり、装飾機能をより向上することができる。尚、上記蓄光材12は、ペレットに対して重量比10〜20%の蓄光顔料を練り込んでいるが、蓄光顔料の混合割合を多くすることで更に高輝度となり、また透明度(励起光及び蓄光発光の透過率)が良いほど高輝度になる。
【0013】
包装体13は、透明の器状に形成された収容部材13a及び蓋部材13bからなり、収容する芳香剤11の成形型を兼ねた収容部材13aの上方開放口外周が雄ねじ状に形成されており、雌ねじ状に形成された内周を有する蓋部材13bが収容部材13aの上記開放口に螺着されており、収容した光材12を包装体13の外方から目視確認することができるようになっている。尚、各部材13a,13bは、プラスチックより成形されている。また蓋部材13bには外方に連通する窓13b’が設けられており、この窓13b’を通じて芳香剤が周囲に揮散される。この包装体13では蓋部材13bを収容部材13aに対して取り付けるにあたり螺合手段を採用したが、これに代えて蓋部材13bを収容部材13aに対して開閉可能に枢着させる枢着手段を採用してもよい。
【0014】
包装体13内に芳香剤11及び蓄光材12を収容するにあたっては、芳香剤11と蓄光材12との比重を略同一にし、ゲル化剤、香料、水、及び蓄光材を撹拌混合することで、蓄光材12を均一に分散させて設けることができる。尚、この撹拌混合は、収容部材13aへの注入に先立って予め行なってもよいし、収容部材13aへ注入した後に行ってもよい。
【0015】
この実施形態においては揮散性薬剤としてゲル状の芳香剤を用いた装置態様について説明したが、上記芳香剤に代えて又は上記芳香剤と共に消臭剤、防臭剤、防虫剤等他の薬剤を用いた装置態様とすることができるほか、液状、固形状、ゾル状といった他の様態の薬剤を用いた装置態様としてもよい。
【0016】
図7には、ゲル状の消臭剤(揮散性薬剤)を包装体に収容した装置態様が第2の実施形態として示されている。この薬剤揮散装置は、包装体23内に、消臭剤(揮散性薬剤)21と、蓄光材22とを収容したものであり、蓄光材22を複数カ所に層状に設けている。
【0017】
消臭剤21は、有色透明であり、長期間にわたって徐々に揮散する徐放性のものであって、周囲に揮散することで消臭剤機能を発揮する。また消臭剤21は、包装体23内において複数カ所に層状に設けられるゲル状の蓄光材22を所定位置に保持する。尚、この消臭剤21は、蓄光材22の発光色と異種の色彩に着色されている。
【0018】
包装体23内に設けられた各蓄光材22は、ゲル状材(半固体)に蓄光顔料を含浸させたものであり、上述した第1の実施形態におけるものと概ね同様であるので重複説明を避けるが、特にここでは、包装体内に層状に設けられた蓄光材が所定層状範囲においてエリア発光するので、このエリア発光によって当該装置をイルミネーションのように装飾することが可能になり、装飾機能をより向上することができる。
【0019】
包装体23は、透明の器状に形成された収容部材23a及び蓋部材23bからなり、収容する消臭剤21の成形型を兼ねた収容部材23aの上方開放口外周が雄ねじ状に形成されており、雌ねじ状に形成された内周を有する蓋部材23bが収容部材23aの上記開放口に螺着されており、収容した光材22を包装体23の外方から目視確認することができるようになっている。尚、各部材23a,23bは、プラスチックより成形されている。また蓋部材23bには外方に連通する窓23b’が設けられており、この窓23b’を通じて消臭剤が周囲に揮散される。この包装体23では蓋部材23bを収容部材23aに対して取り付けるにあたり螺合手段を採用したが、これに代えて蓋部材23bを収容部材23aに対して開閉可能に枢着させる枢着手段を採用してもよい。
【0020】
また包装体23内に消臭剤21及び蓄光材22を収容するにあたっては、消臭剤21と蓄光材22との比重を略同一にし、収容部材23aに消臭剤21を注入して固化する工程と、収容部材23aに蓄光材22を注入して固化する工程とを繰り返すことで、蓄光材22を層状に設けることができる。
【0021】
この実施形態においては揮散性薬剤としてゲル状の消臭剤を用いた装置態様として説明したが、上記消臭剤に代えて又は上記消臭剤と共に芳香剤、防臭剤、防虫剤等他の薬剤を用いた装置態様とすることができるほか、液状、固形状、ゾル状等といった他の様態の薬剤を用いた装置態様としてもよい。
【0022】
図8には、固形状の防臭剤(揮散性薬剤)を包装体に収容した装置態様が第3の実施形態として示されている。この薬剤揮散装置は、包装体33内に、防臭剤(揮散性薬剤)31と、複数の蓄光材32とを収容したものであり、複数の蓄光材32を略均一に分散させて設けている。
【0023】
防臭剤31は、ゲル状の有色透明であり、長期間にわたって徐々に揮散するものであって、周囲に揮散することで防臭剤機能を発揮する。また防臭剤31は、包装体33内において略均一に分散して設けられる複数の蓄光材32を所定位置に保持する。尚、この防臭剤31は、蓄光材32の発光色と異種の色彩に着色されている。
【0024】
包装体33内に設けられた各蓄光材32は、粒状に形成されたプラスチック製ペレットに蓄光顔料を練り込んだものであり、上述した第1の実施形態におけるものと概ね同様であるので重複説明を避ける。
【0025】
包装体33は、器状に形成された収容部材33a及び蓋部材33bからなり、防臭剤31を収容する収容部材33aの中央部に上方に突出して筒孔状に形成された被嵌入部に、この被嵌入部に合致するように形成された筒棒状の嵌入部を有する蓋部材33bが収容部材33aの上記被嵌入部に挿設されている。尚、各部材33a,33bは、プラスチックより成形されている。また蓋部材33bは、収容部材33aの被嵌入部に沿って上下方向に摺動するようになっており、上方に摺動させた状態にすることで、防臭剤31が外方と連通して周囲に揮散される。この包装体33では蓋部材33bを持ち上げて使用するため使用状態においては薬剤(防臭剤31)及び光材32が外方から目視することができるように露出することになる。そのため、収容部材33a及び蓋部材33bは必ずしも透明である必要はなく、不透明のものであっても構わない。
【0026】
包装体33内に防臭剤31及び蓄光材32を収容するあたっては、防臭剤31と蓄光材32との比重を略同一にし、ゲル化剤、防臭剤、水、及び蓄光材を撹拌混合し、これをゲル化することで、蓄光材32を均一に分散させて設けることができる。尚、この撹拌混合は、図示しない成形型へ注入して行なう。
【0027】
この実施形態においては揮散性薬剤として固形状の防臭剤を用いた装置態様について説明したが、上記防臭剤に代えて又は上記防臭剤と共に芳香剤、消臭剤、防虫剤等他の薬剤を用いた装置態様とすることができるほか、液状、固形状、ゾル状等といった他の様態の薬剤を用いた装置態様としてもよい。
【0028】
図9には、液状の芳香剤(揮散性薬剤)を包装体に収容した装置態様が第4の実施形態として示されている。この薬剤揮散装置は、包装体43内に、芳香剤(揮散性薬剤)41と、複数の蓄光材42とを収容したものである。
【0029】
芳香剤41は、有色透明であり、長期間にわたって徐々に揮散するものであって、周囲に揮散することで芳香剤機能を発揮する。また芳香剤41は、包装体43内に設けられる複数の蓄光材42を遊動可能に内包している。尚、この芳香剤41は、蓄光材42の発光色と異種の色彩に着色されている。
【0030】
包装体43内に設けられた各蓄光材42は、粒状に形成されたプラスチック製ペレットに光顔料を練り込んだものであり、上述した第1の実施形態におけるものと概ね同様であるので重複説明を避けるが、特にここでは当該装置を動かしたとき、例えば車中に載置した当該装置が車の振動に伴って動いたときに、包装体43内に液状の芳香剤41と共に収容された蓄光材42をそれ以前まで沈殿していた状態から液状の芳香剤中に舞い上がって浮遊するように遊動させることが可能であり、遊動しながら複数の点在箇所においてポイント発光するので、このポイント発光によって当該装置をイルミネーションのように装飾することが可能になり、装飾機能をより向上することができる。尚、光材42と薬剤との比重を慎重に調整することで、各光材42を包装体内において均一に分散させることも可能であり、各光材42を異なる比重のものにしてもよい。
【0031】
包装体43は、透明の器状に形成されており、中央部に棒状の吸液芯44をその一端が液状の芳香剤41に浸漬されるように設けており、収容した光材42を包装体43の外方から目視確認することができるようになっている。尚、包装体43は、プラスチックより成形されている。また吸液芯44が外方に通じており、この吸液芯44を介して芳香剤41が周囲に揮散される。
【0032】
この実施形態においては揮散性薬剤として液状の芳香剤を用いた装置態様について説明したが、上記芳香剤に代えて又は上記芳香剤と共に消臭剤、防臭剤、防虫剤等他の薬剤を用いた装置態様とすることができる。
【0033】
図10には、ゲル状の芳香剤(揮散性薬剤)を包装体に収容した装置態様が第5の実施形態として示されている。この薬剤揮散装置は、包装体53内に、芳香剤(揮散性薬剤)51と、蓄光材52とを収容したものであり、蓄光材52を複数カ所に均一に分散させて層状に設けている。
【0034】
芳香剤51は、有色透明であり、長期間にわたって徐々に揮散する徐放性のものであって、周囲に揮散することで芳香剤機能を発揮する。また芳香剤51は、包装体53内において複数カ所に均一に分散して設けられる蓄光材52を所定位置に保持する。尚、この芳香剤51は、蓄光材52の発光色と異種の色彩に着色されている。
【0035】
包装体53内に設けられた各蓄光材52は、星形粒状に形成されたプラスチック製ペレットに光顔料を練り込んだものであり、上述した第1の実施形態におけるものと概ね同様であるので重複説明を避ける。
【0036】
包装体53は、透明の器状に形成された収容部材53a及び蓋部材53bからなり、収容する芳香剤51の成形型を兼ねた収容部材53aの上方に、蓋部材53bが嵌着されており、収容した光材52を包装体53の外方から目視確認することができるようになっている。尚、各部材53a,53bは、プラスチックより成形されている。また蓋部材53bには外方に連通する窓53b’が設けられており、この窓53b’を通じて芳香剤が周囲に揮散される。上記収容部材53aの表面には、家屋を模して図案化された絵柄53a’が施されている。
【0037】
また包装体53内に芳香剤51及び蓄光材52を収容するにあたっては、芳香剤51と蓄光材52との比重を略同一にし、ゲル状の芳香剤、水、光材を撹拌混合することで、光材52を均一に分散させて設けることができる。尚、この撹拌混合は、収容部材53aへの注入に先立って予め行なってもよいし、収容部材53aへ注入した後に行なってもよい。
【0038】
この実施形態においては揮散性薬剤としてゲル状の芳香剤を用いた装置態様として説明したが、上記芳香剤に代えて又は上記芳香剤と共に消臭剤、防臭剤、防虫剤等他の薬剤を用いた装置態様とすることができるほか、液状、固形状、ゾル状等といった他の様態の薬剤を用いた装置態様としてもよい。
【0039】
以上、第1〜第5の実施形態について説明したが、各装置態様において用いる揮散性薬剤としては、芳香剤、消臭剤、防臭剤、防虫剤等のうち一種又は複数種の薬剤を用い、液体、固体、ゲル状、ゾル状等といった様態のものを用途に応じて採用することができる。尚、薬剤は水性であっても油性であっても構わない。揮散性薬剤をゲル状、ゾル状にする場合は、薬剤が油性のものを用いる場合には吸油性樹脂、水添ヒマシ油、12−ヒドロキシステアリン酸等によってゲル状、ゾル状にすることができ、薬剤が水性のものを用いる場合には高吸水性樹脂、カラギーナン、ジェランガム、ゼラチン等によりゲル状、ゾル状にすることができる。
【0040】
上述した各実施形態における蓄光顔料は、ZnS:Cu(硫化亜鉛:胴)等を主成分としたもののほか、ZnS(硫化亜鉛)、CaS(硫化カルシウム)等を主成分としたものや、これらの表面にラジオアイソトープを固着するなどしたもので、蓄光発光は、励起光の種類と明るさ及び蓄光顔料の種類、周囲の明るさ、目の暗順応、面積、距離等に左右されるが、暗所でおおよそ2〜8時間程度は目視確認することができる。蓄光顔料の粒度は特に限定されない。
【0041】
上記各実施形態において放出発光される蓄光顔料の発光色、即ち蓄光材の発光色は、上記態様においては黄緑色であるが、目的に応じて任意の色彩に設定することができる。また、上記各実施形態においては薬剤を有色透明としたが、無色透明としてもよい。薬剤自体の色彩と光材の色彩とは同種としてもよいが、特に薬剤自体の色彩と蓄光材の発光色とを異種の色彩にすることで、その発光色について鮮明度を損なうことなく、蓄光顔料の鮮明さを透過させるので、特異な美観を充分発揮することができる。上述した蓄光材を構成するペレットやゲル状材についても、同様に蓄光顔料の発光色と異種の色彩にすることが望ましい。
【0042】
また蓄光顔料は、そのまま光材として用いてもよく、上記実施形態において述べたプラスチック製ペレットのような固体のものに練り込んだり、ゲル状にするなどして、担持体(紙、木、シリカ、ゼオライト、セルロースビーズ等の無機担持体、PP、PE等のプラスチック)に担持させて光材として用いることができる。担持体による光顔料の担持量は、全体重量の0.1%〜50%の範囲内で適宜選択することが望ましい。0.1%を下回る場合には発光が少なく有効な装飾効果が得られず、50%を越える場合にはコスト的に高価になり、担持体としてプラスチックを採用して成形することが困難だからである。尚、担持体は、耐薬性を有するものであればよく、あらゆる形態にすることができる。このような固体及び/又は半固体の担持体に蓄光顔料を含浸させて構成した蓄光材を任意の形態及び配置関係に設定することにより、文字、図形、記号、若しくは立体的形状、若しくはこれらの結合、又はこれらと色彩との結合等を現すことが可能であり、装飾性に富んだ薬剤揮散装置を提供することができる。
【0043】
光材を包装体内において均一に分散させて設けるには、光材と揮散性薬剤との比重を同程度にする必要がある。光顔料はその重量(3〜5g/cm3 )が比較的重いので、紙、木、PP、セルロースといった重量の軽い担持体に担持させた光材とすることにより、揮散性薬剤と比重をあわせることができる。例えばPP中に光顔料を0.5%〜15%程度担持させることにより揮散性薬剤と比重をあわせることができる。尚、液状の揮散性薬剤を用いる装置態様ではシビアな調整が必要であるが、ゲル状の揮散性薬剤を用いる装置態様ではシビアな調整が不要であり、均一に分散させやすい。
【0044】
また包装体内に液状の揮散性薬剤と共に光材を収容する場合には、当該装置を動かしたとき、例えば車中に載置した当該装置が車の振動に伴って動いたときに、包装体内に液状の芳香剤と共に収容された蓄光材をそれ以前まで沈殿していた状態から液状の芳香剤中に舞い上がって浮遊するように遊動させることが可能であり、遊動しながら複数の点在箇所においてポイント発光するので、このポイント発光によって当該装置をイルミネ−ションのように装飾することが可能になり、装飾機能をより向上することができる。
【0045】
尚、包装体は、耐薬性を有し、収容した薬剤を漏洩させないものであることを満たすものであればよく、用途に応じた適当な形態とすることができ、包装体表面にシボや凹凸等の装飾を施したり、光顔料でデザインを施すといった光処理により装飾を施してもよく、広く知られたあらゆる形態のものを採用することができる。包装体の材質は、プラスチック等の合成樹脂のほか、ガラスを用いてもよく、成形加工、コスト等の任意の材質を選定すればよい。但し、包装体の少なくとも一部については、無色であるか有色であるかは問わないが透明若しくは半透明とし、包装体の内方を外方から目視確認することができる透光性のものであることを要する。
【0046】
【発明の効果】
本発明の薬剤揮散装置は、包装体に収容したゲル状の薬剤が周囲に揮散してその成分に応じた薬剤機能を発揮しつつ、包装体に収容した蓄光材が太陽光や蛍光灯等の照明器具の光(励起光)が照射される明所においてその励起光を吸収蓄積した後、この吸収蓄積した光(蓄積光)を暗所において徐々に放出発光するので、暗所においても特異な美観を起こさせて視覚的にも楽しむことが可能であるといった装飾機能を発揮することができる。
【0047】
本発明の他の薬剤揮散装置は、上記揮散性薬剤をゲル状としたことにより、包装体内に収容される光材を均一に分散させやすくなり、光材を所定位置に保つことができる。
【0048】
本発明の他の薬剤揮散装置は、上記揮散性薬剤を液状としたことにより、包装体内に揮散性薬剤と共に収容した光材が、包装体内を遊動することが可能になるので、当該装置を動かしたとき、例えば車中に載置した当該装置が車の振動に伴って動いたときに、包装体内に液状の芳香剤と共に収容された蓄光材をそれ以前まで沈殿していた状態から液状の芳香剤中に舞い上がって浮遊するように遊動させることが可能であり、遊動しながら複数の点在箇所においてポイント発光するので、このポイント発光によって動きを付与した装飾機能を発揮し、当該装置をイルミネーションのように装飾することが可能になり、装飾機能をより向上することができる。
【0049】
本発明の他の薬剤揮散装置は、均一に分散させた光材が複数の点在箇所においてポイント発光するので、このポイント発光によって当該装置をイルミネーションのように装飾することが可能になり、装飾機能をより向上することができる。
【0050】
本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体の少なくとも一部を透光性としたことにより、包装体内に収容した光材を包装体の外方から簡単に目視することが可能になるので、包装体内に収容した光材の発光を確実に包装体の外方に照射することができる。
【0051】
本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体に装飾を施したことにより、装飾要素を更に付加され、装飾機能が向上する。
【0052】
本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体の装飾を光処理によるものとしたことにより、明所のみならず暗所においても更に特異な装飾機能を発揮する。
【0053】
本発明の他の薬剤揮散装置は、上記包装体及び/又は揮散性薬剤及び/又は光材に、同種の色彩若しくは異種の色彩を施すことにより、当該装置の装飾について選択の範囲を大幅に拡げることが可能になる。
【0054】
本発明の他の薬剤揮散装置は、上記揮散性薬剤が芳香剤、消臭剤、防臭剤、防虫剤のうち一種又は複数種を含むものとしたことにより、揮散性薬剤が周囲に揮散してその成分に応じた薬剤機能を発揮しつつ、装飾機能を発揮することが可能になり、薬剤として用いられるだけでなく、視覚的にも楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示した概略正面図である。
【図2】 図1の概略平面図である(蓄光材省略)。
【図3】 図1の概略底面図である(蓄光材省略)。
【図4】 図1の概略右側面図である(蓄光材省略)。
【図5】 図1のA−A線に沿う横断面図である。
【図6】 図2のB−B線に沿う横断面図である。
【図7】 本発明の他の実施形態を示した概略斜視図である。
【図8】 (a)及び(b)は本発明の他の実施形態を示した概略縦断面図である。
【図9】 (a)及び(b)は本発明の他の実施形態を示した概略縦断面図である。
【図10】 本発明の他の実施形態を示した概略正面図である。
【符号の説明】
11……芳香剤(揮散性薬剤)
12……蓄光材
13……包装体
13a……収容部材
13b……蓋部材
13b’……窓
21……消臭剤(揮散性薬剤)
22……蓄光材
23……包装体
23a……収容部材
23b……蓋部材
23b’……窓
31……防臭剤(揮散性薬剤)
32……光材
33……包装体
33a……収容部材
33b……蓋部材
41……芳香剤(揮散性薬剤)
42……蓄光材
43……包装体
44……吸液芯
51……芳香剤(揮散性薬剤)
52……蓄光材
53……包装体
53a……収容部材
53a’……絵柄
53b……蓋部材
53b’……窓

Claims (8)

  1. 包装体内に揮散性薬剤と蓄光顔料を無機担持体又はプラスチックの担持体に担持させた複数の蓄光材とを収容し、蓄光材が揮散性薬剤中に略均一に点在するように、蓄光材を揮散性薬剤中に分散させたことを特徴とする薬剤揮散装置。
  2. 上記揮散性薬剤をゲル状とした請求項1に記載の薬剤揮散装置。
  3. 上記揮散性薬剤を液状とした請求項1に記載の薬剤揮散装置。
  4. 上記包装体の少なくとも一部を透光性とした請求項1〜の何れか1項に記載の薬剤揮散装置。
  5. 上記包装体に装飾を施した請求項1〜の何れか1項に記載の薬剤揮散装置。
  6. 前記包装体の装飾を蓄光処理によるものとした請求項に記載の薬剤揮散装置。
  7. 上記包装体及び/又は揮散性薬剤及び/又は蓄光材に、同種の色彩若しくは異種の色彩を施した請求項1〜の何れか1項に記載の薬剤揮散装置。
  8. 上記揮散性薬剤が芳香剤、消臭剤、防臭剤、防虫剤のうち一種又は複数種を含むものとした請求項1〜の何れか1項に記載の薬剤揮散装置。
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